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明細書 :エマルションの製造装置、反応装置、この反応装置を用いたマイクロカプセルの製造方法、マイクロチューブの製造方法およびマイクロチューブ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3818384号 (P3818384)
公開番号 特開2005-279458 (P2005-279458A)
登録日 平成18年6月23日(2006.6.23)
発行日 平成18年9月6日(2006.9.6)
公開日 平成17年10月13日(2005.10.13)
発明の名称または考案の名称 エマルションの製造装置、反応装置、この反応装置を用いたマイクロカプセルの製造方法、マイクロチューブの製造方法およびマイクロチューブ
国際特許分類 B01F   3/08        (2006.01)
A23L   1/00        (2006.01)
A61K   9/50        (2006.01)
A61L  27/00        (2006.01)
B01F   5/06        (2006.01)
B01J  13/04        (2006.01)
FI B01F 3/08 A
A23L 1/00 C
A61K 9/50
A61L 27/00 V
B01F 5/06
B01J 13/02 A
請求項の数または発明の数 8
全頁数 18
出願番号 特願2004-097793 (P2004-097793)
出願日 平成16年3月30日(2004.3.30)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成15年11月19日 化学とマイクロ・ナノシステム研究会主催の「第8回化学とマイクロ・ナノシステム研究会」において文書をもって発表
審査請求日 平成16年3月31日(2004.3.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501145295
【氏名又は名称】独立行政法人食品総合研究所
【識別番号】502340022
【氏名又は名称】杉浦 慎治
【識別番号】502340011
【氏名又は名称】小田 竜也
発明者または考案者 【氏名】中嶋 光敏
【氏名】杉浦 慎治
【氏名】小田 竜也
【氏名】佐竹 光夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100085257、【弁理士】、【氏名又は名称】小山 有
審査官 【審査官】服部 智
参考文献・文献 特開平10-085574(JP,A)
特開2002-119841(JP,A)
特公昭47-043432(JP,B1)
調査した分野 B01F 1/00-5/26
B01J 13/04
特許請求の範囲 【請求項1】
貫通孔を形成したプレートにて分散相と連続相を分離し、前記貫通孔を介して分散相を連続相の流れの中に押し出すようにし、連続相の流れにより分散相をせん断するようにしたエマルションの製造装置において、前記プレートの連続相側表面に一体的に形成した突部に前記貫通孔の開口が形成されるか、前記プレートの連続相側表面に前記貫通孔の開口を囲む環状部材が設けられていることを特徴とするエマルションの製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエマルションの製造装置において、前記貫通孔の連続相側の開口形状は非円形であることを特徴とするエマルションの製造装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエマルションの製造装置を用いた液滴反応装置であって、連続相流路の上流側に分散相として第1の反応液を送り込んでエマルションとし、このエマルションが流下する連続相流路の下流側に分散相として前記第2の反応液を送り込み、前記エマルション中に存在する第1の反応液と第2の反応液とを接触せしめて化学反応を起こさせる反応装置。
【請求項4】
請求項3に記載の反応装置であって、反応液に2種類以上の反応液を用いて反応させる反応装置。
【請求項5】
