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明細書 :曲げ変形センサおよび変形測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4427665号 (P4427665)
公開番号 特開2006-038710 (P2006-038710A)
登録日 平成21年12月25日(2009.12.25)
発行日 平成22年3月10日(2010.3.10)
公開日 平成18年2月9日(2006.2.9)
発明の名称または考案の名称 曲げ変形センサおよび変形測定装置
国際特許分類 G01B   7/28        (2006.01)
FI G01B 7/28 D
請求項の数または発明の数 10
全頁数 16
出願番号 特願2004-220721 (P2004-220721)
出願日 平成16年7月28日(2004.7.28)
審査請求日 平成19年2月5日(2007.2.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】新宅 英司
【氏名】藤本 由紀夫
【氏名】田中 義和
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
【識別番号】100080034、【弁理士】、【氏名又は名称】原 謙三
【識別番号】100113701、【弁理士】、【氏名又は名称】木島 隆一
【識別番号】100116241、【弁理士】、【氏名又は名称】金子 一郎
審査官 【審査官】中川 康文
参考文献・文献 特開昭63-149502(JP,A)
特開平05-087511(JP,A)
特開平04-273031(JP,A)
特開昭52-028352(JP,A)
特開昭52-099869(JP,A)
特開昭62-156503(JP,A)
特表2001-509109(JP,A)
特開昭60-263690(JP,A)
実開昭61-075148(JP,U)
特開昭63-009801(JP,A)
特開昭63-281483(JP,A)
特開昭64-013401(JP,A)
特開平01-092603(JP,A)
特開平05-149706(JP,A)
特開平05-152638(JP,A)
特開平06-216422(JP,A)
特開平10-249768(JP,A)
特開平10-300512(JP,A)
特開2001-074575(JP,A)
特開2002-022402(JP,A)
特開2003-005887(JP,A)
特開2003-262502(JP,A)
調査した分野 G01B 7/00~7/34
G01D 5/00~5/252;5/39~5/62
G01L 1/00~1/26;25/00
G01L 3/00~3/26
G01L 5/00~5/28
特許請求の範囲 【請求項1】
対象物の曲げ変形を検出する曲げ変形センサであって、
前記対象物の表面に取り付けられ、該対象物表面の曲げ変形に追従して変形する二枚の圧電フィルムが、延伸方向を一致させて、重ねられ一体化した圧電フィルム対を備えており、
前記二枚の圧電フィルムのそれぞれの各面には、長さが異なる複数の電極が配置されており、
前記長さが異なる複数の電極のそれぞれは、各圧電フィルムを介して対向した位置に配された二枚が一対となっており、
前記長さが異なる複数の電極のそれぞれは、長手方向が前記圧電フィルムの延伸方向と一致しており、長手方向および短辺方向に複数配置されており、
前記一対の電極は、前記対象物の曲げ変形によって生じた各圧電フィルムの起電力の差分信号を出力することを特徴とする曲げ変形センサ。
【請求項2】
前記二枚の圧電フィルム間に柔軟な弾性体を挿入したことを特徴とする請求項1に記載の曲げ変形センサ。
【請求項3】
前記圧電フィルム対が長方形状であり、この長手方向と前記圧電フィルムの異方性方向とが同じであることを特徴とする請求項1に記載の曲げ変形センサ。
【請求項4】
前記圧電フィルム対を複数備えており、
該複数の圧電フィルム対を並べて配置したことを特徴とする請求項2に記載の曲げ変形センサ。
【請求項5】
前記二枚の圧電フィルムは、同じ極性の面同士が電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の曲げ変形センサ。
【請求項6】
前記圧電フィルム対を前記対象物に取り付けるための取り付け部材を備えており、
前記取り付け部材は、前記対象物との間に前記圧電フィルム対を挟んだ状態で、前記対象物に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の曲げ変形センサ。
【請求項7】
前記取り付け部材は、前記圧電フィルム対と接触する面に、前記取り付け部材よりも摩擦係数の小さい摩擦低減部材を取り付けたことを特徴とする請求項5に記載の曲げ変形センサ。
【請求項8】
曲げ変形の位置に対する前記起電力の差分信号の波形が、前記二対の圧電フィルム対間で異なっていることを特徴とする請求項1に記載の曲げ変形センサ。
【請求項9】
