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明細書 :ディジタル信号の非同期通信装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第3072374号 (P3072374)
登録日 平成12年6月2日(2000.6.2)
発行日 平成12年7月31日(2000.7.31)
発明の名称または考案の名称 ディジタル信号の非同期通信装置
国際特許分類 H04L 27/02      
FI H04L 27/02 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 5
出願番号 特願平11-197455 (P1999-197455)
出願日 平成11年7月12日(1999.7.12)
審査請求日 平成11年7月12日(1999.7.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】平 進太郎
【氏名】石川 正興
【氏名】村上 栄一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100079290、【弁理士】、【氏名又は名称】村井 隆
審査官 【審査官】内田 正和
参考文献・文献 特開 平6-177834(JP,A)
特開 平3-256415(JP,A)
特開 昭59-32540(JP,A)
特開 平6-311186(JP,A)
調査した分野 H04L 27/02
要約 【課題】 ディジタル信号を非同期で簡素な機構で送受信できる通信装置を提供する。
【解決手段】 送信側装置においては情報源が発生したディジタル信号列の高周波成分を高周波成分抽出手段としてのバンドパスフィルタ10によって抽出して、受信側に送信する。受信側装置では、その信号をAM検波器20のような非同期な受信方式を使って信号包絡線成分を抽出し、それを、さらにレベル判定手段としてのコンパレータ21を用いてしきい値処理することによって元のディジタル信号列を復元する。
特許請求の範囲 【請求項1】
情報源からのディジタル信号列の高周波成分を抽出する高周波成分抽出手段を有する送信側装置と、
前記送信側装置から送信された前記ディジタル信号列の高周波成分を受信して当該高周波成分の包絡線を抽出する検波器と、該検波器で抽出された包絡線のレベルを判定するレベル判定手段とを有する受信側装置とを備えたことを特徴とするディジタル信号の非同期通信装置。

【請求項2】
前記高周波成分抽出手段がバンドパスフィルタ、ハイパスフィルタ又は回路パターン間にクロストークのあるプリント基板である請求項1記載のディジタル信号の非同期通信装置。

【請求項3】
前記レベル判定手段のレベル判定結果に基づきパルス信号を再生するパルス再生手段をさらに備える請求項1又は2記載のディジタル信号の非同期通信装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、ディジタル信号を非同期で通信するためのディジタル信号の非同期通信装置に関するものである。

【0002】

【従来の技術】図9は従来のディジタル通信装置を示す系統図である。この図において、送信側装置は、情報源の発するディジタル信号を直並列変換する直並列変換器1と、直交変調器2A,2Bと、加算器3と、帯域制限器(バンドパスフィルタ)4とを有している。受信側装置は、掛け算器5A,5Bと、ローパスフィルタ6A,6Bと、レベル判定器7A,7Bと、直並列変換器8とを有している。

【0003】
次に、図9の従来装置の動作について説明する。図9において、送信側ではまず情報源の発するディジタル信号を直並列変換器1で直並列変換して、同相成分と直交成分の2成分に分離する。そして、それぞれのディジタル信号列に対して相互に位相が同期したsin波とcosine波(キャリア信号)を直交変調器2A,2Bで掛けることにより変調を行った後、加算器3でそれらを足し合わせる。そして足し合わせた信号に対して所要の帯域幅を持つ帯域制限器4を通すことにより帯域制限をした後、アンテナを使って空間へ放射するかもしくは電話線等の通信回線上に送出する。受信側ではアンテナもしくは回線から受信した通信波に対して、掛け算器5A,5Bにより送信側と位相の同期したキャリア信号を掛けた後、ローパスフィルタ6A,6Bによって不要な高周波成分を除去してディジタル信号の同相成分と直交成分を復調し、さらにレベル判定器7A,7Bにてレベル判定し、直並列変換器8によって元のディジタル信号列を復元する。

【0004】
ここで、送信側と受信側において掛け合わせるキャリア信号の位相をお互いに完全に同期させておかないと、元のディジタル信号列を正確に復元することができない。通常、このような送信・受信間におけるキャリア信号の同期には、送信側から受信側に対して同期確立のためのトレーニング信号をデータ送信に先立って送出する方法がとられるが、これによって通信時のオーバヘッドを増加させ通信効率を低下させるという問題点があった。

【0005】

【発明が解決しようとする課題】従来のディジタル信号の通信装置は図9のように構成されているので、正確に元のディジタル信号列を復元するには送信側と受信側でキャリア信号の位相をお互いに完全に同期させなければならないという問題点があった。

【0006】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたもので、送信側と受信側間でのキャリア信号の位相同期を行わなくてもディジタル通信を行うことができ、しかも簡素な構成のディジタル信号の非同期通信装置を提供することを目的とする。

【0007】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。

【0008】

【課題を解決するための手段】本発明によるディジタル信号の通信装置は、ディジタル信号列の高周波成分のみを送信することにより、キャリア信号自体を不要にし、ディジタル信号の非同期通信を可能にするものあり、情報源からのディジタル信号列の高周波成分を抽出する高周波成分抽出手段を有する送信側装置と、前記送信側装置から送信された前記ディジタル信号列の高周波成分を受信して当該高周波成分の包絡線を抽出する検波器と、該検波器で抽出された包絡線のレベルを判定するレベル判定手段とを有する受信側装置とを備えたことを特徴としている。

【0009】
前記高周波成分抽出手段がバンドパスフィルタ、ハイパスフィルタ又は回路パターン間にクロストークのあるプリント基板であるとよい。

【0010】
前記レベル判定手段のレベル判定結果に基づきパルス信号を再生するパルス再生手段をさらに備える構成にするとよい。

【0011】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係るディジタル信号の非同期通信装置の実施の形態を図面に従って説明する。

