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明細書 :電子透かし検出装置、それを内蔵する中継装置、及び、電子透かし検出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4282568号 (P4282568)
公開番号 特開2006-050380 (P2006-050380A)
登録日 平成21年3月27日(2009.3.27)
発行日 平成21年6月24日(2009.6.24)
公開日 平成18年2月16日(2006.2.16)
発明の名称または考案の名称 電子透かし検出装置、それを内蔵する中継装置、及び、電子透かし検出方法
国際特許分類 H04N   1/387       (2006.01)
G06T   1/00        (2006.01)
H04N   1/00        (2006.01)
FI H04N 1/387
G06T 1/00 310Z
G06T 1/00 500B
H04N 1/00 B
請求項の数または発明の数 6
全頁数 13
出願番号 特願2004-230360 (P2004-230360)
出願日 平成16年8月6日(2004.8.6)
審査請求日 平成19年3月27日(2007.3.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】井口 寧
【氏名】榊原 憲宏
個別代理人の代理人 【識別番号】100105809、【弁理士】、【氏名又は名称】木森 有平
審査官 【審査官】白石 圭吾
参考文献・文献 特開2002-269276(JP,A)
特開2001-339598(JP,A)
特開平10-312373(JP,A)
特開2001-313692(JP,A)
特開2004-192405(JP,A)
調査した分野 H04N 1/387
G10L 11/00
G06T 7/00
G06F 17/15
特許請求の範囲 【請求項1】
デジタルコンテンツデータの全体にわたって電子透かし中の識別子が挿入され、当該識別子はデジタルコンテンツデータを識別するためにユニークに付与された識別子であり、当該デジタルコンテンツデータが断片化されて識別子が不定位置に埋め込まれた状態の断片化デジタルコンテンツデータから当該識別子を検出する電子透かし検出装置において、
ネットワーク上でデータの送受信を中継する中継装置に受信された断片化デジタルコンテンツデータに挿入される前記電子透かし中の識別子を検出する検出回路を備え、
当該検出回路は、電子透かし中の識別子ごとに独立して設けられ、且つ、前記識別子ごとに複数設けられており、
前記断片化デジタルコンテンツデータのビット列からビットを1ビットずつずらしながら対象ビット列を抽出し、当該抽出された各対象ビット列を前記各検出回路に入力し、各検出回路により当該入力された対象ビット列と当該検出回路にて検出を担当する識別子のビット列とが一致するか否かを判断することで、前記各検出回路を用いて前記各対象ビット列を並列処理し、前記各検出回路のうち一つでも前記識別子が検出されると、前記中継装置からの当該断片化デジタルコンテンツデータの送信を停止することを特徴とする電子透かし検出装置。
【請求項2】
デジタルコンテンツデータの全体にわたって電子透かし中の識別子が挿入され、当該識別子はデジタルコンテンツデータを識別するためにユニークに付与された識別子であり、当該デジタルコンテンツデータが断片化されて識別子が不定位置に埋め込まれた状態の断片化デジタルコンテンツデータから当該識別子を検出する電子透かし検出装置において、
ネットワーク上でデータの送受信を中継する中継装置に受信された断片化デジタルコンテンツデータに挿入される前記電子透かし中の識別子を検出する検出回路を備え、
当該検出回路は、電子透かし中の識別子ごとに独立して設けられ、且つ、前記識別子ごとに複数設けられており、
前記断片化デジタルコンテンツデータのビット列からビットを1ビットずつずらしながら対象ビット列を抽出し、当該抽出された各対象ビット列を前記各検出回路に入力し、各検出回路により当該入力された対象ビット列と当該検出回路にて検出を担当する識別子のビット列とが一致するか否かを判断することで、前記各検出回路を用いて前記各対象ビット列を並列処理し、前記各検出回路のうち一つでも前記識別子が検出されると、所定の通知先に通知すること、又は/及び、そのログを記録することを特徴とする電子透かし検出装置。
【請求項3】
前記検出回路は、プログラムにより再構成可能な半導体素子により実現されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子透かし検出装置。
【請求項4】
ネットワーク上でデータの送受信を中継する中継装置において、前記請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の電子透かし検出装置が内蔵されていることを特徴とする中継装置。
