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明細書 :原子炉容器の熱荷重緩和装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3597165号 (P3597165)
公開番号 特開2003-149374 (P2003-149374A)
登録日 平成16年9月17日(2004.9.17)
発行日 平成16年12月2日(2004.12.2)
公開日 平成15年5月21日(2003.5.21)
発明の名称または考案の名称 原子炉容器の熱荷重緩和装置
国際特許分類 G21C 15/12      
G21C  1/02      
FI G21C 15/12 GDFF
G21C 1/02 Z
請求項の数または発明の数 1
全頁数 6
出願番号 特願2001-351310 (P2001-351310)
出願日 平成13年11月16日(2001.11.16)
審査請求日 平成13年11月16日(2001.11.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000224754
【氏名又は名称】核燃料サイクル開発機構
発明者または考案者 【氏名】笠原 直人
【氏名】安藤 昌教
個別代理人の代理人 【識別番号】100092495、【弁理士】、【氏名又は名称】蛭川 昌信
【識別番号】100088041、【弁理士】、【氏名又は名称】阿部 龍吉
【識別番号】100092509、【弁理士】、【氏名又は名称】白井 博樹
【識別番号】100095120、【弁理士】、【氏名又は名称】内田 亘彦
【識別番号】100095980、【弁理士】、【氏名又は名称】菅井 英雄
【識別番号】100094787、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 健二
【識別番号】100097777、【弁理士】、【氏名又は名称】韮澤 弘
【識別番号】100091971、【弁理士】、【氏名又は名称】米澤 明
審査官 【審査官】今浦 陽恵
参考文献・文献 特開平03-125994(JP,A)
特開昭61-210990(JP,A)
特開昭63-122993(JP,A)
実開昭61-118094(JP,U)
実開平4-34698(JP,U)
安藤昌教,原子炉容器液面近傍熱応力に及ぼす設計因子の感度解析(研究報告),日本,核燃料サイクル開発機構,2001年 7月,JNC TN9400 2001-88,全60P
安藤昌教、笠原直人,実用化ナトリウム炉の原子炉構造解析(2) -原子炉容器液面近傍熱応力に対する緩和方法の検討-,日本原子力学会「2003年春の年会」要旨集,日本,日本原子力学会,2003年 3月 5日,Vol.41、2分冊,P356
調査した分野 G21C 15/12
G21C 1/02
G21C 11/08
G21C 13/00
G21C 15/10
特許請求の範囲 【請求項1】
原子炉容器とガードベッセル間のアニュラス空間内の冷却材液面より上部に仕切り部材を配置し、前記仕切り部材より上部のアニュラス空間を通して低温ガスを運転中一定流速で循環させて冷却するとともに、冷却材液面下部から前記仕切り部材に渡るアニュラス空間を通して昇温時のみガスを循環させ、冷却材液面下部で加熱された高温ガスで冷却材液面上部を加熱するようにしたことを特徴とする原子炉容器の熱荷重緩和装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は原子炉容器液面近傍の熱応力緩和、原子炉容器温度成層化界面近傍の熱応力緩和等に利用できる原子炉容器の熱荷重緩和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高速増殖炉の原子炉容器は、上端を100℃以下に保つ必要があるコンクリート壁により支持され、炉心上部プレナムに500℃以上の高温冷却材を有することから、冷却材液面から上端支持部の間に鉛直方向の大きな温度勾配が生じる。特に、起動時においては昇温と液位上昇が同時進行することから勾配が厳しくなる。この結果、温度勾配が最大となる炉壁液面近傍部に原理的に高い熱応力が発生する。