前記対象物が人体あるいは人体に装着される装着物であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の曲げ変形センサ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の曲げ変形センサと、該曲げ変形センサから出力される前記差分信号を基に、前記対象物表面の曲率を測定する測定手段とを備えたことを特徴とする曲げ変形測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の変形によって生じる対象物表面の曲率変化を検出する曲げ変形センサおよび変形測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械や構造物の曲げ変形によって部材表面に生じる歪の測定には歪ゲージが多く用いられている。しかしながら、一つの歪みゲージは軸力成分の変形を検出してしまうため、曲げ変形のみを精度良く測定するためには、対象物の両面に歪ゲージを取り付け、対象物に負荷される軸力成分を除去するようにブリッジ回路を使用する必要がある。
【0003】
また、対象物の曲げによる変形を測定する他の手法として、レーザー変位計を用いる方法や、ビデオ画像により計測する方法がある。
【0004】
一方、特許文献1には、圧電材料を用いた変位センサが開示されている。これは、上記歪みゲージと同様に、振動体の両面に2つの圧電素子を形成し、該圧電素子の共振周波数の変化による位相差から振動体の変位を検出するものである。
【0005】
また、特許文献2には、流体圧力の変動を検出する圧電体のバイモルフ構造が開示されている。

【特許文献1】特開平8-304446(1996年11月22日公開)
【特許文献2】特開2002-5771(2002年1月9日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、歪みゲージや特許文献1に記載の変位センサは、軸力方向の歪み成分を取り除き、対象物の曲げ変形のみを検出するために、対象物の両面に貼り付けられる必要がある。しかしながら、構造物によっては、部材の両面に歪みゲージや変位センサを取り付けて電気配線することが困難な場合もある。そのため、簡易に曲率変化を測定することができない。
【0007】
また、非常に柔軟な対象物の歪みを測定する場合には、変形により対象物表面に生じる歪み量が大きく、取り付けた歪みゲージがはがれる、あるいは、歪みゲージが許容する歪み値を超えて破断するなどの問題がある。
【0008】
また、レーザー変位計を使用した場合、レーザーを照射した1点については高精度に対象物のたわみ変位を測定することが可能である。しかしながら、局所の変位しか測定できず、多数のレーザー変位計を使用して多数の個所を測定しなければ、対象物がどのような変形状態にあるのかを特定することができない。さらに、レーザー変位計を移動させてスキャン動作を行い、対象物全体の変形形状を測定する装置がある。これは静止状態の対象物には適しているが、広い範囲の測定ではスキャン動作に時間がかかるため、動的に変形する対象物の測定は困難であるという問題がある。
【0009】
ビデオ画像による計測する方法によっても、撮影された箇所の変位しか測定できないため、前記レーザー変位計と同様の問題がある。
【0010】
また、特許文献2に記載のバイモルフ構造の圧電体は、流体圧力の変動を検出するものであり、曲げ変形を検出するものではない。また、該バイモルフ構造の圧電体は、ステンレス鋼などの支持体を有しているとともに、環状の容器に固定されているため、柔軟な膜構造物や人体などの曲げ変形に応用することは困難である。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸力方向の歪み成分を取り除いた状態で、柔軟な対象物の曲げ変形を簡易に検出できる曲げ変形センサおよび該曲げ変形センサを備えた変形測定装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の変形測定装置は、上記の課題を解決するために、対象物の曲げ変形を検出する曲げ変形センサであって、前記対象物の表面に取り付けられ、該対象物表面の曲げ変形に追従して変形する二枚の圧電フィルムが重ねられ一体化した圧電フィルム対を備えており、前記二枚の圧電フィルムは、異方性を有する場合、その異方性方向が一致するように重ねられており、前記圧電フィルム対は、前記対象物の曲げ変形によって生じた各圧電フィルムの起電力の差分信号を出力することを特徴としている。
【0013】
ここで、圧電フィルムとはフィルム状の圧電体であり、例えば、高分子からなる。また、圧電フィルムは、その圧電特性において異方性を有するものと、異方性を有さないものとがある。異方性を有する圧電フィルムとしては、フィルム状に形成される際にある一方向に延伸され,その延伸方向に強い圧電性を示し,延伸方向と直交する方向には圧電性が減少するといった異方性(指向性)を有するものがある。
【0014】
上記の構成によれば、二枚の圧電フィルムは、異方性を有する場合、その異方性方向が一致して重ねられているため、軸力方向の歪みに対して同じだけの起電力を発生する。なお、異方性を有さない二枚の圧電フィルムは、異方性がないため、当然に軸力方向の歪みに対して同じだけの起電力を発生する。そして、変形センサは、各圧電フィルムの起電力の差分信号を出力する。そのため、軸力方向の歪みに対する各圧電フィルムの起電力の差分信号は0となり、軸力方向の歪み成分を取り除くことができる。
【0015】