【請求項5】
デジタルコンテンツデータの全体にわたって電子透かし中の識別子が挿入され、当該識別子はデジタルコンテンツデータを識別するためにユニークに付与された識別子であり、当該デジタルコンテンツデータが断片化されて識別子が不定位置に埋め込まれた状態の断片化デジタルコンテンツデータから当該識別子を検出する電子透かし検出方法において、
ネットワーク上でデータの送受信を中継する中継装置に断片化デジタルコンテンツデータが受信されると、検出回路を用いて当該断片化デジタルコンテンツデータに埋め込まれる電子透かし中の識別子を検出する方法であり、前記検出回路は、電子透かし中の識別子ごとに独立して設けられ、且つ、前記識別子ごとに複数設けられており、
前記断片化デジタルコンテンツデータのビット列からビットを1ビットずつずらしながら対象ビット列を抽出し、当該抽出された各対象ビット列を前記各検出回路に入力し、各検出回路により当該入力された対象ビット列と当該検出回路にて検出を担当する識別子のビット列とが一致するか否かを判断することで、前記各検出回路を用いて前記各対象ビット列を並列処理し、前記各検出回路のうち一つでも前記識別子が検出されると、前記中継装置からの当該断片化デジタルコンテンツデータの送信を停止することを特徴とする電子透かし検出方法。
【請求項6】
デジタルコンテンツデータの全体にわたって電子透かし中の識別子が挿入され、当該識別子はデジタルコンテンツデータを識別するためにユニークに付与された識別子であり、当該デジタルコンテンツデータが断片化されて識別子が不定位置に埋め込まれた状態の断片化デジタルコンテンツデータから当該識別子を検出する電子透かし検出方法において、
ネットワーク上でデータの送受信を中継する中継装置に断片化デジタルコンテンツデータが受信されると、検出回路を用いて当該断片化デジタルコンテンツデータに埋め込まれる電子透かし中の識別子を検出する方法であり、前記検出回路は、電子透かし中の識別子ごとに独立して設けられ、且つ、前記識別子ごとに複数設けられており、
前記断片化デジタルコンテンツデータのビット列からビットを1ビットずつずらしながら対象ビット列を抽出し、当該抽出された各対象ビット列を前記各検出回路に入力し、各検出回路により当該入力された対象ビット列と当該検出回路にて検出を担当する識別子のビット列とが一致するか否かを判断することで、前記各検出回路を用いて前記各対象ビット列を並列処理し、前記各検出回路のうち一つでも前記識別子が検出されると、所定の通知先に通知すること、又は/及び、そのログを記録することを特徴とする電子透かし検出方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上で流通するデジタルコンテンツに埋め込まれた電子透かしを検出する電子透かし検出装置、その電子透かし検出装置を内蔵する中継装置、及び、電子透かし検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネット等のネットワーク上における著作物や書類等のデジタルコンテンツデータの不正使用を検出するための有効な方法として、電子透かしの技術が用いられている。電子透かしは、画像コンテンツや音声コンテンツなど、空間や時間やデータ数値の次元の広がりを持ちながら、ある程度の冗長性を有するデジタルコンテンツデータに、この冗長性を利用して、その権利者名やデータの提供者名や取引条件などを識別する特定情報を前記各次元の方向に分散させ、画像や音声としては人に知覚されにくい方法で挿入する技術である。この電子透かしを検出することにより、デジタルコンテンツデータの不正コピーや不正流出等のように、その不正使用を監視することができる。
【0003】
かかるデジタルコンテンツデータの不正使用を電子透かしを利用して検出する方法として、探索型の検出方法が提示されている。この探索型の検出方法は、デジタルコンテンツデータにその作成者と利用者に関する電子的な証明書を電子透かしとして埋め込み、エージェントにサーバを巡回させることによりデジタルコンテンツデータを探索し、電子透かしを抽出してデジタルコンテンツデータの不正使用を検出するものである。下記特許文献1には、電子透かしを利用した探索型の検出方法の一例が開示されている。

【特許文献1】特開2003-44446
