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明細書 :微粒子触媒、合金微粒子触媒又は複合酸化物微粒子触媒の製造方法及びその装置、並びにその使用方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4560621号 (P4560621)
公開番号 特開2006-087965 (P2006-087965A)
登録日 平成22年8月6日(2010.8.6)
発行日 平成22年10月13日(2010.10.13)
公開日 平成18年4月6日(2006.4.6)
発明の名称または考案の名称 微粒子触媒、合金微粒子触媒又は複合酸化物微粒子触媒の製造方法及びその装置、並びにその使用方法
国際特許分類 B01J  37/34        (2006.01)
B01J  23/42        (2006.01)
B01J  23/46        (2006.01)
B01J  23/755       (2006.01)
B22F   9/02        (2006.01)
B22F   9/30        (2006.01)
FI B01J 37/34
B01J 23/42 M
B01J 23/46 301M
B01J 23/74 321M
B22F 9/02 A
B22F 9/30
請求項の数または発明の数 5
全頁数 15
出願番号 特願2004-272731 (P2004-272731)
出願日 平成16年9月21日(2004.9.21)
審査請求日 平成19年9月20日(2007.9.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
発明者または考案者 【氏名】山下壽生
【氏名】渡辺政廣
審査官 【審査官】廣野 知子
参考文献・文献 特開2002-028500(JP,A)
特開平09-057104(JP,A)
特開平07-033427(JP,A)
特開平09-239274(JP,A)
特開2002-172326(JP,A)
特開2004-251196(JP,A)
特開平07-017701(JP,A)
調査した分野 B01J 21/00-38/74
C01B 3/00-6/34
特許請求の範囲 【請求項1】
触媒活性成分及び/又は担体成分を含む触媒成分の微細水溶液滴を、不活性キャリアガスによって、ギガヘルツオーダのマイクロ波により形成した大気圧プラズマ空間に導入して反応させることを特徴とする微粒子触媒の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、不活性キャリアガスは、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガスから選ばれた1種以上であることを特徴とする微粒子触媒の製造方法。
【請求項3】
請求項1及び2において、不活性キャリアガスに酸化性ガス又は還元性ガスを含ませることを特徴とする微粒子触媒の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3において、前記大気圧プラズマ空間を通過して得られた反応生成物を水溶液中に沈殿捕集することを特徴とする微粒子触媒の製造方法。
【請求項5】
触媒活性成分及び/又は担体成分を含む触媒成分の水溶液を微細な液滴にする微細水溶液滴化手段と、
ギガヘルツオーダのマイクロ波により大気圧プラズマを形成する手段と、
該液滴を該大気圧プラズマ空間に不活性ガスにより導入する手段と、
製造した反応生成物を水溶液中に捕集する微粒子触媒捕集手段とを備えたことを特徴とする微粒子触媒の製造装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子触媒、合金微粒子触媒又は複合酸化物微粒子触媒の製造方法及び製造装置、並びにその使用方法である水蒸気の改質方法、一酸化炭素の転化方法に関し、特に、アルコール、メタン、灯油等の炭化水素燃料を水蒸気改質することにより水素を製造する際に用いる改質触媒、及び一酸化炭素と水蒸気とを反応させ一酸化炭素を転化する際に使用する一酸化炭素転化触媒の製造方法、製造装置、及びその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、触媒の製造法は沈殿法、共沈法に代表される液相沈殿法やアルミナ担体などに活性成分を含浸する含浸法あるいはコージェライト製ハニカムやセラミック製板状の基材にアルミナ等の多孔性物質をコーティングして活性成分を担持する方法が一般的に用いられている。
【0003】
液相沈殿法の場合、通常、沈殿時のpH調整により沈殿物を得るが、pH調整剤の混入による性能低下、あるいはこの除去に大量の洗浄水を使用するという問題がある。また、2種類以上の触媒活性成分(多成分系ともいう。)を製造するには、成分毎に沈殿pHが異なるため、必ずしも製造された触媒の組成が意図した組成にならないという問題がある。更に、大量生産する場合にあっては、十分に攪拌を行わないと不均一な組成となり、十分な触媒活性が得られないという問題がある。
【0004】
一方、コーティング法は上述したように基材にアルミナ等の多孔質物質をコーティングした後、触媒活性成分の溶液に浸漬し、多孔質物質の吸水性を利用して触媒活性成分を担持するわけであるが、この場合、吸水率が常に一定ではないため触媒活性成分の分布が不均一となり、製造するロット間によって触媒性能にバラツキが生じるという問題がある。更に工業的大量生産において、上記沈殿法や含浸法はその工程が多いため装置の種類が多くなることや、通常はバッチ式であるため連続的な製造が困難であるという問題がある。
【0005】
上述した液相沈殿法やコーティング法の欠点に鑑み、近年では湿式法ではなく乾式法による触媒製造が試みられている。例えば特開平10-80636では一定の組成を持つ合金を減圧下で酸素を含む不活性ガス中でアーク放電により蒸発させ、微粒子触媒を製造する技術が開示されている。
【0006】
また特開平10-80637は、2種類の金属を酸化性ガスを含む不活性ガス雰囲気中でアーク溶解し、蒸発した金属を酸化性ガスと反応させ、それぞれの成分の酸化物の微粒子を製造する技術を開示している。
【0007】
更に特開平2-172801は、プラズマ溶射機に金属粉末を粉末供給管に供給して、SUS板状にプラズマ溶射して触媒とする技術を開示している。

