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明細書 :液晶マトリックス投影露光装置および液晶マトリックス投影露光方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4726173号 (P4726173)
公開番号 特開2003-068634 (P2003-068634A)
登録日 平成23年4月22日(2011.4.22)
発行日 平成23年7月20日(2011.7.20)
公開日 平成15年3月7日(2003.3.7)
発明の名称または考案の名称 液晶マトリックス投影露光装置および液晶マトリックス投影露光方法
国際特許分類 H01L  21/027       (2006.01)
G03F   1/08        (2006.01)
G03F   7/20        (2006.01)
FI H01L 21/30 515D
H01L 21/30 514A
G03F 1/08 Z
G03F 7/20 501
G03F 7/20 521
請求項の数または発明の数 7
全頁数 21
出願番号 特願2001-295060 (P2001-295060)
出願日 平成13年8月23日(2001.8.23)
審査請求日 平成20年8月4日(2008.8.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
発明者または考案者 【氏名】堀内 敏行
個別代理人の代理人 【識別番号】100101269、【弁理士】、【氏名又は名称】飯塚 道夫
審査官 【審査官】佐野 浩樹
参考文献・文献 特開平04-023314(JP,A)
特開昭60-054434(JP,A)
特開2000-228357(JP,A)
特開2000-267295(JP,A)
特開平06-333793(JP,A)
特開昭62-122215(JP,A)
特開2001-077003(JP,A)
特開昭63-062230(JP,A)
特開平05-013303(JP,A)
Toshiyuki Horiuchi, Tomoki Miyakawa, Shinnosuke Hosoda,A New Projection Exposure Method Using a Liquid Crystal Display as a Switching Matrix in Place of a Reticle,Jpn. J. Appl. Phys,日本,Japanese Journal of Applied Physics,2000年11月 5日,Vol. 39, No.1, Part 1,324-329
宮川智樹、細田慎之介、堀内敏行,液晶光スイッチマトリックスをレチクルとして用いる投影露光法の検討,第46回応用物理学関係連合講演会講演予稿集,日本,(社)応用物理学会,1999年 3月28日,第2分冊,742
調査した分野 G03F 1/00 - 1/16 、 7/20 - 7/24 、
9/00 - 9/02 、
H01L21/027、21/30
特許請求の範囲 【請求項1】
パタン形状を透過部または不透過部として指定する液晶パネルと、該液晶パネルを照明する照明装置と、該液晶パネルで指定したパタンを被露光基板上に投影する投影光学系とを有する液晶マトリックス投影露光装置において、
前記液晶パネルに近接または密着させて、該液晶パネルの液晶セルの透過領域を一部のみに限定する、円形状、長円形状または任意の直線および/または曲線で構成する円形、長円形に類似した形状の開口を全ての液晶セルに対応して有する開口制御板を設け
該開口制御板を介した状態で、前記液晶パネル上の透過部とされる点状または隣合う液晶セル同士による露光部がわずかに重なる程度に、第1の露光として被露光基板を投影露光し、
第1の露光の際の液晶パネルの位置に対し該液晶パネルを動かし或いは第1の露光の際の被露光基板の位置に対し該被露光基板の位置を動かすと共に、前記液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定し直し、前記開口制御板を介した状態で、該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光することを特徴とする液晶マトリックス投影露光装置
【請求項2】
請求項1に示す液晶マトリックス投影露光装置において、開口のx,y方向の径または対辺長または対角長を、x,y各方向につき、液晶セルピッチの80%以上液晶セルピッチ以下とした開口制御板を有することを特徴とする液晶マトリックス投影露光装置
【請求項3】
請求項1に示す液晶マトリックス投影露光装置において、mを3以上の整数とする時、開口のx,y方向の径または対辺長または対角長を、x,y各方向につき、液晶セルピッチの2/mまたはその-20%から+20%の範囲内に設定した開口制御板を有することを特徴とする液晶マトリックス投影露光装置
【請求項4】
パタン形状を透過部または不透過部として指定する液晶パネルと、該液晶パネルを照明する照明装置と、該液晶パネルで指定したパタンを被露光基板上に投影する投影光学系とを有する液晶マトリックス投影露光装置において、
前記液晶パネルに近接または密着させて、該液晶パネルの液晶セルの透過領域を一部のみに限定する、円形状、長円形状または任意の直線および/または曲線で構成する円形、長円形に類似した形状の開口を全ての液晶セルに対応して有する開口制御板を設け、
該開口制御板を介した状態で、前記液晶パネル上の透過部とされる点状または隣合う液晶セル同士による露光部がわずかに重なる程度に、第1の露光として被露光基板を投影露光し、
第1の露光の際の液晶パネルの位置に対し該液晶パネルを動かし或いは第1の露光の際の被露光基板の位置に対し該被露光基板の位置を動かすと共に、前記液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定し直し、前記開口制御板を介した状態で、該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光し、
該開口制御板を着脱するための待避・進入機構を有することを特徴とする液晶マトリックス投影露光装置
【請求項5】
パタン形状を透過部または不透過部として指定する液晶パネルと、該液晶パネルを照明する照明装置と、該液晶パネルで指定したパタンを被露光基板上に投影する投影光学系とを有する液晶マトリックス投影露光装置において、
前記液晶パネルに近接または密着させて、該液晶パネルの液晶セルの透過領域を一部のみに限定する、円形状、長円形状または任意の直線および/または曲線で構成する円形、長円形に類似した形状の開口を全ての液晶セルに対応して有する開口制御板を該開口の形状および/または寸法を異として複数設け、
該開口制御板を介した状態で、前記液晶パネル上の透過部とされる点状または隣合う液晶セル同士による露光部がわずかに重なる程度に、第1の露光として被露光基板を投影露光し、