請求項3に記載の液滴反応装置を用いたマイクロカプセルの製造方法であって、第1の高分子電解質溶液と前記第1の高分子電解質溶液とは逆の電荷を持つ第2の高分子電解質溶液または多価イオン溶液の高分子電解質反応によりエマルション中に存在する第1の高分子電解質溶液の粒子表面に電解質複合体からなるゲル層を形成することを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のマイクロカプセルの製造方法において、高分子電解質溶液中には、予め所定の物質を生産する細胞を添加しておくことを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のマイクロカプセルの製造方法において、前記第1の高分子電解質は、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン、カラギーナン、硫酸セルロース、コンドロイチン硫酸の何れかであり、前記第1の高分子電解質と高分子電解質反応にてゲル層を形成する第2の高分子電解質は、ポリアミノ酸、第一級アミン基、第二級アミン基、第三級アミン基またはピリジニル窒素を含むポリマー、またはアミノ化多糖類の何れかであり、前記第1の高分子電解質と高分子電解質反応にてゲル層を形成する多価イオンはCa2+、Ba2+、Pb2+、Cu2+、Cd2+、Sr2+、Co2+、Ni2+、Zn2+またはMn2+の何れかであることを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
【請求項8】
貫通孔を形成したプレートにて第1の高分子電解質溶液と第2の高分子電解質溶液または多価イオン溶液を分離し、前記貫通孔を介して第1の高分子電解質溶液を第2の高分子電解質溶液または多価イオン溶液の流れの中に押し出すようにして、細長い棒状の高分子電解質溶液の流れの表面に高分子電解質複合体からなるゲル層を形成することを特徴とするマイクロチューブの製造方法において、前記貫通孔を形成したプレートとして、前記第2の高分子電解質溶液または多価イオン溶液側表面に一体的に形成した突部に前記貫通孔の開口が形成されるか、前記第2の高分子電解質溶液または多価イオン溶液側表面に前記貫通孔の開口を囲む環状部材が設けられているプレートを用いることを特徴とするマイクロチューブの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、食品、化粧品製造等に利用されるエマルションの製造装置、このエマルションの製造装置を用いたマイクロカプセルの製造方法、更にはチューブ状のマイクロカプセル(マイクロチューブ)に関する。
【背景技術】
【0002】
水相中(連続相)に油相(分散相)が微粒子として存在するO/W型エマルション、油相中(連続相)に水相(分散相)が微粒子として存在するW/O型エマルションなどを製造する手段(装置)として従来から種々提案されている。
【0003】
非特許文献1には、エマルションの一般的な製法として、ミキサー、コロイドミル、ホモジナイザー等を用いる方法や超音波等で分散させる方法が記載されている。この方法では、連続相中の分散相液滴の粒径分布の幅が大きいという欠点がある。
そこで、ポリカーボネイトからなる膜を用いて濾過を行う方法(非特許文献2)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜を用いて繰り返し濾過を行う方法(非特許文献3)、均一な細孔を持つ多孔質ガラス膜を通して連続相に送り込み均質なエマルションを製造する方法(特許文献1)も提案されている。また、ノズルや多孔板を用いるエマルションの製造方法として、層流滴下法も知られている(非特許文献4)。
【0004】
上述した方法によって製造されたエマルション中の液滴は均一性の点で満足できるものではないため、本発明者らは、非円形の開口部を介して分散相を連続相中に送り込む方法を提案している(特許文献2)
【0005】
またエマルションを経由しないでマイクロカプセルを製造する方法として、アルギン酸溶液などのポリアニオン溶液をポリカチオン溶液に滴下し、高分子電解質反応を利用してゲル層を形成する方法が知られている(非特許文献5)。
更に、アルギン酸水溶液の微粒子を噴霧によって作製し、この噴霧によって作製したアルギン酸水溶液の微粒子をフィルム状に流下するCa2+水溶液に衝突させることで、100~400μmのマイクロカプセルが提案されている(特許文献3)。しかしながら、作製されるマイクロカプセルの粒径はあまり均一ではない。
【0006】

【特許文献1】特開平2-95433号公報
