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明細書 :ゲル化状態評価装置、それを備えたゲル製造装置及び豆腐製造装置、並びに、ゲル製造方法及び豆腐製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4604192号 (P4604192)
公開番号 特開2005-315835 (P2005-315835A)
登録日 平成22年10月15日(2010.10.15)
発行日 平成22年12月22日(2010.12.22)
公開日 平成17年11月10日(2005.11.10)
発明の名称または考案の名称 ゲル化状態評価装置、それを備えたゲル製造装置及び豆腐製造装置、並びに、ゲル製造方法及び豆腐製造方法
国際特許分類 G01N  27/22        (2006.01)
A23L   1/20        (2006.01)
FI G01N 27/22 Z
A23L 1/20 104A
請求項の数または発明の数 21
全頁数 24
出願番号 特願2004-294361 (P2004-294361)
出願日 平成16年10月6日(2004.10.6)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2004年7月20日 日本食品工学会発行の「日本食品工学会第5回(2004年度)年次大会講演要旨集」に発表
優先権出願番号 2004101237
優先日 平成16年3月30日(2004.3.30)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成19年10月4日(2007.10.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】羽倉 義雄
【氏名】江川 美実
【氏名】鈴木 寛一
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
【識別番号】100080034、【弁理士】、【氏名又は名称】原 謙三
【識別番号】100113701、【弁理士】、【氏名又は名称】木島 隆一
【識別番号】100116241、【弁理士】、【氏名又は名称】金子 一郎
審査官 【審査官】田中 洋介
参考文献・文献 国際公開第03/087790(WO,A1)
特開昭60-152943(JP,A)
特開昭58-139057(JP,A)
特開2003-106995(JP,A)
Y.P.KHANNA et al.,Phenolic Triazine (PT) Resins.I.Gelation Phenomenon Studied by Calorimetric, Mechanical, and Dielectric Technique,POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,1989年10月,Vol.29 No.20,pp.1488-1491
米安実 他,大豆タンパク質溶液の誘電的性質に及ぼす電解還元処理に影響,日本食品工業学会誌,1982年,Vol.29 No.8,pp.466-471
羽倉義雄 他,非破壊測定法を利用した豆腐凝固過程のモニタリング,日本農芸化学会2004年度大会講演要旨集,2004年 3月 5日,p.210(3A18a04)
調査した分野 G01N 27/00-27/24
G01R 27/00-27/32
A23L 1/20- 1/211
JSTPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
ゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル化過程におけるゲル化状態を評価するための装置であって、
ゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル化過程における静電容量を測定する誘電特性測定手段を備え
上記誘電特性測定手段は、その間にゾル-ゲル転移特性を有する材料を挟む網状平行平板電極を備えているものであることを特徴とするゲル化状態評価装置。
【請求項2】
上記誘電特性測定手段は、豆腐の凝固過程における静電容量を測定する構成となっていることを特徴とする請求項1に記載のゲル化状態評価装置。
【請求項3】
上記誘電特性測定手段により測定された静電容量を記録する記録手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲル化状態評価装置。
【請求項4】
ゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル化過程におけるゲル化状態を評価する方法であって、
ゾル-ゲル転移特性を有する材料を網状平行平板電極で挟み、
当該網状平行平板電極を備える誘電特性測定手段で、ゲル化過程におけるゾル-ゲル転移特性を有する材料の静電容量を測定する工程を含むことを特徴とするゲル化状態の評価方法
【請求項5】
上記ゾル-ゲル転移特性を有する材料は、豆乳または豆腐である、請求項4に記載のゲル化状態の評価方法。
【請求項6】
請求項1~3の何れか1項に記載のゲル化状態評価装置を備えていることを特徴とするゲル製造装置。
【請求項7】
請求項2に記載のゲル化状態評価装置を備えていることを特徴とする豆腐製造装置。
【請求項8】
上記誘電特性測定手段の出力に応じてゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル強度を制御する制御手段を備えていることを特徴とする請求項6に記載のゲル製造装置。
【請求項9】
上記制御手段は、上記誘電特性測定手段の出力に応じてゾル-ゲル転移特性を有する材料の加熱を制御する構成となっていることを特徴とする請求項8に記載のゲル製造装置。
【請求項10】
上記制御手段は、上記誘電特性測定手段がゲル化過程の静電容量値のピークを検出したことを示す出力に応じてゾル-ゲル転移特性を有する材料の加熱を終了するものであることを特徴とする請求項8又は9に記載のゲル製造装置。
【請求項11】
ゾル-ゲル転移特性を有する材料を網状平行平板電極で挟み、
当該網状平行平板電極を備える誘電特性測定手段で、ゲル化過程におけるゾル-ゲル転移特性を有する材料の静電容量を測定する誘電特性測定工程を含んでいることを特徴とするゲル製造方法。
【請求項12】
誘電特性測定工程によって測定された静電容量に基づいて、ゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル強度を制御することを特徴とする請求項11に記載のゲル製造方法。
【請求項13】
上記ゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル強度の制御は、
上記誘電特性測定手段がゲル化過程の静電容量値のピークを検出したことを示す出力に応じてゾル-ゲル転移特性を有する材料の加熱を終了することを特徴とする請求項12に記載のゲル製造方法。
【請求項14】
誘電特性測定工程において得られた静電容量を自動的に記録する記録工程をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載のゲル製造方法。
【請求項15】
請求項11~14の何れか1項に記載のゲル製造方法を用いた豆腐製造方法であって、
上記ゾル-ゲル転移特性を有する材料は、豆乳または豆腐であることを特徴とする豆腐製造方法
【請求項16】
ゾル-ゲル転移特性を有する材料を加熱するための手段、および
ゾル-ゲル転移特性を有する材料を入れるための容器であって、ゾル-ゲル転移特性を有する材料の加熱によって変形しない容器をさらに備える、請求項1~3の何れか1項に記載のゲル化状態評価装置。