また、上記差分信号は対象物表面の曲率に反比例するため、より正確に曲率変化を検出することができる。
【0016】
また、軸力方向の歪み成分を取り除いた二枚の圧電フィルムは、重ねられ一体化している。そのため、一体化した該圧電フィルム対を対象物の一面に取り付けるだけで、対象物の曲率変化を測定することができる。すなわち、従来のように、対象物の表面および裏面の両面に取り付ける必要がない。
【0017】
さらに、圧電フィルムは、フィルム状であるため、柔軟な対象物の曲げ変形にも追従することができる。
【0018】
以上から、軸力方向の歪み成分を取り除いた状態で、柔軟な対象物の曲げ変形を簡易に検出できる曲げ変形センサを実現することができる。
【0019】
さらに、本発明の曲げ変形センサは、上記の構成に加えて、前記二枚の圧電フィルム間に柔軟な弾性体を挿入したことを特徴としている。
【0020】
ここで、弾性体とは、例えば、高分子フィルム、ゴム、樹脂などの材料から形成されており、柔軟な物体である。
【0021】
上記の構成によれば、二枚の圧電フィルム間の距離が大きくなるため、対象物の曲げ変形により生じる各圧電フィルムの起電力の差が大きくなる。これにより、対象物の曲率変化を精度良く検出することができる。
【0022】
また、弾性体の剛性を変化させることで、曲げ変形センサの柔軟性を調整することができる。これにより、曲げ変形センサを対象物に応じた柔軟性にすることができる。
【0023】
さらに、本発明の曲げ変形センサは、上記の構成に加えて、前記圧電フィルム対が長方形状であり、この長手方向と前記圧電フィルムの異方性方向とが同じであることを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、圧電フィルム対の長手方向の対象物の変形に対して大きな上記差分信号を得ることができる。一方、短辺方向の対象物の変形に対して検知能力を小さくすることができる。これにより、ある特定方向の対象物の曲げ変形のみを測定したい場合、該特定方向と上記長手方向とを一致させることで、該特定方向の曲率変化を精度よく測定することができる。
【0025】
さらに、本発明の曲げ変形センサは、上記の構成に加えて、前記圧電フィルム対を複数備えており、該複数の圧電フィルム対を並べて配置したことを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、各圧電フィルム対における上記差分信号の大小を比較することで、どの圧電フィルム対で最も大きな曲げ変形が生じているかがわかる。すなわち、曲げ変形が生じている位置を特定することができる。
【0027】
さらに、本発明の曲げ変形センサは、上記の構成に加えて、前記二枚の圧電フィルムは、同じ極性の面同士が電気的に接続されていることを特徴としている。同じ極性の面同士が向き合うように貼り合わされるとともに、該同じ極性の面同士が電気的に接続されており、前記二枚の圧電フィルムにおける貼り合わせ面と異なる面間の電位差を前記差分信号として出力することを特徴としている。
【0028】
上記の構成によれば、二枚の圧電フィルムにおいて、電気的に接続された面と異なる面間の電位差を前記差分信号として出力すればよい。すなわち、各圧電フィルムに生じた電圧を測定する必要がなくなる。
【0029】
さらに、本発明の曲げ変形センサは、上記の構成に加えて、前記圧電フィルム対を前記対象物に取り付けるための取り付け部材を備えており、前記取り付け部材は、前記対象物との間に前記圧電フィルム対を挟んだ状態で、前記対象物に取り付けられることを特徴としている。
【0030】
上記の構成によれば、取り付け部材は、対象物との間に圧電フィルム対を挟んだ状態で、対象物に取り付けられる。そのため、圧電フィルム対は、取り付け部材と対象物との間に挟まれているだけであり、対象物に対して滑ることが可能である。そのため、対象物が曲げ変形量が大きい場合であっても、圧電フィルム対にしわが寄るようなことがない。この結果、精度よく対象物の曲率変化を測定することができる。また、圧電フィルム対を粘着テープや接着剤等で対象物に接着したときに比べて、対象物が曲げ変形量が大きい場合であっても、圧電フィルム対が対象物からはがれるようなことがない。
【0031】
さらに、本発明の曲げ変形センサは、上記の構成に加えて、前記取り付け部材は、前記圧電フィルム対と接触する面に、前記取り付け部材よりも摩擦係数の小さい摩擦低減部材を取り付けたことを特徴としている。
【0032】
上記の構成によれば、圧電フィルム対は、取り付け部材に対してもより一層滑ることが可能となる。これにより、対象物が曲げ変形量が大きい場合であっても、圧電フィルム対にしわが寄ることを一層抑制することができる。
【0033】
さらに、本発明の曲げ変形センサは、上記の構成に加えて、前記圧電フィルム対を二対備えており、少なくとも一方の圧電フィルム対において、曲げ変形の位置に対して、前記起電力の差分信号が変化し、曲げ変形の位置に対する前記起電力の差分信号の波形が、前記二対の圧電フィルム対間で異なっていることを特徴としている。
【0034】