【特許文献2】特開2002-119841号公報
【特許文献3】特表2002-507473号公報
【非特許文献1】エマルションの化学(朝倉書店:1971)
【非特許文献2】Biochimica et Biophysica Acta, 557(1979) North-Holland Biochemical Press
【非特許文献3】化学工学会第26回秋期大会 講演要旨集:1993
【非特許文献4】化学工学第21巻第4号:1957
【非特許文献5】Biotechnology Progress 13 562-568 1997
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に開示した方法によれば、従来に比較してかなり均一性に優れ且つ製造効率の面でも改善がなされている。しかしながら、開孔を有するプレートの表面が常に連続相で濡れている事が必要であり、適用できる系が限られている。また、製造効率の面で依然と問題が残されている。
図19は特許文献2に開示される中間プレートの拡大図であり、この中間プレートは分散相と連続相を分離し、貫通孔を介して分散相を連続相中に送り込むことでエマルションを生成する。
しかしながら連続相の流れによる剪断力が加わると、プレート表面が分散相によって濡れる現象、即ち、分散相がプレート表面にくっつくように広がってしまう現象が生じ粒子が大きくなってしまう。特に分散相に細胞や機能性微粒子などを内包化させる場合にこの問題は顕著となる。
【0008】
また、インスリンや抗がん作用を持つ生理活性物質などを分泌する細胞を入れたアルギン酸溶液をマイクロカプセル化する場合には、外殻(ゲル)は免疫機構からの攻撃に耐えるだけでなく、細胞からの分泌物を外部に放出し且つ外部から細胞が生存するための栄養を取り入れ、更にはカプセル内で生じた老廃物を外部に排出する必要がある。そして、マイクロカプセルの中心部までの距離が150μm(直径300μm)を超えると、中心部に固定されている細胞まで栄養分が届かず、また中心部の細胞の老廃物を排出できず、細胞が死滅してしまう。また、マイクロカプセルの径が小さいと内部に細胞を固定化することができない。したがって、エマルションを経由してこのようなマイクロカプセルを製造する場合、エマルション中の粒子径は極めて限られた範囲内(50~300μm)に収める必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するため、本発明に係るエマルションの製造装置は、分散相と連続相を分離するとともに分散相を連続相中に押し出すための貫通孔を形成したプレートの連続相側表面に、前記貫通孔の開口を囲む環状部材を設けるか、前記プレートの連続相側表面に一体的に形成した突部に前記貫通孔の開口を形成した。
【0010】
前記貫通孔の径は極めて小さいため、1つ1つ機械加工するよりは、プレートとしてシリコン基板を選定し、集積回路形成技術を応用して貫通孔及び突部を形成することが好ましい。
【0011】
上記のように、突部を設けることで、プレートの連続相側の表面が分散相で濡れる現象を回避することができる。この突部を有する開孔から分散相を押し出し、開孔の出口において連続相を開孔に対して垂直に流す事により、層流状に流れる連続相により、分散相に対してせん断力が生じ、この流れのせん断力により分散相がせん断され、均一な液滴が生成される。
因みに、特許文献2においては開孔形状を非円形とする事で、界面に不均一なせん断力を生じさせ、液滴を作製しているが、本発明では界面のせん断力に加えて、連続相の流れのせん断力を用いる事により、生産性の向上を可能としている。
【0012】
また、本発明に係るマイクロカプセルの製造方法は、上記の装置を用いたものであって、連続相流路の上流側に分散相として第1の高分子電解質溶液を送り込んでエマルションとし、このエマルションが流下する連続相流路の下流側に分散相として前記第1の高分子電解質溶液とは逆の電荷を持つ第2の高分子電解質溶液または多価イオン溶液を送り込み、前記エマルション中に存在する第1の高分子電解質溶液の粒子とこれとは逆の電荷を持つ前記第2の高分子電解質溶液または多価イオン溶液の粒子とを接触せしめて高分子電解質反応を起こさせ、この高分子電解質反応によりエマルション中に存在する第1の高分子電解質溶液の粒子表面に電解質複合体からなるゲル層を形成するようにした。
【0013】
