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明細書 :発振器アレイ及びその同期方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3861155号 (P3861155)
公開番号 特開2005-210401 (P2005-210401A)
登録日 平成18年10月6日(2006.10.6)
発行日 平成18年12月20日(2006.12.20)
公開日 平成17年8月4日(2005.8.4)
発明の名称または考案の名称 発振器アレイ及びその同期方法
国際特許分類 H03L   7/00        (2006.01)
H03L   7/24        (2006.01)
H01P   1/203       (2006.01)
H01Q  21/06        (2006.01)
FI H03L 7/00 C
H03L 7/24
H01P 1/203
H01Q 21/06
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2004-014580 (P2004-014580)
出願日 平成16年1月22日(2004.1.22)
審査請求日 平成16年1月22日(2004.1.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】松本 紘
【氏名】篠原 真毅
個別代理人の代理人 【識別番号】100104765、【弁理士】、【氏名又は名称】江上 達夫
【識別番号】100107331、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 聡延
審査官 【審査官】甲斐 哲雄
参考文献・文献 特開昭49-006866(JP,A)
特開2002-299943(JP,A)
調査した分野 H03L 1/00 - 7/24
H01P 1/203
H01Q 21/06
特許請求の範囲 【請求項1】
直列接続された複数の発振器と、
これら発振器の間にそれぞれ配置された帯域阻止フィルタとを具えることを特徴とする発振器アレイ。
【請求項2】
前記発振器と前記帯域阻止フィルタとの間に他の帯域阻止フィルタを配置するとともに、前記帯域阻止フィルタと前記他の帯域阻止フィルタとの間のポイントと、接地点との間に抵抗を配置したことを特徴とする請求項1記載の発振器アレイ。
【請求項3】
直列接続された複数の発振器と、これら発振器の間にそれぞれ配置された帯域阻止フィルタとを具えることを特徴とする発振器アレイの同期方法であって、
発振器の各々から発せられた信号が、前記帯域阻止フィルタの阻止周波数において、対応する帯域阻止フィルタで反射した信号と同相になるとともに、対応する帯域阻止フィルタから漏洩した信号と逆相になることによって、前記発振器の発振周波数を、前記発振器固有の周波数と前記帯域阻止フィルタの阻止周波数との間の最適な周波数に均衡して安定した発振を行うとともに、前記阻止周波数を基準周波数として前記発振器を同期させることを特徴とする発振器アレイの同期方法。
【請求項4】
前記帯域阻止フィルタは、該帯域阻止フィルタの阻止周波数において、(i)該帯域阻止フィルタに対応する発振器から発せられた信号の一部を、対応する前記発振器へ同相で反射するとともに、(ii)対応する前記発振器から発せられた信号の他の一部を逆相で漏洩することを特徴とする請求項1記載の発振器アレイ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、フェーズドアンテナアレイのようにマイクロ波送電を行う発振器アレイ及びその同期方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直列接続(アレイ化)した複数の発振器を具える簡易構成の発振器アレイが従来提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。この場合、分配損などがない高効率な送電部として期待できるとともに、マイクロ波送電における装置規模を減少することができる。

【特許文献1】特開2002-299943号公報(請求項1)
【特許文献2】特開2003-133952号公報(請求項1)
【特許文献3】特開2003-258556号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、複数の発振器をアレイ化するためには、各発振器の発振周波数の安定化するとともに、複数の発振器を同期させる必要がある。
【0004】
本発明の目的は、各発振器の発振周波数の安定化するとともに、複数の発振器を同期させることができる発振器アレイ及びその同期方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による発振器アレイは、
直列接続された複数の発振器と、
これら発振器の間にそれぞれ配置された帯域阻止フィルタとを具えることを特徴とする。
【0006】
本発明による発振器アレイの同期方法は、
直列接続された複数の発振器と、これら発振器の間にそれぞれ配置された帯域阻止フィルタとを具えることを特徴とする発振器アレイの同期方法であって、
