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明細書 :金属微粒子配列シート

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4863428号 (P4863428)
公開番号 特開2006-088310 (P2006-088310A)
登録日 平成23年11月18日(2011.11.18)
発行日 平成24年1月25日(2012.1.25)
公開日 平成18年4月6日(2006.4.6)
発明の名称または考案の名称 金属微粒子配列シート
国際特許分類 B82B   1/00        (2006.01)
B32B   5/16        (2006.01)
B32B  15/08        (2006.01)
B82B   3/00        (2006.01)
H01L  29/06        (2006.01)
H01L  29/66        (2006.01)
B82Y  30/00        (2011.01)
B82Y  40/00        (2011.01)
FI B82B 1/00 ZNM
B32B 5/16
B32B 15/08 D
B82B 3/00
H01L 29/06 601D
H01L 29/66 S
B82Y 30/00
B82Y 40/00
請求項の数または発明の数 7
全頁数 12
出願番号 特願2004-303625 (P2004-303625)
出願日 平成16年10月19日(2004.10.19)
優先権出願番号 2004246402
優先日 平成16年8月26日(2004.8.26)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成19年5月9日(2007.5.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】渡辺 茂
個別代理人の代理人 【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
審査官 【審査官】山口 剛
参考文献・文献 特表2003-535702(JP,A)
特開2001-151834(JP,A)
特開2004-124088(JP,A)
特開平11-060891(JP,A)
特表2004-538460(JP,A)
調査した分野 B82B 1/00- 3/00
B82Y 30/00
B82Y 40/00
C08L 51/00-51/10
C08L 53/00-53/02
特許請求の範囲 【請求項1】
表面に、径が3~15nmの略円形の疎水性又は親水性の領域を10~50nmの間隔で多数有するミクロ相分離膜上の該略円形領域に、金属微粒子含有球状ミセルをそれぞれ1個配置させてなる金属微粒子配列シートであって、該金属微粒子含有球状ミセルが、径が1~5nmの金属微粒子を有機配位子で覆ったコアシェル型球状ミセルであり、前記ミクロ相分離膜上の略円形の領域が親水性の場合には親水性基、前記ミクロ相分離膜上の略円形の領域が疎水性の場合には疎水性基が外側に露出した球状ミセルである、金属微粒子配列シート。

【請求項2】
前記ミクロ相分離膜が、親水性ポリマー成分(A)及び疎水性ポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体であって、前記親水性ポリマー成分(A)及び前記疎水性ポリマー成分(B)の分子量分布(Mw/Mn)が1.3以下の両親媒性ブロック共重合体から成る請求項1に記載の金属微粒子配列シート。
【請求項3】
前記ブロック共重合体が下記一般式(1)で表される請求項2に記載の金属微粒子配列シート。
一般式(1):CH3(OCH2CH2)mOCOC(CH3)2(CH2C(CH3)COOR)n-X
(式中、m及びnは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5~500の整数であり、Rは、下記一般式(2)又は(3)で表される置換基であり、Xは水素原子又はハロゲン原子を表す。)
一般式(2):-CH2(CH2)CH2O-B-N=N-B-R1
(式中、aは0~20の整数であり、Rは水素又は炭素数1~22のアルキル基、Bはp-フェニレン基を表す。)
