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明細書 :白色腐朽菌を利用した針葉樹材を原料とする発酵飼料及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4590628号 (P4590628)
公開番号 特開2005-312406 (P2005-312406A)
登録日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発行日 平成22年12月1日(2010.12.1)
公開日 平成17年11月10日(2005.11.10)
発明の名称または考案の名称 白色腐朽菌を利用した針葉樹材を原料とする発酵飼料及びその製造方法
国際特許分類 A23K   1/00        (2006.01)
A23K   1/16        (2006.01)
FI A23K 1/00 101
A23K 1/16 304C
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2004-136774 (P2004-136774)
出願日 平成16年4月30日(2004.4.30)
審査請求日 平成18年8月11日(2006.8.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】渡邊 隆司
【氏名】佐々木 義之
【氏名】岡野 寛治
個別代理人の代理人 【識別番号】100065215、【弁理士】、【氏名又は名称】三枝 英二
【識別番号】100076510、【弁理士】、【氏名又は名称】掛樋 悠路
【識別番号】100086427、【弁理士】、【氏名又は名称】小原 健志
【識別番号】100099988、【弁理士】、【氏名又は名称】斎藤 健治
【識別番号】100105821、【弁理士】、【氏名又は名称】藤井 淳
【識別番号】100099911、【弁理士】、【氏名又は名称】関 仁士
【識別番号】100108084、【弁理士】、【氏名又は名称】中野 睦子
審査官 【審査官】松本 隆彦
参考文献・文献 特開平03-098576(JP,A)
吉田宣夫,水稲及び繊維性圃場副産物のアルカリ処理及び生物学的処理による飼料価値の向上に関する研究 第5章繊維性圃場副産物の白色腐朽菌による処理,埼玉県畜産試験場研究報告,1994年,特別号1,48-61
桑原正章,リグノセルロース資源の微生物変換,セルロース学会ミクロシンポジウム講演要旨集,2002年,第7回,32-37
調査した分野 A23K1/00-3/04
JSTPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
針葉樹材を、セリポリオプシス属及びレンチナス属よりなる菌種群から選択される少なくとも1種の白色腐朽菌により発酵処理することにより得られる発酵飼料。
【請求項2】
針葉樹材がスギ材である、請求項1に記載の発酵飼料。
【請求項3】
針葉樹材を、セリポリオプシス属及びレンチナス属よりなる菌種群から選択される少なくとも1種の白色腐朽菌により発酵処理することを特徴とする、発酵飼料の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、白色腐朽菌を用いて針葉樹材を飼料化した発酵飼料に関する。更に、本発明は、上記発酵飼料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
わが国の森林の半分は人工林であり、その9割が間伐を必要としながらも、その間伐材の有効利用法がないために、間伐が十分に行われていないのが現状である。特に、間伐が必要とされる樹木のうち、スギやマツ等の針葉樹が多くの割合を占めており、これら針葉樹材の間伐材の有効利用方法を確立することが望まれている。一方、畜産業では、国産飼料の自給率の向上が求められている。そのため、針葉樹材を飼料化する技術の確立は、林業の活性化と畜産業の飼料自給率の向上に寄与できる。
【0003】
現在、針葉樹材の飼料化方法として、蒸煮、爆砕する方法が採用されている。しかしながら、これらの方法では、熱源として化石エネルギーが大量に必要であり、更には蒸煮、爆砕のための特別な装置や大規模な設備が必要である等の欠点があった。また、蒸煮、爆砕された針葉樹材は、材が柔らかくなるという物理的な改善が見られるが、反芻家畜による消化率は低いままであり、飼料価値の点においても満足できるものではない。
【0004】
ところで、これまでに、微生物を使用して、ワラ類、牧草類の飼料としての消化率を上昇させる方法が提案されている。例えば、Pleurotus属(非特許文献1)、Coprinas属(非特許文献2)、Agaricus属(非特許文献3)、Polyporus属(非特許文献4)、Ceriporiopsis属(非特許文献5)等の担子菌を用いてワラ類や牧草類を発酵することにより、これらの消化率を向上させることができることが報告されている。また、広葉樹材を各種微生物により、飼料としての消化率を向上させる試みも行われている。しかしながら、針葉樹材は、ワラ類、牧草類や広葉樹材とは、その組成や物理化学的特性が相違している。特に、針葉樹材は、広葉樹材に比して、リグニンが分解され難いことがわかっている。そのため、これらワラ類、牧草類や広葉樹材を消化性の高い飼料に変換する方法を針葉樹材に適用することによって、針葉樹材の飼料化が可能であるか或いは、飼料としての消化率を改善できるかについては予想し得ないものである。

【非特許文献1】Zadrazil F. 1977. The conversion of straw into feed by basidiomycetes. European J. Appl. Microbiol. 4: 273-281.
