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明細書 :塑性変形型造形方法およびその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4734624号 (P4734624)
公開番号 特開2006-110595 (P2006-110595A)
登録日 平成23年5月13日(2011.5.13)
発行日 平成23年7月27日(2011.7.27)
公開日 平成18年4月27日(2006.4.27)
発明の名称または考案の名称 塑性変形型造形方法およびその装置
国際特許分類 B21D  22/06        (2006.01)
FI B21D 22/06
請求項の数または発明の数 7
全頁数 10
出願番号 特願2004-300709 (P2004-300709)
出願日 平成16年10月14日(2004.10.14)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第3項適用 平成16年4月15日から17日 社団法人石川県鉄工機電協会開催の「MEX金沢2004(第42回機械工業見本市金沢)」に出品
審査請求日 平成19年10月10日(2007.10.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
発明者または考案者 【氏名】浅川 直紀
【氏名】田中 秀岳
個別代理人の代理人 【識別番号】100098545、【弁理士】、【氏名又は名称】阿部 伸一
【識別番号】100087745、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 善廣
【識別番号】100106611、【弁理士】、【氏名又は名称】辻田 幸史
審査官 【審査官】村山 睦
参考文献・文献 特開平07-132329(JP,A)
特開平10-263740(JP,A)
特開平09-085355(JP,A)
特開2003-236629(JP,A)
特開平11-327619(JP,A)
特開昭58-046379(JP,A)
実開昭58-111191(JP,U)
実開平03-062686(JP,U)
特開平10-314855(JP,A)
調査した分野 B21D 22/06
特許請求の範囲 【請求項1】
ハンマの打撃により被加工材に塑性変形を与え、前記ハンマの打撃方向に対して等高線加工を行う塑性変形型造形方法であって、
前記ハンマの打撃間隔の設定を行うステップと、
前記ハンマの1回の打撃で予定するZ軸方向の変形量(押し込み量)の設定を行うステップと、
設定された前記押し込み量によって加工層が決定されるステップと、
それぞれの前記加工層ごとに、工具経路が生成されるステップと、
を有し、
前記工具経路を、あらかじめ設定している複数の経路モードの中から前記被加工材に応じて決定することを特徴とする塑性変形型造形方法。
【請求項2】
前記経路モードとして、加工面の一方向から多方向に向けて折り返しながら経路を生成するスキャンニングモードと、外周から内周に向けて又は内周から外周に向けて渦巻き状に経路を生成するコンタリングモードとを有することを特徴とする請求項1に記載の塑性変形型造形方法。
【請求項3】
前記最適経路モードを、前記被加工材の材質、厚さ、及び加工形状の中のいずれかによって決定することを特徴とする請求項1に記載の塑性変形型造形方法。
【請求項4】
任意の前記加工層に対する塑性加工の終了後、又はすべての前記加工層に対する塑性加工の終了後に前記加工面の形状を検出する検査工程と、あらかじめ設定した所定の形状と検出した前記形状とを比較する比較工程と、前記比較工程において、あらかじめ設定した所定の深さまで塑性変形していない箇所又は隆起箇所を検出した場合に修正経路を決定する修正経路決定工程と、決定された前記修正経路に基づいて修正加工を行う修正工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の塑性変形型造形方法。
【請求項5】
ハンマリングユニットに装着したハンマの打撃により、被加工材側ユニットに装着した被加工材に塑性変形を与えて加工を行う塑性変形型造形装置であって、前記ハンマリングユニットには、前記ハンマを打撃方向に往復動作させる駆動部材と、前記ハンマを前記被加工材の方向に付勢する弾性部材と、前記ハンマの打撃方向の位置を規制する位置決め部材とを備え、前記被加工材側ユニットには、前記被加工材を保持する被加工材固定部材と、前記被加工材を移動させる移動部材とを備え、脂材を介して前記被加工材を前記被加工材固定部材に保持することを特徴とする塑性変形型造形装置。
【請求項6】
前記駆動部材が、回転部材と、前記回転部材の外周部に設けたカム部材とから構成され、前記回転部材の回転によってカム部材が回動し、前記カム部材の上昇時に前記ハンマと係合して前記ハンマを上昇させ、前記カム部材が所定の高さで前記ハンマとの係合を解除して前記ハンマを降下させ、前記ハンマの上昇時に前記弾性部材を変形させ、前記ハンマの降下時に前記弾性部材を復元させることを特徴とする請求項5に記載の塑性変形型造形装置。
