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明細書 :難分解性有機金属錯体の分解方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4565182号 (P4565182)
公開番号 特開2006-088011 (P2006-088011A)
登録日 平成22年8月13日(2010.8.13)
発行日 平成22年10月20日(2010.10.20)
公開日 平成18年4月6日(2006.4.6)
発明の名称または考案の名称 難分解性有機金属錯体の分解方法
国際特許分類 C02F   1/461       (2006.01)
C25C   5/02        (2006.01)
C25C   7/02        (2006.01)
C25C   7/06        (2006.01)
FI C02F 1/46 101C
C25C 5/02
C25C 7/02 303
C25C 7/06 301
請求項の数または発明の数 9
全頁数 9
出願番号 特願2004-275371 (P2004-275371)
出願日 平成16年9月22日(2004.9.22)
審査請求日 平成19年5月23日(2007.5.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】本多 謙介
【氏名】西野 寛教
【氏名】山口 陽子
審査官 【審査官】齊藤 光子
参考文献・文献 特開平06-320184(JP,A)
特開2004-098055(JP,A)
調査した分野 C02F1/46
特許請求の範囲 【請求項1】
電極の少なくとも一方が炭素電極であり、両電極間に難分解性有機金属錯体を含む電解質溶液を存在させ、正極と負極の極性を定期的に転換しつつ電解することを特徴とする難分解性有機金属錯体の電気分解方法。
【請求項2】
炭素電極が導電性ダイヤモンド、導電性ダイヤモンドライクカーボン、グラッシーカーボン及びアモルファスカーボンより選ばれた一種であることを特徴とする請求項1記載の難分解性有機金属錯体の電気分解方法。
【請求項3】
難分解性有機金属錯体がキレート化合物である請求項1又は請求項2記載の難分解性有機金属錯体の電気分解方法。
【請求項4】
キレート化合物が、アルキレンジアミン、エチレンジアミンテトラ酢酸、クラウンエーテル、ポルフィリン及びビピリジンより選ばれた少なくとも一種を配位子とする有機金属錯体である請求項3記載の難分解性有機金属錯体の電気分解方法。
【請求項5】
難分解性有機金属錯体の中心金属が鉄、コバルト、ニッケル及び銅から選ばれる少なくとも一種の金属である請求項1乃至3のいずれかに記載の難分解性有機金属錯体の電気分解方法。
【請求項6】
難分解性有機金属錯体の中心金属イオンを負極で還元し、微粒子状として回収する請求項1記載の難分解性有機金属錯体の電気分解方法。
【請求項7】
難分解性有機金属錯体が、エチレンジアミンテトラ酢酸の重金属錯体である請求項1記載の難分解性有機金属錯体の電気分解方法。
【請求項8】
エチレンジアミンテトラ酢酸の重金属錯体が、エチレンジアミンテトラ酢酸の銅錯体である請求項記載の難分解性有機金属錯体の電気分解方法。
【請求項9】
正極と負極との間に2.5~4ボルトの電圧を印加して電気分解を行うことを特徴とする請求項1記載の難分解性有機金属錯体の電気分解方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸(以下EDTAという)やニトリロトリ酢酸のような難分解性有機金属錯体の分解に関する。また難分解性有機金属錯体の中心金属を微粒子として回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に錯体又は錯塩といわれる有機金属化合物の中には、安定で分解され難いものが数多く存在する。
【0003】
一般に配位子となり得る有機化合物は、遷移金属などと安定な錯体を形成するので、微量金属の捕捉剤として用いられる。
【0004】
たとえば、EDTAなどは、硬水の軟化剤、ゴムやビタミンCの酸化防止剤、医薬品などの金属不活性化剤、食品中の微量金属による変質防止剤、洗剤用の金属イオン封鎖或いは重金属イオンの沈殿防止剤、ボイラー洗浄剤、さらには酵素反応における金属イオンの影響を防止する目的や分析化学等に広く用いられている。
