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明細書 :センシング装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3928053号 (P3928053)
公開番号 特開2006-078429 (P2006-078429A)
登録日 平成19年3月16日(2007.3.16)
発行日 平成19年6月13日(2007.6.13)
公開日 平成18年3月23日(2006.3.23)
発明の名称または考案の名称 センシング装置
国際特許分類 G01L   1/16        (2006.01)
G01H  11/08        (2006.01)
H01L  41/08        (2006.01)
H01L  41/187       (2006.01)
H01L  41/22        (2006.01)
FI G01L 1/16 Z
G01H 11/08 Z
H01L 41/08 Z
H01L 41/18 101B
H01L 41/18 101D
H01L 41/22 Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 25
出願番号 特願2004-265340 (P2004-265340)
出願日 平成16年9月13日(2004.9.13)
審査請求日 平成18年7月26日(2006.7.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
発明者または考案者 【氏名】福田 敏男
【氏名】新井 史人
【氏名】元尾 幸平
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100095577、【弁理士】、【氏名又は名称】小西 富雅
【識別番号】100100424、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 知公
【識別番号】100114362、【弁理士】、【氏名又は名称】萩野 幹治
審査官 【審査官】松浦 久夫
参考文献・文献 特開2002-31574(JP,A)
特開平10-239173(JP,A)
特開平10-216124(JP,A)
特開平11-132928(JP,A)
特開2005-156531(JP,A)
調査した分野 G01L 1/16
特許請求の範囲 【請求項1】
基材と、該基材に設けられた圧電部と、該圧電部に電気的に接続された駆動用電極及び検出用電極と、を備える触覚センサ本体部と、
前記駆動用電極へ駆動電圧を印加する駆動電圧印加回路部と、
前記検出用電極の出力を検出する検出回路部とを備え、
前記駆動電圧の印加により前記圧電部が振動し、当該振動を前記検出回路部が前記検出用電極からの出力でもって検出することができるセンシング装置において、
外力に応じて弾性係数が変化する弾性体を、前記触覚センサ本体部と被検出体との間に介在させた状態で、前記駆動電圧の周波数を変化させる加振周波数設定部によって設定された共振モードで前記触覚センサ本体部を共振させる、ことを特教とするセンシング装置。
【請求項2】
前記検出用電極の出力が所定の閾値を下回ったとき、
前記加振周波数設定部は、共振モードの次数を大きくするように、前記駆動電圧の周波数を設定できたり、また、前記検出用電極の出力が別の閾値を上回ったとき、前記加振周波数設定部は、共振モードの次数を小さくするように、前記駆動電圧の周波数を設定することができる、ことを特教とする請求項1に記載のセンシング装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセンシング装置において、前記触覚センサ本体部に加わる外力を算出することができる外力算出部を備える、ことを特教とするセンシング装置。
【請求項4】
基材と、該基材に設けられた圧電部と、該圧電部に電気的に接続された駆動用電極及び検出用電極と、を備える触覚センサ本体部の複数を集積してなる集積センサであって、
該土台へ組付けられた前記複数の触覚センサ本体部と、
前記駆動用電極へ駆動電圧を印加する駆動電圧印加回路部と、
前記検出用電極の出力を検出する検出回路部と、
該触覚センサ本体部を被覆する弾性体であって、外力に応じて弾性係数が変化する弾性体と、を備え、
前記駆動電圧の印加により前記圧電部を振動させることにより前記触覚センサ本体部を共振させた状態で前記弾性体を被検出体に接触させたときの検出用電極の出力を前記検出回路部で検出する、ことを特徴とする集積センサ。
【請求項5】
