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明細書 :非接触画像計測装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4052382号 (P4052382)
公開番号 特開2004-163271 (P2004-163271A)
登録日 平成19年12月14日(2007.12.14)
発行日 平成20年2月27日(2008.2.27)
公開日 平成16年6月10日(2004.6.10)
発明の名称または考案の名称 非接触画像計測装置
国際特許分類 G01B  11/00        (2006.01)
G01C  11/02        (2006.01)
G01S   7/48        (2006.01)
G01S  17/08        (2006.01)
FI G01B 11/00 H
G01C 11/02
G01S 7/48 A
G01S 17/08
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2002-329669 (P2002-329669)
出願日 平成14年11月13日(2002.11.13)
審査請求日 平成17年9月16日(2005.9.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
発明者または考案者 【氏名】近津 博文
個別代理人の代理人 【識別番号】100112335、【弁理士】、【氏名又は名称】藤本 英介
審査官 【審査官】後藤 昌夫
参考文献・文献 特開2001-183108(JP,A)
特開2000-074641(JP,A)
特開平09-264960(JP,A)
調査した分野 G01B 11/00-11/30
G01C 1/00- 1/14
G01C 5/00-15/14
G01S 7/48
G01S 17/00-17/95
特許請求の範囲 【請求項1】
6以上の疑似基準点を含む測定対象空間を2位置以上の撮影箇所から撮影するデジタル撮像手段と、
デジタル撮像手段によって撮影した画像中の各疑似基準点の画像座標を求める画像座標演算手段と、
上記2位置以上の撮影箇所から測定対象空間内の各疑似基準点までの距離を非接触で計測するレーザ距離計と、
前記デジタル撮像手段の撮影光軸および前記レーザ距離計のレーザ光軸を一致させて前記測定対象空間内の疑似基準点該撮影光軸および該レーザ光軸が向かうようにさせるための光軸一致手段と、
2位置以上の撮影箇所から撮影しおよび距離計測した測定対象空間の6点以上の疑似基準点について前記求められた画像座標と計測距離に基づき、デジタル撮像手段の外部標定要素および内部標定要素を算出する演算手段と、
デジタル撮像手段の撮影画像、計測距離、画像座標外部標定要素、および内部標定要素を記憶格納する記憶手段とを有し、
記憶手段に記憶格納したデジタル撮像手段の外部標定要素、および内部標定要素に基づき、デジタル撮像手段のオンサイト・キャリブレーションを行って対象空間の精密三次元計測を可能としたことを特徴とする非接触画像計測装置。
【請求項2】
光軸一致手段は、測定対象空間と前記デジタル撮像手段との間の光軸上に設けられたハーフミラーであって、該ハーフミラーを透過して前記デジタル撮像手段の測定対象空間の測定点に向かう光軸と前記ハーフミラーにより反射されて測定対象空間の測定点に向かうレーザ光軸とを一致させるための前記ハーフミラーを有することを特徴とする請求項1に記載の非接触画像計測装置。
【請求項3】
前記デジタル撮像手段による撮影画像を画面に表示しかつ該表示画面上にレーザ距離計のレーザ光照射点を表示するモニタ手段と、
デジタル撮像手段およびレーザ距離計の光軸のうちの少なくとも一方の光軸を調整可能にする光軸調整手段とを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の非接触画像計測装置。
【請求項4】
