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明細書 :応力測定方法とその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3746287号 (P3746287)
公開番号 特開2005-201749 (P2005-201749A)
登録日 平成17年12月2日(2005.12.2)
発行日 平成18年2月15日(2006.2.15)
公開日 平成17年7月28日(2005.7.28)
発明の名称または考案の名称 応力測定方法とその装置
国際特許分類 G01L   1/00        (2006.01)
FI G01L 1/00 B
請求項の数または発明の数 2
全頁数 18
出願番号 特願2004-007599 (P2004-007599)
出願日 平成16年1月15日(2004.1.15)
審査請求日 平成17年1月17日(2005.1.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
発明者または考案者 【氏名】新津 靖
【氏名】一瀬 謙輔
【氏名】五味 健二
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100084353、【弁理士】、【氏名又は名称】八嶋 敬市
審査官 【審査官】鈴野 幹夫
参考文献・文献 特開2001-228121(JP,A)
特開2004-212125(JP,A)
五味健二、一瀬謙輔、新津靖、小野純、今野良博、沼口喬、福田勝己,サファイア単結晶の複屈折測定と半導体レーザへの応用,材料試験技術,日本,日本材料試験技術協会,2002年 7月,VOL.47 NO.3 2002,34-39
調査した分野 G01L 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
レーザ光を発生するレーザ光源と当該レーザ光が順番に透過する偏光子と光弾性変調器と第1の1/4波長板と第2の1/4波長板と検光子と、透過して来たレーザ光を受けて電気信号を発生するフォトディテクタと、前記電気信号を入力して検出した数値を表示する直流電圧計と、前記電気信号の交流信号成分から位相差を検出する信号処理装置と、前記位相差が入力される計算処理装置からなる応力測定装置において、
前記レーザ光の振動方向Fと前記偏光子の透過主軸方向Sとが直交するように前記偏光子を前記レーザ光の光路軸に垂直な平面上で回転し、前記フォトディテクタに届くレーザ光Rを減少させ、前記直流電圧計の値が最小Mになるようにし、
前記偏光子を第1角度目盛に合わせて+45度回転(反時計回り)させて、半分のレーザ光を以後の光路に伝達させ、フォトディテクタに届くレーザ光を増加させ、直流電圧計の表示が所定値M0(M0>M)になるようにし、
前記偏光子を固定し、前記検光子を前記光路軸に垂直な平面上で回転する事により前記直流電圧計の値が最小Mm1になるようにし、次に、前記検光子を固定し、前記偏光子を回転する事により前記直流電圧計の値が最小Mm2になるようにし、この操作を繰り返し行い、前記偏光子の主軸方向Sと前記検光子の主軸方向S2を直交させるようにして、前記フォトディテクタに届くレーザ光が減少して、前記直流電圧計の値が最小Mmn(Mm1>Mm2>…>Mmn)になるようにし、
前記光弾性変調器に電源を入れて機能させ、今度は前記光弾性変調器(主軸方向W)を前記光路軸に垂直な平面上で回転させて、前記直流電圧計の値が最小Mdになるようにし、前記偏光子の主軸方向Sと前記光弾性変調器の主軸方向Wとを一致位置に収斂させ、
前記光弾性変調器の電源を遮断して非機能とし、前記直流電圧計の前記最小値Mdに変化がないことを確認し、その後に電源を入れて機能させ、
前記光弾性変調器を透過して来たレーザ光の変調偏光波が入射される位置にある前記第1の1/4波長板を前記光路軸に垂直な平面上で回転させ、前記直流電圧計の値が最小Mdmになるように調節して、前記偏光子の主軸方向Sと前記光弾性変調器の主軸方向Wと前記第1の1/4波長板の主軸方向Hとを近似的に一致させ、
前記第1の1/4波長板を前記第2角度目盛に合わせて+45度回転させ、レーザ光が一部透過して前記直流電圧計の値が増加して最小Md1>Mdmになるように調節し、
前記第1の1/4波長板と前記検光子の間にある前記第2の1/4波長板を前記光路軸に垂直な平面上で回転させて、前記第2の/4波長板の主軸方向Jと前記第1の1/4波長板の主軸方向Hとを直交(に収斂)させるようにして、前記直流電圧計の値が減少して最小Md1m<Md1になるように調整し、
前記偏光子を前記第1角度目盛に合わせて更に+45度回転させ、前記直流電圧計の値が最小Md1mから増加してd1mになるようにし、
この状態で前記フォトディテクタで発生した基準電気信号を前記信号処理装置に入力して基準位相差を検出し、次に前記第1の1/4波長板と前記第2の1/4波長板との間に検査試料を配置して前記変調偏光波を透過させて、前記フォトディテクタで発生した透過電気信号を前記信号処理装置に入力して、透過電機信号の交流信号成分から追加分の複屈折位相差を検出し、その後前記基準位相差と前記追加分の複屈折位相差とを前記計算処理装置に入力して比較し、前記検査試料の応力を決定することを特徴とする応力測定方法。
【請求項2】
直線偏光波で振動方向Fの赤外線のレーザ光を発生するレーザ光源と、
このレーザ光が入射されてその進む光路軸に垂直な平面上で透過主軸Sの方向に振幅する直線偏光波にして出射する偏光子と、この直線偏光波が入射されて所定振動数で直線偏光から円偏光まで連続的に変化する変調偏光波として出射するとともに主軸Wを備える光弾性変調器と、この変調偏光波が入射されとともに主軸Hを備える第1の1/4波長板と、この第1の1/4波長板から出射される変調偏光波が入射されるとともに主軸Jを備える第2の1/4波長板と、この第2の1/4波長板から出射される変調偏光波が入射され透過主軸S2の方向に振幅する直線変調偏光波にして出射する検光子と、
この検光子から出射される直線変調偏光波が入射されて前記第1の1/4波長板と第2の1/4波長板の物理特性に応じた基準電気信号を発生するフォトディテクタと、前記基準電気信号が入力されて電圧値を検出し、その数値を表示する直流電圧計と、前記基準電気信号を入力してその交流信号成分から基準位相差を検出する信号処理装置と、
前記第1の1/4波長板と第2の1/4波長板との間に検査試料を配置して前記変調偏光波を透過させ、前記フォトディテクタでは当該検査試料の物理特性に応じた透過電気信号を発生し、前記透過電気信号の交流信号成分から追加分の複屈折位相差を前記信号処理装置で検出し、前記基準位相差と前記追加分の複屈折位相差とを比較して、前記検査試料の応力を決定する計算処理装置とからなる応力測定装置において、
前記光路軸に垂直な平面上で、前記偏光子を回転させる際の角度を測定する第1角度目盛と前記第1の1/4波長板を回転させる際の角度を測定する第2角度目盛とを設け、
前記レーザ光の振動方向Fと前記偏光子の透過主軸方向Sとが直交するように前記偏光子を前記レーザ光の光路軸に垂直な平面上で回転し、前記フォトディテクタに届くレーザ光Rを減少させ、前記直流電圧計の値が最小Mになるようにし、