前記触覚センサ本体部は平板状である、ことを特徴とする請求項4に記載の集積センサ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚センサに関する。この触覚センサは振動型センサであり、触覚センサとして好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
圧電バイモルフ素子などを利用した触覚センサが種々提案されている(特許文献1~特許文献5参照)。
また、特許文献6には、センサ本体部の振動を利用した触覚センサが提案されている。この触覚センサは弾性金属と、該弾性金属の表面に形成された強磁性体膜と、該強磁性体膜の上に形成された第1の電極及び第2の電極と、を備える触覚センサ本体部と、第1の電極へ駆動電圧を印加する駆動電圧印加回路部と、第2の電極の出力を検出する検出回路部と、を備えてなる。そして、第2の電極の出力に基づき、センサ本体部と被検体との接触状態の変化を検出する。
【0003】

【特許文献1】特開2002-31574号公報
【特許文献2】特開平10-239173号公報
【特許文献3】特表平8-501899号公報
【特許文献4】特開2000-71191号公報
【特許文献5】特開2002-236059号公報
【特許文献6】特開2003-344149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献6に記載の触覚センサはDNA分子、細胞及び微生物等の微小な被検体に対する接触状態を検出するためのものであるため、高い感度にチューニングされている。従って、検出できる接触状態、即ち検出できる外力の範囲が狭い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねてきた結果、次なる構成の本発明に想到した。
即ち、基材と、該基材に設けられた圧電部と、該圧電部に電気的に接続された駆動用電極及び検出用電極と、を備える触覚センサ本体部と、
前記駆動用電極へ駆動電圧を印加する駆動電圧印加回路部と、
前記検出用電極の出力を検出する検出回路部とを備え、
前記駆動電圧の印加により前記圧電部が振動し、当該振動を前記検出回路部が前記検出用電極からの出力でもって検出することができるセンシング装置において、
前記触覚センサ本体部が少なくとも2以上の共振モードのうちの一つの共振モードで共振するように、前記駆動用電極へ印加する駆動電圧の周波数を変化させる加振周波数設定部を備え、
前記触覚センサ本体部に加わる外力を緩和する緩衝部材を、前記触覚センサ本体部と被検出体との間に介在させた状態で、前記共振周波数設定部によって設定された1つの共振モードで前記触覚センサ本体部を共振させる、ことを特教とするセンシング装置。
上記の構成において、緩衝部材は、外力が加わることで変形して、触覚センサ本体部に加わる外力を緩和することができる高分子材料またはスポンジからなるのが好ましい。
また、緩衝部材は、触覚センサ本体部において被検体へ接触する部分に配設可能な弾性体であり、該弾性体の弾性係数(バネ係数)は外力の変化に応じて変化するものであるのが好ましい。
また、検出用電極の出力が所定の閾値を下回ったとき、前記加振周波数設定部は、共振モードの次数を大きくするように、前記駆動電圧の周波数を設定できたり、また、前記検出用電極の出力が別の閾値を上回ったとき、前記加振周波数設定部は、共振モードの次数を小さくするように、前記駆動電圧の周波数を設定することができるのが好ましい。
また、センシング装置は、前記触覚センサ本体部に加わる外力を算出することができる外力算出部を備えるのが好ましい。更に、センシング装置は、前記外力算出部から算出される外力から、前記緩衝部材の弾性係数を算出することができる弾性係数算出部を備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
上記のように構成されたセンシング装置によれば、緩衝部材が触覚センサ本体部に加わる外力を緩和することができる。仮に、触覚センサ本体部と被検出体との間に緩衝部材が無い場合、触覚センサ本体部に加わる外力によって、触覚センサ本体部が共振モードで共振することができない虞があり、検出用電極は十分に出力できない虞がある。しかし、触覚センサ本体部と被検出体との間に介在する緩衝部材が、触覚センサ本体部に加わる外力を緩和することで、前記触覚センサ本体部が共振モードで共振することが可能となり、検出用電極は十分に出力できる。そして、加振周波数設定部は、触覚センサ本体部が少なくとも2以上の共振モードのうちの一つの共振モードで共振するように、駆動用電極へ印加する駆動電圧の周波数を変化させるので、一つの共振モードでのみ共振する構成に比べて、検出することができる接触状態、即ち、検出することができる外力の範囲を広くすることができる。
