TOP > 国内特許検索 > 酸化物半導体電極、およびその製造方法 > 明細書

明細書 :酸化物半導体電極、およびその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3959471号 (P3959471)
公開番号 特開2006-066215 (P2006-066215A)
登録日 平成19年5月25日(2007.5.25)
発行日 平成19年8月15日(2007.8.15)
公開日 平成18年3月9日(2006.3.9)
発明の名称または考案の名称 酸化物半導体電極、およびその製造方法
国際特許分類 H01M  14/00        (2006.01)
H01L  31/04        (2006.01)
H01G   9/042       (2006.01)
FI H01M 14/00 P
H01L 31/04 Z
H01G 9/04 331
請求項の数または発明の数 11
全頁数 17
出願番号 特願2004-247249 (P2004-247249)
出願日 平成16年8月26日(2004.8.26)
審査請求日 平成18年10月24日(2006.10.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】鈴木 栄二
【氏名】仲佐 昭彦
【氏名】宇佐美 久尚
【氏名】村上 泰
【氏名】佐畠 健一
【氏名】本庄 正之
【氏名】角倉 誠一
【氏名】長谷川 智
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100090170、【弁理士】、【氏名又は名称】横沢 志郎
審査官 【審査官】植前 充司
参考文献・文献 特開2001-053355(JP,A)
特開2004-119555(JP,A)
特開2001-167808(JP,A)
特開2001-076778(JP,A)
調査した分野 H01G 9/042
H01M 14/00
H01L 31/04
特許請求の範囲 【請求項1】
粒子径が0.1nm~1000nmであって、Cu、Al、Ag、Ni、Co、In、Fe、Zn、Rh、Ga、Sr、Li、Nのいずれかを含むp型無機酸化物半導体からなり、
前記p型無機酸化物半導体の一部がファイバー構造を有することを特徴とする酸化物半導体電極。
【請求項2】
請求項1において、前記p型無機酸化物半導体の粒子径は、10nm~100nmであることを特徴とする酸化物半導体電極。
【請求項3】
請求項1において、前記p型無機酸化物半導体は、CuO、Cu2O、CuGaO2、ZnRh24、NiO、CoO、CuAlO2、SrCu22、NiO:Li、CuO:Li、Cu2O:Li、CuO:Li、ZnO:In:N、ZnO:Be:Nのいずれかを含んでいることを特徴とする酸化物半導体電極。
【請求項4】
請求項1において、前記p型無機酸化物半導体の表面積は、0.5m2・g-1以上であることを特徴とする酸化物半導体電極。
【請求項5】
請求項1において、前記p型無機酸化物半導体のバンドギャップは、1eV以上であることを特徴とする酸化物半導体電極。
【請求項6】
請求項1において、前記p型無機酸化物半導体の仕事関数は、4.0eV以上であることを特徴とする酸化物半導体電極。
【請求項7】
粒子径が0.1nm~1000nmであって、Cu、Al、Ag、Ni、Co、In、Fe、Zn、Rh、Ga、Sr、Li、Nのいずれかを含むp型無機酸化物半導体からなる酸化物半導体電極の製造方法であって、
前記p型無機酸化物半導体を沈殿法により作製することを特徴とする酸化物半導体電極の製造方法。
【請求項8】
請求項7において、前記p型無機酸化物半導体を沈殿法により作製する際、当該p型無機酸化物半導体の液状前駆体に炭酸水素アンモニウムを添加しておくことを特徴とする酸化物半導体電極の製造方法。
【請求項9】
請求項7または8において、エチレンオキサイドをEOとし、プロピレンオキサイドをPOとしたとき、前記p型無機酸化物半導体をゾルゲル法により作製する際、当該p型無機酸化物半導体の液状前駆体に、EO20-PO70-EO20型の構造をもつブロックコポリマーからなる非イオン界面活性剤を添加しておくことを特徴とする酸化物半導体電極の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法で製造したp型無機酸化物半導体とpnタンデム型色素増感太陽電池を構成するn型無機酸化物半導体を製造するための酸化物半導体電極の製造方法において、