【特許文献1】特開平10-80636
【特許文献2】特開平10-80637
【特許文献3】特開平2-172801
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、これらの方法は、触媒成分である金属を蒸発させる必要があることから、金属の沸点まで温度をあげることが必要である。しかし、金属の沸点は金属毎に異なるため、
合金触媒の組成比を目的とする組成比に制御することは容易でないという問題がある。
【0009】
また、上述した技術はいずれもバッチ処理で触媒を製造するものであり、連続的に触媒を製造することができないという問題がある。更に、金属の沸点まで温度を上昇する必要があり、装置材料の制限やコストが高くなるという問題がある。
【0010】
また、合金触媒や複合酸化物触媒を製造する場合、触媒活性成分である金属の入手は必ずしも容易でなく入手できても高価であること、合金、複合酸化物触媒の種類が限定されるという問題がある。これに加え、従来の触媒製造装置により製造される触媒の粒径が、10μm程度であり、必ずしも十分な触媒性能が発揮されないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、
(1)触媒活性成分及び/又は担体成分を含む触媒成分の微細水溶液滴を、不活性キャリアガスによって、ギガヘルツオーダのマイクロ波により形成した大気圧プラズマ空間に導入して反応させ微粒子触媒を製造することを特徴とする。

【0016】
(2)前記(1)において、不活性キャリアガスは、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガスから選ばれた1種以上であることを特徴とする。ガスはプラズマの発生に寄与するとともに、微細な液滴のキャリアガスとしての役割を果たす。

【0017】
(3)(1)及び(2)において、不活性キャリアガスに酸化性ガス又は還元性ガスを含ませることを特徴とする。製造される微粒子触媒を酸化する場合は、酸化性ガスとしては空気、O2、N2Oを不活性ガスに混合することを特徴とする。また、還元する場合は、還元性ガスとして、例えばH2、H2S、NH3、CH4を不活性ガスに混合することは好ましい。

【0018】
(4)(1)ないし(3)において、前記大気圧プラズマ空間を通過して得られた反応生成物である微粒子触媒を水溶液中に沈殿させ捕集することを特徴とする。

【0027】
(5)本発明は、触媒活性成分及び/又は担体成分を含む触媒成分の水溶液を微細な液滴にする微細水溶液滴化手段と、ギガヘルツオーダのマイクロ波により大気圧プラズマを形成する手段と、該液滴を該大気圧プラズマ空間に不活性ガスにより導入する手段と、製造した反応生成物を水溶液中に捕集する微粒子触媒捕集手段とを備えた微粒子触媒の製造装置である。