第1の露光の際の液晶パネルの位置に対し該液晶パネルを動かし或いは第1の露光の際の被露光基板の位置に対し該被露光基板の位置を動かすと共に、前記液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定し直し、前記開口制御板を介した状態で、該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光し、
任意の開口制御板を選択して択一着脱するための機構を有することを特徴とする液晶マトリックス投影露光装置
【請求項6】
液晶パネル中の液晶セルの透過領域を、円形状、長円形状または任意の直線および/または曲線で構成する円形、長円形に類似した形状で、x,y方向の径または対辺長または対角長を、x,y各方向につき、液晶セルピッチの80%以上液晶セルピッチ以下とした開口を全ての液晶セルに対応して有する開口制御板により限定して各液晶セルの一部のみを透過部として残し、
該液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定して、前記開口制御板の開口を通過させつつ該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光する第1の工程と、
第1の工程における該液晶パネルまたは被露光基板の位置に対し、該液晶パネルの位置を液晶セルのx方向ピッチの1/2だけx方向に動かすか、または被露光基板の位置を(x方向液晶セルピッチ)×(投影露光倍率)の1/2だけx方向に動かし、
前記液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定し直し、前記開口制御板の開口を通過させつつ該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光する第2の工程と、
第1の工程における該液晶パネルまたは被露光基板の位置に対し、該液晶パネルの位置を液晶セルのy方向ピッチの1/2だけy方向に動かすか、または被露光基板の位置を(y方向液晶セルピッチ)×(投影露光倍率)の1/2だけy方向に動かし、
前記液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定し直し、前記開口制御板の開口を通過させつつ該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光する第3の工程と、
第1の工程における該液晶パネルまたは被露光基板の位置に対し、第1の工程における該液晶パネルまたは被露光基板の位置に対し、該液晶パネルの位置をx方向に液晶セルのx方向ピッチの1/2とy方向に液晶セルのy方向ピッチの1/2だけ動かすか、または被露光基板の位置をx方向に(x方向液晶セルピッチ)×(投影露光倍率)の1/2、y方向に(x方向液晶セルピッチ)×(投影露光倍率)の1/2だけ動かし、
前記液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定し直し、前記開口制御板の開口を通過させつつ該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光する第4の工程とを含むことを特徴とする液晶マトリックス投影露光方法
【請求項7】
液晶パネル中の液晶セルの透過領域を、円形状、長円形状または任意の直線および/または曲線で構成する円形、長円形に類似した形状で、mを3以上の整数とする時、x,y方向の開口の径または対辺長または対角長がそれぞれ液晶セルピッチの2/mまたはその-20%から+20%の範囲内に設定した開口を全ての液晶セルに対応して有する開口制御板により限定して各液晶セルの一部のみを透過部として残し、
該液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定して、前記開口制御板の開口を通過させつつ該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光する第1の工程と、
第1の工程における該液晶パネルまたは被露光基板の位置に対し、nを0またはmより小さい任意の正の整数とする時、該液晶パネルの位置を、第1の露光位置に対して、x方向および/またはy方向に液晶セルピッチのn/m動かすか、または、被露光基板を(セルピッチのn/m)×(投影露光倍率)に相当する距離だけ動かし、
前記液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定し直し、前記開口制御板の開口を通過させつつ該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光する任意の工程とを含むことを特徴とする液晶マトリックス投影露光方法
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する産業分野】
本発明は半導体集積回路、光エレクトロニクス素子、マイクロマシン部品等の微細パタンを半導体ウエハ等の被露光基板上に転写する装置および方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体集積回路、光エレクトロニクス素子、マイクロマシン部品等の微細パタンを、半導体ウエハ、金属基板、ガラス基板等の各種基板上に形成するのに、投影露光装置および投影露光方法が多用されている。
【0003】
図16は従来の投影露光装置の構成図である。この従来の投影露光装置を用いて投影露光を行うには、合成石英、ガラス等の光透過基板上にクロム等の遮光体で原図となるパタンを形成したレチクルや、シリコンウエハ等の枠上に設けた各種薄膜や薄い金属板板等に原図となるパタン形状の穴を開けたステンシルマスクを原図基板83として用いる。
【0004】
そして、前記原図基板83に光源と照明光学系によって構成された照明装置3によって照明光4を当て、投影レンズ、投影ミラー光学系、レンズとミラーとを適宜組み合わせた光学系等の投影光学系5を用いて、該原図基板83上のパタンを被露光基板6の上に投影する。
【0005】
該被露光基板6、たとえば半導体ウエハ、金属基板、ガラス基板等の上には、予めレジスト等の感光性材料7を塗布や吹き付け等により付加しておく。すると、前記原図基板83に当てた照明光線4により前記感光性材料7が該原図基板83の透過部の形状に対応したパタン形状に感光する。
【0006】
したがって、露光後、現像を行うと、前記感光性材料7がポジ形かネガ形かに応じて感光部または未感光部の感光性材料7が除去され、前記原図基板83上のパタン形状が該被露光基板6上に転写される。
【0007】
このように、従来の投影露光装置および投影露光方法は、レチクルやステンシルマスク等の原図基板83上のパタンを被露光基板6上の感光性材料に転写する装置および方法であるので、まずは所望のパタンに対応したパタンを有する原図基板83が必要不可欠であった。
【0008】
