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明細書 :ペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4734558号 (P4734558)
公開番号 特開2006-076928 (P2006-076928A)
登録日 平成23年5月13日(2011.5.13)
発行日 平成23年7月27日(2011.7.27)
公開日 平成18年3月23日(2006.3.23)
発明の名称または考案の名称 ペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物の製造方法
国際特許分類 C07D 333/12        (2006.01)
C07D 333/18        (2006.01)
C07D 345/00        (2006.01)
C07D 495/04        (2006.01)
C07D 517/04        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07D 333/12 CSP
C07D 333/18
C07D 345/00
C07D 495/04 101
C07D 517/04
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 10
全頁数 22
出願番号 特願2004-263110 (P2004-263110)
出願日 平成16年9月9日(2004.9.9)
審査請求日 平成19年9月7日(2007.9.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】瀧宮 和男
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
【識別番号】100080034、【弁理士】、【氏名又は名称】原 謙三
【識別番号】100113701、【弁理士】、【氏名又は名称】木島 隆一
【識別番号】100116241、【弁理士】、【氏名又は名称】金子 一郎
審査官 【審査官】深谷 良範
参考文献・文献 特開2003-267975(JP,A)
FACCHETTI,A. et al,Building blocks for n-type organic electronics: regiochemically modulated inversion of majority carrier sign in perfluoroarene-modified polythiophene semiconductors,Angewandte Chemie, International Edition,2003年,Vol.42, No.33,p.3900-3903
CHEN,J. et al,2-(Fluorophenyl)pyridines by the Suzuki-Miyaura method: Ag2O accelerates coupling over undesired ipso substitution (SNAr) of fluorine,Tetrahedron Letters,2003年,Vol.44, No.7,p.1503-1506
KAMIGATA,N. et al,Perfluorophenylation of aromatic and heteroaromatic compounds with pentafluorobenzenesulfonyl chloride catalyzed by a ruthenium(II) phosphine complex,Journal of Fluorine Chemistry,1998年,Vol.87, No.1,p.91-95
調査した分野 C07D 333/
C07D 345/
C07D 495/
C07D 517/
REGISTRY/CAPLUS/CASREACT(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式
【化1】
JP0004734558B2_000025t.gif
で表され、
ここで、Arが、
【化2】
JP0004734558B2_000026t.gif
(nは、1~10である)、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、ナフトジチオフェン、ベンゾジチオフェン、または
【化3】
JP0004734558B2_000027t.gif
(nは、1~10である)、セレノフェノセレノフェンジセレノフェノセレノフェンナフトジセレノフェン、ベンゾジセレノフェンであるか、あるいは、これらが有する水素基の1つ以上が、C1-18アルキル、C1-18アルキルオキシ、C1-18アルキルチオまたはハロゲンで置換されていることを特徴とするペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物:但し、Arは、n=4のチオフェンオリゴマーではない。
【請求項2】
ペンタフルオロフェニル基を有する有機金属化合物とAr-XまたはX-Ar-Xとを縮合させる工程を包含し、当該縮合させる工程において、パラジウム化合物、極性の非プロトン性溶媒、および塩基の存在下で、AgOをさらに共存させることを特徴とするペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法:
ここで、Arは、
【化4】
JP0004734558B2_000028t.gif
(nは、1~10である)、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、ナフトジチオフェン、ベンゾジチオフェン、または
【化5】
JP0004734558B2_000029t.gif
(nは、1~10である)、セレノフェノセレノフェンジセレノフェノセレノフェンナフトジセレノフェン、ベンゾジセレノフェンであるか、あるいは、これらが有する水素基の1つ以上が、C1-18アルキル、C1-18アルキルオキシ、C1-18アルキルチオまたはハロゲンで置換されており、Xは、Cl、BrまたはIである。
【請求項3】
上記有機金属化合物が、臭化ペンタフルオロフェニルマグネシウム、ペンタフルオロフェニル銅、臭化ペンタフルオロフェニル亜鉛、およびペンタフルオロフェニルボロン酸からなる群より選択されることを特徴とする請求項2に記載のペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法。
【請求項4】
上記有機金属化合物がペンタフルオロフェニルボロン酸であることを特徴とする請求項3に記載のペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法。
【請求項5】