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記探索型の検出方法は、デジタルコンテンツデータが不正にコピーされたり不正流出してしまった後に、エージェントが各サーバを探索して検出するものであった。このため、不正使用については事後的な取締りに留まり、著作権侵害や内部データ流出などの不正使用を未然に防止することは不可能であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ネットワーク上で流通するデジタルコンテンツデータについて、著作権侵害や不正流出等の不正使用を未然に防止することが可能な電子透かし検出装置、及び、電子透かし検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子透かし検出装置は、ネットワーク上でデータの送受信を中継する中継装置に、受信されたデジタルコンテンツデータに挿入される電子透かし中の識別子を検出する検出回路を備えることを特徴とする。ここで、中継装置は、ネットワーク層レベルでIPアドレスを用いてネットワーク間を接続するルータでも良いし、プロトコルの異なるネットワークを接続してプロトコル変換を行うゲートウェイでも良いし、データリンク層の下位サブ層であるMAC層のレベルでMACアドレスを用いてネットワーク間を接続するブリッジであってもよいし、ルータ及びブリッジの両方の機能を有するブルータでも良いし、その他ネットワーク上においてデータの送受信の中継局となる中継装置であれば良い。デジタルコンテンツデータの内容やファイル形式はいずれでも良く、電子透かしの埋め込み方法も問わない。識別子としては、デジタルコンテンツデータを識別する識別子でも良いし、デジタルコンテンツデータを作成した作成者を識別する識別子でも良いし、コピー不可や配信不可等を識別する旨の識別子でも良いし、他の識別子でも良い。
【0007】
本発明の電子透かし検出装置は、ネットワーク上でデータを中継する中継装置に一体的に内蔵されたり、別体として接続されたりして使用される。本発明によれば、中継装置に受信したデジタルコンテンツデータに挿入される電子透かし中の識別子を検出回路により検出するため、当該中継装置により中継されるデジタルコンテンツデータに対して電子透かし中の識別子の検出が可能となる。電子透かしの識別子の検出がソフトウエアにより行われる場合は検出速度が低速であるが、本発明は検出回路により行われるため、ネットワークに流通するトラフィックに見合った実時間検出が可能である。このため、中継装置におけるデジタルコンテンツデータの通過速度を比較的に阻害することがなく、通信速度に対する影響が少ない。
【0008】
また、本発明の電子透かしの検出装置は、前記検出回路が電子透かし中の識別子を検出した場合は、中継装置からの当該デジタルコンテンツデータの送信を停止する制御手段を備えることを特徴とする
【0009】
この発明によれば、電子透かし中の識別子が検出されたデジタルコンテンツデータに関しては中継装置からの送信を停止できるため、デジタルコンテンツデータの著作権侵害や不正流出等の不正使用を未然に防止することが可能である。
【0010】
また、本発明の電子透かしの検出装置は、前記検出回路が電子透かし中の識別子を検出した場合は、所定の通知先に通知する通知手段、又は/及び、そのログを記録する記録手段を備えることが好ましい。通知先としては、デジタルコンテンツデータの不正使用を集中監視する集中監視端末でも良いし、電子透かしから得られるデジタルコンテンツデータ作成者の端末等でも良い。通知や記録する内容としては、デジタルコンテンツデータ、送信者、受信者、検出時間等のような検出に関する様々な履歴情報である。通知手段又は記録手段のいずれか一方のみを備えても良く、両方を備えても良い。
【0011】
この発明によれば、通知手段を備える場合は、検出回路により電子透かし中の識別子が検出されると、その旨が所定の通知先に通知されるため、デジタルコンテンツデータの不正使用をリアルタイムに監視することができる。また、記録手段を備える場合は、検出回路により電子透かし中の識別子が検出されると、そのログが記録されるため、ログから不正使用を把握したり、不正使用の証拠としてログを利用したりすることができる。
【0012】
また、前記検出回路は、電子透かし中の識別子ごとに独立して設けられていることを特徴とする
【0013】
たとえば、N個のデジタルコンテンツデータの各々に、一意の識別子を有する電子透かしを挿入した場合、N個の識別子を検出するためにN回の検出処理が必要となる。この発明によれば、検出すべき識別子ごとに検出回路が独立してもうけられているため、各検出回路が各識別子の検出処理を並列して行うことが可能であり、検出処理を高速化することができる。
【0014】
また、前記検出回路は、電子透かし中の識別子ごとに複数設けられていることを特徴とする
【0015】
デジタルコンテンツデータは、匿名性を高めるために断片化されて送受信される場合がある。このため、デジタルコンテンツデータ全体に渡って電子透かしが挿入される場合があり、電子透かしの検出に際してはデジタルコンテンツデータのビット列に対してビットをずらしながら識別子の検出処理を行う必要がある。この発明によれば、識別子ごとに検出回路が複数設けられているため、ビットをずらしながらの検出を並列に行うことができ、検出処理の大幅な高速化が可能となる。
【0016】