前記n型無機酸化物半導体をゾルゲル法で作成する際、当該n型無機酸化物半導体の液状前駆体に、EO20-PO70-EO20型の構造をもつブロックコポリマーからなる非イオン界面活性剤を添加しておくことを特徴とする酸化物半導体電極の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載されるpnタンデム型色素増感太陽電池の開放電圧は0.5V以上、2.0V以下であることを特徴とする酸化物半導体電極の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、色素増感太陽電池などに使用可能な酸化物半導体電極、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸化物半導体電極は、光電変換機能を有する各種デバイスへの適用が検討されており、その代表的なデバイスとしては、色素増感太陽電池がある。この色素増感太陽電池は、酸化物半導体電極を色素で増感する構造を有しており、従来、酸化物半導体電極としてはn型無機酸化物半導体であるTiO2などが用いられ、色素としてはRu錯体などが用いられている。また、酸化物半導体電極や色素については様々な材料が検討されており、酸化物半導体電極としてNb25電極を用いることが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来の酸化物半導体電極を色素増感太陽電池に用いたn型色素増感太陽電池の場合、世界各国の研究者が盛んに研究しているが、発電効率がまだ十分でないという問題点がある。さらに色素増感太陽電池の特性向上の為、近年、タンデム化が注目を集めている。その一つとして、nnタンデム型色素増感太陽電池の報告があるが(例えば非特許文献1参照)、pnタンデム型色素増感太陽電池もまた注目を集めている。このpnタンデム型色素増感太陽電池は、n型色素増感太陽電池よりも、開放電圧(VOC)を稼ぐことでき、従来の色素増感太陽電池よりも特性向上が期待される。しかし、このpnタンデム型色素増感太陽電池に用いられるp型色素増感太陽電池の特性が悪く、n型色素増感太陽電池と組み合わせても期待される特性は得られていない。(例えば非特許文献2、3参照)。
【0004】
また、CuSCNなどのp型無機酸化物半導体を用いた全固体化を目指した報告例もあるが(例えば非特許文献4、5参照)、上記の課題をクリアーできるp型無機酸化物半導体電極は作製できていない。
【0005】
また、かかる酸化物半導体電極は、キャパシタやガスセンサなどへの適用も検討されているが、従来の酸化物半導体電極では所望の特性が得られていないという問題点がある。

【特許文献1】特開平9-237641号公報
【非特許文献1】Applied Physics Letters,84,3397(2004)
【非特許文献2】Solar Energy Materials & Solar Cells,62,265(2000)
【非特許文献3】Journal of Physical Chemistry B,103,8940(1999)
【非特許文献4】Journal of Physical Chemistry B,107,13758(2003)
【非特許文献5】Chemistry of Materials,7,1349(1995)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、デバイス特性の向上を可能にする酸化物半導体電極、およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明の課題は、表面積の大きな酸化物半導体電極を容易に製造可能な酸化物半導体電極の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る酸化物半導体電極は、粒子径が0.1nm~1000nmであって、Cu、Al、Ag、Ni、Co、In、Fe、Zn、Rh、Ga、Sr、Li、Nのいずれかを含むp型無機酸化物半導体からなり、かつ、前記p型無機酸化物半導体の一部がファイバー構造を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る酸化物半導体電極は、粒子径が0.1nm~1000nmのp型無機酸化物半導体からなるため、表面積が大きい。従って、本発明に係る酸化物半導体電極を色素増感太陽電池に用いると、色素吸着量が向上する。従って、色素による増感効果が向上するので、発電効率を向上することができる。また、本発明に係る酸化物半導体電極は、表面積が大きいので、キャパシタに用いた場合には静電容量の増大を図ることができ、センサに用いた場合にはその感度を向上することができる。
