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明細書 :中間熱媒体を有する熱交換器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3652635号 (P3652635)
公開番号 特開2003-121093 (P2003-121093A)
登録日 平成17年3月4日(2005.3.4)
発行日 平成17年5月25日(2005.5.25)
公開日 平成15年4月23日(2003.4.23)
発明の名称または考案の名称 中間熱媒体を有する熱交換器
国際特許分類 F28F 11/00      
F22B  1/16      
G21C 15/02      
G21D  1/00      
FI F28F 11/00 Z
F22B 1/16 C
G21C 15/02
G21D 1/00 Q
請求項の数または発明の数 2
全頁数 7
出願番号 特願2001-316513 (P2001-316513)
出願日 平成13年10月15日(2001.10.15)
審査請求日 平成13年10月15日(2001.10.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000224754
【氏名又は名称】核燃料サイクル開発機構
発明者または考案者 【氏名】大平 博昭
【氏名】林田 均
【氏名】荒 邦章
個別代理人の代理人 【識別番号】100096862、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 千春
審査官 【審査官】岩谷 一臣
参考文献・文献 特開平04-028901(JP,A)
特開昭63-247501(JP,A)
特開昭63-073001(JP,A)
特開昭63-058003(JP,A)
特開昭59-125301(JP,A)
調査した分野 F28F 11/00
F22B 1/16
G21D 1/00
G21C 15/02
特許請求の範囲 【請求項1】
高温熱媒体が流通する熱交換器の胴内に低温熱媒体が流通する多数本の内管を配設し、これらの内管を複数本ごとに複数のグループにグルーピングし、1つのグループを構成する複数本の内管を1本の外管内に配設し、高温熱媒体および低温熱媒体の両方に対して化学的に不活性かつ熱伝達性能に優れた中間熱媒体を各外管内に流通させるとともに、前記外管の内周に、スペーサにより外管との間に間隙を保持した隔壁管を配設し、該間隙にも中間熱媒体を流通できるようにしたことを特徴とする中間熱媒体を有する熱交換器。
【請求項2】
高温熱媒体が流通する熱交換器の胴内に低温熱媒体が流通する多数本の内管を配設し、これらの内管を複数本ごとに複数のグループにグルーピングし、1つのグループを構成する複数本の内管を1本の外管内に配設し、高温熱媒体および低温熱媒体の両方に対して化学的に不活性かつ熱伝達性能に優れた中間熱媒体を各外管内に流通させ、前記外管から流出する中間熱媒体中に漏洩した高温熱媒体または低温熱媒体を各外管ごとに検出できる漏洩検出器を設けるとともに、前記外管の内周に、スペーサにより外管との間に間隙を保持した隔壁管を配設し、該間隙にも中間熱媒体を流通できるようにしたことを特徴とする中間熱媒体を有する熱交換器。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温熱媒体と低温熱媒体との接触が許されない、例えば液体金属冷却炉における液体金属-水系熱交換に効果的に使用できる熱交換器に関し、更に詳しくは、高温熱媒体および低温熱媒体の両方に対して化学的に不活性である中間熱媒体を介して熱交換を行うようにした熱交換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷却材として例えば液体ナトリウムを用いる液体金属冷却炉においては、高温のナトリウムが循環するナトリウム系と水-蒸気系との間で熱交換が行われるが、この熱交換器においては、伝熱管の損傷によりナトリウムと水とが接触すると両者が激しく反応して大事故につながる危険がある。