また、前記検出回路は、プログラムにより再構成可能な半導体素子により実現されていることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、検出回路を様々な識別子に応じて再構成することが可能であるため、検出する識別子を任意に変更可能であり、識別子の追加・削除・変更等があってもそれに応じて識別子ごとに専用の検出回路を簡単に形成することができる。かかる半導体素子を用いない場合は、汎用の検出回路を用いて、書き換え可能な外部メモリに記憶されている識別子を必要に応じて読み出しながら検出処理を行う必要がある(図5(a)(b)参照)。この場合と比較して、本発明は外部メモリを参照する必要がなくなるため、外部メモリと接続するピン数を削減できる。その結果、入力のビット幅を拡大することによりデジタルコンテンツデータの読み込み速度の向上が可能となり、又は、ピン数削減による半導体素子の低コスト化を図ることが可能となる。また、外部メモリから識別子を読み出しながら比較する場合は、外部メモリから読み出した識別子と、デジタルコンテンツデータ中の比較対象のビット列とを汎用の比較回路を用いて比較する必要があるため、各桁ごとにビットを比較するゲートが必要となり、ゲート数が多くなる。本発明によれば、FPGA等により識別子ごとに専用のゲートを用いて、デジタルコンテンツデータ中のビット列が識別子と一致するか否かを一つのゲートで判断できるため、各桁ごとの比較が不要でありゲート数を削減することが可能となる。
【0018】
また、本発明の中継装置は、ネットワーク上でデータの送受信を中継する中継装置において、前記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の電子透かし検出装置が内蔵されていることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、本発明の電子透かし検出装置が内蔵された中継装置をネットワーク中に設置するだけで、当該中継装置により中継されるデジタルコンテンツデータに対する電子透かし中の識別子の検出がリアルタイムに行われる。
【0020】
また、本発明の電子透かし検出方法は、デジタルコンテンツデータの全体にわたって電子透かし中の識別子が挿入され、当該識別子はデジタルコンテンツデータを識別するためにユニークに付与された識別子であり、当該デジタルコンテンツデータが断片化されて識別子が不定位置に埋め込まれた状態の断片化デジタルコンテンツデータから当該識別子を検出する電子透かし検出方法において、
ネットワーク上でデータの送受信を中継する中継装置に断片化デジタルコンテンツデータが受信されると、検出回路を用いて当該断片化デジタルコンテンツデータに埋め込まれる電子透かし中の識別子を検出する方法であり、前記検出回路は、電子透かし中の識別子ごとに独立して設けられ、且つ、前記識別子ごとに複数設けられており、
前記断片化デジタルコンテンツデータのビット列からビットを1ビットずつずらしながら対象ビット列を抽出し、当該抽出された各対象ビット列を前記各検出回路に入力し、各検出回路により当該入力された対象ビット列と当該検出回路にて検出を担当する識別子のビット列とが一致するか否かを判断することで、前記各検出回路を用いて前記各対象ビット列を並列処理し、前記各検出回路のうち一つでも前記識別子が検出されると、前記中継装置からの当該断片化デジタルコンテンツデータの送信を停止することを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、中継装置に受信したデジタルコンテンツデータに挿入される電子透かし中の識別子を検出回路により検出するため、当該中継装置により中継されるデジタルコンテンツデータに対する電子透かし中の識別子の検出がリアルタイムに行われる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る電子透かしの検出装置又は検出方法によれば、ネットワーク上の中継装置に受信されたデジタルコンテンツデータについて電子透かし中の識別子を検出するため、ネットワークで送受信されるデジタルコンテンツデータの不正使用をリアルタイムに監視等することができる。識別子の検出はソフトウエアによらずに検出回路により行われるため、実時間検出が可能となる。このため、中継装置におけるデジタルデータコンテンツの通過速度を比較的に阻害することがなく、通信速度に対する影響が少ない。
【0023】
さらに、電子透かし中の識別子が検出された場合は、中継装置からのデジタルコンテンツデータの送信を停止する制御を行うことにより、著作権侵害や不正流出等の不正使用を未然に防止することができる。また、所定の通知先にその旨を通知したり、ログを記録したりすることにより、デジタルコンテンツデータの不正使用を監視・把握することができ、警告や権利行使等の対処を行うことも可能となる。
【0024】
さらに、検出回路を、電子透かし中の識別子ごとに独立させて設けたり、識別子ごとに複数設けたりすることにより、検出処理の並列化が可能となり高速化が図られる。インターネット等のネットワークにおいて流通する音楽データや動画像データ等の時間的要素を有するデジタルコンテンツデータの送受信に際しても、当該検出処理が中継装置における通過速度を比較的に阻害することがなく、普段と変わらない送受信環境が維持される。