【請求項17】
上記容器は、ポリテトラフルオロエチレン製である、請求項16に記載のゲル化状態評価装置。
【請求項18】
上記静電容量を測定する工程において、ゾル-ゲル転移特性を有する材料は、ゾル-ゲル転移特性を有する材料の加熱によって変形しない容器に入れられ、かつ加熱される、請求項4又は5に記載のゲル化状態の評価方法。
【請求項19】
上記容器は、ポリテトラフルオロエチレン製である、請求項18に記載のゲル化状態の評価方法。
【請求項20】
上記誘電特性測定工程において、ゾル-ゲル転移特性を有する材料は、ゾル-ゲル転移特性を有する材料の加熱によって変形しない容器に入れられ、かつ加熱される、請求項11~14の何れか1項に記載のゲル製造方法
【請求項21】
上記容器は、ポリテトラフルオロエチレン製である、請求項20に記載のゲル製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル製造工程におけるゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル化状態を、容易且つ確実に評価することができるゲル化状態評価装置、当該ゲル化状態評価装置を備えたゲル製造装置及び豆腐製造装置、並びに、ゲル製造方法及び豆腐製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
我々の身近にあるゲル化された加工食品として、豆腐が挙げられる。豆腐は伝統食品であり、その製造には職人的な技術が必要とされるが、近年では工場においても大量に生産されている。豆腐の原料である豆乳の凝固は、豆乳にニガリを添加して加熱する加熱工程によってなされており、当該加熱工程における加熱温度が高い程、固い豆腐が得られることが知られている。
【0003】
しかしながら、加熱工程における豆腐の凝固状態を評価する方法は知られていないため、現在、加熱工程の終期は職人的な経験や勘に基づいて決定されている。また、豆腐を大量生産する工場では、通常、豆乳を確実に凝固させるため、必要な時間よりも十分に長い加熱時間が設定されている。このように、豆腐を凝固させるために必要な時間よりも長い時間が設定された場合、過剰時間分のエネルギーが無駄になるという問題がある。また、豆腐を過剰に加熱することによって、豆腐の固さが変化し食味が低下する虞があるという問題も生じる。
【0004】
大量生産を目的とした豆腐の製造に関する技術としては、食感の向上や製造工程に要する時間の短縮等を目的として、種々の技術が提案されており、例えば、以下のものを挙げることができる。
【0005】
特許文献1には、豆腐の製造工程の初期において生じる「呉」と称せられる粉砕・水添された大豆磨砕液を加熱する際に生じる発泡を抑制することにより、処理時間の短縮を図った豆腐製造方法が記載されている。また、特許文献2には、熟練の技を必要とする伝統的な豆腐製造方法に代わって開発された充填豆腐製造方法が記載されている。同文献には、高精度で凝固剤を豆腐に添加混合し、食感に優れた豆腐を製造するために、豆乳に凝固剤を添加した後、攪拌混合し凝固剤の濃度を、電気伝導率を測定することによって検出し、その濃度に応じて凝固剤供給手段を制御する技術が記載されている。

【特許文献1】特開平6-253764号公報(1994年9月13日公開)
【特許文献2】特開2000-102359号公報(2000年4月11日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の製造方法は、その製造効率を向上させるものであるが、加熱工程における豆腐の凝固状態については何ら考慮されていない。また、上記特許文献2に記載の製造方法は、豆腐の製造工程において添加される凝固剤を高精度で制御するものであるが、上記特許文献1と同様に、豆腐の固さに大きな影響を与える加熱工程における豆腐の凝固状態については何ら記載されていない。
【0007】
加熱工程における豆腐の固さ(凝固状態)を直接反映する、測定可能な特性値(パラメータ)があれば、当該特性値を測定することによって、誰でも容易に加熱時間を最適化してエネルギーの無駄を防止することが可能となる。また、当該特性値を電気的に測定できれば、加熱時間を自動的に制御することも可能となる。
【0008】
また、近年、HACCP(ハセップ、食品の衛生管理や品質管理の手法)に対応した生産管理や品質管理の手法として、食品の調理過程を非破壊・連続的に計測する方法が注目されている。このような非破壊計測法とは、測定試料の外部から種々の形態のエネルギーを入力し、このエネルギーが試料の内容状態・形質に影響を受け出力されるとき、このエネルギー変化から試料の内容・形質を評価する方法であり、基本的には試料を破壊しないことが要求される。
【0009】
上記非破壊計測法は、工業分野では、最終製品の形状や内部欠陥などの品質・特性を対象物に傷をつけることなく検査する手法として用いられてきたが、農業、食品および医療など生物を扱う分野や、医薬品原料、石油製品などの化学分野では、比較的新しい品質評価手法である。豆腐を含む食品製造の分野においては、一般に、製品の品質を保証するために、例えば製造ロット(生産単位)に一定量の製品を抜き取って、当該製品を破壊して計測するといった方法による評価がなされている。このような、製造ロットごとに製品の一部を抜き取って検査する抜き取り検査は、煩雑で人手がかかるという問題点がある。また、検査結果は、抜き取られた商品の結果であり、市場に流通している製品そのものの測定結果ではないので、履歴確認の点で十分ではないという問題点もある。
【0010】
製品を破壊して測定する計測法と比較した場合、非破壊計測法の特徴として次の点が挙げられる。
(1)化学薬品類を使用する必要がない。
(2)前処理が簡単であり、迅速な測定が可能である。
(3)生産現場におけるオンライン計測に適合しやすい。
(4)方法によっては、同時に多項目の情報を得ることが可能である。
【0011】
豆腐の品質管理方法としては、上記抜き取り検査以外に、例えば、温度条件等の製造条件を測定することによる管理がなされているが、温度条件等の測定結果は、製造工程における豆腐の状態を直接反映するものではない。このため、製造工程における豆腐の状態を、直接反映する特性値を見出すことができれば、製造工程を保証する上で非常に好ましいといえる。豆腐の製造工程で上記のような特性値を測定し、記録しておくことは、市場に出た後の豆腐の履歴確認(トレーサビリティー)のためにも有効である。
【0012】
また、豆腐の加熱工程においてその凝固状態を反映する特性値を見出すことができれば、現在、経験に基づいて決定されている、加熱工程の終期を、容易且つ確実に決定することが可能となるが、このような特定値は現在知られていない。
【0013】
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、豆腐の製造工程における状態、特に凝固過程を捕捉することが可能な特性値を求め、当該特性値を利用した豆腐凝固状態評価装置、豆腐製造装置及び豆腐製造方法を実現することにある。さらに、上記と同様の原理を利用することによって、ゲル製造工程におけるゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル化状態を、容易且つ確実に評価することができるゲル化状態評価装置、当該ゲル化状態評価装置を備えたゲル製造装置、及びゲル製造方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の発明者らは、電場中に物質をおいた場合に、電気力によって正・負両電荷が分離し移動する挙動の変化を、静電容量等の静電特性の変化として観測できることに着目した。そして、加熱工程におけるゾル-ゲル転移特性を有する材料(例えば、豆腐。以下、ゾル-ゲル転移材料とする)の電気容量の変化を測定することによって、ゾル-ゲル転移材料(豆腐)の内部構造を破壊することなく分析可能であることを見出した、より具体的には、ゾル-ゲル転移材料のゲル化過程、豆乳・豆腐でいえば凝固(固化)過程、における静電容量の変化が、ゾル-ゲル転移材料のゲル化状態(豆腐の凝固状態)と直接的相関していることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明のゲル化状態評価装置は、上記の課題を解決するために、ゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル化過程における誘電特性を測定する誘電特性測定手段を備えていることを特徴としている。