上記の構成によれば、少なくとも一方の圧電フィルム対において、曲げ変形の位置に対して、前記起電力の差分信号が変化する。ただし、該差分信号は、曲げ変形量によっても変化する。したがって、圧電フィルム対において、曲げ変形の位置に対して前記起電力の差分信号が変化するとしても、該差分信号の変化からは、曲げ変形位置を見積もることはできない。しかしながら、曲げ変形の位置に対する前記起電力の差分信号の波形が、前記二対の圧電フィルム対間で異なっている。そのため、該二対の圧電フィルム対における差分信号の大小関係を見ることで、曲げ変形の位置を見積もることができる。
【0035】
さらに、本発明の曲げ変形センサは、上記の構成に加えて、前記対象物が人体あるいは人体に装着される装着物であることを特徴としている。
【0036】
ここで、人体に装着される装着物とは、例えば、被服、ベルト、関節等に装着されるサポータなどである。
【0037】
上記の構成によれば、手足の曲げ変形等の人体の関節の動き、被服の変形を検出することができる。
【0038】
また、本発明の変形測定装置は、上記の課題を解決するために、上記曲げ変形センサと、該曲げ変形センサから出力される前記差分信号を基に、前記対象物表面の曲率変化を測定する測定手段とを備えたことを特徴としている。
【0039】
上記の構成によれば、軸力方向の歪み成分を取り除いた状態で、柔軟な対象物の曲げ変形を簡易に測定できる。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係る曲げ変形センサは、以上のように、対象物表面に密着して、該対象物表面の曲げ変形に追従して変形する二枚の圧電フィルムである圧電フィルム対を備えており、前記二枚の圧電フィルムは、異方性を有する場合、その異方性方向が一致するように重ねられており、前記圧電フィルム対は、前記対象物の曲げ変形によって生じた各圧電フィルムの起電力の差分信号を出力する。
【0041】
また、本発明に係る変形測定装置は、以上のように、上記曲げ変形センサと、該曲げ変形センサから出力される前記差分信号を基に、前記対象物表面の曲率変化を測定する測定手段とを備える。
【0042】
それゆえ、軸力方向の歪み成分を取り除いた状態で、柔軟な対象物の曲げ変形を簡易に検出・測定できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図10に基づいて説明すると以下の通りである。
【0044】
図2は、本実施形態に係る変形測定装置を示す平面図である。図2に示されるように、変形測定装置は、対象物に取り付けられ、対象物の表面の曲率変化に応じて自ら変形し、該変形量に対応する信号を出力する変形センサ(曲げ変形センサ)10と、変形センサ10からの出力信号を基に、対象物表面の曲率変化を測定する測定部(測定手段)5とを備えている。変形センサ10は、例えば、その縦横比が3以上の細長い長方形状である。
【0045】
図1は、図2に示す変形測定装置の第1の実施例の断面図である。図1に示されるように、変形センサ10は、一対の圧電フィルム1a・1b(圧電フィルム対)と、圧電フィルム1aの各面に蒸着されたアルミニウム電極3a・4aと、圧電フィルム1bの各面に蒸着された電極3b・4bとを備えている。また、アルミニウム電極3a・3bと測定部5とは、2本の電気配線51により、電気的に接続されている。
【0046】
圧電フィルム1a・1bは、例えば、ポリ弗化ビニリデン(PVDF)からなる厚さ40μmの高分子圧電フィルムである。圧電フィルム1a・1bは、その厚み方向に分極しており、陰極面にアルミニウム電極3a、3bが、陽極面にアルミニウム電極4a、4bが蒸着されている。本実施例では、圧電フィルム1aが陽極面を下向きに、圧電フィルム1bが陽極面を上向きにして配置されており、圧電フィルム1a・1bの陽極面とは、電極4a・4bを介して、陽極面同士が電気的に接続されている。したがって、アルミニウム電極3a・3b間の電圧差は、圧電フィルム1a・1bに生じた電圧の差分と一致する。
【0047】
一軸圧延によって製造された圧電フィルム1a・1bは、製造時の圧延方向(延伸方向)に引っ張られた場合の起電力が該延伸方向に垂直な方向に引っ張られた場合の起電力に比べて大きい。すなわち、圧電フィルム1a・1bは、圧電特性に関して異方性を有している。これは、一軸圧延によって製造されたフィルム状の圧電体に特有の性質である。本実施形態では、圧電フィルム1aと圧電フィルム1bとの陽極面同士を電気的に接続して圧電フィルム1a・1bに生じた電圧の差分を出力するとともに、上記延伸方向(すなわち、異方性方向にあたる)を一致させることにより、後述するように、対象物の軸力歪み成分を消去している。
【0048】
また、圧電フィルム1a・1bの延伸方向と、変形センサ10の長手方向とを一致させている。これにより、変形センサ10は、その長手方向の対象物の変形に対して大きな信号を出力し、その短辺方向の対象物の変形に対して検知能力を小さくすることができる。すなわち、変形センサ10の長手方向の対象物の変形を精度良く測定することが可能となる。
【0049】
電気配線51は、アルミニウム電極3a・3bと測定部5とを接続している。上述したように、アルミニウム電極3a・3b間の電圧差は、圧電フィルム1a・1bに生じた電圧の差と一致している。よって、電気配線51は、各圧電フィルム1a・1bに生じた起電力の差分信号を、圧電フィルム対から測定部5に伝達するためのものである。すなわち、圧電フィルム対(圧電フィルム1a・1b)は、各圧電フィルムにおける起電力の差分信号を出力電圧信号としている。