原図基板83は、形成してある微細パタンに少しでも間違いや欠陥があると、転写したパタンを使用した製品の全てが不良品となってしまうことから、検査、確認が重要であり、非常に高価である。パタンは形状だけでなく、線幅や穴の大きさ、さらにはそれらの位置等の各種精度も問題となるため、パタンが微細になるととくに高価となる。
【0009】
一方、社会の消費傾向の多様化に伴い、製品は多品種少量生産化する傾向にある。たとえば、半導体集積回路製品では、特定用途向けICが伸びる一方、極めて大量に同じ製品を生産する例はメモリ等極一部に限られている。
【0010】
そして、まだ汎用品が多数出回るに至っていないマイクロマシンの部品等は、当初から半導体集積回路製品と比べると桁違いに少量しか生産しないのが通例である。
【0011】
ところが、生産量の多少に拘らず、投影露光を行う限りは元になるパタンを有する原図基板83を必要とするので、少量生産品では原図基板83の価格が製品価格に大きく影響するようになる。
【0012】
また、原図基板83上のパタンの変更、修正は特別な場合を除いてほとんど不可能に近く、製品毎、パタンの変更毎に原図基板83を作り直す必要がある。
【0013】
このため、最近になって、製品毎、パタンの変更毎に従来の原図基板83を作り直すのではなく、液晶パネルの各液晶セルを透過、遮光を制御するマトリックススイッチとして利用して原図基板83の代替となし、透過部、遮光部を所定の配置で指定して投影露光を行う、図17に示す液晶マトリックス投影露光装置およびそれを利用した露光方法の有用性がたとえば、第46回応用物理学関係連合講演会講演予稿集742ページ(1999)やJapanese Journal of Applied Physics Vol.38,pp.324-329(2000)に開示されている。
【0014】
上記の液晶マトリックス投影露光装置および液晶マトリックス投影露光方法によれば、液晶パネル1の各セルの透過、遮光をパタン指定部8からキーボード操作等により容易に指定できる。9は液晶パネル1とパタン指定部8とがケーブル等で連結されていることを示す。
【0015】
したがって、従来のレチクルやステンシルマスク等固定のパタンを有する原図基板83は不要である。
【0016】
また、パタンの設計データをパーソナルコンピュータ等によって、液晶パネル1の各セルへの制御指令に自動的に変換することが容易にできるため、液晶パネル1の各セルの透過、不透過の制御を自動的におこなうことも可能である。
【0017】
なおかつ、パタンの設計データをパーソナルコンピュータ等によって、液晶パネル1の各セルへの制御指令に自動的に変換するようにすれば、該設計データを用いてパタンの検査ができるので、間違いや欠陥を大幅に削減することができ、パタンの変更や修正も極めて容易にできる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図17に示した開示された液晶マトリックス投影露光装置および液晶マトリックス投影露光方法には、以下に示すような問題があった。
【0019】
図18は液晶パネル1の模式図である。図18(a)に示すように、液晶パネル1の各液晶セル10の間に境界部84があり、該境界部84の部分はセル部の透過、遮光の指定と関係なく、常に不透過となってしまった。
【0020】
また、単純マトリックス方式の液晶パネル1の場合には、液晶セル10の中には障害物が存在しないが、アクティブマトリックス方式の液晶パネル1の場合には、図18(b)に示すように、液晶セル10の中に薄膜トランジスタ(TFT)19が形成されており、該TFT19の部分が前記境界部84に加えて常に不透過となってしまった。
【0021】
図19は従来の液晶マトリックス投影露光装置によって形成したパタン形状の説明図である。単純マトリックス方式の液晶パネル1を用いる場合でも、遮光液晶セル85の中に連続した透過液晶セル86を並べて線状の感光部を形成しようとしても、境界部84に対応する部分の露光量が少ないので、転写パタンにくびれや突起ができてしまった。
【0022】
たとえば、図19(a)に示すように、液晶パネル1の斜線部を遮光液晶セル85、白枠部を透過セル86に指定して投影露光を行うと、本来直線上のパタンが必要なのに、感光性材料7としてネガ形レジストを用いた場合には図19(b)に示すようなレジストパタン87となってしまい、転写パタンにくびれ88が生じてしまった。また、感光性材料7としてポジ形レジストを用いた場合には図19(c)に示すようなレジストパタン89となってしまい、転写パタンに突起90ができてしまった。
【0023】
なお、一般にはレジストパタン87およびレジストパタン89は液晶パネル1で液晶セルの透過部、遮光部として指定したパタンに対して投影露光倍率が掛かった大きさのパタンとなるが、対応が分かりにくくなるため、図19ではレジストパタン87およびレジストパタン89の線幅を液晶セルの大きさに合わせて描いた。
【0024】
アクティブマトリックス方式の液晶パネル1の場合には、TFT19も障害物となるため、くびれや突起がさらに顕著となってしまった。
【0025】
応答速度や透過、不透過のコントラスト比等の観点から、最近の液晶パネル1の大半はTFT19を用いている。TFT19は一般に液晶セル10中の角部に配置されているので、それがあると、液晶セル10の透過部の形状が長方形または正方形ではなくなり、連続した透過部を作ろうとすると、前記境界部84の部分とつながったさらに大きい不透過部が形成され、転写パタンのくびれ88や突起90がより一層劣悪になるという課題があった。
【0026】
このため、前記の液晶セル10間の境界部84をなるべく細くしたり、前記TFT19の寸法をできる限り小さくすることにより、形成されるパタンのくびれ88や突起90を極力抑える対処を行っていた。
【0027】
しかしながら、境界部84もアクティブマトリックス方式の液晶パネル1におけるTFT19も必要不可欠であり、完全になくすことはできず、また、極力小さくするにしても限度があるため、形成されるパタンのくびれ88や突起90を十分小さくすることが困難であった。
【0028】
従来の液晶マトリックス投影露光装置および液晶マトリックス投影露光方法においては、転写できるパタンの最小寸法は大略一つの液晶セル10の大きさとなる。したがって、微細なパタンを転写するには液晶セル10大きさが小さい程好ましい。しかしながら、液晶セル10の大きさを小さくしてもそれに比例して前記境界部84やTFT19の大きさを小さくすることは困難なので、液晶セル10の大きさが小さい程、くびれ88や突起90の問題が解決困難となっていた。
【0029】
また、従来の液晶マトリックス投影露光装置および液晶マトリックス投影露光方法においては、転写できるパタンの単位寸法も大略一つの液晶セル10の大きさとなるため、該液晶セル10の大きさの整数倍の幅や大きさを持つパタンしか形成できなかった。したがって、液晶セル10の大きさより小さい幅や大きさを有するパタンを形成することもできなかった。
【0030】