一般式(3):-CH2(CH2)CH2O-B-CH=CH-B-R2
(式中、bは0~20の整数であり、Rは水素又は炭素数1~22のアルキル基、Bはp-フェニレン基を表す。)

【請求項4】
前記金属微粒子含有球状ミセルが、径が1~5nmの金属微粒子を、(R3O(R4O)R5S)2(式中、Rは水素原子又はアルキル基、Rは炭素数が2又は3のアルキレン基、cは1~10の整数、Rは炭素数が2~4のアルキレン基を表す。)で表される化合物で覆ったコアシェル型球状ミセルである請求項1~3のいずれか一項に記載の金属微粒子配列シート。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の金属微粒子配列シートを基板に積層し、前記ミクロ相分離膜及び前記有機配位子を除去することにより得られる基板上に径が1~5nmの金属微粒子が10~50nmの間隔で多数配列した金属微粒子配列基板。
【請求項6】
基板上に両親媒性ブロック共重合体を含む溶液をキャストしてミクロ相分離膜を形成する段階、金属微粒子含有球状ミセルを分散させた分散液に前記ミクロ相分離膜を浸漬する段階、及び該ミクロ相分離膜をこの分散液から取り出して乾燥させる段階から成り、前記両親媒性ブロック共重合体が、親水性ポリマー成分(A)及び疎水性ポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合して形成された、前記親水性ポリマー成分(A)及び前記疎水性ポリマー成分(B)の分子量分布(Mw/Mn)が1.3以下である両親媒性ブロック共重合体であり、前記金属微粒子含有球状ミセルが、径が1~5nmの金属微粒子を有機配位子で覆ったコアシェル型球状ミセルである、径が3~15nmの略円形の疎水性又は親水性の領域を10~50nmの間隔で多数有するミクロ相分離膜上の該略円形領域に該金属微粒子含有球状ミセルがそれぞれ1個配置された金属微粒子配列シートの製法。

【請求項7】
請求項6に記載の金属微粒子配列シートの製法に、更に前記金属微粒子配列シートを基板に積層する段階、及び前記ミクロ相分離膜及び前記有機配位子を除去する段階を含む金属微粒子配列基板の製法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、金属微粒子をナノレベルで二次元的に配置させた高分子シート及びこのシートを用いた金属ドットの二次元超格子を有する金属微粒子配列基板に関する。この金属ドットは、量子ドットとして単一電子トランジスタや単一電子メモリ-のような単一電子トンネル果を利用した量子素子に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
両親媒性ブロック共重合体を成膜すると、疎水性又は親水性部分を中心としたドメインを形成し、径が3~15nmの円筒状の親水性ドメインが疎水性基質中に10~50nmの間隔で多数存在する形態をとることが知られている(特許文献1)。このような微小な親水性領域を微小な間隔で有する膜は従来得られておらず、その活用が大いに期待されている。
このような活用例の一つとして基板上に整列した極微小な金属ドットが考えられる。このような金属ドットは、単一電子トンネル効果を利用した素子へ応用できる。
今まで微細加工法として実用的に最も進んだ電子線リソグラフィを採用しても20 nm以下という加工精度を達成することは困難であり、走査型トンネル顕微鏡を用いた単原子操作では生産性に乏しく実用的ではなかった。また、液滴エピタキシー法では、ドットの大きさや密度は制御できても配置までは制御できない。
現在、半導体素子の加工寸法は100 nm以下になりつつあり、近い将来数nmになると予想されている。このようなサイズの半導体素子では、従来の原理による素子動作が困難であり、単一電子トンネル効果を利用した単一電子トランジスタや単一電子メモリのような新たな動作原理に基づく素子の開発が注目されている(非特許文献1、特許文献2)。このような素子を室温で動作させるには、10 nm以下の極微小な金属ドットからなる量子ドットを絶縁体上に配置する必要があり、電子線リソグラフィ-、走査型トンネル顕微鏡による原子操作、液滴エピタキシーなどがの微細加工技術が研究されている。
【0003】

