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明細書 :ミクロ孔を有するメソポーラスシリカナノ粒子及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4671216号 (P4671216)
公開番号 特開2006-069824 (P2006-069824A)
登録日 平成23年1月28日(2011.1.28)
発行日 平成23年4月13日(2011.4.13)
公開日 平成18年3月16日(2006.3.16)
発明の名称または考案の名称 ミクロ孔を有するメソポーラスシリカナノ粒子及びその製造方法
国際特許分類 C01B  37/02        (2006.01)
B01J  20/20        (2006.01)
B01J  20/28        (2006.01)
FI C01B 37/02
B01J 20/20 A
B01J 20/28 A
請求項の数または発明の数 6
全頁数 10
出願番号 特願2004-253108 (P2004-253108)
出願日 平成16年8月31日(2004.8.31)
審査請求日 平成19年8月31日(2007.8.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
発明者または考案者 【氏名】木島 剛
【氏名】森 寛
個別代理人の代理人 【識別番号】100127513、【弁理士】、【氏名又は名称】松本 悟
審査官 【審査官】大工原 大二
参考文献・文献 特開2004-002161(JP,A)
特開2004-034228(JP,A)
特開平08-034607(JP,A)
調査した分野 C01B 33/22-39/54
特許請求の範囲 【請求項1】
直径0.2~0.5nmのミクロ孔をもつシリカ骨格から成り、かつ直径4~5nmのメソ孔がヘキサゴナル状に配列した多孔質構造と直径40~80nmの球状形態を有することを特徴とするシリカナノ粒子。
【請求項2】
オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラメチルなどの有機もしくは無機ケイ素化合物よりなる群から選択された一種類のケイ素化合物、ノナエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテルよりなる群から選択された二種類の非イオン界面活性剤または非イオン界面活性剤一種とイオン性界面活性剤一種の合わせて二種類の界面活性剤、および水からなる反応混合物、またはこれに硝酸等の酸とドデシルアルコール等のアルコール類もしくはそのいずれか一方を加えた反応混合物を調製し、反応させることにより、直径0.2~0.5nmのミクロ孔をもつシリカによってその骨格が構成され、かつ直径4~5nmのメソ孔がヘキサゴナル状に配列した多孔質構造と直径40~80nmの球状形態を有することを特徴とするシリカナノ粒子を生成し、回収することを特徴とする請求項1記載のシリカナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のシリカナノ粒子を吸着剤として使用することを特徴とする、シリカナノ粒子から成る吸着剤。
【請求項4】
前記吸着剤が、分子篩用吸着剤として使用されることを特徴とする、請求項記載のシリカナノ粒子から成る吸着剤。
【請求項5】
請求項1に記載のシリカナノ粒子を充填材として使用することを特徴とする、シリカナノ粒子から成る充填材。
【請求項6】
前記充填材、クロマトグラフィー用充填材として使用されることを特徴とする、請求項記載のシリカナノ粒子から成る充填材。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカの化学的および構造的特性を利用した触媒担体、モレキュラーシーブス、吸着剤などとして使用される、ミクロ孔とメソ孔とを併せ持つ多孔質構造と直径数十nmのナノレベルのサイズを有し、球状形態を呈した、新規なシリカナノ粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリカ(酸化ケイ素)は、化学的に安定な化合物であり、人体、環境への安全性が高く、これを主成分とする非晶質体は窓や食器用ガラス、近年では光ファイバーガラスなどの高機能素材として利用され、他方、水晶に代表される結晶質体は発振素子などとして実用されてきている。また、シリカゲルや多孔質ガラスは、シリカに二次粒子構造あるいは細孔構造を形成させ、高表面積と高細孔容積を賦与した固体であり、幅広い産業分野において吸着剤や担体、鋳型材などとして用いられ、特にシリカゲルは包装食品・ガス除湿用乾燥剤、ビール用清澄剤、クロマトグラフィー用充填剤、流動触媒担体、医薬品の粉末化用担体などの多様な用途に活用されている。