また、従来の液晶マトリックス投影露光装置および液晶マトリックス投影露光方法においては、液晶セル10の配置に従ってパタンが転写されるため、斜め線パタンは非常に形成しにくかった。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するため、請求項1に示すように、パタン形状を透過部または不透過部として指定する液晶パネルと、該液晶パネルを照明する照明装置と、該液晶パネルで指定したパタンを被露光基板上に投影する投影光学系とを有する液晶マトリックス投影露光装置において、
前記液晶パネルに近接または密着させて、該液晶パネルの液晶セルの透過領域を一部のみに限定する、円形状、長円形状または任意の直線および/または曲線で構成する円形、長円形に類似した形状の開口を全ての液晶セルに対応して有する開口制御板を設け
該開口制御板を介した状態で、前記液晶パネル上の透過部とされる点状または隣合う液晶セル同士による露光部がわずかに重なる程度に、第1の露光として被露光基板を投影露光し、
第1の露光の際の液晶パネルの位置に対し該液晶パネルを動かし或いは第1の露光の際の被露光基板の位置に対し該被露光基板の位置を動かすと共に、前記液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定し直し、前記開口制御板を介した状態で、該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光することを特徴とする。
【0032】
開口制御板の開口のx,y方向の径または対辺長または対角長は、請求項2に示すように、x,y各方向につき、液晶セルピッチの80%以上液晶セルピッチ以下としても良く、請求項3に示すように、x,y各方向につき、mを3以上の整数とする時、液晶セルピッチの2/mまたはその-20%から+20%の範囲内に設定しても良い。
【0033】
また、請求項4に示すように、該開口制御板を着脱するための待避・進入機構を付与し、従来の露光と切り替えて使用することができるすればなお良く、請求項5に示すように、開口制御板を該開口の形状および/または寸法を異として複数設け、任意の開口制御板を選択して択一着脱するための機構を有するようにすればさらに良い。
【0034】
そして、パタンを転写するに当たっては、請求項6に示すように、液晶パネル中の液晶セルの透過領域を、円形状、長円形状または任意の直線および/または曲線で構成する円形、長円形に類似した形状で、x,y方向の径または対辺長または対角長を、x,y各方向につき、液晶セルピッチの80%以上液晶セルピッチ以下とした開口を全ての液晶セルに対応して有する開口制御板により限定して各液晶セルの一部のみを透過部として残し、
該液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定して、前記開口制御板の開口を通過させつつ該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光する第1の工程と、
第1の工程における該液晶パネルまたは被露光基板の位置に対し、該液晶パネルの位置を液晶セルのx方向ピッチの1/2だけx方向に動かすか、または被露光基板の位置を(x方向液晶セルピッチ)×(投影露光倍率)の1/2だけx方向に動かし、
前記液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定し直し、前記開口制御板の開口を通過させつつ該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光する第2の工程と、
第1の工程における該液晶パネルまたは被露光基板の位置に対し、該液晶パネルの位置を液晶セルのy方向ピッチの1/2だけy方向に動かすか、または被露光基板の位置を(y方向液晶セルピッチ)×(投影露光倍率)の1/2だけy方向に動かし、
前記液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定し直し、前記開口制御板の開口を通過させつつ該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光する第3の工程と、
第1の工程における該液晶パネルまたは被露光基板の位置に対し、第1の工程における該液晶パネルまたは被露光基板の位置に対し、該液晶パネルの位置をx方向に液晶セルのx方向ピッチの1/2とy方向に液晶セルのy方向ピッチの1/2だけ動かすか、または被露光基板の位置をx方向に(x方向液晶セルピッチ)×(投影露光倍率)の1/2、y方向に(x方向液晶セルピッチ)×(投影露光倍率)の1/2だけ動かし、
前記液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定し直し、前記開口制御板の開口を通過させつつ該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光する第4の工程とを含むようにする。
【0035】
また、請求項7に示すように、液晶パネル中の液晶セルの透過領域を、円形状、長円形状または任意の直線および/または曲線で構成する円形、長円形に類似した形状で、mを3以上の整数とする時、x,y方向の開口の径または対辺長または対角長がそれぞれ液晶セルピッチの2/mまたはその-20%から+20%の範囲内に設定した開口を全ての液晶セルに対応して有する開口制御板により限定して各液晶セルの一部のみを透過部として残し、
該液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定して、前記開口制御板の開口を通過させつつ該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光する第1の工程と、
第1の工程における該液晶パネルまたは被露光基板の位置に対し、nを0またはmより小さい任意の正の整数とする時、該液晶パネルの位置を、第1の露光位置に対して、x方向および/またはy方向に液晶セルピッチのn/m動かすか、または、被露光基板を(セルピッチのn/m)×(投影露光倍率)に相当する距離だけ動かし、
前記液晶パネル上にパタン形状を透過部または遮光部として指定し直し、前記開口制御板の開口を通過させつつ該指定したパタン形状に被露光基板を投影露光する任意の工程とを含むようにする。
【0036】
【発明の実施の形態】
このように、本発明の液晶マトリックス投影露光装置および液晶マトリックス投影露光方法は、開口制御板を用いて従来の液晶セルの中に、パタンを連結して形成するのに適した形状、寸法を有する、小さい透過部を設定することを課題を解決するための実施形態としている。発想を変えて、従来よりセル内の不透過部を増やす点に特徴がある。
【0037】