【0010】
本発明において、前記p型無機酸化物半導体の粒子径は、10nm~100nmであることが好ましい。このような粒子径の場合には、酸化物半導体電極の表面積をさらに拡張できる。また、粒子径が小さすぎると色素吸着、電解液の染み込みを阻害するため、さらに好ましくは、20nm~30nmであることが好ましい。
【0011】
本発明において、前記p型無機酸化物半導体は、例えば、CuO、Cu2O、CuGaO2、ZnRh24、NiO、CoO、CuAlO2、SrCu22、NiO:Li、CuO:Li、Cu2O:Li、CuO:Li、ZnO:In:N、ZnO:Be:Nのいずれかを含んでいる。
【0013】
本発明において、前記p型無機酸化物半導体の表面積は、0.5m2・g-1以上であることが好ましい。
【0014】
本発明において、前記p型無機酸化物半導体としては、バンドギャップが1eV以上のものを用いることが好ましい。また。前記p型無機酸化物半導体としては、開放電圧を大きくする為に、仕事関数が4.0eV以上のものを用いることが好ましい。
【0015】
本発明では、粒子径が0.1nm~1000nmであって、Cu、Al、Ag、Ni、Co、In、Fe、Zn、Rh、Ga、Sr、Li、Nのいずれかを含むp型無機酸化物半導体からなる酸化物半導体電極の製造方法において、前記p型無機酸化物半導体を沈殿法により作製することを特徴とする。
【0016】
本発明において、前記p型無機酸化物半導体を沈殿法により作製する際、当該p型無機酸化物半導体の液状前駆体に炭酸水素アンモニウムを添加しておくことが好ましい。p型無機酸化物半導体の液状前駆体に炭酸水素アンモニウムを添加してpHを制御するだけでp型無機酸化物半導体の粒子径を制御でき、その粒子径を細かくすることができる。
【0017】
本発明において、エチレンオキサイドをEOとし、プロピレンオキサイドをPOとしたとき、前記p型無機酸化物半導体をゾルゲル法により作製する際、当該p型無機酸化物半導体の液状前駆体に、EO20-PO70-EO20型の構造をもつブロックコポリマーからなる非イオン界面活性剤を添加しておくことが好ましい。p型無機酸化物半導体の液状前駆体に前記非イオン界面活性剤を添加するだけでp型無機酸化物半導体の粒子径を制御でき、その粒子径を細かくすることができる。
【0018】
また、エチレンオキサイドをEOとし、プロピレンオキサイドをPOとしたとき、n型無機酸化物半導体をゾルゲル法により作製する際、当該n型無機酸化物半導体の液状前駆体に、EO20-PO70-EO20型の構造をもつブロックコポリマーからなる非イオン界面活性剤を添加しておくことが好ましい。n型無機酸化物半導体の液状前駆体に前記非イオン界面活性剤を添加するだけでn型無機酸化物半導体の粒子径を制御でき、その粒子径を細かくすることができる。そして、上記方法により作製されたp型無機酸化物半導体電極とn型無機酸化物半導体電極を組み合わせることにより、従来報告されている色素増感太陽電池よりも開放電圧が向上したpnタンデム型色素増感太陽電池を作製することができる。例えば、開放電圧が0.5V以上、2.0V以下のpnタンデム型色素増感太陽電池を製作することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、前記p型無機酸化物半導体を沈殿法により作製する際、p型無機酸化物半導体の液状前駆体に炭酸水素アンモニウムを添加してpHを制御するだけで、あるいはEO20-PO70-EO20型の構造をもつブロックコポリマーからなる非イオン界面活性剤を添加するだけでp型無機酸化物半導体の粒子径を制御でき、その粒子径を細かくすることができる。