【0003】
伝熱管に万一損傷が生じた場合でも、ナトリウムと水とが直ちに接触するのを防止する手段として、ナトリウムおよび水のいずれとも反応しない安定物質を介して熱交換を行う方法が、例えば特開昭53-131394号公報で提案されている。
【0004】
上記の従来技術において具体的に提案されている熱交換器は、伝熱管を外管と内管とからなる二重管構造に成形し、内管内に水(低温熱媒体)を流通させ、外管の外周にナトリウム(高温熱媒体)を流通させ、内管と外管との間のアニュラス部に水およびナトリウムのいずれとも反応しない安定物質(中間熱媒体)、例えば水銀を充填し、安定物質を介して熱交換を行わせている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術によれば、二重管構造の伝熱管の外管または内管の一方が損傷した場合でも、中間熱媒体が介在しているため直ちにナトリウムと水とが接触するのを防止できるという効果はあるものの、二重管構造は内管と外管との間の間隙が比較的近接しているため内管と外管とが同時に損傷する可能性も大きく、さらにはアニュラス部に介在する中間熱媒体の充填量も少ないため、二重管構造が損傷してナトリウムと水とが接触する可能性を必ずしも十分に排除することができない。
【0006】
さらには、伝熱管をすべて二重管構造とするため、構造的にも複雑となり、製造コストも高価なものとなるだけでなく、二重管構造の伝熱管のどれかが損傷した場合に、どの伝熱管が損傷したかを同定するためには二重管構造の伝熱管のすべてについて1本ごとにチェックする必要があるため、迅速な検出ができない。
【0007】
そこで本発明の目的は、外管と内管とを二重管構造として外管と内管との間に中間熱媒体を充填させる従来の熱交換器よりも、ナトリウムと水とが直接接触する可能性をより一層少なくできるとともに、二重管構造に比べて構造が簡単で、製造コストも低減できる、中間熱媒体を有する熱交換器を提供することにある。
【0008】
さらに本発明の目的は、損傷した外管または内管の検出、同定を簡便かつ迅速に行うことができる中間熱媒体を有する熱交換器を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明の請求項1に係る中間熱媒体を有する熱交換器は、高温熱媒体が流通する熱交換器の胴内に低温熱媒体が流通する多数本の内管を配設し、これらの内管を複数本ごとに複数のグループにグルーピングし、1つのグループを構成する複数本の内管を1本の外管内に配設し、高温熱媒体および低温熱媒体の両方に対して化学的に不活性かつ熱伝達性能に優れた中間熱媒体を各外管内に流通させるとともに、前記外管の内周に、スペーサにより外管との間に間隙を保持した隔壁管を配設し、該間隙にも中間熱媒体を流通できるようにしたことを特徴とする。
さらに本発明の請求項2に係る中間熱媒体を有する熱交換器は、高温熱媒体が流通する熱交換器の胴内に低温熱媒体が流通する多数本の内管を配設し、これらの内管を複数本ごとに複数のグループにグルーピングし、1つのグループを構成する複数本の内管を1本の外管内に配設し、高温熱媒体および低温熱媒体の両方に対して化学的に不活性かつ熱伝達性能に優れた中間熱媒体を各外管内に流通させ、前記外管から流出する中間熱媒体中に漏洩した高温熱媒体または低温熱媒体を各外管ごとに検出できる漏洩検出器を設けるとともに、前記外管の内周に、スペーサにより外管との間に間隙を保持した隔壁管を配設し、該間隙にも中間熱媒体を流通できるようにしたことを特徴とする
【0010】
かような構成の本発明の熱交換器によれば、多数本の内管を例えば3~4本ずつのグループにグルーピングし、内管3~4本からなる1つのグループを1本の外管内に単に配設する構造であるため、1本の外管と1本の内管と一対として二重管構造とする従来技術と比べて構造的に簡単で製造コストも低減できる。
【0011】