デジタル撮像手段、レーザ距離計、記憶手段、ハーフミラー、モニタ手段、光軸調整手段、およびデータ処理手段を一体の筐体内に設けるとともに、当該筐体を旋回方向および仰角方向で2軸回転可能に軸支する支持手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のうちのいずれか1項に記載の非接触画像計測装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、民生用等の高解像度デジタルカメラによる簡便なデジタル写真測量を実用化し得る非接触画像計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
写真測量におけるアナログからデジタルへの変化は、フィルムからCCD(電化結合素子)センサへの変遷であり、フィルムの現像およびプリントという従来のフィルムカメラでは避けられなかった時間的損失が解消され、リアルタイムな画像取得が可能になった。特に最近ではセンサ技術の飛躍的な発展により、CCDセンサの高解像度化が急速に進み、多種多様な高解像度民生用デジタルカメラが発売されており、高解像度民生用デジタルカメラによる簡便なデジタル写真測量の実用化が多くの分野において期待されている。
【0003】
従来、撮影画像に距離を関連つける技術には、広範囲な実空間を対象とした濃淡画像を取得しその画像中の任意の1点に対してカメラからの距離情報を取得し、画像を繋ぎ合わせてパノラマ画像を作成し、パノラマ画像中に距離が測られた対象物の距離情報が記録されている距離情報付き画像作成装置の技術が開示されている(特許文献1)。
一方、被写体の空間的な位置、すなわち、3次元座標を求めることを扱う写真測量においては、地上写真測量、空中写真測量などの種類があるがその拠り所とする原理は同じであり、写真は中心投影像であることである。詳しく述べると、写真測量は中心投影画像である写真の平面座標を測定し、さらに被写体、レンズ、フィルム(あるいは撮像素子)を結ぶ光の幾何学的条件を利用して、被写体の空間位置、すなわち3次元座標を求めることである。測定には必ず何らかの誤差が含まれており、写真側量では、種々の誤差を含んだ測定値から未知変量の最適値を求めなければならず、レンズ歪、焦点距離、主点位置などの補正パラメータの内部標定要素に基づく内部標定と、撮影点の位置とカメラの傾きの外部標定要素に基づく外部標定とが重要になるとされる(非特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000-227963号
【非特許文献1】
(社団法人)日本写真測量学会発行(平成9年4月改定版発行)、解析写真測量委員会発刊「解析写真測量」
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
発明者は、前記の背景からこれまでに高解像度の民生用デジタルカメラのデジタル写真測量への応用を検討し、さらに民生用デジタルカメラによるデジタル写真測量のソフトウエアの開発などを行ってきた。
【0006】
しかしながら、現在多くの手法では、内部標定要素は予め取得されている必要があり、さらに対象物に対する実座標を取得するためには対象空間上に縮尺距離、あるいは標高基準点が必要とされ、これらの拘束が民生用デジタルカメラによる簡便なデシタル写真測量を実用化する上でのボトルネックとなっているという問題点がある。
【0007】
なお、前記特許文献1では、単に距離情報を撮影画像の特定に対応つけるというものであり、10枚の画像を繋ぎ合わせてパノラマ画像を作成した場合、その画像中に10点に対する距離情報が記録されていることになる。特許文献1ではその第6頁に記載のように、画像の重ね合わせに射影変換式を使っているが、この変換式は厳密には2次元の射影変換式と呼ばれるものであって、対象面が平面の場合に限られるものである。従って、3次元座標を持つ実空間に対してこの式で変換することには誤差が伴うものであり、この誤差は写真測量の分野では見逃せない大きな誤差になりうる。これに対して、写真測量の分野ではコンピュータのモニタ上に表現することよりも、実空間の正確な3次元座標が求められ、精度の面で全く要求されるレベルが異なるものである。