また、駆動電圧の印加により圧電部が振動し、触覚センサ本体部が共振モードで共振し、当該触覚センサ本体部の振動を検出回路部が検出用電極からの出力でもって検出することができるので、例えば、駆動電圧を印加しても検出用電極からの出力が不十分な場合、圧電部、検出回路部等が故障していることが分かり、修理等の対応が可能となる。それにより、センシング装置の品質が維持されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
この発明のセンシング装置としての触覚センサ1の構成を図1に示す。図1(A)、(B)及び(C)はそれぞれ触覚センサの拡大側面図、要部平面図、及び要部底面図である。
触覚センサ1は触覚センサ本体部3、駆動電圧印加回路部11、検出回路部13、加振周波数設定部としての共振周波数調整部15及び緩衝部材としての弾性体20を備えてなる。
触覚センサ本体部3は基材5となる弾性材料の表面に圧電材料膜6を形成する。
ここに、基材5は弾性がありかつ導電性を有するものとする。基材5が弾性を有することにより振動が生じ、また導電性を有することによりその表面の圧電材料膜6へ均等に電圧を印加することができる。かかる特性を有する材料としてチタンその他の金属を挙げることができる。また、弾性を有する導電性樹脂を用いることもできる。弾性を有する樹脂の表面へ金属層を形成したもの基材として用いてもよい。
基材5は複数の共振モードを有するものとし、その範囲で材質、形状、厚さなどを任意に選択できる。
【0008】
基材5の表面に圧電部としての圧電材料により膜6を形成する。
圧電材料としてPZT(チタンジルコン酸鉛)やチタン酸バリウムなどの周知の材料を用いることができる。圧電材料膜6の膜厚は第2の電極からの出力、基板の振動に対するQ値、振幅などを考慮して適宜選択される。
圧電材料膜6は少なくとも基材の一部分に形成されればよい。
【0009】
駆動用電極としての第1の電極7及び検出用電極としての第2の電極8は基材の共振を阻害しないように膜6上に形成される。従って、これら電極は薄膜状にすることが好ましい。薄膜状の電極は真空蒸着、スパッタリング及びその他の周知の方法で形成することができる。
第1の電極7及び第2の電極8の形成材料も特に限定されるものではないが、圧電材料膜との接着性がよくかつ接触抵抗の小さい材料を選択することが好ましい。かかる電極の材料として、アルミニウム、金、ニッケル、ITOなどを挙げることができる。
第1の電極7及び第2の電極8の形成位置、及びその形状も特に限定されるものではないが、図1(B)、(c)に示すように、基板のほぼ中央に、周縁部分から少々マージンをとって形成することが好ましい。基板の周縁部分に対してマージンをとるのは、第1の電極7と第2の電極8とのショートを確実に防止するためである。
【0010】
駆動電圧印加回路部11は第1の電極と基材5との間へ駆動電圧として交流を印加し、もって基材5を共振させる。共振が可能であれば、基材5の保持の態様は片持ちはりであっても両持ちはりであってもよい。この発明では、基材5の共振モードを変更するために、共振周波数調整部15が備えられ、第1の電極7へ印加される駆動電圧の周波数が調整される。
触覚センサ本体部3が共振状態あるとき、これに外力がかかると第2の電極8と基材5との間に電圧が発生する。この電圧を検出回路部13で検出する。この電圧は外力の大きさの変化に対して一定の関係をもって変化する。
【0011】
この発明では、触覚センサ本体部3に対して弾性体20を介して外力がかかる構成とした。換言すれば、触覚センサ本体部3において被検体へ接触する部分に弾性体20を介在させるようにした。この弾性体20は、図2Aに示すように、外力Fの強さに対するその変形量xが直線関係になく、その結果、図2Bに示すように、外力Fの変化にともないそのばね定数kが変化(累積的に増加)する材料からなる。かかる材料としてポリウレタン等の高分子材料からなるゲルを挙げることができる。そのほか、スポンジ材料(高分子材料に限られない)を用いることもできる。
柔軟なゲルを触覚センサ本体部3と被検体との間に介在させることにより、触覚センサ本体部3に加わる外力を緩和させることができ、更に触覚センサは被検体に対する接触感が柔らかとなる。そのため、人、動物、植物などへの接触を図るときに好適なものとなる。
【0012】
弾性体と触覚センサ本体部との間に空間があることが好ましい。これは、触覚センサ本体部3の無負荷状態の振動時に弾性体20からの影響を排除するためである。そして、弾性体20を介して被検体へ触覚センサ本体3を接触させたとき、弾性体20が触覚センサ本体3へ触れることとなる。
なお、無負荷状態において触覚センサ本体部3と弾性体20とを接触状態とすることもできる。この場合、両者の接触を考慮して、触覚センサ本体部3に印加する駆動電圧の共振周波数が調整される。
【0013】