上記パラジウム化合物が、二塩化ジフェニルホスフィノフェロセンパラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、およびパラジウム(0)ビス(ジベンジリデンアセトン)からなる群より選択されることを特徴とする請求項2に記載のペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法。
【請求項6】
上記パラジウム化合物が、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムであることを特徴とする請求項5に記載のペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法。
【請求項7】
上記極性の非プロトン性溶媒が、N-メチルピロリドン(NMP)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメトキシエタン、およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)からなる群より選択される溶媒が用いられることを特徴とする請求項2に記載のペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法。
【請求項8】
上記極性の非プロトン性溶媒が、ジメトシキエタンまたはジメチルホルムアミドであることを特徴とする請求項7に記載のペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法。
【請求項9】
上記塩基が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,8-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)からなる群より選択されることを特徴とする請求項2に記載のペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法。
【請求項10】
上記塩基が、リン酸カリウムであることを特徴とする請求項9に記載のペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的、電子的、光電気的部品に用いられる有機電子部品材料の製造に関し、例えば、有機半導体層を有する薄膜トランジスタ(TFT)、有機キャリア輸送層または発光層を有する発光デバイス等に利用可能な有機電子部品材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有機半導体材料を有機電子部品として利用する有機半導体デバイスに関する研究がなされており、このような研究の成果として、有機半導体デバイスの一部実用化も始まっている。上記有機半導体デバイスとしては、有機エレクトロルミネッセンスデバイス、有機薄膜トランジスタデバイス、及び有機光電変換デバイス等が挙げられる。
【0003】
これら有機半導体デバイスの作製において、その高性能化を図る際に特に重要となる点は、優れた性能を有する有機半導体材料が用いられることである。このため、高い発光性能やキャリア移動度等を有する有機半導体材料が精力的に、探索され、そして研究されている。
【0004】
ここで、有機半導体材料は一般的にp型(ホール輸送性)となる性質が強いので、優れたp型の有機半導体材料が数多く開発されている。これに対して、n型(電子輸送性)材料はその種類が限られており、その性能も一般的にp型材料より低いものが多い。従って、n型の有機半導体材料及びその製造方法の開発に対する要望が非常に大きい。
【0005】
n型の有機半導体材料の開発における有効な手段の一つとして、優れた特性を示すp型の有機半導体材料に電子吸引性の置換基を導入することによって、p型からn型への極性転換を図ることが行われている。このような極性転換を目的として、複数のシアノ、フッ素等を含有する置換基が好適に用いられている。
【0006】
上記複数のフッ素を含有する置換基としては、例えば、ペンタフルオロフェニル基を挙げることができる。特に、ペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物には、n型の有機半導体材料となるものが多い。しかし、非特許文献1には、安価で入手容易なペンタフルオロフェニルボロン酸を用いて複素芳香族化合物(臭化ピリジン)にペンタフルオロフェニル基を導入しようと試みたが、収率が0%であったことが記載されており、p型からn型への極性転換を図ることは容易ではない。
【0007】
実際に、p型の有機半導体材料であるチオフェン四量体の末端部位に2つのペンタフルオロフェニル基を導入することによって、良好な性質を有するn型の有機半導体材料であるn型トランジスタ材料が得られるということが報告されている(非特許文献2参照)。
【0008】
非特許文献2では、有機半導体材料にペンタフルオロフェニル基を導入してチオフェン四量体部位を構築するための方法として、非特許文献1に記載される方法とは異なる方法(すなわち、チオフェンのトリブチルスズ体と臭化ペンタフルオロベンゼンとのStileカップリング)を用いることによって2-ペンタフルオロフェニルチオフェンを合成し、その後に中央チオフェン部の鎖長伸張反応を行う多段階反応を用いている。
【0009】
【化6】
JP0004734558B2_000002t.gif

【0010】
また、有機半導体材料にペンタフルオロフェニル基を導入する別の方法としては、上記の非特許文献2に記載されている方法以外に、塩化ペンタンフルオロベンゼンスルホン酸を利用する方法が報告されている(非特許文献3参照)。

【非特許文献1】Jing Chenら、Tetrahedron Letters 44: 1503-1506 (2003)
【非特許文献2】Antonio Facchettiら、Angew. Chem. Int. Ed., 42: 3900-3903 (2003)
【非特許文献3】Nobumasa Kamigataら、Journal of Fluorine Chemistry 87: 91-95, ELSEVIER (1998)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来、非特許文献1に記載されているように、ペンタフルオロフェニルボロン酸を用いて複素芳香族化合物にペンタフルオロフェニル基を導入することは非常に困難であり、非特許文献2に記載されている方法を用いるしかなかった。
【0012】
しかし、非特許文献2に記載されている方法に従って芳香族化合物にペンタフルオロフェニル基を導入しても、ペンタフルオロフェニル基が導入された有機半導体材料を合成するためには、複雑な多段階反応を経る必要がある。よってこの従来方法は、ペンタフルオロフェニル基の導入された有機半導体材料の製造を効率良く行うことができないという問題点を有する。
【0013】