発振器の各々から発せられた信号が、前記帯域阻止フィルタの阻止周波数において、対応する帯域阻止フィルタで反射した信号と同相になるとともに、対応する帯域阻止フィルタから漏洩した信号と逆相になることによって、前記発振器の発振周波数を、前記発振器固有の周波数と前記帯域阻止フィルタの阻止周波数との間の最適な周波数に均衡して安定した発振を行うとともに、前記阻止周波数を基準周波数として前記発振器を同期させることを特徴とする発振器アレイの同期方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、直列接続された複数の発振器と、これら発振器の間にそれぞれ配置された帯域阻止フィルタとを具える発振器アレイを同期するに際し、発振器の各々から発せられた信号が、帯域阻止フィルタの阻止周波数において、対応する帯域阻止フィルタで反射した信号と同相になる(すなわち、発振器の各々から発せられた信号と反射した信号との位相差が0°)とともに、対応する帯域阻止フィルタから漏洩した信号と逆相になる(すなわち、発振器の各々から発せられた信号と反射した信号との位相差が180°)。これによって、発振器の発振周波数を、発振器固有の周波数と帯域阻止フィルタの阻止周波数との間の最適な周波数に均衡して安定した発振を行うとともに、阻止周波数を基準周波数として発振器を同期させることができる。
【0008】
好適には、前記発振器と前記帯域阻止フィルタとの間に他の帯域阻止フィルタを配置するとともに、前記帯域阻止フィルタと前記他の帯域阻止フィルタとの間のポイントと、接地点との間に抵抗を配置する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明による発振器アレイ及びその同期方法の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による発振器アレイの第1の実施の形態の概念図である。この発振器アレイは、直列接続されたn個の発振器(OSC)1-1,1-2,...,1-nと、これら発振器1-1,1-2,...,1-nにそれぞれ接続したアンテナ2-1,2-2,...,2-nと、発振器1-1,1-2,...,1-n間にそれぞれ配置された帯域阻止フィルタ(BEF)3-1,3-2,...,3-nとを具える。なお、nを、2以上の自然数とする。
【0010】
本実施の形態において、発振器を、例えばコルピッツ発振器とし、アンテナを、例えばマイクロストリップアンテナとし、帯域阻止フィルタをスタブとする。
【0011】
本実施の形態の動作を説明する。発振器1-1,1-2,...,1-nから出力された高周波信号はそれぞれ、それに隣接する帯域阻止フィルタ3-1,3-2,...3-nに伝送される。帯域阻止フィルタ3-1,3-2,...3-nは、阻止周波数において高周波信号の大部分を反射して出力元の発振器1-1,1-2,...,1-nにそれぞれ戻す。この際、発振器1-1,1-2,...,1-nの出力端において、発振器1-1,1-2,...,1-nから出力された高周波信号と、帯域阻止フィルタ3-1,3-2,...3-nで反射された信号とは、位相差が0°になる。
【0012】
帯域阻止フィルタ3-1,3-2,...3-nに伝送された高周波信号のうちの少量のものは、隣接する帯域阻止フィルタ3-1,3-2,...3-nなどに漏洩する。。この際、発振器1-1,1-2,...,1-nの出力端において、発振器1-1,1-2,...,1-nから出力された高周波信号と、帯域阻止フィルタ3-1,3-2,...3-nなどに漏洩した信号とは、位相差が180°になる。
【0013】
本実施の形態によれば、発振器アレイを同期するに際し、発振器1-1、1-2、...、1-nの各々から発せられた信号が、帯域阻止フィルタ3-1、3-2、...、3-nの阻止周波数において、帯域阻止フィルタ3-1、3-2、...、3-nで反射した信号と同相になる(すなわち、発振器1-1、1-2、...、1-nの各々から発せられた信号と反射した信号との位相差が0°)とともに、対応する帯域阻止フィルタ3-1、3-2、...、3-nから漏洩した信号と逆相になる(すなわち、発振器1-1、1-2、...、1-nの各々から発せられた信号と反射した信号との位相差が180°)。これによって、発振器1-1、1-2、...、1-nの発振周波数を、発振器1-1、1-2、...、1-n固有の周波数と帯域阻止フィルタ3-1、3-2、...、3-nの阻止周波数との間の最適な周波数に均衡して安定した発振を行うとともに、阻止周波数を基準周波数として発振器1-1、1-2、...、1-nを同期させることができる。
【0014】
図2は、本発明による発振器アレイの第2の実施の形態の概念図である。本実施の形態では、帯域阻止フィルタを、マイクロストリップ線路を使用したオープンスタブ11-1~11-4とし、図示しないアンテナが接続された図示しない発振器がそれぞれ、ポート12-1~12-3に接続され、これら発振器間に一端が接続されるとともに他端が接地された終端抵抗13-1,13-2を具える。
【0015】
本実施の形態をポート12-1,12-2間で更に詳しく説明すると、所定の周波数の波長をλとした場合、ポート12-1,12-2間をλとし、終端抵抗13-1を、位相調整のためにポート12-1とポート12-2との中間に設ける。