【0016】
これにより、ゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル化過程における当該材料のゲル化状態を実時間(リアルタイム)で評価、捕捉することが可能となる。したがって、当該材料のゲル化状態を容易且つ確実に評価することができる。したがって、ゲル化過程におけるゲル化状態を容易且つ確実に把握することができるとともに、ゲル化の終点を容易且つ確実に特定することができる。
【0017】
なお、ゾル-ゲル転移特性を有する材料(ゾル-ゲル転移材料)とは、加熱や添加剤を添加することによってゾル状態の物質がゲル化する性質を有する材料のことであり、具体的には、以下に示す豆腐以外にも、卵、卵を使用した加工食品、ゼラチンを用いた加工食品等であってもよい。
【0018】
また、本明細書中におけるゲル化過程とは、ゾル状態の物質がゲルになる過程のみならず、ゲル状態の物質がゾルになる過程も含んでいる。
【0019】
上記誘電特性測定手段は、豆腐の凝固過程における誘電特性を測定する構成となっていることが好ましい。
【0020】
これにより、豆腐の凝固過程における豆腐の凝固状態を実時間(リアルタイム)で評価、捕捉することが可能となる。したがって、豆乳にニガリを加えた状態で加熱凝固させる際の、豆腐の凝固状態を容易且つ確実に評価し、凝固の終点を特定することができる。このため、加熱工程の終点を、容易且つ確実に特定することが可能となる。
【0021】
上記誘電特性測定手段は静電容量を測定するものであることが好ましい。電場内で誘電体試料が示す誘電特性のうち、静電容量はゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル化過程、具体的には、豆腐であれば豆腐の凝固過程における状態を良好に反映するパラメータであるから、静電容量を測定することにより、ゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル化状態(豆腐の凝固状態)を確実に評価することができる。具体的には、例えば、豆腐の凝固過程における静電容量を制御することで豆腐のゲル強度を調整することができる。すなわち、静電容量を制御することで、所望の固さの豆腐を製造することができる。
【0022】
上記誘電特性測定手段は、その間にゾル-ゲル転移特性を有する材料を挟む平行平板電極を備えていることが好ましい。平行平板電極は高温でも使用可能であるため、例えば、豆腐であれば、加熱による凝固過程を連続的に測定することができる。また、平行平板電極は安価であり、且つ測定方法は簡便であって熟練した技術を必要しないから、実際の製造現場への導入が容易であるという利点がある。
【0023】
本発明のゲル化状態評価装置は、上記誘電特性測定手段により測定された誘電特性を記録する記録手段をさらに備えていることが好ましい。
【0024】
上述したとおり、本発明のゲル化状態評価装置によれば、ゲルの製造工程におけるゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル化状態を簡易かつ確実に測定することができる。また、ゲル化状態評価装置は、ゾル-ゲル転移特性を有する材料を破壊することなく、ゲル化状態を電気的な信号の情報として得ることができる。このため、上記誘電特性測定手段により測定された誘電特性を、記録手段に記録することにより、ゾル-ゲル転移特性を有する材料(ゲル)の製造履歴を管理するために好ましい情報を、容易、確実且つ自動的に得ることが可能となる。また、上記情報は電気的な信号として得られるから、コンピュータ制御等による自動的な記録に適している。
【0025】
さらに、記録手段により記録された誘電特性は、ゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル化状態、例えば豆腐の凝固状態を直接反映したものであるから、ゲルの製造工程において何らかの異常が生じた場合に、当該異常をいち早く検出することができる。これにより、ゲル製造装置に異常が発生し多くの不良品が製造された後、抜き取り検査によって初めて異常が見出されといったことにより、無駄の発生を確実に防止することができる。
【0026】
本発明のゲル製造装置は、上記のゲル化状態評価装置を備えていることを特徴としている。本発明のゲル化状態評価装置を備えることにより、ゲル製造装置は、ゲル化状態を容易且つ確実に評価することが可能となる。
【0027】
本発明のゲル製造装置は、上記誘電特性測定手段の出力に応じてゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル強度を制御する制御手段を備えていることが好ましく、具体的には、上記誘電特性測定手段の出力に応じてゾル-ゲル転移特性を有する材料の加熱を制御する制御手段を備えていることが好ましい。
【0028】
この構成により、例えば、豆腐であれば、豆腐を加熱して凝固させる際に、上記誘電特性測定手段により測定された静電容量によって、豆腐の凝固状態を把握することができる。このため、当該静電容量の出力(データ)に基づいて、制御手段は、例えば、豆腐への加熱条件の変更、加熱の停止、再開、終了等を制御することが可能となる。これにより、豆腐の凝固状態を実時間で反映して加熱条件を調整することができる。よって、従来、非常に特定することが困難であった豆腐の凝固の終点に基づいて、豆腐の加熱条件を制御することが可能になる。
【0029】
また、上記制御手段は、上記誘電特性測定手段がゲル化過程の静電容量値のピークを検出したことを示す出力に応じてゾル-ゲル転移特性を有する材料の加熱を終了するものであることが好ましい。
【0030】
上記の構成により、ゲル、例えば豆腐を製造する際に、豆腐が凝固した後、さらに余分な熱が加えられることによるエネルギーの浪費を確実に防ぐことができる。すなわち、ゲル(豆腐)の凝固過程の終点を自動的に判定することにより、ゲル製造工程(豆腐製造工程)における省エネルギー化を実現することができる。また、過剰な加熱による豆腐の食味低下を防ぐこともできる。
【0031】
本発明のゲル製造方法は、ゲル化過程におけるゾル-ゲル転移特性を有する材料の誘電特性を測定する誘電特性測定工程を含んでいることを特徴としており、誘電特性としては、静電容量が好ましく用いられる。例えば、上記誘電特性測定工程は、凝固過程における豆腐の誘電特性を測定することが好ましい。
【0032】
また、本発明のゲル製造方法は、誘電特性測定工程によって測定された誘電特性に基づいて、ゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル強度を制御することが好ましい。
【0033】
これにより、例えば、豆腐の凝固過程における静電容量を制御することで豆腐のゲル強度を調整することができる。すなわち、静電容量を制御することで、所望の固さの豆腐を製造することができる。
【0034】