さらに1本の外管内に3~4本程度の内管を配設するため、従来の二重管構造ほどに外管と内管との間隙を近接させなくてよく、外管内の中間熱媒体も多量に介在させることができるため、万一内管または外管が損傷した場合でも、高温熱媒体(例えばナトリウム)と低温熱媒体(例えば水)とが接触する可能性を極めて少なくすることができる。
【0012】
さらにまた、熱伝達性能に優れた中間熱媒体を外管内に充填するだけでなく絶えず流通、流動させているため、高温熱媒体から低温熱媒体への熱伝達性能はほとんど損なわれることはない。
【0013】
内管または外管が万一損傷して、内管内の低温熱媒体が外管内に漏洩したり、外管外部の高温熱媒体が外管内に漏洩したりした場合には、損傷を迅速に検出し損傷管を同定する必要がある。そのため本発明の請求項2に係る発明においては、外管から流出する中間熱媒体中に漏洩した高温熱媒体または低温熱媒体を各外管ごとに検出できる漏洩検出器を設ける。これによって、例えば特定の1本の外管から流出する中間熱媒体中に低温熱媒体の漏洩が検出されれば、その外管内のグループの内管のどれかが損傷していることを同定でき、多数本の内管1本ごとに検出する場合に比べて簡便かつ迅速な検出、同定が可能となる。
【0014】
さらに本発明においては、各外管の内周に、スペーサにより外管との間に間隙を保持した隔壁管を配設し、この間隙にも中間熱媒体を流通できるようにする。これによって、万一外管が損傷した場合でも、その内側の隔壁管によって、高温熱媒体が内管外周と直接接触する危険をより一層少なくすることができ、特にナトリウム-水系の熱交換器においては大事故につながる両者の接触の危険をより確実に防止できる構成となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の熱交換器の実施例を示す縦断面図、図2は図1のA-A線に沿う横断面図である。図2からわかるように、熱交換器10の胴1内には、多数本の内管2が配設されており、これらの内管2は複数本(図示の例では3本)が1グループとなるようにグルーピングされていて、3本ずつの1グループの内管2が1本の外管3内に納められている。熱交換器の胴1内の外管3と外管3の間には高温熱媒体X(例えば液体ナトリウム)が流れ、各内管2内には低温熱媒体Y(例えば水)が流れ、各外管3内の内管2と内管2の間には中間熱媒体Zが流れるようにされている。内管をグルーピングする際のグループ数は、目的とする熱交換容量に依存して決定される。
【0016】
図1の縦断面図は、理解しやすくするために簡略化して図示しており、図2における内管2aと外管3a、内管2bと外管3b、内管2cと外管3cの縦断面のみを代表して図示してある。図1からわかるように、内管2と外管3は熱交換器10内の上下管板4、4の間に配設されており、高温熱媒体Xは胴1下部の高温熱媒体入口5から流入し、胴1内の外管と外管の間を下方から上方へ向かって流れ、胴1上部の高温熱媒体出口6から流出する。一方、低温熱媒体Yは、熱交換器10底部の低温熱媒体入口7から流入し、各内管2内を上方へ向かって流れ、熱交換器10頂部の低温熱媒体出口8から流出する。さらに中間熱媒体Zは、ポンプ9を備えた上部分岐管11を介して各外管3へ分岐されて流入し、外管3内の内管と内管の間を下方へ向かって流れ、下部合流管12を介して熱交換器10から流出する。
【0017】
かような構造の熱交換器によれば、外管3外部を流れる高温熱媒体Xと、内管2内を流れる低温熱媒体Yは、外管3内を流れる中間熱媒体Zを介して熱交換がなされることになる。中間熱媒体Zとしては、高温熱媒体Xおよび低温熱媒体Yの両方に対して化学的に不活性で、熱伝達性能の高い液体金属が好ましく使用でき、高温熱媒体Xがナトリウム、低温熱媒体Yが水の場合には、例えば液体鉛、液体ビスマス等が使用できる。中間熱媒体Zは熱伝達性能の高いものを選択し、しかも外管3内を流通、流動させているため、高温熱媒体Xから低温熱媒体Yへ効率よく熱を伝えることができる。
【0018】