【特許文献1】特開2004-124088
【特許文献2】特開2003-51498
【非特許文献1】日立評論 vol.86, No.7, 55-58 (2004.7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来製造が困難であった10nm以下の金属ドットを配列させたシリコンウエハなど基板及びこのような基板を生産性よく形成させる手段を提供する。
配向が制御された金属ナノ粒子は、ナノ粒子単独では見られない新たな電子・光物性を有するため高い関心が寄せられており、単一電子を利用するナノ電子デバイスをはじめ局在プラズモン光の増強電場を利用したナノ光デバイスへの応用が期待される。現在、金属ナノ粒子の二次元配向制御は、その分散溶液を平滑な基板上に滴下後乾燥させるなど自己組織化法によることが多い。しかし、これでは複雑なパタ-ン形成には限界がある。
そこで、本発明は、金属ナノ粒子の新たな配向制御法の開発を目的として、両親媒性ブロック共重合体が形成するナノ規則構造に着目し、これをテンプレ-トとして金属ナノ粒子を組織化する手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
まず、両親媒性ブロック共重合体を自己集合させてミクロ相分離膜を形成させた(特許文献1)。このミクロ相分離膜は、表面上に3~15nmの略円形の親水性の領域を10~50nmの間隔で多数有する。一方、径が1~5nmの金属微粒子を有機配位子で覆い外側に浸水性基が露出したコアシェル型球状ミセルの溶液を用意し、これに上記ミクロ相分離膜を浸漬すると、表面ナノ相分離構造により、溶液中でミクロ相分離膜の親水性領域に金属超微粒子ミセルが配列した高分子シートを得ることができた。さらに、このシートをシリコンウエハなどの基板上に移動させ有機物を分解除去することによりナノメ-トルサイズのドットが形成された基板を得ることができた。即ち、微小金属微粒子ドットを微小間隔で基板上に配向制御させることに成功した。
【0006】
即ち、本発明は、表面に、径が3~15nmの略円形の疎水性又は親水性の領域を10~50nmの間隔で多数有するミクロ相分離膜上の該略円形領域に、金属微粒子含有球状ミセルをそれぞれ1個配置させてなる金属微粒子配列シートであって、該金属微粒子含有球状ミセルが、径が1~5nmの金属微粒子を有機配位子で覆ったコアシェル型球状ミセルであり、前記ミクロ相分離膜上の略円形の領域が親水性の場合には親水性基、前記ミクロ相分離膜上の略円形の領域が疎水性の場合には疎水性基が外側に露出した球状ミセルである、金属微粒子配列シートである。

【0007】
また本発明は、基板上に両親媒性ブロック共重合体を含む溶液をキャストしてミクロ相分離膜を形成する段階、金属微粒子含有球状ミセルを分散させた分散液に前記ミクロ相分離膜を浸漬する段階、及び該ミクロ相分離膜をこの分散液から取り出して乾燥させる段階から成り、前記両親媒性ブロック共重合体が、親水性ポリマー成分(A)及び疎水性ポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合して形成された、前記親水性ポリマー成分(A)及び前記疎水性ポリマー成分(B)の分子量分布(Mw/Mn)が1.3以下である両親媒性ブロック共重合体であり、前記金属微粒子含有球状ミセルが、径が1~5nmの金属微粒子を有機配位子で覆ったコアシェル型球状ミセルである金属微粒子配列シートの製法である。
更に、本発明は、上記金属微粒子配列シートの製法に、更に前記金属微粒子配列シートを基板に積層する段階、及び前記ミクロ相分離膜及び前記有機配位子を除去する段階を含む金属微粒子配列基板の製法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の金属微粒子配列シート及び金属微粒子配列基板は、材質や形状を選ばず任意の基板上の広範な領域に金属ドットが形成されたものであり、金属微粒子の大きさは1~5nmであることから、その自由電子の静電エネルギーは、室温での電子の熱励起レベルよりも高く、このような金属超微粒子をシリコンウエハのような基板上にナノメ-トルスケ-ルの間隔で堆積させた金属ドットは、室温で動作する量子素子へ応用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で用いるミクロ相分離膜は、表面に、径が3~15nmの略円形の疎水性又は親水性の領域を10~50nmの間隔で多数有する。この相分離膜は表面上にのみこの領域を有していてもよいし、又はその領域は略円筒形のドメインが膜中に存在してその断面が膜表面に現れたものであってもよい。本発明において、ミクロ相分離膜はこのような形態を有するものであれば、その化学組成に特に限定はない。