【発明の効果】
【0035】
以上、本発明によれば、従来の触媒製造法に比べ、触媒性能の優れた微粒子触媒を製造することができる。
【0036】
また、連続的かつ簡単に微粒子触媒を製造できる結果、低コストで触媒を製造できる。更に、組成比が一定な合金触媒又は複合酸化物触媒を製造ロット間のばらつきなく製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1は本発明における触媒活性成分が溶解した溶液を微細液滴とする装置として超音波霧化器、熱分解装置として大気圧プラズマ装置、熱分解した微粒子触媒の捕集装置として微粒子触媒沈殿装置を用いた場合の微粒子触媒の製造装置の構成の一例を示したものである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
一般に粒子は最小単位の一次粒子が凝集して二次粒子を形成するが、本発明において微粒子触媒とはこの二次粒子を指し、粒子径は電子顕微鏡で測定できる。また一次粒子の粒子径はX線回折装置で求めることが出来る(以後この一次粒子径を結晶子径と呼ぶ)。
【0039】
不活性ガス、例えば大気圧でプラズマを発生することができるアルゴンガスをガス導入管1から導入し、流量計3により所定の流量に調整し、原料溶液用容器16に導入する。なお、必要に応じて酸素などの酸化性ガスあるいは水素などの還元性ガスをガス導入管2から導入し、流量計4により所定の流量に調整した後、ガス混合器5により、不活性ガスと混合した後、原料溶液用容器16に導入してもよい。
【0040】
触媒成分が溶解している原料溶液用容器16に充填された原料溶液6は、水槽内に設置された超音波霧化器7により、霧状の微細液滴8となり、不活性ガスに同伴されてプラズマ発生部14に送られる。
【0041】
プラズマ発生部14に送られた微細液滴8は、ここで熱分解され微粒子触媒18となり、水で充填された微粒子トラップ容器22内に沈殿し捕集される。水は循環ポンプ15により微粒子トラップ容器22内を循環するような構造とすることは好適である。また、循環水出口19をシャワー形式にすることにより、循環水と微粒子触媒の接触効率が高まることにより微粒子触媒18の集塵効率が高めることが出来る。なお、プラズマによる微細液滴8の分解により、微粒子触媒以外にガス状製造物が発生するが、このガス状製造物は、水に吸収され大気中には放出されない。微粒子触媒18は、バルブ17を開き回収し、回収後、水洗乾燥を行い製造する。
【0042】
本装置を用いて連続的に微粒子触媒を製造する場合、図1に示すように原料溶液用容器
16内の原料溶液6が充填されている触媒原料タンク23をポンプ24により連続的に送液し、更に微粒子トラップ容器22のバルブ17を開放したまま循環水が充填されている循環水タンク25からポンプ26により循環水を補充する。以上の装置及び運転方法により連続製造が可能である。
【0043】
熱分解装置として大気圧プラズマ装置を用いることは、真空や減圧状態を作る必要がないことから、装置構成を大幅に簡略化することができる。また、大気圧プラズマ装置による熱分解以外に、電気加熱炉、高周波加熱炉、そしてバーナ加熱などを用いても良い。
【0044】
触媒活性成分が溶解した溶液を微細液滴とする手段としては、超音波以外の噴霧装置により溶液を霧状に噴霧し微粒液滴としてよい。また、加圧スプレー方式など任意に選ぶことが出来る。また製造した微粒子触媒の捕集には上記水スプレー方式以外にも電気集塵方式やフィルター方式による捕集も可能である。この場合後段に排ガス除去装置の設置が必要である。
【0045】
触媒活性成分としては、貴金属、遷移金属、希土類、アルカリ金属、アルカリ土類など触媒活性成分として作用する金属があげられる。これらの金属の金属塩である硝酸塩、塩化物、硫酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、臭化物、リン酸塩、シュウ酸塩、有機金属錯体などを溶液にして用いる。例えばニッケルの場合、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、臭化ニッケル、ヘキサアンミンニッケル塩化物などを用いることが出来る。
【0046】
触媒活性成分を含む微細液滴を大気圧プラズマ発生装置に導入する手段として、キャリアガスを用いることは好適である。キャリアガスとしては不活性ガスが望ましい。例えば、アルゴン、窒素、ヘリウム等である。
【0047】
熱分解する際に触媒成分を酸化したいときは、キャリアガスに酸化性ガスを混入して用いることは好適である。例えば、酸化性ガスとしては空気、O2、N2O等である。水蒸気だけでは十分酸化状態になりにくい触媒活性成分の場合に、これらの酸化性ガスをキャリアガスに混合することは特に有効である。
【0048】
触媒成分を還元したい場合は、還元性ガスとして、例えばH2、H2S、NH3、CH4などを添加すれば良い。この場合水蒸気により酸化されるのを防止するか又はプラズマ内で一旦酸化もされても、還元性ガスにより直ぐに還元される。
【0049】
触媒成分が2種類以上の場合、それぞれの成分が単独で存在する、又は複合化して存在するかは、プラズマ分解する際の製造条件により決まる。例えば金属同士が結合する合金触媒や酸化物同士が結合する複合酸化物は前者は還元性ガス、後者は酸化性ガスを使用し、プラズマ温度を調節(プラズマ電源やキャリアガスを調節)することにより可能である。勿論それぞれを単独物質で存在させることも可能である。単独で存在させるか、合金又は複合酸化物にするかは触媒活性の観点から決定される。
【0050】