かかる構成の触覚センサの特性について説明する。
センサは直径2tsの円柱形基板の表面に厚みtpの圧電材料膜を成膜したものとする(図3参照)。
圧電解析より、(1)アクチュエータ電極への入力電圧とその時のはりに生じる曲げモーメントとの関係と、(2)たわみuの時のセンサ電極の出力電圧を導出する。解析モデルを図4に示す。圧電基本式は、Sx:ひずみ,Yp:圧電薄膜のヤング率,σx:応力,d31:圧電定数,Er:電界,Dr:電束密度,ε3:誘電率とすると
【数1】
JP0003928053B2_000002t.gif
【数2】
JP0003928053B2_000003t.gif
となり、アクチュエータ電極へ電圧を印加した時、それによって生じるはりの曲げモーメントmxは、Vi:入力電圧とすると、(1)式より
【数3】
JP0003928053B2_000004t.gif
となる。たわみuの時のセンサ電極の電圧Vは、Cp:静電容量とすると、(2)式より
【数4】
JP0003928053B2_000005t.gif
となる。
【0014】
はりのたわみuを、モード解析法を用いて導出する。解析モデルは、一端固定、他端弾性支持はりとした(図5参照)。弾性支持としたのは、ゲルに力を加えた時、ゲルの弾性定数が変化し、それによりたわみuが変化すると考えたからである。はりのたわみuは、このはりの基準関数をUr(x),基準座標をξr(t)とすると
【数5】
JP0003928053B2_000006t.gif
【数6】
JP0003928053B2_000007t.gif
【数7】
JP0003928053B2_000008t.gif
で表される。ここで,基準座標は,ωr:固有振動数,Pr:換算外力,Mr:換算質量,Xr:任意定数,c:減衰係数,l:長さ,E:ヤング率,I:断面2次モーメント,ρ:密度,A:断面積とすると
【数8】
JP0003928053B2_000009t.gif
【数9】
JP0003928053B2_000010t.gif
【数10】
JP0003928053B2_000011t.gif
【数11】
JP0003928053B2_000012t.gif
で表される。Prは、バネ定数をkとし、バネから受ける力と逆圧電効果による力Pを考慮すると
【数12】
JP0003928053B2_000013t.gif
【数13】
JP0003928053B2_000014t.gif
となり、はりのたわみは
【数14】
JP0003928053B2_000015t.gif
となる。振動型センサは共振周波数で使われるので、ω=ωrとし、共振している時、他の振動モードの影響は非常に小さいため、それを無視すると
【数15】
JP0003928053B2_000016t.gif
【数16】
JP0003928053B2_000017t.gif
となる。
【0015】
共振しているセンサの出力電圧は、(15)式を(4)式に代入して
【数17】
JP0003928053B2_000018t.gif
となり、(3)式と(12)式より
【数18】
JP0003928053B2_000019t.gif
となり、(18)式を(17)式に代入して
【数19】
JP0003928053B2_000020t.gif
【数20】
JP0003928053B2_000021t.gif
【数21】
JP0003928053B2_000022t.gif
となる。感度をVrのkに関する導関数と定義すると、感度Sr
【数22】
JP0003928053B2_000023t.gif
となる。
センサの解析結果を用い、共振モードとしての1-4次モードの(1)センサ出力とバネ定数の関係、(2)感度とバネ定数の関係について考察する。
【0016】
1-4次モードのセンサ出力-バネ定数曲線を(19)式より導出した(図6参照)。さらに、振動モードとセンサ出力-バネ定数曲線の関係をより明確にするために、バネ定数が0の時(即ち、外力が0のとき)のセンサ出力を1次モードの値に合わせたグラフを図7に示す。このグラフより、振動モードによってセンサの特性が大きく異なることがわかる。