それ故、本発明に係る酸化物半導体電極は、表面積が大きいので、酸化物半導体電極を色素増感太陽電池に用いると、色素吸着量が向上する。従って、色素による増感効果が向上するので、発電効率を向上することができる。また、本発明に係る酸化物半導体電極は、表面積が大きいので、キャパシタに用いた場合には静電容量の増大を図ることができ、センサに用いた場合にはその感度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に説明する酸化物半導体電極は、図1に示すような色素増感太陽電池、キャパシタ、ガスセンサなどに適用されるものであり、いずれのデバイスにおいても、酸化物半導体電極の表面積が大きいことが要求される。図1に示す色素増感太陽電池1は、pnタンデム型色素増感太陽電池であり、太陽光が入射する側の透明電極11、n型サイド12、電解質13、p型サイド14、対極15がこの順に形成され、本形態の酸化物半導体電極は、p型サイド14を構成するのに用いられる。すなわち、表面にITO、SnO2:F(FTO)、ZnO:Al等の導電膜151が形成された基板150からなる対極15に対して、本形態の酸化物半導体電極141が形成され、この酸化物半導体電極141の表面にルテニウム錯体系、ポルフィリン系、シアニン系の色素142が吸着、保持されることになる。なお、電解質13は、I-/I3-、Br-/Br3-等の酸化還元対を有する材料から構成される。また、n型サイド12では、n型半導体の表面に色素が吸着、保持されることになる。
【0021】
[実施の形態1]
図2は、本発明の実施の形態1に係る酸化物半導体電極の製造方法を示す説明図である。
【0022】
本形態では、p型サイド用の酸化物半導体電極を形成するために、図2に示すように、ステップST1、2において以下の混合溶液A、B
混合溶液A
2O 7.5ml
PEG20000 593.0mg
NH4HCO3(炭酸水素アンモニウム) 593.0mg
混合溶液B
2O 7.5ml
CoCl2 356.8mg
を調製する。次にステップST3において混合溶液A、Bを混ぜて混合溶液C(液状前駆体)を調製し、次にステップST4において混合溶液Cを攪拌する。
【0023】
次にステップST5において混合溶液Cをスピンコート法あるいは印刷法により基材の表面に塗布した後、ステップST6において基材表面に塗布した混合溶液Cをオーブンで温度が110℃の条件下で乾燥させる。ここで、基材としては、図1を参照して説明したように、基板151表面に、ITO、SnO2:F、ZnO:Al等からなる透明導電膜152を形成したものを用いる。
【0024】
そして、ステップST5の混合溶液Cの塗布工程と、ステップST6の乾燥工程を複数回、例えば5回繰り返す。
【0025】
次にステップST7において、基材表面に塗布した混合溶液Cを温度が580℃の条件下でフラッシュ焼成し、p型無機酸化物半導体からなる酸化物半導体電極を製造する。
【0026】
このように構成した本形態の酸化物半導体電極をX線回折により分析した結果を図3に示す。また、本形態の酸化物半導体電極の走査型電子顕微鏡写真を図4に示す。なお、図4には、走査型電子顕微鏡写真の倍率、250倍と2500倍(挿入図)の写真を示す。
【0027】
これらの図に示すように、本形態によれば、粒子径が0.1nm~1000nmのCoOからなるp型無機酸化物半導体を製造することができ、その表面積は、0.5m2・g-1以上である。また、本形態のp型無機酸化物半導体は、バンドギャップが1eV以上であり、その仕事関数は4.0eV以上である。従って、本発明に係る酸化物半導体電極は、色素増感太陽電池に用いることができ、かつ、その表面積が大きいため、色素吸着量が向上する。それ故、色素による増感効果が向上するので、発電効率を向上することができる。
【0028】
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の形態2に係る酸化物半導体電極の製造方法を示す説明図である。
【0029】
本形態では、図5に示すように、まず、ステップST1、2において以下の混合溶液A、B
混合溶液A
2O 7.5ml
PEG20000 593.0mg
NH4HCO3 593.0mg
混合溶液B
2O 7.5ml
Ni(NO32 436mg