また、非特許文献3に記載されている従来の方法は、その反応に高価なルテニウム触媒を必要とするうえに、反応条件として240℃の高温を必要とするという問題点を有する。
【0014】
通常、複素芳香族化合物とペンタフルオロフェニル基含有化合物との反応において、反応それぞれに好ましい溶媒、触媒、および塩基を用いるべきであることは知られている。さらに、反応生成物の利用を考慮すると、出発物質、溶媒、触媒、および塩基は、安価であり、入手容易であることが好ましい。しかし、上述したように、ペンタフルオロフェニル基が導入された複素芳香族化合物の従来の製造方法において、安価でありかつ入手容易である出発物質、溶媒、触媒、および塩基を用いて達成された方法はこれまでに存在しない。
【0015】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えば、一般流通している汎用原料(例えば、ペンタフルオロフェニルボロン酸など)を用いて、ペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を容易に製造することができる方法及び、当該方法により製造される複素芳香族化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物は、上記課題を解決するために、一般式
【0017】
【化7】
JP0004734558B2_000003t.gif

【0018】
で表され、
ここで、Arが、
【0019】
【化8】
JP0004734558B2_000004t.gif

【0020】
(nは、1~10である)、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、ナフトジチオフェン、ベンゾジチオフェン、または
【0021】
【化9】
JP0004734558B2_000005t.gif

【0022】
(nは、1~10である)、セレノフェノセレノフェンジセレノフェノセレノフェンナフトジセレノフェン、ベンゾジセレノフェンであるか、あるいは、これらが有する水素基の1つ以上が、C1-18アルキル、C1-18アルキルオキシ、C1-18アルキルチオまたはハロゲンで置換されていることを特徴としている。
【0023】
本発明に係るペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法は、上記課題を解決するために、ペンタフルオロフェニル基を有する有機金属化合物とAr-XまたはX-Ar-Xとを縮合させる工程を包含し、当該縮合させる工程において、パラジウム化合物、極性の非プロトン性溶媒、および塩基の存在下で、AgOをさらに共存させることを特徴としている。ここで、上記Arは、
【0024】
【化10】
JP0004734558B2_000006t.gif

【0025】
(nは、1~10である)、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、ナフトジチオフェン、ベンゾジチオフェン、または
【0026】
【化11】
JP0004734558B2_000007t.gif

【0027】
(nは、1~10である)、セレノフェノセレノフェンジセレノフェノセレノフェンナフトジセレノフェン、ベンゾジセレノフェンであるか、あるいは、これらが有する水素基の1つ以上が、C1-18アルキル、C1-18アルキルオキシ、C1-18アルキルチオまたはハロゲンで置換されており、Xは、Cl、BrまたはIである。
【0028】
本発明に係るペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法において、上記有機金属化合物が、臭化ペンタフルオロフェニルマグネシウム、ペンタフルオロフェニル銅、臭化ペンタフルオロフェニル亜鉛、およびペンタフルオロフェニルボロン酸からなる群より選択されることが好ましい。
【0029】
本発明に係るペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法において、上記有機金属化合物がペンタフルオロフェニルボロン酸であることが好ましい。
【0030】
本発明に係るペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法において、上記パラジウム化合物が、二塩化ジフェニルホスフィノフェロセンパラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、およびパラジウム(0)ビス(ジベンジリデンアセトン)からなる群より選択されることが好ましい。
【0031】
本発明に係るペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法において、上記パラジウム化合物が、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムであることが好ましい。
【0032】
本発明に係るペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法において、上記極性の非プロトン性溶媒が、N-メチルピロリドン(NMP)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメトキシエタン、およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)からなる群より選択されることが好ましい。
【0033】
本発明に係るペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法において、上記極性の非プロトン性溶媒が、ジメトシキエタンまたはジメチルホルムアミドであることが好ましい。
【0034】
本発明に係るペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法において、上記塩基が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,8-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)からなる群より選択されることが好ましい。
【0035】
本発明に係るペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法において、上記塩基が、リン酸カリウム(KPO)であることが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明を用いれば、安価な市販の試剤(例えば、ペンタフルオロフェニルボロン酸)を出発物質として、1または複数個のペンタフルオロフェニル基を有する種々のチオフェン誘導体またはセレノフェン誘導体を合成することができる。さらに、本発明を用いれば、上記チオフェン誘導体またはセレノフェン誘導体を良好な収率で合成することができる。
