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明細書 :汚泥の乾燥方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3799422号 (P3799422)
公開番号 特開2005-238167 (P2005-238167A)
登録日 平成18年5月12日(2006.5.12)
発行日 平成18年7月19日(2006.7.19)
公開日 平成17年9月8日(2005.9.8)
発明の名称または考案の名称 汚泥の乾燥方法
国際特許分類 C02F  11/12        (2006.01)
FI C02F 11/12 ZABC
C02F 11/12 A
請求項の数または発明の数 5
全頁数 10
出願番号 特願2004-054337 (P2004-054337)
出願日 平成16年2月27日(2004.2.27)
審査請求日 平成16年2月27日(2004.2.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301035976
【氏名又は名称】独立行政法人農業工学研究所
発明者または考案者 【氏名】中村 真人
【氏名】柚山 義人
個別代理人の代理人 【識別番号】100086852、【弁理士】、【氏名又は名称】相川 守
審査官 【審査官】富永 正史
参考文献・文献 特開昭56-053798(JP,A)
特開昭58-017900(JP,A)
特開2001-198600(JP,A)
特開昭57-024700(JP,A)
調査した分野 C02F 11/00-11/20
特許請求の範囲 【請求項1】
内部に排水層を備えこの排水層を透過した水を排出する乾燥床に、含水率の高い汚泥を投入して乾燥させる汚泥の乾燥方法において、排水層上面に固形物の通過を阻止し水を通過させる通水性シートを敷いた後、この通水性シート上に汚泥を投入し、投入された汚泥の含水率が低下した後、この乾燥床の汚泥を通水性シートを介して乾燥床より蒸発性能の高い蒸発床に移すことを特徴とする汚泥の乾燥方法。
【請求項2】
投入された汚泥の含水率が低下した後、汚泥を破砕することを特徴とする請求項に記載の汚泥の乾燥方法。
【請求項3】
汚泥の投入完了後、通水性シートの縁部を露出させることを特徴とする請求項1または2に記載の汚泥の乾燥方法。
【請求項4】
通水性シートを、排水層上面より広い合成樹脂製不織布により構成したことを特徴とする請求項1ないしのうちいずれか1に記載の汚泥の乾燥方法。
【請求項5】
排水層の上層が砂層により構成されることを特徴とする請求項1ないしのうちいずれか1に記載の汚泥の乾燥方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥を天日乾燥床上に投入して乾燥させる汚泥の乾燥方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天日乾燥床による汚泥の乾燥は、図12に示すように、天日乾燥床に汚泥を投入して行われる。天日乾燥床は、図示しないコンクリート槽の内部に排水層2(図12の(A)参照)を形成して構成される。汚泥の乾燥処理は、天日乾燥床の排水層2上面に含水率の高い濃縮汚泥3(およそ98%の含水率)を投入し(図12の(B)参照)、濃縮汚泥3の水分を排水層2に浸透させて、底部の排水口(図示せず)から水を排出するとともに天日で時間をかけて乾燥させ(図12の(C)参照)、乾燥が終了した後(図12の(D)参照)、汚泥3を排水層2上面から掻き取って回収し、回収してから破砕するようにしている。破砕された乾燥汚泥3は肥料として農地に還元される。排水層2は、図示しないコンクリート槽の傾斜底部側に形成された砂利層2Aと、この砂利層2Aの上側に形成された粗砂層2Bとにより構成される。このように、従来、天日乾燥床による乾燥方法では、粗砂層2Bの平坦な上面に含有水分の多い濃縮汚泥3を直接投入し、排水層2で水を濾し取るとともに天日により水分を蒸発させるようにしている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。