【0003】
多孔質ガラスは分相させたガラス構造中の特定の相を溶解することにより作製されるのに対して、1992年、界面活性剤を鋳型として、直径2nm以上のメソ孔と1000m/gを超える大きな比表面積を有するシリカ多孔体を創製する手法がMobil社によって開発された(非特許文献1)。すなわち、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)を鋳型としてケイ酸成分を反応させることにより直径2~8nmの円筒状細孔が2次元-六方構造を形成したMCM-41型および細孔が3次元的に連結したMCM-48型の2種類のタイプのメソポーラスシリカが合成された。
【0004】
その後、アルキルジアミンを鋳型としてベシクル状MSU-V(非特許文献2)、非イオン性のデカエチレングリコールモノオクタデシルエーテルを鋳型として3次元-六方構造をもつSBA-12型(非特許文献3)などの種々のメソポーラスシリカが得られている。さらに、親水性のエチレンオキサイド(EO)と疎水性のプロピレンオキサイド(PO)からなるブロックコポリマーEOmPOnEOm (m=33~70, n=5~26)を鋳型とする反応により、10nm以上の細孔径をもつ2次元-六方構造メソポーラスシリカSBA-15も得られた(非特許文献4)。
【0005】
以上のように、大きな比表面積と特有の細孔構造をもつメソポーラスシリカは、当初より触媒担体や吸着剤として有望視されたが、最初に創られた素材は、例えば、MCM-41型がミクロンスケール、SBA-15がサブミクロンスケールの一次粒子サイズをもち、いずれも粒径の大きさに難点があった。このため、粒径を小さくしてゲスト分子への拡散抵抗を低減し、細孔を有効に活用することをねらいとして、微粒子化が検討されてきた(例えば、非特許文献5)。水酸化ナトリウム水溶液に溶かしたオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を極低濃度のCTAB存在下で反応させることにより、MCM-41型構造をもつメソポーラスシリカが平均直径110nmの球状粒子として得られている(非特許文献6)。
【0006】
また、アルカリ性水溶液に溶かしたケイ酸成分と界面活性剤の比を変えると、生成する球状のMCM-41型メソポーラスシリカ粒子の直径を65~740nmの広い範囲で制御できる(非特許文献7)。このとき、界面活性剤としてCTABを用いると、規則的な細孔構造と乱れた球状の形態をもつ粒子が得られ、ドデシルアミンを用いると、逆に不規則な細孔構造と整った球状の形態をもつ粒子が生成することも明らかにされた。
【0007】
50nm以下のメソポーラスシリカも報告されている。例えば、TEOS/CTAB/NaOH/HO系の反応を短時間行った後に大過剰の水で希釈することにより、直径20nm程度の球状粒子が得られている(非特許文献8)。さらに、最近、上記のブロックコポリマーP123とアニオン界面活性剤の混合系を鋳型として、直径約20nmで、3次元-六方構造をもつメソポーラスシリカも合成された(非特許文献9)。
【0008】
一方、メソポーラス材料は骨格がアモルファスで、細孔径が大きいために、ゼオライトに比べて触媒能や吸着特性に劣ることが分かってきた。このため、非晶質の細孔壁にミクロ孔をもたせ、機能化を図ることが検討され、上記MCM-41とSBA-15では、その細孔壁にミクロ孔が形成されていることが窒素吸着等温線の解析により明らかにされた(非特許文献10、11)。さらに、反応に用いるテトラエトキシシランとP123との仕込み比率を変えることによってミクロ孔の細孔容積を制御できることも見いだされている(非特許文献12)。
【0009】
