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明細書 :インドール誘導体を有効成分とするα2受容体遮断剤及び血管拡張剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3964417号 (P3964417)
公開番号 特開2006-089443 (P2006-089443A)
登録日 平成19年6月1日(2007.6.1)
発行日 平成19年8月22日(2007.8.22)
公開日 平成18年4月6日(2006.4.6)
発明の名称または考案の名称 インドール誘導体を有効成分とするα2受容体遮断剤及び血管拡張剤
国際特許分類 A61K  31/4045      (2006.01)
A61P   9/00        (2006.01)
C07D 209/14        (2006.01)
C07D 209/24        (2006.01)
C07D 209/30        (2006.01)
FI A61K 31/4045
A61P 9/00
C07D 209/14
C07D 209/24
C07D 209/30
請求項の数または発明の数 5
全頁数 13
出願番号 特願2004-280104 (P2004-280104)
出願日 平成16年9月27日(2004.9.27)
審判番号 不服 2005-021664(P2005-021664/J1)
審査請求日 平成17年1月24日(2005.1.24)
審判請求日 平成17年11月10日(2005.11.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
【識別番号】599055382
【氏名又は名称】学校法人東邦大学
発明者または考案者 【氏名】染井 正徳
【氏名】重信 弘毅
【氏名】田中 芳夫
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審理対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 貞次
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100101904、【弁理士】、【氏名又は名称】島村 直己
参考文献・文献 仏国特許出願公開第2242091(FR,A1)
特表2000-500353(JP,A)
特表平6-505497(JP,A)
特開平7-112970(JP,A)
国際公開第03/068743(WO,A1)
国際公開第02/071873(WO,A1)
調査した分野 A61K31/4045,C07D209/14,C07D209/24,C07D209/30
CA、REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
次式(I):
【化1】
JP0003964417B2_000006t.gif
(式中、Rは水素原子、C1-6-アルキル基、C2-6-アルケニル基、C2-6-アルキニル基、芳香族基、アラルキル基、アシル基、アリールスルホニル基、C1-6-アルキルスルホニル基、又は水酸基を表し;RはC1-21-炭化水素基を表し;Rは水素原子、又はハロゲン原子を表し;、R、R及びRは、同一又は異なり、水素原子、ハロゲン原子、C1-6-アルキル基、又はC1-6-アルコキシ基を表し;Rは水素原子、又はアシル基を表し;nは1~6の整数を表し;a及びbは、同一又は異なり、1又は0を表し;R、R、R、R又はRで表されるC1-6-アルキル基、Rで表されるC2-6-アルケニル基、C2-6-アルキニル基及びC1-6-アルキルスルホニル基、並びにR、R、R又はRで表されるC1-6-アルコキシ基は、芳香族基、アシル基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子及びC1-6-アルコキシ基から選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよく;Rで表される芳香族基、アラルキル基、アシル基及びアリールスルホニル基、並びにで表されるC1-21-炭化水素基は、C1-6-アルキル基、C2-6-アルケニル基、C2-6-アルキニル基、芳香族基、アシル基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子及びC1-6-アルコキシ基から選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよく;Rで表される水酸基は、C1-6-アルキル基、C2-6-アルケニル基、C2-6-アルキニル基、芳香族基、アラルキル基及びアシル基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。但し、Rが水素原子、Rがメチル基、R、R、R、R及びRが水素原子、Rがメトキシ基、nが2、aが0、かつ、bが1を表す場合を除く。)
で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする血管拡張剤
【請求項2】
前記式(I)において、Rが水素原子、C1-6-アルキル基、C2-6-アルケニル基、C2-6-アルキニル基、アラルキル基、アシル基、アリールスルホニル基、C1-6-アルキルスルホニル基、又は水酸基である化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する請求項1記載の血管拡張剤。
【請求項3】
前記式(I)において、Rが水素原子、アシル基、又は水酸基である化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する請求項1記載の血管拡張剤。
【請求項4】
前記式(I)において、R、R、R、R及びRの少なくとも1つがハロゲン原子である化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する請求項1記載の血管拡張剤