前記偏光子を前記第1角度目盛に合わせて+45度回転(反時計回り)させて、半分のレーザ光を以後の光路に伝達させ、フォトディテクタに届くレーザ光を増加させ、直流電圧計の表示が所定値M0(M0>M)になるようにし、
前記偏光子を固定し、前記検光子を前記光路軸に垂直な平面上で回転する事により前記直流電圧計の値が最小Mm1になるようにし、次に、前記検光子を固定し、前記偏光子を回転する事により前記直流電圧計の値が最小Mm2になるようにし、この操作を繰り返し行い、前記フォトディテクタに届くレーザ光が減少して、前記直流電圧計の値が最小Mmn(Mm1>Mm2>…>Mmn)になるように、前記偏光子の主軸方向Sと前記検光子の主軸方向S2を直交させるように配置し、
前記光弾性変調器に電源を入れて機能させ、今度は前記光弾性変調器(主軸方向W)を前記光路軸に垂直な平面上で回転させて、前記直流電圧計の値が最小Mdになるようにし、前記偏光子の主軸方向Sと前記光弾性変調器の主軸方向Wとを一致位置に収斂させて配置し、
前記光弾性変調器の電源を遮断して非機能とし、前記直流電圧計の前記最小値Mdに変化がないことを確認し、その後に電源を入れて機能させ
前記変調偏光波が入射される位置にある前記第1の1/4波長板を前記光路軸に垂直な平面上で回転させ、前記直流電圧計の値が最小Mdm
になるように調節して、前記偏光子の主軸方向Sと前記光弾性変調器の主軸方向Wと前記第1の1/4波長板の主軸方向Hとを近似的に一致させ、
前記第1の1/4波長板を前記第2角度目盛に合わせて+45度回転させて配置し、レーザ光が一部透過して前記直流電圧計の値が増加して最小Md1>Mdmになるようにし、
前記第2の1/4波長板を前記光路軸に垂直な平面上で回転させて、前記第2の/4波長板の主軸方向Jと前記第1の1/4波長板の主軸方向Hとを直交(に収斂)させるように配置し、前記直流電圧計の値が減少して最小Md1m<Md1になるように調整し、
前記偏光子を前記第1角度目盛に合わせて更に+45度回転させて配置し、前記直流電圧計の値が最小Md1mから増加してd1mになるようにしたことを特徴とする応力測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、応力測定方法とその装置に関し、詳しくは、レーザ光弾性法を利用した複屈折位相差測定方法とその装置に関する。半導体産業全般、結晶製造分野などにおける材料の物性の定量測定方法と、半導体ウエハのプロセス誘起応力測定装置、半導体レーザ素子動作時の応力測定装置、各種単結晶の完全性評価装置、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分離された物質の検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの商品分野で高密度化、高集積化された多機能集積回路のシステムLSI即ちナノテク超VLSI(以下単に新半導体デバイスという)の使用が増加し、その利用範囲は携帯電話などのデジタル家電の日用品から宇宙機器まで多岐に渡っている。そのため現代社会を支えるためには、新半導体デバイスはなくてはならない部品である。
その一方で、超低電力消費・超高速演算・超小型で高密度、高集積化された最近の電子デバイスの性能を制約している原因の一つとして、デバイスの製造時と使用時に生ずる回路パターンの剥離、配線の断線パッケージの破損、半導体ウエハの微小な変形などの材料力学的問題がある。このようなデバイスの製造時と使用時に生ずる材料力学的問題を克服するための評価技術の確立が望まれている。
同時に新半導体デバイスのさらなる効率的な生産、すなわち歩留まりの向上が切望され続けている。この要求を制約する一因は、新半導体デバイスの原料である単結晶ウエハの品質にある。単結晶ウエハの品質の一つは、ウエハを構成する原子における配列の完全性で評価されるが、この配列を乱す原因として現在特に問題となっていることは、ウエハの残留応力である。
【0003】
ウエハからデバイスチップを製造するプロセスで700°C程度~1000°C度に昇温することが少なくない。このとき、高温のために
ウエハの臨界せん断応力(σCRSS ; critical resolved shear stress)は著しく降下する。このとき、熱応力と残留応力の重畳がσCRSS
を超過すれば、単結晶は結晶すべり(crystal gliding、 translation gliding)を誘起する。このような理由から、ウエハの残留応力をできるだけ低く抑える必要があることがわかる。
半導体ウエハの一般的な製造プロセスでは、シリコンSi(以降Si)ウエハの場合は、主にラッピングおよびポリッシング工程で残留応力を導入することが多い。長い筒状(円柱状)のインゴットから円盤状に多くのウエハを切り出す努力がなされているため、切りだし面を研磨する際の量は可能な限り少なく設定される。逆に、研磨量の不足は残留応力の導入および増加を招くことが知られている。
【0004】
さて、半導体ウエハは、クリーンルームで製造、加工されるために、残留応力の測定方法は非接触方式であることが望ましい。そのために従来から、半導体ウエハの残留応力測定には光弾性測定法が用いられてきた。
初期の頃は、10mm程度に厚切りされた半導体ウエハの試料に当てた(透過させた)時に生じる干渉縞から試料に働く残留応力を測定していた。しかし、この場合、ウエハは厚すぎるために残留応力測定専用となり、製造ラインに戻せず、無駄となっていた。この理由から、全数検査もできなかった。
【0005】
従来のレーザ光を用いる光弾性測定法は、次の2つに大別することができる。光弾性フリンジを用いる方法(フリンジ法)と光弾性フリンジを用いない方法(サブ・フリンジ法)とがある。
フリンジ法は、試料に分布する応力の全体像を大局的に把握する場合に適した方法で、直線偏光器から得られる等傾線図(主応力方向の分布図)と円偏光器から得られる等色線図(主応力差の分布図)という2つのフリンジパターンから、試料の応力分布を実験解析的に求める方法である。この方法は微小領域に分布する応力や微小な応力の測定には一般的には適さない。
このフリンジ法で半導体インゴットやウエハの応力分布を測定する方法には、次のものが挙げられる。
LederhandlerはCZ法(Czochralski technique;引上げ法の一種)で育成されたSiインゴットの残留応力分布をフリンジ法で測定し、結晶育成時の温度勾配がSiの降伏応力を超過していることを指摘している(例えば、非特許文献1参照。)。

【非特許文献1】S. R. Lederhandler, Infrared Studies of Birefringence in Silicon,J.Appl. Phys.,30-11 (1959), 16311638.
【0006】
フリンジ法で半導体インゴットやウエハの応力分布を測定する方法には、他にも以下のものがある(例えば、非特許文献2~6参照。)。

【非特許文献2】K. Date, Stress Measurement with High Sensitivity in Wafer UsingInfraredPhotoelasticity, Proc. of Advanced in Elec. Pack.,Vol.2 (1992), 985-989.