以上に挙げた学術文献以外に、近年、メソポーラスシリカについて各種提案が特許文献になされている。すなわち、界面活性剤と珪酸ソーダとを混合して、界面活性剤とシリカとの複合体から、メソポーラスシリカを得ること(特許文献1、2)、あるいは、シリコンアルコキシドと酸との反応によりシリカを析出させる反応工程を、二段階で実施し、各段階での酸濃度を極めて厳格に調製することによって、耐酸性を有し、平滑性、配向性に優れた細孔を有するメソポーラスシリカを薄膜状で得ること(特許文献3)が提案されている。これらの提案で得られたシリカは、その細孔分布構造や耐酸性に富んだ膜状物に形成し、従前のシリカにはない特徴を備えたものを提供した点で評価される。しかしながら、そのいずれにもメソポーラスシリカ粒子サイズを、近年注目され、そして粒子サイズ自体で評価される、ナノメートルレベルの超微細粒子に調製することについては記載がないし、また示唆するところもない。
【0010】

【非特許文献1】C.T.Kresge ほか4名、Nature、359、p.710~712(1992)
【非特許文献2】P.T.Tanev ほか1名、Science、271、1267(1996)
【非特許文献3】D.Zhao ほか4名、J.Am.Chem.Soc.、 120、6024(1998)
【非特許文献4】D.Zhao ほか6名、Science、279、548(1998)
【非特許文献5】Y.F.Lu ほか5名、Nature、398、223-226(1999)
【非特許文献6】Q.Cai ほか5名、Chem.Mater.、13、 258-263 (2001)
【非特許文献7】R.I.Nooney ほか4名、Chem.Mater.、 14、4721-4728(2002)
【非特許文献8】C.D.Fowler ほか3名、 Adv.Mater.、13、649-652(2001)
【非特許文献9】K.Suzuki ほか2名、J.Am.Chem.Soc.、126、462-463(2004)
【非特許文献10】Y.Long ほか3名、Langmuir、14、 6173(1998)
【非特許文献11】M.Kruk ほか3名、Chem.Mater.、 12、1961(2000)
【非特許文献12】K.Miyazawaほか1名、Chem.Commun.、12、2121-2122(2000)
【非特許文献13】木島剛、「機能性微粒子とナノマテリアルの開発」、(株)フロンテイア出版、p.57~68(2004)
【非特許文献14】T.Kijima ほか3名、Langmuir、18, 6453-6457(2002)
【非特許文献15】木島 剛 ほか6名、Angew.Chem.Int. Ed.、43、228-232(2004)
【0011】

【特許文献1】特開8-34607号公報
【特許文献2】特開2001-261326号公報
【特許文献3】特開2004-99381号公報
【特許文献4】特開2004-034228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上のように、メソポーラスシリカに関する従来技術では、大きな比表面積と特有の細孔構造というメソポーラスシリカの利点を活かすため、粒径を100nm以下に制御する技術と並んで、ミクロ孔とメソ孔を兼ね備えたシリカを創製する技術がそれぞれ個別に開発されているが、これらは各々個別の技術に留まっており、両方の技術を融合して2つの要件を満たした材料を提供するには至っていない。すなわち、ミクロ孔とメソ孔を合わせ持ち、かつ粒径が100nm以下の微細メソポーラスシリカを創出する新規技術の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記文献の中、特に非特許文献に記載された界面活性剤を用いる鋳型合成法は、その後、シリカ以外の物質系にも応用され、これまで金属酸化物や硫化物を骨格成分とする各種のメソ多孔体が多数合成されとともに無機および高分子ナノチューブの合成にも発展してきている(非特許文献13参照)。このような界面活性剤を鋳型とするナノポーラス・ナノチューブ材料の合成においては、ほとんど例外なく、単一の界面活性剤が鋳型成分として用いられて実施されている。これに対して本発明者らは、非イオン性界面活性剤と陽イオン界面活性剤を混合して得られるネマチック液晶相を反応場とすることにより、直径1μm程度のワイヤ状臭化銀と酸化スズが得られることを見出し、複合界面活性剤系がナノ構造体の合成に有効であるとの知見を得(非特許文献14参照)、この知見を基に、2種類の界面活性剤から成る液晶を鋳型として塩化白金酸を還元する手法を開発し、これにより外径6~7nm、内径約3~4nmの白金、パラジウムなどの貴金属ナノチューブを製造することに成功し、その成果を特許出願した(特許文献4参照)。さらに、このような貴金属ナノチューブの生成に有効な液晶は、2種類の界面活性剤が複合してできた円筒状ミセルをユニットとして構成されていることをX線回折実験と構造モデル計算により明らかにし、学術文献に発表した(非特許文献15)。