【0005】
これらの金属錯体のうち、特に難分解性のものは、通常排水として捨てられた場合、河川や湖沼或いは海に流入し、CODやBODの増大を来たし、延いては富栄養化の原因の一つとなり、特に重金属の錯体にあっては、それ自体、土壌や水質の汚染物質として公害の原因ともなりかねない。
【0006】
したがって錯体を含む排水も他の有害な化学物質等と同様に種々の化学処理や微生物処理を施し、分解除去した後は廃棄することが必要である。
【0007】
しかしながら、錯体の中には、安定で難分解性のものが数多く存在する。錯体の安定度は、その中に含まれる金属イオン諸性質と配位子の性質とによって定まる。一般にアンモニアのように一分子中に一つの配位部位を持つものに比べ、エチレンジアミンの如く、一分子中に複数の配位部位を持つもの、換言すればキレート化合物を形成するものは安定であり、難分解性有機金属錯体となる。また中心金属にあっては、例えば二価遷移金属イオンを例に示すと、一般に安定性に関して次の関係があることが知られている。
【0008】
【化1】
JP0004565182B2_000002t.gif

【0009】
更に錯体の安定度は、安定定数として実測・計算で求めることもできる。
【0010】
たとえば、金属イオンM、配位子Lから1種の錯体(MLn)が生成する反応を考えると、次の式(1)が成立する場合、イオン強度一定(活量係数一定)という設定でモル濃度によるみかけの平衡定数を測定することにより、式(2)として求めることができる。
【0011】
【化2】
JP0004565182B2_000003t.gif
(但し、Mは金属イオン、Lは配位子、Kは見かけの平衡定数(安定定数))
【0012】
本発明において、難分解性有機金属錯体と見なし得るものは、安定定数5以上の錯体であり、一般にキレート化合物がこれに該当する。特に中心金属として鉄、コバルト、ニッケル及び銅の錯体であり、これらは通常安定度定数が7以上の化合物であり、中でも銅にあっては10を超えるものである。
【0013】
上述の如き安定な、すなわち難分解性有機金属錯体の廃棄処理は、従来特に有効な手段がなく、例えば産業上利用されている代表的な錯化剤であるEDTAによる錯体にあっても、その処理方法は、多孔質の鉄等に吸着させて、地中に埋めて廃棄する方法がとられているか又は稀釈して河川に流す方法が用いられているのが現状であり、いずれも有害物が流出しないという確証はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記技術背景に鑑み、難分解性有機金属錯体を簡単な手段により分解する方法を提供するにある。併せて、該有機金属錯体を構成する中心金属、特に銅などの重金属を、負極上のメッキさせるのではなく、微粒子として、回収し得る手段を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、正極及び負極からなる電極の少なくとも一方が炭素電極であり、両電極間に難分解性有機金属錯体を含む電解質溶液を存在させ、正極と負極の極性を定期的に転換しつつ電解することを特徴とする難分解性有機金属錯体の電気分解方法である。

【0016】
本発明の特徴の一つは、負極において、難分解性有機金属錯体から中心金属成分を引き抜き、還元反応を行わせることにある。かくして中心金属を失った配位子は容易に酸化により分解することができるため、陽極上で配位子を酸化分解することができるのである。
【0017】
これらの反応は難分解性有機金属錯体を含む電解質液を連続的又は間歇的に供給しつつ電気分解を行うことにより正,負両電極上で連続的に反応を行わせることも可能となる。
【0018】
本発明において、好ましい態様の一つは少なくとも負極として炭素電極を用いることにより、難分解性有機金属から引き抜かれ、還元された金属が負極上に沈着することなく、負極表面から微粒子状で脱離し、電解槽底に沈殿する。この傾向は、特に銅などの重金属において顕著である。かくして、電解槽底に沈殿した金属粒は濾過等の分別手段で極めて容易に回収することができるのである。
【0019】
かかる炭素電極としては、勿論アモルファスカーボンであってもよいが、耐久性の観点からは、結晶性炭素が好ましく、特にダイヤモンド電極が優れている。その他の炭素電極としてはダイヤモンドライクカーボンやグラッシーカーボン等も好適に使用される。