上記の方法によってマイクロカプセルを形成するには、第1の高分子電解質溶液と第2の高分子電解質溶液または多価イオン溶液とを接触せしめて高分子電解質反応を起こさせる必要がある。このためには、一旦生成されたエマルションを速やかに解乳化させる必要がある。そこで、通常のエマルションの生成では界面活性剤を連続相中に添加しているが、本発明にあっては界面活性剤を添加しないか、エマルションに連続相を構成する物質と同一物質(例えば大豆油)若しくは連続相に可溶化する物質を添加して界面活性剤の濃度を低下せしめることが好ましい。
【0014】
上記の方法によって、例えば、インスリン等の生理活性タンパク質を分泌する細胞を含んだマイクロカプセルが得られる。
【0015】
また、本発明装置によればマイクロチューブを得ることができる。このマイクロチューブとしては、内部の主成分が第1の高分子電解質溶液とされ、表面が前記第1の高分子電解質溶液とこの第1の高分子電解質溶液とは逆の電荷を持つ第2の高分子電解質溶液または多価イオン溶液との高分子電解質反応にて形成されるゲル層とされているものが考えられ、前記第1の高分子電解質としては、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン、カラギーナン、硫酸セルロース、コンドロイチン硫酸の何れかであり、前記第1の高分子電解質と高分子電解質反応にてゲル層を形成する第2の高分子電解質は、ポリアミノ酸、第一級アミン基、第二級アミン基、第三級アミン基またはピリジニル窒素を含むポリマー、またはアミノ化多糖類の何れかであり、前記第1の高分子電解質と高分子電解質反応にてゲル層を形成する多価イオンはCa2+、Ba2+、Pb2+、Cu2+、Cd2+、Sr2+、Co2+、Ni2+、Zn2+またはMn2+の何れかが挙げられる。
尚、マイクロチューブに限らず球形状のマイクロカプセルについても、第1および第2の高分子電解質、多価イオンについては同様である。
【発明の効果】
【0016】
以上に説明したように、本発明に係る装置によれば、分散相粒子の粒径が1μm~1000μmの範囲で均一なエマルションを効率良く作製することができる。したがって、このエマルションから得られるマイクロカプセルも1μm~1000μmの範囲で均一なものとすることができる。
また、本発明によればエマルションから連続してマイクロカプセルを作成することができる。
更に本発明によれば、1~500μmの範囲でマイクロチューブも得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るエマルションの製造装置の断面図、図2は同エマルションの製造装置を構成する中間プレートの斜視図、図3はエマルションが生成される過程を説明した中間プレートの拡大断面図である。
【0018】
エマルションの製造装置は環状をなすケース1内に複数のプレートおよびスペーサを組み付けて構成される。
即ち、ケース1は下半体1aと上半体1bとからなり、下半体1aに形成された凹部2に、順次、シールリング3、ガラス板やプラスチック板などの透明板からなる第1プレート4、弾性体からなる環状スペーサ5、シリコン基板などからなる中間プレート6、環状スペーサ7、第2プレート8及びシールリング9を入れ、この上から上半体1bを重ね、ボルトなどで上半体1bを下半体1aに固着することで装置が組み立てられる。
【0019】
前記第1プレート4と中間プレート6との間には環状スペーサ5によって分散相が流れる液密な第1流路11が形成され、前記第2プレート8と中間プレート6との間には環状スペーサ7によって連続相とエマルションが流れる液密な第2流路12が形成される。
【0020】
また、前記中間プレート6には多数の貫通孔13が形成されている。この貫通孔13は、例えば励起されたフッ素化合物ガスを反応ガスとして用いたプラズマエッチングにて形成され、その開口部の形状は正方形状をなしている。
【0021】
また、前記中間プレート6の連続相と接触する側の面には突部6aが一体的に形成され、この突部6aに前記貫通孔13の開口13aが形成されている。
尚、突部6aについては一体的に形成せずに、環状部材を別途用意し、これを貫通孔13の開口13aを囲むように貼り付けてもよい。
【0022】