【0008】
本発明は、前記従来の問題点を解消するためなされたものであって、対象空間上に縮尺距離、あるいは標高基準点の拘束条件および地上基準点を不要とするオンサイト・キャリブレーションを可能にして、対象空間に基準点を置けない条件の対象空間で高精度な写真測量をできるようにする非接触画像計測装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は前記課題を解決するため、次の構成を有する。
本発明は、6以上の疑似基準点を含む測定対象空間を2位置以上の撮影箇所から撮影するデジタル撮像手段と、
デジタル撮像手段によって撮影した画像中の各疑似基準点の画像座標を求める画像座標演算手段と、
上記2位置以上の撮影箇所から測定対象空間内の各疑似基準点までの距離を非接触で計測するレーザ距離計と、
前記デジタル撮像手段の撮影光軸および前記レーザ距離計のレーザ光軸を一致させて前記測定対象空間内の疑似基準点該撮影光軸および該レーザ光軸が向かうようにさせるための光軸一致手段と、
2位置以上の撮影箇所から撮影しおよび距離計測した測定対象空間の6点以上の疑似基準点について前記求められた画像座標と計測距離に基づき、デジタル撮像手段の外部標定要素および内部標定要素を算出する演算手段と、
デジタル撮像手段の撮影画像、計測距離、画像座標外部標定要素、および内部標定要素を記憶格納する記憶手段とを有し、
記憶手段に記憶格納したデジタル撮像手段の外部標定要素、および内部標定要素に基づき、デジタル撮像手段のオンサイト・キャリブレーションを行って対象空間の精密三次元計測を可能としたことを特徴とする非接触画像計測装置である。
ここで、写真測量を正確に行うためには、デジタル撮像手段の中心から測定対象空間上の測定点までの距離を正しく知る必要がある。
そのため、従来の前記特許文献1のようにレーザとカメラの光軸が平行になるようにカメラとレーザ距離計をセットするものではなく、本発明では、ハーフミラーなどの光軸一致手段を用いてデジタル撮像手段の光軸とレーザ距離計の光軸を完全に一致するようにしている。
また、本発明では、2位置以上から撮影し距離計測し、デジタル撮像手段、レーザ距離計、および座標演算手段により測定対象空間の6点以上の測定点(好ましくは例えばモニタ画像上で認識しやすい特徴点とする。本発明においてこの測定点は擬似的な基準点、つまり「擬似基準点」と称する)について求めた画像座標(一般的な手法で画像処理によって求めても、測定者が手計算で求めてもよい)とレーザ距離計による計測距離に基づき、外部標定要素および内部標定要素を算出できるので、この算出した外部標定要素および内部標定要素に基づいて、デジタル撮像手段のキャリブレーションが可能になる。
したがって、測定対象空間にわざわざ別途に基準点を設けなくても擬似基準点は測定対象空間に適宜に設定可能になるので、従来基準点を設けられないことから計測できなかった自然地形や建造物の写真測量を簡便かつ高精度に行えるものである。すなわち、発明者は、民生用の300万画素デジタルカメラ、レーザ距離計およびパーソナルコンピュータを一体とした画像計測システムを開発し、対象空間上に縮尺距離、あるいは標高基準点の拘束条件および地上基準点を不要とするオンサイト・キャリブレーションを可能にしたものである。
よって、対象空間の精密3次元測定さらには3次元表現を現場・現地にて行えるシステムを構築できるものである。
【0010】
なお、前記光軸一致手段は、測定対象空間と前記デジタル撮像手段との間の光軸上に設けられたハーフミラーであって、該ハーフミラーを透過して前記デジタル撮像手段の測定対象空間の測定点に向かう光軸と前記ハーフミラーにより反射されて測定対象空間の測定点に向かうレーザ光軸とを一致させるための前記ハーフミラーを有することが好適である。これにより、ハーフミラーという簡便な構造でデジタル撮像手段とレーザ距離計の両光軸を光学的に正確に一致させることを実現できる。
