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明細書 :複合材の配合比簡易同定法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4590550号 (P4590550)
公開番号 特開2006-105788 (P2006-105788A)
登録日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発行日 平成22年12月1日(2010.12.1)
公開日 平成18年4月20日(2006.4.20)
発明の名称または考案の名称 複合材の配合比簡易同定法
国際特許分類 G01N  27/22        (2006.01)
FI G01N 27/22 C
請求項の数または発明の数 1
全頁数 6
出願番号 特願2004-292995 (P2004-292995)
出願日 平成16年10月5日(2004.10.5)
審査請求日 平成19年9月18日(2007.9.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】脇若 弘之
個別代理人の代理人 【識別番号】100077621、【弁理士】、【氏名又は名称】綿貫 隆夫
【識別番号】100092819、【弁理士】、【氏名又は名称】堀米 和春
審査官 【審査官】田中 洋介
参考文献・文献 特開平03-096848(JP,A)
特開平01-295156(JP,A)
特開2006-058062(JP,A)
W.K.Hsu,et al.,“Circuit elements in carbon nanotube-polymer composites”,CARBON,2004年 4月 8日,Vol.42, No.8/9,pp.1707-1712
調査した分野 G01N 27/00-27/24
JSTPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
あらかじめ配合比のわかっている複数の、CNTと樹脂との複合材であってインジェクション成形によって製造したCNT複合材サンプルに電極を取り付け、LCRメータに接続してCNT複合材サンプルに高周波電圧を印加して、LCRメータにより各CNT配合比におけるCNT複合材サンプルのキャパシタンスを計測しておき、
CNTと樹脂との複合材であってインジェクション成形によって製造した被検体CNT複合材の片面に互いに対向する一対の平行電極を取り付け、CNT複合材サンプルと同様にして被検体CNT複合材のキャパシタンスを計測し、前記あらかじめ求めたCNT複合材サンプルのキャパシタンスとCNT配合比との関係に基づいて、前記計測した被検体CNT複合材のキャパシタンスから被検体CNT複合材のCNT配合比を求めると共に、前記一対の平行電極の取り付け方向を、平行電極の取り付け面内において複数方向に変えてキャパシタンスを計測し、キャパシタンスの変動により、樹脂中におけるCNTの配向方向を推測することを特徴とする複合材の配合比簡易同定法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、CNT(カーボンナノチューブ)と樹脂等の他素材との複合材の配合比簡易同定法に関する。
【背景技術】
【0002】
CNTは樹脂等の他の種々の素材に混入させて、CNT複合材として用いることによって、色々な優れた特性を有する材料として用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来、CNT複合材におけるCNTの配合比を計測するには、断面を顕微鏡で観測してCNTの分散具合を確認したり、あるいはCNT複合材に電極を取り付けて、CNT複合材の導電率を計測し、配合比のわかっているサンプルの導電率と比較することによって配合比を決定(推測)するなどしてい
た。
【0004】
CNTの配合比の計測は、配合比が全くわからないCNT複合材中のCNTの配合量を知る場合に必要であるほか、場合によっては素材同士の配合量があらかじめわかっている場合にも必要な場合がある。例えば、他素材として樹脂を用い、樹脂中にCNTを混合して、インジェクションによって複合材に成形する場合には、溶融樹脂の注入速度や注入圧力等の成形条件によって、成形品中でのCNTの存在箇所が偏ってしまう場合が多く、そのため、複数箇所でのCNTの配合比の計測が必要となる場合などである。
【0005】
しかし、CNT複合材の断面を顕微鏡で観測するのは極めて厄介であり、また正確性を欠く。
また、導電率を測定する場合には、CNT複合材に接触性よく電極を取り付ける必要がある。接触状況によって導電率が大きく変動するからである。したがって、電極の取り付けに非常に苦労しているというのが現状である。また、CNT複合材の抵抗値が高いため、流れる電流が小さく、測定する電圧が安定するのに数時間を要する場合があり、効率的な測定ができないという課題がある。
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、その目的とするところは、電極の取り付け状態にそれ程気を使う必要がなく、したがって操作性よく、かつ短時間で精度よく測定が可能となる複合材の配合比簡易同定法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る複合材の配合比簡易同定法は、あらかじめ配合比のわかっている複数の、CNTと樹脂との複合材であってインジェクション成形によって製造したCNT複合材サンプルに電極を取り付け、LCRメータに接続してCNT複合材サンプルに高周波電圧を印加して、LCRメータにより各CNT配合比におけるCNT複合材サンプルのキャパシタンスを計測しておき、CNTと樹脂との複合材であってインジェクション成形によって製造した被検体CNT複合材の片面に互いに対向する一対の平行電極を取り付け、CNT複合材サンプルと同様にして被検体CNT複合材のキャパシタンスを計測し、前記あらかじめ求めたCNT複合材サンプルのキャパシタンスとCNT配合比との関係に基づいて、前記計測した被検体CNT複合材のキャパシタンスから被検体CNT複合材のCNT配合比を求めると共に、前記一対の平行電極の取り付け方向を、平行電極の取り付け面内において複数方向に変えてキャパシタンスを計測し、キャパシタンスの変動により、樹脂中におけるCNTの配向方向を推測することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
キャパシタンスを計測して、これによりCNT配合比を求める場合には次の利点がある。