本発明においては、特に両親媒性ブロック共重合体から成る膜であって、自己集合的にこのような略円筒形のドメインが膜中に形成された膜を用いることができる。この両親媒性ブロック共重合体は、親水性ポリマー成分(A)及び疎水性ポリマー成分(B)の互いに非相溶性のポリマーが共有結合によって結合したブロック共重合体であって、前記親水性ポリマー成分(A)及び前記疎水性ポリマー成分(B)の分子量分布(Mw/Mn)が1.3以下の両親媒性ブロック共重合体であることが好ましい。
この親水性成分と疎水性成分との量的関係から、親水性成分と疎水性成分のいずれかが島状領域(略円筒形のドメイン)を構成し、他方が海状領域を構成する構造をとるものと考えられる。
形成される膜の厚さは、通常50nm~1μm程度である。
【0010】
分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフ法によって測定したポリエチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出した値をいう。
上記ブロック共重合体の分子量は、好ましくは5000~100000、より好ましくは10000~50000である。
【0011】
上記親水性ポリマー成分(A)としては、例えばポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、オリゴ(エチレンオキシド)やクラウンエーテルやクリプタンド又は糖鎖を側鎖に有するポリ(メタクリレート)又はポリ(アクリレート)等が挙げられる。
また、上記疎水性ポリマー成分(B)としては、例えば、メソゲン側鎖、長鎖アルキル側鎖又は疎水性側鎖を有する、ポリ(メタクリレート)、ポリ(アクリレート)、ポリ(スチレン)、ビニルポリマー等が挙げられる。メソゲン側鎖とは液晶性分子などの配向性の強い分子鎖をいう。
【0012】
このブロック共重合体は下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
一般式(1):CH3(OCH2CH2)mOCOC(CH3)2(CH2C(CH3)COOR)n-X
(式中、m及びnは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ5~500の整数であり、Rは、下記一般式(2)又は(3)で表される置換基であり、Xは水素原子又はハロゲン原子を表す。)
一般式(2):-CH2(CH2)CH2O-B-N=N-B-R1
(式中、aは0~20の整数であり、Rは水素又は炭素数1~22のアルキル基、Bはp-フェニレン基を表す。)
一般式(3):-CH2(CH2)CH2O-B-CH=CH-B-R2
(式中、bは0~20の整数であり、Rは水素又は炭素数1~22のアルキル基、Bはp-フェニレン基を表す。)

【0013】
本発明で用いる金属微粒子含有球状ミセルは、金属微粒子を有機配位子で覆ったコアシェル型球状ミセルである。
この金属としては、金、銀、白金、ロジウム等が挙げられる。この金属微粒子の径は金属イオンと有機配位子の混合比及び還元剤の還元力や添加速度によって定まるが、通常1~5nmである。
【0014】
有機配位子は、上記ミクロ相分離膜上の略円形の領域が親水性の場合には親水性基、上記ミクロ相分離膜上の略円形の領域が疎水性の場合には疎水性基がミセルの外側に露出するように設計される。
有機配位子としては、片末端にチオール基(-SH)、ジスルフィド基(-S-S-)又はチオエーテル基(-S-)等を有するものが好ましい。また、他末端はミクロ相分離膜上の親水部あるいは疎水部に選択的に結合可能な官能基修飾されていればどのような官能基でも可能であるが、合成上の簡便性から親水性基としては、エチレンオキシド基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられ、疎水性基としては、アルキル基、アリール基、コレステリル基等が挙げられる。