【請求項5】
前記式(I)において、RがC4-21-脂肪族炭化水素基である化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の血管拡張剤
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、インドール誘導体を有効成分とするα受容体遮断剤及び血管拡張剤に関する。
【背景技術】
【0002】
α受容体には、神経性α受容体及び非神経性α受容体が存在する。神経性α受容体は、シナプス前性α受容体とシナプス後性α受容体に分類され、前者は、特に末梢及び中枢ノルアドレナリン作動性神経末端に分布し、ノルアドレナリンの遊離を抑制する。その他、コリン作動性及びセロトニン作動性等の神経末端にも分布し、各種神経伝達物質の遊離を抑制する。後者は、例えば中枢神経系、交感神経節及びノルアドレナリン神経樹状突起等に分布し、それぞれ降圧・除脈作用、過分極作用及び神経興奮抑制作用等の生理機能に関与する。一方、非神経性α受容体は血小板、脂肪細胞、膵臓ランゲルハンス島及び血管内皮細胞等に分布し、それぞれ血小板凝集阻害作用、脂質分解抑制作用、インスリン分泌抑制作用及びNO遊離作用等の生理機能に関与している(非特許文献1)。
【0003】
公知のα受容体遮断薬としてヨヒンビン等が知られている。ヨヒンビンは、アカネ科高木Pausinystalia yohimbeの樹皮又はラウオルフィア属植物に含有されるインドール系アルカロイドであり、催淫剤として使用される薬剤である。現在、薬剤、成人病、悪性腫瘍手術及び社会環境、精神的ストレス等により勃起不全患者が急増している。しかしながら、その病因が複雑であるためにその治療方法は確立していない。
【0004】
α受容体遮断作用を有する薬剤は、催淫薬、抗糖尿病薬、抗喘息薬及び血小板凝集阻害薬など、多くの用途に使用できる可能性がある。
【0005】
しかしながら、ヨヒンビンは、五環系縮合複素環化合物であり、構造が複雑なため、合成が容易でなく、また複雑な構造が副作用の原因となっている可能性がある。
【0006】
一方、次式:
【化1】
JP0003964417B2_000002t.gif
において、Rが水素原子、Rがメチル基、R、R、R、R及びRが水素原子、Rがメトキシ基、nが2、aが0、bが1を表すインドール誘導体であるメラトニン(N-アセチル-5-メトキシインドール-3-エタンアミン)は骨芽細胞及び破骨細胞の両者に対して抑制的に作用することが報告されている(非特許文献2)。また、特許文献1及び非特許文献3には、メラトニンの臭素化誘導体が記載されており、非特許文献4には、各種3-置換インドール誘導体が記載されている。
【0007】
しかしながら、メラトニン、及びメラトニン類似のインドール誘導体がα受容体遮断作用又は血管拡張作用を有するとの報告はなされていない。
【0008】

【特許文献1】特表平9-511514号公報
【非特許文献1】村松郁延、日本薬剤師会雑誌、48(11)、1987(1996)
【非特許文献2】N. Suzuki, and A. Hattori, J. Pineal Res., Vol. 33, pp. 253-258 (2002)
【非特許文献3】M. Somei, Y. Fukui, M. Hasegawa, N. Oshikiri, and T. Hayashi, Heterocycles, Vol. 53, pp. 1725-1736 (2000)
【非特許文献4】M. Somei, Recent Advances in the Chemistry of 1-Hydroxyindoles, 1-Hydroxytryptophans, and 1-Hydroxytryptamines, Advances in Heterocyclic Chemistry, Vol. 82, ed. by A. R. Katritzky, Elsevier Science (USA), 2002, pp. 101-155
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、五環系縮合複素環化合物であるヨヒンビンよりも構造が単純で、ヨヒンビンに類似する作用を有する化合物を見出すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)次式(I):
【化2】
JP0003964417B2_000003t.gif
(式中、Rは水素原子、置換又は非置換のC1-6-アルキル基、置換又は非置換のC2-6-アルケニル基、置換又は非置換のC2-6-アルキニル基、置換又は非置換の芳香族基、置換又は非置換のアラルキル基、置換又は非置換のアシル基、置換又は非置換のアリールスルホニル基、置換又は非置換のC1-6-アルキルスルホニル基、又は置換又は非置換の水酸基を表し;Rは置換又は非置換のC1-21-炭化水素基を表し;R、R、R、R及びRは、同一又は異なり、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換のC1-6-アルキル基、又は置換又は非置換のC1-6-アルコキシ基を表し;Rは水素原子、又は置換又は非置換のアシル基を表し;nは1~6の整数を表し;a及びbは、同一又は異なり、1又は0を表す。)
で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を含有するα受容体遮断用医薬又は食品組成物。
【0011】
(2)前記式(I)において、R、R、R、R及びRの少なくとも1つがハロゲン原子である化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する前記(1)に記載の組成物。
【0012】