【特許文献1】特開平7-299499号公報(第2頁、図9)
【特許文献2】特開平10-235400号公報(第2頁、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の乾燥の方法では、例えば、縦横それぞれ3~7m、7~10mの乾燥床で汚泥を乾燥させるには、3ないし8週間の長い日数を要するという問題がある。このため、乾燥床そのものが大型化せざるを得ないという問題があった。また、乾燥汚泥を乾燥床から回収する際、回収作業に手間がかかるという問題がある。さらに、乾燥処理時、水分の多い汚泥は、粗砂層2B上面に直接、投入、散布されるため、乾燥汚泥の回収時、粗砂層2Bの砂が乾燥汚泥に付着したり混入したすることが避けられず、肥料としての商品価値が低下してしまうという問題がある。また、砂層2Bにも汚泥が混入するので、砂の洗浄を行う必要があった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、簡素な構成で作業効率を向上させるとともに、乾燥汚泥の商品価値を向上させ、乾燥処理に要する時間を短縮し、設備の小型化を図ることができる汚泥の乾燥方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る汚泥の乾燥方法は、内部に排水層を備えこの排水層を透過した水を排出する乾燥床に、含水率の高い汚泥を投入して乾燥させる汚泥の乾燥方法において、排水層上面に固形物の通過を阻止し水を通過させる通水性シートを敷いた後、この通水性シート上に汚泥を投入し、投入された汚泥の含水率が低下した後、この乾燥床の汚泥を通水性シートを介して乾燥床より蒸発性能の高い蒸発床に移すようにしたものである。
【0006】
本発明に係る汚泥の乾燥方法では、乾燥床の排水層上面に敷かれた通水性シート上に含水率の高い汚泥が投入され、投入された汚泥の含水率が低下した後、この乾燥床の汚泥を通水性シートを介して乾燥床より蒸発性能の高い蒸発床に移されるので、排水層を構成する材料等の異物が汚泥に混入することがない。乾燥処理された汚泥は通水性シートを介して持ち運びすることができるので、回収作業を効率よく行うことができる。乾燥処理中の汚泥は、汚泥の含水率が低下すると、投入時の液状態からより流動性の低い半固形状になるので、通水性シートを介して運びやすくなる。このため、乾燥処理中の汚泥を通水性シートにより乾燥床から外部に持ち運びでき、天候の影響を避けたり、排水層の持つ湿気の影響を避けることができ、乾燥時間が短縮化される。乾燥時間が短縮化され、乾燥効率が向上するので、乾燥床を小型化でき、設備をコンパクト化することができる。また、乾燥処理中、含水率が低下した汚泥を通水性シートを介して乾燥床より蒸発性能の高い蒸発床に移すようにしているので、乾燥床のみで乾燥処理される場合に比較して乾燥時間がより短縮化される。
【0009】
さらに、請求項に係る汚泥の乾燥方法は、投入された汚泥の含水率が低下した後、汚泥を破砕するようにしたものである。
【0010】
請求項に係る汚泥の乾燥方法では、汚泥の含水率が低下した後、汚泥を破砕するようにしているので、破砕しない場合に較べて乾燥時間がさらに短くなる。
【0011】
請求項に係る汚泥の乾燥方法は、汚泥の投入完了後、通水性シートの縁部を露出させるようにしたものである。
【0012】
請求項に係る汚泥の乾燥方法では、汚泥の投入完了後、通水性シートの縁部が露出されるようになっているので、汚泥を合成樹脂製不織布に包み込むようにして持ち運びすることができる。このため、汚泥の回収、運搬作業が効率化される。
【0013】
請求項に係る汚泥の乾燥方法は、通水性シートを、排水層上面より広い合成樹脂製不織布により構成したものである。
【0014】