この配位子として、特に親水性基を露出させる場合には、(R3O(R4O)R5S)2(式中、Rは水素原子又はアルキル基、Rは炭素数が2又は3のアルキレン基、cは1~10の整数、Rは炭素数が2~4のアルキレン基を表す。)で表される化合物が好ましい。
この配位子は、Sが金属に結合することにより、径が通常170~200nm程度のコアシェル型球状ミセルを形成し、更に複数の金属微粒子と配位子とが結合して径が通常180~220nm程度の金属微粒子含有球状ミセルを形成する。この金属微粒子含有球状ミセルにおいては、金属微粒子が配位子に内包される場合と、金属微粒子が配位子の外側を取り巻く場合とがあり、複数の金属微粒子が内包される場合にはその金属部分の径は約30~60nm程度である。
【0015】
本発明においては、上記のミクロ相分離膜上の該略円形領域に、金属微粒子含有球状ミセルを配置させた金属微粒子配列シートを作成する。以下その製法の例を示す。
まず、ミクロ相分離膜を作成する。その作成法はミクロ相分離膜の化学組成にもよるが特に限定はない。
本発明の両親媒性ブロック共重合体を用いる場合には、自己集合的に親水性ドメインと疎水性ドメインが分離するので、溶液中で自己集合させたり又は加温することにより、自己集合による配置を促進することが好ましい。
一例として、基板に両親媒性ブロック共重合体を含む溶液を滴下して成膜したり、又は型にこの溶液を注入してすることにより成膜することができる。この基板として平滑性の高いものが好ましく、例えば、雲母板、シリコンウエハなどを用いることができる。
一般式(1)のブロック共重合体を両親媒性ブロック共重合体として用いる場合には、厚さが50nm~1μm程度で面積が数m程度の膜又はフィルムを得ることができる。この様子を図1に示す。
【0016】
一方、金属微粒子含有球状ミセルについてもその製法に特に制限はない。通常、金属を含む塩の溶液に有機配位子を添加することにより、金属に有機配位子が配位して、コアシェル型の微粒子を形成する。
この金属微粒子含有球状ミセルを分散させた分散液を用意する。溶媒としては、エタノール、エーテルなどを用いることが好ましい。分散液中の金属微粒子含有球状ミセルの濃度は0.5~2.5wt%程度であり、分散液の温度は通常-80℃~室温程度、好ましくは20~25℃程度に保つことが好ましい。
この分散液に上記ミクロ相分離膜を浸漬し、ミクロ相分離膜をこの分散液から取り出す。この様子を図2に示す。
【0017】
また、この分散液を用いてスピンコート法で上記ミクロ相分離膜上に金属微粒子含有球状ミセルを堆積させてもよい。例えば、金属微粒子含有球状ミセルの濃度を0.05~0.5wt%程度に調整した分散液を、ミクロ相分離膜上に滴下し、約500~2000rpm程度で約5~30秒間回転させる。
【0018】
その結果、ミクロ相分離膜上の島領域(疎水性領域又は親水性領域)に、球状ミセルが結合する。この結合は、ファンデアワールス力、双極子-双極子相互作用、静電引力などの非共有結合によるものである。この結合力は弱いものであるため、例えば分散液の濃度をあまり高くすると、球状ミセルが島領域に選択的に結合しなくなる場合があるので、所望の占有率(島領域にミセルが結合する割合)を得ることができるように球状ミセルの濃度を適宜調整することが好ましい。その他の条件(浸漬時間、温度、回転数等)に関しても同様の配慮が好ましい。
その後、必要に応じてこの膜を乾燥してもよい。乾燥は室温、減圧下で行うことが好ましい。
【0019】
次に、金属ドットの二次元超格子を有する金属微粒子配列基板の作成法を記す。上記のようにして得られたミクロ相分離膜を取り出して基板に積層する。この基板として、オゾン(O)によって酸化されにくいものが好ましく、例えば、シリコンウエハ、ガラス、金属などの基板を用いることができる。上記の方法において適当な基板を用いているのであればこの操作を省略してもよい。
次に、ミクロ相分離膜及び前記有機配位子を除去する。この除去手段として、紫外線照射、加熱、プラズマエッチングなどの方法が挙げられる。
紫外線を用いる場合には、170~260nm程度の波長の紫外線を照射して有機物を分解し除去することができる。光源として、エキシマランプ、低圧水銀灯などを用いることができる。