(3)前記式(I)において、RがC4-21-脂肪族炭化水素基である化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する前記(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)前記(1)~(3)のいずれかに記載の式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する血管拡張用医薬又は食品組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ヨヒンビンよりも構造が単純で、ヨヒンビンに類似する作用を有するインドール誘導体を用いたα受容体遮断用又は血管拡張用の医薬又は食品組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、C1-6-アルキル基、及び各置換基中の「C1-6-アルキル」としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
【0015】
2-6-アルケニル基としては、例えばビニル基、1-プロペニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が挙げられる。
【0016】
2-6-アルキニル基としては、例えばエチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル(プロパルギル)基、3-ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基が挙げられる。
【0017】
芳香族基としては、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリル基、イソキノリル基等の芳香族複素環基が挙げられる。
【0018】
アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基が挙げられる。
アシル基としては、例えばホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基等のC1-6-脂肪族アシル基;ベンゾイル基、トルオイル基等のアロイル基が挙げられる。
【0019】
アリールスルホニル基としては、例えばベンゼンスルホニル基、p-トルエンスルホニル(トシル)基、ナフタレンスルホニル基等の芳香族炭化水素-スルホニル基;フランスルホニル基、チオフェンスルホニル基、ピロールスルホニル基、オキサゾールスルホニル基、イソオキサゾールスルホニル基、チアゾールスルホニル基、イソチアゾールスルホニル基、イミダゾールスルホニル基、ピラゾールスルホニル基、ピリジンスルホニル基、ピリミジンスルホニル基、ピリダジンスルホニル基、ピラジンスルホニル基、キノリンスルホニル基、イソキノリンスルホニル基等の芳香族複素環-スルホニル基が挙げられる。
【0020】
1-6-アルキルスルホニル基としては、例えばメタンスルホニル(メシル)基、エタンスルホニル基が挙げられる。
【0021】
1-21-炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基等の直鎖状又は分岐状のC1-21-アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のC3-21-シクロアルキル基;ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オレイル基等のC2-21-アルケニル基;エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル(プロパルギル)基、3-ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等のC2-21-アルキニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;アダマンチル基等の橋かけ環炭化水素基;スピロ環炭化水素基;縮合環炭化水素基が挙げられる。
【0022】
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0023】
1-6-アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0024】
前記式(I)においてR、R、R、R、R又はRで表されるC1-6-アルキル基、Rで表されるC2-6-アルケニル基、C2-6-アルキニル基及びC1-6-アルキルスルホニル基、並びにR、R、R、R又はRで表されるC1-6-アルコキシ基は、芳香族基、アシル基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、C1-6-アルコキシ基等から選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0025】
前記式(I)においてRで表される芳香族基、アラルキル基、アシル基及びアリールスルホニル基、並びにRで表されるC1-21-炭化水素基は、C1-6-アルキル基、C2-6-アルケニル基、C2-6-アルキニル基、芳香族基、アシル基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、C1-6-アルコキシ基等から選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0026】
