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明細書 :薄膜形成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4500961号 (P4500961)
公開番号 特開2005-347653 (P2005-347653A)
登録日 平成22年4月30日(2010.4.30)
発行日 平成22年7月14日(2010.7.14)
公開日 平成17年12月15日(2005.12.15)
発明の名称または考案の名称 薄膜形成方法
国際特許分類 H01L  21/318       (2006.01)
B01J  23/30        (2006.01)
C01B  21/082       (2006.01)
C23C  16/42        (2006.01)
C23C  16/44        (2006.01)
FI H01L 21/318 B
B01J 23/30 M
C01B 21/082 K
C23C 16/42
C23C 16/44 A
請求項の数または発明の数 1
全頁数 7
出願番号 特願2004-167883 (P2004-167883)
出願日 平成16年6月7日(2004.6.7)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 「2004年(平成16年)春季 第51回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集」、第2分冊、社団法人応用物理学会、2004年3月28日発行、第910頁
審査請求日 平成19年4月9日(2007.4.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
発明者または考案者 【氏名】和泉 亮
【氏名】小田 晃士
個別代理人の代理人 【識別番号】100077263、【弁理士】、【氏名又は名称】前田 純博
審査官 【審査官】大塚 徹
参考文献・文献 特開昭63-178532(JP,A)
特開2003-179054(JP,A)
特開2003-347241(JP,A)
特開2005-310861(JP,A)
調査した分野 H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/469
C23C 16/00~16/56
特許請求の範囲 【請求項1】
気化したヘキサメチルジシラザンとアンモニアを含む混合気体を、加熱されたタングステン触媒体に接触させ接触分解反応により生じた化学種を、表面温度が250℃以下の基板表面に触れさせ、該基板表面上にSiCN薄膜を形成するに際し、X線光電子分光法で測定したSi(2p)におけるSiN結合のピーク強度とSiC結合のピーク強度の比率が0.65~0.95:0.35~0.05の範囲にある炭窒化珪素の薄膜を形成することを特徴とする薄膜形成方法。
上式SiCNにおいて、x及びyは、夫々0<x<1、0<y<4/3の範囲で、4x+3y=4を満たす数値を表す。]
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は化学気相蒸着(CVD)法による薄膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シリコンLSIへのSi化合物薄膜形成方法として、プラズマCVD法、熱CVD法、光CVD法等が良く知られている。例えば、原料にシラザンを用いる熱CVD法による窒化珪素(SiN)薄膜の形成、及び原料ガスにモノシラン(SiH4)及びアンモニア(NH3)を用いるプラズマCVD法による窒化珪素(SiN)や炭窒化珪素(SiCN)薄膜の形成は、シリコンのLSI用の誘電体薄膜として広く用いられてきた。

【特許文献1】特開2000-212747号公報
【特許文献2】特開2003-347241号公報
【非特許文献3】Wenjuan Cheng et al., MaterialsChemistry and Physics, 85(2004)370-376.
【0003】
保護膜として一般的に使用されているSiN膜は、硬い為、強いストレスが生じやすく、割れ易いという欠点を有するが、これをSiCN組成とするとストレスを緩和できる効果がある。又、LSIのエッチストッパー膜として使用されるLow-k材料と組み合わせる保護膜としては、比誘電率が低いという観点からも、SiCN膜が好ましい。上記のモノシラン及びアンモニアを用いるプラズマCVD法ではモノシランに爆発性があり、その取り扱いには完備した安全対策が必要という問題があった。また、窒化珪素付近の組成の膜しか成長できず、組成の異なるSiCN膜を形成することは困難であった。