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明細書 :人体輻射熱計

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4608653号 (P4608653)
公開番号 特開2006-133067 (P2006-133067A)
登録日 平成22年10月22日(2010.10.22)
発行日 平成23年1月12日(2011.1.12)
公開日 平成18年5月25日(2006.5.25)
発明の名称または考案の名称 人体輻射熱計
国際特許分類 G01J   5/00        (2006.01)
G01J   1/02        (2006.01)
FI G01J 5/00 Z
G01J 1/02 U
請求項の数または発明の数 5
全頁数 9
出願番号 特願2004-322045 (P2004-322045)
出願日 平成16年11月5日(2004.11.5)
審査請求日 平成19年9月12日(2007.9.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
発明者または考案者 【氏名】田神 一美
個別代理人の代理人 【識別番号】100093816、【弁理士】、【氏名又は名称】中川 邦雄
審査官 【審査官】田中 洋介
参考文献・文献 特開2005-189088(JP,A)
特開昭61-181926(JP,A)
特開2003-232676(JP,A)
特公平08-027216(JP,B2)
特公平03-035611(JP,B2)
特公昭61-008375(JP,B2)
特開2001-083014(JP,A)
道川内亮 他,東京および仙台における夏期都市空間の熱環境計測に関する研究,太陽/風力エネルギー講演論文集(2003),2003年,pp.237-238
調査した分野 G01J 5/00-5/62
G01J 1/00-1/60
JSTPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
ペルチェ素子板の表面に熱流センサを貼付した上受感部、下受感部及び横受感部をコの字状に連設したセンサと、前記センサのペルチェ素子板に電源を供給し、前記センサから計測データを受け取って記憶する測定装置とからなり、前記測定装置から水平に延びた支持部により前記センサを空中で支えることを特徴とする人体輻射熱計。
【請求項2】
センサの表面温度を、運動中の平均皮膚温に相当する約35℃に調整したことを特徴とする請求項1に記載の人体輻射熱計。
【請求項3】
センサの裏面に空冷用フィンを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の人体輻射熱計。
【請求項4】
測定装置が、動作制御や演算処理を行う中央処理装置及び計測データを定期的に蓄積する記憶装置からなるコンピュータと、センサへの電源供給、計測データの受信又は外部機器への計測データ出力を行うためのインタフェースとからなることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の人体輻射熱計。
【請求項5】
計測データの受信が、センサの微小電圧計でセンサ出力を感知し、AD変換器でアナログデータをディジタルデータに変換して測定装置に取り込むことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の人体輻射熱計。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、日光及び土壌からの人体への輻射熱流入量を計測することができる人体輻射熱計に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
夏季に気温が異常に上昇した場合又は高温環境下で作業や運動をした場合に熱中症になることがある。熱中症は、気温、湿度又は輻射熱等の環境的要因や、健康状態又は運動量など様々な要因により発生する。
【0003】
直射日光及び土壌からの照り返しによる輻射熱は、人体に大きな影響を与えるため、輻射の少ないグラウンドや舗装道路を作ることにより、熱中症の発生を抑えることが試みられている。
【0004】
特許文献1に記載されているように、輻射熱ガイド等の温度上昇に起因する測定誤差を小さく抑えて、被測定物の輻射熱を高い精度で測定することができる輻射熱センサという発明も公開されている。

【特許文献1】特開平07-301566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、単に輻射熱を測定するだけでは、人体にどれだけの影響を及ぼすかまでは把握することはできない。また、人体への影響を把握するには、測定データを定期的に収集して統計を取ることも重要である。