以上において、リザーバ21内の分散相をポンプP1、配管20を介して第1流路11内に所定の圧力で供給し、これと同時にリザーバ23内の連続相をポンプP2、配管22を介して第2流路12内に所定の圧力で供給する。すると、第1流路11内の分散相は中間プレート6の貫通孔13を介して、図3に示すように、連続相の流れの中に押し出され、連続相の流れによりせん断され、液滴となって連続相中に分散し、エマルションが形成される。形成されたエマルションは、配管24、ポンプP3を介してリザーバ25に回収される。
【0023】
ここで、本発明にあっては貫通孔13の開口13aが突部6aに形成されているので、分散相によって中間プレート6の表面が濡れることがない。その結果細かく且つ均一な分散相粒子が得られる。
【0024】
図4は別実施例に係るエマルションの製造装置の断面図であり、この実施例にあっては、ケース30内にスペーサ31、スペーサ32、貫通孔13を形成した中間プレート6及びスペーサ33を上から順に配置し、これらスペーサ31、32、33には連続相(大豆油)が流れる流路34、第1の分散相(アルギン酸水溶液)が流れる流路35、第2の分散相(塩化カルシウム水溶液)が流れる流路36、エマルションの回収流路37が形成され、特にスペーサ32には流路35,36を液密に隔てる隔壁部32aが形成されている。
【0025】
また、流路37と対向する側はガラス板等の透明版38で封止し、CCDカメラ39でエマルションの作製状況を観察できるようにしている。
【0026】
図4に示した装置を用いてマイクロカプセルを作製するには、流路34に連続相として大豆油などを流し、流路35に分散相として第1の高分子電解質溶液を供給し、プレート6の貫通孔13を介して大豆油に第1の高分子電解質溶液を押し出し、エマルションを作製する。このエマルションは流路34内を下流側に向って流れる。
【0027】
そして、下流側では流路34に分散相として第1の高分子電解質溶液とは逆の電荷を持つ第2の高分子電解質溶液または多価イオン溶液を供給する。この第2の高分子電解質溶液または多価イオン溶液もプレート6の貫通孔13を介して前記エマルション中に粒子となって送り込まれ、前記第1の高分子電解質溶液の粒子と接触して反応を起こし、図5に示すように、外側が不溶性のゲルで、内部が細胞などを添加した高分子電解質溶液となった二重構造のカプセルが得られる。
【0028】
図6はマイクロチューブが作製される過程を説明した中間プレートの拡大断面図であり、例えば前記第1の高分子電解質溶液を分散相として、この溶液とは逆の電荷を持つ第2の高分子電解質溶液または多価イオン溶液を連続相とし、前記分散相を連続相中に押し出すことでマイクロチューブが得られる。
【0029】
このマイクロチューブは、内部に遺伝子組み替えにより生理活性作用物質を生産する細胞を入れた徐放製剤、或いは再生医療における組織再生の足場等として用いることが考えられる。
特に、再生医療において組織を再生させる際には、細胞の足場となるものが必要で、足場がないと細胞が死滅してしまう。一般にコラーゲンやポリ乳酸などが足場として使われているが、足場として使うにはこれらを成形する必要がある。
上記したマイクロチューブであれば、細長く伸ばしたり丸めてコンパクトにすることで形状を自由に変えることができ、チューブ形状とすることで表面積が大きくなるので足場としての価値が高くなる。
【0030】
以下に具体的な実施例について説明する。
(実施例1:エマルションの作製)
図1に示した装置を用い、連続相として粘度を増加させるためにアルギン酸を1.5%の濃度で溶解したSDS1%水溶液を使用し、分散相として大豆油を使用した。
連続相の流量を800ml/h、分散相の流量を5ml/hの条件下でエマルションの作製を行った。
その結果、図7に示すようにエマルションが作製され、このエマルションは図8に示すように極めて均一で、平均粒径は210μm、変動係数は10%であった。
また、調整された大豆油(分散相)の液滴径は分散相の流量に依存せず、アルギン酸流量60ml/h以上においても均一な粒径のエマルションを作製することができた。
この実施例にあっては、シリコン基板上の開口部の単位面積当たりの生産量は600ml/h・cmとなっており、先行技術(特開2002-119841号)と比べて著しく生産性が改善されている。
また作製されたエマルションの粒径は連続相の流量増加に伴い減少した。図9に連続相の流量とエマルションの粒径の関係を示す。このことから作製するエマルションの粒径は連続相の流量により制御できることが分る。またエマルションの粒径は貫通孔の孔径によっても制御できると考えられ、原理的にはエマルションの粒径は1μm~1000μmの範囲で制御できると考えられる。