【0050】
測定部5は、変形センサ10からの出力電圧信号を基に、対象物表面の曲率を測定する。
【0051】
図3は、本発明による変形測定装置における測定原理を説明するものである。変形センサ10は、図3(a)に示すように、厚さ方向に分極した圧電フィルム1a,1bの間に、アルミニウム電極4(図3では、図1に示すアルミニウム電極4aおよび4bをまとめてアルミニウム電極4としている)が位置することによって、圧電フィルム1a,1bを電気的に接続する。このとき、圧電フィルム1a,1bの間に、フィルム自体の厚みとアルミニウム電極4とによって、厚さ方向に距離dが生じる。
【0052】
なお、圧電フィルム1a,1bの同じ極性を持つ面が互いに電気的に接続されているため、変形センサ10は、各圧電フィルム1a,1bの発生電荷の差分信号(つまり、起電力の差分信号に対応する)を出力していることとなる。
【0053】
図3(b)に示すように、変形センサ10に軸力Fが作用した場合、圧電フィルム1a・1bにおいて、引張変形の歪み量が等しく、かつ、延伸方向が一致しているため、向かい合わせた面に対して同じ量の正電荷を発生する。また、圧電フィルム1a・1bの同じ極性を持つ面が互いに電気的に接続されているため、各圧電フィルム1a,1bの発生電荷が相殺される。すなわち、2つの圧電フィルム1a・1bは同じ起電力を発生し、測定部5は、変形センサ10からの出力電圧信号(圧電フィルム1aと圧電フィルム1bとの陰極間の電圧信号)が0であることを検出する。
【0054】
一方、図3(c)に示すように、変形センサ10が曲げモーメントMによって曲げ変形した場合、変形センサ10の厚み方向中央にある中立軸に対して、曲率rで変形したと仮定する。ここで、対象物表面の曲率r’とすると、本変形測定装置の厚さdは曲率r’に対して非常に薄いので、変形測定装置の曲率rと対象物表面の曲率r’は等しいと考えることができる。
【0055】
図3(c)に示されるように、上面の圧電フィルム1aは圧縮変形し、下面の圧電フィルム1bは引張変形する。圧電フィルム1a、1bそれぞれに生じる曲げ歪みをε11、ε12とすると、材料力学の理論式より、
ε11=-d/2r、 ε12=d/2r … 式(1)
となる。圧電フィルム1a,1bからの出力信号は、歪み速度に比例した電圧信号である。よって、測定部5が測定する圧電フィルム1a・1bで生じた電圧の差分(つまり、圧電フィルム対の出力電圧信号)Vは、
V=C(dε12/dt-dε11/dt) …式(2)
となる。ここで、Cは定数である。
【0056】
従って、出力電圧信号Vを測定後に時間積分することにより、次式(3)に示す圧電フィルム対の出力電圧信号Vの時間積分値V2は、圧電フィルム1a・1bの曲げ歪みの差に比例した量となる。
【0057】
V2=∫Vdt=C(ε12-ε11) …式(3)
さらに式(3)に式(1)を代入すると、時間積分値V2は、次式(4)のように、変形測定装置10の圧電フィルム1a・1bに生じた曲率rに反比例した信号となる。
【0058】
V2=C(ε12-ε11)=C×d/r …式(4)
なお、出力電圧信号Vを測定後に数値的に時間積分する代わりに、出力電圧信号Vを電荷増幅回路(チャージアンプ)に接続すると、電荷増幅回路の出力電圧として、時間積分値V2と同等な値が得られる。
【0059】
このように、変形センサ10を備えた変形測定装置を用いることにより、対象物表面の曲率を測定することが可能である。
【0060】
次に、変形センサ10を対象物に取り付ける方法について説明する。変形量が小さい、つまり、変形時の曲率が大きい対象物については、変形センサ10を粘着テープや接着剤等によって対象物表面に取り付ける事で測定が可能である。これにより、簡易な取り付け方法で測定が可能となる。
【0061】
しかしながら、柔軟な対象物の場合、対象物の変形によって表面に生じる歪み量が大きく、粘着テープ等による取り付け方法では、変形センサ10がしわが寄ったように局部的に変形したり、変形センサ10が対象物から剥がれたりする可能性がある。
【0062】
そこで、図4に示すように、ゴムや布、樹脂フィルムなどでできた取り付け部材61を対象物6の表面に接着剤等で取り付け、該取り付け部材61と対象物6とで、袋状を形成する。そして、取り付け部材61と対象物6との間に変形センサ10を挟み、変形センサ10を対象物6に密着させることが好ましい。取り付け部材61は、対象物6の表面の曲率変化に伴って変形する。そのため、取り付け部材61と対象物6とで形成された袋の中に収められた変形センサ10も、対象物6の変形と同様に、対象物表面の曲率変化に伴って変形する。これにより、変形センサ10を対象物6の大きな変形に追従して変形させることが可能となる。
【0063】
変形センサ10は、取り付け部材61と対象物6との間に挟まれているだけであり、対象物6と接着剤等で接着されていない。そのため、変形センサ10は、対象物6に対して滑ることができ、対象物6の曲げ変形量が大きい場合であっても、対象物6と同じ曲げ変形量で変形することができる。つまり、しわが寄ったような局部的な変形が生じない。これにより、対象物6の曲率を精度良く測定することができる。
【0064】