を調製する。なお、Ni(NO32に代えて、NiCl2を用いてもよい。次にステップST3において混合溶液A、Bを混ぜて混合溶液C(液状前駆体)を調製し、次にステップST4において混合溶液Cを攪拌する。
【0030】
次にステップST5において混合溶液Cをスピンコート法あるいは印刷法により基材の表面に塗布した後、ステップST6において基材表面に塗布した混合溶液Cをオーブンで温度が110℃の条件下で乾燥させる。そして、ステップST5の混合溶液Cの塗布工程と、ステップST6の乾燥工程を複数回、例えば5回繰り返す。
【0031】
次にステップST7において基材表面に塗布した混合溶液Cを温度が500℃の条件下で電気炉にて焼成し、p型無機酸化物半導体からなる酸化物半導体電極を製造する。
【0032】
このように構成した本形態の酸化物半導体電極をX線回折により分析した結果を図6に示す。また、本形態の酸化物半導体電極の走査型電子顕微鏡写真を図7に示す。なお、図7には、走査型電子顕微鏡写真の倍率30000倍と150000倍(挿入図)の写真を示す。
【0033】
これらの図に示すように、本形態によれば、粒子径が0.1nm~1000nmのNiOからなるp型無機酸化物半導体を製造することができ、その表面積は、0.5m2・g-1以上である。また、本形態のp型無機酸化物半導体は、バンドギャップが1eV以上であり、その仕事関数は4.0eV以上である。
【0034】
また、図8に示すように、NH4HCO3の配合量を変えると、酸化物半導体電極の粒子径が変化し、NH4HCO3の配合量を高めていくと、酸化物半導体電極の粒子径が小さくなる。それ故、粒子径が10nm~100nmのp型無機酸化物半導体を製造できる。
【0035】
[実施の形態3]
上記実施の形態1、2では、混合溶液C(液状前駆体)に対してNH4HCO3を添加した例であったが、NH4HCO3に代えて、非イオン界面活性剤を添加してもよい。製造法を図9に示す。この製造方法でも、混合溶液を調製した後、攪拌(ステップST11)、塗布(ステップST21)、乾燥(ステップST31)、焼成(ステップST41)を行う。ここで用いた非イオン界面活性剤は、エチレンオキサイドをEOとし、プロピレンオキサイドをPOとしたとき、EO20-PO70-EO20で示されるブロックコポリマーからなる非イオン界面活性剤(P123)である。
【0036】
また、混合液前駆体全体に対する非イオン界面活性剤(P123)の配合量と酸化物半導体電極の粒子径との関係を検討するために、液状前駆体に対して非イオン界面活性剤(P123)を添加するとともに、その添加量(g/l)を0.12g、0.5g、1.0g、1.5g、2.0gと変えた場合における酸化物半導体電極の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍および倍率60000倍、なお、0.12gと0.5gでは倍率1000倍および倍率30000倍である。)を図10に示す。
【0037】
図10に示すように、非イオン界面活性剤(P123)の配合量を変えると、酸化物半導体電極の粒子径が変化し、非イオン界面活性剤(P123)の配合量を高めていくと、酸化物半導体電極の粒子径が小さくなる。それ故、本形態によれば、粒子径が0.1nm~1000nmのp型無機酸化物半導体を製造することができ、その表面積は、0.5m2・g-1以上である。また、本形態のp型無機酸化物半導体は、バンドギャップが1eV以上であり、その仕事関数は4.0eV以上である。また、本形態によれば、粒子径が10nm~100nmのp型無機酸化物半導体を製造でき、かつ、その一部はナノファイバー構造を有している。
【0038】
[実施の形態4]
次に、実施の形態3において、混合溶液の攪拌の際、濃縮を行った場合における濃縮時間とp型無機酸化物半導体電極からなるp型色素増感太陽電池の特性との関係を検討した。その結果、濃縮時間を0時間、6時間、24時間、48時間と変化させた場合における、短絡電流(ISC)開放電圧(VOC)、曲線因子(FF)、変換効率(EFF)の計測結果を表1に示す。また、図11には、その際のバイアス電圧と電流密度との関係を示す。なお、図11には、濃縮時間を0時間、6時間、24時間、48時間と変化させた場合における光電流の電流密度を各々、曲線L1、L2、L3、L4で示し、暗電流を曲線L0で示してある。
【0039】
【表1】