また、前記デジタル撮像手段による撮影画像を(例えばファインダー画像として)画面表示しかつ該表示画面上にレーザ距離計のレーザ光照射点を表示するモニタ手段と、デジタル撮像手段およびレーザ距離計の光軸のうちの少なくとも一方の光軸を調整可能にする光軸調整手段とを備えたことが好適である。非接触画像計測装置において、写真測量する際には、予め光軸合わせを行ったあと測量現場に持ち込むが、現場にて再度光軸を調整可能にすることが望ましい。これにより、リアルタイムの画像を取得して撮像現場でのキャリブレーション(オンサイト・キャリブレーション)およびリアルタイムでの画像を取得し、対象空間の3次元計測(3D計測)が可能になる。
また、デジタル撮像手段、レーザ距離計、記憶手段、ハーフミラー、モニタ手段、光軸調整手段、およびデータ処理手段を一体の筐体内に設けるとともに、当該筐体を旋回方向および仰角方向で2軸回転可能に軸支する支持手段(2軸回転が可能ない専用の三脚等を設ける)を設けたことが好適である。このようにすれば、デジタル撮像手段から測定対象空間の測定点までの斜距離を計測可能にすることができ、デジタル撮像手段、レーザ距離計、モニタ手段などを一体の筐体に収容して一体化させることにより、リアルタイムに画像を取得し、オンサイト・キャリブレーションおよび3D計測をより一層簡単にかつ正確にできる。また、本発明の非接触画像計測装置では2位置から対象空間の撮影および距離測定を行う。また、デジタル撮像手段とレーザ距離計の光軸が一致した状態を保ってモニタを見ながら測量ができる。よって、非接触画像計測装置自体の取り扱いが容易でかつ測量精度が向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は実施形態にかかる非接触画像計測装置の説明ブロック図である。
図1に示すように、前記非接触計測装置は、測定点を含む測定対象空間を撮影するものでズーム機能を有するデジタルカメラ(デジタル撮像手段)10と、撮影画像中の測定点の画像座標を求める下記パーソナルコンピュータ22などの座標演算手段12と、測定対象空間の測定点までの距離を非接触で計測するレーザ距離計14と、前記デジタルカメラ10の撮影光軸16および前記レーザ距離計14のレーザ光軸18が一致して前記測定対象空間の測定点に向かうようにさせるためのハーフミラー(光軸一致手段)20と、2位置以上から前記デジタルカメラ10で撮影しおよびレーザ距離計14で距離計測した測定対象空間の6点以上の測定点について前記求められた画像座標と計測距離に基づき、デジタルカメラ10の外部標定要素および内部標定要素を算出するパーソナルコンピュータ(PC:演算手段の例)22を有し、測定対象空間の三次元計測を可能とするものである。
【0012】
また、前記非接触画像計測装置は、デジタルカメラ10の撮影画像、レーザ距離計14の計測距離、求めた画像座標、算出した外部標定要素、および内部標定要素等を記憶格納するメモリ(記憶手段)24と、前記デジタルカメラ10による撮影画像を画面に表示しかつ該表示画面上にレーザ距離計14のレーザ光照射点を表示する液晶表示素子からなるモニタ(モニタ手段)26と、デジタルカメラ10およびレーザ距離計14の光軸のうちの少なくとも一方の光軸を調整可能にする回転可能なミラー32からなる光軸調整手段とを備えている。
【0013】
また、前記光軸一致手段であるハーフミラー20は、測定対象空間に向う前記デジタルカメラ10の光軸16上に設けられたハーフミラー20であって、該ハーフミラー20(表面20f、裏面20r)を透過して前記デジタルカメラ10の測定対象空間の測定点に向かう撮影視野の撮影光軸16と、レーザ距離計14より出射されたレーザ光がハーフミラー20の表面20fにより反射されて測定対象空間の測定点に向かうレーザ光軸18とを一致させるためのハーフミラー20である。
【0014】