【非特許文献3】R.O.Denicola and R.N.Tauber, Effect of Growth Parameters the Residual Stressand Dislocation Density of Czochralski-Grown Silicon Crystal, J. Appl.Phys., 42-11 (1971), 4262-4270.
【非特許文献4】P. Dobrilla and J. S. Blakemore, Optical mapping of residual stressinCzochralski grown GaAs, Appl. Phys. Lett., 48(19) (1986), 1303-1305.
【非特許文献5】G. Qin, H. Liang, S. Zhao and H. Yin, Measurement of Stresses in Silicon Waferwith Infrared Photoelastic Method, Chin. J. Infrared and Millimeter Waves,7(2) (1987), 139-144.
【非特許文献6】M. Yamada, M. Fukuzawa, N. Kimura, K. Kaminaka and M. Yokogawa, Quantitativephotoelastic characterization of residual strain and its correlation withdislocation density profile in semi-insulating LEC-grown GaAs wafers,Proc. 7th Conf. on Semi-insulating III-V Materials, Ixtapa, mexico, (1992),201210.
【0007】
次に、光弾性フリンジを用いない方法は、光弾性フリンジが確認できない場合に有効であり、微小領域に分布する微小な応力の測定に適している。この方法は、応力が微小であるためにフリンジの観測が不可能な場合やフリンジ間の正確な応力を測定する場合に使われる方法である。
試料に入射する前のレーザ偏光と透過した後の偏光の相違から複屈折量を求め、応力に換算する。したがって、レーザのスポット径内の平均応力を測定することとなるため、微小領域に分布する応力を測定する場合にはスポット径の小さいレーザを用いてpoint-by-pointの測定を行うこととなる。
【0008】
例えば、半導体ウエハ1枚の応力分布の全体像を得たい場合には、XYステージでウエハを送り、多点の応力状態を測定し、そこから全体像を得る必要がある。
このサブ・フリンジ法で微小応力の分布を測定した方法には、次のものが挙げられる。Claytonらは、応力の測定中に試料の回転操作を必要とする Scanning birefringencemappingsystemを開発し、LEC法で育成されたGaAsウエハの残留応力を測定している(例えば、非特許文献7参照。)。

【非特許文献7】R. D. Clayton, I. C. Bassignana, D.A. Macquistan and C. J. Miner, Scanningbirefringence mapping of semi-insulating GaAs wafers, Semi-insulating III-V Materials, Ixtapa, mexico, (1992), 211216
【0009】
Yamadaは、応力の測定中に2つの光学素子(偏光子5および検光子10)の回転操作を必要とするComputer-controlledinfrared polariscopeを開発し、LEC法で育成されたGaAsウエハの残留応力を測定している(例えば、非特許文献8参照。)。

【非特許文献8】M.Yamada, High-sensitivity computer-controlled infrared polariscope, Rev.Sci.Instrum., 647 (1993), 1815-1821.
【0010】
Liangらは、検光子10を常時回転させる方式の直線偏光器を開発し、Siウエハにおける残留応力測定の可能性まで言及している(例えば、非特許文献9参照。)。

【非特許文献9】H. Liang, S. Zhao and K. Chin, A new method of determining the stress state inmicroelectronic materials, Meas. Sci Technol., 7 (1996), 102-105.
【0011】
特に、Siウエハの残留応力は、前述のLiangらが光弾性測定法によって実験的に明らかにしている。Liangらは、研磨工程などで誘起される残留応力を定量的に調べ、主応力差にして数MPaの応力が残留していることを報告している。
また、現在日本やドイツではTePla AG JenaOffice (日本代理店:株式会社
アイメック) のSIRDがレーザを利用したSiウエハの残留応力測定装置として販売されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のフリンジ測定装置では、微小な応力を測定する際には、試験片の厚さに反比例して応力測定が困難になり、このため厚さ600μm程度の半導体ウエハの残留応力測定に成功した例は殆ど無く、一般的には厚さ数mmの板状の結晶に対する応力測定が限界であった。
また、LiangやYamadaの装置はいずれも検光子の主軸が直線であり、最大(小)電流を得るため、資料または検光子を、即ち応力方向を検出するために光学素子を回転させるタイプのサブ・フリンジ測定装置である。
直線偏光を試験片に透過させた場合は、試験片の応力の方向と大きさを次の方法で探索でき、応力の方向は、応力の方向と直線偏光とのなす角が互いに0度あるいは90度の時に検出できる。一方、応力の大きさは、応力の方向と直線偏光とのなす角が互いに45度の時に初めて検出される。このため、試験片あるいは光学系全体を半回転させて、これらのデータを探索しなくてならなかった。
【0013】
光弾性法は一般に、円偏光を(真円に限る)を試験片に透過させた場合、試験片の応力の大きさが即座に分かるが、応力の方向は分らなかった。これは,円偏光に対しては、試験片に作用している応力方向は意味を持たず、大きさのみが意味を持つためである。
応力測定のさらなる高精度化・高速化は、回転操作といった機械的な動作を伴う限り原理的に困難であると考えられる。
これらは回転のために測定速度および精度の向上が望めず、製造ライン内にこのような複屈折位相差測定装置を組み込むインライン測定に向かない欠点があった。
【0014】
TePla AG Jena Office社のSIRD装置は、残留応力の絶対値が平方mm当たり何gなのかの数値を与えないもので、相対値しか検出しないものであり、品質管理のために生産工程で使用するには不便である。
従って、光学素子を回転させないタイプのサブ・フリンジ測定装置による半導体ウエハの応力分布測定例は皆無である。