【0020】
また本発明において電気分解を行うにあたり正極,負極間に印加する電極(電圧)は、当然難分解性有機金属錯体の電気分解を生ずる電圧以上であることが必要であり、一般に2.5ボルト以上の電圧が用いられる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、従来分解除去が困難であった難分解性有機金属錯体、就中EDTAの重金属錯体を極めて容易に分解することが可能であり、延いては排水などに含まれる有機物の減量を可能とし、排水中のCODやBODの減少に貢献し得る。
【0022】
更に本発明は、濾過等の簡単な手段だけで有害な重金属類の除去や価値のある金属類の回収などにも有効に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、難分解性有機金属錯体の分解手段として、電気分解方法を用いることを最大の特徴とする。
【0024】
本発明者らの知見によれば、電気的に中性であり、電荷を持たない有機金属錯体であっても、その中心金属は陽イオンとして電荷を持っており、配位子との間で弱いイオン結合状態にあるが、電解処理することにより、負極上で配位子から金属イオンが引き抜かれ還元される。かかる反応は難分解性有機金属錯体が完全に電解質溶液に溶解している場合のみならず、電解質溶液中にコロイド状または微粒子状となって懸濁分散した状態であっても進行する。
【0025】
またかかる負極上での反応は、有機金属錯体の安定性度何如にかかわらず可能ではあるが、本発明にあっては、特に難分解性有機錯体について有意義に利用することができる。
【0026】
かくして、負極反応により得られる金属は、析出時、サブミクロン乃至数ミクロン程度の極めて微細な形状である。
【0027】
しかも、それらの微細金属は、負極上に沈着することなく負極から脱離する傾向にある。特に負極として炭素電極を用いた場合顕著である。炭素電極としては、特に限定されずアモルファスカーボンやグラッシーカーボン、グラファイトやダイヤモンドライクの如く少なくとも一部に結晶構造を有するカーボン、中でもダイヤモンドの結晶構造を有する物質よりなる負極は、前記金属の沈着を生じないことのみならず、耐久性にも優れているので特に好ましい電極材料となる。
【0028】
かかるダイヤモンド電極は、従来公知のものが何等制限されることなく用いられる。たとえば、化学蒸着(CVD法)によりシリコン、ニオブ等の基板上にダイヤモンドの薄層を形成させたダイヤモンド電極が用いられる。ダイヤモンドは通常導電性を持たないが、ボロン等のドープにより導体となる。通常ボロン等の原子のドープ濃度はダイヤモンド1cm当り、1×1019個乃至は1023個程度の範囲である。
【0029】
すなわち、ドープ量が1×1019個よりも少ない場合には、ダイヤモンド電極が、均一な半導体膜となり難く、1×1023以上になると電気的には導体となるが、ダイヤモンド表面の特性が次第に失われる、同時に電極としての耐久性も損なわれる。
【0030】
また、基板上にCVD法により形成させたダイヤモンド薄層は、ほぼ多結晶体となるが、ダイヤモンドとしての化学的安定性が保たれる範囲内で結晶構造が壊れていても良い。更にCVD法により得られるダイヤモンド表面には、主としてC‐H結合が存在し、疎水性であるが、電極として用いる場合、錯体の電解電圧、一般に2~5ボルトの電圧を印加することにより、次第に酸化されC‐OH結合となり、効率よく錯体からの金属の引き抜き・還元反応を生じ、金属は微粒子として電極から遊離させることができる。
【0031】
勿論、CVD法により得られたダイヤモンド電極の表面をクロム酸混液や酸素プラズマ処理することによりダイヤモンド表面に酸素を結合させた修飾電極や、錯体の電解に先立って、4ボルト以上の電圧(Ag/AgCl電極に対して:以下電圧の表示において同じ)を10分乃至1時間程度印加することにより、水の電解を行い、ダイヤモンド電極表面を酸化して用いることも好ましい態様となる。
【0032】
本発明において対極(正極)は一般に白金、鉄、ニッケル、グラファイトなどの導電体が用いられるが、電極を定期的に転換することから、前記炭素電極を用いるのが好ましい。

【0033】
