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明細書 :導電性付与可能なLB膜及び導電性LB膜

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4543169号 (P4543169)
公開番号 特開2006-024527 (P2006-024527A)
登録日 平成22年7月9日(2010.7.9)
発行日 平成22年9月15日(2010.9.15)
公開日 平成18年1月26日(2006.1.26)
発明の名称または考案の名称 導電性付与可能なLB膜及び導電性LB膜
国際特許分類 H01B   5/14        (2006.01)
G11B   7/244       (2006.01)
G11B   7/24        (2006.01)
H01B   1/12        (2006.01)
C07C 255/31        (2006.01)
C07F  13/00        (2006.01)
FI H01B 5/14 Z
G11B 7/24 516
G11B 7/24 522C
H01B 1/12 B
C07C 255/31
C07F 13/00 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2004-203624 (P2004-203624)
出願日 平成16年7月9日(2004.7.9)
審査請求日 平成19年6月4日(2007.6.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】石黒 勝也
審査官 【審査官】前田 寛之
参考文献・文献 特開平10-077461(JP,A)
特開昭62-205076(JP,A)
特開平05-274919(JP,A)
特開平05-183175(JP,A)
調査した分野 H01B 5/14
G11B 7/24
G11B 7/244
H01B 1/12
C07C 255/31
C07F 13/00
特許請求の範囲 【請求項1】
電子受容体有機化合物よりなる薄層と光増感性基と電子を供与することにより不可逆的に化学変化する基とを一分子中に有する有機化合物よりなる電子供与体の薄層との2重層構造よりなる、可視光乃至紫外光の照射により、電子受容体有機化合物層が導電体となるLB膜であって、前記電子供与体は、可視光乃至紫外光により光増感性基が励起され、自らは化学結合が開裂し、電子を放出して不可逆的な化学変化を起こし、該電子を電子受容体有機化合物に供与することを特徴とする導電性付与可能なLB膜。
【請求項2】
前記請求項1記載の導電性付与可能なLB膜に可視光乃至紫外を照射することにより、電子受容体部を導電体とした、2重層構造よりなる導電性LB膜。
【請求項3】
電子受容体有機化合物が下記一般式(1)で示される請求項1又は2記載の2重層構造
よりなるLB膜。
【化1】
JP0004543169B2_000008t.gif


(但し、nは12~18の整数を表す)
【請求項4】
光増感性基と電子を供与することにより不可逆的に化学変化する基とを一分子中に有す
る有機化合物よりなる電子供与体が下記一般式(2)で表される請求項1又は2記載の2
重層構造よりなるLB膜。
【化2】
JP0004543169B2_000009t.gif
(但し、XはPF6、BF4、ClO4を表す)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射により導電性を付与することが可能なラングミュア・ブロジェット膜(以下LB膜という)に関する。また該LB膜に可視光乃至紫外線を照射し、導電体としたLB膜に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性の有機物質は、極めて限られており、安定に電子を受容し得る特定の構造を有する化合物である。これらの中には圧力を加えると導電性になるものや、光を照射することにより導電性となるものなどがある。
【0003】
本発明は、光感応性電導膜であり、特に電子受容体有機化合物よりなるLB膜と電子供与体よりなるLB膜とが積層された薄膜よりなる。
【0004】
2重構造を有する電導性膜としては有極性と無極性の誘電体膜或いは分極方向の異なる二つの有極性膜を重ねたヘテロ膜で作られた金属と同じ程度或いはそれ以上の導電率を持つ導電膜と電気絶縁に使用出来る絶縁膜が提案されている(特許文献1)。
【0005】
この膜は、少なくとも一方の誘電体膜がLB膜である。しかしながら、上記導電性薄膜は、光等で励起することにより導電性とするものではない。
【0006】
また、高い親電子性を有するテトラシアノキノジメタン(以下TCNQという)と光感応性の電子供与体物質とを粉砕混合して有機溶媒に溶解して用い、LB膜を形成することによって、光感応性の薄膜を得る方法も提案されている(非特許文献1)。この膜は、光照射によって、一旦は導電性が付与されるが、間もなく、導電性が失われる。その理由は電子を受けたTCNQが共存する電子供与体に由来する陽イオンとの間で塩を形成し、絶縁体となるためと考えられる。
【0007】
以上の如く、従来光照射により導電性を付与し、半永久的にその導電性が保たれるという有機薄膜は存在しないのである。
【0008】

