TOP > 国内特許検索 > レーダ装置 > 明細書

明細書 :レーダ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3060012号 (P3060012)
公開番号 特開2000-155165 (P2000-155165A)
登録日 平成12年4月28日(2000.4.28)
発行日 平成12年7月4日(2000.7.4)
公開日 平成12年6月6日(2000.6.6)
発明の名称または考案の名称 レーダ装置
国際特許分類 G01S 13/30      
FI G01S 13/30
請求項の数または発明の数 1
全頁数 4
出願番号 特願平10-344925 (P1998-344925)
出願日 平成10年11月18日(1998.11.18)
審査請求日 平成10年11月18日(1998.11.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】末田 八郎
【氏名】伊藤 敏晴
個別代理人の代理人 【識別番号】100079290、【弁理士】、【氏名又は名称】村井 隆
審査官 【審査官】長浜 義憲
参考文献・文献 特開 平2-208585(JP,A)
特開 昭61-68573(JP,A)
特開 平4-127080(JP,A)
特開 平5-72324(JP,A)
特開 平5-164847(JP,A)
調査した分野 G01S 7/00 - 7/42
G01S 13/00 - 13/95
特許請求の範囲 【請求項1】
互いに区別可能なように変調を施した長パルスと短パルスの組を適当な間隔を開けて送信する送信手段と、前記送信手段で送信した長短両パルスによる移動物標や地表面等の反射信号を受信する受信手段と、前記受信手段で得た受信信号に含まれる地表面等の不要反射信号成分を前記短パルスによる受信信号成分で推定して抑圧する抑圧手段と、前記抑圧手段で地表面等の不要反射信号成分を抑圧した受信信号から前記長パルスによる移動物標の反射信号成分を抽出する抽出手段とをち、
前記抑圧手段は、前記短パルスによる受信信号成分を地表面等の不要反射信号成分であるとして、該短パルスによる受信信号成分から前記長パルスで得られると推定される不要信号成分を生成する生成手段と、前記短パルスによる受信信号成分と前記生成手段で生成した不要信号成分を元の受信信号から除去する手段とを備えていることを特徴とするレーダ装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、移動物標を主探知対象とするレーダ装置に関するものであり、とくに受信信号に含まれる地表面等の不要反射信号成分を抑圧する機能を備えたレーダ装置に関する。

【0002】

【従来の技術】移動物標を主探知対象とする従来のレーダ装置では、同一方向に複数の同一時間幅のパルスを送信して、移動物標や地表面等の反射信号を受信し、各送信パルスで得た受信信号間でドップラ偏移を分析して、地表面等の反射信号と考えられるドップラ偏移の小さい信号成分(以下、不要信号と呼ぶ)を抑圧し、移動物標の反射信号(以下、目標信号と呼ぶ)を求めている。

【0003】
その際、一般的に、パルスの送信間隔は送信パルスによる反射信号がレーダ装置の最大探知距離から帰るまでの時間(以下、最大探知距離相当時間と呼ぶ)以上に設定される。その理由は、送信間隔を最大深知距離相当時間以内に設定すると、反射信号がレーダ装置に帰るまでの時間から物標の距離を求める測距に支障を生ずることと、送信中にレーダ装置に帰る反射信号を与える距離領域については探知性能が大幅に劣化することによる。

【0004】
また、受信信号間でのドップラ偏移の分析と不要信号の抑圧は、適当な周波数フィルタを通じて行われることが多い。例えば、受信信号間で信号の差をとって不要信号を抑圧する手法も、そのような周波数フィルタによるものと考えることができる。

【0005】
上述のレーダ装置で得られる不要信号の抑圧能力は受信信号のドップラ偏移を分析する周波数フィルタの帯域幅に依存する。さらに、その帯域幅は、ドップラ偏移の分析を受信信号間で行っているので、レーダ装置の最大探知距離に応じて設定されるパルスの送信間隔の逆数に比例する。このため、帯域幅を自由に設定することはできず、ドップラ偏移の広がった不要信号を効果的に抑圧することは困難であった。

【0006】
上述の問題に対処するため、パルスの送信間隔をレーダ装置の最大探知距離相当時間以下に設定しているレーダ装置もある。しかし、これによると、前述のように、物標の距離を求める手段が必要なほか、探知不能となる距離領域が生ずるという問題が生ずる。