以上のように、本発明に係るゲル製造方法を用いれば、豆腐以外であっても、卵を使用した加工食品等の固さも確実にコントロールして製造することができる。よって、食品(飲料)の飲み込みに障害がある、所謂、嚥下障害がある高齢者等に提供する食品(加工食品)の製造方法に画期的に利用することができる。
【0035】
本発明のゲル製造方法は、誘電特性測定工程において得られた誘電特性を自動的に記録する記録工程をさらに備えていることが好ましい。これにより、ゲルの製造工程の製造履歴として有用な情報を自動的に記録することができる。したがって、当該記録された情報を用いて、ゲルの衛生管理や品質管理を行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
ゲル化状態評価装置は、以上のように、ゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル化過程における誘電特性を測定する誘電特性測定手段を備えているので、当該材料のゲル化状態を、当該材料に接触することなく、電気的な信号として取得することができる。これにより、当該材料のゲル化過程を定量的に捕捉することができ、また、得られた情報をゲルの衛生管理や品質管理に利用することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
まず、本発明において、ゾル-ゲル転移特性を有する材料のゲル化状態、例えば、豆腐の凝固状態を評価する特性値として見出した誘電特性の意義について説明する。
【0038】
〔誘電特性の意義〕
電場中に物質をおくと、電気力によって正・負両電荷が分離し、または移動する。その挙動は、電気容量(静電容量)などの誘電特性として観測される。さらに、低周波から高周波までの広い測定周波数範囲にわたって測定すると、誘電特性はいろいろな変化をする。これらの全体挙動を理論解析すると、
(1)試料を構成する原子・分子の電気極性にかかわる構造と運動状態。
(2)分子の集合した系、会合、ミセルなどの構造。
(3)分子多数集合の集合様式。
(4)巨視的概念の相が多く集合した不均質集合系の構造。
などを、内部構造を破壊することなく、分析することができる。
【0039】
本発明では、電気的方法の1つである誘電特性(特に静電容量)を測定することにより、ゾル-ゲル転移特性を有する材料内部の品質変化を非破壊・連続的に評価することができることを見出した。静電容量とは、電場内で誘電体試料が示す誘電特性の1つであり、誘電特性としては、他に、誘電損失、誘電緩和、誘電分極などが挙げられる。
【0040】
ゲル製造工程における、静電容量の測定の利点として、次のような点が挙げられる。
(1)非接触計測であるため、ゲルの汚染の恐れがない。連続計測であるため、ゲルを製造しながらの測定が可能である。
(2)試料に薬品処理を加えないため、ゲルへの薬品汚染がない。
(3)測定法が簡便なため、特別に熟練した技術を必要としない。
【0041】
ゲル、例えば豆腐は、電気的には誘電体であるので、その静電容量を測定することより、その物理化学的状態を数値化された情報として把握することができ、ゲル(豆腐)の品質や加工程度を定量的に評価することが可能であると考え、ゾル-ゲル転移特性を有する材料として豆腐(豆乳)を用いて、豆腐のゲル化状態(凝固状態)と静電容量との相関性を調べたところ、後述するとおり、非常に良好な相関性を示すことを見出した。
【0042】
なお、以下で説明する本実施の形態は、ゾル-ゲル転移特性を有する材料として豆乳(豆腐)を例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ゾル-ゲル転移特性を有する材料であればよい。ゾル-ゲル転移特性を有する材料とは、加熱や添加剤を添加することによってゾル状態の物質がゲル化する性質を有する材料のことであり、具体的には、以下に示す豆腐以外にも、卵、卵を使用した加工食品、ゼラチンを用いた加工食品等であってもよい。
【0043】
なお、豆腐のゲル形成については次のようなことが考えられている。豆乳を加熱すると豆乳中のタンパク質成分の緊密な構造が崩れて反応基が露出し、活性化して分子結合が促進する。これに凝固剤を加えると、タンパク質が凝集し、これらが巨大化し、ついで不溶化して豆腐が出来上がる。この過程では種々のタイプの結合が起こるが、特に分子間のS-S結合の関与率が高いと考えられている。また、豆腐の凝固状態を左右する要因としては、凝固時間、凝固温度、凝固剤の種類および添加量、豆乳の濃度などが挙げられる。
【0044】
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すると以下の通りである。なお、本実施の形態においては、本発明にかかるゲル製造装置を用いて豆腐を製造した場合について説明する。ただし本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。なお、便宜上、本実施の形態においては、ゲル化評価装置を豆腐状態評価装置と称する。
【0045】
本発明の豆腐凝固状態評価装置10の概略構成を図1に示す。同図に示すように、豆腐凝固状態評価装置10は、概略的に、一対の平行平板電極(誘電特性測定手段)11を備えた豆腐槽12と、当該豆腐層12の温度を所定の範囲とする恒温槽13と、LCRメータ(誘電特性測定手段)14と、コンピュータ(制御手段、記録手段)15とを備えて構成されている。なお、コンピュータ15は、図示しないが、制御手段としての中央演算処理装置(CPU)及び記録手段としてのメモリを備えており、メモリは例えばハードディスクなどにより構成することができる。
【0046】
その間に豆腐(ゾル-ゲル転移特性を有する材料)20を載置して、静電容量を測定するものである平行平板電極11は、LCRメータ14に接続されている。LCRメータ14によって測定された静電容量のデータは、コンピュータ15に出力され、そのメモリに記録される。平行平板電極11と豆腐槽12との接触による電極分極を防ぎ、且つ絶縁するために、平行平板電極11を例えば絶縁性が高いシリコン板を介して豆腐槽12に設けることとしてもよい。
【0047】
平行平板電極11は、一対の略平行に配置された導電性の平板であればよく、平板の形状及び素材は特に限定されるものではないが、本実施の形態においては、開孔率が平行平板電極全面積の約40%である、ステンレス製のパンチング板により構成された、網状平行平板電極を用いている。平行平板電極11として、複数の部分が打ち抜かれて網状となっている網状平行平板電極を用いることにより、平行平板電極11の伝熱効率を向上させることができる。また、平行平板電極11への外部からの、電気的なノイズをカットするために、豆腐槽12をシールドで囲い、当該シールドをアースに接続する構成としても良い。豆腐槽12内の温度の制御は、豆腐槽12を覆うように設けられている恒温槽13により行う。
【0048】
恒温槽13は、一般的に豆腐を製造する際に用いられる範囲の任意の温度に設定することができるものであれば良いが、本実施の形態では、ヒータ16によって液体を加熱し、攪拌機17によって攪拌してその内部の温度を一定にすることにより、豆腐槽12内の豆腐20の温度を制御するものを用いる。
【0049】
本実施の形態において、誘電特性測定手段として用いるLCRメータ14は、L(リアクタンス)、C(キャパシタンス)、R(レジスタンス)を測定する装置で、電子部品の検査、品質管理、研究開発に有効な汎用装置である。その測定原理は、被測定物に電流を流して、被測定物両端の電圧を測定して、電圧と電流の関係(インピーダンス=電圧÷電流)からインピーダンスを求めることである。
【0050】
LCRメータ14による測定周波数は、特に限定されるものではなく、1m~100kHzの範囲とすればよいが、1kHz程度に設定して誘電特性を測定することによって、ノイズの影響を受けにくく、クリアに誘電特性を測定することができる。