【特許文献1】特開平6-132517号
【非特許文献1】ケミストリー レターズ(日本化学会)1999年241-242頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は光を照射することにより、半永久的に導電性を付与することが可能な有機薄膜を提供するものであり、また導電性を有する有機薄膜を提供するものである。すなわち、上記TCNQを含むLB膜が導電性を失う機構を究明した結果、TCNQが明確な親水性部及び疎水性部より構成された分子でないため、LB膜中での同分子の配列に乱れがあり、電子供与体より生成した陽イオンと容易に結合して塩を形成すること、及び電子供与体自体、光により励起されて電子を放出する割合が比較的多くないためであることをつきとめ、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電子受容体有機化合物よりなる薄層と、光増感性基と電子を供与することにより不可逆的に化学変化する基とを一分子中に有する有機化合物よりなる電子供与体の薄層との2重層構造よりなる、可視光乃至紫外光の照射により、電子受容体有機化合物層が導電体となるLB膜であって、前記電子供与体は、可視光乃至紫外光により光増感性基が励起され、自らは化学結合が開裂し、電子を放出して不可逆的な化学変化を起こし、該電子を電子受容体有機化合物に供与することを特徴とする導電性付与可能なLB膜である。

【0011】
また本発明は、前記導電性付与可能なLB膜に可視光乃至紫外を照射することによる、電子受容体部を導電体とした2重層構造よりなる導電性LB膜である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により得られる薄膜は、薄膜に可視光乃至紫外線(以下これらを総称して単に光という)を照射することにより、特に該光の照射を受けた部分を選択的に導電性とすることができるため、光メモリーやIC回路の作成など光エレクトロニクスの分野において有効に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、電子を受け取り導電体となる有機化合物(以下単に電子受容体ともいう)例えば、TCNQ及びそのキノン環に疎水性基が置換された誘導体、プロトポルフィリン、アセチレンオリゴマー、チオフェン、ピロール、チアジル、アズレン、インデン、インドール、パラフェニレン、ナフチレン、アントラセン、アニリン、フタロシアニン、フェロセン等又はそれらの誘導体よりなるLB膜、中でも下記一般式(1)で示されるようなメチレン鎖を有する化合物、特にメチレン鎖が7~16連なったアルキル基がキノン環に結合したTCNQはLB膜とするとき、分子配列が整った優れた成膜性能を有し、延いては、長期にわたって導電性を保持することが可能となるので、本発明において好ましいLB膜を与える。
【0014】
【化8】
JP0004543169B2_000002t.gif
(但し、nは12~23の整数を表す)
【0015】
また、一分子中に光増感基と電子を供与することにより、不可逆的に化学変化する基を併せ有する化合物(以下単に光増感性電子供与体ともいう)は、それぞれ、公知の光増感基と光により分子間結合が切断され、その一方が電子を放出し、他方がラジカルとなるような官能基を有するものであれば、特に限定されない。
【0016】
これらの各官能基としては、例えば光により開裂して電子を放出するものとしては、次の式(3)の1~4にそれぞれ示す基やアリール基を結合したエチレンジアミン類であり、例えば式(4)に示す官能基などが推奨される。
【0017】
【化3】
JP0004543169B2_000003t.gif