これに対して、従来では、液位制御装置による液位上昇の防止、低温ナトリウムの循環装置による炉壁の一様冷却、および薄肉化による曲げ応力の低減を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の熱荷重緩和方策は、液位制御装置による液位上昇の防止、低温ナトリウム循環装置による炉壁の一様冷却、および薄肉化による曲げ応力の低減であり、液位制御装置と低温ナトリウム循環装置は物量増加によるコスト高を招き、薄肉化は他の故障のモードの制限から限界があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明は、原子炉壁の液面近傍部に発生する応力の発生要因である温度勾配自体を、アニュラス空間内に仕切り板を設けて、ガス空間の下半分を加熱、上半分を冷却するという簡素な方法で緩和し、一層の安全性の向上を図ろうとするものである。
本発明の原子炉容器の熱荷重緩和装置は、原子炉容器とガードベッセル間のアニュラス空間内の冷却材液面より上部に仕切り部材を配置し、前記仕切り部材より上部のアニュラス空間を通して低温ガスを運転中一定流速で循環させて冷却するとともに、冷却材液面下部から前記仕切り部材に渡るアニュラス空間を通して昇温時のみガスを循環させ、冷却材液面下部で加熱された高温ガスで冷却材液面上部を加熱するようにしたことを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は原子炉容器液面近傍の応力低減を行う本発明の熱荷重緩和装置の例を示す図、図2は熱荷重緩和装置の制御シーケンスを説明する図である。
原子炉容器1とガードベッセル2との間のアニュラス空間3には、原子炉容器の保護のために不活性ガスが満たされている。冷却材液面9より下部においてアニュラス空間内に設けられた仕切り板4と、冷却材液面9より上部においてアニュラス空間内に設けられた2つの仕切り板5、5とで挟まれた鉛直方向に沿ったアニュラス空間を利用して循環ガス流路6を形成し、ポンプ7で不活性ガスを循環させる。
【0006】
この不活性ガスは冷却材液面9より下部の高温の炉壁で加熱される。一方、冷却材液面より上部の原子炉容器内壁には断熱材10が設けられていて冷却材と断熱されているためこの部分の炉壁は低温状態にある。したがって、高温炉壁で加熱された不活性ガスは、循環の過程で冷却材液面より上部の低温炉壁を加熱し、冷却材液面9の近傍における急激な温度勾配を緩和する。なお、このような高温炉壁で加熱された高温ガスにより低温炉壁を加熱する温度制御をここではアクティブ温度制御と云う。なお、ガードベッセルの仕切り板4、5間のアニュラス空間に対応する外壁には断熱材8が設けられて外部のコンクリート温度を上げないようにしている。
【0007】
また、仕切り板5で仕切られた原子炉容器上端部の鉛直方向に沿ったアニュラス空間を利用して循環ガス流路11を形成するとともに、循環ガス流路11に冷却器12を設ける。この循環ガス流路を通してポンプ13により低温の不活性ガスを循環させ、原子炉容器上端部を100℃以下に保持する。このように低温ガスを循環させて炉壁を冷却する温度制御をここではパッシブ温度制御と云う。
【0008】
図2(a)、(b)に示すように、昇温時、冷却材温度Tf、ガス流路6を循環する高温ガスThは、200℃から15℃/hrの速度で昇温して550℃に達し、ガス流路11を循環する低温ガスTcは100℃に保持される。循環させるガスの流速は低温ガスは運転中一定で、高温ガスは昇温時のみ循環し、その流速は低温ガスの流速の倍程度で、この例では高温ガス流速Vh=0.5m/secである。
【0009】
図3は原子炉容器冷却材液面近傍の応力低減のためのアクティブ温度制御による熱荷重緩和の原理説明図であり、図3(a)は制御なしの場合、図3(b)はアクティブ温度制御を行った場合の図である。
前述したように、高速増殖炉の原子炉容器は、コンクリート構造物に支持されることから上端を100℃以下に保つ必要がある。起動時には内包する冷却材の温度が200℃から550℃まで昇温するため、その過程で生じる鉛直方向の局所的温度勾配により炉壁に高い熱応力が発生する。すなわち、原子炉容器の起動時の温度分布を成り行きまかせにした場合(図3(a))、高温の冷却材に接した接液部と低温のガス空間部の昇温終了時の急激な温度勾配(図3(a)の時刻Tにおける温度勾配)によって、昇温終了時に液面近傍炉壁外面(図3(a)のS点)に最大応力が生ずる。これを緩和するため、図3(b)に示すように、液面上部の低温炉壁を昇温中に加熱することによって、応力の要因となっている鉛直方向の温度勾配を小さくする。