【0012】
図1は本発明に係るディジタル信号の非同期通信装置の実施の形態であり、送信側装置は、情報源から送出されたディジタル信号列の所要の高周波成分(高調波成分)を抽出する高周波成分抽出手段としてのバンドパスフィルタ10を有している。ここで、使用するバンドパスフィルタはバタワース、チェビシェフ、楕円型等のいかなる応答特性のものでも構わない。バンドパスフィルタ10で抽出された高周波成分はアンテナを使って空間へ放射するかもしくは同軸ケーブル等の伝送路、電話線等の通信回線上に送出する。

【0013】
受信側装置は、前記送信側装置から送信された前記ディジタル信号列の高周波成分を受信して当該高周波成分の包絡線を抽出するAM検波器20を内蔵したアナログ受信機と、該検波器20で抽出された包絡線のレベルを判定するレベル判定手段としてのコンパレータ21と、前記コンパレータ21のレベル判定結果に基づきパルス信号を再生するパルス再生手段としてのパルス再生器22とを有している。

【0014】
図2(A)はパルス再生器22の構成の1例であり、ラッチ回路30に反転回路31を組み合わせたものである。ここでは、ラッチ回路30のクロック入力にコンパレータ21からの出力を加え、ラッチ回路30の出力を反転回路31を介し反転して(出力側の0,1の状態を反転して)ラッチ回路30の入力にフィードバックした回路構成としている。同図(B)はラッチ回路30の入力、出力及びクロック入力のシーケンスの関係を表にしたものである。

【0015】
次に実施の形態の動作について説明する。

【0016】
図3に示すように、情報源から送出されたディジタル信号列は一般にパルス状の波形(Pはパルス幅)の繰り返しになるが、この周波数スペクトルのピーク成分をつなげたもの、すなわちスペクトルの概形は図4に示すような傾き特性を持ったものとなる。つまり第1折れ点周波数fと呼ばれる周波数、値にして1/πP(Pはパルス幅)までは一定の振幅値をとるが、それ以上の周波数では6dB/octの傾きで振幅値は減少する。しかし、実際にパルスジェネレータ等を使って発生させたディジタル波形は、図5に示すような立ち上がりと立ち下がり特性が多少なまった台形波状(tは立ち上がり時間)となるのが通常である。この場合の周波数スペクトルは図6に示すような概形となり、第1折れ点周波数fが1/πP、第2折れ点周波数fが1/πtとなり、第1折れ点周波数から第2折れ点周波数までの傾きは6dB/oct、第2折れ点周波数以上の傾きは12dB/octとなる。

【0017】
上記のようにディジタル波形は多少その形状が変化しても多くの高周波成分の集合となるが、この高周波成分の一部を送信側装置における高周波成分抽出手段としてのバンドパスフィルタ10でフィルタリングして取り出すとその波形は図7に示すようなパルスの立ち上がりと立ち下がり位置に信号が局在した波形の繰り返しとなり、これをアンテナを使って空間に、もしくは同軸ケーブル等の伝送路に送出して、受信側に送信する。

【0018】
受信側装置では、受信した図7の波形の信号をまずアナログ受信機内のAM検波器20でAM検波(包絡線検波)してアナログ信号として復調すると、その波形は図8に示すような包絡線成分が抽出されたものの繰り返しになる。次にコンパレータ21で図8中に示すように包絡線波形に対して適当なレベルでしきい値処理をしてしきい値を越える信号の有無を判定してやると、元のパルスの立ち上がりと立ち下がり位置が正しく検出されることとなる。そして、パルス再生器22において、この正しく検出されたパルス立ち上がりと立ち下がり位置の間をあるレベルの電圧値でつないでやれば元のパルス波形が正しく復元される。例えば、パルス再生器22として図2(A)の回路を用いた場合、ラッチ回路30はクロック信号が入力されるとその時の入力状態を保持して出力を続ける性質があるため、ラッチ回路30の入力、出力、及びクロック入力のシーケンスは同図(B)の表のようになり、クロック入力「1」つまりコンパレータ21でしきい値を越えた信号有りのときにラッチ回路30の出力が反転して元のディジタル信号列が復元されることになる。

【0019】
この実施の形態の構成によれば、送信側においてディジタル信号列の高周波成分を抽出しそれを送信することにより、受信側においてAM検波のような非同期で簡易な機構によって復調を行っても、ディジタル信号列の正確な復元が行えるものである。従って、送信側と受信側の間で特にキャリア周波数の同期を確立しなくても、簡素な構成を用いて非同期にディジタル信号を送受信することが可能となる。

【0020】
なお、上記の実施の形態ではディジタル信号の高周波成分をバンドパスフィルタを使って抽出したが、バンドパスフィルタの代わりにハイパスフィルタを用いても同様の効果が得られる。

【0021】
また、上記の実施の形態ではディジタル信号の高周波成分をバンドパスフィルタを使って抽出したが、バンドパスフィルタの代わりにプリント基板上における回路パターン間のクロストーク現象を用いても、同様の効果が得られる。

【0022】
さらに、実施の形態では受信側におけるレベル判定をコンパレータのようなハードウエア機構によって行ったが、検波後の信号をA/D変換し計算機に取り込んでソフトウエア的に処理することによっても同様の効果が得られる。

【0023】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。

【0024】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るディジタル信号の非同期通信装置によれば、ディジタル信号列の高周波成分を抽出しそれを受信側に送信することによって、受信側で送信側との同期を確立しなくても元のディジタル信号列を正確に復元することが可能となり、また構成の簡素化も可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図7】
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【図6】
6
【図8】
7
【図9】
8