なお、変形センサ10と、取り付け部材61および対象物6の表面との間に、取り付け部材61および対象物6よりも摩擦係数の小さいフィルム62を取り付けることが好ましい。これにより、変形センサ10が変形し易くなる。なお、フィルム62は、例えば、テフロン(登録商標)フィルムなどである。
【0065】
図5は、本発明による変形測定装置を人体63に取り付ける方法を説明するものである。図中では人体63の肘関節に装着するサポータ64に取り付け部材61を取り付けてあり、取り付け部材61とサポータ64との間に変形センサ10を挿入している。これにより、変形センサ10によって人体63の肘関節の曲率を検出することが可能となる。
【0066】
また、本発明による変形測定装置を人体との接触により変形されるクッションに装着した場合、変形測定装置が測定した曲率の大きさに応じて、人体の体重や大きさを見積もることができる。例えば、車のシートに本変形測定装置を取り付けた場合、シートの曲率変化を測定することで、シートに座った人が子供であるか大人であるかを判断することができる。
【0067】
次に、本発明の変形センサ10の変形例について、図6を参照しながら説明する。図6(a)は、変形センサ10の第二の実施例を示す縦断面図である。本実施例では、圧電フィルム1a,1bの間に樹脂材料やゴム材料などの薄い(例えば、厚み150μm)弾性板2を挿入し、圧電フィルム1a、1bの厚み方向の距離を広げている。これにより、対象物が曲げ変形したとき、圧電フィルム1aに生じる圧縮力(または引張力)と、圧電フィルム1bに生じる引張力(または圧縮力)とが大きくなる。その結果、圧電フィルム1a・1bに生じた起電力の差分が大きくなり、測定部5における出力電圧信号Vの検出精度が向上する。
【0068】
なお、弾性板2が絶縁材料である場合、図6(a)に示すように、電気配線52を用いて圧電フィルム1a・1bの陰極面側に蒸着されたアルミニウム電極4a・4bを接続する。
【0069】
また、弾性板2の剛性を変化させることで、使用用途に応じて変形測定装置の柔軟性を調整することができる。
【0070】
図6(b)は変形センサ10の第三の実施例を示す縦断面図である。図に示すように、弾性体2、あるいは、電極4a,4bを導電性フィルム12で代用した場合、一対の圧電フィルム1a・1bを接続する電気配線52が省略できる。また、図に示すように、アルミニウム電極3a,3b(すなわち、圧電フィルム1a・1bの接合面と異なる面に付けられた電極)に導電性フィルム12を用いた場合、測定部5と変形センサ10とを接続する電気配線51が省略できる。これにより、変形測定装置の構成要素を削減し、製造工程を簡略化できる。
【0071】
さらに、薄い樹脂フィルムなどの絶縁性材料7で変形センサ10を覆うことで、変形測センサ10を電気的に絶縁し、外部の力による損傷から保護することも可能である。絶縁性材料7を取り付けたことにより、変形測定装置の測定性能に影響を及ぼすことは実用上ほとんど無い。
【0072】
次に、本発明の変形測定装置の測定性能を確認する実験を行った。図7に実験に使用した装置を示す。対象物として長さ1000mm、幅35mm、厚さ1.6mmのステンレス製平板を使用し、長さ500mmの片持ち梁6となるように平板の端部を固定する。変形センサ10は、長さ100mmで、図6(b)に示した第3の実施例の構成・配線方法を有している。片持ち梁6の上面に、固定端から10mmの位置に粘着テープで取り付けた。
【0073】
変形センサ10の出力電圧信号は、電気配線51を通じて接続した図示しない測定部5により測定された。また、片持ち梁6のたわみはレーザー式変位計52で測定した。実験では、片持ち梁6の先端を手で持ち上げて静止してから放し、片持ち梁6を自由振動させた。
【0074】
変形センサ10の出力電圧と、片持ち梁6のたわみとの関係を図8に示す。図では、変形センサ10の出力電圧を時間積分した値を実線で表し、片持ち梁6のたわみを破線で示している。
【0075】
図8に示されるように、変形センサ10の出力電圧の積分値は、片持ち梁6のたわみ量と密接な相関関係があることがわかる。この結果から、変形センサ10を用いて、たわみ変形によって生じる片持ち梁6の曲率変化を測定できることが確認できた。
【0076】
さらに、対象物表面の曲率と変形センサ10の出力信号との関係を明らかにするため、図9に示す実験装置を用いた実験を行った。図9に示す実験装置では、曲率の異なるプーリー81,82にゴムベルト8を取り付けてあり、これによってプーリー81,82が連動して回転運動する。
【0077】
変形センサ10は、ゴムベルト8の表面に粘着テープで取り付けられている。変形センサ10が取り付けられている部分のゴムベルトがプーリー81,82から離れている場合、変形センサ10は直線形状である。一方、変形センサ10が取り付けられている部分のゴムベルトがプーリー81,82に移動すると、変形センサ10はプーリー81,82の半径と同じになるように変形する。
【0078】
プーリー81,82の曲率半径は、それぞれ100mm、50mmであり、この他に75mmのプーリーも使用した。
【0079】
プーリーの曲率半径rと変形センサ10の出力信号の積分値V2の変動範囲との関係を図10に示す。図中で白丸印は実験によって測定した値を示し、曲線は実験点を曲線近似したものである。図より、ゴムベルトが直線状態から大きく変形して、曲率半径rが小さくなる程、変形センサ10の出力信号の積分値V2の値の変化が大きくなることがわかる。これにより、出力信号の積分値V2とゴムベルトの半径rとが、上記式(4)に従い、反比例の関係になることが明らかになった。