加熱する場合には、350~400℃で行うことが好ましい。
この操作の結果、基板上に径が1~5nmの金属微粒子が10~50nmの間隔で多数配列した金属微粒子配列基板を得ることができる。
【0020】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
製造例1
有機配位子を以下の方法で作成した。合成反応を図4(Scheme 1)に示す。
トリエチレングリコールモノメチルエーテル(4g、0.024 mol)、塩化チオニル(5.71g、0.048 mol)、ピリジン (3.8g、0.048 mol) の混合溶液を80℃で6時間加熱撹拌した。反応終了後、この反応液を室温まで放冷し、減圧下50℃で濃縮を行った。得られた残渣に塩化メチレンを加え、塩化チオニルを除去した。除去を行った後、残渣を3時間冷蔵庫で冷却し、これをジエチルエーテルで洗浄して化合物2を黄色液として得た(3.55g,収率81%)。
1H-NMR(DMSO) : δ3.230(3H,s)、3.424(2H,m)、3.522(6H,m)、3.666(4H,m)
化合物2(1.0 g, 5.5 mmol) とチオ酢酸カリウム(1.8 g ,16.5 mmol)をDMF 30 mlに溶解させ60 ℃で17時間加熱撹拌した。室温まで放冷させ、ジエチルエーテルを用いて抽出を行った。抽出したジエチルエーテルを減圧下濃縮した。その後カラムクロマトグラフィー分離(シリカゲル、3%メタノール/塩化メチレン)で分離し化合物3を黄色液として得た(912mg,収率75%)。
1H-NMR(DMSO) : δ2.320(3H,s)、3.001(2H,t,J=6.59)、3.229(3H,s)、3.309(2H,m)、3.490(8H,m) IR(cm-1):1692(CO)
化合物3(100 mg, 0.45 mmol)とNaOMe (72.87 mg, 1.349 mmol)をメタノール5 mlに溶解させ室温で48時間撹拌した。反応終了後、減圧下濃縮を行い、残渣をジエチルエーテルで抽出し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、3%メタノール/塩化メチレン)で分離し化合物4(化学式:(MeO(C2H4O)2C2H4S)2)を黄色液体として得た(115mg,収率72 %)。
1H-NMR(DMSO) : δ 2.885(4H,t,J=6.34)、3.230(6H,s)、3.313(4H,m)、3.508(12H,m)、3.626(4H,t,J=6.34)
【0021】
製造例2
製造例1で得た有機配位子を用いて金属微粒子含有球状ミセルを下の方法で作成した。その反応を図5(Scheme 2)に示す。
40mM HAuCl4水溶液(66mg、0.1603mmol ) 4 mlを31 mM BrN(C8H17)4トルエン溶液(220 mg,0.4.023mmol)13mlに撹拌しながら加えた。 AuClが有機層に移動するまで撹拌し、有機層を分離した。Au:RSH=1:10の化合物4を加え、室温で10分間撹拌した。撹拌後、新鮮な0. 4M NaBH4水溶液を1秒で滴下した室温で12時間撹拌を行った後、析出物、トルエン層、水層の混合物を析出物と溶液に分けた。析出物については、一晩乾燥した。乾燥後、残渣に塩化メチレンを加えて溶解物と不溶物に分けた。塩化メチレンに溶かした溶解物をn-ヘキサンを加えて再び沈殿させ、黒褐色の固体を得た。溶液についてはトルエン層と水層に分離し、トルエン層の濃縮を行い、得られた残渣を一晩乾燥した。乾燥後、残渣を塩化メチレンに溶解させ、n-ヘキサンを加えて再び沈殿させた。

【0022】
製造例3
ミクロ相分離膜を以下の方法で作成した。その様子を図1に示す。
(1)下式(化1)で表されるブロック共重合体を2.0‐5.0 wt%のトルエン溶液とした。
【化1】
JP0004863428B2_000002t.gif
(本式は、一般式(1)においてm=114、n=48であり、Rは一般式(2)である。)
(2)この溶液をシリンジフィルタ(Whatman 社製、網目0.45μm)を用いて濾過をした。