請求項に係る汚泥の乾燥方法では、通水性シートを、合成樹脂製不織布により構成したので、水のみを通過させる浸透性が良好であることに加え、汚泥を吸収したりからみつきにくい。
【0015】
請求項に係る汚泥の乾燥方法は、排水層の上層が砂層により構成されるようにしたものである。
【0016】
請求項に係る汚泥の乾燥方法では、通水性シートは排水層上層の砂層上に敷かれるので、汚泥に砂が混入することがなく、また、砂層に汚泥が混入することもない。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る汚泥の乾燥方法では、内部に排水層を備えこの排水層を透過した水を排出する乾燥床に、含水率の高い汚泥を投入して乾燥させる汚泥の乾燥方法において、排水層上面に固形物の通過を阻止し水を通過させる通水性シートを敷いた後、この通水性シート上に汚泥を投入し、投入された汚泥の含水率が低下した後、この乾燥床の汚泥を通水性シートを介して乾燥床より蒸発性能の高い蒸発床に移すようにしているので、作業を効率的に行うことができるとともに、乾燥汚泥の肥料としての商品価値を向上させることができる。また、乾燥処理時間が短縮化されるので、設備を小型化してコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
作業の効率化、乾燥処理時間の短縮化および汚泥への異物の混入阻止という目的を、乾燥床の排水層上面に固形物の通過を阻止し水を通過させる通水性シートを敷き、この通水性シート上に汚泥を投入することにより実現した。
【実施例1】
【0019】
以下、図面に示す実施の形態により本発明を説明する。図1の(A)ないし(C)はそれぞれ、この乾燥方法に用いられる乾燥床を示す平面図、縦断面図および乾燥時の排水層と汚泥層との状態を示す説明図であり、図2の(A)から(F)は、本発明の一実施の形態に係る汚泥の乾燥方法を工程順に示す説明図である。なお、上記従来の天日乾燥床と同一または相当部分には同一符号を付してその説明を省略する。本実施の形態に係る汚泥の乾燥方法に用いられる天日乾燥床(以下、乾燥床という)10は、図1の(A)ないし(C)に示すように、底部11と側壁12とを有するコンクリート槽13と、このコンクリート槽13の内部に形成された排水層16とを備えて構成される。このコンクリート槽13は、底部11の内側の一辺Lが7~10m、内側の他辺Cが3~7mの寸法を有する平面矩形状のプールで、底部11の中央には互いに対向する壁部12A、12B間に排水溝14が形成されている。底部11はこの排水溝14に水を導くよう排水溝14両側の底部上面11A、11Bが傾斜して形成される。壁部12Bには、この排水溝14に集められた水を外部に排出する排水口15が設けられる。
【0020】
排水層16は、砂利と粗砂とを順に投入して形成される。この排水層16は下層の砂利層2Aが20~30cmの厚さに、上層の砂層2Bが15~20cmの厚さにそれぞれ形成され、この排水層16の平面縦横寸法はそれぞれ底部の内側の各辺L、Cと合致している。この排水層16は、高い含水率を有する固形物が砂層2B上に投入されると、砂層2Bが水分のみを浸透させ固形物を砂層2B上に残留させるようになっている。砂層2Bに浸透した水は砂利層2Aを経て排水溝11に集められ、排水口15から排出される。
【0021】
ところで、本実施の形態に係る乾燥方法に用いられる乾燥床10では、排水層16上に、上面全体を覆うポリエステル製不織布(通水性シート)20を広げて配置するようになっている(図2の(B)参照)。この不織布20は、一枚布により構成され、固形物(汚泥に含まれる固形物や砂)の通過を阻止し水のみを通過させるようになっている。そして、乾燥床10上面に敷かれた不織布20上に水分を多量に含む濃縮汚泥3を投入するようになっている。ここでいう濃縮汚泥(含水率約98%)とは、汚水処理で余剰になった余剰汚泥(含水率約99%)を貯留して、重力で濃縮させた含水率の高い汚泥のことをいう。
【0022】