次に、中心金属を引き抜かれた配位子は、安定性を失い、正極上で容易に酸化分解を受け、最終的には炭酸ガス等となり、事実上消滅する。かかる酸化分解反応もまた、正・負電極間に印加される2~5ボルトの電位差で十分に達成することが可能である。
【0034】
本発明の難分解性有機金属錯体の電気分解に使用する電解槽は、特に限定されるものではなく、通常の電気化学反応に用いられる無隔膜電解装置が利用できる。好ましい電解槽の態様としては、電極近辺の液の流速が十分に大きくしえるものであり、内部に攪拌器を有するものや、電解液の外部循環装置を有するものなどがあげられる。
【0035】
通電方法等はすでに述べたごとく、一般に2~5ボルト好ましくは、2.5~4ボルトの電位差を形成するよう電圧を印加して電気分解を行う。すなわち2ボルト以下では錯体の分解が起こり難く、また5ボルトを超えると水の電解が激しくなり好ましくない。
【0036】
また、電解液は、一般に難分解性有機金属錯体を1ミリモル乃至1モル濃度溶解又は懸濁させ、通常電導性を調整するため0.05~2規定程度電解質物質、一般には塩又は酸、例えば塩化カリ、塩酸又は硫酸を加える。
【0037】
更に、本発明において最も効果的電気分解方法は、電解における極性を定期的に転換することである。すなわち、本発明のメカニズムにあっては一般に電気的に中性である難分解性有機金属錯体を対象とするため、まず陰極で中心金属の引き抜き、還元が行われ、次いで不安定となった配位子が陽極上で酸化分解を受けるのであるから、直流電解においては、難分解性有機金属錯体は陰極表面から、陽極表面へ移動することが必須となる。
【0038】
しかしながら、実質的に電荷を持たない上記難分解性有機金属錯体又は、該錯体から中心金属を引き抜かれた配位子が電解液中を移動し、各電極に到達するには、液中の拡散か対流或いは液の攪拌による乱流によることになる。しかるに定期的に電極の極性を転換することにより、難分解性有機金属錯体又は該錯体から中心金属を引き抜かれた配位子は電極上に止まっていても還元と酸化とを順次受けることができるため電極間を移動することなく分解されるのである。
【0039】
更に好ましいことに、陰極上に析出する中心金属は、該電極が陽極となった瞬間に電極上から剥離するため極めて微細な且つ均一な状態で該金属を回収することが可能となるのである。
【0040】
このため、本発明において、電解時に電極の極性を転換しつつ運転することは極めて有効な手段となる。
【0041】
本発明にあっては、電極の転換は0.1回/分~4000回/分、好ましくは、0.5回/分~100回/分程度である。
【0042】
更に、極性転換を頻繁に行う場合、例えば1000回/分以上とする場合には、直流電流に重ね合わせて用いることもできる。かくすることにより、電極上に析出する金属を微細化することができる。
【0043】
また、極性転換時の電流変化は、正弦波形となるように行うのが一般的であるが、オン・オフ切り替えとすることもできる。
【0044】
かかる電極の転換について、EDTA銅錯体を例とし説明すると、一方の電極としてダイヤモンド電極を用い、対極を白金とした場合、印加する電圧の電位の最大値を2.5ボルト、電圧変化は10mV~500mV/秒、好ましくは、50mV~300mV/秒の速度で正弦波形となるよう適宜変化させつつ電解を行う。かくして銅などはダイヤモンド電極上に付着することなくサブミクロンオーダーの粒径の揃った微粒子となってダイヤモンド電極表面から分離し、電解槽底に沈殿となって析出する。
【0045】
本発明において処理の対象となる難分解性有機金属錯体としては、安定定数5以上特に7以上のものが対象となり、一般にキレート化合物である。これらに属する配位子としては、エチレンジアミン、ジアミノプロパンなどのポリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリエチレンポリアミン、グリシンなどのアミノ酸類、エチレンジアミンテトラ酢酸、ニトリロトリ酢酸等のポリカルボン酸アミド等、チトクローム、クロロフィル、フェモグロビン等のポルフィリン類、ビピリジン、ジベンゼン、ジシクロペンタジエン類、クラウンエーテル類などの金属錯体があげられる。これらの錯体のうち、特に産業上EDTAの錯体、就中銅錯体の処理に有効である。
〔比較例〕

【実施例1】
【0046】