【0037】
チオフェン誘導体またはセレノフェン誘導体をN-臭化スクシンイミド(NBS)で処理することによって、これらの臭素置換体を高収率で生成できることが知られている。よって、本発明において、入手または合成が容易な種々のチオフェン誘導体またはセレノフェン誘導体のハロゲン置換体を材料に使用して、これまで非常に困難であった、チオフェンまたは長鎖チオフェンオリゴマーを有する化合物へのペンタフルオロフェニル基導入が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
従来の合成法における反応上の制約が、ペンタフルオロフェニル基を有する新規有機光電子材料開発における制限となっていた。非特許文献1および2に従えば、有機光電子材料を生成するために必要とされるテトラフルオロフェニルチオフェンを生成するためには,非特許文献2に記載される以下の反応
【0039】
【化12】
JP0004734558B2_000008t.gif

【0040】
を用いる必要があった。
【0041】
しかし、本発明者らは、ペンタフルオロフェニル基を有する有機金属化合物とハロゲン基含有複素芳香族化合物との縮合反応に用いる溶媒、触媒、塩基、およびさらなる共存物質について検討した結果、当該共存物質としてAgOを存在させることによって、従来不可能と考えられていたペンタフルオロフェニル基の導入方法を可能にし、従来方法の問題点を解決できることを見出した。
【0042】
本発明は、ペンタフルオロフェニル基を有する有機金属化合物とハロゲン基含有複素芳香族化合物とを縮合させる工程を包含する、ペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法を提供する。本発明に係るペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法において、当該縮合させる工程において、パラジウム化合物、極性の非プロトン性溶媒、および塩基の存在下で、AgOをさらに共存させることが好ましい。
【0043】
本発明のペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物の製造の第1の実施形態について、以下の化学式に基づいて説明する。
【0044】
【化13】
JP0004734558B2_000009t.gif

【0045】
本実施形態において、MはB(OH)であり、Arはチオフェンであり、XはBrである。本実施形態において、溶媒、触媒、塩基、およびさらなる共存物質について検討した。
【0046】
【表1】
JP0004734558B2_000010t.gif

【0047】
上記表中の生成物1~3は、以下の化合物である。
【0048】
【化14】
JP0004734558B2_000011t.gif

【0049】
なお、上記表中、(I)または(VI)のセットにおいて、生成物の収率を極微量と記載したのは、生成物分析においてわずかに存在を検出したに過ぎず、通常の合成に利用できる量ではなく、よって合成としては首尾よくいかなかったことを表す。
【0050】
表中、(I)のセットは、非特許文献1に記載される組み合わせであり、(II)のセットは、カップリング反応において最も一般的な組み合わせである。
【0051】
一般に、ジメトシキエタンよりもジメチルホルムアミドを用いる方が求核反応が生じやすく、しかも非特許文献1では、求核性の高い塩基を用いた場合に、目的のペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を合成している。表1に示されるように、公知の方法および慣用的な方法では、所望のペンタフルオロフェニルチオフェンは生成されなかった。しかし、AgOを共存物質として用いた場合、求核性が弱い塩基を使用すれば、ペンタフルオロフェニルチオフェンが生成された。本発明者らはさらに、求核性のないリン酸カリウム(KPO)を塩基として使用すれば、ペンタフルオロフェニルチオフェンの収率はさらに向上し、溶媒をジメトシキエタンではなくジメチルホルムアミドを使用すれば、非常に好ましい収率でペンタフルオロフェニルチオフェンが生成されることを見出した。
【0052】
本明細書中で使用される場合、用語「パラジウム化合物」は、パラウジム化合物(0)化合物(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、パラジウム(0)ビス(ジベンジリデンアセトン))、パラジウム(II)化合物(例えば、パラジウム(II)ハロゲン化物、パラジウム(II)酢酸塩、ビス(ニトリル)パラジウム(II)ハロゲン化物、ビス(ホスフィン)パラジウム(II)ハロゲン化物、またはこれらの誘導体)、コロイド状金属パラジウム、または炭素担持金属パラジウムが意図され、ペンタフルオロフェニル基を有する有機金属化合物とハロゲンを有する複素芳香族化合物とを縮合させる工程において使用される触媒が意図される。本発明において使用可能な他のパラジウム化合物としては、さらに、パラジウムケトン酸塩、パラジウムアセチルアセトン酸塩、ニトリルパラジウムハロゲン化物、オレフィンパラジウムハロゲン化物、アリルパラジウムハロゲン化物、およびパラジウム水素カルボン酸塩が挙げられるがこれらに限定されない。本発明において使用可能なパラジウム化合物としては、好ましくは、二塩化ジフェニルホスフィノフェロセンパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、またはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)であり、最も好ましくは、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)である。
【0053】
本実施形態では、用いる触媒を入手容易でありかつ安価であるテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)である場合を例に用いて説明したが、触媒はこれに限定される必要はない。ただし、本実施形態のように、触媒がテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムである場合は、安価でありかつ入手容易なので、特に好ましい。
【0054】
本発明に係る方法において、触媒としてのパラジウム化合物は、結合するC-C量に対して、3~30モル%(パラジウム)、好ましくは5~15モル%(パラジウム)、最も好ましくは8~10モル%(パラジウム)である。
【0055】
本発明において使用可能な塩基としては、求核性の弱い塩基が好ましく、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、プロピン酸塩、カルボン酸塩(例えば、安息香酸塩)が挙げられるがこれらに限定されない。本発明において使用可能な塩基としては、求核性のない塩基がより好ましい。