また、液晶セルの開口を制限するのと同時に、多重露光してパタンを形成し、これにより、突起やくびれのほとんど無い滑らかな転写パタンを形成するとともに、液晶セルの大きさよりも微細なパタンや液晶セルピッチより小さいピッチのパタンを形成できるようにする。また、従来の液晶マトリックス投影露光装置および液晶マトリックス投影露光方法では形成しにくかった斜め線パタンも形成可能とする。
【0038】
【実施例】
本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1および図2は本発明の液晶マトリックス投影露光装置の構成図である。第46回応用物理学関係連合講演会講演予稿集742ページ(1999)やJapanese Journal of Applied Physics Vol.38,pp.324-329(2000)に開示された従来の装置との最大の相違点は、図1に示すように液晶パネル1の射出面に密着または近接させるか、図2に示すように液晶パネル1の入射面に密着または近接させ、各液晶セルの位置に対応させて、セルの一部のみを所定の形状の透過部として残すための開口制御板2を設けた点である。
【0039】
液晶パネル1を光源と照明光学系とからなる照明装置3によって照明し、照明光4によって液晶パネル1上のパタン形状を投影光学系5を介して被露光基板6上に投影し、該被露光基板6上に付した感光性材料7を液晶パネル1に指定した透過部のパタンに開口制御板2の開口形状を重ねた形に感光させる。
【0040】
8は液晶パネル1上にパタン形状を指定するためのパタン指定部である。パタンデータをパタン形状として表示するディスプレイ、指示を与えるためのキーボード、パタンデータを処理したり、記憶したり、検査するコンピュータ等で構成する。液晶パネル1とパタン指定部8とを結ぶ線9は両者がケーブル等で結合されていることを意味する。
【0041】
液晶パネル1の液晶セル配置と開口制御板2の開口配置の例を図3に示す。縦横で転写パタンのでき方をほぼ同じにするためには、液晶パネル1上の液晶セルピッチがx方向とy方向で等しく液晶セル10が正方形であることが好ましい。そこで、図3(a)には液晶セルピッチがx方向とy方向で等しく液晶セル10が正方形であるの場合の液晶パネル1の液晶セル配置例を示した。これに対し、図3(b)が適合する開口制御板2の例である。照明光線が不透過の基板11に直径が液晶セルピッチの80%以上液晶セルピッチ以下の円形開口12を設けてある。
【0042】
図4は図3に示した開口制御板2の円形開口12と液晶セル10との相対位置関係を詳細に示した図であり、図中の10は正方形をした任意の液晶セル、13、14、15、16は液晶セル10に隣接する正方形の液晶セル、一点鎖線17、18は任意の液晶セル10と隣接する液晶セル13、14、15、16との境界部の中心線である。円形開口12は図4(a)に示すように液晶セル10をはみ出しても良く、図4(b)に示すように液晶セル10の中に収めても良い。
【0043】
液晶セル10内にTFT19が存在する場合には、図4(c)に示すように、できるだけ円形開口12が該TFT19と重畳しないようにする。必ずしも円形開口12の中心が液晶セル10の中心と一致する必要はない。
【0044】
図5は液晶セルピッチがx方向とy方向で等しく液晶セル10が正方形である開口制御板2の円形以外の開口形状の例を示す。図5(a)は円に類似の任意曲線による開口20、図5(b)は正方形の四隅に面取りを付した開口21、図4(c)は多角形状の開口22の例である。また、図5(d)、図5(e)、図5(f)は多角形の開口の角に任意の丸みを設けた開口23、24、25の例である。
【0045】
なお、多角形の開口または多角形の角に丸みを持たせた開口の場合の角の数は任意で良い。
【0046】
また、丸みを持たせるための曲線は必ずしも円弧である必要はなく任意で良い。そして、辺と角の丸みを形成する曲線とは交わっても接しても良い。
【0047】
開口制御板2は照明光線が不透過の薄板または薄膜に穴状の開口を形成しても良く、照明光4を透過するガラスや石英等の透過基板上に遮光膜を付け、該遮光膜を開口の形状に除去しても良い。
【0048】
図3、図4、図5に示したような開口を有する開口制御板2を入れた状態で、パタン指定部8から液晶パネル1の各液晶セルの透過、遮光を指定し、照明装置3からの照明光4によって液晶パネル1を照明して投影光学系5を介して液晶セル10の透過、不透過で指定されるパタン形状を被露光基板6上に投影し、該被露光基板6上に付した感光性材料7を感光させる。
【0049】
図6は、本発明の液晶マトリックス投影露光方法を説明する図であり、液晶パネル1上の透過および遮光の指定と被露光基板6上の転写パタンとの関係を例示している。たとえば、図6(a)に示すように、斜線を施した部分を遮光液晶セル26とし、27を開口制御板2で透過領域を制限した透過液晶セルとして第1の露光を行う。液晶マトリックスの規模は任意であり、x軸、y軸を図のように取って、y軸およびx軸から図示の液晶マトリックス迄の距離をそれぞれa、bとする。
【0050】
被露光基板6上に付した感光性材料7は、図6(b)に示すように、点状または隣合う透過液晶セル27どうしによる露光部がわずかに重なる程度に感光する。28が感光性材料7の露光部である。露光部の重なり方、離れ方は、開口制御板2の開口の大きさ、形状や露光量、感光性材料7の種類、厚さ等に依存する。
【0051】
なお、一般には感光性材料7の露光部28は開口制御板2で透過領域を制限した透過液晶セル27に対して投影露光倍率が掛かった大きさとなるが、対応が分かりにくくなるため、図6(b)では感光性材料7の露光部28の大きさを開口制御板2で透過領域を制限した透過液晶セル27の大きさに合わせて描いた。
【0052】
次に、液晶パネル1を液晶セルピッチpの1/2動かすか、または、被露光基板6を(液晶セルピッチpの1/2)×(投影露光倍率)に相当する距離だけ動かし、液晶パネル1の液晶セルの透過、遮光を設定し直して第2の露光を行う。たとえば、図6(c)に示すように、液晶パネル1をy方向に液晶セルピッチpの1/2動かし、斜線を施した部分を遮光液晶セル29とし、30を開口制御板2で透過領域を制限した透過液晶セルとして第2の露光を行う。この結果、図6(d)の31が第2の露光による感光性材料7の露光部となる。重ねて描いた28が前記第1の露光により露光された部分である。
【0053】
次に、液晶パネル1を第1の露光の場合の位置に対して前記の第2の露光の場合と直交する方向に、液晶セルピッチpの1/2動かすか、または、被露光基板6を(液晶セルピッチpの1/2)×(投影露光倍率)に相当する距離だけ動かし、液晶パネル1の液晶セルの透過、遮光を設定し直して第3の露光を行う。たとえば、図5(e)に示すように、液晶パネル1を今度はx方向に液晶セルピッチpの1/2動かし、斜線を施した部分を遮光液晶セル32とし、33を開口制御板2で透過領域を制限した透過液晶セルとして第3の露光を行う。この結果、図6(f)の34が第3の露光による感光性材料7の露光部となる。重ねて描いた35は前記第1の露光および第2の露光より露光された部分である。
【0054】