一方の側壁下部に直径18mmの円形窓を有する内容積150mlのガラス製電解槽を用い、前記窓部にOリングを介して導電性ダイヤモンド電極を設置し、対極にはコイル状の白金ワイヤー(φ0.5mm,5cm)を用いた。また標準電極としてAg/AgCl電極(TOADenpa社製HS-205C)を用い、マグネットスターラーにより電解液を攪拌しつつ、ダイヤモンド電極に3Vの定電位を印加し、電解処理を行った。このとき対極には-3Vの電位が印加されている。
【0047】
20mモルのCu-EDTA及び0.1モルの硫酸ナトリウムを加えた溶液を、前述した電位で80時間電解した。このとき、白金ワイヤー上にて銅の還元析出が起こり、ダイヤモンド電極上でEDTAが酸化分解される。
【0048】
電解の状況を時間の経過ごとにチェックする。すなわち電解液をサンプリングし、カラムとして、Inertsil ODS-3(GL,Science社)を用いた高速液体クロマトグラフィーにより、溶質を分離し、λ=200nm及び250nmで紫外線分析を行った。
【0049】
結果を図1に示す。
【0050】
図1よりCu2+の還元がまず進行し、時間の経過と共にEDTA錯体が減少し、逆にEDTAの分解物が増大することが分かる。EDTA錯体の濃度が初期濃度の10%程度まで低下するのに35時間を要した。
【0051】
また、白金ワイヤー上には銅が還元析出して銅メッキされた。この銅は硫酸溶液中で溶解することで除去することが可能であった。
〔実施例1〕

【実施例2】
【0052】
一方の側壁の下部に直径10mmの円形窓を有する内容積25mlのガラス製電解槽を用い、前記窓部にOリングを介して導電性ダイヤモンド電極を設置し、対極にはコイル状の白金ワイヤー(φ0.5mm,100cm)を用いた。また標準電極としてAg/AgCl電極(TOADenpa社製HS-205C)を用い、マグネットスターラーにより電解液を攪拌しつつ,ダイヤモンド電極に-1.5~3Vの電位を50mV/sの挿引速度でサイクリックに印加し,電解処理を行った。
【0053】
1mモルのCu-EDTA及び0.13molの塩化カリウムを加えた溶液を,前述した電位領域で100時間電解した。このとき0~-1.5Vで銅の還元析出が、2.5V以上でEDTAの酸化分解がダイヤモンド電極上のみで起こる。
【0054】
電解の状況を時間の経過ごとにチェックする。すなわち電解液をサンプリングし、カラムとして、Inertsil ODS-3(GL,Science社)を用いた高速液体クロマトグラフィーにより、溶質を分離し、λ=200nm及び250nmで紫外線分析を行った。
【0055】
結果を図2に示す。
【0056】
結果を図2に示す。
図2より、50時間でCu-EDTAの濃度が初期濃度の10%まで低下させることが可能であった。なお、この時間は比較例の1.5倍程度であるが、これは定電位印加処理の方が高電位印加時間が長いため、処理速度が速くなっている。これに対して実施例1では比較例のような白金ワイヤーへの銅の付着は見られず、銅はダイヤモンド電極上で還元析出した後、直径100nm程の微粒子として電極表面から剥離し、溶液中に放出される。また、この微粒子は処理後の溶液を濾紙(ポア径0.2μmAnodisc,Whatman)でろ過することにより、1μm程の微粒子の集合体として回収することができた。すなわち、電位をサイクリックに挿引することにより、電解処理において電極を汚染することなく、連続使用することが可能である。
(産業上の利用可能性)
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、EDTA錯体を容易に分解除去することができる。このため、従来排水として捨てられ、河川の汚染の原因物質のひとつを除去し得る。
【0058】
また併せて、EDTA錯体の中心金属、特に有害な重金属をも除去し得るので、環境保全関連産業等に有効に利用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1はCu‐EDTAとCu2+が直流の電解により減少し、代わってEDTAの分解生成物のピークが表れ次第に増大する状況を示す紫外線分析グラフである。
【図2】図2は、電極の極性を転換しつつCu-EDTAを分解した場合の経時的分解状況を示すグラフである。
図面
【図1】
0
【図2】
1