【0056】
本発明に適用可能な塩基としては、上記実施形態において用いたもの以外に、有機アミン(例えば、ジイソプロピルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,8-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、または4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP))などが挙げられる。ただし、本実施形態のように、塩基がリン酸カリウムである場合は、安価かつ調製容易であり、収率が高いので、特に好ましい。
【0057】
本発明に係る方法において、塩基は、結合するC-C量に対して、3~40当量、好ましくは5~20当量、最も好ましくは8~20当量である。
【0058】
本発明において使用可能な溶媒は、好ましくは、非プロトン性の極性溶媒、特に好ましくは、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、またはジメチルスルホキシドであるが、メタノール、またはエチレングリコールのようなプロトン性溶媒でもあり得る。本実施形態では、用いる溶媒をジメトシキエタンまたはジメチルホルムアミドである場合を例に用いて説明したが、溶媒はこれらに限定される必要はない。ただし、本実施形態のように、溶媒がジメチルホルムアミドの場合は、収率が高いので、特に効果が大きい。
【0059】
本実施形態では、用いる有機金属化合物がペンタフルオロフェニルボロン酸である場合を例に用いて説明したが、有機金属化合物はペンタフルオロフェニルボロン酸に限定される必要はなく、本発明に適用可能な有機金属化合物としては、臭化ペンタフルオロフェニルマグネシウム、ペンタフルオロフェニル銅、臭化ペンタフルオロフェニル亜鉛、およびペンタフルオロフェニルボロン酸が挙げられる。ただし、本実施形態のように、ペンタフルオロフェニルボロン酸である場合は、安価でありかつ入手容易なので、特に好ましい。
【0060】
本実施形態において、Arがチオフェンである場合を例に用いて説明したが、Arはチオフェンに限定される必要はなく、本発明に適用可能なAr基としては、重合度が2~10のチオフェンオリゴマー、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、ナフトジチオフェン、ベンゾジチオフェン、またはセレノフェンもしくは重合度が2~10のセレノフェンオリゴマー、セレノフェノセレノフェンジセレノフェノセレノフェン、ナフトジセレノフェン、ベンゾジセレノフェンであるか、あるいは、これらが有する水素基の1つ以上が、C1-18アルキル、C1-18アルキルオキシ、C1-18アルキルチオまたはハロゲンで置換されているものであり得る。
【0061】
本発明に係る方法において、溶媒中の反応物の濃度は、特定の反応によって変化し得るが、好ましくは結合するC-C量に対して0.05モル/l~0.3モル/lであり得、反応物を溶媒よりも過剰に使用することもできる。
【0062】
AgOの量は、触媒として用いるパラジウム化合物の量に対して、2~100当量、好ましくは10~50当量、最も好ましくは20~30当量である。
【0063】
本発明に係る方法において、縮合反応は熱的に活性化するので、縮合反応の反応温度は、用いる触媒の種類に応じて異なるが、好ましくは50~150℃、さらに好ましくは70~120℃、最も好ましくは80~100℃である。
【0064】
本発明に係る方法において、縮合反応の反応時間は、用いる触媒の種類に応じて異なるが、好ましくは1~48時間、さらに好ましくは3~12時間、最も好ましくは4~5時間である。
【0065】
本発明のペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物の製造の第2の実施形態について、以下の化学式に基づいて説明する。
【0066】
【化15】
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【0067】
本実施形態において、MはB(OH)であり、Arはチオフェンであり、XはBrである。本実施形態において使用する溶媒、触媒、塩基および共存物質は、第1の実施形態と同じである。
【0068】
本発明者らは、上記反応において、ペンタフルオロフェニルボロン酸と混合するX-Ar-X化合物(Xは臭素)のAr基を適宜選択することによって、以下の化合物(A)~(C)を容易に高収率で合成できることを見出した。
【0069】
【化16】
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【0070】
本発明者らはさらに、上記反応において、チオフェン化合物の代わりにセレノフェン化合物を用いても同様の反応が首尾よく進行し、ペンタフルオロフェニルボロン酸と2,5-ジブロモセレノフェンまたは2,2’-ジブロモビセレノフェンとを反応させることによって、以下の化合物(D)~(E)を容易に高収率で合成できることを見出した。
【0071】
【化17】
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【0072】
本実施形態において、Arがチオフェンまたはセレノフェンである場合を例に用いて説明したが、Arはチオフェンまたはセレノフェンに限定される必要はなく、本発明に適用可能なAr基としては、重合度が2~10のチオフェンオリゴマー、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、ナフトジチオフェン、ベンゾジチオフェン、または重合度が2~10のセレノフェンオリゴマー、セレノフェノセレノフェンジセレノフェノセレノフェン、ナフトジセレノフェン、ベンゾジセレノフェンであるか、あるいは、これらが有する水素基の1つ以上が、C1-18アルキル、C1-18アルキルオキシ、C1-18アルキルチオまたはハロゲンで置換されているものであり得る。
【0073】
第2の実施形態では、用いる有機金属化合物がペンタフルオロフェニルボロン酸である場合を例に用いて説明したが、有機金属化合物はペンタフルオロフェニルボロン酸に限定される必要はなく、本発明に適用可能な有機金属化合物としては、臭化ペンタフルオロフェニルマグネシウム、ペンタフルオロフェニル銅、臭化ペンタフルオロフェニル亜鉛、およびペンタフルオロフェニルボロン酸が挙げられる。ただし、本実施形態のように、ペンタフルオロフェニルボロン酸である場合は、安価でありかつ入手容易なので、特に好ましい。
【0074】
第2の実施形態において、溶媒、触媒、塩基などの条件は、第1の実施形態と同じであるが、第1の実施形態に列挙した溶媒、触媒、塩基などを用いても同様の結果が得られることは、当業者には明白である。
【0075】