【0051】
なお、図1では、恒温槽13により、豆腐20に熱を加える構成について示しているが、これ以外に、例えば、豆腐20に通電することによって発生するジュール熱を用いて豆腐20を加熱する加熱手段を用いても良い。この場合、加熱手段によって、豆腐20に対して、電流を断続的に流したり、電流量を調整したりすることによって、豆腐20の温度を制御することができる。
【0052】
恒温槽13とLCRメータ14とは、何れもコンピュータ15に接続されている。本実施の形態の豆腐凝固状態評価装置10は、LCRメータ14からコンピュータ15に出力された豆腐20の静電容量の測定結果を示すデータ(信号)に基づいて、恒温槽13による豆腐20の加熱が制御される。すなわち、コンピュータ15は、LCRメータ14からの豆腐20の静電容量の測定結果に基づいて、豆腐槽12を制御することができる。これにより、豆腐20の凝固状態をコンピュータ15によって監視(モニター)しながら、豆腐20の静電容量測定結果に基づいて、実時間(リアルタイム)で豆腐20の加熱を制御することが可能になる。
【0053】
たとえば、コンピュータ15は、静電容量の測定結果に基づいて豆腐20が凝固したか否かを判断できるから、豆腐20の凝固が完了した時点よりも後に、恒温槽13により余計に豆腐20が加熱されることを防止できる。このため、豆腐20が凝固するのに十分な時間の加熱がなされた後、さらに加熱されて無駄なエネルギーが使われること、及び、過剰な熱により豆腐20の食感が低下することを確実且つ容易に防止することができる。
【0054】
また、後述する実施例2のように、本実施の形態の豆腐凝固状態評価装置10を用いれば、豆腐のゲル強度の変化と静電容量の変化との間には非常に良好な相関関係があることが示されている。これによれば、豆腐の凝固状態を良好に反映するパラメータとして静電容量測定結果を用いることができ、豆腐の凝固状態を確実に評価することができる。したがって、静電容量測定結果に基づいて、豆腐20の加熱を制御すれば、豆腐のゲル強度を調整することができる。すなわち、静電容量を制御することによって、所望の固さの豆腐を製造することができる。本発明は、豆腐以外であっても、卵を使用した加工食品等の固さも確実にコントロールして製造することができる。よって、食品(飲料)の飲み込みに障害がある、所謂、嚥下障害がある高齢者等に提供する食品(加工食品)の製造方法に画期的に利用することができる。
【0055】
本実施の形態の豆腐凝固状態評価装置10では、豆腐20の誘電特性を測定する誘電特性測定手段として、平行平板電極11を接続したLCRメータ14を使用している。平行平板電極11をLCRメータ14に接続して形成された誘電特性測定装置では、静電容量などの誘電特性の測定を、高い精度で行うことが可能である。また静電容量の測定精度は、平行平板電極11の距離が狭いほど向上するから、目的とする静電容量の測定制度に応じて、平行平板電極11の距離を調整すればよい。また、静電容量の測定を行う平行平板電極11は、高温でも使用可能なので、豆腐20の熱変性過程(加熱による凝固過程)を連続的に測定することができる。
【0056】
したがって、本発明は以下のように換言することができる。すなわち、上記豆腐凝固状態評価装置は、豆腐の凝固過程における誘電特性を測定する誘電特性測定手段を備えていることを特徴とすることもできる。
【0057】
また、この場合、上記誘電特性測定手段が、静電容量を測定するものであることを特徴としている。
【0058】
また、上記誘電特性測定手段は、その間に豆腐を挟む平行平板電極を備えているものであることを特徴としている。
【0059】
また、上記豆腐凝固状態評価装置を備えた豆腐製造装置は、上記誘電特性測定手段の出力に応じて豆腐の加熱を制御する制御手段を備えていることを特徴としている。
【0060】
また、上記制御手段は、上記誘電特性測定手段が豆乳凝固剤添加後の静電容量値のピークを検出したことを示す出力に応じて豆腐の加熱を終了するものであることを特徴としている。
【0061】
また、本発明の製造方法は以下のように換言することができる。すなわち、豆腐製造方法は、凝固過程における豆腐の誘電特性を測定する誘電特性測定工程を含んでいることを特徴とすることもできる。
【0062】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例1】
【0063】
〔誘電特性の測定〕
図1に示す本発明の豆腐製造装置を用いて、以下の手順により豆腐の誘電特性の測定を行った。
(1)プラスチック袋に試料として豆乳を入れ、平行平板電極11の間に挿入した。また、本実施例においては、平行平板電極11として、そのサイズが縦12cm×横20cm、電極板間1cmの網状平行平板電極を用いた。
(2)平行平板電極11を恒温槽13内の豆腐槽12内に静置した。
(3)恒温槽13内の温度を所定温度に設定し、LCRメータ14を用いて豆腐20の誘電特性の変化を測定した。
(4)測定周波数1kHzにおいて、豆腐20の静電容量を1分間隔で測定した
〔粘性測定装置〕
本研究では、豆腐のゲル強度の測定を目的として、豆腐の粘性を測定した。粘性測定には、高分子材料の流動曲線を求めるために利用される、シリンジを用いたキャピラリーレオメータを用いた。まず、キャピラリーレオメータの測定原理について、簡単に説明する。キャピラリーレオメータは、工業的には高分子溶融体や未加硫ゴムの粘性測定に利用されることが多く、高せん断領域での測定を目的とした毛管押出式粘度計に属する。その測定部の構造を図2に示した。
【0064】
バレル内に挿入された試料は、流動状態に達した後、ピストンによって力Fで押し下げられバレルの下部に取り付けられたキャピラリー状のダイの孔を通過して流出するようになっている。そのときのバレル内の圧力Pは、ピストンによる圧力として検出される。さらに、このときの試料の流量Qは、押出容積Vと押出時間tとから、次式によって求められる。
【0065】
見かけのせん断応力、せん断速度および粘度は、それぞれ(2)式、(3)式および(4)式によって算出される。
【0066】
【数1】
JP0004604192B2_000002t.gif

【0067】
〔実験装置の概略〕
豆腐の粘度(粘性)の測定に用いた実験装置の概略を図3に示した。レオメータ(R-UDJ-DM-2 サン科学社製)の試料台に、図2に示すシリンジを設置した。試料台を一定の速度で押し上げ、感圧軸取付部でピストンを押し下げたときの圧力を、ペンレコーダ(3407 YOKOGAWA社製)で記録した。
【0068】
〔実験装置の詳細〕
(レオメータ)
本実施例では、サン科学社製、R-UDJ-DM-2レオメータを使用した。このレオメータでは、荷重2000gまで測定することができ、試料台を押し上げる速度も2、4、6、20cm/minと変化させることができる。そこで、本実験では、ピストンの圧力変動が安定していた速度4cm/minで測定を行った。
【0069】
(自作シリンジ)
図4(a)に示すように、シリンジ(SS-05S、テルモ社製)の先端部約10mmをカッターで切断し、アクリル棒で先端部を自作した。そして、図4(b)に示す自作先端部を、Oリング(内径9.9mm×太さ1.9mm、カクダイ社製)を用いて図4(a)に示す先端部を切断したシリンジに固定・密着させたものを自作シリンジとした。図4(b)に示すように、自作シリンジの先端部は、図2におけるキャピラリーに相当する部分が、内径4mmで長さを20mmとした。
【0070】
なお、シリンジのピストン部が使用回数を重ねるごとに劣化し、ピストン部の摩擦が測定結果に大きな影響を及ぼすため、シリンジは使い捨てにした。
【0071】
〔実験手順〕
以下の実験手順で、豆腐の粘性を測定した。
(1)粘性測定用試料の豆腐を室温に戻し、自作シリンジ内に充填した。