さらに、液晶パネル1を第1の露光の場合の位置に対して、前記第2の露光の際に動かした方向および第3の露光の際に動かした方向の双方に、液晶セルピッチpの1/2動かすか、または、被露光基板6を(液晶セルピッチpの1/2)×(投影露光倍率)に相当する距離だけ動かし、液晶パネル1の液晶セルの透過、不透過を設定し直して第4の露光を行う。たとえば、図5(g)に示すように、液晶パネル1を今度はx方向およびy方向にそれぞれ液晶セルピッチpの1/2ずつ動かし、斜線を施した部分を遮光液晶セル36とし、37を開口制御板2で透過領域を制限した透過液晶セルとして第4の露光を行う。この結果、図6(h)の38が第4の露光による感光性材料7の露光部となる。重ねて描いた39は前記第1の露光、第2の露光および第3の露光により露光された部分である。
【0055】
上記のように第1の露光、第2の露光、第3の露光、第4の露光を行うと、感光性材料7は、露光領域が重なる場所では複数回露光される。
【0056】
露光を行う際に、液晶パネル1または被露光基板6を所定の距離動かすには、図示してないが、それぞれが搭載されているステージを移動させれば良い。
【0057】
ところで、パタンを投影露光する場合、投影光学系5によって被露光基板6上に形成されるパタンの光像は、液晶パネル1上の元々のパタンに対して強度分布の広がりを持って形成される。
【0058】
そして、パタン光像の強度分布の広がり方は主として投影光学系5の開口数、収差等の光学特性や液晶パネル1を照明する照明光4のコヒーレンス係数等の照明条件等によって決まる。
【0059】
この結果、露光後に現像した時に得られる感光性材料7のパタン寸法は常に一定ということにはならず、被露光基板6上に形成されるパタン光像の強度分布の広がりと露光量に応じて変動する。
【0060】
したがって、第1の露光から第4の露光迄の4回の露光それぞれによって点状に露光された感光性材料7のパタンの形状、寸法は各場所毎に受けた合計露光量により変動し、4回の露光によって2回以上露光された部分とそれらの周辺は、露光量が1回だけ露光された場所より遠く迄露光の影響が及ぶ。
【0061】
このため、点状の感光箇所を一部を重ねて図6のように第1の露光から第4の露光迄の4回の露光を行い、開口制御板2の開口の大きさに応じた露光量を選択すれば、露光領域の谷間となるパタン同士のつなぎ部分は露光が重なるため、それぞれの露光による光強度分布の重畳によって、1回だけ露光される場所の光強度と同程度にすることができる。すなわち、点状の露光箇所をその一部を重ねて連ねることにより、図7に示すようにその包絡線に類似したほぼ滑らかに連続した転写パタン40を形成することができる。
【0062】
この際、円形の微細露光領域をどの位重ねて露光を繰り返せばパタン40が滑らかに連続して形成されるかが問題となるが、おおむね円形の半径ないしは半径の1.2倍より短い間隔で露光すればほぼ滑らかなパタンとなる。したがって、上記の第1の露光から第4の露光迄の4回の露光における露光距離間隔が最低限度の適正間隔である。より短い間隔で露光を行っても、接続状況の滑らかさがあまり改善されない一方で、露光回数が増加するため、合計所要時間が長くなつてしまう。一方、より長い距離間隔で露光すると、パタンの接続痕が出やすくなる。
【0063】
第1の露光と第4の露光とが重なる部分は、円形の微細露光領域間の距離がx方向、y方向に露光を重ねる場合より大きくなるため、x方向、y方向のパタンと比べると若干凹凸が残るものの、斜めのパタンがほぼ滑らかに形成される。従来のように、液晶パネル1で透過部を斜め方向に指定すると、四角形の露光部の角同士が連なることになり、パタン間に隙間ができてつながらなかったり、御幣状のパタンになったりしたが、それと比較すると、改善は顕著である。
【0064】
なお、第1の露光から第4の露光迄の4回の露光の露光順序は任意であり、必ずしも図5に示した順序とする必要はない。
【0065】
また、液晶パネル1または被露光基板6を図5では+xまたは+y方向に動かしたが、-xまたは-y方向に動かしても良い。
【0066】
被露光基板6上に多数の同じパタンを転写する場合には、第1の露光から第4の露光迄の4回の露光を順次繰り返しても良いが、第1の露光だけ必要な回数をそれぞれの場所に行った後、液晶パネル1上のパタンを変更して第2の露光を行い、次にまた液晶パネル1上のパタンを変更して第3の露光を行い、最後にまた液晶パネル1上のパタンを変更して第4の露光を行うというように、液晶パネル1上のパタンが同じになる露光を連続して行っても良い。液晶パネル1上のパタンの変更回数が減るため、パタンの転写に要する時間を短縮することができる。
【0067】
ほぼ滑らかに連続したパタンが形成できるのは、開口制御板2の開口形状が図5に示した形状であることと密接に関係しており、従来のように縦横方向の辺を有する正方形や長方形セルのままで複数回の露光を行って一部を重ねるようにしてもうまくは行かない。
【0068】
図8は従来のように正方形を有するセルのままで複数回の露光を行って一部を重ねるようにした例である。図8(a)に示すように、斜線を施した部分を遮光液晶セル41とし、42を透過液晶セルとして第1の露光を行う。被露光基板6上に付した感光性材料7は、図8(b)に示すように、点状または隣合う透過液晶セル42どうしによる露光部がわずかに重なる程度に感光する。43が感光性材料7の露光部である。
【0069】
なお、一般には感光性材料7の露光部43は透過液晶セル42に対して投影露光倍率が掛かった大きさとなるが、対応が分かりにくくなるため、図8(b)では感光性材料7の露光部43の大きさを透過液晶セル42の大きさに合わせて描いた。
【0070】
次に、本発明と同様に液晶パネル1を液晶セルピッチpの1/2動かすか、または、被露光基板6を(液晶セルピッチpの1/2)×(投影露光倍率)に相当する距離だけ動かし、液晶パネル1の液晶セルの透過、不透過を設定し直して第2の露光を行う。たとえば、図8(c)に示すように、液晶パネル1をy方向に液晶セルピッチpの1/2動かし、斜線を施した部分を遮光液晶セル44とし、45を透過液晶セルとして第2の露光を行う。この結果、図8(d)の46が第2の露光による感光性材料7の露光部となる。重ねて描いた43が前記第1の露光により露光された部分である。
【0071】
しかし、このように開口制御板2が付いていない状態では、液晶セル幅いっぱいに2回の露光が重なるため、被露光基板6の透過液晶セル45に相当する場所の外側に光強度分布が広がる部分ができてしまう。したがって、感光性材料6がポジ形の場合には、図9(a)に示すように現像後のレジストパタン47に凹み48ができ、ネガ形の場合には、現像後のレジストパタン49に突起50ができてしまう。
【0072】
開口制御板2の開口の大きさはさらに小さくても良く、mを3より大きい整数とする時、円形状、長円形状または任意の直線および/または曲線で構成する円形、長円形に類似した形状で、x,y方向の開口の径または対辺長または対角長がそれぞれ液晶セルピッチの2/mまたはその-20%から+20%の範囲内に設定しても良い。