【0080】
〔実施形態2〕
図11は、本発明の実施形態2に係る変形センサを示す斜視図である。本実施形態の変形センサ10’は、変形を検知する圧電フィルム1a,1b(1bは、図示せず)の表面に電極3a,3bを蒸着していない仕様のものを用い、長さの異なる複数の導電フィルム(電極)31・32・33・34・35・36を、図に示すように並べて配置している。各導電フィルム31~36は、2枚(31a~36aおよび31b~36b)が一対となっており、圧電フィルム1a・1bを介して対向した位置に配置されており、この2枚の電圧差を出力する。一方の導電フィルム31a~36aは、圧電フィルム1aの上面(圧電フィルム1bと対向する面と異なる面、ここでは陰極面)に、他方の導電フィルム31b~36bは、図示しない圧電フィルム1bの下面(圧電フィルム1aと対向する面と異なる面、ここでは陰極面)に接着されている。さらに、導電フィルム31~36が接着された圧電フィルム1a・1b全体を絶縁性材料7により覆い、外部の力による損傷から保護している。
【0081】
また、各導電フィルム31~36は、上記実施形態1と同様に、図示しない測定部に接続されている。該測定部は、各導電フィルム31~36からの出力電圧を測定し、各測定値の比較を行う。例えば、導電フィルム31からの出力電圧が最も大きい場合、変形測定センサ10’において、導電フィルム31を取り付けた部分が他の部分よりも大きな曲率変化を生じていることがわかる。
【0082】
このように、一つの変形センサ10’に多数の導電フィルム31・32・33・34・35・36を内包する変形測定装置を実現できる。上記実施形態1の変形測定装置単体では、対象物表面の曲率変化を、変形センサ10を取り付けた範囲について検出できる。しかしながら、変形センサ10を取り付けた範囲において、特にどの部分に大きな変形が生じているのかという点については検出することができない。
【0083】
本実施形態においては、上記のように、変形センサ10’の内部に長さの異なる導電フィルムを配置していることで、変形センサ10’を取り付けた範囲内において、どの位置に大きな曲率変形が生じているかを検出できる。また、測定の際に、変形センサ10’を1つ対象物に取り付けるだけで良いため、設置作業が容易になる。
【0084】
なお、上記説明では、一つの圧電フィルム対に、複数の導電フィルムを配置する構成とした。しかしながら、実施形態1に示した圧電フィルム対(圧電フィルム1a・1b)と同様の複数の圧電フィルム対を柔軟なフィルム状の基板に並べて配置する構成であってもよい。この場合、各圧電フィルム対からの出力電圧信号を比較し、最も大きな電圧信号を出力する圧電フィルム対の位置で曲げ変形が生じていることがわかる。つまり、曲げ変形の位置を検出することができる。
【0085】
〔実施形態3〕
図12は、本発明の実施形態3に係る変形測定装置を示す斜視図である。図に示されるように、本変形測定装置は、変形センサ10”と、該変形センサ10”の出力信号を基に曲率変化を測定する測定部5aとを備えている。
【0086】
変形センサ10”は、二つの圧電フィルム対101・201と、該圧電フィルム対101・201を支持するための柔軟なフィルム状素材9とを含む。フィルム状素材9は、長方形状である。
【0087】
圧電フィルム対101は、上記実施形態1に示した圧電フィルム対と同様に、二枚の圧電フィルムが、延伸方向を一致させ、同じ極性の面が向かい合うように貼り合わされた構造を有している。また、該二枚の圧電フィルムは、上記実施形態1(図1参照)と同様に、両面にアルミニウム電極が蒸着され、向かい合った面同士が電気的に接続されている。さらに、該二枚の圧電フィルムにおける貼り合わせ面と異なる面間の電位差(つまり、各圧電フィルムの起電力の差分信号にあたる。以下で、単に出力電圧信号とする)を測定部5aに出力している。なお、図12では、アルミニウム電極の図示を省略している。
【0088】
圧電フィルム対201も、圧電フィルム対101と同じ構成である。
【0089】
圧電フィルム対101・201は、フィルム状素材9上において直角三角形状を有しており、フィルム状素材9の長手方向に対して、フィルム状素材9の短辺方向の幅が変化している。これにより、圧電フィルム対101・201は、フィルム状素材9の長手方向の位置に応じて、該位置における曲げ変形による出力電圧信号が変化する。
【0090】
また、圧電フィルム対101は、フィルム状素材9の一方の短辺上において、該短辺方向の幅が最大になるように配置されている。これに対し、圧電フィルム対201は、フィルム状素材9の他方の短辺上において、該短辺方向の幅が最大になるように配置されている。すなわち、圧電フィルム対101・201は、直角三角形状の斜辺同士が向き合うように配置されている。これにより、圧電フィルム対101・201を組み合わせた形状がほぼ四角形となり、変形センサ10”の形状を取り扱いやすいものにすることができる。
【0091】