(2)レオメータ(R-UDJ-DM-2、サン科学社製)を用いて、4cm/minの速度でピストンを押し下げ、自作シリンジ先端のキャピラリーからゲルを押し出した
(3)ピストンの圧力がほぼ一定になったときを圧力Pとし、見かけの粘度ηaを(4)式を用いて算出した。
【0072】
〔本粘性測定装置の健全性〕
本研究では、シリンジを用いて実験装置を自作したため、その健全性を確認するために、粘度が既知の98.5%グリセロール(ナカライテスク社製)を使用して、本実施例において用いた測定装置を検定した。
【0073】
20℃における98.5%グリセロールの粘度は、10.8Pa・sであることが知られている。これに対し、当該98.5%グリセロールの粘度を、本粘性測定装置で測定した結果は18.07Pa・sであった。この測定結果より、本研究で使用した粘性測定装置は健全であると判断した。
【0074】
〔豆腐の誘電特性の測定〕
豆腐の凝固は豆乳の鮮度によって異なることが明らかとなったため、同一条件での実験を実施することを目的として、実験試料として自作の豆乳を用い、豆腐凝固過程における誘電特性の変化を測定した。また、豆乳(豆腐)の静電容量測定においては、後述する業務用の密封式スタンディングパウチを使用した。
【0075】
(試料及び実験方法)
(A) 試料
豆乳は下記の方法で自作したものを使用した。凝固剤として硫酸カルシウム二水和物(シグマ アルドリッチ ジャパン社製)を使用した。硫酸カルシウムは豆乳の0.4wt%とした。
(1)大豆(フクユタカ、平成14年度佐賀県産)100gを水で洗浄し、4倍量の水を用いて浸漬し、室温で約15時間吸水させた。
(2)吸水させた大豆と浸漬水を、家庭用ミキサー(MV-V100 松下電器社製)を用いて約2分間粉砕し、液状の生呉を作った。
(3)生呉と水200gを鍋に移し、よく攪拌しながらガスコンロの強火で一煮立ちさせ、さらに弱火で5分間加熱した。
(4)加熱した呉を豆腐用濾過袋(川野織布社製)で濾過し、豆乳とおからに分けた。豆乳濃度計(SM-20E、アタゴ社製)で測定した豆乳の濃度(大豆固形分)は約11%であった。
【0076】
(B) 実験方法
誘電特性の測定には図1に示した豆腐凝固状態評価装置10を用いた。実験手順は以下の通りである。
(1)業務用の密封式スタンディングパウチ(LZ-12、生産日本社製)に豆乳130gを入れ、平行平板電極11間に挿入した。
(2)平行平板電極を恒温槽内のシールド容器内に静置した。
(3)温度制御装置で恒温槽内の温度を任意の温度(70~90℃)に設定し、LCRメータ(3522-50 HIOKI社製)を用いて誘電特性の変化を測定した。
(4)豆乳の温度が設定温度に達し、静電容量が安定した後、凝固剤として水10gで希釈した硫酸カルシウム(シグマ アルドリッチ ジャパン社製)0.52gを加え、よく攪拌し、誘電特性の測定を続けた。
(5)測定周波数1kHzにおいて静電容量を1分および20秒間隔で測定した。
【0077】
〔測定結果〕
豆乳(硫酸カルシウム未添加)の加熱時の静電容量の変化を図5に示した。また、凝固温度がそれぞれ70、80、90℃の豆腐の加熱凝固過程を、それぞれ、図6、7、8に示した。図6~8のグラフから、加熱開始後40分前後に豆乳温度が設定温度に達したことがわかる。また、図6~8において、加熱開始後40分までに見られる静電容量の増加は、豆乳の温度上昇によるものであると考えられる。豆乳の温度が上昇するに従い、豆乳を構成する成分の分子の運動性の自由度が増すため、静電容量が増加したものと考えられる。
【0078】
図6~8では、豆乳に凝固剤(CaSO)を加えることにより、豆乳の静電容量が増加している。これは大豆タンパク質のS-S結合による豆腐の凝固過程を示していると考えられる。図6~8より、凝固温度の相違によって、静電容量の増加量が相違する傾向がみとめられる。そこで、豆乳の凝固温度に対して、静電容量増加量ΔCをプロットした結果を図9に示した。
【0079】
図9には、豆乳の凝固温度が高くなるに従って、静電容量増加量△Cも増加することが示されている。豆腐のゲル強度は、凝固温度が高くなるほど増加することが知られているから、図9に示す静電容量増加量△Cは、豆腐のゲル強度の増加を表しているといえる。
【0080】
図10に、短時間で終了する豆腐の凝固過程に関し、凝固剤添加直後の静電容量の変化をより詳しく測定したものを示した。比較のために、加熱後の豆乳に水10gのみを添加(硫酸カルシウム未添加)した実験系における静電容量の変化を図11に示す。
【0081】
図10及び図11より、凝固剤添加後80秒までの変化は、豆乳に水のみを添加した実験系でも起こっている変化であることが分かる。このため、凝固剤添加後80秒までの変化は、豆腐の凝固過程を捕捉した変化ではなく、豆乳に凝固剤又は水を加えたことによる外乱の影響であると考えられる。
【0082】
また、図10と図11との比較により、凝固剤の豆乳への添加80秒から300秒後に起こっている変化は、豆乳に水のみを加えた実験系における静電容量の増加(図11)よりも、豆乳に凝固剤を添加した実験系における静電容量の増加(図10)のほうが明らかに大きいことが分かる。これにより、図10に示されている静電容量の増加は、豆腐の凝固過程(豆乳が凝固して豆腐となる過程)捕捉したものであることが分かる。すなわち、豆腐の製造工程において、豆乳(豆腐)の静電容量を測定することにより、豆乳が凝固する過程を評価することが可能であることが分かる。
【0083】
〔豆腐の物性測定〕
豆腐凝固過程において、凝固温度により静電容量の増加量が異なる傾向が認められた。既往の研究で、凝固温度が高くなるほど豆腐のゲル強度も増加することが知られており(斎尾恭子:食品の物性 第5集 豆腐の組織と物性、p.96-97、食品資材研究会(1979))、静電容量の増加量が、豆腐のゲル強度の増加を表しているものと考えられる。
【0084】
そこで、図3に示すキャピラリーレオメータを用いて粘性試験を行い、豆腐のゲル強度を、以下の方法により測定した。
【0085】
(試料及び実験方法)
(A) 試料
上述した誘電特性の測定で凝固させた豆腐を粘性測定用の試料とした。試料は任意の時間ごとに恒温槽内より取り出し、豆腐の凝固反応を止めるために、約10分間氷冷した後、測定に使用した。
【0086】
(B) 実験方法
粘性の測定には、自作シリンジを用いた粘性測定装置(図3参照)を用いた。以下の実験手順で、豆腐の粘性を測定した。
(1)粘性測定用試料の豆腐を室温に戻し、シリンジ内に充填した。
(2)レオメータ(R-UDJ-DM-2、サン科学社製)を用いてピストンを押し下げ、シリンジ先端のキャピラリーからゲルを押し出した。
(3)ピストンの圧力がほぼ一定になったときの圧力Pを測定し、見かけの粘度を(5)式により算出した。
【0087】
【数2】
JP0004604192B2_000003t.gif

【0088】
〔豆腐の粘性変化の測定結果及び考察〕
凝固温度に対する凝固終了後の豆腐の粘度変化を図12に示した。上述したように、既往の研究より、豆腐のゲル強度は温度が高くなるに従って増加し、特に90℃で急激に増加することが知られている。図12より、本実験で凝固させた豆腐も同じように、温度が高くなるに従って粘度が増加し、特に90℃で急激に増加していることがわかる。これは、凝固温度が高くなるに従って、豆腐ゲルの網目構造を構成しているタンパク質微粒子が大きくなり、網目は細かいが、所々に大きな空隙がある豆腐になるためであると考えられる。
【0089】
また、豆腐凝固過程における試料の粘度変化を図13に示した。時間0秒が、凝固剤を添加した時間である。図13より、凝固剤添加後300秒以降の粘度があまり変化していないため、凝固剤添加後300秒程度で豆腐の凝固が、ほぼ終了していることが示されているといえる。300秒後に徐々に粘度が増加しているが、これは、本実験は開放系であるため水が蒸発し、豆腐のゲル強度が徐々に増加したものと考えられる。