【0006】
そこで、本発明は、輻射熱が人体にどれだけ入ってくるかを定期的に計測することができる人体輻射熱計を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、ペルチェ素子板2dの表面に熱流センサ2eを貼付した上受感部2a、下受感部2b及び横受感部2cをコの字状に連設したセンサ2と、前記センサ2のペルチェ素子板に電源3bを供給し、前記センサ2から計測データを受け取って記憶する測定装置3とからなり、前記測定装置3から水平に延びた支持部3aにより前記センサ2を空中で支えることを特徴とする人体輻射熱計1の構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。第1に、センサをコの字状にすることにより、日光輻射熱、地上輻射熱及び日光輻射熱と地上輻射熱との合成熱を計測することができる。
【0009】
第2に、熱流センサを貼付する基板にペルチェ素子板を使用することにより、温度制御がしやすくなる。ペルチェ素子板の表面温度を運動中の平均皮膚温に相当する約35℃にすることで、人体への影響を調べることができる。
【0010】
第3に、測定装置の中に、電源又はコンピュータ等をまとめて入れることで、機器が煩雑とならず、コンパクトにすることができる。また、インタフェースを介して、外部機器にデータを出力することもできる。
【0011】
第4に、定期的に計測してデータを蓄積することができるので、輻射熱の時間的な推移も調べることもできる。蓄積したデータを基にして、輻射の少ないグラウンドや舗装道路を作るのに役立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
縦幅及び横幅が5センチメートルのペルチェ素子板を3枚使ってコの字状にし、表面に熱流センサを貼付した受感部を、地上から約20センチメートルの位置に配置することにより、日光輻射熱及び地上輻射熱を計測することを実現した。
【実施例1】
【0013】
以下に、添付図面に基づいて、本発明である人体輻射熱計について詳細に説明する。図1は、本発明である人体輻射熱計の全体図である。
【0014】
人体輻射熱計1は、ペルチェ素子板2dの表面に熱流センサ2eを貼付した上受感部2a、下受感部2b及び横受感部2cをコの字状に連設したセンサ2と、前記センサ2のペルチェ素子板2dに電源3bを供給し、前記センサ2から計測データを受け取って記憶する測定装置3とからなり、前記測定装置3から水平に延びた支持部3aにより前記センサ2を空中で支えることを特徴とする。
【0015】
人体輻射熱計1は、センサ2及び測定装置3からなり、センサ2で日光輻射熱5、地上輻射熱5a及び日光輻射熱5と地上輻射熱5aとの合成熱5bを一定時間毎に計測し、測定装置3に計測データを蓄積する。
【0016】
センサ2は、上受感部2a、下受感部2b及び横受感部2cからなる。立方体の上面、下面及び側面の三面にそれぞれ上受感部2a、下受感部2b及び横受感部2cが来るように、コの字状に連設する。
【0017】
センサ2の上受感部2aでは、直射日光による日光輻射熱5を計測でき、センサ2の下受感部2bでは、土壌4からの照り返しによる地上輻射熱5aを計測でき、センサ2の横受感部2cでは、日光輻射熱5と地上輻射熱5aとの合成熱5bを計測できる。
【0018】
測定装置3は、内部に電源3bやコンピュータ3cなど有し、センサ2に電源3bを供給したり、センサ2で計測したデータを保管する。センサ2以外に計測の際に使用する機器は、測定装置3内に収納することが可能である。
【0019】
支持部3aは、センサ2と測定装置3を繋ぐ棒状の部材であり、電源3bの供給で計測データの送受信に使用する線を内部に通すことも可能である。支持部3aの一端はセンサ2に接続され、他端は十字型又は立方体などの形状にしてセンサ2を固定する。
【0020】
支持部3aは、測定装置3から測定対象の土壌4の位置までセンサ2を導くためのものであり、長さは適宜調整できるものとする。また、センサ2は、地上輻射熱5aを計測するために、地面からある程度浮かした状態で固定する。
【0021】
実験段階においては、センサ2の高さ4aは、土壌4から20センチメートルの位置に固定したが、様々な高さ4aの輻射熱を計測する場合もあることから、高さ4aは自由に変更することが可能である。
【0022】
人体輻射熱計1による測定方法としては、高さ4aを一定にして異なる土壌4の輻射熱を比較したり、同じ土壌4を使用して高さ4aを変えて計測することで、人体のどの部分に影響を与えるか調べたりするなどがある。