図6より、共振モードのうちの1次モードによる検出中においては、第2の電極8からの出力電圧が第1の閾値S1以下になると、振動モードを2次モードに変更し当該モードでの検出を行うことが好ましいことがわかる。同様に、2次モードによる検出中に出力電圧が第2の閾値S2以下になると、振動モードを3次モードとすることが好ましい。3次モードによる検出中に出力電圧が第3の閾値S3以下になると、振動モードを4次モードとすることが好ましい。また、2次モードによる検出中に出力電圧が第4の閾値S4以上になると、振動モードを1次モードとすることが好ましい。3次モードによる検出中に出力電圧が第5の閾値S5以上になると、振動モードを2次モードとすることが好ましい。4次モードによる検出中に出力電圧が第6の閾値S6以上になると、振動モードを3次モードとすることが好ましい。従って、共振周波数調整部15は、触覚センサ本体部3が4つの共振モードで共振するように第1の電極7へ印加する駆動電圧の周波数を変化させることが可能であり、閾値に対する大小によって、設定された1つの共振モードで触覚センサ本体部3を共振させることができる。共振周波数調整部15は、触覚センサ本体部3が少なくとも2以上の共振モードのうちの一つの共振モードで共振するように、第1の電極7へ印加する駆動電圧の周波数を変化させることができるので、一つの共振モードでのみ共振する構成に比べて、検出することができる接触状態、即ち、検出することができる外力の範囲を広くすることができる。
なお、触覚センサ本体部3が共振する4つの共振モードのうちの一つの共振モードの選定については、被検体及び弾性体等の種類等に応じて予め設定してもよい。更には、共振モードを変更可能な制御装置を付加する構成を追加してもよい。この場合、共振周波数調整部15及び共振モードを変更可能な制御装置が、加振周波数設定部として機能することになる。
これにより、広いばね定数の範囲おいて正確な検出が可能となる。ばね定数と外力とは一対一の関係にあるので、ばね定数から外力を特定することができる。即ち、この発明によれば広い範囲の外力を正確に測定可能である。
【0017】
1-4次モードの感度-バネ定数曲線を図7と(19)式より導出した(図8)。図8より、k<0.8では1次モードの、0.8【0018】
次に、上記の特性を確認するための実施例について説明する。
実験に使用するセンサを水熱法を用いて製作した。水熱法を用いたのは曲面形状の基板であっても表面に均質に成膜できるからである。センサの製作プロセスを図9に示す.基板には直径:1mm,長さ5mmのチタン金属を用いた.PZT薄膜の膜厚は25μmとした。
【0019】
振動モードによって、センサの特性がどのように変化するかを調査するため、実験を行った。実験システムを図10に示す。片持ちはりにゲルを付け、センサをそのゲルに接触させた時のはり先端の変位をレーザ変位計(Keyence, LC-2420)を用いて計測した。片持ちはりには幅:5mm,厚み:1mmのアルミの四角柱を用い、ゲルには幅:5mm,厚み5mm,長さ:7.5mmのポリウレタンを用いた。
ゲルの特性を図11及び図12に示す。
また、片持ちはりの先端の変位uは
【数23】
JP0003928053B2_000024t.gif
を用いて力Fに変換した。ここで、EI:曲げ剛性、l:長さである。
【0020】
実験結果を図13に示す。これより、1次モードと比較して、2次モードの方がより大きな力に対してセンサ出力の変化量が大きく、広範囲で力計測が可能である事がわかる。図14は、力が0の時のセンサ出力を1次モードの値に合わせたグラフである。図7と比較すると、定性的に一致している事がわかる。
【0021】
センサの応用として、ロボットフィンガを設計し、その実験を行った。
ロボットフィンガの斜視図を図15,その内部構造を図16に示す。センサ数は9個とした。
図17(a),(b),(c),(d)に実験用ロボットフィンガとその構造を示す。まず、センサをクランプ側の中央と指先側の中央に配列した(a)。次に、より正確に接触位置を把握するためにフレームを作製した(b)。次に、センサの上面のみがゲルと接触するようにフレームとゲルを組み合わせた(c)。最後に、(a)と(c)を組み合わせ、ロボットフィンガとした(d)。
【0022】
図17のロボットフィンガを用いて実験を行った。実験システムを図18に示す。直径5mmのアルミニウムの丸棒を用い、クランプ側から7mm,14mm,21mmの位置の中央に100gと200gの荷重を加えた。実験結果を図19-21に示す。図19及び図21より、接触位置とセンサの反応位置が対応している事がわかる。また、荷重を大きくする事により、もう一方のセンサも徐々に反応して行く事がわかる。図20より、間に荷重を加えた場合,両方のセンサが反応している事がわかる。以上より、このロボットフィンガは接触位置と接触力が認識可能である事がわかる。
【0023】
図22にこの発明のセンサを用いた玩具30を示す。なお、図1と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施例の玩具30では、触覚センサ本体部3の全体がゲル状の弾性体31で覆われ、幼児がこれを把持可能となっている。検出回路部13で検出された第2の電極の出力電圧とそのときの共振モードとに基づき、ばね定数特定部41は、図6の関係を参照して、把持された状態の弾性体31のばね定数を特定する。