【非特許文献2】Burrows I., Seal K.J., Eggins H.O.W., 1979. The biodegradation of barley straw by Coprinus cinerus for the production of ruminant feed. In"Straw decay and its effect on disposal and utilization," (ed. By Grossbard E.) 147-154. Jhon Wiley & Sons, Chichester.
【非特許文献3】Langar P.N.,Sehgal J.P., Garcha H.S., 1980. Chemical change in wheat and paddy straws after fungal cultivation. Indian.J.Anim.Sci. 50: 942-946.
【非特許文献4】Jalc D, Zitnan R, Nerud F. 1994. Effect of fungus-treated straw on ruminal fermentation in vitro. Animal Feed Science and Technology. 46: 131-141.
【非特許文献5】Akin D.E.,Morrison III W.H., Rigsby L.L., Gamble G.R., Sethuraman A., Erikson K.-E.L., 1996. Biological delignification of plant components by the white rot fungi Ceriporiopsis subvermispora and Cyathus stercores. Animal Feed Science and Technology. 63: 305-321.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明の目的は、針葉樹材を原料とし、白色腐朽菌を利用して、消化率が高く、栄養的価値のある飼料を提供すること、及び該飼料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、針葉樹材を白色腐朽菌により発酵処理することにより、消化率が高く、栄養価のある発酵飼料が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることによって完成したものである。
【0007】
即ち、本発明は、下記に掲げる発酵飼料である:
項1. 針葉樹材を白色腐朽菌により発酵処理することにより得られる発酵飼料。
項2. 針葉樹材がスギ材である、項1に記載の発酵飼料。
項3. 白色腐朽菌が、セリポリオプシス属及びレンチナス属よりなる菌種群から選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の発酵飼料。
【0008】
更に、本発明は、下記に掲げる発酵飼料の製造方法である:
項4. 針葉樹材を白色腐朽菌により発酵処理することを特徴とする、発酵飼料の製造方法。
【0009】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の発酵飼料の原料として使用される針葉樹材は、針葉樹由来の木材原料から構成されるものであれば特に制限されるものではない。当該針葉樹としては、例えば、スギ、エゾマツ、カラマツ、クロマツ、トドマツ、ヒメコマツ、イチイ、ネズコ、ハリモミ、イラモミ、イヌマキ、モミ、サワラ、トガサワラ、アスナロ、ヒバ、ツガ、コメツガ、ヒノキ、イチイ、イヌガヤ、トウヒ、イエローシーダー(ベイヒバ)、ロウソンヒノキ(ベイヒ)、ダグラスファー(ベイマツ)、シトカスプルース(ベイトウヒ)、ラジアータマツ、イースタンスプルース、イースタンホワイトパイン、ウェスタンラーチ、ウェスタンファー、ウェスタンヘムロック、タマラック及びこれらの関連樹種等が例示される。これらの中で、好ましくはスギ、ヒノキ、アカマツ、ダグラスファー(ベイマツ)、ラジアータマツであり、更に好ましくはスギである。これらの針葉樹材は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0011】