【0023】
人体輻射熱計1は、日中の間、日光輻射熱5、地上輻射熱5a及び合成熱5bの輻射熱量を測定し続け、1分間毎に計測データを測定装置3に送り、測定装置3が時間毎の全てのデータを蓄積する。
【0024】
蓄積したデータは、コンピュータ3c等を利用して集計又は分析することにより、輻射熱がどれだけ人体に侵入し、影響を与えるかを調べることができ、熱中症の予防に役立てることができる。
【0025】
図2は、本発明である人体輻射熱計のセンサの正面図であり、図3は、本発明である人体輻射熱計のセンサの平面図である。人体輻射熱計1のセンサ2は、表面温度を約35℃に調整し、裏面に空冷用フィン6を設けたことを特徴とする。
【0026】
図2に示すように、センサ2は、上受感部2a、下受感部2b及び横受感部2cの3枚の板状の部材をコの字状に連設したものである。尚、横受感部2cは、側面側に付いているが、正面側又は背面側に付けても構わない。
【0027】
上受感部2a、下受感部2b及び横受感部2cには、それぞれペルチェ素子板2dが使用される。ペルチェ素子板2dの表面は、輻射熱量を計測するための熱流センサ2eが貼付され、裏面は、支持部3aにより固定される。
【0028】
ペルチェ素子板2dは、ペルチェ素子を板状にした部材である。尚、ペルチェ素子とは、N型の半導体とP型の半導体を熱的に並列に配置し、電気的に直列に接続して電流を流すと一方の面が冷え、他方の面が暖まるというペルチェ効果を利用した素子のことである。ペルチェ効果を発生させるための電流は、測定装置3の電源3bから供給する。
【0029】
上受感部2a、下受感部2b及び横受感部2cの表面は、運動中の平均皮膚温に相当する約35℃にするが、輻射熱により暖められるので、ペルチェ素子板2dの吸熱面を表面にして冷却することで調節する。逆に、裏面となるペルチェ素子板2dの放熱面は加熱されるので、裏面には空冷用フィン6を設けて冷却する。
【0030】
尚、平均皮膚温とは、身体の部位の相違による皮膚温の違いを包含した総合的な皮膚温の指標で、身体の各部位の皮膚温を、各部位の皮膚表面積で按分して求めた身体全体の皮膚温の平均値のことである。
【0031】
熱流センサ2eは、日光輻射熱5、地上輻射熱5a及び合成熱5bの各輻射熱量を検知して、測定装置3に送信する。熱流センサ2eは、表面温度が約35℃のペルチェ素子板2dに貼り付けられるので、人体に流入する熱量を計測することができる。
【0032】
図3に示すように、センサ2の上受感部2aは、正方形状の板であり、輻射熱を正確に計測できるようにするために、表面は平滑である。尚、下受感部2b及び横受感部2cについても、上受感部2aと同様である。
【0033】
実験段階においては、上受感部2a、下受感部2b及び横受感部2cの縦幅2fは5センチメートル、横幅2gも5センチメートルとしたが、大きさについては特に限定されず、変更することが可能である。
【0034】
図4は、本発明である人体輻射熱計の構成を示すブロック図である。人体輻射熱計1は、大きく分けると、センサ2と測定装置3とからなる。
【0035】
人体輻射熱計1の測定装置は、動作制御や演算処理を行う中央処理装置3d及び計測データを定期的に蓄積する記憶装置3eからなるコンピュータ3cと、センサ2への電源供給8、計測データの受信8a又は外部機器3gへの計測データ出力8cを行うためのインタフェース3fとからなる。
【0036】
尚、計測データの受信8aは、センサ2の微小電圧計7でセンサ出力を感知し、AD変換器7aでアナログデータをディジタルデータに変換して測定装置3に取り込むことを特徴とする。
【0037】
センサ2は、熱流センサ2e、微小電圧計7及びAD変換器7aからなり、冷却用に空冷用フィン6も備える。
【0038】
熱流センサ2eは、センサ2の本体であるペルチェ素子板2dの表面に貼付され、日光及び地上からの照返しによる輻射熱量を検出する。尚、センサ2の表面は、ペルチェ素子板2d及び冷却用フィン6により平均皮膚温である約35℃に調整される。
【0039】
微小電圧計7は、熱流センサ2eが輻射熱を検出した際に、センサ出力を測定する機器であり、AD変換器7aは、熱流センサ2eが検出した輻射熱はアナログデータであるので、コンピュータ3cに取り込めるようにディジタルデータに変換する機器である。
【0040】
測定装置3は、電源3b、コンピュータ3c及びインタフェース3fからなり、外部機器3gを使用する場合は、外部機器3gも測定装置3の中に含めるものとする。
【0041】
電源3bは、センサ2及び測定装置3内のコンピュータ3c等の機器に電力を供給8する。人体輻射熱計1は日中の間測定し続けるので、少なくとも8時間以上使用可能なバッテリなどを電源3bとして使用する。