【請求項7】
前記被加工材側ユニットには、前記ハンマの打撃方向に前記被加工材を近接離間させるZ軸移動手段と、前記ハンマの打撃方向と垂直な面方向に前記被加工材を移動させるX-Y軸移動手段とを備えたことを特徴とする請求項5に記載の塑性変形型造形装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマの打撃により被加工材に塑性変形を与えて加工を行う塑性変形型造形方法およびそれに使用される塑性変形型造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、工業製品のほとんどがCAD/CAMシステムによって設計され、生産されている。現在の製造現場では、従来型の大量生産ではなく多品種少量生産に移り変わって来ており、設計から試作、生産に至るまで迅速な対応を要求されている。そのような状況に対して、CAD/CAMシステムやコンピュータを製品設計段階だけでなく、積極的に生産設計段階にも取り入れ、試作やシミュレーション等も迅速且つ正確に行えるようになってきている。
商品開発の現場では、設計の初期の段階から実物に近い3次元模型を用いて評価や干渉チェックなどを行う必要がある。今日の3次元CADの普及に伴い、3次元模型製作についてはラピッドプロトタイピング技術が注目され、発達してきている。ラピッドプロトタイピングは3次元データに基づいて迅速に3次元の立体を造形する技術であるが、現在のところ、そのようなプロトタイプや試作部品の加工においては、光造形法や粉体焼結法に代表される積層造形ラピッドプロトタイピング技術や高速CNC工作機械によってある程度の解決を見ている。
一方、生産現場においてもCNC工作機械や産業用ロボットに代表されるように、迅速で精密な部品の加工の自動化が進んでいるが、一部には熟練工による手作業でしか行えない加工が残っていることもまた事実である。
塑性加工である自由鍛造や鍛金加工は、工業的には金型を用いて大量生産が行われる。しかし単品や試作品の場合、コスト、時間的に金型を用いるのは得策ではないため、多くの場合、熟練工による手作業に頼っているのが現状である。現在、この自由鍛造、鍛金加工分野において、金型を用いないで加工を行ういくつかの加工法が考案され、研究あるいは使用されている。
金型を用いないで加工を行うものとして例えば特許文献1に示される技術が提案されている。特許文献1では、被加工材の下側に弾塑性板を有する部材を配置し、等高面部位ごとに繰り返し打撃を与えて順次加工面を形成するものである。

【特許文献1】特開平10-263740号公報(特許請求の範囲など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1における装置では、一つの等高面を凹ませた後に、被加工材の下側に配置した弾塑性板を復元させる工程を有しているので、弾塑性板の復元工程に時間が必要であり、被加工材の板圧が厚かったり、手作業による鍛金作業のような自由鍛造を行うことは困難である。
【0004】
そこで本発明は、手作業による鍛金作業のような自由鍛造も行うことができ、また塑性粘土や厚みのある板材でも塑性変形を行うことができる塑性変形型造形方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の塑性変形型造形方法は、ハンマの打撃により被加工材に塑性変形を与え、前記ハンマの打撃方向に対して等高線加工を行う塑性変形型造形方法であって、前記ハンマの打撃間隔の設定を行うステップと、前記ハンマの1回の打撃で予定するZ軸方向の変形量(押し込み量)の設定を行うステップと、設定された前記押し込み量によって加工層が決定されるステップと、それぞれの前記加工層ごとに、工具経路が生成されるステップと、を有し、前記工具経路を、あらかじめ設定している複数の経路モードの中から前記被加工材に応じて決定することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の塑性変形型造形方法において、前記経路モードとして、加工面の一方向から多方向に向けて折り返しながら経路を生成するスキャンニングモードと、外周から内周に向けて又は内周から外周に向けて渦巻き状に経路を生成するコンタリングモードとを有することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の塑性変形型造形方法において、前記最適経路モードを、前記被加工材の材質、厚さ、及び加工形状の中のいずれかによって決定することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1に記載の塑性変形型造形方法において、任意の前記加工層に対する塑性加工の終了後、又はすべての前記加工層に対する塑性加工の終了後に前記加工面の形状を検出する検査工程と、あらかじめ設定した所定の形状と検出した前記形状とを比較する比較工程と、前記比較工程において、あらかじめ設定した所定の深さまで塑性変形していない箇所又は隆起箇所を検出した場合に修正経路を決定する修正経路決定工程と、決定された前記修正経路に基づいて修正加工を行う修正工程とを有することを特徴とする。