【0018】
【化4】
JP0004543169B2_000004t.gif

【0019】
特に、アミノ基に長鎖のアルキル基が結合したアミン類は、LB膜の成膜性が良いため、炭素数10~24のアルキル基が結合したジアミン類が推奨される。中でも炭素数12のアルキル基が結合するものが良い結果を得る。
【0020】
また、光増感基としては、特に限定されることなく、従来公知の光増感基が利用可能であるが、特に式(5)に示されるレニウム錯体等が好適である。
【0021】
【化5】
JP0004543169B2_000005t.gif

【0022】
本発明にあっては、上記のとおり、一分子中に光増感性基と光により励起されて、化学結合が開裂し、電子を放出する基を併せ有する化合物のLB膜層を有することが重要であり、かくして光を照射した場合の反応効率が著しく向上し、延いては本発明のLB膜における導電性が高くなるのである。しかも、本発明にあっては、電子受容体と光増感性電子供与体とがそれぞれ、整った分子配列の単分子層として積層されているため、電子の移動は極めてスムーズに行われるにもかかわらず、両者の塩の形成による不導体化を生じないのである。
【0023】
本発明において好ましい電子受容体層と光感応性電子供与体との組み合わせは、次の式(6)に示される電子受容体よりなる薄層と式(7)で示される光感応性電子供与体よりなる薄層よりなる2層構造のLB膜である。
【0024】
【化6】
JP0004543169B2_000006t.gif