【0042】
コンピュータ3cは、一般的なコンピュータと同様に、中央処理装置3d及び記憶装置3eを有する。更にその他に、退避用の記録媒体の駆動装置や入出力装置などを備える場合もある。
【0043】
中央処理装置3dは、動作制御や演算処理をする装置で、センサ2から計測データを1分間毎に受信するように制御8bしたり、計測データに対して計算又は編集したり、記憶装置3eに保存するように指示する。
【0044】
記憶装置3eは、センサ2から一定時間毎に送信8aされる計測データを保管する。計測データは蓄積されていくので、大量のデータを保存できる容量が必要であり、古いデータは削除するか、別の記録媒体などに退避する。
【0045】
インタフェース3fは、各装置の間の命令やデータのやり取りを仲介する装置である。ただし、全てのやり取りを同一のインタフェース3fにより行う訳ではなく、中央処理装置3dがインタフェース3fを制御8bする。
【0046】
インタフェース3fとしては、センサ2に電源3bを供給8するインタフェース3fと、計測データを受信8aするインタフェース3f又は計測データを出力8cするインタフェース3f等があり、それぞれ別である。
【0047】
計測データの受信8aの際は、中央処理装置3dがセンサ2の微小電圧計7によりセンサ出力があったかどうか確認し、センサ2から計測データを受信8aするように、インタフェース3f及び記憶装置3eを制御8bする。
【0048】
センサ2の熱流センサ2eで検出した計測データは、AD変換器7aによりディジタルデータに変換され、測定装置3のインタフェースを介して、コンピュータ3cの記憶装置3eに保存される。
【0049】
中央処理装置3dは、必要があれば、記憶装置3eに保存されたデータを演算又は編集する。計測データを基に計算し、人体への影響を分析したり、データを扱いやすいように加工する。
【0050】
外部機器3gは、記憶装置3eに内蔵している以外の機器を使用する場合に、インタフェース3fを介して接続する。例としては、コンピュータ3c以外のコンピュータに繋ぎ、グラフや表などに編集して表示したり、プリンタから印刷したりすることができる。
【0051】
計測データの出力8cの際は、まず中央処理装置3dが記憶装置3eに保存された計測データを取り出し、次に中央処理装置3dがインタフェース3fを介して計測データを外部機器3gに送信する。
【0052】
各装置がバラバラであると、管理しづらいものとなるが、全てを測定装置3内に収めてしまえば、全体を保護できるばかりでなく、装置を小型化できるし、メンテナンスもしやすくなる。
【0053】
以上のように、本発明である人体輻射熱計1は、センサをコの字状にすることにより、日光輻射熱5、地上輻射熱5a及び日光輻射熱5と地上輻射熱5aとの合成熱5bを計測することができる。
【0054】
熱流センサ2eを貼付する基板にペルチェ素子板2dを使用することにより、温度制御がしやすくなる。ペルチェ素子板2dの表面温度を運動中の平均皮膚温に相当する約35℃にすることで、人体への影響を調べることができる。
【0055】
測定装置3の中に、電源3b又はコンピュータ3c等をまとめて入れることで、機器が煩雑とならず、コンパクトにすることができる。また、インタフェース3fを介して、外部機器3gにデータを出力することもできる。
【0056】
定期的に計測してデータを蓄積することができるので、輻射熱の時間的な推移も調べることもできる。蓄積したデータを基にして、輻射の少ないグラウンドや舗装道路を作るのに役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明である人体輻射熱計の全体図である。
【図2】本発明である人体輻射熱計のセンサの正面図である。
【図3】本発明である人体輻射熱計のセンサの平面図である。
【図4】本発明である人体輻射熱計の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
1 人体輻射熱計
2 センサ
2a 上受感部
2b 下受感部
2c 横受感部
2d ペルチェ素子板
2e 熱流センサ
2f 縦幅
2g 横幅
3 測定装置
3a 支持部
3b 電源
3c コンピュータ
3d 中央処理装置
3e 記憶装置
3f インタフェース
3g 外部機器
4 土壌
4a 高さ
5 日光輻射熱
5a 地上輻射熱
5b 合成熱
6 空冷用フィン
7 微小電圧計
7a AD変換器
8 供給
8a 受信
8b 制御
8c 出力
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3