【0025】
これらの検出回路を、プログラムにより再構成可能な半導体素子により実現することで、検出する識別子を任意に変更可能となる。電子透かし中の識別子が追加・削除・変更等された場合でも、それに応じて検出回路を容易に再構成することができる。外部メモリに記憶される識別子を追加・削除・変更等して必要に応じて読み出しながら検出を行う場合は、入力用のピン数やゲート数が多くなるが、本実施の検出回路はプログラムにより再構成可能であるため外部メモリからの読み出しやビットごとの比較が不要であり、外部メモリからの入力用のピン数やゲート数が削減できる。これにより、入力のビット幅を拡大してデジタルコンテンツデータの読み込み速度を向上させたり、検出回路の並列度・集積度を高めたりして、更なる高速化を図ることができる。ピン数やゲート数の削減により、より安価なデバイスを使用することも可能である。
【0026】
これらの電子透かし検出装置を中継装置に内蔵させることにより、ネットワーク中に中継装置を配置するだけで、デジタルコンテンツデータの不正使用を未然に防止したり、警告や権利行使を行うことも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1の実施の形態)
以下、本実施の形態の電子透かし検出装置S1について説明する。図1は、本発明の電子透かし検出装置S1を説明する説明図である。本発明の第1の実施の形態の電子透かし検出装置S1は、ネットワーク上で送受信されるデジタルコンテンツデータDに埋め込まれた電子透かし中の識別子を検出する装置である。
【0028】
ネットワーク上で送受信されるデジタルコンテンツデータDは、動画像データ、静止画像データ、音楽データ、テキストデータ等のデジタル著作物や内部書類、その他様々なデータであり、ファイル形式や圧縮の有無も問わない。このデジタルコンテンツデータDには、電子透かしが埋め込まれている。電子透かしには様々な種類があり、データの標本値に埋め込む方法や周波数成分に変換して埋め込む方法など、その埋め込み/検出原理も様々であるが、いずれの種類・原理でも良い。たとえば、画像データにおいては、フーリエ変換・DCT・ウェーブレット変換などの直交変換を利用した周波数領域での埋め込みや、画素置換やビット置換などを利用した空間領域における埋め込みなどでも良く、又、動画像データにおいては、動きベクトルや予測時差などを利用した時間領域での埋め込みなどでも良く、又、音データにおいては、ビット置換・時間軸マスキング・エコー長などを利用した時間領域での埋め込みや、スペクトル拡散・DCT係数直接操作・位相操作などを利用した周波数領域における埋め込みなどでも良い。また、電子透かしは、不可視・不可聴型でも可視・可聴型でも良い。識別子としては、デジタルコンテンツデータを識別するためにユニークに付与された識別子(コンテンツID等)でも良いし、デジタルコンテンツデータを作成した作成者を識別する識別子(所有者IDやURL等)でも良いし、コピー不可や配信不可等を示す旨の識別子でも良いし、所定の機関が発行する認定マーク等でも良いし、他の識別子でも良い。
【0029】
電子透かし検出装置S1は、ルータ等の中継装置Rに付属して使用されるものであり、中継装置Rに別体として接続されている。電子透かし検出装置S1を中継装置Rに一体的に内蔵し、ネットワークのいずれかの位置にその中継装置Rを設置しても良い。
【0030】
図2は、電子透かし検出装置S1を説明する概略ブロック図である。電子透かし検出装置S1には、電子透かし中の識別子を検出する検出回路1が設けられている。検出回路1は、識別子Aの検出回路1a,識別子Bの検出回路1b,識別子Cの検出回路1c,,,識別子Xの検出回路1xというように、電子透かし中の識別子A,B,C,,,Xごとに独立して設けられている。図3は、電子透かし検出装置S1を説明する論理回路図である。各検出回路1a,,,2xのいずれかにおいて識別子が一つでも検出されると、その検出結果を示す信号2が電子透かし検出装置S1から出力され、中継装置Rに入力される。
【0031】
検出回路1a,1b,1c,,,1xは、検出すべき識別子A,B,C,,,Xごとに独立して専用に設けられている。以下に、検出すべき識別子Aがビット列「101」である場合を例として検出回路1aを説明する。なお、識別子Aは実際には数百ビット程度のビット列が用いられるが、本実施の形態では説明の便宜上、3ビットとして説明する。図4(a)は、識別子A「101」を検出する検出回路1aの一例を説明する論理回路図である。検出回路1aはANDゲートとNOTゲートとを備える。このANDゲートには、デジタルコンテンツデータDのビット列を1ビットずつずらしながら、識別子A「101」と同一桁数(3桁)のビット列(以下、対象ビット列という)が入力される。対象ビット列は、識別子Aのビット「1」に対応するビットがそのまま入力され、識別子の「0」に対応するビットがNOTゲートにより論理値が反転されて入力される。ANDゲートでは、入力された全ビットが「1」となったときに出力の論理値が「1」となり、検出結果として識別子検出の信号2が出力される。