図13は、変形センサ10”全体を圧電フィルム対101から201に向かって、一定の速度で曲げ変形の位置を移動させたときに、それぞれの圧電フィルム対からの出力電圧信号を示したグラフである。なお、曲げ変形の曲率を一定としている。図より、圧電フィルム対101が先に変形を始め、少し遅れて圧電フィルム対201が変形を開始していることが分かる。つまり、曲げ変形の位置に対する出力電圧信号の波形が、二対の圧電フィルム対101・201間で異なっている。二つの信号波形の大小を比較することで、変形がどの位置で生じているかを推定することができる。
【0092】
なお、本実施形態では、圧電フィルム対101・201の両方ともが、直角三角形状とし、フィルム状素材9の長手方向の曲げ変形の位置に対して、出力電圧信号が変化する構成とした。しかしながら、どちらか一方だけが、曲げ変形の位置に対して、出力電圧信号が変化する構成であってもよい。例えば、圧電フィルム対101が上記のように直角三角形であり、圧電フィルム対201が矩形状であってもよい。このような場合であっても、曲げ変形の位置に対する出力電圧信号の波形が、前記二対の圧電フィルム対101・201間で異なっている。これにより、二つの信号波形の大小を比較することで、変形がどの位置で生じているかを推定することができる。
【0093】
以上のように、変形センサ10”は、二対の圧電フィルム対101・201を備えており、少なくとも一方の圧電フィルム対101・201において、曲げ変形の位置に対して、出力電圧信号(各圧電フィルムの起電力の差分信号)が変化する。さらに、曲げ変形の位置に対する出力電圧信号の波形が、二対の圧電フィルム対101・201間で異なっている。
【0094】
これにより、少なくとも一方の圧電フィルム対101・201において、曲げ変形の位置に対して、出力電圧信号が変化する。ただし、該出力電圧信号は、曲げ変形量によっても変化する。したがって、圧電フィルム対101・201において、曲げ変形の位置に対して出力電圧信号が変化するとしても、該出力電圧信号の変化からは、曲げ変形位置を見積もることはできない。しかしながら、曲げ変形の位置に対する出力電圧信号の波形が、前記二対の圧電フィルム対101・201間で異なっている。そのため、該二対の圧電フィルム対101・201における出力電圧信号の大小関係を見ることで、曲げ変形の位置を見積もることができる。
【0095】
また、上記各実施形態では、一軸圧延によって製造された圧電フィルム、つまり、異方性を有する圧電フィルムを用いる構成とした。しかしながら、異方性を有さない圧電フィルムを用いてもよい。この場合、異方性を有さないため、圧電フィルム対を構成する二枚の圧電フィルムは、軸力方向の歪みに対して当然に同じだけの起電力を発生する。よって、各圧電フィルムの起電力の差分信号が軸力方向の歪みに対して0となり、軸力成分を消去することができる。
【0096】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の曲げ変形センサまたは変形測定装置によれば、対象物表面の曲率変化を検出することができる。よって、例えば、機械や構造物を構成する部材や航空機の翼の曲げ変形や、帆船の帆やテントなど膜状の構造物等の変形、あるいは、関節の曲げ伸ばし運動による関節の運動・変形状態、筋肉の収縮による肢体断面形状の変形等、人体の運動や変形など、さらに、人体との接触により変形されるクッションの変形などの検出・測定する装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施形態1に係る変形測定装置の第一の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る変形測定装置を示す平面図である。
【図3】(a)~(c)は、本発明の測定原理を説明するためのものであり、変形測定装置を示す断面図である。
【図4】変形測定装置を対象物に取り付けたときの該変形測定装置の断面図である。
【図5】変形測定装置を人体63に取り付ける方法を説明する図である。
【図6】(a)は実施形態1に係る変形測定装置の第二の実施例を示す断面図であり、(b)は第三の実施例を示す断面図である。
【図7】変形測定装置を用いた片持ち梁の変形測定実験装置を示す断面図である。
【図8】変形測定装置が備える変形センサの出力電圧信号と、片持ち梁のたわみとの関係を示すグラフである。
【図9】ゴムベルトの曲率変化を測定する実験装置を示す図である。
【図10】ゴムベルトの曲率半径と変形センサの出力電圧信号の積分値との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の実施形態2に係る変形測定装置が備える変形センサを示す断面図である。
【図12】本発明の実施形態3に係る変形測定装置を示す断面図である。
【図13】一定の速度で曲げ変形の位置を変化させたときにおける圧電フィルム対の出力電圧信号を示すグラフである。
【符号の説明】
【0099】
1a・1b 圧電フィルム
2 弾性体
3a・3b・4・4a・4b アルミニウム電極(電極)
5・5a 測定部(測定手段)
6 対象物
31a~36f,31b~36f 導電フィルム(電極)
61 サポータ(人体に装着される装着物)
62 取り付け部材
63 フィルム(摩擦低減部材)
101・201 圧電フィルム対
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12