JP0003959471B2_000002t.gif

【0040】
表1からわかるように、濃縮時間を長く設定した方が変換効率(EFF)が向上するという知見が得られた。それ故、本形態の酸化物半導体電極を太陽電池に用いれば、高い発電効率が得られる。
【0041】
[実施の形態5]
次に、上記p型無機酸化物半導体電極からなるp型色素増感太陽電池を、下記に示すn型色素増感太陽電池と組み合わせ、pnタンデム型色素増感太陽電池を作製し、特性を確認した。
【0042】
(n型色素増感太陽電池の作製)
まず、テトライソプロポキシド:3gをアセチルアセトン:0.53g、2-プロパノール:4gの混合液に添加する。また、P123(3.165g)を2-プロパノール(14g)に添加し、溶解させる。以上の2種の混合液を混合し、攪拌する。次に、HClを0.02g滴下して、最後に超音波処理にて前駆体溶液とする。この前駆体をFTO電極表面にキャストし、スピンコートにて膜を作製する。最後に、450℃、30分間、電気炉にて焼成する。このとき、雰囲気は大気とする。
【0043】
この操作を3回繰り返すことにより膜厚を厚くすることを試みた。この方法により作製されたTiO酸化物半導体電極の走査型電子顕微鏡写真(倍率30000倍と300000倍、500000倍の写真を示す)を図12に示す。
【0044】
作製されたTiO酸化物半導体電極をルテニウム錯体(小島化学株式会社製:製品名ルテニウム有機錯体)の脱水エタノール溶液に、基板を一昼夜浸漬する。浸漬後、脱水エタノール溶液にて基板洗浄し、酸化物半導体電極表面に吸着した色素以外の余分な色素を取り除いた。電解液(ソラロニクス社製、PN50)をITO基板上に作製したPt基板と上記TiO酸化物半導体電極で挟み込みn型色素増感太陽電池とした。
【0045】
(n型色素増感太陽電池の特性評価)
特性評価は、ソーラーシュミレーター(山下電装株式会社製、YSS-80)を用いて行った。また、電流電圧特性は、北斗電工社製のHSV-100で行った。その結果を図13に示す。短絡電流(ISC)開放電圧(VOC)、曲線因子(FF)、変換効率(EFF)の計測結果は、それぞれ、5.83mA/cm、0.762V、0.53、2.36%となった。
【0046】
(p型色素増感太陽電池の作製)
まず、塩化ニッケル:1gを水:2gに添加し溶解させ、エタノール:4gを添加する。最後にP123:1gを添加し、攪拌する。この前駆体をFTO電極表面にキャストし、スピンコート、またはスクイジ法にて膜を作製する。最後に、500℃、30分間、電気炉にて焼成する。この操作を5回繰り返すことにより膜厚を厚くすることを試みた。この方法により作製されたNiO酸化物半導体電極の走査型電子顕微鏡写真(倍率100000倍と300000倍の写真を示す)を図14に示す。作製されたNiO酸化物半導体電極をメロシアニン誘導体(林原生物化学研究所:製品名NK—2684)の脱水エタノール溶液に、基板を一昼夜浸漬する。浸漬後、脱水エタノール溶液にて基板洗浄し、酸化物半導体電極表面に吸着した色素以外の余分な色素を取り除いた。電解液(ソラロニクス社製、製品名PN50)をITO基板上に作製したPt基板と上記NiO酸化物半導体電極で挟み込みp型色素増感太陽電池とした。
【0047】
(p型色素増感太陽電池の特性評価)
特性評価は、ソーラーシュミレーター(山下電装株式会社製、YSS-80)を用いて行った。また、電流電圧特性は、北斗電工社製のHSV-100で行った。その結果を図15に示す。短絡電流(ISC)開放電圧(VOC)、曲線因子(FF)、変換効率(EFF)の計測結果は、それぞれ、1.00mA/cm、0.093V、0.30、0.027%となった。
【0048】
(pnタンデム型色素増感太陽電池の作製)
上記、n型色素増感太陽電池、p型色素増感太陽電池を作製後、色素溶液から基板を取り出し、脱水エタノールなどで洗浄、窒素ガスで乾燥させる。電解液を二つの半導体電極で挟み込み、pnタンデム型色素増感太陽電池とする。
【0049】
(pn型色素増感太陽電池の特性評価)
特性評価は、ソーラーシュミレーター(山下電装株式会社製、YSS-80)を用いて行った。また、電流電圧特性は、北斗電工社製のHSV-100で行った。その結果を図16に示す。短絡電流(ISC)開放電圧(VOC)、曲線因子(FF)、変換効率(EFF)の計測結果は、それぞれ、3.62mA/cm、0.918V、0.19、0.66%となった。