前記式(I)においてRで表される水酸基は、C1-6-アルキル基、C2-6-アルケニル基、C2-6-アルキニル基、芳香族基、アラルキル基、アシル基等から選ばれる置換基で置換されていてもよい。C1-6-アルキル基で置換された水酸基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられ、C2-6-アルケニル基で置換された水酸基としては、例えばビニルオキシ基、1-プロペニルオキシ基、アリルオキシ基、1-ブテニルオキシ基、2-ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基、ヘキセニルオキシ基が挙げられ、C2-6-アルキニル基で置換された水酸基としては、例えばエチニルオキシ基、1-プロピニルオキシ基、プロパルギルオキシ基が挙げられ、芳香族基で置換された水酸基としては、例えばフェノキシ基、ナフチルオキシ基等の芳香族炭化水素-オキシ基;フリルオキシ基、チエニルオキシ基、ピロリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、イソオキサゾリルオキシ基、チアゾリルオキシ基、イソチアゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、ピラゾリルオキシ基、ピリジルオキシ基、ピリミジニルオキシ基、ピリダジニルオキシ基、ピラジニルオキシ基、キノリルオキシ基、イソキノリルオキシ基等の芳香族複素環-オキシ基が挙げられ、アラルキル基で置換された水酸基としては、例えばベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基が挙げられ、アシル基で置換された水酸基としては、例えばホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基等のC1-6-脂肪族アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ基、トルオイルオキシ基等のアロイルオキシ基が挙げられる。
【0027】
前記式(I)で示される化合物としては、α受容体遮断作用又は血管拡張作用の点で、R、R、R、R及びRの少なくとも1つがハロゲン原子であることが好ましく、これらの置換基の2つ以上がハロゲン原子であることが更に好ましく、3つ以上がハロゲン原子であることが特に好ましい。
【0028】
また、前記式(I)で示される化合物としては、Rの疎水性が高い方がα受容体遮断作用又は血管拡張作用に優れ、Rがメチル基のものよりも、C4-21-脂肪族炭化水素基、例えば長鎖脂肪族基、アダマンチル基である化合物が好ましい。
【0029】
前記式(I)で示される化合物の薬学的に許容される塩としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、ピロ硫酸、メタリン酸等の無機酸、又はクエン酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸)等の有機酸との塩が挙げられる。また、フェノール性水酸基又はカルボキシル基を有する場合には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩として用いることもできる。
【0030】
前記式(I)で示される化合物のうち、Rが水素原子、R、R、R、R及びRの少なくとも1つがハロゲン原子である化合物は、例えば、前記式(I)においてR、R、R、R及びRの少なくとも1つが水素原子である化合物(例えば、メラトニン等のN-アシルインドール-3-エタンアミン類)を、M. Somei, Y. Fukui, M. Hasegawa, N. Oshikiri, and T. Hayashi, Heterocycles, Vol. 53, pp. 1725-1736 (2000)(非特許文献3)に記載の方法に従って、ハロゲン化することにより製造することができる。また、前記式(I)においてRが水酸基、R、R、R、R及びRの少なくとも1つが水素原子である化合物(例えば、1-ヒドロキシメラトニン等のN-アシル-1-ヒドロキシインドール-3-エタンアミン類)をハロゲン化することによっても、前記式(I)においてRが水素原子、R、R、R、R及びRの少なくとも1つがハロゲン原子である化合物を製造することができる。
【0031】
前記式(I)で示される化合物のうち、Rが置換又は非置換のC1-6-アルキル基、置換又は非置換のC2-6-アルケニル基、置換又は非置換のC2-6-アルキニル基、置換又は非置換の芳香族基、置換又は非置換のアラルキル基、置換又は非置換のアシル基、置換又は非置換のアリールスルホニル基、又は置換又は非置換のC1-6-アルキルスルホニル基である化合物は、例えば、前記式(I)においてRが水素原子である化合物(例えば、メラトニン等のN-アシルインドール-3-エタンアミン類)を、N,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶媒中、塩基触媒の存在下、式:R-X(式中、Rは前記と同義であり、Xはハロゲン原子を表す。)と反応させることにより製造することができる。
【0032】
また、前記式(I)で示される化合物のうち、Rが水酸基である化合物は、例えば、Rが水素原子である化合物(例えば、メラトニン等のN-アシルインドール-3-エタンアミン類)を、M. Somei, Recent Advances in the Chemistry of 1-Hydroxyindoles, 1-Hydroxytryptophans, and 1-Hydroxytryptamines, Advances in Heterocyclic Chemistry, Vol. 82, ed. by A. R. Katritzky, Elsevier Science (USA), 2002, pp. 101-155(非特許文献4)に記載の方法に従い、酢酸中シアン化水素化ホウ素ナトリウムで処理、又はトリフルオロ酢酸中トリエチルシランで処理することにより、2,3-ジヒドロインドール誘導体に変換した後、過酸化水素及びタングステン酸ナトリウムで処理することにより製造することができる。
【0033】