図3は、内管2または外管3の損傷による熱媒体の漏洩を検知する漏洩検出器を設置した実施例を示すものであり、図1と同じ部材には同じ参照番号を付すことにより説明を省略する。図3に図示した実施例では、漏洩検出器13a~13cが、外管3a~3cから流出する中間熱媒体Zの流路のそれぞれに設置されていて、中間熱媒体Z中への低温熱媒体Yまたは高温熱媒体Xの漏洩の有無を常時チェックしている。外管3a内に納められている3本の内管2のどれかが損傷して、内管2内を流れる低温熱媒体Yが中間熱媒体Z中に漏洩した場合を想定すると、内管2から漏洩した低温熱媒体Yは1本の外管3a内の中間熱媒体Z中に拡散するだけで、拡散範囲を少なくできるとともに、漏洩検出器13aでこの漏洩が検出され、外管3a内の内管グループで損傷が生じたことが直ちに同定できる。なお、各外管3a~3cごとに漏洩検出器13a~13cを設置せずに、1個の漏洩検出器13に各外管3a~3cから流出する中間熱媒体をバルブ操作などにより切替式で順次導びいて、一定の時間間隔で漏洩を検出することもできる。
【0019】
図4は、高温熱媒体Xとして液体ナトリウムを、低温熱媒体Yとして水を使用する場合のように、高温熱媒体Xと低温熱媒体Yとの接触を高度に阻止する必要がある場合に特に望ましい実施例を示すものである。図4に図示した実施例では、外管3の内周に、外管3より直径の小さい隔壁管14を配設し、外管3と隔壁管14の間にスペーサ15を設けて両管の間に一定間隙を保持するようにしてあり、この間隙にも中間熱媒体Zを流通させている。かような隔壁管14を外管3内周に設ける構造によれば、万一外管3が損傷した場合でも、隔壁管14と内管2との間に中間熱媒体Zが確実に介在するため、外管3外部の高温熱媒体Xと内管2内部の低温熱媒体Yとが接触する可能性を極めて少なくすることができる。
【0020】
なお、上記した説明では、高温熱媒体としてナトリウムを、低温熱媒体として水を例に挙げて説明したが、本発明の熱交換器は、ナトリウム-水系に限らず、互いに接触が許されない高温熱媒体-低温熱媒体系の熱交換器として広く適用することができる。
【0021】
【発明の効果】
以上の説明からわかるように本発明によれば、多数本の内管を複数本ごとにグルーピングして、1つのグループを構成する複数本の内管を1本の外管内に配設する構造としたため、外管と内管を1本ずつ一対として二重管構造とする構造と比べて構造が簡単で製造コストも低減することができる。
【0022】
また、二重管構造ほどに外管と内管との間隙を近接させなくてすみ、多量の中間熱媒体を外管内に介在させることができるから、万一内管または外管が損傷した場合でも、外管外部の高温熱媒体(例えばナトリウム)と低温熱媒体(例えば水)とが接触する可能性を極めて少なくすることができる。
【0023】
さらに、熱伝達性能に優れた中間熱媒体を外管内に充填するだけでなく絶えず流通、流動させているため、高温熱媒体から低温熱媒体へ効率よく熱を伝えることができる。
【0024】
さらにまた、外管から流出する中間熱媒体中に漏洩した高温熱媒体または低温熱媒体を各外管ごとに検出できる漏洩検出器を設けることよって、特定の外管またはその外管内の内管のどれかが損傷していることを同定でき、多数本の内管1本ごとに検出する場合に比べて簡便かつ迅速な検出、同定が可能となる。
【0025】
また、各外管の内周に隔壁管を配設することにより、万一外管が損傷した場合でも、隔壁管によって高温熱媒体と低温熱媒体とが直接接触する危険をより一層少なくすることができ、特にナトリウム-水系の熱交換器においては両者の接触による大事故につながる危険をより効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による熱交換器の実施例を示す縦断面図。
【図2】 図1のA-A線に沿う横断面図。
【図3】 漏洩検出器を備えた本発明の熱交換器の実施例を示す縦断面図。
【図4】 本発明の熱交換器に用いる外管の内周に隔壁管を設けた実施例を示す横断面図。
【符号の説明】
1: 胴
2: 内管
3: 外管
10: 熱交換器
13: 漏洩検出器
14: 隔壁管
15: スペーサ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3