独自の光弾性実験装置を試作し厚さ600μm程度の半導体ウエハの応力測定に成功した報告もあるが、単なる実験装置であり、安定して測定分解能の高度性を発揮できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は上記課題を解決するために第1発明ではレーザ光を発生するレーザ光源と当該レーザ光が順番に透過する偏光子と光弾性変調器と第1の1/4波長板と第2の1/4波長板と検光子と、透過して来たレーザ光を受けて電気信号を発生するフォトディテクタと、前記電気信号を入力して検出した数値を表示する直流電圧計と、前記電気信号の交流信号成分から位相差を検出する信号処理装置と、前記位相差が入力される計算処理装置からなる応力測定装置において、前記レーザ光の振動方向Fと前記偏光子の透過主軸方向Sとが直交するように前記偏光子を前記レーザ光の光路軸に垂直な平面上で回転し、前記フォトディテクタに届くレーザ光Rを減少させ、前記直流電圧計の値が最小Mになるようにし、前記偏光子を第1角度目盛に合わせて+45度回転(反時計回り)させて、半分のレーザ光を以後の光路に伝達させ、フォトディテクタに届くレーザ光を増加させ、直流電圧計の表示が所定値M0(M0>M)になるようにし、前記偏光子を固定し、前記検光子を前記光路軸に垂直な平面上で回転する事により前記直流電圧計の値が最小Mm1になるようにし、次に、前記検光子を固定し、前記偏光子を回転する事により前記直流電圧計の値が最小Mm2になるようにし、この操作を繰り返し行い、前記偏光子の主軸方向Sと前記検光子の主軸方向S2を直交させるようにして、前記フォトディテクタに届くレーザ光が減少して、前記直流電圧計の値が最小Mmn(Mm1>Mm2>…>Mmn)になるようにし、前記光弾性変調器に電源を入れて機能させ、今度は前記光弾性変調器(主軸方向W)を前記光路軸に垂直な平面上で回転させて、前記直流電圧計の値が最小Mdになるようにし、前記偏光子の主軸方向Sと前記光弾性変調器の主軸方向Wとを一致位置に収斂させ、前記光弾性変調器の電源を遮断して非機能とし、前記直流電圧計の前記最小値Mdに変化がないことを確認し、その後に電源を入れて機能させ、前記光弾性変調器を透過して来たレーザ光の変調偏光波が入射される位置にある前記第1の1/4波長板を前記光路軸に垂直な平面上で回転させ、前記直流電圧計の値が最小Mdm になるように調節して、前記偏光子の主軸方向Sと前記光弾性変調器の主軸方向Wと前記第1の1/4波長板の主軸方向Hとを近似的に一致させ、前記第1の1/4波長板を前記第2角度目盛に合わせて+45度回転させ、レーザ光が一部透過して前記直流電圧計の値が増加して最小Md1>Mdmになるように調節し、前記第1の1/4波長板と前記検光子の間にある前記第2の1/4波長板を前記光路軸に垂直な平面上で回転させて、前記第2の/4波長板の主軸方向Jと前記第1の1/4波長板の主軸方向Hとを直交(に収斂)させるようにして、前記直流電圧計の値が減少して最小Md1m<Md1になるように調整し、前記偏光子を前記第1角度目盛に合わせて更に+45度回転させ、前記直流電圧計の値が最小Md1mから増加してd1mになるようにし、この状態で前記フォトディテクタで発生した基準電気信号を前記信号処理装置に入力して基準位相差を検出し、次に前記第1の1/4波長板と前記第2の1/4波長板との間に検査試料を配置して前記変調偏光波を透過させて、前記フォトディテクタで発生した透過電気信号を前記信号処理装置に入力して、透過電機信号の交流信号成分から追加分の複屈折位相差を検出し、その後前記基準位相差と前記追加分の複屈折位相差とを前記計算処理装置に入力して比較し、前記検査試料の応力を決定することを特徴とする。
【0016】
第2の発明では、直線偏光波で振動方向Fの赤外線のレーザ光を発生するレーザ光源と、このレーザ光が入射されてその進む光路軸に垂直な平面上で透過主軸Sの方向に振幅する直線偏光波にして出射する偏光子と、この直線偏光波が入射されて所定振動数で直線偏光から円偏光まで連続的に変化する変調偏光波として出射するとともに主軸Wを備える光弾性変調器と、この変調偏光波が入射されとともに主軸Hを備える第1の1/4波長板と、この第1の1/4波長板から出射される変調偏光波が入射されるとともに主軸Jを備える第2の1/4波長板と、この第2の1/4波長板から出射される変調偏光波が入射され透過主軸S2の方向に振幅する直線変調偏光波にして出射する検光子と、この検光子から出射される直線変調偏光波が入射されて前記第1の1/4波長板と第2の1/4波長板の物理特性に応じた基準電気信号を発生するフォトディテクタと、前記基準電気信号が入力されて電圧値を検出し、その数値を表示する直流電圧計と、前記基準電気信号を入力してその交流信号成分から基準位相差を検出する信号処理装置と、前記第1の1/4波長板と第2の1/4波長板との間に検査試料を配置して前記変調偏光波を透過させ、前記フォトディテクタでは当該検査試料の物理特性に応じた透過電気信号を発生し、前記透過電気信号の交流信号成分から追加分の複屈折位相差を前記信号処理装置で検出し、前記基準位相差と前記追加分の複屈折位相差とを比較して、前記検査試料の応力を決定する計算処理装置とからなる応力測定装置において、前記光路軸に垂直な平面上で、前記偏光子を回転させる際の角度を測定する第1角度目盛と前記第1の1/4波長板を回転させる際の角度を測定する第2角度目盛とを設け、前記レーザ光の振動方向Fと前記偏光子の透過主軸方向Sとが直交するように前記偏光子を前記レーザ光の光路軸に垂直な平面上で回転し、前記フォトディテクタに届くレーザ光Rを減少させ、前記直流電圧計の値が最小Mになるようにし、前記偏光子を前記第1角度目盛に合わせて+45度回転(反時計回り)させて、半分のレーザ光を以後の光路に伝達させ、フォトディテクタに届くレーザ光を増加させ、直流電圧計の表示が所定値M0(M0>M)になるようにし、前記偏光子を固定し、前記検光子を前記光路軸に垂直な平面上で回転する事により前記直流電圧計の値が最小Mm1になるようにし、次に、前記検光子を固定し、前記偏光子を回転する事により前記直流電圧計の値が最小Mm2になるようにし、この操作を繰り返し行い、前記フォトディテクタに届くレーザ光が減少して、前記直流電圧計の値が最小Mmn(Mm1>Mm2>…>Mmn)になるように、前記偏光子の主軸方向Sと前記検光子の主軸方向S2を直交させるように配置し、前記光弾性変調器に電源を入れて機能させ、今度は前記光弾性変調器(主軸方向W)を前記光路軸に垂直な平面上で回転させて、前記直流電圧計の値が最小Mdになるようにし、前記偏光子の主軸方向Sと前記光弾性変調器の主軸方向Wとを一致位置に収斂させて配置し、前記光弾性変調器の電源を遮断して非機能とし、前記直流電圧計の前記最小値Mdに変化がないことを確認し、その後に電源を入れて機能させ、前記変調偏光波が入射される位置にある前記第1の1/4波長板を前記光路軸に垂直な平面上で回転させ、前記直流電圧計の値が最小Mdm