実施形態の非接触画像計測装置は、デジタルカメラ10、レーザ距離計14、メモリ24、ハーフミラー20、モニタ26、光軸調整手段のミラー32、および演算手段22を一体の筐体28内に設けるとともに、当該筐体28を水平面上での旋回方向(旋回方向軸30A)および上下方向の仰角方向(仰角方向軸30B)における2軸回転可能に軸支する(2軸回転可能な三脚等を用いる)支持構造30を設けている。
なお、この筐体28内に設けられる前記のレーザ距離計14自体のレーザ出射方向は、デジタルカメラ10の撮影光軸と平行になっているが、レーザ距離計14のレーザ出射前方に全反射のミラー32を軸回転可能に設け、該ミラー32によりレーザ距離計より出射されたレーザ光14Aを反射してハーフミラー20の表面20fにレーザ光14Aを導いている。そして、該ミラー32の角度位置を調整可能にしてレーザ光14Aの光軸18の調整により、レーザ光軸18と撮影光軸16とを一致させることが可能になっている。
【0015】
また、前記モニタ26上に画像表示するためのデータ処理用のパーパーソナルコンピュータ22には、メモリ(記憶手段)24としてハードディスクドライブ(HDD)24Aとランダムアクセスメモリ(RAM)24Bと、演算処理手段としての中央処理ユニット(CPU)22Aをマザーボード22B上に設けて、前記筐体28内に収容されている。
具体的には、前記デジタルカメラは314万画素、レーザ距離計12は距離精度40mまで±3mm、ファインダ画像の転送用にビデオキャプチャーボード22Cをマザーボード22Bに接続している。
【0016】
実施形態の非接触画像計測装置における外部標定要素と内部標定要素の求め方について説明する。
画像計測する場合、デジタルカメラ中心から対象空間までの距離を正しく知る必要があるため、レーザ光軸18とデジタルカメラ10光軸(撮影光軸)16とが完全に一致するようにハーフミラー20を用いている。また、モニタ26はデジタルカメラ10のファインダとしても使用できる。
[1] まず、測定対象空間の臨める第1の位置から、デジタルカメラ10による測定対象空間の画像をパーソナルコンピュータ22に取り込む。
[2] そして、測定対象空間の特徴点(擬似基準点)6点に対して、非接触画像計測装置のシステムを収容した筐体28を支持構造30上で回転させてその点に対するレーザ距離計14により距離測定を行う。
[3] モニタ(ファインダ)26を通して測定点を狙い、さらにデジタルカメラ10のズーム機能を用いてレーザ光14Aが照射されている点を前記測定点に正確に一致させることができる。また、システムの回転に伴う誤差を防ぐために、システムの回転中心とカメラ軸の中心とは一致させてある。
[4] 測定点の画像座標は、パーソナルコンピュータ22により画像処理で求めるか、あるいは手動で求めることができる。また、これらの求められた画像座標は、距離を対応付けられてパーソナルコンピュータ22のメモリ24に記録される。
[5] そして、6点以上の測定点(特徴点)に対する画像座標および距離を取得したのち、デジタルカメラのキャリブレーション(デジタルカメラの外部標定要素、内部標定要素)の算出をパーソナルコンピュータ22で行う。
[6] デジタルカメラ10などの非接触画像計測装置のシステムを前記第1の位置から移動させて、第2の位置に設置し[1]から[5]までの操作を行う。
[7] これから以降は、従来の写真測量と同じく、2位置で撮影・測定したステレオ画像に対してバンドル調整法により測定対象空間の3次元座標の算出を行い、既存のCGソフト(コンピュータグラフィックスソフトウエア)を用いて3D表現を可能にする。
【0017】
次に、前記デジタルカメラのキャリブレーション(デジタルカメラの外部標定要素、内部標定要素)の算出について説明する。