【0014】
そこで、本発明者らは、以上、従来技術について紹介、列挙したナノチューブに関する多岐にわたる研究報告、先行技術を念頭に置きつつ、これに対して、複合界面活性剤系を基礎とする鋳型合成法により、既往とは異なる新規な細孔形状、ミクロ孔とメソ孔を合わせ持ち、かつ粒径が100nm以下の新規なメソポーラスシリカを創出すべく、用いるシリカ源と還元剤の種類ならびに反応条件についてさらに鋭意研究を進めた結果、2種類の非イオン界面活性剤またはイオン性界面活性剤と親水部サイズの比較的大きい部類の非イオン界面活性剤との2成分を混和してできる分子組織に予め加えられたTEOSなどのケイ酸源を緩やかに反応させることにより、シリカを骨格とし、ミクロ孔とメソ孔を併せ持つ多孔質構造と直径数十nmのナノレベルのサイズを有し、球状形態を呈した新規なシリカナノ粒子が成長することを究明した。
【0015】
すなわち、本発明者等は、鋭意研究をした結果、前示課題を以下に記載する技術的構成が講じられた発明によって解決、達成することに成功したものである。
すなわち、第1の発明は、(1)直径0.2~0.5nmのミクロ孔をもつシリカ骨格から成り、かつ直径4~5nmのメソ孔がヘキサゴナル状に配列した多孔質構造と直径40~80nmの球状形態を有することを特徴とするシリカナノ粒子である。
【0016】
以下、第2の発明は、前記第1の発明のシリカナノ粒子の製造方法を提示するものである。
すなわち、第2の発明は、(2)オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラメチルなどの有機もしくは無機ケイ素化合物よりなる群から選択された一種類のケイ素化合物、ノナエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテルよりなる群から選択された二種類の非イオン界面活性剤または非イオン界面活性剤一種とイオン性界面活性剤一種の合わせて二種類の界面活性剤、および水からなる反応混合物、またはこれに硝酸等の酸とドデシルアルコール等のアルコール類もしくはそのいずれか一方を加えた反応混合物を調製し、反応させることにより、直径0.2~0.5nmのミクロ孔をもつシリカによってその骨格が構成され、かつ直径4~5nmのメソ孔がヘキサゴナル状に配列した多孔質構造と直径40~80nmの球状形態を有することを特徴とするシリカナノ粒子を生成し、回収することを特徴とする請求項1記載のシリカナノ粒子の製造方法である。
【0017】
以下、第3ないし第の発明は、第1の発明のシリカナノ粒子の用途に係る発明を提示するものである。
すなわち、第の発明は、(3)前記(1)に記載のシリカナノ粒子を吸着剤として使用することを特徴とする、シリカナノ粒子から成る吸着剤。
の発明は、(4)前記吸着剤、分子篩用吸着剤として使用されることを特徴とする、前記(3)項に記載のシリカナノ粒子から成る吸着剤。
の発明は、(5)前記(1)項に記載のシリカナノ粒子を充填材として使用することを特徴とする、シリカナノ粒子から成る充填材。
の発明は、(6)前記充填材、クロマトグラフィー用充填材として使用されることを特徴とする、前記(5)項に記載のシリカナノ粒子から成る充填材。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上記特有なプロセスによってミクロ孔とメソ孔とを備えた特有な構造の孔を有するシリカナノ粒子を提供するものであり、各種用途に供せられ、従来のものに比して次に述べる格別の作用効果が奏せられる、あるいは多様な機能を発現することが期待される。
1)これをクロマトグラフィー等の充填剤もしくはモレキュラーシーブとして用いた場合、ミクロ孔とメソ孔とが効率的・相乗的に作用して、数Åから数nmまでの大きさの異なる分子・物質をサイズの違いなどにより精密に分離するなどの顕著な効果が期待される。
2)これを吸着剤として用いた場合、ミクロ孔とメソ孔とが効率的・相乗的に作用して、数Åから数nmまでの大きさの異なる分子・物質を同時に除去するなどの顕著な効果が期待される。