さらに、CVD法では基板温度が高くなったり、高速の水素プラズマにより基板に損傷を与えるため、有機化合物等の低融点基板を用いることが出来ない問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点や制約に鑑みなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、Si、C、Nの3元素組成物SiCNのx、yを制御して、高融点材料上のみでなく有機化合物上へ、爆発等の危険性を伴うことなく安全に、低温形成も可能にするSiCN薄膜の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載のように、気化したシラザン又は気化したシラザンと窒素を含有する化合物を含む混合気体を加熱された触媒体に接触させ、接触分解反応により生じた化学種を基板表面に触れさせ、該基板表面上にSiCN薄膜を形成することを特徴とする薄膜形成方法を構成する。但し、SiCxNyにおいて、x及びyは、夫々0<X<1、0<y<4/3の範囲で、4x+3y=4を満たす数値を表す。シラザンとしては、蒸着装置内で気化できるものであればよいが、組成調整の自由度が高いこと、汎用、低価格、蒸気圧が高いという理由で、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。また、本発明は、請求項3に記載のように、請求項1記載の薄膜形成方法において前記窒素を含有する化合物がアンモニアであることを特徴とする薄膜形成方法を構成する。
【0007】
また、本発明は、請求項4に記載のように、請求項1~3記載の薄膜形成方法において、前記基板の表面温度が150℃以下であることを特徴とする薄膜形成方法を構成する。
【0008】
また、本発明は、請求項5記載のように、請求項1又は2又は3又は4記載の薄膜形成方法において、前記触媒体がタングステン、タンタル、モリブデン、バナジウム、レニウム、白金、トリウム、ジルコニウム、イットリウム、ハフニウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、シリコン、炭素のいずれか1つの材料、これら材料の単体の酸化物、これら材料の単体の窒化物、これら材料(炭素を除く)の単体の炭化物、これらの材料から選択された2種類以上からなる混晶または化合物の酸化物、これらの材料から選択された2種類以上からなる混晶または化合物の窒化物、又は、これらの材料(炭素を除く)から選択された2種類以上からなる混晶または化合物の炭化物の何れか1つであることを特徴とする薄膜形成方法を構成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施により、Si、C、Nの3元素組成物SiCNのx、yを制御して、高融点材料上のみでなく有機化合物上へ、爆発等の危険性を伴うことなく安全に、低温形成も可能にするSiCN薄膜の形成方法を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の態様について図を用いて説明する。本発明に係るSiCN薄膜を形成する反応装置としては、例えば、特許文献2記載の反応装置を用いることができる。図1は本発明に用いた薄膜形成装置の断面の概略図である。反応室1の下面のガス流入口2からシラザン、シラザンとアンモニアガスのような窒素を含有する化合物、又は必要に応じて水素ガスを加えた混合ガス3を反応室に送り込む。なお、ここでシラザンはその組成中にSiCN形成に必要なSi、C、Nを含んでおり、特にヘキサメチルジシラザン(HMDS)は、炭素源となるメチル基を多く含み、組成調整の自由度が高く、且つこの目的に適した適度の蒸気圧を有する、爆発性のない物質である。反応室1外の直上部にはヒータ4を設置し、ヒータ4直下の反応室1内に基板ホルダー5があり基板6を加熱する。基板6は基板ホルダー5に被着面を下に向けて設置する。基板6とガス流入口2の中間にタングステン線からなる触媒体7を設置し、触媒体7を高温に加熱して流入した混合ガス3を分解する。分解生成物には発生期の水素、窒素やシリコンのラジカルがあり、これらが基板表面上で安定なSiCNを形成するものと考えられる。シャッター8は、上記分解反応が安定化するまで、基板への被着を防止するためのものである。排気口9は、反応残余ガスを排出するためのものである。
【実施例1】
【0011】
このような反応装置を用い、基板6として鏡面状のSiウエーハ、反応室1内の圧力を2.7×10-5Pa,タングステン触媒体7を1600℃、基板6の温度100℃で一定流量のHMDSに対し、水素ガスの流量とアンモニアガスの流量を変化させ、20分間薄膜の形成を行った。
【0012】
図2と図6にその結果の1例を示す。図2の(a)は、HMDSに混合するガスが水素ガス50sccmのみでアンモニアを加えない場合の、薄膜のX線光電子分光法(XPS)で測定したスペクトルを示す。横軸は結合エネルギー、縦軸は光電子強度である。図2の(b)は、HMDSに混合するガスが水素ガス流量30sccm、アンモニアガス流量50sccmの場合の、薄膜のXPS測定結果である。図6は、図2の(a)及び