【0007】
この他、1つの長パルスを送信して、受信信号からドップラ偏移の小さい信号成分を除去するレーダ装置も提案されている。しかし、これによると、近距離では十分な受信信号長が得られないため、目標信号と不要信号の分離が困難になるという問題がある。

【0008】
さらに、時間とともに周波数を上げたチャープ信号で変調したパルスと時間とともに周波数を下げたチャープ信号で変調したパルスを一組にして送信し、ドップラ偏移に対する両チャープ信号の性質を利用して、不要信号を抑圧するレーダ装置も提案されている。しかし、これによると、1組の送信パルスによる全反射信号が受信できない近距離領域では不要信号の抑圧が困難なだけでなく、目標信号が2つになるという問題がある。

【0009】

【発明が解決しようとする課題】従来のレーダ装置の問題は、受信信号のドップラ偏移を分析する周波数フィルタの帯域幅がレーダ装置に要求される最大探知距離で決まることにある。

【0010】
本発明は上記の問題を解決するためになされたもので、地表面等からの不要反射信号成分を効果的に抑圧できるレーダ装置を提供することを目的とする。

【0011】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。

【0012】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のレーダ装置は、互いに区別可能なように変調を施した長パルスと短パルスの組を適当な間隔を開けて送信する送信手段と、前記送信手段で送信した長短両パルスによる移動物標や地表面等の反射信号を受信する受信手段と、前記受信手段で得た受信信号に含まれる地表面等の不要反射信号成分を前記短パルスによる受信信号成分で推定して抑圧する抑圧手段と、前記抑圧手段で地表面等の不要反射信号成分を抑圧した受信信号から前記長パルスによる移動物標の反射信号成分を抽出する抽出手段とを持ち、前記抑圧手段は、前記短パルスによる受信信号成分を地表面等の不要反射信号成分であるとして、該短パルスによる受信信号成分から前記長パルスで得られると推定される不要信号成分を生成する生成手段と、前記短パルスによる受信信号成分と前記生成手段で生成した不要信号成分を元の受信信号から除去する手段とを備えた構成である。

【0013】
本発明のレーダ装置において、長短両パルスに変調を施すのは、レーダ装置に要求される距離分解能を得る必要による。その際、長パルスに施す変調は、長パルスによる受信信号の信号長に関わらず、同一の距離分解能が得られる位相変調等によるのが有利である。また、短パルスに施す変調は、受信信号から短パルスによる信号成分を選択的に抽出できるようにするため、長パルスに施す変調とは異なるものにする方が有利である。但し、距離分解能は長パルスと同一にする必要がある。

【0014】
前記長短両パルスのパルス幅であるが、長パルスでは有効な受信信号が得られる範囲で長くする方が有利である。一方、短パルスのパルス幅は、受信信号から短パルスによる信号成分を抽出するためには長い方が望ましいが、長くすると短パルスの送信時に受信できない長パルスによる反射信号が増大するので、適当な値に設定する必要がある。また、パルスの送信間隔であるが、長短1組のパルスの送信間隔はレーダ装置の最大探知距離相当時間以上に設定し、両パルスの間隔は不要信号を抑圧するのに適した値に設定するのが有利である。

【0015】
本発明に関わるレーダ装置では、互いに区別可能なように変調を施した長パルスと短パルスの組を適当な間隔を開けて送信する送信手段と、前記送信手段で送信した長短両パルスによる移動物標や地表面等の反射信号を受信する受信手段と、前記受信手段で得た受信信号に含まれる地表面等の不要反射信号成分を短パルスによる受信信号成分で推定して抑圧する抑圧手段をち、該抑圧手段は、前記短パルスによる受信信号成分を地表面等の不要反射信号成分であるとして、該短パルスによる受信信号成分から前記長パルスで得られると推定される不要信号成分を生成する生成手段と、前記短パルスによる受信信号成分と前記生成手段で生成した不要信号成分を元の受信信号から除去する手段とを備えることから、長パルスと短パルスの間隔を適切に設定することで、受信信号のドップラ偏移を分析する周波数フィルタの帯域幅を不要信号を抑圧するのに適した帯域幅に設定できる。

【0016】
さらに、地表面等の反射信号成分を抑圧した受信信号から長パルスによる移動物標の反射信号成分を抽出する抽出手段を持つことから、パルスの送信間隔をレーダ装置の最大探知距離相当時間以下に設定しているレーダ装置と異なり、長パルスの反射信号を得るまでの時間差から物標までの距離を確定できる。加えて、短パルスの送信に伴い受信できる長パルスによる反射信号は短パルスのパルス幅相当だけ欠けるが、長パルスのパルス幅を短パルスのパルス幅よりも十分に長く設定しておけば、レーダ装置の最大探知距離相当時間以内の送信間隔で同一パルス幅で送信する従来のレーダ装置と異なり、探知不能となる距離領域は生じない。