加振周波数設定部としての共振モード切替部43は、第2の電極8の出力が所定の閾値を下回ったときに共振モードの次数を大きくするように、また、第2の電極8の出力が所定の閾値を上回ったときに共振モードの次数を小さくするように、加振周波数設定部としての共振周波数調整部15を制御する。これにより、切り替えられた共振モードを実現する周波数の駆動電圧が駆動電圧印加回路部11より第1の電極7に供給されることとなる。それとともに、切り替えられた共振モードに応じて発光表示部35のランプを選択的に点灯させる。例えば、1次共振モードのときは1つのランプを点灯し、2次共振モードのときは2つのランプを点灯し、3次共振モードのときは4つのランプを点灯し、4次共振モードのときは4つのランプを点灯する。
【0024】
このように構成された玩具によれば、センサ本体部3を把持する力の強さに応じて発光表示部3の発光態様が変化することとなるので、幼児は玩具に対し強い関心を示し、幼児の保護者の購買意欲を喚起することとなる。この実施例では選択された共振モードに応じてランプの点灯数を変化させているが、発光色を変化させるようにすることもできる。また、発光の代わりに、音声出力をしてその周波数、振幅等を変化させてもよい。
この発明の玩具ではセンサ本体部3がゲルで覆われているので感触が柔らかく、特に幼児向けのものとして好適である。また、センサ本体部3の構造がシンプルであるため、機械的剛性及び耐久性が高く、玩具として好適である。
【0025】
次に、複数の触覚センサを集積した集積センサ50及びその製造方法について説明する。
まず、図23に示すように、円柱や四角柱等の細長い基材に圧電薄膜を成膜する。その後、電極を両面に蒸着するし、分割して触覚センサ本体部51を得る。
他方、図24に示すように、触覚センサ本体部51の一端を挿入する孔をあけた土台を準備し、これに配線をプリントする。そして、土台の各孔へ触覚センサ本体部51を挿入することによりこれを組付ける。その後、電極に対して駆動電圧印加回路及び検出回路からの配線をつなぎ(図示省略)、ゲル53で触覚センサ本体部51を全体的に覆う。
このようにして集積センサ50を容易に形成することができる。
【0026】
次に他の集積センサ60の説明をする。
図25に示すように、この集積センサ60は平板状の触覚センサ本体部61が振動可能なようにその周縁部を土台71へ固定して、その上に弾性体75を被覆した構成である。
触覚センサ本体部61は図26に示すように形成される。まず、チタン製の基板62にスリット63を形成する。このスリット63は基板62の1つの縁で終了し、もって基板はその一体性が保たれている。これにより、基板62の取り扱いが容易になる。その後、圧電材料により圧電薄膜を成膜する。そして、基板62の上下面の同じ位置にアルミニウムを蒸着して電極とする。これにより、スリット63、仮想線64及び基板の周縁で囲まれた部分に平板状の触覚センサ本体部61が形成される。この実施例では9つの触覚センサ本体部61が集積されている。
【0027】
図27は土台71の構成を示し、図27(A)はその上面図、図27(B)はその側面図である。
この土台71はリブ72を備えている。
かかる土台71のリブ72へ、図25に示すように、基板62を固定する。このとき、各触覚センサ本体部61の一対の縁部(図26では図中上下方向の縁部)がリブ72で固定される。これにより、各触覚センサ本体部61は機械的に独立したものとなる。他方、各触覚センサ本体部61の他方の縁部はスリット63で物理的に分離されている。
最後に、図25に示すように、ゲルなどの弾性体75を触覚センサ本体部61へ被覆して集積センサ60が完成する。この実施例では、基板の全体に弾性体75を被覆したが、触覚センサ本体部61毎に弾性体75を被覆してもよい。
【0028】
このように固定された各触覚センサ本体部61は一方の電極へ駆動電圧を印加することにより振動可能となる。そして、その周波数を調整することにより任意の次数で共振させることができる。他方の電極からは出力電圧が得られる。この実施例の触覚センサにおいても、共振モードの次数を大きくすることにより、感度が低下することが確認できた。これにより、触覚センサ本体部へ印加する駆動電圧の周波数に変化を与えて共振モードを調整することにより、検出することができる外力の範囲を広くすることができる。
かかる構成の集積センサ60によれば、これを構成する全ての機械的要素が板状であり、それらを単に積層することにより形成される。従って、その製造が極めて容易になる。
【0029】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
例えば、次のような回路構成を追加しても良い。