前記式(I)で示される化合物のうち、RがC1-6-アルキル基、C2-6-アルケニル基、C2-6-アルキニル基、芳香族基、アラルキル基、アシル基等から選ばれる置換基で置換された水酸基である化合物は、例えば、塩基として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、ブチルリチウム等を使用して、金属又は遷移金属触媒の共存又は非共存下に、Rが水酸基である化合物を、C1-6-アルキルハライド、C2-6-アルケニルハライド、C2-6-アルキニルハライド、芳香族ハライド、アラルキルハライド、脂肪酸ハライド、脂肪酸無水物等と反応させることにより製造することができる。
【0034】
前記式(I)で示される化合物のうち、aが0で、bが1である化合物は、また、次式(II):
【化3】
JP0003964417B2_000004t.gif
(式中、R、R、R、R、R、R及びnは、前記と同義である。)で示される化合物をハロゲン化アルカノイル又はカルボン酸無水物と反応させるか、又はカルボン酸をジシクロヘキシルカルボジイミド等で活性化して反応させてN-アシル化することによっても製造することができる。
【0035】
前記式(I)で示される化合物のうち、Rが置換又は非置換のアシル基である化合物は、例えば、Rが水素原子である化合物(例えば、メラトニン等のN-アシルインドール-3-エタンアミン類)を無水酢酸等の酸無水物で処理することにより製造することができる。
【0036】
前記のようにして得られる生成物を精製するには、通常用いられる手法、例えばシリカゲル等を担体として用いたカラムクロマトグラフィーやメタノール、エタノール、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、水等を用いた再結晶法によればよい。カラムクロマトグラフィーの溶出溶媒としては、メタノール、エタノール、クロロホルム、アセトン、ヘキサン、ジクロロメタン、酢酸エチル、及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0037】
前記式(I)で示される化合物及びその薬学的に許容される塩(以下「インドール誘導体(I)」という。)は、α受容体遮断作用又は血管拡張作用を有し、医薬組成物又は特定保健用食品等の食品組成物に配合することにより、α受容体遮断用又は血管拡張用の医薬又は食品組成物として利用され、例えば、性的不全改善薬、抗肥満薬(脂肪減少薬)、育毛剤、ドライマウス改善薬、レイノー症状治療薬、抗糖尿病薬、抗喘息薬、血小板凝集阻害薬として利用でき、中高年齢者を対象とした「総合的QOL改善薬」として利用できる可能性を有する。
【0038】
以下、インドール誘導体(I)の投与量及び製剤化について説明する。
インドール誘導体(I)はそのまま、あるいは慣用の製剤担体と共に動物及びヒトに投与することができる。投与形態としては、特に限定がなく、必要に応じ適宜選択して使用され、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤、注射剤、坐剤等の非経口剤が挙げられる。
【0039】
経口剤として所期の効果を発揮するためには、患者の年令、体重、疾患の程度により異なるが、通常成人でインドール誘導体(I)の重量として1~200mgを、1日数回に分けての服用が適当である。
【0040】
経口剤は、例えばデンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を用いて常法に従って製造される。
【0041】
この種の製剤には、適宜前記賦形剤の他に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を使用することができる。
【0042】
結合剤としては、例えばデンプン、デキストリン、アラビアゴム末、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴールが挙げられる。
【0043】
崩壊剤としては、例えばデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。
【0044】
界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80が挙げられる。
【0045】
滑沢剤としては、例えばタルク、ロウ類、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0046】
流動性促進剤としては、例えば軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムが挙げられる。
【0047】
また、インドール誘導体(I)は、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エリキシル剤としても投与することができ、これらの各種剤形には、矯味矯臭剤、着色剤を含有してもよい。
【0048】
非経口剤として所期の効果を発揮するためには、患者の年令、体重、疾患の程度により異なるが、通常成人でインドール誘導体(I)の重量として1日1~50mgの静注、点滴静注、皮下注射、筋肉注射が適当である。
【0049】
この非経口剤は常法に従って製造され、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、オリブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、ダイズ油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等を用いることができる。更に必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤を加えてもよい。また、この非経口剤は安定性の点から、バイアル等に充填後冷凍し、通常の凍結乾燥技術により水分を除去し、使用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することもできる。更に、必要に応じて適宜、等張化剤、安定剤、防腐剤、無痛化剤等を加えてもよい。