【0017】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係るレーダ装置の実施の形態を図面に従って説明する。

【0018】
図1は本発明のレーダ装置の実施の形態であって、図中の1はアンテナ、2は送受切替器、3は受信器、4は送信器、5は短パルス圧縮器、6は短パルス参照信号生成器、7は推定不要信号生成器、8は変調信号生成器、9は引算器、10は長パルス圧縮器、11は長パルス参照信号生成器、12は目標信号検出器である。

【0019】
その機能を説明すると、送信器4は、適当な変調を施した長パルスと短パルスの組を生成して、送受切替器2を通じて、アンテナ1から送信するもので、これらは、図2の如く適当な変調を施した長短両パルスを適当な間隔を開けて送信する送信手段を構成している。適当な変調とは、例えば位相変調等であり、長パルスの変調信号と短パルスの変調信号は互いに区別可能なように異なっている。

【0020】
この送信信号による移動物標や地表面等からの反射信号は、アンテナ1と送受切替器2を通じて、受信器3で位相検波をされ、これらは前記送信手段で送信した長短両パルスによる移動物標や地表面等の反射信号を受信する受信手段を構成している。図2に近距離からの反射信号及び遠距離からの反射信号を例示する。

【0021】
前記受信手段で得た受信信号は短パルス圧縮器5に送られる。短パルス圧縮器5は受信信号に含まれる短パルスによる反射信号成分を圧縮する。その際、短パルス圧縮器5は短パルスによる反射信号成分の圧縮に必要な参照信号を短パルス参照信号生成器6から得る。

【0022】
次いで、推定不要信号生成器7は、短パルスによる受信信号成分の圧縮値から圧縮前の受信信号の振幅値を算出して、算出した振幅値に長パルスの変調信号を乗じて長パルス用推定不要信号部分を作成するとともに前記振幅値に短パルスの変調信号を乗じて短パルス用推定不要信号部分を作成し、短パルス圧縮器5で圧縮された信号成分は全て不要信号であるとしたときの推定不要信号(前記長パルス用推定不要信号部分及び短パルス用推定不要信号部分を有する)を生成する。その際、推定不要信号の生成に必要な長パルスと短パルスの変調信号は変調信号生成器8から得る。

【0023】
そして、前記推定不要信号生成器7で生成した推定不要信号を最初の受信信号から引算器9で引算して、最初の受信信号に含まれる短パルスによる信号成分と長パルスによる不要信号成分を抑圧する。それらの短パルス圧縮器5、短パルス参照信号生成器6、推定不要信号生成器7、変調信号生成器8、引算器9が前記受信手段で得た受信信号に含まれる地表面等の不要反射信号成分を前記短パルスによる受信信号成分で推定して抑圧する抑圧手段を構成し、地表面等では短パルスによる反射波と長パルスによる反射波とに殆ど変化がないことに着目して抑圧動作を行っている。

【0024】
地表面等からの不要信号を抑圧した受信信号は長パルス圧縮器10に送られる。長パルス圧縮器10は移動物標からの反射信号成分を圧縮する。その際、移動物標からの反射信号成分を圧縮するための参照信号は長パルス参照信号生成器11から得る。そして、目標信号検出器12で長パルス圧縮器10で得られた信号から目標信号とするものを検出する。これらの長パルス圧縮器10、長パルス参照信号生成器11、目標信号検出器12が前記抑圧手段で地表面等の不要反射信号成分を抑圧した受信信号から前記長パルスによる移動物標の反射信号成分を抽出する抽出手段を構成している。

【0025】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。

【0026】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るレーダ装置によれば、目標信号を検出するための長パルスと不要信号を抑圧するための短パルスの間隔を不要信号のドップラ偏移の広がり等に合わせて設定できるので、効果的に不要信号を抑圧できる。また、長パルスによる移動物標の反射信号成分から目標信号を抽出するので、物標までの距離を確定できる。さらに、短パルスの送信中は受信できないとしても、それによって欠ける長パルスの受信信号の割合は小さいので、短パルスを送信することで探知性能が大幅に劣化する距離領域は生じない。
図面
【図1】
0
【図2】
1