【0090】
〔豆腐の誘電特性と豆腐の粘度との関係〕
70~90℃の任意の温度における豆腐凝固過程の静電容量の変化を測定した結果を図6~8に示した。これらの図に示された測定結果から、凝固温度によって静電容量の増加量が異なる傾向が認められた。図9に示すように、凝固温度に対する静電容量増加量ΔCをプロットしたものにより、凝固温度が高くなるに従って、静電容量増加量が増える傾向が認められた。このことは、温度による変化ともいえるが、既往の研究より、凝固温度が高くなるほど豆腐のゲル強度も増加することから、豆腐のゲル強度の増加を表している可能性が高いといえる。
【0091】
そこで、豆腐のゲル強度の測定として、シリンジを用いた粘性測定装置を使用し、豆腐の粘度を測定した。この結果、凝固温度に対する豆腐の粘度の変化に関して、凝固温度が高くなるに従って、豆腐の粘度が増大える傾向が認められた。特に、凝固温度90℃の実験系において、急激に粘度が増加していた。このことは、図9に示す凝固温度に対する静電容量増加量ΔCが示した結果と良好な相関関係があった。このことから、凝固温度に対する静電容量増加量の変化は、豆腐の凝固過程の進行による粘度の変化を示しているものと認められた。
【0092】
次に、豆腐の凝固は短時間で終了するために、凝固剤添加直後の静電容量の変化をより詳しく測定し、その結果を図10に示した。また、豆腐凝固過程の任意の時間における豆腐の粘度の変化を測定した結果を図13に示した。同図では、時間0秒が凝固剤を添加した時点を示している。
【0093】
図14は、豆腐凝固過程における静電容量の変化(図10)および豆腐の粘度の変化(図13)をあわせて示したものである。同図より、凝固剤添加後300秒までに見られる豆腐凝固における静電容量の増加(変化)と、豆腐の粘度の増加(変化)との間に、非常に良好な相関関係があることが認められる。また、実際に、豆腐凝固過程における試料の粘性を測定し、その測定結果から求めた豆腐凝固終了時間(凝固剤添加後300秒)において、静電容量が最大値を示した。以上の結果から、静電容量が最大値を示す時点が、豆腐の凝固終了時点を示すものであることが分かる。すなわち、以上のとおり、豆腐の凝固過程は、豆腐の静電容量を測定することによって非破壊的に捕捉することが可能なことが分かった。
【0094】
ところで、凝固剤添加後300秒以降、静電容量はわずかに減少し、豆腐の粘度はわずかに増加している。これは、本実験系は開放系であるため、蒸発により試料中の水が減少することが原因であると考えられる。静電容量は試料中の分子の運動状態を反映するため、水分子が減少することで静電容量が減少すると考えられる。また、試料中の水が減少することで、豆腐のゲル強度がわずかに増加したものと考えられる。
〔誘電特性を利用した豆腐凝固過程の捕捉〕
近年、食品製造における生産管理や品質管理の手法として、食品の調理過程を非破壊・連続的に計測する方法が注目されている。本発明によれば、豆腐の加熱凝固過程を誘電特性の変化から定量的に捕捉することができるから、豆腐の生産管理や品質管理に非常に有効である。
【0095】
上述したとおり、豆腐凝固過程における誘電特性の変化を測定した結果、豆腐が凝固する過程で静電容量が増加した。一般的に、タンパク質が凝固すると、水分子の自由度が減るため静電容量は減少するといわれている。しかし、本研究では豆腐の凝固過程における静電容量が増加した。これは、豆腐が凝固する際のゾル-ゲル転移が、水分子の自由度の減少から生じる静電容量の変化よりも、大きな変化を示したためであると考えられる。
【0096】
次に、豆腐のゲル強度を測定する目的で、豆腐の粘度を測定した。豆腐凝固過程における静電容量の変化と凝固剤添加後の任意の時間における豆腐の粘度の変化を比較したところ、両者は良好な相関関係を示した。加えて、粘性測定結果により求められた豆腐凝固終了時間に、静電容量が最大値を示した。このことから、静電容量を測定しその値が最大値を示す時点を求めることにより、豆腐の凝固終了時点を、豆腐を破壊することなく、誘電特性を用いて定量的に捕捉できることが明らかとなった。
【実施例2】
【0097】
〔豆腐の誘電特性のより詳細な測定〕
豆乳(豆腐)の静電容量測定について、より詳細に測定した。試料及び実験方法としては、上記の〔豆腐の誘電特性の測定〕に記載したものと略同じであるが、以下の点で異なる。
【0098】
上記実施例1では、凝固剤として硫酸カルシウム二水和物(シグマ アルドリッチ ジャパン社製)のみを用いているが、本実施例では、この他に、グルコノデルタラクトン(GDL)を凝固剤として使用した。また、実験方法として、上記実施例1では業務用の密封式スタンディングパウチ(LZ-12、生産日本社製)に豆乳130gを入れていた。これに対し、本実施例では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを用いて自作した耐熱袋に入れた。
【0099】
具体的には、豆乳130gをPTFEシートで自作した耐熱袋に入れ、凝固剤として水10gで希釈したグルコノデルタラクトン(GDL)0.39gまたは硫酸カルシウム0.52gを加え、よく攪拌した。この試料入り耐熱袋を網状平行平板電極の間に置いた。さらにこの電極板を75℃に設定した自作の恒温槽内に静置させ、LCRメータを用いて誘電特性の変化を測定した。測定周波数1kHzにおいて静電容量Cを30秒間間隔で測定した。
【0100】
〔測定結果〕
図15及び図16に、凝固剤として硫酸カルシウムまたはGDLを用いた場合のそれぞれの豆腐の凝固過程における静電容量の変化を示した。図15及び図16から、加熱時間に伴い静電容量は増加し、その後一定(硫酸カルシウムを用いた場合の豆腐は約20分以降、GDLを用いた場合の豆腐は約35分以降)になることがわかった。静電容量が一定になる時間は、硫酸カルシウムの豆腐の方がGDLの豆腐より早いことがわかった。
【0101】
図17及び図18に、凝固剤として硫酸カルシウムまたはGDLを用いた場合の豆腐の凝固過程における庫内(図1の恒温槽13)の温度変化及び豆腐の温度(中心温度、表面付近温度)変化を示した。
【0102】
図18及び図16より、凝固剤がGDLの場合、試料の中心温度の変化と静電容量の変化との間に類似性が認められた。この類似性は、豆腐凝固過程における静電容量の変化が試料の中心温度の変化を表している可能性を示している。しかしながら、図17及び図15より、凝固剤が硫酸カルシウムの場合、静電容量の変化と試料の中心温度の変化との間に類似性が認められなかったことから、静電容量の変化は必ずしも試料の中心温度を表しているわけではないと判断することができる。
【0103】
豆腐の加熱時間とゲル強度との関係を検討した既往の研究によると、豆腐のゲル強度は加熱時間に従い増加し、任意の時間で一定になるか、もしくは徐々に増加し続けることが明らかになっている。これらのことから、静電容量の変化は豆腐のゲル強度の増加を表している可能性がある。そこで、豆腐のゲル強度の測定を行った。ゲル強度の測定には、自作シリンジを用いた粘性測定装置(図3参照)を用いて行った。
【0104】
図19及び図20に、凝固剤として硫酸カルシウムまたはGDLを用いた豆腐の凝固過程における静電容量の変化と試料の粘度の変化を示した。図19及び図20より、豆腐のゲル強度は加熱時間に従い増加する傾向が認められた。
【0105】
〔豆腐の誘電特性と豆腐の粘度とのより詳細な関係〕
次に、図21及び図22に、豆腐の静電容量と豆腐の粘度との関係を示した。図21及び図22によれば、相関係数Rが、硫酸カルシウムの豆腐では0.9948、GDLの豆腐では0.9504と、静電容量とゲル強度(粘度)との間には良好な相関関係が認められた。
【0106】