【0032】
すなわち、検出回路1は、デジタルコンテンツデータDから識別子と同一桁数で抽出されたビット列を比較対象のビット列(以下、対象ビット列という)と定義すると、対象ビット列が入力されるANDゲートと、そのANDゲートに入力された対象ビット列のうち、識別子のビット「0」に対応する桁の論理値を反転させてから上記ANDゲートに入力させるNOTゲートとを備えるものである。検出回路1は、この論理回路に限らず、これと等価の回路でも良い。図4(b)は検出回路1aの他の例を説明する論理回路図である。検出回路1は、上記論理回路と等価の回路として、対象ビット列が入力されるNORゲートと、そのNORゲートに入力されるビットのうち、識別子のビット「1」に対応する桁の論理値を反転させてからNORゲートに入力させるNOTゲートとを備えるものでも良い。すなわち、検出回路1は、デジタルコンテンツデータDから抽出される対象ビット列が識別子と一致するか否かを判断するものであり、対象ビット列のうち識別子の「1」又は「0」のいずれか一方の桁に対応するビットを反転させたときに、全ビットが同一論理値となるか否かが判別できるものであれば良い。なお、対象ビット列の抽出は、識別子が所定の位置に挿入されている場合はその位置からビット列を抽出しても良いし、デジタルコンテンツデータDのビット列を1ビットずつずらしながら識別子と同一桁数のビット列を抽出しても良い。
【0033】
各検出回路1a,1b,1c,,,1xは、プログラムにより再構成可能な半導体素子により実現されている。たとえば、半導体素子としては、バスの複数の信号線と基本セルの複数の入力信号線との間の接続状態をプログラムして所定の論理機能を実現するPLD(Programmable Logic Device)であり、具体的にはFPGA(Field Programmable Gate Array)やCPLD(Complex Programmable Logic Device)等である。電子透かし中の識別子は追加・変更・削除等により随時変動するものであるため、検出回路において検出すべき識別子は固定ではない。このため、再構成不可能なデバイスを使用した場合は、識別子を変更するためにデバイスを交換する必要が生じる。これに対してPLDを用いることにより、デバイスを交換することなく、検出する識別子をプログラムにより任意に変更可能であり、汎用的な電子透かしの検出装置とすることができる。
【0034】
プログラムにより再構成可能な半導体素子を用いることなく汎用性を持たせるためには、書き換え可能な外部メモリと汎用の比較回路を用い、外部メモリに記憶されている識別子を必要に応じて読み出しながら検出処理を行う必要がある。図5(a)は、汎用の比較回路を用いて外部メモリに記憶されている識別子を必要に応じて読み出しながら検出処理を行う場合の電子透かし検出装置の一例を説明するブロック図であり、(b)はその検出回路を説明する論理回路図である。この検出回路は、一つのANDゲートと三つの一致ゲートとを備える。各々の一致ゲートには、外部メモリから読み出された識別子A「101」の各ビットと、中継装置Rに受信したデジタルコンテンツデータDから抽出される対象ビット列の各ビットが入力される。比較ゲートでは入力されたビットが一致する場合は論理値「1」が出力され、その出力はANDゲートに入力される。ANDゲートでは、入力された全ビットが論理値「1」のときに検出結果として識別子検出の信号(論理値「1」)が出力される。
【0035】
本実施の形態の検出回路(図4)と、外部メモリから識別子を読み込む汎用の検出回路(図5)とを比較すると、本実施の形態の検出回路は入力用のピン数及びゲート数が削減されていることがわかる。これは、プログラムにより再構成可能な半導体素子を用いることにより、各識別子に専用の検出回路を構成することができ、外部メモリからの読み込みやビットごとの比較が不要となるためである。外部メモリからの入力用のピン数やゲート数の削減により、デジタルコンテンツデータDに対する入力のビット幅を拡大してデジタルコンテンツデータDの読み込み速度を向上させたり、検出回路の並列度・集積度を高めたりすることができ、更なる高速化が可能となる。検出すべき識別子の数を増加させることも可能である。ピン数はデバイスの価格に影響するため、ピン数を削減してより安価なデバイスを使用することも可能である。
【0036】
つぎに、電子透かし検出装置S1の動作説明を行う。インターネット等のネットワークにはルータ等の中継装置Rが設置されており、電子透かし検出装置S1はその中継装置Rに接続して設置されている。
【0037】