本発明で使用する針葉樹材の形状については、例えば、粉末状、チップ状、角材状、丸太状、フレーク状、繊維状(例えば、長さ0.5-3cm、直径0.01-2mm程度のもの)等の如何なる形状のものであってもよい。効率的に白色腐朽菌による分解を行うという観点から、好ましくは粉末状、チップ状、フレーク状、繊維状である。
【0012】
針葉樹材の形状がチップ状である場合、その大きさとしては、例えば、長さ100mm以下、縦20mm以下及び横50mm以下程度、好ましくは50mm以下、縦10mm以下及び横30mm以下程度のものが例示される。
【0013】
本発明の発酵飼料の調製に使用される白色腐朽菌は、針葉樹材を培地として生育できることを限度として、特に制限されるものではない。白色腐朽菌の一例として、セリポリオプシス属(Ceriporiopsis)(例えば、Ceriporiopsis subvermispora等);レンチナス属(Lentinus)(例えば、Lentinus edeoes等);ディコミタス属(Dichomitus) (例えば、Dichomitus squalens等)、ポリポラス属(Polyporus)(例えば、Polyporus ansepts、Polyporus versicolor等);プレウロータス属(Pleurotus)(例えば、Pleurotus ostreatus等);コプリナス属(Coprinus);アガリカス属(Agaricus);トラメテス属(Trametes);ガノデルマ属(Ganoderma)(例えば、Ganoderma applanatum等);フォリタ属(Pholita)(例えば、Pholita nameko等)等が挙げられる。これらの中で、より消化性の優れた飼料を得るという観点から、好ましくは、セリポリオプシス属、レンチナス属であり、更に好ましくはCeriporiopsis subvermispora及びLentinus edeoesである。これらの白色腐朽菌は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0014】
特に、針葉樹としてスギを使用する場合、セリポリオプシス属及びレンチナス属よりなる菌種群から選択される少なくとも1種の白色腐朽菌を使用すれば、栄養価のより高い発酵飼料を得ることが可能になる。
【0015】
白色腐朽菌による針葉樹材の発酵処理は、針葉樹材に白色腐朽菌を植菌し、これを培養することにより行うことができる。
【0016】
当該発酵処理において、針葉樹材を白色腐朽菌が生育可能な環境にするために、通常、針葉樹材の水分含量を20~90重量%、好ましくは50~80重量%程度に調整することが望ましい。また、更に、該針葉樹材には、必要に応じて、白色腐朽菌の生育に必要とされる塩や栄養素(例えば、稲、麦ワラ等の植物、木材、木材成分、ふすま、ペプトン、コーンスティープリカー、酵母エキス、肉エキス、麦芽エキス、ポテトエキス、米ぬか、合成無機塩類(Kirk塩)、等)を添加してもよい。
【0017】
上記のように白色腐朽菌の生育に適した環境に調整した針葉樹材は、白色腐朽菌の植菌に先だって、加熱殺菌等の殺菌処理に供して、雑菌の繁殖を防止しておくことが望ましい。
【0018】
針葉樹材に白色腐朽菌を植菌する方法は、特に制限されず、通常の植菌方法に従って行うことができる。例えば、針葉樹材が粉末状又はチップ状の場合であれば、これらの針葉樹材の表面に種菌を降りかける方法や、これらの針葉樹材と種菌を混合する方法が例示できる。また、例えば、針葉樹材が角材状や丸太状の場合であれば、針葉樹材に適宜穴を開けて、その穴に種菌を詰める方法が例示される。
【0019】
白色腐朽菌の植菌に使用する種菌としては、例えば液体種菌、穀粒種菌、おがくず種菌等を使用することができる。
【0020】
白色腐朽菌の培養条件は、通常4~70℃、好ましくは10~45℃、更に好ましくは20~42℃の温度条件下で、相対湿度を50%以上に保持して好気的に培養を行う。
【0021】
また、培養時間は、使用する針葉樹材の種類、白色腐朽菌の種類、培養条件等によって異なるが、通常5日以上、好ましくは14~360日、更に好ましくは60~200日が例示される。