【0073】
図10にm=3の場合の実施例を示す。図は複数回の露光により感光性材料7が順次露光される状況を示している。開口の形状は図5と同様で良い。
【0074】
この実施例においては、まず、開口の大きさを、開口制御板2の開口のx,y方向の径または対辺長または対角長を液晶セルピッチpの2/3またはその-20%から+20%の範囲内に設定し、液晶パネル1の液晶セルの透過、遮光を設定して第1の露光により、図10(a)に示すように、液晶セルピッチpに相当する間隔で点状に露光する。
【0075】
51が被露光基板6上の感光性材料7の露光部である。露光部51は、開口制御板2の開口の大きさに投影露光倍率が掛かった大きさとなる。
【0076】
次に、液晶パネル1をx方向またはy方向に液晶セルピッチpの1/3動かすか、または、被露光基板6を(液晶セルピッチpの1/3)×(投影露光倍率)に相当する距離だけ動かし、液晶パネル1の液晶セルの透過、遮光を設定し直して、図10(b)に示すように、第2の露光を行う。52が第2の露光による露光部である。ここでは一例として液晶パネル1をy方向に動かす場合を示した。
【0077】
さらに、液晶パネル1を第1の露光を行った位置に対してy方向に液晶セルピッチの2/3動かすか、被露光基板6をy方向に(液晶セルピッチの2/3)×(投影露光倍率)に相当する距離だけ動かし、液晶パネル1のセルの透過、遮光を設定し直して第3の露光を行う。図10(c)の53は第3の露光による露光部、54は第1の露光と第2の露光による露光部である。
【0078】
次に、液晶パネル1を第1の露光を行った位置に対してx方向に液晶セルピッチの1/3動かすか、被露光基板6をx方向に(液晶セルピッチの1/3)×(投影露光倍率)に相当する距離だけ動かし、液晶パネル1のセルの透過、遮光を設定し直して第4の露光を行う。図10(d)の55は第4の露光による露光部、56は第1の露光からと第3の露光までのいずれかの露光による露光部である。
【0079】
さらに、液晶パネル1を第1の露光を行った位置に対してx方向に液晶セルピッチの2/3動かすか、被露光基板6をx方向に(液晶セルピッチの2/3)×(投影露光倍率)に相当する距離だけ動かし、液晶パネル1のセルの透過、遮光を設定し直して第5の露光を行う。図10(e)の57は第5の露光による露光部、58は第1の露光からと第4の露光までのいずれかの露光による露光部である。
【0080】
次に、液晶パネル1を第1の露光を行った位置に対してx方向に液晶セルピッチの1/3、y方向に液晶セルピッチの2/3動かすか、被露光基板6をx方向に(液晶セルピッチの1/3)×(投影露光倍率)、y方向に(液晶セルピッチの2/3)×(投影露光倍率)に相当する距離だけ動かし、液晶パネル1のセルの透過、遮光を設定し直して第6の露光を行う。図10(f)の59は第6の露光による露光部、60は第1の露光からと第5の露光までのいずれかの露光による露光部である。
【0081】
さらに、液晶パネル1を第1の露光を行った位置に対してx方向に液晶セルピッチの2/3、y方向に液晶セルピッチの1/3動かすか、被露光基板6をx方向に(液晶セルピッチの2/3)×(投影露光倍率)、y方向に(液晶セルピッチの1/3)×(投影露光倍率)に相当する距離だけ動かし、液晶パネル1のセルの透過、遮光を設定し直して第7の露光を行う。図10(g)の61は第7の露光による露光部、62は第1の露光からと第6の露光までのいずれかの露光による露光部である。
【0082】
図8には以上に示した第7の露光迄しか示していないが、必要に応じて、液晶パネル1を第1の露光を行った位置に対してx方向に液晶セルピッチの1/3、y方向に液晶セルピッチの1/3動かすか、被露光基板6をx方向に(液晶セルピッチの1/3)×(投影露光倍率)、y方向に(液晶セルピッチの1/3)×(投影露光倍率)に相当する距離だけ動かし、液晶パネル1のセルの透過、遮光を設定し直して第8の露光を行う。
【0083】
また、必要に応じて、液晶パネル1を第1の露光を行った位置に対してx方向に液晶セルピッチの2/3、y方向に液晶セルピッチの2/3動かすか、被露光基板6をx方向に(液晶セルピッチの2/3)×(投影露光倍率)、y方向に(液晶セルピッチの2/3)×(投影露光倍率)に相当する距離だけ動かし、液晶パネル1のセルの透過、遮光を設定し直して第9の露光を行う。
【0084】
第8の露光、第9の露光に限らず、各露光は所望するパタンの形状に応じて省略しても良い。
【0085】
なお、複数回行う露光の露光順序は任意であり、必ずしも図10に示した順序とする必要はない。
【0086】
また、液晶パネル1または被露光基板6を図8では+xまたは+y方向に動かしたが、-xまたは-y方向に動かしても良い。
【0087】
これらの複数回の露光によって、開口制御板2の開口の大きさに応じた露光量を選択すれば、図5の場合と同様、露光領域の谷間となるパタン同士のつなぎ部分は露光が重なるため、それぞれの露光による光強度分布の広がりの重畳によって、1回だけ露光される場所の光強度と同程度にすることができる。すなわち、点状の露光箇所をその一部を重ねて連ねることにより、図11に示すようにその包絡線に類似したほぼ滑らかに連続したパタン63を形成することができる。
【0088】
m≧4の場合には、nを0またはmより小さい正の整数とする時、第1の露光位置に対して、xおよび/またはy方向に液晶セルピッチpのn/m動かすか、または、被露光基板6を(セルピッチのn/m)×(投影露光倍率)に相当する距離だけ動かし、液晶パネル1のセルの透過、遮光を設定し直して、次々に露光を行う。
【0089】
上記の複数の露光は任意の順序で行って良い。
【0090】
このように露光すると、先の図6および図10に示したのと同様に、被露光基板6上の感光性材料7は、複数回の露光で点状に露光した部分の全部を包絡した形に露光される。
【0091】
そのため、現像後形成される感光性材料6のパタンは、露光部分のつなぎ目に相当する凹凸が平滑化された滑らかな外形形状となる。
【0092】
図6、図10の場合を含め、パタン側壁の平滑化のされ具合は、開口制御板2の開口の形状、寸法のほか、感光性材料7の種類や厚さ、投影光学系5の開口数、照明光4の露光波長やコヒーレンス度等により異なるが、露光量を選べば、円や多角形等がつながって露光されたとは思えない滑らかさとなる。
【0093】
また、露光量が最適でない条件でも、従来の投影露光装置および方法において液晶セル全体を単位として転写パタンをつなぎ合わせる場合と比較すると、液晶セル境界やTFTに対応する部分に起因するパタンの劣化かないため、格段に滑らかな外形形状を有するパタンを得ることができる。
【0094】
なお、開口制御板2の開口の径またはx,y方向の対辺長または対角長を、mを3以上の整数とする時、液晶セルピッチの2/mまたはその-20%から+20%の範囲内に設定すれば、(液晶セルピッチpの約2/m前後)×(投影露光倍率)という従来の約2/mの微細パタンを形成することができる。