不織布20は、排水層16の平面形状と相似形でかつ面積が広い矩形に裁断される。すなわち、不織布20の縦横寸法20L、20Cはコンクリート槽13の底部内側各辺L、Cの寸法よりいずれも長くなっている(20L>L、20C>C)。このため、この不織布20を、乾燥床10上に敷く際には、少なくとも排水層16上面を覆い隠すように被せられ、縦横寸法20L、20Cが長い場合、さらに、乾燥床10の上面全体を覆い隠すように被せられるようになっている。
【0023】
この不織布20上に、図1の(A)、(B)および図2の(C)に示すように、含水率の高い濃縮汚泥3が投入されると、流動性の高い液状の濃縮汚泥3は自重により不織布20下面をまず砂層2B上面に押し付け、投入される濃縮汚泥3の量が増大するに従い、不織布20の下面を砂層2B上面全体からコンクリート槽13の側壁12内面にも押し付ける。こうして、濃縮汚泥3は不織布20に囲まれてレベルが上昇する。濃縮汚泥3は、例えば、上述のように砂利層2Aが20~30cmの厚さ、砂層2Bが15~20cmの厚さの場合、厚さがおよそ20cm程度となるように投入される。このため、不織布20は砂層2B上面と側壁12内面との間で折り曲げられ、余った部分21が濃縮汚泥3の上にはみ出すようになっている。このはみ出し部分21は、回収、運搬時に、汚泥3が載った不織布20を作業員が掴むのに使われるようになっている。不織布20にポリエステル製不織布を用いたのは、固形物の通過を阻止し水のみを通過させる浸透性が良好であることに加え、汚泥を吸収したりからみつかないこと、所定の強度を確保できること等を考慮して選択されたもので、このような機能を有するものであれば、他の材料でもよいことはいうまでもない。
【0024】
次に、上記実施の形態に係る乾燥床10を用いて汚泥を乾燥させる方法について、説明する。まず、コンクリート槽13に排水層16を形成し、乾燥床10が整うと(図2の(A)参照)、この乾燥床10上面に不織布20を配して、少なくとも排水層16上面を覆い隠すように被せる(図2の(B)参照)。次に、この不織布20の上面に、含水率の高い水分を多量に含んだ濃縮汚泥3を投入する(図1の(A)、(B)および図2の(C)参照)。投入された濃縮汚泥3は、砂層2Bに触れることなく不織布20上に載せ置かれた状態となる。このため、不織布20上に投入された濃縮汚泥3は、内部に多量に含まれた水分のみが不織布20を通じて砂層2Bに浸透してゆき、固形物は不織布20上に残留する。砂層2Bに浸透した水は砂利層2Aを通過し排水溝14に集められ、排水口15から外部に排出される。こうして、不織布20上の汚泥3は徐々に含水率が低下し、投入初期の液状から流動性の低い半固形状に変化する。
【0025】
そして、汚泥3の浸透過程がほぼ終了し、汚泥3の含水率が90ないし80%まで低下すると、汚泥3を不織布20に載せたまま、不織布20の余り部21を持って、乾燥床10からコンクリート床(蒸発床)18に移動させ、不織布20を抜き取る(図2の(D)参照)。コンクリート床18は、平坦なコンクリート板からなり、乾燥床10より蒸発性能が高くなっている。含水率が低下した汚泥3Aは、不織布20を敷かないでコンクリート床18に直接載置されて乾燥処理される。このため、乾燥床10に較べてより早く乾燥させることができる。この汚泥3Aをコンクリート床18に直接載せて乾燥処理するようにしているのは、コンクリート床18に不織布20を敷き、その不織布20上に汚泥3Aを載せた場合、汚泥3Aの含水率がおよそ30%程度まで乾燥してしまうと、不織布20に乾燥した汚泥が多少付着することがあり、このような付着を防ぐためである。さらに、コンクリート床18上に直接載せられた汚泥3Aは、人力により破砕されるようになっている(図2の(E)参照)。破砕された汚泥3Bは、空気露出面積が大きくなるので、破砕しない場合に較べてより乾燥時間を短縮することができる。破砕された汚泥3Bがコンクリート床18上で乾燥され、乾燥処理が終了すると(図2の(F)参照)、回収され、農地に還元される。
【0026】