【0022】
斯くして、針葉樹材を白色腐朽菌で発酵処理することにより得られる、本発明の発酵飼料は、針葉樹材中のリグニンが高選択的に分解されており、飼料としての栄養価、消化率が高められている。そのため、本発明の発酵飼料は、下記ガス発生量判定方法におけるガス発生量が、該発酵飼料に含まれる有機物1g当たり、通常20ml以上、好ましくは30ml以上、更に好ましくは50ml以上である。また、本発明の発酵飼料は、下記有機物消化率判定法における有機物消化率が、通常15%以上、好ましくは20%以上、更に好ましくは25%以上である。当該ガス発生量及び有機物消化率は、飼料の供与エネルギー量と相関関係があり、発酵飼料が、上記範囲を備えていれば、十分な栄養価があり、飼料として有用である。
<インビトロでのガス発生量判定方法>
アルファルファヘイキューブ500gと玄米150gを朝夕2回給与しているサフォーク種去勢成めん羊(体重75kg)の第一胃から、朝の飼料給与2時間後にフィステルを介して第一胃内溶液を採取する。これを四重ガーゼで濾過して、第一胃内溶液の濾過液を得る。第一胃内溶液の濾過液とMcDougallの人工唾液(蒸留水1LにNaHCO3 9.8g, KCl 0.57g, CaCl2 0.04g, Na2HPO4・12H2O 9.3g,NaCl 0.47g,及びMgSO4・7H2Oを溶解し、38℃で炭酸ガスを通気し、飽和させたもの)を1:4の容積割合で混合する。次いで、この混合液40mlに尿素10.4mgを加えた後、これを50ml容の遠沈管中で発酵飼料(1mm目の篩を通過する程度に粉砕したもの)0.4gと混合する。遠沈管内の空気を炭酸ガスで置換した後,50ml容の注射器(1mlの目盛りが付けてある)を付けたゴム栓で遠沈管を閉じ,39℃で穏やかに振とうし、48時間後のガス増加量を注射器の目盛りを読み測定する。斯くして測定したガス増加量から、発酵飼料を入れずに、第一胃内溶液の濾過液、McDougallの人工唾液および尿素を混合した培養液のみを入れた遠沈管の48時間培養後のガス増加量を差し引いて、測定に供した発酵飼料当たりのガス発生量を求める。その値から、有機物1gあたりのガス発生量を算出する。
なお、ガス発生量の測定方法は、Tilley&Terrryの方法(Tilley JMA,Terry RA. 1963. A two stage technique for the in vitro digestion of forage crops. Journal of British Grassland Society, 18:104-111.)のブンゼンバルブの代わりに50ml容の注射器をゴム栓に付けて測定するものである。
【0023】
<インビトロでの有機物消化率判定法>
試料の有機物消化率は,ガス発生量判定法と同時に分析される。即ち、アルファルファヘイキューブ500gと玄米150gを朝夕2回給与しているサフォーク種去勢成めん羊(体重75kg)の第一胃から、朝の飼料給与2時間後にフィステルを介して第一胃内溶液を採取する。これを4重ガーゼで濾過して、第一胃内溶液の濾過液を得る。第一胃内溶液の濾過液とMcDougallの人工唾液を1:4の容積割合で混合する。次いで、この混合液40mlに尿素10.4mgを加えた後、これを50ml容の遠沈管中で発酵飼料(1mm目の篩を通過する程度に粉砕したもの)0.4gと混合する。遠沈管内の空気を炭酸ガスで置換した後,50ml容の注射器を付けたゴム栓で遠沈管を閉じ,39℃で穏やかに振とうし、48時間培養する。同時に、試料を入れていない遠沈管に、第一胃内溶液の濾過液とMcDougallの人工唾液を混合した培養液のみを入れ48時間培養する。48時間培養後の残渣を100mlの中性デタージェント溶液(ラウリル硫酸ナトリウム 30g,エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水塩 18.61g,ホウ酸ナトリウム十水塩 6.81g,無水リン酸ナトリウム 4.56g,エチレングリコールモノエチルエーテル10mlを1Lの蒸留水に溶解し、pHを6.9~7.1としたもの)で500mlのトールビーカーに流し込み、粗繊維煮沸装置で1時間煮沸し、その残渣をガラスフィルターを用いて回収し、熱水、次いでアセトンで洗浄し、重量を測定する。それを500℃で2時間灰化し、再度重量を測定する。それらの重量の差から、同様に操作した発酵飼料を入れていない遠沈管の残渣量を差し引き、不消化有機物量とする。インビトロでの有機物消化率は、試料の有機物量に対する可消化有機物量(試料の有機物量から不消化有機物量を差し引いた値)の割合(%)である。