例えばNi溶液とAlの溶液の場合、NiOとAl2O3とが存在する場合とこれらが結合して複合酸化物NiAl2O4を形成する、あるいは実施例で示したようにPtとRuのように金属同士が結合してPt-Ru合金を形成させることが可能である。
【0051】
キャリアガス、酸化性ガス、還元性ガスのうちプラズマ状態になるガスを少なくとも1種以上含むことが必要であり、最も効果的なのは上記キャリアガスをプラズマ発生ガスとし、これに酸化性ガスまたは還元性ガスを混合して用いるのが良い。但し、酸化あるいは還元が不要で分解のみ行う場合は上記キャリアガスのみで良い。
【0052】
キャリアガスとしては、プラズマが安定していることからアルゴンガスが好適である。また、コスト面からは窒素ガスが好適である。キャリアガスに酸化性ガスあるいは還元性ガスを混合して用いるときの濃度は、触媒原料の濃度、霧化した微細液滴の流量等を考慮し、最適な条件を選ぶことができる。
【0053】
更に酸化性ガスや還元性ガスの代わりに、水溶性の酸化剤、還元剤を図1に示す触媒成分が入っている原料溶液用容器16に添加し、原料と同時に微細液滴として、プラズマ発生部に導入しても良い。酸化剤としては、例えば過酸化水素、オキソ酸(硝酸、塩素酸)等、また還元剤としてはアルコール、ギ酸、アンモニア水等である。
【0054】
従来の触媒活性成分である金属をプラズマにより蒸発させ析出させる方法と、本発明とを比較した場合、本発明は、触媒活性成分を微細な液滴とすることから温度の上昇が抑えられ、結晶子径の増大を抑制できる大きな利点がある。即ち、従来の金属をプラズマにより蒸発させた場合、溶融した金属同士が凝縮し、触媒活性成分の結晶子径が大きくなってしまうという問題があるが、本発明はかかる問題が少ない。また、液滴中の原料濃度を調整することにより、製造する微粒子触媒の一次、二次粒子径を制御することが出来る。例えば原料濃度を低くすることにより製造する微粒子触媒のこれらの径を小さくすることができる。
【0055】
微細液滴をプラズマ分解する場合の液滴の粒径は、100ミクロン以下、望ましくは1ミクロン前後が好適である。これは100ミクロン以上の液滴の場合、熱分解により製造される微粒子触媒の結晶子径がナノメートル・オーダとならないからである。
【0056】
熱分解により製造した微粒子触媒の捕集方法として、溶液中に微粒子触媒を沈殿する方式を用いた。図1に示すように製造した微粒子触媒18を循環水11中に沈殿させ、沈殿した微粒子触媒をバルブ17から取り出す方式である。なお、溶液は、循環ポンプ15により、循環水出口19からシャワー状にスプレーされ、微粒子トラップ容器22に溜まり、循環ポンプ15により循環する。なお、この方式に代えて、電気集塵機あるいはろ過機等よる捕集方法を用いても良い。
【0057】
以上説明したように触媒活性成分となる金属塩を含む溶液を微細な液滴とし、この液滴をキャリアガスと共にプラズマ状態にある反応部に導入し熱分解し、これにより製造した微粒子触媒を捕集することより、触媒活性成分の結晶子径がナノメートル・オーダで連続的に製造できることを確認した。
【0058】
(微粒子触媒の使用方法)
次に、上述した実施形態で製造した微粒子触媒の使用方法を以下に説明する。後述するように本発明により得られる微粒子触媒の結晶子径(X線回折装置から求めた粒子径)は、数十nmであり、これが凝集して数μmの微粒子(二次粒子)を形成している。従って、噴流層反応器に用いる場合は、このままの触媒形状で使用することができる。
【0059】
固定床反応器では、得られた微粒子触媒をプレス成型機や打錠機を用いて所望の形状にして用いれば良い。また、圧力損失を減少させるとともに、粉塵等の析出を抑制することが必要な場合には、ハニカム状や板状の基材に微粒子触媒をコーティングして用いれば良い。
【0060】
この場合、ハニカム基材としてはコージェライト、アルミナ等の酸化物系やステンレス系の金属ハニカム等が好適である。更に三次元網目構造などの基材にコーティングして使用することも可能である。この場合アルミナゾルの如きバインダーと微粒子触媒を混合してスラリーとし、該スラリーをハニカム基材や三次元網目構造体に浸漬してコーティングすれば良い。
【0061】
[微粒子触媒を使用する化学反応]
以上のように所望の構造体にした微粒子触媒を用いる化学反応について以下説明する。
【0062】
近年燃料電池で使用する水素を製造するための触媒として特に有効である。
【0063】
即ち、灯油やメタノール等の液体燃料やメタン、天然ガスなどの気体燃料を改質して水素を得るが、例えばメタンの場合、次式に示す3工程の触媒反応で水素を製造する。
【0064】
1)水蒸気改質反応
CH4+2H2O=4H2+CO2
CH4+H2O=3H2+CO
2)CO転化反応
CO+H2O=CO2+H2
3)CO除去反応
CO+1/2O2=CO2
上記3工程からなる反応に対して本願発明の噴霧プラズマ分解法による微粒子触媒は有効である。この場合、1)の水蒸気改質反応に使用する微粒子触媒としては、触媒活性成分として、Ni、Co、Fe、及び又はPt、Ru、Rh、Pd等の貴金属元素の1種以上と触媒担体としてAl、Ti、Zr、Siからなる担体を選択することが好適である。
2)CO転化反応に使用する微粒子触媒としては、Fe、Cr、Cu、Zn、Ce、Mn及び又はPt、Ru、Rh、Pdなどの貴金属元素の1種以上含む触媒が望ましい。また必要であれば触媒担体としてAl、Ti、Zr、Si、Ba、Mg、Laの1種以上含む触媒担体を使用しても良い。
3)CO選択酸化反応に使用する微粒子触媒としては、Pt、Ru、Rh、Pd、Fe、Cu、Mn、Ag、Co、Zn、Niなどの1種以上含む触媒が望ましい。