このように、本発明に係るペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を製造する方法は、少なくとも、ペンタフルオロフェニル基を有する有機金属化合物とハロゲンを有する複素芳香族化合物とを縮合させる工程においてAgOを共存させればよいといえる。すなわち、触媒、溶媒または塩基として上記列挙した以外のものを用いる、ペンタフルオロフェニル基を有する有機金属化合物とハロゲンを有する複素芳香族化合物とを縮合させる工程を包含する方法も、本発明の技術的範囲に含まれる点に留意すべきである。
【0076】
上記縮合させる工程の反応温度および反応時間は、用いる触媒または溶媒に依存するので、これらの種類に応じて適宜選択すればよいことを、当業者は容易に理解する。
【0077】
つまり、本発明の目的は、一般流通している汎用原料(例えば、ペンタフルオロフェニルボロン酸など)を用いて、ペンタフルオロフェニル基を有する複素芳香族化合物を容易に製造する方法、および当該方法によって製造される複素芳香族化合物を提供することにあるのであって、本明細書中に具体的に記載した個々の触媒または溶媒に存するのではない。
【0078】
本発明は、以下の実施例によってさらに詳細に説明されるが、これに限定されるべきではない。
【実施例】
【0079】
〔実施例1:2-(ペンタフルオロフェニル)チオフェンの合成〕
【0080】
【化18】
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【0081】
乾燥窒素雰囲気下、2-ブロモチオフェン(163mg、1.0mmol)、ペンタフルオロフェニルボロン酸(212mg、1.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(81.5mg、0.08mmol)、酸化銀(460mg、2.0mmol)、およびリン酸カリウム水和物(1.7g)を、N,N-ジメチルホルムアミド(7ml)に溶解し、85℃で4時間撹拌した。この反応混合物を、水(30ml)中に注ぎ、ジクロロメタン(30ml×3)で抽出した。この抽出物を合わせて、水(50ml)で3回洗浄し、MgSOで乾燥した後、真空乾燥した。抽出物から高極性不純物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)によって取り除いた後、ジクロロメタン-ヘキサン(1:1(v/v))から再結晶化して、2-(ペンタフルオロフェニル)チオフェンを無色結晶として得た(170mg、68%)。
【0082】
融点:42~43℃;H NMR(CDCl,400MHz),δ 7.19(m,1H),7.53(dd,J=3.5Hz,1.0Hz,2H),7.25(dd,J=5.2Hz,1.0Hz,2H);19F NMR(CDCl,372MHz),δ -162.70(m,2F),-156.49(t,J=21.00,Hz,1F),-140.49(dd,J=8.45Hz,22.78Hz,2F);MS(EI)m/z 250(M
元素分析:計算値(C10S) C,48.01%;H,1.21%,実測値 C,47.79%;H,1.10%。
【0083】
〔実施例2:2,5-ビス(ペンタフルオロフェニル)チオフェンの合成〕
【0084】
【化19】
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【0085】
乾燥窒素雰囲気下、2,2’-ジブロモビチオフェン(163mg、0.5mmol)、ペンタフルオロフェニルボロン酸(アルドリッチ製、212mg、1.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(81.5mg、0.08mmol)、リン酸カリウム水和物(1.7g)、酸化銀(460mg、2.0mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、85℃で4時間撹拌した。反応混合物を、飽和塩化アンモニウム水溶液50mlに注ぎ、生成した固体を濾取し、塩化メチレンで抽出した。抽出物から高極性不純物をカラムクロマトグラフィーによって取り除いた後、ジクロロメタン-ヘキサン(1:1(v/v))から2,5-ビス(ペンタフルオロフェニル)チオフェンを淡黄色の針状結晶として得た(72%)。
【0086】
融点:112~113℃;H NMR(CDCl,400MHz),δ 7.60(brs,2H);19F NMR(CDCl,372MHz),δ -162.98(m,4F),-154.88(t,J=21.42Hz,2F),-139.75(dd,J=6.26Hz,20.45Hz,4F);MS(EI)m/z 416(M
元素分析:計算値(C1610S) C,46.17%;H,0.48%,実測値 C,46.03%;H,0.42%。
【0087】
〔実施例3:5,5’-ビス(ペンタフルオロフェニル)2,2’-ビチオフェンの合成〕
【0088】
【化20】
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【0089】
乾燥窒素雰囲気下、5,5’-ジブロモ-2,2’-ビチオフェン(163mg、0.5mmol)、ペンタフルオロフェニルボロン酸(アルドリッチ製、212mg、1.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(81.5mg、0.08mmol)、リン酸カリウム水和物(1.7g)、酸化銀(460mg、2.0mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、85℃で4時間撹拌した。反応混合物を、飽和塩化アンモニウム水溶液50mlに注ぎ、生成した固体を濾取し、塩化メチレンで抽出した。抽出物から高極性不純物をカラムクロマトグラフィーによって取り除いた後、ジクロロメタン-ヘキサン(1:1(v/v))から5,5’-ビス(ペンタフルオロフェニル)2,2’-ビチオフェンを黄色固体として得た(164mg、66%)。
【0090】
融点:182~184℃;MS(EI)m/z 498(M,100%);H NMR(CDCl,400MHz),δ 7.32(d,2H,J=3.2Hz),7.50(d,2H,J=7.1Hz);19F NMR(CDCl,372MHz),δ -162.1(m,2F),-155.8(t,J=20.8Hz,2F),-140.0(dd,J=5.9Hz,20.8Hz,2F)
元素分析:計算値(C2010) C,48.20%;H,0.81%,実測値 C,48.13%;H,0.76%。
【0091】
〔実施例4:5,5’’-ビス(ペンタフルオロフェニル)-2,2’:5’2’’-テルチオフェンの合成〕
【0092】
【化21】
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【0093】