【0024】
本発明の発酵飼料は、そのまま、或いは必要に応じて乾燥処理に供した後に、牛(肉牛、乳牛を含む)、羊、山羊等の反芻動物の飼料として、使用される。また、本発明の発酵飼料は、それ単独で飼料として使用してもよく、また他の飼料と混合して配合飼料の一成分として使用してもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の発酵飼料は、栄養成分の損失を伴うことなく、針葉樹材中のリグニンが高選択的に分解されており、反芻動物の飼料として好適に用いることができる。
【0026】
また、本発明の発酵飼料は、膨大な化石エネルギーを要する蒸煮や爆砕を必要とせず、また、特別な装置や大規模な設備も不要である。そのため、本発明によれば、極めて安価かつ簡便な方法で、針葉樹材を原料として利用して、反芻動物の飼料を提供することができる。
【0027】
更に、本発明によれば、有効活用が望まれていた針葉樹材を原料とし白色腐朽菌を利用して、消化率が高く、栄養的価値のある飼料が提供されるので、林業の活性化と畜産業の飼料自給率の向上の双方に寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例及び試験例に限定されるものではない。
【0029】
実施例1-5
スギ材を木材チップ製造用チョッパーで加工し、木材チップ(長さ10~30mm、縦2~8mm、横5~20mm)を製造した。この木材チップを蒸気消毒した後、該木材チップ(水分含量75重量%に調整)に、無菌状態で、Ceriporiopsis subvermispora ATCC90467(実施例1)、Lentinus edeoes IFO6654(実施例2)、Dichomitus suqualens CBS432.34(実施例3)、Pholita nameko IFO30373(実施例4)、又はPleurotus ostreatus ATCC66376(実施例5)を植菌し、除菌フィルターを付けたビニール袋に詰めた、これを(Lentinus edeoesは25℃、その他の菌は28℃、相対湿度70%で、4、8、12及び20週間培養を行い、発酵飼料(実施例1-5)を得た。得られた発酵飼料を牛に供したところ、直ちに食され、嗜好性に問題ないことが確認された。
【0030】
試験例1 発酵飼料のガス発生量及び有機物消化率の評価
4、8、12及び20週間の培養により得られた実施例1-5の発酵飼料を用いて、前記方法に従って、(1)インビトロでの有機物消化率、(2)インビトロでのガス発生量を測定した。また、比較として、発酵飼料の代わりに、イナワラ(比較例1)、スギ材チップ木材チップ(長さ10~30mm、縦2~8mm、横5~20mm)(比較例2)を用いて、同様に試験を行った。
【0031】
得られた結果を図1及び2に示す。図1にはインビトロでの有機物消化率を、図2にはインビトロでのガス発生量(飼料に含まれる有機物1g当たりのガス発生量(ml))を、それぞれ示す。この結果から、スギを白色腐朽菌で発酵処理して得られた発酵飼料は、有機物の消化率やガスの発生量が高い値を示し、飼料としての有用であることが確認された。特に、Ceriporiopsis subvermispora(実施例1)及びLentinus edeoes(実施例2)を用いて製造した発酵飼料は、有機物の消化率及びガスの発生量において顕著に優れていることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】試験例1における、各種発酵飼料の有機物消化率を示す図である。
【図2】試験例1における、各種発酵飼料のインビトロでのガス発生量を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1