即ち、検出回路部13にメモリを接続させるとともに、当該メモリに制御装置を接続させる回路を追加する。この場合、触覚センサ本体部3に加わる外力と検出回路部13の出力との関係を予め実験でもって把握し、当該外力と検出回路部13の出力とを関係付けた関連データを当該メモリに記憶させる。制御装置は、メモリから読み出した関連データに基づき、検出回路部13の出力に対応する外力の大きさを把握することができる。それにより、制御装置は、メモリから読み出した関連データに基づき、触覚センサ本体部3に加わる外力を算出することができるので、制御装置およびメモリは、外力算出部として機能することになる。
更に、他の変形例として、次のような構成を採用しても良い。即ち、弾性体の変位量と、触覚センサ本体部3に加わる外力と、検出回路部13との出力関係を予め実験で把握する。そして、弾性体の変位量、外力、検出回路部13の出力の関係を導出した関係データを当該メモリに記憶させる。制御装置は、当該メモリから関係データを読み出すことで、検出回路部13の出力から弾性体の変位量と外力の関係を把握できる。この場合、制御装置およびメモリは算出される外力と変位量との関係から、弾性体の弾性係数を算出することができる。その結果、制御装置およびメモリは、弾性係数算出部として機能することになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1はこの発明の触覚センサの構造を示す模式図である。
【図2】図2は弾性体の特性を示し、図2Aは変形量と外力との関係を示し、図2Bは外力とばね定数との関係をしめす。
【図3】図3はこの発明の触覚センサの特性を説明するのに用いるモデルを示す。
【図4】図4はこの発明の触覚センサの特性を説明するのに用いるモデルを示す。
【図5】図5はこの発明の触覚センサの特性を説明するのに用いるモデルを示す。
【図6】図6はこの発明の触覚センサの出力と弾性体のばね定数との関係を、共振モード別に示す。
【図7】図7は外力がゼロのときの触覚センサの出力を基準として各共振モードにおけるセンサ出力とばね定数との関係を示す。
【図8】各共振モードにおけるばね定数と感度との関係を示す。
【図9】図9は実施例の触覚センサの製造方法を示す。
【図10】図10は実施例の触覚センサの特性の測定方法を示す。
【図11】図11は実施例で用いた弾性体の変形量と外力との関係を示す。
【図12】図12は同じく外力とばね定数との関係を示す。
【図13】図13は各共振モードにおける実施例の触覚センサの外力とセンサ出力との関係をしめす。
【図14】図14は外力がゼロのときの実施例の触覚センサの出力を基準として各共振モードにおけるセンサ出力とばね定数との関係を示す。
【図15】図15は実施例のロボットフィンガを示す斜視図である。
【図16】図16は同じくロボットフィンガの内部構造を示す。
【図17】図17は実施例のロボットフィンガの構造を示す分解斜視図である。
【図18】図18は図17のロボットフィンガの特性検査の実験方法を示す図である。
【図19】図19は図18による実験の結果を示す。
【図20】図20は図18による実験の結果を示す。
【図21】図21は図18による実験の結果を示す。
【図22】図22は実施例の玩具の構造を示す。
【図23】図23は実施例の集積センサを製造する方法を説明する図である。
【図24】図24は同じく集積センサを製造する方法を説明する図である。
【図25】図25は他の実施例の集積センサを示す図であり、図25Aは上面図、図25Bは側面図である。
【図26】図26は他の実施例の集積センサを製造する方法を説明する図である。
【図27】図27は同じく他の実施例の集積センサに使用される土台の構成を示す。
【符号の説明】
【0031】
1 触覚センサ(センシング装置)
3、51、61 触覚センサ本体部
5 基材
6 圧電材料膜(圧電部)
7 第1の電極(駆動用電極)
8 第2の電極(検出用電極)
11 駆動電圧印加回路部
13 検出回路部
15 共振周波数調整部(加振周波数設定部)
20、31 弾性体(緩衝部材)
43 共振モード切替部(加振周波数設定部)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図6】
2
【図7】
3
【図8】
4
【図11】
5
【図12】
6
【図13】
7
【図14】
8
【図18】
9
【図19】
10
【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
16
【図26】
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【図27】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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