【0025】
【化7】
JP0004543169B2_000007t.gif

【0026】
次に本発明のLB膜の形成方法は、特に限定されず、一般に行われているLB膜製造方法が、そのまま適用される。たとえば清浄な水面上に、水に不溶な溶媒に膜を形成させる溶質を溶解した溶液を展開し、溶媒を蒸発除去した後、基板となるガラスや石英板などを挿入し、該基板上に単分子層としてLB膜を形成させる方法である。これを繰り返し行うことにより多層構造のLB膜を形成させることが可能となる。
【0027】
すなわち本発明にあっては、電子受容体を水面上に展開し、基板上にLB膜を形成させ、次いで光感応性電子供与体の溶液を同様に水面上に展開し、前記LB膜を形成させた基板上に新たに単分子膜を形成させる。必要に応じて上記製膜を繰り返し行うことによって、電子受容体よりなる薄層(単分子層)と光増感性電子供与体よりなる薄層(単分子層)との2層構造を多数繰り返し有する薄膜を得ることができる。
【0028】
勿論LB膜の形成順序は上記に限らず、まず光感応性電子供与体層を形成し、その上に電子受容体層を形成する順序も当然可能である。
【0029】
かくして、得られた導電性付与可能なLB膜はその膜を構成する光増感基の励起に最も適した波長の光を照射することにより励起し、電子の移動を促進して、電子受容体層が導電体層となる。同時に光感応性電子供与体層は絶縁層となって、多層構造の導電性LB膜が得られる。
【0030】
また、導電性を付与するために照射される光は光感応性電子供与体を励起し得るものであれば特に限定されない。如何なる光を用いるかは、光感応基の種類により異なるが、一般に励起に適する光の波長と官能基の構造の関係は、すでによく知られているところである。またもし、その関係が十分知られていない官能基であったとしても、当業者が簡単な実験により容易に見出すことができる。通常可視光近紫外乃至は紫外領域の範囲、具体的には30~3000nm程度の波長の光が用いられる。
【実施例】
【0031】
(1)電子供与体部位の合成
(a)erythro-2-(N-didodecylamino)-1,2-diphenylethanol(2)の合成
Trans-スチルベンオキシド492.7mg(2.5mmol)とジ-n-ドデシルアミン6.9527g(19.6mmol)とp-トルエンスルホン酸-一水和物39.4mg(0.2mmol)を蒸留したベンゼン20mLにアルゴン雰囲気下で加え、11日間還流した。NaOH水溶液(1M)、酢酸エチルで抽出した。次に有機層を飽和食塩水で洗浄、無水Na2SO4で乾燥したのち、溶媒を除去した。得られた粗生成物はまず、ヘキサン:酢酸エチル=20:1を流出溶媒とした、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにかけた.続いてヘキサン:クロロホルム=1:2を流出溶媒とした、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製した。薄い黄色オイルの粗生成物425.2mgを得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ0.86(m,6H,2×CH3),1.01(b,40H,2×alkylchain
(CH2)10),2.41(m,2H,didodecylamine
α-CH2),2.55(m,2H,didodecyla-mine α-CH),3.76(d,J=5.5Hz,1H,benzylic),5.20(d,J=5.5Hz,1H,benzylic),7.0-7.2(m,
10H,phenyls)であった。
【0032】
(b)erythro-1-{N-[4-pyridyl]methyl}amino}-2-(N-didodecylamino)-1,2-
diphenylethane(3)の合成
erythro-2-(N-didodecylamino)-1,2-diphenylethanol
315.4mg(0.6mmol)、トリエチルアミン0.24mL(1.7mmol)をジクロロメタン10mLにアルゴン雰囲気下で加えた。70分間アルゴンを通しながら攪拌した。反応溶液を-29℃まで冷却し、ジクロロメタン1mLに塩化メタンスルホニル0.051mL(0.6mmol)を加え、よく混ぜた溶液を、アルゴン雰囲気下で反応溶液にゆっくりと滴下して加えた。反応溶液の温度を-10℃以下に保って攪拌を続けた。5日後、塩化メタンスルホニル0.08mL(1.0mmol)をジクロロメタン0.5mLに加え、よく混ぜたものを、アルゴン雰囲気下で反応溶液にゆっくりと加えた。さらにトリエチルアミン0.24mL(1.7mmol)をジクロロメタン0.5mLに加え、よく混ぜたものを、アルゴン雰囲気下で反応溶液に加えた。18時間後、反応溶液は薄い黄色溶液で、器壁に白色固体が析出していた。ジクロロメタン0.5mLに4-アミノメチルピリジン0.06mL(0.6mmol)を加え、よく混ぜた溶液を、アルゴン雰囲気下で反応溶液に加えた。反応溶液を室温に戻し、2時間攪拌した。反応溶液は、4-アミノメチルピリジンを加え、反応終了後、反応溶液をジクロロメタンに注ぎ、蒸留水で洗浄した。そして有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した後、溶媒を除去した。得られた粗生成物は、ヘキサン:酢酸エチル=10:1、2:1を流出溶媒とした、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製した。クロマトグラフィー後、212.8mg赤みがかったオレンジ色のオイル(収率60%)を得た。
【0033】
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ0.87-1.32(b,46H,2×aikylchain(CH2)10CH3),
2.08(m,2H,didodecylamineα-CH2),2.35(m,2H,didodecylamineα-CH2),3.40