請求項5記載の本発明の塑性変形型造形装置は、ハンマリングユニットに装着したハンマの打撃により、被加工材側ユニットに装着した被加工材に塑性変形を与えて加工を行う塑性変形型造形装置であって、前記ハンマリングユニットには、前記ハンマを打撃方向に往復動作させる駆動部材と、前記ハンマを前記被加工材の方向に付勢する弾性部材と、前記ハンマの打撃方向の位置を規制する位置決め部材とを備え、前記被加工材側ユニットには、前記被加工材を保持する被加工材固定部材と、前記被加工材を移動させる移動部材とを備え、脂材を介して前記被加工材を前記被加工材固定部材に保持することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の塑性変形型造形装置において、前記駆動部材が、回転部材と、前記回転部材の外周部に設けたカム部材とから構成され、前記回転部材の回転によってカム部材が回動し、前記カム部材の上昇時に前記ハンマと係合して前記ハンマを上昇させ、前記カム部材が所定の高さで前記ハンマとの係合を解除して前記ハンマを降下させ、前記ハンマの上昇時に前記弾性部材を変形させ、前記ハンマの降下時に前記弾性部材を復元させることを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項5に記載の塑性変形型造形装置において、前記被加工材側ユニットには、前記ハンマの打撃方向に前記被加工材を近接離間させるZ軸移動手段と、前記ハンマの打撃方向と垂直な面方向に前記被加工材を移動させるX-Y軸移動手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、あらかじめ複数の経路モードを設定し、工具軌跡による影響を少なくするモードを被加工材に応じて選択することで、打撃箇所の周辺に生じる隆起を残さず、所定の形状に加工を行うことができる。
また本発明によれば、弾性部材によって衝撃力を高めるとともに、所定の衝撃力を与えることができ、また位置決め部材によってハンマによる押し込み量を一定に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第1の実施の形態による塑性変形型造形方法は、ハンマの打撃間隔の設定を行うステップと、ハンマの1回の打撃で予定するZ軸方向の変形量(押し込み量)の設定を行うステップと、設定された押し込み量によって加工層が決定されるステップと、それぞれの加工層ごとに、工具経路が生成されるステップと、を有し、工具経路を、あらかじめ設定している複数の経路モードの中から被加工材に応じて決定するものである。変形加工である塑性加工を行う場合、必ずしも工具軌跡と工作物の変形は一致しないが、本実施の形態によれば、あらかじめ複数の経路モードを設定し、工具軌跡による影響を少なくするモードを被加工材に応じて選択することで、打撃箇所の周辺に生じる隆起を残さず、所定の形状に加工を行うことができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による塑性変形型造形方法において、経路モードとして、加工面の一方向から多方向に向けて折り返しながら経路を生成するスキャンニングモードと、外周から内周に向けて又は内周から外周に向けて渦巻き状に経路を生成するコンタリングモードとを有するものである。本実施の形態によれば、例えば被加工材が塑性粘土の場合にはスキャンニングモードを選択することで、工具経路に沿った隆起の影響を少なくすることができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態による塑性変形型造形方法において、最適経路モードを、被加工材の材質、厚さ、及び加工形状の中のいずれかによって決定するものである。本実施の形態によれば、工具経路にそって発生する隆起を、被加工材の材質、厚さ、及び加工形状から判断して最適経路モードを選択することができる。
本発明の第4の実施の形態は、第1の実施の形態による塑性変形型造形方法において、任意の加工層に対する塑性加工の終了後、又はすべての加工層に対する塑性加工の終了後に加工面の形状を検出する検査工程と、あらかじめ設定した所定の形状と検出した形状とを比較する比較工程と、比較工程において、あらかじめ設定した所定の深さまで塑性変形していない箇所又は隆起箇所を検出した場合に修正経路を決定する修正経路決定工程と、決定された修正経路に基づいて修正加工を行う修正工程とを有するものである。変形加工である塑性加工を行う場合、必ずしも工具軌跡と工作物の変形は一致しないが、本実施の形態によれば、所定の塑性加工の終了後、又はすべての塑性加工の終了後に、隆起箇所を検出して修正加工を行うことで、あらかじめ設定した形状に加工することができる。