になるように調節して、前記偏光子の主軸方向Sと前記光弾性変調器の主軸方向Wと前記第1の1/4波長板の主軸方向Hとを近似的に一致させ、前記第1の1/4波長板を前記第2角度目盛に合わせて+45度回転させて配置し、レーザ光が一部透過して前記直流電圧計の値が増加して最小Md1>Mdmになるようにし、前記第2の1/4波長板を前記光路軸に垂直な平面上で回転させて、前記第2の/4波長板の主軸方向Jと前記第1の1/4波長板の主軸方向Hとを直交(に収斂)させるように配置し、前記直流電圧計の値が減少して最小Md1m<Md1になるように調整し、前記偏光子を前記第1角度目盛に合わせて更に+45度回転させて配置し、前記直流電圧計の値が最小Md1mから増加してd1mになるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、本発明により測定感度および測定精度の向上が実現された。半導体産業に導入された場合、半導体ウエハの生産性向上および品質管理に極めて有効となる。半導体製品の高品質化および低価格化に確実に寄与する。結果として、本発明は、我が国の経済活性化のキー・テクノロジーとなり得ることが考えられる。
【0018】
また、本発明に関わる複屈折位相差測定装置では回転部が無いため、測定速度の高速化および測定精度の向上に技術的な障害はない。したがって、極めて進歩の速い半導体産業に導入された場合、稼働年数を長くとれ、費用対効果が高い。
また、本発明に関わる複屈折位相差測定装置は適用範囲が他に例を見ないほど広範囲であるため、半導体産業のみならず、広範な分野での利用が期待できこの見地からも費用対効果が高い。
【0019】
先行研究の結果と比較して本発明の測定結果の妥当性を確認した。走査型レーザ光弾性測定装置で、従来は殆ど不可能であった厚さ600μm程度のSiおよびGaAsウエハの応力が精度よくかつ高速に測定できることが明らかになった。さらに、Si単結晶のひずみと複屈折の関係おいて新たな知見も得られた。また、市販の厚さ600μmのGaAsウエハにおける残留応力分布の測定を走査型レーザ光弾性実験装置で行い結晶すべりとの関係も明らかになった。
更に受光素子を冷却し恒温に保つことにより、(低雑音で受信できる)測定感度および精度の向上を実現した。
【0020】
進歩の速い半導体産業である今後測定すべき半導体ウエハの残留応力は、更に低下することが予想されるが、本発明は、それにも対応できる。
複屈折位相差測定装置において、半導体ウエハおよび半導体素子の応力ひずみ測定、各種単結晶の完全性評価及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分離された物質の検出を測定感度と精度を向上させて実現した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下この発明の方法と装置を図面に従って説明する。レーザ光弾性を利用した応力測定方法とその装置は、複屈折位相差測定方法とその装置とも呼ばれている。
まず、複屈折位相差測定装置の基本的な構成を図1に示す。図1では各光学素子の偏光主軸や光波の振動方向を説明するため斜視方向から見た図として表示している。図1においてレーザ光源2は、波長範囲170nmから2600nm(赤外波長)のレーザ光Rを発生する。
赤外線は人間の目には見えない、しかし検査試料となる半導体ウエハ1を良く透過するので、本願の測定・検査装置で使用するには最適である。
レーザ光源(He-Ne Laser)2から出たレーザ光Rは、コリメーターレンズ3、焦点レンズ4を通り、偏光子5、PEM6(Photo elastic Modulator:光弾性変調器)、第1の1/4波長板Q1、第2の1/4波長板Q2、検光子10、フォトディテクタ11に到達する。
PEM6の光弾性変調器では、所定振動数で、入射した直線偏光から円偏光まで連続的に変化する変調偏光波を出力する。図2に示す変調制御部15はPEM6の変調を制御し、変調周波数等を変更し、所定振動数に設定する。
【0022】
フォトディテクタ11ではレーザ光Rが電流に変換され、このアナログ検出信号は電流-電圧変換回路と信号増幅回路及びフィルタ回路からなるシグナル
コンディショニング
モジュール17を経由し、直流電圧信号と交流電圧信号にフィルタリングされ、それぞれ、直流電圧計12とロックイン
アンプ(Lock-in Amp)13に導かれる。
ロックイン
アンプ13は、電流-電圧変換回路、増幅回路、低域通過フィルタ回路および高域通過フィルタ回路からなる。そこでは交流電圧信号を測定・増幅し、その後図2に示すアナログ/デジタル変換器16に送り、アナログ検出信号がデジタル信号に変換される。
【0023】
また、シグナル
コンディショニング
モジュール17から出力される直流電圧信号も、図2に示すアナログ/デジタル変換器16に送られ、アナログ検出信号がデジタル信号に変換される。
直流電圧計12は観測者が検出信号電圧をモニターしながら各部品の光軸合わせや、偏光方向を調整するためのものである。これらのデジタル信号はパソコン等の信号処理装置14や図示しないデータ処理装置に送られる。
【0024】
応力を検査・測定される試料の半導体ウエハ1は、第1の1/4波長板Q1と第2の1/4波長板Q2との間に挿入される。図3では試料の半導体ウエハ1は、点線で示す位置Pの、第1の1/4波長板Q1と第2の1/4波長板Q2との間にある。
レーザ光Rは図1で示すように例えば振動方向F成分のみの偏光であり、レーザ光源2を所定の支持具に保持さて固定することで、以後レーザ光Rは振動方向Fを保持する。
【0025】
なお、レーザ光の直線偏光度が良好の場合は偏光子5が必ずしも無くてもよい。しかしその場合は、各素子の設定時にレーザ光Rの偏光方向を回転させるには、レーザ光源2を偏光子5のように回転させる必要があり、各素子の設定(組み上げ)時だけ面倒になる。しかし装置全体のコストダウンがはかれる。
コリメーターレンズ3と焦点レンズ4は所定の支持具に保持させて、その位置を調整することでレーザ光Rを集光させ、そのスポットサイズを決定する。
【0026】
焦点レンズ4は図2に示すように第1の1/4波長板Q1と第2の1/4波長板Q2との間に試料の半導体ウエハ1を挟むように2枚挿入してもよい。
偏光子5は、レーザ光Rを一定の方向に振幅する直線偏光波にして透過させる主軸方向Sを有し、所定の支持具に主軸方向Sを回転可能に保持する。偏光子5の近傍に角度目盛Kを配置し、主軸方向Sの回転角度を読み取れるようにする。
【0027】
PEM6はレーザ光Rを透過させる主軸方向Wを有し、PEM制御部15から印加される変調周波数は例えば42kHzで、これはPEMに使用されている発信用結晶の共振振動数より決定される。PEM6を透過したレーザ光Rは位相変調を受けている。
第1の1/4波長板Q1と第2の1/4波長板Q2とはレーザ光Rを透過させる主軸H方向とJとをそれぞれ有し、1/4波長板Q1、Q2の製造時における位相差の誤差は+-0.5%であり、検光子10はレーザ光Rを透過させる主軸方向S2を有する。
【0028】
フォトディテクタ11は検光子10を透過したレーザ光Rの強度に対応した電流を発生する。ここでPEM6と変調制御部15とは世界市場にある製品であり、この発明では部品として利用するだけであるので、その詳しい説明は省略する。