本実施形態の非接触画像計測装置では、地上基準点の設置を必要としないオンサイト・キャリブレーション手法(測定する現地におけるキャリブレーション)を可能にするものであり、非接触画像計測装置により得られた距離を拘束条件として、2位置で得た左右のステレオ画像を同時に調整するもので、左右のカメラ位置3次元座標(X0L,Y0L,Z0L)、(X0R,Y0R,Z0R)、左右のカメラ姿勢(ωL,ψL,κL)、(ωR,ψR,κR)、カメラの焦点距離f、主点位置x0,y0、ディストーション計数p1、センサから画面座標への変換係数a1,a2および擬似基準点の3次元座標が未知量となる。なお、擬似基準点とは、キャリブレーション(校正)に利用される距離が計測された測定対象空間内の点であり、オンサイト・キャリブレーションのためには、測定対象空間内に6点以上の擬似基準点が必要であり、この場合30個の未知量に対して36個の条件式が得られることとなる。
【0018】
詳しく説明する。上記の場合、画像取得において、外部標定要素(撮影点の位置とカメラの傾き)6個が未知量となる。2箇所からの撮影であるので左右のカメラに対する外部標定要素12個が未知量となる。また、内部標定要素(主点位置x0,y0、焦点距離f、アフィン変換係数a1,a2、レンズ歪係数p1)の6個が未知量であり、厳密には左右のカメラでこれらの値はほんのわずかに異なるが、今回はこれらの値は変化しないものとして考える。従って、左右の外部標定要素、内部標定要素のあわせて18個が未知量となる。
【0019】
次に、測定対象空間の中の6個の擬似基準点に対して距離測定を行うわけであるが、擬似基準点に対する3次元座標も未知量となるので、6×3=18個が未知量となり、合計36個の未知量となる。
これに対して、1点の擬似基準点に対して2個の共線条件式が得られるので、片方の写真から6個の擬似基準点に対して12個、これを左右の画像同時に解くことにより、合計24個の条件式が得られる。
【0020】
さらに、左右のカメラ位置で対象空間中の同じ擬似基準転点に対して距離測定を行うわけであるから、1点の擬似基準転点に対して1個の距離条件式(距離の拘束式)ができ、1枚の画像で6個の距離条件式ができ、左右の画像を同時に扱うことにより6+6=12個の距離条件式が出来る。
したがって、条件式は24+12=36個となり、ここに未知量の数と方程式の数が等しくなり、問題が解けることになる。
【0021】
前述の場合、未知量は30個としている。これは未知量の数を少なくするために、例えば擬似基準点中の1点を原点(0,0,0)と仮定する。するとその擬似基準点に対する3次元座標は既知となるので、未知量から3減らして33となる。このほか、測定対象空間中にX軸、Y軸を決めてやると、さらに幾何学的に未知量を3個減らすことが出来、最終的に30個の未知量となる。
通常30個の未知量に対して、30個の方程式があれば解けるのであるが、今回の場合は非線型方程式を扱うことになるので、通常は未知量の数を条件式より少なくして、最小2乗法により解く。距離の条件を入れることで、非接触計測を可能にしているが、左右のカメラ、すなわち2箇所からの画像を同時に扱っているところが、解法のポイントである。
【0022】
発明者は、本発明を実施した非接触画像計測装置の例をイメージセンシングへの応用を検証するために図3に示すような、テストターゲットTのステレオ撮影を行った。テストターゲットTには、42点の円形黒丸Dのターゲットを設け、計測された42点の黒丸D(側点)に対する3次元座標の精度検証を行った。なお、このテストターゲットTは縦1.8m、横1.55m、奥行きZ(中央2列)0.33mであり、等間隔に縦7個、横6個の黒丸Dを設けたものであり、さらに各黒丸Dの中心には、反射シールEが貼り付けられており、この反射シールEの中央を一級トータルステーション(距離精度±1mm、角度精度±2’’)を用いた計測結果を各黒丸の真値とした。
各テストターゲットTの画像座標は、撮影した画像に二値化処理を施して黒丸Dの部分のみを抜き出し、その黒丸の中心の面積重心として求めたものである。
ステレオ撮影における撮影状況を図4に示す。
【0023】
一方、図5は、本発明を実施した非接触画像計測装置によるオンサイト・キャリブレーションを行い、前記42点の側点(黒丸)に対して平均二乗誤差(RMSE1)を求めた結果と、基準点9点を用いて従来のバンドル調整法によりカメラキャリブレーションを行い33点の側点に対して平均二乗誤差(RMSE2)を求めた結果を示すものである。