【0031】
(実施例2:マイクロカプセルの作製)
図4に示した装置を用い、連続相として大豆油、分散相として1.5%アルギン酸水溶液を用い、大豆油流量800ml/h、アルギン酸流量5ml/hの条件下でエマルションの作製を行った。
その結果、図10に示すようにエマルションが作製され、得られたエマルション中のアルギン酸液滴の平均粒径は113μm、変動係数は18%であった。
そして、下流側において上記のエマルション中に0.1M塩化カルシウム水溶液を20ml/hの流量で押し出し、塩化カルシウム水溶液の液滴(粒子)を作製した。大豆油(連続相)の流れの中で、アルギン酸水溶液の液滴と塩化カルシウム水溶液の液滴とが接触(合一)することで、不溶性のアルギン酸カルシウムマイクロカプセルが生成された。図11に生成されたマイクロカプセルの顕微鏡写真を示す。このマイクロカプセルの平均粒径は158μm、変動係数は42%であった。
また、あらかじめ1.5%アルギン酸水溶液に蛍光タンパク質であるGFPを分泌する293t細胞を懸濁させておく事により、細胞を内包化したマイクロカプセルを生成した。図12に生成された細胞入りマイクロカプセルの明視野顕微鏡写真を示す。図12に生成された細胞入りマイクロカプセルの蛍光顕微鏡写真を示す。細胞が緑色の蛍光を発している事から、生きた状態でマイクロカプセルに内包化されている事が分かる。
【0032】
(実施例2:マイクロチューブの作製)
図1に示した装置を用い、1.5%アルギン酸水溶液(分散相)の流量を100ml/h、0.01M塩化カルシウム水溶液(連続相)の流量を1000ml/hの条件下で、マイクロチューブ作製した。作製されたマイクロチューブの強度を上げるために0.1M塩化カルシウム水溶液に30分間浸した。
図14にチューブ状マクロカプセルが作製される様子を、図15にマイクロチューブの拡大写真を、図16にマイクロチューブをシャーレから取り上げた状態の写真を示す。作製されたマイクロチューブの太さは70μmであった。
アルギン酸水溶液と塩化カルシウム水溶液の流量若しくは貫通孔の孔径を変えることでチューブの太さは1~500μmの範囲で制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るエマルションの製造装置の断面図
【図2】同エマルションの製造装置を構成する中間プレートの斜視図
【図3】エマルションが生成される過程を説明した中間プレートの拡大断面図
【図4】別実施例に係るエマルションの製造装置の断面図
【図5】図4に示す装置で作製されたアルギン酸カルシウムマイクロカプセルの拡大断面図
【図6】マイクロチューブが生成される過程を説明した中間プレートの拡大断面図
【図7】実施例1でエマルションが生成される様子を示す写真
【図8】実施例1で生成されたエマルションの拡大写真
【図9】連続相の流量とエマルションの粒径の関係を示す
【図10】実施例2でエマルションが生成される様子を示す写真
【図11】実施例2で生成されたマイクロカプセルの拡大写真
【図12】実施例2で生成された細胞入りマイクロカプセルの明視野顕微鏡写真
【図13】実施例2で生成された細胞入りマイクロカプセルの蛍光顕微鏡写真
【図14】実施例3でマイクロチューブが生成される様子を示す写真
【図15】実施例3で生成されたマイクロチューブの拡大写真
【図16】実施例3で生成されたマイクロチューブをシャーレから取り上げた状態の写真
【図17】実施例3で生成された細胞入りマイクロチューブの明視野顕微鏡写真
【図18】実施例3で生成された細胞入りマイクロチューブの蛍光顕微鏡写真
【図19】従来装置の問題点を説明した図面
【符号の説明】
【0034】
1…ケース、2…凹部、3…シールリング、4…第1プレート、5…スペーサ、6…中間プレート、6a…突部、7…スペーサ、8…第2プレート、9…シールリング、11…第1流路、12…第2流路、13…貫通孔、13a…開口、20,22,24…配管、21,23,25…リザーバ、P1…分散相供給ポンプ、P2…連続相供給ポンプ、P3…エマルション取り出しポンプ、30…ケース、31…プレート、31a…突部、32,33,33a,33b…流路、34…隔壁、35…貫通孔。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18