このフォトディテクタ11は、通電により冷却部と放熱部を形成する恒温素子に物理的に囲まれた光電変換素子である。レーザ光Rは半導体ウエハを透過する赤外線である。赤外線フォトディテクタ11は外気温が変動すると、それも赤外線信号として出力する性質があるため、外気温が変動する環境下では、受光赤外線の微小な変化と外気温の変化を識別できない。
【0029】
そこで、フォトディテクタ11を冷却部に近接した位置に一体的に配置してこの問題を解決している。
例えば円筒体の内方を冷却部とし、外方を放熱部に形成した恒温素子(ペルチェクーラー)の、円筒内の冷却部に光電変換素子を配置して冷却する。このような恒温フォトディテクタ11は公知の材料を使用する。
【0030】
次に、残留応力測定方法について、特に各光学素子の設定・配置方法を図1と図2を参照し、図3に従って説明する説明する。
以下、作業手順にはステップ番号を付けて説明する、図3では各ステップにおける各光学素子の主軸方向を、(図1の)図面正面から見た形式で示している。
まずステップ1では、全装置のレーザ光源2、PEM6、フォトディテクタ11、直流電圧計12、Lock-in Amp13及びパソコン1/4、変調制御部15、データ処理装置の電源を、装置全体を安定状態にするために約4時間前に入れておく。
【0031】
次に、残留応力測定方法について、特に各光学素子の設定・配置方法を図1と図2を参照し、図3に従って説明する説明する。
以下、作業手順にはステップ番号を付けて説明する、図3では各ステップにおける各光学素子の主軸方向を、(図1の)図面正面から見た形式で示している。
まずステップ1では、全装置のレーザ光源2、PEM6、フォトディテクタ11、直流電圧計12、Lock-in Amp13及びパソコン14、変調制御部15、データ処理装置の電源を、装置全体を安定状態にするために約4時間前に入れておく。
【0032】
レーザ光Rは人間の目には見えないので、ステップ2では図示しない改造CCDカメラ又は赤外線ヴィユーワーより、レーザ光源2から出た赤外線Rがフォトディテクタ11に当たっているか、即ち直線上に並ぶように所定保持具にそれぞれ固定させた各素子の中心に、赤外線Rが通るように位置を調整し確認する。
この段階で、フォトディテクタ11にはレーザ光Rが上記の光学素子を介して到達しており、発生した電気信号が直流電圧計12に送られ、電圧値として指示針やデジタルメーターや数字で表示されている。
【0033】
図3においてステップ3では、偏光子5を回転する事によりレーザ光Rの振動方向Fと透過主軸方向Sとを直交させるようにして、フォトディテクタ11に届くレーザ光Rを減少させ、直流電圧計12の値が最小Mになるようにする。即ち偏光子5の主軸方向Sと赤外線He-Neレーザ光Rの振動方向Fとを直交させる。
ステップ4では、偏光子5を角度目盛Kに合わせて+45度回転(図中反時計回り)させ、半分のレーザ光を以後の光路に伝達させる(最後に、偏光子5を+45度回転させる時に赤外線He-Neレーザ光Rの振動方向Fと偏光子5の主軸方向Sが完全に一致させるため)。
【0034】
ステップ5では、電流増幅器(Lock-in Amp)13のオートAuto-Setボタンと位相Phase-Setボタンを押して初期化する。
なお、Lock-in Amp13の働きをパソコン14にさせてしまうことができる。この場合は、Lock-in Amp13をパソコン14内のソフトウエアで作ってしまう方法となる。
ステップ6では、偏光子5の主軸方向Sと受光側にある検光子10の主軸方向S2を直交させ、フォトディテクタ11に届くレーザ光Rが減少して、直流電圧計12の値が最小Mm1になるようにする。
【0035】
検光子10の主軸方向S2の回転は測定者が、手動又は所定の機構を使用して行うので、正確に主軸方向Sと主軸方向S2を1回で直交させることは困難である。
そのために、始めは、偏光子5を固定し、検光子10を回転する事により直流電圧計12の値が最小Mm1になるようにする。次に、検光子10を固定し、偏光子5を回転し直流電圧計12の値が最小Mm2になるようにする。但しこのとき、偏光子5はできるだけ回転させず、できるだけ検光子10の方で調整するように心がける。
【0036】
なぜなら、偏光子5を回転させると、光源の偏光方向FとSの間で透過光の変化が生じる。同時にSとS2の間でも透過光の変化が生じるため、結局、F、S2どちらの影響でフォトディテクタ11に届く光量が変化したのか判然としなくなる。このため、可能な限り検光子10の方で最小値Mmnをねらい、補助的に偏光子5をわずかに回転調節することが望ましい。
この操作を繰り返し行い、直流電圧計12の値が最小Mmnになるようにして、正確に主軸方向Sと主軸方向S2とが高精度に直交するようにする(Mm1>Mm2>…>Mmn)であり、可能な限り最小にするには熟練者でも3時間以上かかる)。
【0037】
また直流電圧計12の最小値Mmnは、限りなく完全な直交に近づく(収斂する、ためゼロに収斂する)が、完全な直交は達成できないので、フォトディテクタ11の暗電流のため幾らかの値Mmnを示している。
ステップ7では、偏光子5と検光子10との間にあるPEM6の電源を入れ、使用(USR)モード(PEM6の機能がON状態になる)にし、今度はPEM6を回転させ、即ちPEM6の主軸方向Wの方向を回転させて、直流電圧計12の値が最小Mdになるように調節する。
【0038】
この時、偏光子5の主軸方向SとPEM6の主軸方向Wとが結果的に一致位置に収斂させるようにする(主軸方向SとPEM6の主軸方向Wとが一致するとレーザ光Rは遮断される位置であるが、収斂はするが完全に一致させることは出来ない、便宜上一致という)。
ステップ8では、PEM6の設定を、不可(INH)モード(PEM6の機能がOFF状態になる)にしても、直流電圧計12の最小値Mdに変化がないことを確認し、USRモードに戻す。
【0039】
ステップ9ではステップ9ではPEM6と検光子10の間にある第1の1/4波長板Q1を回転させ、直流電圧計12の値が最小Mdmになるように調節する。偏光子5の主軸方向SとPEM6の主軸方向Wと1/4波長板Q1の主軸方向Hとを近似的に一致させる。
ステップ10では、第1の1/4波長板Q1を角度目盛K2に合わせて+45度回転させ、レーザ光Rが一部透過して直流電圧計の値が最小Md1>Mdmになるように調節する(副尺などを利用してノギスの要領で正確に行う)。
【0040】
ステップ11では、第1の1/4波長板Q1と検光子10の間にある第2の1/4波長板(Q2)を回動させて、第2の1/4波長板Q2の主軸方向Jと第1の1/4波長板Q1の主軸方向Hとを直交(に収斂)させるようにして、直流電圧計12の値が減少して最小Md1m<Md1になるように調整する。
ステップ12では最初の偏光子5を角度目盛Kに合わせて更に+45度回転させ、直流電圧計12の値が最小d1m>Md1mになるようにする。
【0041】
直流電圧計12の値が最小d1mの状態では、フォトディテクタ11に到達するレーザ光RはPEM6の主軸方向Wの半分遮断効果と、第1の1/4波長板Q1の主軸方向H及び第2の1/4波長板Q2の主軸方向Jの(完全ではない)全部遮断効果(位相差発生効果)とを受けている。
なお、(図1、図3の場合)図面の正面から見て“-”は時計回りの事、“+”は反時計回りを意味する。
【0042】