【0050】
その他の非経口剤としては、パップ剤、外用液剤、軟膏等の塗布剤、直腸内投与のための坐剤等が挙げられ、常法に従って製造される。
【実施例】
【0051】
以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0052】
[実施例1]
インドール誘導体のα受容体遮断作用及び血管拡張作用
(1)標本作製
エーテル麻酔下又は非麻酔下で、雄性Wistar系ラットを頚椎脱臼により安楽死させた後、頸動脈を切断して放血し、直ちに開胸して胸部大動脈を摘出した。摘出した標本は、O(100%)を通気したKerbs-Hepes液[mM:NaCl,126.9;KCl,5.9;CaCl,2.36;MgCl,1.18;Hepes,10.03;グルコース,11.8(pH=7.4)]内に保持した。実体顕微鏡下で、結合組織及び脂肪組織を注意深く除去した後、約2mmの長さの輪切り標本を作製して実験に供した。血管内皮の剥離は行わなかった。
【0053】
(2)筋の収縮・弛緩反応の測定
血管標本は、95%O-5%COにて通気したNormal Tyrode液を5ml入れた器官槽(UC-5TD、UFERTM Medical Instrument、京都)内に保持した。その後、標本内腔に、2本のステンレス製フックを用いて懸垂させた。張力変動は、張力変換トランスデューサー(T7-8-240,オリエンテック(株)、東京:TB-611T、日本光電、東京)及び増幅アンプ(AP-600G、AP-621G、日本光電、東京:MSC-2、Labo Support Corporation、大阪)を介して等尺性に記録した。受動張力は、至適張力である2.0gとした。Normal Tyrode液の組成は、以下の如くであった。(mM):NaCl,158.3;KCl,4.0;CaCl,2.0;MgCl,1.05;NaHPO,0.42;NaHCO,10.0;グルコース,5.6(pH=7.4、37±0.5℃)。
【0054】
標本を懸垂後、20~30分間隔で栄養液(Normal Tyrode液)を交換しながら、60~90分間インキュベートした。実験開始に際し、まず、高カリウム溶液(high-KCl,80mM KCl)[組成(mM):NaCl,82.3;KCl,80.0;CaCl,2.0;MgCl,1.05;NaHPO,0.42;NaHCO,10.0;グルコース,5.6(pH=7.4)]にて収縮させ、標本が正常に収縮するのを確認した。その後、Normal Tyrode液にて洗浄して実験を開始した。
【0055】
各種インドール誘導体の効力を評価する目的で、動脈標本をNO合成阻害薬であるN-ニトロ-L-アルギニン・メチルエステル(同仁化学研究所,熊本)(10-4M)存在下でα-アドレナリン受容体活性薬である塩酸クロニジン(和光純薬工業、大阪)(10-7M又は10-6M)刺激により持続性の収縮を惹起させた。発生張力が一定に達した後、検体(インドール誘導体)(10-5M)を投与した。検体の弛緩作用が最大に達した後、α-アドレナリン受容体拮抗薬である塩酸ヨヒンビン(和光純薬工業、大阪)(10-5M)を投与した。塩酸ヨヒンビン(10-5M)により得られた弛緩反応を最大反応(=100%)、検体投与直前の収縮高を0%と定義し、検体の弛緩作用は塩酸ヨヒンビン(10-5M)の弛緩作用に対する百分率で表示した。
【0056】
(3)使用薬物
インドール誘導体(検体No.1~23)は、使用直前に100%ジメチルスルホキシドに10-2Mになるように溶解し、評価の際に5μL器官槽に投与した。その他の薬物は、すべて蒸留水にて溶解・希釈した。
【0057】
(4)結果
結果は、平均値±標準誤差として示した。結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
JP0003964417B2_000005t.gif

【0059】
検体No.1~9は、M. Somei, Y. Fukui, M. Hasegawa, N. Oshikiri, and T. Hayashi, Heterocycles, Vol. 53, pp. 1725-1736 (2000)(非特許文献3)記載の方法により合成した。検体No.10~23は、M. Somei, Recent Advances in the Chemistry of 1-Hydroxyindoles, 1-Hydroxytryptophans, and 1-Hydroxytryptamines, Advances in Heterocyclic Chemistry, Vol. 82, ed. by A. R. Katritzky, Elsevier Science (USA), 2002, pp. 101-155(非特許文献4)に記載の公知化合物であり、当該文献記載の方法又は常法により合成した。
【0060】
表1に示す検体No.1~23のインドール誘導体はすべてα受容体遮断作用及び血管拡張作用を有していた。
【0061】
ブロモメラトニン類(検体No.4~9)はいずれも、母化合物であるメラトニン(検体No.1)と比較して強力な作用を有することが示された。また、このなかで、検体No.6~9には、少なくともα-アドレナリン受容体拮抗薬であるヨヒンビンに匹敵する強さのα受容体遮断作用及び血管拡張作用が認められた。更に、作用の強さが、導入した臭素の数と相関することも明らかとなった。
【0062】
検体No.14~17も強力な血管拡張作用を有することが示された。更に、作用の強さが、導入した側鎖の長さに相関することも明らかとなった。
【0063】
また検体No.18~23も強力な血管拡張作用を有することが示され、脂溶性官能基としてアダマンチル基が有効であることがわかった。
【0064】
したがって、N側鎖の長い、あるいはアダマンチル基を持つブロモメラトニンにおいて、最強の薬理作用が期待できる。