【0065】
本発明の微粒子触媒を用いる他の例として次式で示すような酸化反応あるいは燃焼反応に使用することが出来る。
【0066】
COの酸化反応;CO+1/2O2=CO2
水素の燃焼反応:H2+1/2O2=H2O
アルコールの燃焼反応:CH3OH+3/2O2=CO2+2H2O
炭化水素の燃焼反応:CH4+2O2=CO2+2H2O
これらの反応に対して本発明の微粒子触媒としてPt、Pdなどの貴金属またはFe、Ni、Co、Mn等の遷移元素の1種以上の活性成分とアルミナ又はチタニア、シリカなどを担体として用いることが望ましい。
【0067】
本発明の触媒を還元反応に適用することも出来る。例えば次式で示すNOのN2への還元反応にも有効である。

【0068】
2NO+2NH3+1/2O2=N2+3H2O
還元反応に対する微粒子触媒の成分としては、各種の貴金属、Mo、V、Wなどの多価金属をアルミナ、チタニア、ジルコニアなどの担体に担持した触媒が望ましい。
以上の反応以外に分解反応例えばフロンやダイオキシン等の塩素化合物を含む環境汚染物質の分解反応、更に水素化反応、脱水素反応、メタン化反応等にも適用出来る。
【実施例】
【0069】
図1に示した大気圧プラズマ分解装置を用いて触媒微粒子を製造し、その性能を調べた結果を以下に示す。尚、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(第1実施例)
第1実施例は、熱分解に大気圧プラズマを用いて、メタン(CH4)の水蒸気改質触媒を製造した。触媒活性成分として硝酸ニッケルNi(NO3)2・6H2Oを0.47gと、硝酸アルミニウムAl(NO3)2・9H2Oとを1.77gの水100ccに溶解し、十分混合した後、図1に示す原料溶液用容器6に入れた。次いでガス導入管1からアルゴンガスを流量計3で5リッター/分に設定して系内に導入した。