【0016】
本実施の形態のように、直列接続された図示しない発振器と、これら発振器の間にそれぞれ配置されたオープンスタブ11-1,11-3とを具えるとともに、図示しない発振器とオープンスタブ11-1,11-3との間に他のオープンスタブ11-2,11-4を配置するとともに、オープンスタブ11-1,11-3と他のオープンスタブ11-2,11-4との間のポイントと、接地点との間に終端抵抗13-1,13-2を配置した場合の同期動作は、以下の通りである。
(1)各発振器の各々の発振周波数及びオープンスタブ11-1~11-4の阻止周波数が完全に一致することがないので、両周波数の間に均衡するように発振周波数が移る。
(2)各発振器の各々の発振周波数とオープンスタブ11-1~11-4との差に関係するスタブを通過する僅かな漏洩信号は、隣り合う発振器に供給される。
(3)漏洩信号によって、各発振器の周波数及び位相は相互に制御し合う。
(4)周波数は、オープンスタブ11-1~11~4から自己に返る反射量と隣の発振器に漏洩する量の均衡がとれた箇所に遷移し、その箇所で安定する。
(4)位相は、隣り合う発振器と反転した状態に遷移する。
特に、自己の信号は、オープンスタブ11-1~11-4によって反射され、正帰還が発振器に与えられ、確実な自走発振状態を保持するようになる。
【0017】
ここで、本実施の形態の発振状態を、従来の発振器アレイ、すなわち、図2の発振器アレイにおいてオープンスタブ11-1~11-4及び終端抵抗13-1,13-2を省略したものの発振状態と比較して説明する。
【0018】
図3は、従来の発振器アレイの発振状態の測定結果を示す図であり、図4は、図2の発振器アレイにおいて終端抵抗を50Ωとした場合の発振状態の測定結果を示す図であり、図5は、図2の発振器アレイにおいて終端抵抗を500Ωとした場合の発振状態の測定結果を示す図である。
【0019】
図3では、各発振器からの信号のオープンスタブからの反射がなくなるとともにオープンスタブからの漏洩が増大し、自走発振が不安定になるため、多くの影像周波数が発生することによって同期状態にないことを示す。
【0020】
それに対して、図4では、同期状態が維持され、図3に比べて出力が10dBほど大きい状態である。さらに、図5では、オープンスタブからの漏洩量が図4の場合に比べて増大することによって更に良好な同期状態が維持されていることを示す。
【0021】
上記第1及び第2の実施の形態は、次の利点を有する。
(1)発振器間の線路長や帯域防止フィルタの特性で全発振器の発振周波数が決定され、全体が同期するので、複数の発振器の同期を容易に行うことができる。
(2)自走発振の助長作用と発振器相互による同期の助長作用を有するので、個々の発振器が助長しあう同期機構を実現することができる。
(3)発振器間の線路長や帯域阻止フィルタの特性で全発振器の発振周波数が決定されるとともに、基準信号を注入することなく全発振器が帯域阻止フィルタの阻止周波数に均衡するように動作し及び同期するので、基準発生器などの付加装置を必要とすることなく複数の発振器の同期を容易に行うことができる。
(4)自走発振の助長作用と発振器相互による同期の助長作用を有するとともに、外乱及び電源電圧の変動に対して高い周波数安定性を有するので、低コストで周波数安定度の高い発振器を容易に実現することができる。
【0022】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
例えば、上記第1の実施の形態において、発振器を任意の個数にするとともに、帯域阻止フィルタを、発振器の個数より1個少ない個数にすることができる。また、上記第2の実施の形態において、発振器を任意の個数にし、帯域阻止フィルタを、発振器の個数より1個少ない個数を2倍にした個数にし、かつ、抵抗の個数を、発振器の個数より1個少ない個数にすることができる。
【0023】
さらに、発振器として、コルピッツ型発振器以外の任意のタイプの発振器を用いることができ、アンテナとしてマイクロストリップアンテナ以外の任意のタイプのアンテナを用いることができ、帯域阻止フィルタとして(オープン)スタブ以外の任意のタイプの帯域阻止フィルタを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による発振器アレイの第1の実施の形態のブロック図である。
【図2】本発明による発振器アレイの第2の実施の形態の概念図である。
【図3】従来の発振器アレイの発振状態の測定結果を示す図である。
【図4】本発明による発振器アレイの発振状態の測定結果を示す図である。
【図5】本発明による他の発振器アレイの発振状態の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1-1,1-2,...,1-n 発振器(OSC)
2-1,2-2,...,2-n アンテナ
3-1,3-2,...,3-n 帯域阻止フィルタ(BEF)
11-1,11-2,11-3,11-4 オープンスタブ
12-1,12-2,12-3 ポート
13-1,13-2 終端抵抗
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4