乾燥窒素雰囲気下、5,5’’-ジブロモ-2,2’:5,5’-テルチオフェン(182mg、0.45mmol)、ペンタフルオロフェニルボロン酸(190mg、0.9mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)・パラジウム、(73.5mg、0.072mmol)、リン酸カリウム水和物(1.53g)、酸化銀(414mg、1.8mmol)をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、85℃で4時間攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mlに注ぎ、生成した固体を濾取し、塩化メチレンで抽出した。抽出物から高極性不純物をカラムクロマトグラフィーによって取り除いた後、クロロホルム-ヘキサン(1:1(v/v))から5,5’’-ビス(ペンタフルオロフェニル)-2,2’:5,5’-テルチオフェンを明橙色の針状結晶として得た(105mg、42%)。
【0094】
融点:190~191℃;H NMR(CDCl,400MHz),δ 7.15(s,2H),7.32(d,J=4.0Hz,2H),7.54(d,J=4.0Hz,2H);19F NMR(CDCl,372MHz),δ -162.35(m,4F),-156.12(t,J=20.80Hz,2F),-140.18(dd,J=6.21Hz,20.90Hz,4F);MS(EI)m/z 580(M
元素分析:計算値(C2410) C,49.66%;H,1.04%,実測値 C,49.59%;H,1.07%。
【0095】
〔実施例5:2,5-ビス(ペンタフルオロフェニル)チエノ[3,2-b]チオフェンの合成〕
【0096】
【化22】
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【0097】
乾燥窒素雰囲気下、2,5-ジブロモチエノ[3,2-b]チオフェン(149mg、0.5mmol)、ペンタフルオロフェニルボロン酸(212mg、1.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)・パラジウム、(81.5mg、0.08mmol)、リン酸カリウム水和物(1.7g)、酸化銀(460mg、2.0mmol)をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、85℃で4時間攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mlに注ぎ、生成した固体を濾取し、塩化メチレンで抽出した。抽出物から高極性不純物をカラムクロマトグラフィーによって取り除いた後、クロロホルム-ヘキサン(1:1(v/v))から2,5-ビス(ペンタフルオロフェニル)-チエノ[3,2-b]チオフェンを淡黄色の針状結晶として得た(142mg、60%)。
【0098】
融点:233~235℃;H NMR(CDCl,400MHz),δ 7.70(s,2H);19F NMR(CDCl,372MHz),δ -161.94(m,4F),-154.78(t,J=22.29Hz,2F),-139.88(dd,J=4.30Hz,22.08Hz,4F);MS(EI)m/z 472(M
元素分析:計算値(C1810) C,45.77%;H,0.43%,実測値 C,45.60%;H,0.47%。
【0099】
〔実施例6:3,3’’’-ジヘキシル-5,5’’’-ビス(ペンタフルオロフェニル)-2,2’;5’,2’’;5’’,2’’’四チオフェンの合成〕
【0100】
【化23】
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【0101】
乾燥窒素雰囲気下、5,5’’’-ジブロモ-3,3’’’-ジヘキシル-2,2’;5’,2”;5”,2”’-四チオフェン(152mg、0.25mmol)、ペンタフルオロフェニルボロン酸(106mg、0.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)・パラジウム、(40.8mg、0.04mmol)、リン酸カリウム水和物(0.85g)、酸化銀(230mg、1.0mmol)をN,N-ジメチルホムアミドに溶解し、85℃で4時間攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mlに注ぎ、生成した固体を濾取し、塩化メチレンで抽出した。抽出物から高極性不純物をカラムクロマトグラフィーによって取り除いた後、クロロホルム-ヘキサン(1:1(v/v))から3,3’’’-ジヘキシル-5,5’’’-ビス(ペンタフルオロフェニル)-2,2’;5’,2”;5”,2”’-四チオフェンを橙色の針状結晶として得た(165mg、84%)。
【0102】
融点:127~130℃;H NMR(CDCl,400MHz),δ 0.90(m,6H),1.37(m,12H),1.69(quint,J=7.8Hz,4H),2.83(t,J=7.8Hz,4H),7.12(d,J=4.0Hz,2H),7.19(d,J=4.0Hz,2H),7.38(s,2H);19F NMR(CDCl,372MHz),δ -162.55(m,4F),-156.50(t,J=20.22Hz,2F),-140.31(dd,J=5.46Hz,22.33Hz,4F);MS(MALDI-TOF)m/z 592.1(M
元素分析:計算値(C2010Se) C,57.82%;H,3.88%,実測値 C,58.07%;H,3.79%。
【0103】
〔実施例7:3,3’’’-ジオクチル-5,5’’’-ビス(ペンタフルオロフェニル)-2,2’;5’,2’’;5’’,2’’’四チオフェンの合成〕
【0104】
【化24】
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【0105】
乾燥窒素雰囲気下、5,5’’’-ジブロモ-3,3’’’-ジオクチル-2,2’;5’,2”;5”,2”’-四チオフェン(178mg、0.25mmol)、ペンタフルオロフェニルボロン酸(106mg、0.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)・パラジウム、(40.8mg、0.04mmol)、リン酸カリウム水和物(0.85g)、酸化銀(230mg、1.0mmol)をN,N-ジメチルホムアミドに溶解し、85℃で4時間攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mlに注ぎ、生成した固体を濾取し、塩化メチレンで抽出した。抽出物から高極性不純物をカラムクロマトグラフィーによって取り除いた後、クロロホルム-ヘキサン(1:1(v/v))から3,3’’’-ジオクチル-5,5’’’-ビス(ペンタフルオロフェニル)-2,2’;5’,2”;5”,2”’-四チオフェンを橙色の針状結晶として得た(173mg、78%)。
【0106】