すなわち、電流を流して導電率を求める場合に比して、キャパシタンスを計測する場合には、両電極間に電位差が確保されればよいので、電極とCNT複合材表面との厳密な接触性を要求されず、したがって、操作が容易で、かつ精度よくキャパシタンスが求められる。また、導電率を計測する場合には、電圧が安定するまで長時間を要するが、キャパシタンスを計測する場合には、瞬間的に計測が行え、作業効率的に有利である。
また、CNTと樹脂との複合材であってインジェクション成形によって製造した被検体CNT複合材の片面に互いに対向する一対の平行電極を取り付け、該一対の平行電極の取り付け方向を、平行電極の取り付け面内において複数方向に変えてキャパシタンスを計測し、キャパシタンスの変動により、樹脂中におけるCNTの配向方向を推測することができ、CNT複合材の製造条件の検討に資することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明における最良の実施の形態を添付図面と共に詳細に説明する。
図1はCNT複合材10のキャパシタンスを計測する方法の第1の実施の形態を示す説明図である。
この実施の形態では、例えば60×60×2(mm)の大きさの板状に形成したCNT複合材10(ポリプロピレン樹脂中にCNTを配合)を用いた。
【0010】
板状のCNT複合体10の表裏面にアルミニウム板からなる一対の電極12a、12bを接合する。電極12a、12bの接合には接着剤を使用しても良い。
LCRメータ14には、Agilent(アジレント)社製のインピーダンスアナライザ4294Aを用いた。測定用アクセサリ16065Aと電極12aとをリード線16で接続し、電極12bは測定用アクセサリ16065Aに直接接続した。
測定は、電極を通じ、周波数1~10MHzの高周波電圧をCNT複合材10に印加した。電圧は約500mVで行った。
【0011】
まず、あらかじめ配合比のわかっている複数のCNT複合材サンプルを用意する。CNTの配合比として、0.1、0.5、1、2.5、5、7.5、10、15、20wt%の各サンプルを用意し、このサンプルに上記のようにして電極12a、12bを取り付け、LCRメータ14に接続して、周波数1~10MHzの高周波電圧を印加し、CNT複合材サンプルのキャパシタンスを計測した。
【0012】
図2は周波数と計測したキャパシタンスとの関係を示す。図3は、10MHzの高周波を印加した場合の、CNT配合比とキャパシタンスとの関係を示す。CNT配合比が1wt%以下のものでは、そのキャパシタンス特性の差は小さいが、CNT配合比が2.5~20wt%に高くなるにつれて、キャパシタンス値の変化は大きくなった。
このようにして、各周波数ごと、CNT配合比とキャパシタンスとの関係の検量線を作成することができる。
【0013】
被検体CNT複合材のCNT配合比を調べたい場合には、被検体CNT複合材に電極を取り付け、CNT複合材サンプルと同様にして被検体CNT複合材のキャパシタンスを計測し、上記のようにしてあらかじめ求めたCNT複合材サンプルのキャパシタンスとCNT配合比との関係(検量線等)に基づいて、計測した被検体CNT複合材のキャパシタンスから被検体CNT複合材のCNT配合比を求めることができる。
周波数は、図2からわかるように、1~10MHzのいずれの周波数で計測してもよい。
【0014】
キャパシタンスを計測して、これによりCNT配合比を求める場合には次の利点がある。
すなわち、電流を流して導電率を求める場合に比して、キャパシタンスを計測する場合には、両電極間に電位差が確保されればよいので、電極12a、12bとCNT複合材10表面との厳密な接触性を要求されず、したがって、操作が容易で、かつ精度よくキャパシタンスが求められる。また、導電率を計測する場合には、電圧が安定するまで長時間を要するが、キャパシタンスを計測する場合には、瞬間的に計測が行え、作業効率的に有利である。
【0015】
電極位置を変えて、キャパシタンスを計測することによって、CNT複合材の複数箇所でのCNT配合比、したがって、CNT複合材中におけるCNTの分散性を知ることができる。
CNT複合材を樹脂のインジェクション成形装置で成形する場合には、計測したCNTの分散性データをもとに、ゲートの形状や位置、注入樹脂圧、速度などの成形条件を検討でき、CNTがより均一に分散されたCNT複合材を製造することができる。
【0016】
図4は、CNT複合材10のキャパシタンスを計測する方法の第2の実施の形態を示す説明図である。
この実施の形態では、一対の電極のうち、一方の電極12aを島状に配置し、他方の電極12bをこの一方の電極12aを取り囲むリング状電極としている。
このように、両電極をCNT複合材の片面側(同一面)に配置するようにしているので、LCRメータ14との接続が容易で、また計測操作も容易となる利点がある。
【0017】
図5は、CNT複合材10のキャパシタンスを計測する方法の第3の実施の形態を示す説明図である。
この実施の形態では、一対の電極をCNT複合材10の同一面上に配置する点は、第2の実施の形態と同じであるが、一方の電極12aと他方の電極12bとを平行に配置した平行電極に構成している。
CNT複合材をインジェクション成形によって製造する場合、樹脂中に配合したCNTは、樹脂の流れ方向にその向きが揃う傾向にあると考えられる。この樹脂の配向方向と直交する方向に平行電極を配置した場合と、樹脂の配向方向と平行に平行電極を配置した場合とでは、両電極間に流れる電流量が変化し、キャパシタンス値も相違する。
このように、両電極の取り付け方向を変えてキャパシタンスを計測することによって、樹脂の配向方向を推測でき、CNT複合材の製造条件の検討に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】CNT複合材のキャパシタンスを計測する方法の第1の実施の形態を示す説明図である。
【図2】周波数と計測したキャパシタンスとの関係を示すグラフである。
【図3】10MHzの高周波を印加した場合の、CNT配合比とキャパシタンスとの関係を示すグラフである。
【図4】CNT複合材のキャパシタンスを計測する方法の第2の実施の形態を示す説明図である。
【図5】CNT複合材のキャパシタンスを計測する方法の第3の実施の形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
10 CNT複合材
12a、12b 電極
14 LCRメータ

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4