ステップ12の状態では、PEM6は、偏光子5の主軸方向Sが+45度傾いているので、入射してくるレーザRの直線偏光を、図4のような直線偏光と楕円偏光の繰り返に状態に変調した(を規則的に繰り返す)変調偏光波を出力する。
この変調偏光波は、変調制御部15から印加される42kHzの周期で連続的に、図4中時間tの経過と共に左から右方向に示すように、変調されている。
この変調偏光波は第1の1/4波長板Q1に入射され、そこでは図5の実線で方向を示す矢印の直線偏光となり、この矢印の直線偏光は42kHzの周期で連続的に、図5中時間tの経過と共に左から右方向に示すように、回転(旋回)しながら試料を透過して行く。
【0043】
この旋回している直線偏光は第2の1/4波長板Q2に入射され、(Q1と)直交している第2の1/4波長板Q2では、第1の1/4波長板Q1による旋回している直線偏光が復調されて、その前の図4に示した、直線偏光と楕円偏光を規則的に繰り返す変調偏光)に戻って、検光子10に到達する。但し、Q1とQ2の間に試料がセットされていれば、完全には復調されないため、既知の完全復調状態と未知の未完全復調状態の比較から、試料の位相差が測定される。
ステップ3からステップ12までの本装置の設定は、装置を組み立てる初期段階で行い、地震などの外乱がなくこの設定の状態で各光学素子の配置関係を維持すれば、以後経年疲労による変動がない限り、再設定の必要はない。
【0044】
次に測定動作について説明する。
ステップ12の状態では、レーザ光源2から出たレーザ光Rは、ほぼ全光量がコリメーターレンズ3、焦点レンズ4、偏光子5を通り(振動方向Fと主軸方向Sが平行)、PEM6に入射する。
レーザ光Rの光路上でPEM6の主軸方向Wは、備光子5の主軸方向Sと45度の角度をなしており、レーザ光Rは、所定の光量第が第1の1/4波長板Q1に入射される。
【0045】
ここで、PEM6はUSRモードであり、偏光子5から入射した例えば波長λ=1150nmのレーザ光Rはそこで、例えば変調周波数42kHzで、即ち42,000刻み(サイクル)の位相変調を受ける。
図4で時間tの経過と共に左から右方向に示すように、このPEM6の光弾性変調器では直線偏光波のレーザ光Rを所定振動数の42kHzで直線偏光から円偏光まで連続的に変化させて(位相)変調偏光波としている。
即ち、PEM6は42kHzで変化する印加電圧Tzに比例した複屈折位相差を直線偏光波のレーザ光Rに与える。
【0046】
この変調偏光波は第1の1/4波長板Q1に入射され、そこでは図5の実線で方向を示す矢印の直線偏光となり、この矢印の直線偏光は42kHzの周期で連続的に、図5中時間tの経過と共に左から右方向に示すように、回転しながら(旋回しながら試料を)透過して行く。
この旋回している直線偏光は第2の1/4波長板Q2に入射され、(Q1と)直交している第2の1/4波長板Q2では、第1の1/4波長板Q1による旋回している直線偏光が復調されて、その前の直線偏光に戻って、検光子10に到達する。
但し、Q1とQ2の間に試料1がセットされていれば、完全には復調されないため、既知の完全復調状態と未知の未完全復調状態の比較から、試料の位相差が測定される。
【0047】
ここで、複屈折の定義について説明する。光波は振動方向が垂直・水平である2つの平面波に分かれて進行し、等方・均質の物質(媒質)を透過する時は、進行速度(位相)は互いに等しい、しかし誘電的な異方性物質、残留応力を持つ半導体ウエハなどを透過する時は、垂直・水平2つの平面波の進行速度(位相)が互いに異なってくる。この2つの平面波の位相差(速度差)を複屈折という。
一方PEM6で図4の光弾性変調を受けてレーザ光Rは直線偏光と楕円偏光を規則的に繰り返す位相変調偏光となり、第1の1/4波長板Q1では旋回している直線偏光になる。
【0048】
第2の1/4波長板Q2ではQ1と逆の現象が起こるゆえ、Q2に入射する光波は直線偏光と楕円偏光を規則的に繰り返す位相変調偏光に復調される。
但し、試料の持つ複屈折位相差の大小及び複屈折の方向によって復調の度合いが変化する。しかしながら、必ずしも完全にではないが、直線偏光と楕円偏光を規則的に繰り返す位相変調偏光に戻る。この直線偏光と楕円偏光の繰り返しは、主軸方向S2を間欠的に含む偏光波である。ゆえに、検光子10も通過することができ、フォトディテクタ11に到達し、その強度に対応した交流部を含む電流即ち基準電気信号を発生する。
【0049】
この基準電気信号をシグナル
コンディショナル
モジュール17に入力して電流-電圧変換回路、増幅回路、フィルタ回路を介して、入力信号の直流成分と交流成分を分離する。直流成分は直流電圧計12で電圧をモニターされ、アナログ/デジタル変換器16へ入力される。交流成分はロックイン
アンプ13にてその交流電圧を測定され、その交流電圧がアナログ/デジタル変換器16へ入力される。コンピュータ14では受信したデジタル信号より数値演算を行い結果をメモリへ格納する。なお、コンピュータ内の数値演算は、公知のフーリエ解析によって得られた数式に基づいて行われる。
【0050】
なお、ロックイン
アンプ13をパソコンの信号処理装置14内でプログラム的に実行することも可能である。
この場合は、基準電気信号を増幅器13に入力して増幅し、この増幅された基準電気信号をアナログ/デジタル変換器16に送り、そこではアナログ検出信号がデジタル信号に変換される。この基準電気信号のデジタル信号は、信号処理装置14に入力され。交流部含む基準電気信号は信号処理装置14で周波数毎のスペクトル分析を行い、基準信号データが生成される。
この基準信号データは、PEM6で偏光波のレーザ光Rが光弾性変調を受けたため、複屈折位相差を発生し、第1の1/4波長板Q1及び第2の1/4波長板Q2を通過した後に検出される。この基準信号データは信号処理装置1/4の所定のメモリに記憶される。
【0051】
次に第1の1/4波長板Q1と第2の1/4波長板Q2との間に試料の半導体ウエハ1を図3の点線Pの位置に配置する。
なお、試料は半導体ウエハに限定されず、液体が試料でも可能である。具体的には高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分離された物質の検出装置としても利用でき、化学分野にも進出できる。
そもそも本方法では応力測定は一部の使い方であり、厳密には位相差測定を行っており、位相差から、応力が求まり、また特定の物質が検出でき、応力測定に限定されるものではない。
【0052】
PEM6による変調偏光波を1/4波長板Q1、半導体ウエハ1、第2の1/4波長板Q2の順に透過させる。
一方PEM6で図4の光弾性変調を受けてレーザ光Rは直線偏光と楕円偏光を規則的に繰り返す位相変調偏光となり、第1の1/4波長板Q1では旋回している直線偏光になる。直線偏光を試験片に透過させた場合は、試験片の応力の方向と大きさを次の方法で探索でき、応力の方向は、応力の方向と直線偏光とのなす角が互いに0度あるいは90度の時に検出できる。応力の大きさは、応力の方向と直線偏光とのなす角が互いに45度の時に初めて検出される。
【0053】
従って、旋回する直線偏光を試料に入射することで、試験片の応力の方向と大きさを、試験片や光学系の回転を伴わずに測定することができる。