(d,J=14.6Hz.1H,diastereotopic CH2),3.57(d,J=14.6Hz,1H,disastereotopicCH2),
3.80(d,J=8.4Hz,1H,benzylic),4.11(d,J=8.4Hz,1H,benzylic),7.0-7.3(m,12H,β-
pyridyl and
phenyls),8.46(dd,2H,α-pyridyl)であった。
【0034】
(2)光増感部位の合成
(a)(bpy)Re(CO)3cl(4)の合成
(※bpyは、2,2’-bipyriclineを表す)
【0035】
Re(CO)5Cl493.8mg(1.4mmol)、2,2’-ビピリジン215.9mg(1.38mmol)を蒸留したトルエン160mLにアルゴン雰囲気下で加え、還流した。反応の進行はTLC(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で確認した。75分後、還流を停止し、放置、冷却した。冷却後、反応容器に析出した固体をグラスフィルターでろ過して回収した。黄色粉末状結晶524.7mg(収率83.2%)を得た。1HNMR(400MHz,CD3CN):δ7.52(t,1H),8.06(t,1H)、8.19(d,1H)9.08(d,1H)(all
bipyridyl)であった。
【0036】
(b)(bpy)Re(CO)3(CF3SO3)(5)の合成
(bpy)Re(CO)3Cl
263.0mg(0.6mmol)をジクロロメタン18.4mLにアルゴン雰囲気下で加えた。15分間反応溶液にアルゴンを通しながら、攪拌した。反応溶液にアルゴン雰囲気下でCF3SO3H
0.347mL(3.9mmol)を加えた。60分攪拌した後、ジエチルエーテルを少しずつゆっくりと加え、静置した。析出した結晶はグラスフィルターでろ過、回収した。黄色の針状結晶218.0mg(収率66.5%)を得た。1H NMR(400MHz,CD3CN):δ7.72(t,1H),8.30(t,1H),8.49(d,1H),9.04
(d,1H)(all bipyridyl)であった。
【0037】
(3)光増感性電子供与体(式(7)の化合物)の合成
化合物3 107.0mg(0.2mmol)、化合物5 65.3mg(0.1mmol)、NH4PF6 181.9mg(1.1mmol)を蒸留したTHF 5mLにアルゴン雰囲気下で加えた。24時間後、攪拌を停止し溶媒を除去した。粗生成物は、ヘキサン:酢酸エチル=10:1、1:2を流出溶媒とした、アルミナのカラムクロマトグラフィーで精製した。クロマトグラフィー後、黄色粘土状固体68.9mg(収率51%)を得た。1H NMR(400MHz,CD3CN):δ0.77-1.28(b,46H,2×alkylchain(CH2)10CH3)2.08(
m,2H,didodecylamine
α-CH2),2.35(m,2H,didodecylamineα-CH2),3.29(s,2H,
methylene),3.72(d,1H,benzylic)3.91(d,1H,benzylic),4.11(d,1H,benzylic),6.9-7.3(m,12H,phenyls
and pyridyls),7.7(t,2H,bipyridyl),7.85(d,2H,pyrydyl),8.14
(t,2H),8.25(d,2H),9.08(d,2H)(all
bipyridyl)であった。
【0038】
(4)電子受容体化合物
octadecyl - tetracyano qunodimethane(1)(C18TCNQともいう)は株式会社林原生物化学研究所製NKX-735をそのまま使用した。
【0039】
(5)LB膜の作成
(a)π-A曲線測定
装置の水槽にミリQ水を約1L入れ、温度コントローラーを用いて水温を約20℃とした。水面を洗浄した後、0.02mMのクロロホルム溶液として調整した基質を、マイクロシリンジを用いて水面に展開した。次いでバリアを閉じて、π-A曲線の測定を行い、ターゲット プレッシャー(Target Pressure)を得た。
【0040】
(b)LB膜作成
装置にガラス基板をセットし、π-A曲線測定のときと同様に溶液を展開した。π-A曲線によって得たターゲット プレッシャーを用い、基板を引き上げる方法でLB膜を作成した。次いで、該LB膜の存在する基板を用い、同様にして新しいLB膜を形成させる。斯様にして化合物(1)と化合物(5)との各分子層よりなる2層構造のLB膜を作製した。
【0041】
(5)光照射
LB膜を積層させたガラス基板に、Xeランプを当てて行った。このとき化合物1のReの吸収がある付近のみの光を当てるため、Xeランプには340nm付近以外の光をカットするフィルター(HOYA COLOR OPTICAL GLASS U-340)をつけた。
【0042】
(6)導電性の測定
(b)で得られた膜及び光照射しない膜について、5μmのギャップをもつくし形電極(BAS社製)上にこれらの膜を乗せ、導電性を測定したところ光照射前の膜はまったく電流は流れなかったが、光照射後の膜では、約2ボルト以上の電圧で電流が流れた。結果を図1に示す。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明にあってはLB膜に光を照射した部分だけに導電性を付与することができるので、各種電子部品の回路形成、光メモリー、光スイッチなど、光エレクトロニクスデバイスの分野に応用される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は白金製くし形電極上に積層させた化合物(1)の層と化合物(5)の層とよりなるLB膜に光照射した場合としない場合との導電性の相違を示すグラフである。
図面
【図1】
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