(b)のSi(2p)部分の横軸を拡大して、図(a)及び図(b)を重ねて描いたものである。なお、SiCNスペクトルのSi(2p)のピ-クは、図3に示すようにSiNのピークとSiCのピークに分解できる。SiNのピークの強度をISiN、SiCのピークの強度をISiCとする。
【0013】
図4に、基板温度が100℃の場合の、このISiNとISiCとの和に対するISiN、ISiCそれぞれの比とアンモニア流量との関係を示す。図から、アンモニアガス流量が少ない場合はSiCリッチの組成になっており、またアンモニアガス流量が多いところではSiNリッチの組成になっている。このことよりSiCNの組成を、アンモニア流量を変えることによって制御できることがわかる。また、基板温度250℃の場合の図5に示す。図4と同様の傾向の結果を示している。また、このように基板温度変化によっても、この薄膜の組成が変化することを示している。
【0014】
また、前記触媒体が請求項5記載のように、該触媒体がタングステン以外のタンタル、モリブデン、バナジウム、レニウム、白金、トリウム、ジルコニウム、イットリウム、ハフニウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、シリコン、炭素の何れか1つの材料、これらの材料の単体の酸化物、これらの材料の単体の窒化物、これら材料(炭素を除く)の単体の炭化物、これらの材料から選択された2種類以上からなる混晶または化合物の酸化物、これらの材料から選択された2種類以上からなる混晶または化合物の窒化物、又は、これらの材料(炭素を除く)から選択された2種類以上からなる混晶または化合物の炭化物、のいずれであっても同様の結果が得られた。
【実施例2】
【0015】
図1に示した反応装置を用い、基板ホルダー5に有機材料であるポリエステル板を装着し、基板ホルダー温度を70℃に設定し、タングステン触媒体7の温度1600℃、一定流量のHMDSに対し水素ガスの流量30sccm、アンモニアガスの流量50sccmで20分間薄膜の形成を行った。その結果、SiCN薄膜がポリエステル板上に形成された。このSiCN薄膜はポリエステル板と熱膨張係数差が大きいにもかかわらず、剥離や変形などを示さず均質の被着膜となり、有機物への通気性のないSiCNのコーティングが可能であった。
【0016】
このように、Siを含有しない基板上に、SiCN薄膜を形成することができることが本発明の大きな特徴であり、有機材料としてはアクリル、テフロン、ポリエステル等塊状、板状、膜状、線状の素材への被着が可能である。また、被着するSiCN組成は水素ガスとアンモニアガスの流量比、基板温度等によって変化させることができる。
【0017】
また、前記触媒体が請求項5記載のように、該触媒体がタングステン以外のタンタル、モリブデン、バナジウム、レニウム、白金、トリウム、ジルコニウム、イットリウム、ハフニウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、シリコン、炭素の何れか1つの材料、これらの材料の単体の酸化物、これらの材料の単体の窒化物、これら材料(炭素を除く)の単体の炭化物、これらの材料から選択された2種類以上からなる混晶または化合物の酸化物、これらの材料から選択された2種類以上からなる混晶または化合物の窒化物、又は、これらの材料(炭素を除く)から選択された2種類以上からなる混晶または化合物の炭化物のいずれであっても同様の結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明によれば、危険なガスを使用することなく、しかも比較的低温で、SiCN膜を半導体基板だけでなく有機物フイルム上にも形成することができる。従って、本発明は、半導体産業以外の化学、鉄鋼、食品など幅広い産業にも普及する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の方法を実施するための装置(一例)の断面の概略図である。
【図2】本発明により形成されたSiCN薄膜のXPSスペクトルが、混合ガスの組成により変化することを示す図である。
【図3】本発明により形成されたSiCN薄膜のXPSスペクトルのSi(2p)ピークを、Si-C結合のピークとSi-N結合のピークに分解して示したものである。
【図4】本発明により形成されたSiCN薄膜組成を、混合ガス組成変化により制御できることを示す図である。
【図5】本発明により形成されたSiCN薄膜組成を、混合ガス組成変化により制御できることを示す図である。
【図6】本発明により形成されたSiCN薄膜のXPSスペクトルの、図2の(a)及び (b)のSi(2p)部分の横軸を拡大し、重ねて描いたものである。
【符号の説明】
【0020】
1 反応室
2 ガス流入口
3 混合ガス
4 ヒータ
5 基板ホルダー
6 基板
7 タングステン触媒体
8 シャッター
9 排気口
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図2】
2
【図6】
3
【図4】
4
【図5】
5