3)これを物質分離材として用いた場合、その内径2~4nmより小さい分子やイオンのみが粒子内部に浸入できるため、ノニールフェノール、フタル酸エステル等の内分泌撹乱物質やアミノ酸のような仕較的サイズの小さい物質とタンパク質等の高分子量の物質との分離が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この出願の発明は、以上の特徴を持つものであるが、以下実施例を添付した図面に基づき、具体的に説明する。ただし、これらの実施例は、あくまでも本発明の一つの態様を開示するものであり、決して本発明を限定する趣旨ではない。すなわち、本発明のねらいとするところは、シリカを骨格とし、ミクロ孔とメソ孔を併せ持つ多孔質構造と直径数十nmのナノレベルのサイズを有し、球状形態を呈した新規なシリカナノ粒子を提供するところにあることは、前述したとおりである。
【0020】
また、製造方法の骨子は、少なくとも2種類の界面活性剤とケイ酸化合物の水溶液とを適切な条件で混合することによって得られる構造を鋳型として、ケイ酸成分を反応させることによって上記の構造的特徴を有するシリカナノ粒子を誘導するというものであり、鋳型を構築するための最適温度や混合条件も対象とするケイ酸種や用いる界面活性剤の特性によって多様に変化する。対して、実施例は、本発明を容易に実施しうるための一助として開示するものであって、あくまでもその一態様例を示すものにすぎず、本発明を構成するケイ酸種や製造方法もこの実施例によって限定されるべきではない。
【0021】
図1ならびに図4は、本発明のシリカナノ粒子の透過形電子顕微鏡による観察写真であり、これによると、本発明のシリカナノ粒子は、粒径40~80nmの球状で、直径約5nmのメソ孔と0.3nmのミクロ孔を合わせ持つ多孔体であることが観察される。
【0022】
実施例1;
ガラス容器に2種類の界面活性剤のノナエチレングリコールモノドデシルエーテルCH(CH11(CHCHO)OH (C12EO)0.29gとポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Tween60)0.65g、および水0.54mlを入れて60℃で振とう機により20分間均一混合し、ついで、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、比重0.93、95wt%)0.47ml加え、同温度で2分間振とう混合した後、0℃に冷却してモル比TEOS/C12EO/Tween60/HO=4:1:1:60の ペースト状の液晶(LC)相を得た。このLC相を0℃で24時間熟成させた後、TEOSの加水分解によって生じたエタノールによるLC相の崩壊を防ぐための水10mlに続いて、酢酸アンモニウムを0.31g加え、40℃で3日間静置しゲル化させた。生成した軟質のゲルを水で洗浄後、遠心分離(回転数3000rpm)により上澄み液を取り除いた。さらに残った固相を水とエタノールで各2回ずつ洗浄した後、遠心分離し固体生成物を得た。最後に3℃/minの昇温速度で400℃まで加熱し、同温度で10分間焼成し、鋳型の界面活性剤を除去した。
以上のようにして合成したシリカ粒子の透過型電子顕微鏡写真を図1に示す。得られたシリカは、内径約4~5nmのメソ孔をもち、その骨格部に直径約0.3nmのミクロ孔を有する外径約60nmのブロック状ナノ粒子であることがわかる。このシリカ粒子の細孔径分布曲線も約4.3nm付近で極大を与えた((図2)。また、前駆体となる液晶のX線回折パターンは、ヘキサゴナル構造が鋳型として作用していることを示唆している(図3)。
【0023】
実施例2;
ガラス容器に2種類の界面活性剤のノナエチレングリコールモノドデシルエーテルCH(CH11(CHCHO)OH (C12EO)0.29gとポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Tween60)0.65g、および水0.54mlを入れて60℃で振とう機により20分間均一混合し、ついで、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、比重0.93、95wt%)0.12~0.94ml加え、同温度で2分間振とう混合した後、20℃に冷却してモル比TEOS/C12EO/Tween60/HO=1~8:1:1:60の ペースト状の液晶(LC)相を得た。このLC相を20℃で24時間熟成させた後、TEOSの加水分解によって生じたエタノールによるLC相の崩壊を防ぐための水10mlに続いて、酢酸アンモニウムを0.31g加え、20℃で7日間静置しゲル化させた。生成した軟質のゲルを 実施例1と同様な操作で処理し、固体生成物を得た。最後に3℃/minの昇温速度で400℃まで加熱し、同温度で10分間焼成し、鋳型の界面活性剤を除去した。