融点:137~138℃;H NMR(CDCl,400MHz),δ 0.87(m,6H),1.28(m,20H),1.58(m,4H),2.83(m,4H),7.12(d,J=4.0Hz,2H),7.19(d,J=4.0Hz,2H);19F NMR(CDCl,372MHz),δ -162.55(m,4F),-156.50(t,J=19.99Hz,4F),-140.30(dd,J=5.65Hz,21.06Hz,4F);MS(MALDI-TOF)m/z 887.0(M
元素分析:計算値(C444010) C,40.57%;H,0.68%,実測値 C,40.64%;H,0.65%。
【0107】
〔実施例8:2,5-ビス(ペンタフルオロフェニル)セレノフェンの合成〕
【0108】
【化25】
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【0109】
乾燥窒素雰囲気下、2,5-ジブロモセレノフェン(145mg、0.5mmol)、ペンタフルオロフェニルボロン酸(212mg、1.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)・パラジウム、(81.5mg、0.08mmol)、リン酸カリウム水和物(1.7g)、酸化銀(460mg、2.0mmol)をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、85℃で4時間攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mlに注ぎ、生成した固体を濾取し、塩化メチレンで抽出した。抽出物から高極性不純物をカラムクロマトグラフィーによって取り除いた後、クロロホルム-ヘキサン(1:1(v/v))から2,5-ビス(ペンタフルオロフェニル)セレノフェンを淡黄色の針状結晶として得た(181mg、78%)。
【0110】
融点:134~136℃;H NMR(CDCl,400MHz),δ 7.86(brs,2H);19F NMR(CDCl,372MHz),δ -162.08(m,4F),-155.19(t,J=21.44Hz,2F),-139.83(dd,J=6.44Hz,21.35Hz,4F);MS(EI)m/z 464(M
元素分析:計算値(C1610Se) C,41.49%;H,0.44%,実測値 C,41.38%;H,0.32%。
【0111】
〔実施例9:5,5’-ビス(ペンタフルオロフェニル)-2,2’ビセレノフェンの合成〕
【0112】
【化26】
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【0113】
乾燥窒素雰囲気下、5,5’-ジブロモ-2,2’-セレノフェン(207mg、0.5mmol)、ペンタフルオロフェニルボロン酸(212mg、1.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)・パラジウム、(81.5mg、0.08mmol)、リン酸カリウム水和物(1.7g)、酸化銀(460mg、2.0mmol)をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、85℃で4時間攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mlに注ぎ、生成した固体を濾取し、塩化メチレンで抽出した。抽出物から高極性不純物をカラムクロマトグラフィーによって取り除いた後、クロロホルム-ヘキサン(1:1(v/v))から2,5-ビス(ペンタフルオロフェニル)セレノフェンを黄色の針状結晶として得た(204mg、69%)。
【0114】
融点:202~203℃;H NMR(CDCl,400MHz),δ 7.33(m,2H),7.70(d,J=4.0Hz,2H);19F NMR(CDCl,372MHz),δ -162.34(m,4F),-156.04(t,J=21.35Hz,2F),-140.26(dd,J=5.70Hz,21.61Hz,4F);MS(MALDI-TOF)m/z 590.90(M
元素分析:計算値(C2010Se) C,40.57%;H,0.68%,実測値 C,40.64%;H,0.65%。
【0115】
〔実施例10:2,5-ビス(ペンタフルオロフェニル)セレノフェノ[3,2-b]セレノフェンの合成〕
【0116】
【化27】
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【0117】
乾燥窒素雰囲気下、2,5-ジブロモセレノ[3,2-b]セレノフェン(196mg、0.5mmol)、ペンタフルオロフェニルボロン酸(212mg、1.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)・パラジウム、(81.5mg、0.08mmol)、リン酸カリウム水和物(1.7g)、酸化銀(460mg、2.0mmol)をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、85℃で4時間攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液50mlに注ぎ、生成した固体を濾取し、塩化メチレンで抽出した。抽出物から高極性不純物をカラムクロマトグラフィーによって取り除いた後、クロロホルム-ヘキサン(1:1(v/v))から2,5-ビス(ペンタフルオロフェニル)セレノフェノ[3,2-b]セレノフェンを淡黄色の微結晶として得た(124mg、44%)。
【0118】
融点:228-230℃(分解);H NMR(CDCl,400MHz),δ 8.02(s,2H);19F NMR(CDCl,372MHz),δ -160.05(m,4F),-155.26(t,J=21.10Hz,2F),-140.11(dd,J=5.42Hz,24.91Hz,4F);MS(EI) m/z 568(M
元素分析:計算値(C1810Se(CHCl0.5) C,35.51%;H,0.40%,実測値 C,35.25%;H,0.72%。
【0119】
なお、本実施形態における化合物については、1/2分子分のクロロホルムを結晶溶媒と仮定すると元素分析が合致した。
【0120】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明を用いれば、安価な市販の試剤(例えば、ペンタフルオロフェニルボロン酸)を出発物質として、1または複数個のペンタフルオロフェニル基を有する種々のチオフェン誘導体またはセレノフェン誘導体を合成することができる。さらに、本発明を用いれば、上記チオフェン誘導体またはセレノフェン誘導体を良好な収率で合成することができる。
【0122】
本発明の合成方法は、容易に入手可能な試剤が利用できかつ一般性の高いペンタフルオロフェニル基導入反応であるので、本発明を用いれば、様々な有機電子部品材料の開発に応用することができる。