デジタルコンテンツデータDは、ネットワーク上を流れて中継装置Rに入力されるとともに、中継装置Rに接続されている電子透かし検出装置S1に入力され、内蔵される検出回路1にて検出処理が行われる。検出回路1は、電子透かしの識別子A,,,Xごとに検出回路1a,,,1xが独立して設けられており、各検出回路1a,,,1xにデジタルデータコンテンツDから抽出される対象ビット列が順次入力される。各検出回路1a,,,1xは、対象ビット列と担当する識別子とが一致するか否かを判断することにより、入力されたデジタルデータコンテンツD中から各々が担当する識別子を検出する処理を行なう。検出回路1a,,,1xのうち一つでも識別子が検出された場合は、中継装置RにデジタルコンテンツデータDの送信を停止する制御信号を検出結果2として送る。
【0038】
中継装置Rは、検出結果2として送信停止の制御信号を受信すると、デジタルコンテンツデータDの送信を停止する。電子透かし中の識別子が検出された場合、デジタルコンテンツデータDの流通が中継装置Rにて停止されるため、著作権侵害や内部データの不正流出などの不正使用を未然に防止することが可能となる。
【0039】
検出回路1a,,,1xによる検出処理にて識別子が検出されなかった場合、中継装置RはルーティングテーブルにしたがってデジタルコンテンツデータDをそのまま送信する。電子透かし検出装置S1による検出処理は検出回路1により行われ、さらに、検出回路1は、識別子ごとに独立して設けられることにより並列処理が可能となっているため高速処理される。このため、電子透かしの実時間検出が可能となり、中継装置RにおけるデジタルコンテンツデータDの通過速度を比較的に阻害することがない。通信速度に与える影響が小さいため、ユーザは遅滞なくデジタルコンテンツデータを送受信することができる。デジタルコンテンツデータDが動画像データや音楽データ等の時間的要素を有するデータであってもその流れを妨げることがない。
【0040】
さらに、電子透かし検出装置S1は、通知手段を備えても良い。通知手段は、検出回路1が電子透かしの識別子を検出した場合に、電子透かしをデコードして通知先に通知する機能を備える。通知先としては、例えば、デジタルコンテンツデータDに電子透かしとして埋め込まれた様々なID(例えばコンテンツIDのような通知先を特定可能なID)をキーとしてデータベースから得られる電子メールアドレス等を使用しても良いし、デジタルコンテンツデータDに電子透かしとして埋め込まれた電子メールアドレス等を直接使用したりしても良い。本実施の通知手段は通信機能を備え、例えば電子透かし検出装置S1と接続されるホスト用コンピュータや、電子透かし検出装置S1に内蔵されるマイクロコンピュータにより実現される。通知手段は、検出回路1から識別子検出の信号を受けると、デジタルコンテンツデータDをデコードして通知先を特定し、電子メールやSNMP等のプロトコルを用いて通知先に不正使用された旨の通知を行う。なお、通知先は、デジタルコンテンツデータDの作成者や著作権者に限らず、様々なデジタルコンテンツデータの不正使用を集中して監視するように予め定められた集中監視端末等であっても良い。通知を受けた作成者等は、不正使用禁止の警告を行ったり、著作権の権利行使を行うことが可能となる。デジタルコンテンツデータDをダウンロード等した受信者の端末に対して不正使用である旨等を通知しても良い。
【0041】
また、検出装置S1は、電子透かし中の識別子を検出した場合に、そのログを記録する記録手段を備えても良い。ログを記録することにより、ログからデジタルコンテンツデータDの不正使用を把握したり、ログを不正使用の証拠として利用したりすることができる。ログとしては、デジタルコンテンツデータ、送信者、受信者、検出時間等のような検出に関する様々な履歴情報である。通知手段と記録手段のいずれか一方のみを備えても良く、両方を備えても良い。
【0042】
(第2の実施の形態)
音楽データの交換等では、匿名性を高めるためにデジタルコンテンツデータDを断片化する方法が使用されている。図6(a)は、断片化されたデジタルコンテンツデータDを説明する説明図である。デジタルコンテンツデータDが複数に分割された断片的なデータd1,d2,,,dxは異なるホストコンピュータH1,H2,,,Hxに置かれ、これらの断片的なデータを最終的に統合することにより元のデジタルコンテンツデータDが復元される。このため、断片的なデータd1,d2,,,dxのいずれの部分についても不正使用を防止できるように、電子透かしはデジタルコンテンツデータの全体に渡って挿入されており、断片的なデータd1,d2,,,dxにはビット列のいずれかの不定の位置に電子透かし中の識別子が埋め込まれた状態となっている。
【0043】