(3)濾液200μlをできるだけ平面状に整えた2 cm×4 cmの雲母板上全体に滴下し、バーコーター(第一理化株式会社製、番手2、10、20)を用いて塗布した。
(4)その後、110℃で24時間熱処理を行い、シートを得た。
得られたシートを、原子間力顕微鏡(AFM)(セイコーインスツルメンツ社製、SPA400)を用いて観察を行った。その結果を図6に示す。
【0023】
図6から、径が10nm椙度の略円形の凹部が六方最密状に配列しておリ、膜表面の高低差の観察からこれら凹状略円形が24~26nm間隔で周期的に配列していることがわかる。即ち、この略円形部は親水性のpEOmドメインであり、周辺部の疎水性PMA(AZ)nドメインから相分離し、基板に対してほぼ垂直方向に円筒状のシリンダーアレイ構造を形成させていることがわかる。
【実施例1】
【0024】
本実施例では、金属微粒子配列シートを以下の方法で作成した。その様子を図2に示す。
(1)製造例2で得た金属微粒子含有球状ミセルのエタノール溶液を0.1-2.0 wt%に調製した。
(2)製造例3で得たミクロ相分離膜を約1 cm×2 cmに切り取りとった。
(3)この相分離膜を室温(25 ℃)で(1)の溶液に30-90 秒間、垂直に浸漬した。
(4) その後、垂直に引き上げ、減圧下で1時間乾燥した。
【0025】
得られたシートを、原子間力顕微鏡(SPA400)を用いて観察を行った。その結果を図7に示す。図7から、凹部であったミクロ相分離膜表面の略円形部分が、金ナノ粒子(平均粒径5nm程度)の堆積後4~5nm程度隆起しており、1個の金ナノ粒子が膜表面の略円形部分に堆積していることがわかる。さらに、金ナノ粒子は膜の周期構造と同じ23~24nm間隔で配列しており、表面を親水性基で修飾された金ナノ粒子が、同じ親水性のpEOmドメイン上に選択的に堆積していることがわかる。



【0026】
ミクロ相分離膜上に配列させた金超微粒子数の浸漬時間と金ナノ粒子の濃度依存性を図8に示す。図8中に示される占有率は、一定面積内(100×100nm)に存在するpEOmドメインに着目し、金ナノ粒子が堆積しているPEOmドメイン数を全PEOmドメイン数に対する割含で表わしたものである。浸漬時間を10秒あるいは20秒と一定にしたとき、浸漬させる金ナノ粒子溶液の濃度が高くなるほど金ナノ粒子がより多く堆積し占有率が上昇することがわかった。また、金ナノ粒子溶液の濃度を一定にしたとき、浸漬時間を10sから20秒へと長くするに従い占有率が上昇することがわかった。しかし、2.0wt%以上の濃度の高い金ナノ粒子溶液に20秒以上の長い時間浸漬させると占有率は上がるものの、同時に金ナノ粒子の凝集が起こることがわかった。金ナノ粒子を配列させるには適切な浸漬時間と濃度があり、0.5wt%の金ナノ粒子溶液に20秒間浸漬させたとき、比較的良好な占有率(32%)が得られることがわかった。
【実施例2】
【0027】
金属微粒子のみを配列させたシリコンウエハを以下の方法で作成した。その様子を図3に示す。
(1) 製造例3で得た金属微粒子配列シートをシリコンウエハ上に置いた。
(2) 減圧下VUVランプを照射してオゾンを発生させ、基板上の有機物を分解消失させた。この時の基板の温度は-80~30℃であり、空気の流量、雰囲気の圧力はそれぞれ5~250 ml / min 、0.9~1.1×103 Paであった。
その結果、基板(シリコンウエハ)上に金属微粒子が多数配列した金属微粒子配列基板を得ることができた(結果は特に示さない)。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ミクロ相分離膜形成の様子を示す図である。
【図2】微粒子配列シート作成の様子を示す図である。
【図3】転写の様子を示す図である。
【図4】配位子の合成を示す図である。
【図5】金超微粒子の合成を示す図である。
【図6】ミクロ相分離膜のAFM形状像を示す図である。
【図7】ミクロ相分離膜上に配列した金ナノ粒子のAFM形状像を示す図である。
【図8】ミクロ相分離膜上に配列させた金超微粒子数の浸漬時間と金ナノ粒子の濃度依存性を示す図である。
図面
【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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