以上のようにして合成したシリカの透過型電子顕微鏡写真は、実施例1と同様に、内径約4nmのメソ孔と直径約0.3nmのミクロ孔を有する外径約60nmのブロック状ナノ粒子が生成していることを示した(図4)。また、100~800℃の温度範囲で加熱処理した生成物の細孔径分布曲線は、図5のように変化した。この結果と、未処理試料の熱重量・示差熱分析曲線(図6)より、界面活性剤の主要部分が分解燃焼する180℃付近で直径約4nmのメソ孔が生じ、残留成分が燃焼する約280℃付近で直径2nm以下のミクロ孔が生成すると考えられる。さらに、400℃焼成物のX線回折パターンもd=6.1nmのややブロードな長周期ピークを与え、内径4nm、壁厚1nmのメソ孔の規則的配列が形成されていることが確認された。
【0024】
実施例3;
ガラス容器に2種類の界面活性剤のノナエチレングリコールモノドデシルエーテルCH(CH11(CHCHO)OH (C12EO)0.29gとポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Tween60)0.65g、および水0.54mlを入れて60℃で振とう機により20分間均一混合し、ついで、オルトケイ酸テトラメチル(TMOS、比重0.93、95wt%)0.12~0.94ml加え、同温度で2分間振とう混合した後、20℃に冷却してモル比TMOS/C12EO/Tween60/HO=1~8:1:1:60の ペースト状の液晶(LC)相を得た。このLC相を20℃で3日間開放状態で放置し、ゲル化させた。生成した硬いゲルに酢酸アンモニウム0.31gを加え水で洗浄後、以下、実施例1と同様な操作で処理し、固体生成物を得た。最後に3℃/minの昇温速度で400℃まで加熱し、同温度で10分間焼成し、鋳型の界面活性剤を除去した。
生成物は、図7Bに示すX線回折パターンと窒素吸着等温線を与え、そのtプロット解析により、直径2~4nmのメソ孔と直径1nm以下のミクロ孔を合わせ持つシリカ多孔体であることがわかった。上記ペースト状の液晶(LC)相に水を加え、以下実施1と同様な操作を行った場合も、図7Bに示すように、水を添加しない系と類似の結果が得られた。
【0025】
以上の実施例で開示したように、本発明の特有なメソポーラス細孔構造と特有な微細サイズを有してなるメソポーラスシリカは、シカ生成反応を2種類の界面活性剤を組み合わせた特有な条件下で得られてなるものである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によって提供されたシリカナノ粒子は、典型的には触媒担体ないしは触媒として使用され、化学反応に供されたとき、その特異な細孔構造によって反応場と反応チャネルとを備えたリアクターとしての機能を有し、このような細孔構造を備えていない従前のシリカに比し、優れた触媒効果を奏することが期待される。さらにまた、本発明の該特有な細孔構造は、分子篩効果を有し、これによって各種分子に対して、選択的分離剤として機能することが期待され、化学工学操作における単位操作として、重要な分離操作に大いに利用されることが期待される。また、分離剤以外にも、その特異な微細細孔によって吸着作用を有し、優れた吸着剤として大いに使用されることが期待される。以上は本発明のシリカの代表的用途について個別的に列記したものであるが、使用態様はこれだけに止まらず、今後、工業材料の基本的材料の一つとして定着し、各種分野に大いに利用されることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1で得られた生成物の透過型電子顕微鏡写真。
【図2】実施例1で得られた生成物の細孔径分布曲線。
【図3】実施例1で得られたシリカ前駆体液晶のX線回折パターン。
【図4】実施例2で得られた生成物の透過型電子顕微鏡写真。
【図5】実施例2で得られた(a)100℃、(b) 200℃、(c)400℃、および(d)800℃加熱処理物の細孔径分布曲線。
【図6】実施例2で得られた生成(未処理)の熱重量・示差熱分析曲線。
【図7】実施例3で得られた生成物のX線回折パターン(上)と窒素吸着等温線(下)。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6