【0070】
大気圧プラズマ装置の電源を投入し(アリオス社製大気圧プラズマ装置、マイクロ波出力約1kW、2.5GHz)アルゴンプラズマを発生させた。次いで循環ポンプ15の電源を入れ、微粒子トラップ内に水をシャワー方式で滴下するようにした。最後に超音波霧化器7(周波数2.4MHz、(株)テックジャム製UD-200)の電源を投入し、触媒成分が溶解した溶液を微細液滴とした。1時間、大気圧プラズマにより熱分解する。分解終了後、微粒子トラップ容器22内に捕集された微粒子触媒をバルブ17を開いて採取し、ろ過、乾燥してNi-Alから成る完成触媒0.5gを得た。
【0071】
このようにして製造した微粒子触媒の電子顕微鏡写真を図2に示した。尚、後述する従来の含浸法で製造した比較例1の触媒についても示した。本結果から明らかなように第1実施例の触媒の粒子径(二次粒子)は5μm以下であるのに対し、比較例1の触媒粒子径は数十μmであることがわかる。
【0072】
(第2実施例)
第2実施例では第1実施例と同様、メタンの水蒸気改質触媒を製造したが、キャリアガスとしてアルゴンに加え、酸化ガスである酸素をこれに混合した。ガス導入管1からアルゴンガス、ガス導入管2から酸素ガスを導入し、第1実施例と同様にしてNi-Alから成る微粒子触媒を得た。尚、酸素濃度は10%とした。
【0073】
(比較例1)
比較例として従来の含浸触媒を製造した。Ni(NO3)2・6H2Oの20gを水20ccに溶解した。この溶液2.7ccを十分乾燥したアルミナ粉末3gに含浸し、一晩放置した後150℃の乾燥器中で乾燥した。次いで700℃の電気炉中で2時間焼成し完成触媒を得た。
【0074】
第1実施例、第2実施例と比較例1で調製した微粒子触媒について、代表的な反応例としてメタンの水蒸気改質反応に対する性能評価を行った。メタンの水蒸気改質反応は次式で示される。
【0075】
CH4+2H2O=4H2+CO2
この反応について一定温度におけるメタンの転化率を求め、触媒活性の指標とした。転化率は一定温度において、反応管入口・出口のメタン濃度を測定し、以下の式から転化率を求めた。
【0076】
転化率=(反応管入口CH4量-反応管出口CH4量)/反応管入口CH4
反応装置は通常の固定床式常圧流通反応装置を用いて行った。図3に装置図を示す。

【0077】
先ず、本発明からなる微粒子触媒あるいは比較例1の含浸触媒70mgを直径6mmの石英製反応管40に充填し、熱電対37を反応管の外壁に固定し、電気炉39にセットした。窒素ガス30を流しながら600℃に昇温し、次いで水素ガス29を1時間導入して触媒を還元した。還元後、反応ガスであるメタンボンベ27及び窒素ボンベ28をメタン濃度10%、流量70ml/minになるよう流量調整する。このガスをマントルヒーター34で60℃に加温されている水35にバブリングすることにより水蒸気を触媒36に導入した。反応後のガスを水トラップ器41で水分を除いた後、ガスクロマトグラフィー42で分析し、製造した水素、一酸化炭素の量及びメタンの入口、出口量からメタン転化率を求め、触媒活性の評価を行った。