即ちPEM6で光弾性変調を受けて1/4波長板Q1を通過した偏光波のレーザ光Rは複屈折位相差があり、例えば主軸H成分から分離した主軸J成分が生成されて、更に残留応力を有する半導体ウエハDを通過する。
この時前述した条件が満たされる。即ち直線偏光を試験片に透過させた場合は、試験片の応力の方向と大きさを次の方法で探索でき、応力の方向は、応力の方向と直線偏光とのなす角が、時間の経過とともに互いに0度あるいは90度になった時に検出できる。
応力の大きさは、応力の方向と直線偏光とのなす角が、時間の経過とともに互いに互いに45に度なった時に初めて検出される。
【0054】
その際更に応力の物理量に対応する光弾性変調を受けて追加分の複屈折位相差を発生して、第2の1/4波長板Q2を通過する(に入射する)。Q2に入射した光波は直線偏光と楕円偏光を規則的に繰り返す位相変調偏光に復調される。但し、試料の持つ複屈折位相差の大小及び複屈折の方向によって復調の度合いが変化する。しかしながら、必ずしも完全にではないが、直線偏光と楕円偏光を規則的に繰り返す位相変調偏光に戻る。この直線偏光と楕円偏光の繰り返しは、主軸方向S2を間欠的に含む光波である。
【0055】
ゆえに、その光波は検光子10を透過し、(追加分の複屈折位相差を有するレーザ光Rは、更に傾いた主軸S2の検光子10も通過し)、フォトディテクタ11に到達し、その強度に対応した電流即ち透過電気信号を発生する。
この基準電気信号をシグナル
コンディショナル
モジュール17に入力して電流-電圧変換回路、増幅回路、フィルタ回路を介して、入力信号の直流成分と交流成分を分離する。直流成分は直流電圧計12で電圧をモニターされ、アナログ/デジタル変換器16へ入力される。
【0056】
交流成分はロックイン
アンプ13にてその交流電圧を測定され、その交流電圧がアナログ/デジタル変換器16へ入力される。コンピュータ1/4では受信したデジタル信号より数値演算を行い、結果を所定メモリへ格納する。なお、コンピュータ内で行う数値演算は、公知のフーリエ解析によって得られた数式に基づいて行われる。
この演算結果は、PEM6で光弾性変調を受けて1/4波長板Q1通過し、更に半導体ウエハ1で光弾性変調を受けて第2の1/4波長板Q2を通過した偏光波のレーザ光Rが、Q1とQ2の間に試料がセットされていれるがために、完全には復調されないことから、既知の完全復調状態と未知の未完全復調状態の比較から、試料の位相差を導いたものである。
【0057】
即ちこの透過電気信号を増幅器13に入力して増幅し、この増幅された透過電気信号をアナログ/デジタル変換器16に送り、そこではアナログ検出信号がデジタル信号に変換される。このデジタル信号をパソコン等の信号処理装置14入力して、そこで透過信号データを生成する。
この透過信号データはPEM6で光弾性変調を受けて1/4波長板Q1通過し、更に半導体ウエハ1で光弾性変調を受けて第2の1/4波長板Q2を通過した偏光波のレーザ光Rが有する追加分を含む複屈折位相差に基くものである。この透過信号データは信号処理装置14の所定のメモリに記憶される。
【0058】
信号処理装置14は、算出された複屈折位相差から、公知の演算方法を用いて試料1の応力やひずみを求める、あるいは微量物質の検出などを行う。
即ち、信号処理装置14は、所定のメモリに記憶された基準信号データとこの透過信号データとを読み出し、これら信号データとを所定の演算処理、互いに比較して、基準複屈折位相差と追加分の複屈折位相差の絶対値とをそれぞれ算出する。
更に信号処理装置14は、基準複屈折位相差と追加分の複屈折位相差の絶対値とを、所定の物性公式や方程式に代入して、半導体ウエハ1の残留応力を決定する。
【0059】
レーザ光Rを透過する材料であれば、試料の半導体ウエハ1に限らず、透明、半透明なら形状に関係無く、板状、任意の塊で、プラスチックやセラミック、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、厚さ10μ以下の薄いセロハンフイルムにも応用して複屈折位相差を測定でき、応力やひずみを決定できる(に換算できる)。
また、レーザ光Rのビームを絞ることで、直径10μ(よりも狭い範囲の)内の複屈折の平均の大きさと方向が測定できる。
【0060】
本発明による方法と装置によって、極めて低い誤差(±3.14nm)で複屈折位相差の大きさと方向の絶対測定が可能となった。但し、この誤差は、装置の校正に用いている既知の位相差を有する位相板の誤差である±144nmを含む、すなわち大きく見積もった値である。±3.14nmの誤差は、厚さ1mmのSiウエハの応力に換算すると約±0.21MPaとなる。これは1平方(ミリ)mmあたり約21gの荷重が作用している事に相当する。厚さ0.6mm(600ミクロン)のSiウエハなら約±0.105MPaとなる。これは1平方(ミリ)mmあたり約10.5gの荷重が作用している事に相当する。
このくらい微小な応力は常温常圧のもとでは測定がかなり困難とあり、また測定誤差はこのように極めて小さい。更にPEM6による位相変調量、変調周波数数を適宜変更することで、ナノテクレベルの位相差に基づき、精度:+-0.105MPa まで絶対量として具体的に検出できる。
【0061】
超VLSI(超小型、超低電力、超高速、多機能)のウエハ上での高密度化が進んだ今日では、残留応力の高精度での測定が不可欠になった。壊れ難い超VLSI素子を製作する工程への適応が即可能である。
更に本願によれば、市販の厚さ600μmのGaAsウエハを用いてGaAs単結晶の光弾性特性に及ぼす結晶方位の影響についても検証された。
光弾性特性と結晶方位の関係に及ぼす光源波長の影響を、どの波長域で実施すれば合理的で信頼性の高いかも検証され、工業的に極めて有益である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の応力測定装置でロックインアンプを備えた主要構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の応力測定装置でコンピュータがロックインアンプ機能を備えた主要構成を示す側面図である。
【図3】本発明の残留応力測定方法を説明するための図1に示す構成の角度配置図である。
【図4】本発明の残留応力測定方法を説明するための前段階の偏光状態を示す図である。
【図5】本発明の残留応力測定方法を説明するための後段階の偏光状態を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 試料
2 レーザ光源
3 コリメーターレンズ
4 焦点レンズ
5 偏光子
6 PEM
10 検光子
11 フォトディテクタ
12 直流電圧計
13 増幅器(ロックイン
アンプ)
14 信号処理装置(コンピュータ)
15 変調制御部
16 アナログ/デジタル変換器
17 シグナル
コンディショナル
モジュール
K、K2 角度目盛
Q1、Q2 第1の1/4波長板、第2の1/4波長板
R レーザ光
F、H、J、S、S2、W 偏光主軸方向
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4