以上の結果は、豆腐の凝固過程における静電容量の変化が、豆腐の中心温度の変化ではなく、豆腐のゲル強度の変化を表していることを示している。
【0107】
上記の実施例1において示した図14では、豆腐の凝固過程における静電容量の変化を示すグラフが、凝固剤を添加して300秒を越えたあたりから豆腐の粘度を示すグラフから明らかに外れていることがわかる。一方、本実施例の図19では、豆腐の静電容量と豆腐の粘度とが凝固剤を添加してから30分以上経過したところでも、豆腐の静電容量と豆腐の粘度(ゲル強度)との間には良好な相関関係が認められた。図14と図19とに示した静電容量の変化において生じた違いは、豆乳を入れた容器にあると考えられる。すなわち、図14では、プラスチック製の業務用の密封式スタンディングパウチ(LZ-12、生産日本社製)に豆乳を入れた。プラスチック製のパウチに入れて測定した後、パウチを装置から取り出すと加熱によって、パウチ自体が若干の変形していた。一方、図19では、PTFEシートを用いて自作した耐熱袋を用いており、加熱後の変形は認められなかった。すなわち、プラスチック製のパウチは、熱によって相転移していることが考えられ、それに伴って、図19の測定結果と異なる測定結果が得られたのではないかと考えられる。よって、PTFEシートを用いて自作した耐熱袋を用いて測定したほうが、より正確な測定結果を得られるといえる。
【0108】
このように、本実施例から、本発明に係るゲル製造装置(ゲル化状態評価装置、豆腐凝固状態評価装置10)を用いることによって、豆腐における時間に対してのゲル強度、及び、時間に対しての静電容量をとると両者の相関関係が非常に良いことがわかった。これによれば、豆腐の凝固過程における静電容量を制御することで豆腐のゲル強度を調整することができる。すなわち、静電容量を制御することで、所望の固さの豆腐を製造することができる。
【0109】
以上のように、本発明に係るゲル製造装置(ゲル化状態評価装置)およびゲル製造方法を用いれば、豆腐以外であっても、卵を使用した加工食品等の固さを確実にコントロールして製造することができる。
【実施例3】
【0110】
以下に、ゾル-ゲル転移特性を有する材料として卵を用い、加熱による卵の凝固過程と、卵の粘度との相関関係を測定した。
【0111】
〔卵の誘電特性の測定〕
(実験方法)
(A) 実験方法
誘電特性の測定には図1に示した豆腐凝固状態評価装置10を用いた。実験手順は以下の通りである。
(1)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを用いて自作した耐熱袋に卵(約115g、全卵)を入れ、平行平板電極11間に挿入した。
(2)平行平板電極を恒温槽内のシールド容器内に静置した。
(3)温度制御装置で恒温槽内の温度を任意の温度(70~90℃)に設定し、LCRメータ(3522-50 HIOKI社製)を用いて誘電特性の変化を測定した。
(4)測定周波数1kHzにおいて静電容量を30秒間隔で測定した。
【0112】
〔測定結果〕
図23に、卵の凝固過程における静電容量の変化と粘度(ゲル強度)の変化とを示した。図23によれば、豆腐凝固状態評価装置10を用いれば、卵の静電容量とゲル強度との間にも良好な相関関係が認められた。
【0113】
以上の実施例1~3から、本発明に係るゲル化状態評価装置(ゲル製造装置)およびゲル製造方法を用いることにより、ゾル-ゲル転移する材料のゲル化過程における静電容量の変化が、その材料のゲル化状態と直接的相関していることが明らかとなった。したがって、本発明の装置を用いてゾル-ゲル転移する材料の静電容量を測定することにより、加熱工程の終点を、容易且つ確実に特定することが可能となるとともに、静電容量の値を制御することによって、ゾル-ゲル転移する材料(ゲル)の固さ(ゲル強度、粘度)を制御することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明によれば、豆腐を破壊することなく、製造工程における豆腐の凝固状態を簡単且つ確実に且つ定量的に捕捉することができる。また、得られた情報は、衛生管理、品質管理用のデータとしても有用である。
【0115】
また、本発明は、豆腐の製造に限定されるものではなく、ゾル-ゲル転移特性を有する材料にも適用することができ、静電容量を測定することにより、例えば、豆腐の凝固過程における静電容量を制御することで豆腐の固さ(ゲル強度)を調整することができる。したがって、流動性をコントロールする必要がある高齢者等向けの食品加工分野に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の実施形態の一例としての豆腐凝固状態評価装置の概略構成を示す図である。
【図2】豆腐の粘度測定に用いた粘性測定装置の概略的な構成を示す図である。
【図3】豆腐の粘度測定に用いた実験装置の概略的な構成を示す図である。
【図4】豆腐の粘度測定に用いた粘性測定装置を構成する自作シリンジを説明する図であり、(a)は市販品であるシリンジの概略構成を示しており、(b)は(a)のシリンジの先端部を切断した後にOリングを介して取り付けた自作先端部の概略構造とサイズを示している。
【図5】豆乳(硫酸カルシウム未添加)の加熱時の静電容量の変化を示す図である。
【図6】凝固温度が70℃の豆腐の加熱凝固過程における静電容量の変化を示す図である。
【図7】凝固温度が80℃の豆腐の加熱凝固過程における静電容量の変化を示す図である。
【図8】凝固温度が90℃の豆腐の加熱凝固過程における静電容量の変化を示す図である。
【図9】豆乳の凝固温度に対して静電容量増加量ΔCをプロットした結果を示す図である。
【図10】凝固温度が75℃の豆乳に凝固剤を添加した直後の静電容量の変化をより詳しく測定した結果を示す図である。
【図11】図10の測定結果との比較するため、凝固温度が75℃の豆乳に水10gのみを添加(硫酸カルシウム未添加)した場合の静電容量の変化を示す図である。
【図12】本発明の実施例において用いた豆腐の凝固温度に対する、凝固終了後の豆腐の粘度変化を示す図である。
【図13】豆腐凝固過程における試料の粘度変化を示す図である。
【図14】豆腐凝固過程における静電容量の変化と試料の粘度変化を示す図である。
【図15】硫酸カルシウム添加後の豆腐凝固過程における静電容量の変化を示す図である。
【図16】グルコノデルタラクトン(GDL)添加後の豆腐凝固過程における静電容量の変化を示す図である。
【図17】硫酸カルシウム添加後の豆腐凝固過程における庫内の温度変化と豆腐の温度(中心温度、表面付近温度)変化を示す図である。
【図18】グルコノデルタラクトン添加後の豆腐凝固過程における庫内の温度変化と豆腐の温度(中心温度、表面付近温度)変化を示す図である。
【図19】硫酸カルシウム添加後の豆腐凝固過程における静電容量の変化と試料の粘度変化を示す図である。
【図20】グルコノデルタラクトン添加後の豆腐凝固過程における静電容量の変化と試料の粘度変化を示す図である。
【図21】硫酸カルシウム添加後の豆腐凝固過程における静電容量と試料の粘度との関係を示す図である。
【図22】グルコノデルタラクトン添加後の豆腐凝固過程における静電容量と試料の粘度との関係を示す図である。
【図23】卵の凝固過程における静電容量の変化と粘度の変化とを示す図である。
【符号の説明】
【0117】
10 豆腐凝固評価装置(ゲル化状態評価装置、ゲル製造装置)
11 平行平板電極(誘電特性測定手段)
12 豆腐槽12
13 恒温槽13
14 LCRメータ(誘電特性測定手段)
15 コンピュータ(制御手段、記録手段)
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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