【0078】
表1にその結果を示す。尚、反応温度は500℃、600℃である。表1はメタン転化率が大きい程触媒活性は優れていること示している。また、平衡到達率とは、熱力学データーからメタン転化率を理論的に求めた値に対する実験値の割合を示し、これが1であれば理論値に達していることを示す。
【0079】
【表1】
JP0004560621B2_000002t.gif

【0080】
表1に示すように、第1実施例、第2実施例の触媒は、比較例1の触媒に比べ、メタン転化率は高く且つ平衡到達率は1に近いことが分かる。この結果、本発明の触媒は従来触媒に比べ高活性を示すことは明らかとなった。
(第3実施例)
第2実施例で調製した微粒子触媒を用いて、一酸化炭素(CO)転化反応を行った場合の適用例を以下に説明する。CO転化反応は次式で示すように一酸化炭素を水蒸気と反応させて
水素と二酸化炭素にする反応である。
【0081】
CO+H2O=CO2+H2
第3実施例に用いた装置は、第1実施例及び第2実施例で用いた図3の装置と同じであり、ガス種をCOにした以外は基本的に同様である。性能評価はCOの転化率で示した。即ち、一定温度におけるCOの転化率を求め、触媒活性の指標とした。転化率は一定温度において、反応管入口・出口のCO量を測定し、以下の式から転化率を求めた。
【0082】
転化率=(反応管入口CO量—反応管出口CO量)/反応管入口CO量
反応ガスは15%一酸化炭素-窒素混合ガスを70ml/minで50℃に加温してある水にバブリングして水蒸気を反応器に導入した。尚、反応温度は350℃、400℃とした。その結果、反応後のガス組成は350℃で一酸化炭素5.3%、400℃で1.2%でありCO転化率はそれぞれ65%、92%であった。また製造物である水素、二酸化炭素を確認した。
このように大気圧プラズマにより製造した微粒子触媒は、CO転化反応においても高活性を示すことが明らかとなった。
【0083】
一般に触媒活性成分としての金属は、その粒子径が小さいほど高分散され、活性は優れていることが知られている。従って触媒としての性能を向上させるためには、如何に触媒活性成分である金属の粒子径を小さくし、高分散させるかがポイントである。かかる観点から、以下に本発明による微粒子触媒の製造方法が、微粒子触媒を調整する上で優れているかを以下に示す。
【0084】
(第4実施例)
第4実施例では酸化触媒や燃焼触媒としてよく用いられる貴金属系触媒の一つである白金触媒について、図1に示した大気圧プラズマによる熱分解で微粒子触媒を製造した。白金(Pt)を5%含むテトラアンミン白金ジクロライド([Pt(NH3)4]Cl2)を溶液に溶解し、この溶液を微細液滴とし、これを大気圧プラズマにより熱分解し白金微粒子触媒を製造した。
第4実施例で得た白金微粒子触媒の結晶構造を、粉末X線回折装置で測定した。図4はその結果を示したものである。この結果から、白金は金属状であり、その結晶子径をSherrerの式を用いて算出した結果24.7nmであった。第4実施例からナノサイズの結晶子径を持つ白金微粒子が製造できることが確認された。

【0085】
(比較例2 )
従来技術である、白金溶液を高温に加熱し水分を蒸発させて白金触媒を製造する方法で製造し、実施例触媒と比較した。第4実施例で用いたテトラアンミン白金ジクロライド([Pt(NH3)4]Cl2)溶液を、120℃の乾燥機中で蒸発乾固した後、600℃で焼成した。この試料をX線回折装置で測定した結果、結晶構造は金属状白金であり第4実施例と同じであったが、その結晶子径を求めた結果43.8nmであった。

【0086】
第4実施例及び比較例2で製造した白金の結晶子径を比較すると、本発明からなる第4実施例により製造された白金触媒は、従来の熱分解法で作製した比較例2の白金に比べその結晶子径は著しく小さいことが明らかとなった。