【0010】
一方、炉壁加熱によりコンクリート壁に支持される上端の温度が上昇しないように、炉壁上端近傍は冷却する。その結果、最大応力発生位置Sにおける温度勾配は、最大応力発生時刻Tにおいて滑らかになることが分かる。このように、アニュラス空間内に仕切り板を設けて、ガス空間の下半分を加熱、上半分を冷却するという簡素な方法で応力低減が可能となる。
【0011】
表1は温度制御をしない場合、パッシブ温度制御のみ行った場合、アクティブ温度制御とパッシブ温度制御を行った場合の数値実験による応力分布から評価されたき裂発生および変形の指標となる応力強さ範囲Snと許容値との比較結果を示すものである。
【0012】
JP0003597165B2_000002t.gifただし、表1のアクティブ温度制御はパッシブ温度制御を併用している。表1からアクティブ温度制御によって、原子炉容器液面近傍の応力が許容値を余裕をもって下回ることが確かめられた。
【0013】
次に、温度制御をしない場合、パッシブ温度制御のみ行った場合、アクティブ温度制御とパッシブ温度制御を行った場合の原子炉起動時の最大応力発生時点における外表面に沿った炉壁鉛直方向の温度と応力分布について説明する。
図4は温度制御をしない場合、図5はパッシブ温度制御のみ行った場合、図6はアクティブ温度制御とパッシブ温度制御を行った場合の応力強さの範囲のそれぞれの軸方向分布(図4(a)、図5(a)、図6(a))、それぞれの温度の軸方向分布(時間に対する変化)(図4(b)、図5(b)、図6(b))を示している。また、図中、10は断熱材で、図4、図6の場合は冷却材液面上方のガス空間の炉壁内面に、図5の場合は冷却材液面の直近上部を除いた炉壁内面に設けられている。炉壁(板厚30mm)の熱伝達係数は、冷却材に接液する部分が930W/mK(W:ワット、K:絶対温度)、ガス空間の断熱材のある部分では0.64W/mK、断熱材のない部分では3.49W/mK、冷却材の部分では5.82W/mKであり、NsLは冷却材の液面の位置を表している。
【0014】
パッシブ温度制御のみ行った場合(図5)、温度制御をしない場合(図4)に比して、炉上端部近傍の温度が低下しているとともに、上端部の応力強さが減少している。これに対してアクティブ温度制御とパッシブ温度制御を行った場合(図6)には、冷却材液面近傍における応力が大幅に低下し、熱応力が緩和されていることが分かる。
【0015】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、原子炉容器とガードベッゼルのアニュラス空間を流路とし、ガス循環によりガス空間の下半分を加熱し、上半分を冷却するとい簡素で非接触な方法で物量の増加を伴わずに原子炉容器液面近傍の応力低減が可能となる。原子炉容器液面近傍の熱応力で想定される破損様式は回数が関係するクリープ疲労とラチェット変形であるため、頻度の少ない電源喪失や故障事象の影響を無視しても問題はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】原子炉容器液面近傍の応力低減を行う本発明の熱荷重緩和装置の例を示す図である。
【図2】熱荷重緩和装置の制御シーケンスを説明する図である。
【図3】原子炉容器冷却材液面近傍の応力低減のためのアクティブ温度制御による熱荷重緩和の原理説明図である。
【図4】温度制御をしない場合の応力強さ範囲の軸方向分布、温度の軸方向分布を示す図である。
【図5】パッシブ温度制御のみ行った場合の応力強さ範囲の軸方向分布、温度の軸方向分布を示す図である。
【図6】アクティブ温度制御とパッシブ温度制御を行った場合の応力強さ範囲の軸方向分布、温度の軸方向分布を示す図である。
【符号の説明】
1…原子炉容器、2…ガードベッセル2、3…アニュラス空間、4、5…仕切り板、6、11…循環ガス流路、7、13…ポンプ、8、10…断熱材、9…冷却材液面、12…冷却器。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5