図6(b)は、断片的なデータd1,d2,,,dxから電子透かし中の識別子を検出する場合を説明する説明図である。デジタルコンテンツデータが断片的なデータである場合は、識別子の挿入位置が不定であるため、デジタルコンテンツデータのビット列について1ビットずつずらしながら対象ビット列を抽出し、各々の対象ビット列について識別子と一致するか否かを判断する必要がある。図6(b)では、例としてデータd2から識別子A「101」を検出する場合を説明する。なお、識別子Aは実際には数百ビット程度のビット列が用いられるが、本実施の形態では説明の便宜上、3ビットとして説明する。データd2から識別子A「101」を検出する場合は、データd2上において1ビットずつずらしながら、データd2の対象ビット列(3桁)が識別子のビット列「101」と一致するかを判断する。しかし、1ビットずつずらしながら検出処理を繰り返す処理には時間がかかり、実時間検出を必要とする中継装置Rでの検出処理としては望ましくない。そこで、本実施の形態では、ビットをずらしながら検出処理を行う場合に適する電子透かしの検出装置S2を提案する。
【0044】
本実施の形態の電子透かし検出装置S2は、上記実施の形態の電子透かし検出装置S1とほぼ同様であるが、下記の点で異なる。図7は、本実施の形態の電子透かし検出装置S2を説明する説明図である。電子透かし検出装置S2の検出回路1は、識別子A,,,Xごとに検出回路1a,,,1xが独立して設けられており、さらに、識別子Aを検出する検出回路1aが複数設けられて検出回路群を構成し、識別子Bを検出する検出回路1bが複数設けられて検出回路群を構成するというように、識別子A,,,Xごとに各々の検出回路1a,,,1xが複数ずつ設けられている。
【0045】
つぎに、電子透かしの検出装置S2の動作説明を行う。デジタルコンテンツデータDは、断片化されたデータd1,d2,,,dxとしてホストコンピュータH1,H2,,,Hxに置かれている。デジタルコンテンツデータDには、全体にわたって電子透かしが埋め込まれており、断片化した各々のデータd1,d2,,,dxにもビット列のいずれかの位置に電子透かしの識別子が埋め込まれた状態になっている。たとえば、断片化されたデータd2が中継装置Rに受信されると、電子透かしの検出装置S2は各検出回路1a,,,1xにより各々が担当する識別子A,,,Xを検出する処理を並列して行う。各々の検出回路1a,,,1aにはデータd1のビット列からビットをずらしながら順次抽出される対象ビット列が入力され、各々の検出回路1b,,,1bにも同様に対象ビット列が入力されるというように、識別子ごとに複数設けられる各々の検出回路には、データd1からビットをずらしながら抽出される対象ビット列が入力される。各検出回路においては、各々が担当する識別子A,,,Xの検出処理が行われる。これにより、識別子A,,,Xごとの検出処理が並列化されるだけでなく、識別子A,,,Xごとにビットをずらしながら複数回繰り返される検出処理についても並列化され、更なる高速化が図られる。
【0046】
なお、上記実施の形態では、デジタルコンテンツデータが音楽データ等の時間的要素を含む一次元データから時間軸方向で切り出された断片的なデータを例に説明したが、例えば、画像等のように空間的要素を含む二次元データから空間上のX軸方向やY軸方向で切り出された断片的なデータや、映画等のように空間的要素と時間的要素を含む三次元データから時間軸方向やX・Y軸方向で切り出された断片的なデータや、その他のデジタルコンテンツデータを断片化したデータについても同様である。
【0047】
上記各実施の形態の電子透かしの検出装置S1,S2は、中継装置Rに別体として接続される場合について説明したが、中継装置Rに内蔵されて機能するものでも良い。また、本発明の電子透かし検出方法は、上記各実施の形態の電子透かし検出装置S1,S2の動作により実現されるものであり、各電子透かし検出装置S1,S2の動作説明が電子透かし検出方法に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の電子透かし検出装置を説明する説明図。
【図2】第1の実施の形態の電子透かし検出装置を説明する概略ブロック図。
【図3】第1の実施の形態の電子透かし検出装置の全体を説明する回路図。
【図4】(a)は第1の実施の形態の識別子A「101」を検出する検出回路の一例を説明する論理回路図、(b)は等価の検出回路の他の例を説明する論理回路図。
【図5】(a)は外部メモリに記憶されている識別子を必要に応じて読み出しながら検出処理を行う場合のブロック図であり、(b)はその検出回路を説明する論理回路図。
【図6】(a)は断片化されたデジタルコンテンツデータを説明する説明図、(b)は断片的なデータから電子透かし中の識別子を検出する場合を説明する説明図。
【図7】本発明の第2の実施の形態の電子透かし検出装置を説明する説明図
【符号の説明】
【0049】
S1,S2 電子透かし検出装置
D デジタルコンテンツデータ
d1,d2,dx デジタルコンテンツデータを断片化したデータ
A,B,C,X 識別子
R 中継装置
H(H1,H2,Hx) ホストコンピュータ
1(1a,1b,1c,1x) 検出回路
2 検出結果
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6