【0087】
(第5実施例)
第5実施例は、白金とルテニウム(Ru)の2種類の成分を含む触媒活性成分を、図1に示す大気圧プラズマ法により熱分解し、微粒子触媒を製造した。先ず、白金を15%含む塩化白金酸(H2PtCl6)溶液と8.5%塩化ルテニウム(RuCl2)溶液を1:1で混合した。また、本実施例では還元ガスとして水素ガスを用い、キャリアガスであるアルゴンガスに混合した。

【0088】
図1に示すガス導入管1からアルゴンガスを、ガス導入管2からの水素ガス(濃度5%)、を導入し、これらが混合したガスを、触媒成分が溶解している溶液が入っている原料溶液用
容器16に導入した。
【0089】
第1実施例と同様にして、白金とルテニウムの合金微粒子を得た。図5は製造された合金微粒子触媒粉末の結晶構造をX線回折装置で調べた結果を示す。ルテニウムやルテニウム酸化物のピークはいずれも認められず、白金(III)の回折ピークが標準ピークに比べ0.86°高角度側へシフトしていることが確認された。これは白金とルテニウムが合金化していることを示している。また、Sherrerの式を用いて算出した白金の結晶子径は、還元ガスとして水素を用いた場合29.7nmであった。

【0090】
第5実施例で明らかなように、白金とルテニウムは単に混合しているのではなく合金を形成していることが分かった。従って、本発明によれば微粒子合金触媒を容易に製造できることが分かった。
【0091】
(第6実施例)
第6実施例では白金とルテニウムの2種類の触媒活性成分を溶解した溶液を、微細液滴とし、これをプラズマにより熱分解し微粒子触媒を製造したが、その際、還元剤としてメタノールを用いた。その他は第4実施例と同様である。

【0092】
還元剤であるメタノールは予め白金とルテニウムの混合溶液に添加しておき、超音波により微細液滴とし、大気圧プラズマにより熱分解し製造した。図6は製造した微粒子触媒の粉末をX線回折装置で測定した結果を示したものである。
【0093】
第5実施例と同様にルテニウムやルテニウム酸化物のピークはいずれも認められず、白金(III)のピークは標準ピークに比べ0.46°高角度側シフトしており合金化していることが分かった。また、Sherrerの式を用いて算出した白金の結晶子径は23.0nmであり、水素を還元剤として使った第4実施例に比べ更に微粒子である合金触媒が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明にかかる微粒子触媒、合金微粒子触媒の製造方法及びその装置により製造させる微粒子触媒を用いれば、アルコール、メタン、灯油等の炭化水素燃料を効率的に水蒸気改質し、水素を製造することができる。また、一酸化炭素と水蒸気とを反応させ水素を製造する改質触媒として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一実施の形態である微粒子触媒製造装置のブロック図である。
【図2】本発明からなる微粒子触媒の電子顕微鏡写真である。
【図3】触媒の活性評価装置のブロック図である。
【図4】白金触媒の粉末のX線回折図である。
【図5】還元ガスとして水素ガスをアルゴンガスに混合し製造した白金-ルテニウム合金触媒の粉末のX線回折図である。
【図6】還元剤としてメタノールを用いて製造した白金-ルテニウム合金触媒の粉末のX線回折図である。
【符号の説明】
【0096】
1、2 ガス導入管
3、4 流量計
5 ガス混合器
6 原料溶液
7 超音波霧化器
8 微細液滴
9 石英製反応管
10 ガス出口
11 循環水
12、13 電極
14 プラズマ発生部
15 循環ポンプ
16 原料溶液用容器
17 バルブ
18 微粒子触媒
19 循環水出口
20 プラズマ発生器
21 水槽
22 微粒子トラップ容器
23 触媒原料タンク
24、26 ポンプ
25 循環水タンク
27、28、29、30 ガスボンベ
31,32,33 マスフローコントローラー
34 マントルヒーター
35 水
36 触媒
37 熱電対
38 温度調節器
39 電気炉
40 石英製反応管
41 水トラップ器
42 ガスクロマトグラフィー
43 排ガス
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5