【0050】
以上の実施例より、n型色素増感太陽電池単独よりも、n型色素増感太陽電池とp型色素増感太陽電池を組み合わせたpnタンデム型色素増感太陽電池は、n型色素増感太陽電池と比較して開放電圧が向上することを確認した。例えば、開放電圧が0.5V以上、2.0V以下のpnタンデム型色素増感太陽電池を提供できる。
【0051】
[その他の実施の形態]
なお、上記実施の形態1、2では、CoOおよびNiOの説明したが、その他のp型無機酸化物半導体、例えば、CuO、Cu2O、CuGaO2、ZnRh24、CuAlO2、SrCu22、NiO:Li、CuO:Li、Cu2O:Li、CuO:Li、ZnO:In:N、ZnO:Be:Nのいずれかを含むp型無機酸化物半導体によって酸化物半導体電極を構成する場合に本発明を適用してもよい。
【0052】
また、上記酸化物の他、Cu、Al、Ag、Ni、Co、In、Fe、Zn、Rh、Ga、Sr、Li、Nのいずれかを含むp型無機酸化物半導体によって酸化物半導体電極を構成する場合に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】色素増感太陽電池の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る酸化物半導体電極の製造方法を示す説明図である。
【図3】図2に示す方法で製造した酸化物半導体電極をX線回折により分析した結果を示す写真である。
【図4】図2に示す方法で製造した酸化物半導体電極の走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る酸化物半導体電極の製造方法を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る方法でITO基板上に製造した酸化物半導体電極をX線回折により分析した結果を示す写真である。
【図7】図5に示す方法で製造した酸化物半導体電極の走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】図5に示す方法で酸化物半導体電極を製造する際、NH4HCO3の配合量を変化させた場合の酸化物半導体電極の走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る方法で酸化物半導体電極の製造方法を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る方法で酸化物半導体電極を製造する際、P123の配合量を変化させた場合の酸化物半導体電極の走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】本発明の実施の形態4に係る方法で製造した酸化物半導体電極のバイアス電圧と電流密度との関係を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態5に係る方法で製造したTiO酸化物半導体電極の走査型電子顕微鏡写真である。
【図13】本発明の実施の形態5に係る方法で製造したn型色素増感太陽電池のバイアス電圧と電流密度との関係を示すグラフである。
【図14】本発明の実施の形態5に係る方法で製造したNiO酸化物半導体電極の走査型電子顕微鏡写真である。
【図15】本発明の実施の形態5に係る方法で製造したp型色素増感太陽電池のバイアス電圧と電流密度との関係を示すグラフである。
【図16】本発明の実施の形態5に係る方法で製造したpnタンデム型色素増感太陽電池のバイアス電圧と電流密度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0054】
1 色素増感太陽電池
11 透明電極
12 n型サイド
13 電界質
14 p型サイド
15 対極
141 酸化物半導体電極
142 色素
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図5】
2
【図9】
3
【図11】
4
【図13】
5
【図15】
6
【図16】
7
【図3】
8
【図4】
9
【図6】
10
【図7】
11
【図8】
12
【図10】
13
【図12】
14
【図14】
15