【0095】
また、(液晶セルピッチpの約2/m前後)×(投影露光倍率)のパタンを(液晶セルピッチpの約1/m)ずつ液晶パネル1を動かして露光するか、(液晶セルピッチpの約1/m)×(投影露光倍率)ずつ被露光基板6を動かして露光することにより、従来転写できたパタンの2/mの微細ピッチのパタンを形成することができる。
【0096】
図12は一例として、m=3の場合に、図10に示した方法によって、従来の2/3の線幅で2/3のピッチのパタンが形成できる例を示す。図12(a)は露光場所の重なりを表しており、64が開口制御板2の開口1個に相当する露光場所である。また、図12(b)は現像後得られる感光性材料7のパタン形状である。図は感光性材料7としてポジ形レジストを使用した場合を示しており、65がレジスト、66が現像後レジストが除去されてできたパタンである。
【0097】
なお、以上の説明では液晶セルピッチがx方向とy方向とで等しいとして説明した。しかし、必ずしも液晶セルピッチがx方向とy方向とで等しくなくても本発明が有効なことは明らかである。
【0098】
たとえば縦長の液晶セルを有し、y方向の液晶セルピッチがx方向の液晶セルピッチより長い場合には、開口制御板2の開口の形状を図13に例示するような形状とすれば良い。
図13(a)は任意曲線からなる長円形の開口67、図13(b)、図13(c)は多角形状の開口68、69、図13(d)、図13(e)、図13(f)は多角形の角を丸めた形状70、71、72である。開口の大きさや露光時に液晶パネル1や被露光基板6を動かす距離はx方向、y方向別々にそれぞれの方向の液晶セルピッチを基準にして決めれば良い。
【0099】
ところで、本発明により上記のように複数回の露光を重ね合わせることによってパタンを形成すると、露光回数に応じてパタン形成に要する時間が長くなってしまう。したがって、必要に応じて適切な大きさの開口を有する開口制御板2を取り付けられるように構成しておけば、より便利である。
【0100】
図14は開口制御板2を着脱するための待避・進入機構を設けた本発明の液晶マトリックス投影露光装置である。案内機構73上を開口制御板2を載せたキャリッジ74が動く構造になっており、図に実線で示した待避位置にある開口制御板2を二点鎖線で示した使用位置75に搬入する。
【0101】
転写されるパタンに多少の凹みや突起があっても良い場合には開口制御板2を待避させ、滑らかなパタンが必要な時に開口制御板2を装着する。
【0102】
開口制御板2を着脱するための待避・進入機構は任意で良く、後述の図15に示すように回転アームを利用した待避・進入機構を設けたり、伸縮するアームを使用したりしても良い。
【0103】
図15は複数の開口制御板を交換可能とした液晶マトリックス投影露光装置である。開口制御板ストッカー76に複数の開口制御板を用意しておく。図には77、78、79で示す3枚の開口制御板を描いたが、ストックする枚数は任意である。
【0104】
回転支柱80に開口制御板を保持して回転および上下する回転アーム81がついており、必要とする開口制御板を選択して液晶パネル1に装着する。
【0105】
この場合も開口制御板を着脱するための待避・進入機構は任意で良く、図14に示したように案内機構上を開口制御板77、78、79を載せたキャリッジが動くようにしたり、伸縮するアームを利用したりしても良い。なお、二点鎖線で示した82は開口制御板の使用位置を示している。
【0106】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の液晶マトリックス投影露光装置および液晶マトリックス投影露光方法によれば、液晶セル間に露光光線が不透過となる境界部が存在しても、また、液晶セル内に露光光線が不透過となるTFTが設けられていても、接続したことが目立たない滑らかな外形形状のパタンを転写形成することができる。
【0107】
また、斜め線パタンも従来よりはるかに滑らかに転写形成することができる。
【0108】
さらに、開口制御板の開口の大きさを小さくすることにより、仕様する液晶パネルの液晶セルの大きさや液晶セルピッチが同じでも、従来より微細なパタンや従来よりパタンピッチの小さいパタンを転写することができる。
従来よりパタンピッチの小さいパタンを転写することができる。
【0109】
なお、開口制御板の開口の大きさを小さくすることにより、複数回の露光が必要となるが、液晶セルピッチの整数分の1の距離間隔で露光するため、露光回数の増加は必要最低限度の回数となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶マトリックス投影露光装置の構成図である。
【図2】本発明の液晶マトリックス投影露光装置の別の構成図である。
【図3】液晶パネルのセル配置と開口制御板の開口との関係である。
【図4】液晶セルと開口制御板の開口との位置関係の詳細図である。
【図5】正方形液晶セルに対する開口制御板の開口形状の例である。
【図6】本発明の液晶マトリックス投影露光方法の説明図である。
【図7】図6に示した本発明の方法により転写されるパタン形状である。
【図8】開口制御板を用いずに接続露光を行った時の露光状況である。
【図9】開口制御板を用いずに接続露光を行った時の転写パタン形状である。
【図10】本発明の別の液晶マトリックス投影露光方法の説明図である。
【図11】図10示した本発明の方法により転写されるパタン形状である。
【図12】微細幅、微細ピッチのパタンが形成できる例の説明図である。
【図13】x方向、y方向で液晶セルピッチが異なる液晶セルに対する開口制御板の開口形状の例である。
【図14】開口制御板を着脱するための待避・進入機構を設けた本発明の液晶マトリックス投影露光装置の構成図である。
【図15】複数の開口制御板を交換可能とした本発明の液晶マトリックス投影露光装置の構成図である。
【図16】従来の原図基板を用いる投影露光装置の構成図である。
【図17】従来の液晶マトリックス投影露光装置の構成図である。
【図18】液晶パネル1の模式図である。
【図19】従来の液晶マトリックス投影露光装置によって形成したパタン形状の説明図である。
【符号の説明】
1 液晶パネル
2 開口制御板
3 照明装置
4 照明光
5 投影光学系
6 被露光基板
7 感光性材料
8 パタン指定部
10 液晶セル
20、21、22、23、24、25 開口の形状例
26 29、32、36 遮光液晶セル
27、30、33、37 透過液晶セル
28、31、34、35、38、39 露光部
40 転写パタン
73 案内機構
74 キャリッジ
76 開口制御板ストッカー
80 回転支柱
81 回転アーム
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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