このように、本実施の形態に係る汚泥の乾燥方法では、不織布20を用いることにより乾燥作業の効率化を図ることができる。また、不織布20に載せて汚泥3を運搬するようにしているので、乾燥床10より蒸発条件の良好な蒸発床(コンクリート床)に容易に移動することができ、乾燥処理時間の短縮化を図ることができる。さらに、汚泥3は乾燥床10上では常に不織布20に載せられて乾燥処理されるので、汚泥3への異物の混入を阻止することができる。また、砂層2Bにも汚泥3が混入することがないので、砂の取り替え、砂の洗浄回数を減らすことができコストダウンを図ることができる。
【0027】
次に、上記実施例1の構成に基づく汚泥の乾燥方法について、実際に、実験装置を作り汚泥を投入して実験を行った。実験とその結果について説明する。実験には、ある地区の農業集落排水処理施設の汚泥貯留層から採取した濃縮汚泥を使用した。使用した汚泥の性状は図5に示すとおりである。ここで、MLSSは活性汚泥浮遊物質濃度、MLVSSは活性汚泥有機性浮遊物質濃度を示す。実験装置は、天日乾燥床10を模した図6に示す装置110を使用した。この装置110では、図6および図7に示すように、内側縦横寸法がそれぞれ47cm、30cm、高さが25cmで、底部側が次第に窄まる形状の実験槽113に、砂利(20mmのふるいを通り、4.75mmのふるいに残るもの)を3.5kg投入した後、粗砂(粗砂の粒度分布は図8に示す。)を5kgを投入して排水層を形成した。砂利層の厚さは2~3cm、粗砂層の厚さは3~4cmとした。槽113の底部には水を外部に排出するドレーン115を設けた。投入濃縮汚泥103の量は10L、面積負荷(砂ろ床単位面積当たりにかかる汚泥の固形物量)は約1.24kg/mとした。シートはポリエステル製不織布を用い、乾燥床(装置)110と濃縮汚泥103との間にシートを敷いた場合と敷かない場合の乾燥への影響を調べた。
【0028】
汚泥の採取による影響を避けるため、乾燥過程は含水率ではなく、実験装置110全体の重量を測定することにより間接的に把握した。図9はシートの有無の別による乾燥状況を示す。この図9から、シートを敷くことによる浸透、蒸発への影響はなく、シートを用いる場合もシートを用いない場合と同様の乾燥過程をたどったことが明らかになった。シートがフィルターの働きを果たすので、汚泥中の固形分はほぼシート上に残る。このため、汚泥に砂が付着する状態にはならなかった。また、砂層に汚泥が混入しないので、砂の取り替え、洗浄回数を減らすことができる。シートへの汚泥の付着は、浸透過程が終了した直後の、含水率が90%前後から、蒸発過程が進んで50%程度の汚泥を回収するまでほとんど問題にならず、付着は見られなかった。
【0029】
次に、汚泥を破砕した場合としない場合について、破砕する場合は汚泥投入から破砕までの時間を異ならせて、これら3つのケース毎に実験装置を用意して実験を行った。実験は、高温期(夏期の8-9月)と低温期(冬期の11月-12月)とに分けて行った。高温期の実験では、汚泥を破砕しないものをA区、投入から10日後に破砕したものをB区、投入から13日後に破砕したものをC区とし、それぞれの汚泥について乾燥過程の違いを測定した。低温期の実験では、B区は投入から7日後に、C区は投入から14日後に破砕した。乾燥過程は汚泥そのものの重量を比較することにより間接的に把握した。高温期における各区での実験結果を図10に、低温期における各区での実験結果を図11にそれぞれ示す。図10および図11では、A~C区での汚泥の乾燥過程を示し、重量変化がほとんどなくなった時点を乾燥終了としている。図10では、B区、C区とも破砕なしのA区に較べ、破砕直後に急速な乾燥が進んでおり、破砕による乾燥促進効果が大きいことがわかる。また、B区とC区とを比較すると、破砕する時期の早いB区の方が乾燥が早く、乾燥が早く終了している。このことより、比較的早期に汚泥を破砕することが乾燥促進に有効であることが確かめられた。また、図11では、図10の高温期の結果ほど明瞭ではないが、同様の乾燥促進効果が見られた。浸透による脱水が完了し、含水率が90~70%程度になったとき、汚泥は固めのゼリーのような性状であり、人力での破砕作業が容易で時間がかからない。