図5より、平面・奥行き精度ともに本発明に係る非接触画像計測装置による結果は、従来の基準点を用いるバンドル調整法による結果よりもわずかながら低い値となっている。この理由としては、前記非接触画像計測装置による結果は測定距離の精度、さらに光軸とレーザ軸の一致の不完全性と推測されるが、本発明に係る非接触画像計測装置は従来多大な労力と時間を要していた地上基準点設置作業が必要のないこと、およびオンサイトの3D(3次元)計測が可能であること、さらには、オンサイトモデリングも可能であることを考慮すると、デジタルカメラを用いたイメージセンシング分野において、きわめて有効な方法であることが理解できる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、対象空間上に縮尺距離、あるいは標高基準点の拘束条件および地上基準点を不要とするオンサイト・キャリブレーションを可能にして、対象空間に基準点を置けない条件の対象空間で高精度な写真測量をできる。
なお、本発明において、前記デジタル撮像手段による撮影画像および撮影光軸を表示しかつ該表示画像上にレーザ距離計のレーザ光照射点を表示するモニタ手段と、少なくともレーザ距離計の光軸を調整するための光軸調整手段とを備えたものにすれば、モニタ手段に撮像光軸とレーザ距離計のレーザ光照射点を表示できるのでその表示画面を見ながら、光軸調整手段によりレーザ距離計の光軸調整が可能になり、リアルタイムの画像を取得して撮像現場でのキャリブレーション(オンサイト・キャリブレーション)およびリアルタイムでの画像を取得し、対処物の3次元計測(3D計測)が可能になる。
また、撮像画像データおよび距離データをメモリ手段に格納しかつモニタ手段に画像表示するためデータ処理手段を有し、デジタル撮像手段、レーザ距離計、メモリ手段、ハーフミラー、モニタ手段、光軸調整手段、およびデータ処理手段を一体の筐体内に設けるとともに、当該筐体が旋回方向および仰角方向で2軸回転可能に軸支する支持手段(2軸回転可能な専用の三脚等を用いる)を設けることができ、このようにすれば、デジタル撮像手段から測定対象空間の測定点までの斜距離を計測可能にすることができ、デジタル撮像手段、レーザ距離計、モニタ手段などを一体の筐体に収容して一体化させたことにより、ビデオキャプチャーボードなどのデータ処理手段を介してリアルタイムに画像を取得し、オンサイト・キャリブレーションおよび3D計測をより一層簡単にかつ正確にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる非接触画像計測装置の説明ブロック図である。
【図2】図1の非接触画像計測装置の支持部への取り付け説明図である。
【図3】本発明に係る非接触画像計測装置を検証するためのテストターゲットの外観説明図であり、(a)がテストターゲットの全体図、(b)が個々のターゲット(黒丸)の説明図である。
【図4】同じく、本発明に係る非接触画像計測装置を検証するための撮影状況の説明図である。
【図5】本発明を実施した非接触画像計測装置によるオンサイト・キャリブレーションを行った結果と、従来のバンドル調整法によりカメラキャリブレーションを行った結果を示すものである。
【符号の説明】
10 デジタルビデオカメラ(デジタル撮像手段)
12 座標演算手段
14 レーザ距離計
16 撮影光軸
18 レーザ光軸
20 ハーフミラー(光軸一致手段)
22 パーソナルコンピュータ(演算手段)
22A 中央処理ユニット(CPU)
22B マザーボード
24 メモリ(記憶手段)
24A ハードディスクドライブ(HDD)
24B ランダムアクセスメモリ(RAM)
26 メモリ
28 筐体
30 支持構造
30A 旋回方向軸
30B 仰角方向軸
32 ミラー
D テストターゲット(黒丸)
T テストターゲット
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4