【0030】
以上の実験結果から、(1)ポリエステル製不織布を用いることにより、回収の作業性が向上し、汚泥への砂の付着防止、汚泥混入による砂層の汚れ防止に効果があった。(2)乾燥途中に汚泥を破砕し、空気接触面積を大きくすることによる蒸発促進効果が確かめられた。天日乾燥においては低温期の乾燥速度が施設の処理速度の限定要因になるが、汚泥を破砕することにより改善される。砂層への浸透過程終了後、速やかに破砕することが最も効果的である。(3)汚泥と砂層との間にポリエステル製不織布を敷き、乾燥床から早期に取り出し、破砕を行うことにより汚泥の乾燥が早まる。そのため、乾燥床の使用時間が減少し、結果として、乾燥施設の回転率がよくなる。このことは乾燥施設利用の安定性、管理の柔軟性を高めることにつながる。また、発生汚泥量への対応を容易にするとともに、施設設計に関しては乾燥施設の規模を小さくすることができる。
【実施例2】
【0031】
図3は、通水性シートの第1の変形例を示すもので、この通水性シート30は、不織布31に網目状の紐32を縫いつけて強度を向上させるようにしている。このように構成することにより、投入される濃縮汚泥3の量を増大させて効率化を図ることができる。
【実施例3】
【0032】
図4は、通水性シートの第2の変形例を示すもので、この通水性シート40は、不織布41の外周に中空の筒体42を所定の間隔を隔てて設け、この筒体42に紐(またはロープ)43を通して構成される。乾燥床10への敷設時、紐43を不織布41の固定用に用い、乾燥床10から含水率の低下した汚泥3Aを取り出す際には、紐43の一部を引っ張って絞ると、不織布41は巾着袋のように汚泥3Aを包み込んで集めることができる。このため、汚泥の移動時、汚泥3が不織布41の外にこぼれる畏れがない。
【0033】
なお、上記実施の形態では、通水性シートをポリエステル製不織布により構成しているが、これに限られるものではなく、汚泥の重量を支える所定の強度を備え、材料自体が汚泥を吸収したり汚泥にからみついたりしないものであれば、他の合成樹脂製不織布、繊維を織った布、目の細かい網材等、汚泥に含まれる固形物の通過を阻止しかつ水を通す性質を有する通水性シートであればよい。また、上記実施の形態では、蒸発床としてコンクリート床を一例として上げているがこれに限られるものではなく、乾燥床より蒸発性能の高い蒸発床であればよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(A)ないし(C)はそれぞれ、本発明の一実施の形態に係る汚泥の乾燥方法に用いられる乾燥床を示す平面図、縦断面図および乾燥時の排水層と汚泥層との状態を示す説明図である。(実施例1)
【図2】(A)から(F)は、本発明の一実施の形態に係る汚泥の乾燥方法を工程順に示す説明図である。
【図3】不織布の第1の変形例を示す斜視図である。(実施例2)
【図4】不織布の第2の変形例を示す斜視図である。(実施例3)
【図5】実験に用いた汚泥の基礎データである。
【図6】実験に用いた装置の平面図である。
【図7】図6の実験に用いた装置の縦断面図である。
【図8】図6の実験に用いた粗砂の粒度分布を示すグラフである。
【図9】図6の実験装置において不織布を用いた場合と用いない場合との乾燥状況の比較を示すグラフである。
【図10】図6の実験装置において、高温期に破砕による乾燥への影響を比較して示すグラフである。
【図11】図6の実験装置において、低温期に破砕による乾燥への影響を比較して示すグラフである。
【図12】(A)から(D)は、従来の汚泥の乾燥方法を工程順に示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
3 汚泥(濃縮汚泥)
10 乾燥床
16 排水層
20 不織布(通水性シート)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11