本発明の第5の実施による塑性変形型造形装置は、ハンマリングユニットには、ハンマを打撃方向に往復動作させる駆動部材と、ハンマを被加工材の方向に付勢する弾性部材と、ハンマの打撃方向の位置を規制する位置決め部材とを備え、被加工材側ユニットには、被加工材を保持する被加工材固定部材と、被加工材を移動させる移動部材とを備え、脂材を介して被加工材を被加工材固定部材に保持するものである。本実施の形態によれば、弾性部材によって衝撃力を高めるとともに、所定の衝撃力を与えることができ、また位置決め部材によってハンマによる押し込み量を一定に維持することができる。
本発明の第6の実施の形態は、第5の実施の形態による塑性変形型造形装置において、駆動部材が、回転部材と、回転部材の外周部に設けたカム部材とから構成され、回転部材の回転によってカム部材が回動し、カム部材の上昇時にハンマと係合してハンマを上昇させ、カム部材が所定の高さでハンマとの係合を解除してハンマを降下させ、ハンマの上昇時に弾性部材を変形させ、ハンマの降下時に弾性部材を復元させるものである。本実施の形態によれば、回転部材の回転によって簡単な構成で連続的なハンマの打撃を行うことができるとともに、ハンマの自重による加速落下に弾性部材による弾性力を加えることができる。
本発明の第7の実施の形態は、第5の実施の形態による塑性変形型造形装置において、被加工材側ユニットには、ハンマの打撃方向に被加工材を近接離間させるZ軸移動手段と、ハンマの打撃方向と垂直な面方向に被加工材を移動させるX-Y軸移動手段とを備えたものである。本実施の形態によれば、被加工材側ユニット側に、X、Y、Z軸方向への移動を行わせることで、ハンマの打撃衝撃による移動誤差を防止することができる。
【実施例】
【0008】
以下本発明の一実施例による塑性変形型造形装置について説明する。
図1は本実施例による塑性変形型造形装置の構成図、図2は同装置の動作を示す構成図である。
本実施例による塑性変形型造形装置は、ハンマ11を装着したハンマリングユニット10と、被加工材21を装着した被加工材側ユニット20と、被加工材21の立体モデルを設計又は入力するCADなどからなる設計手段30と、設計手段30で設計された立体モデルの塑性加工制御を行う制御手段40とを備えている。設定手段41では、ハンマ11の工具や被加工材21の素材などの条件設定を行い、記憶手段42にあらかじめ設定したデータや条件に基づいて、ピックフィード、押し込み量などの動作環境を設定する。また設定した動作環境は記憶手段42に記憶され、制御手段40に対して所定のデータを出力する。なお、ピックフィード、押し込み量、経路モード、及び検査回数や検査対象とする加工層は、設定手段41で設定してもよい。また、同装置は、図示はしないが、非接触又は接触によって被加工材の形状を検出する形状検出手段を備えている。
ハンマ11には、例えば直径6mm程度の高速度鋼製の汎用工具を用いる。また、ハンマ11の先端部には、弾性体のキャップ11aを設ける。このキャップ11aは、着脱可能な構成とし、例えばポリプロピレンで構成する。キャップ11aは被加工材21の材質や加工面の仕上げに応じて用いる。ハンマ11は加工具固定部材12によって保持され、加工具固定部材12の近傍には、ハンマ11を打撃方向に往復動作させる駆動部材13を配置している。この駆動部材13は、回転部材13Aと、回転部材13Aの外周部に設けたカム部材13Bとから構成され、回転部材13Aの回転によってカム部材13Bが回動する。
また、ハンマリングユニット10は、ハンマ11を被加工材21の方向に付勢する弾性部材14と、ハンマ11の打撃方向の位置を規制する位置決め部材15とを備えている。
【0009】
一方、被加工材21を装着する被加工材側ユニット20は、被加工材21を保持する被加工材固定部材22と、被加工材21を移動させる移動部材24とを備えている。被加工材21が例えば薄いアルミ板の場合には、被加工材21は、脂材23を介して被加工材固定部材22に保持される。ここで脂材23は、粘土のような被加工材よりも塑性変形し易い塑性材料や砂を袋詰めしたような脂台と称される材料である。移動部材24は、ハンマ11の打撃方向に被加工材21を近接離間させるZ軸移動手段と、ハンマ11の打撃方向と垂直な面方向に被加工材21を移動させるX-Y軸移動手段とを備えている。
【0010】
以下に同装置の動きについて説明する。
図示しないDCモータによりカム部材13Bを取り付けた回転部材13Aを回転させ、加工具固定部材12によってハンマ11を上昇させる。カム部材13Bは、最下位置から所定の高さで加工具固定部材12と係合し、上昇時に加工具固定部材12と係合してハンマ11を上昇させ、カム部材13Bが所定の高さに位置すると、加工具固定部材12との係合を解除してハンマ11を降下させる。なお、弾性部材14は、ハンマ11の上昇時に変形され、ハンマ11の降下時に復元させられることで、弾性部材14による加速落下により打撃を行わせる。回転部材13Aの回転によって連続的にハンマ11の打撃が行なわれ、被加工材21に打撃による局部的塑性変形が施される。ハンマ11の終端加速度は手作業でハンマを振り下ろす時にかかる加速度とほぼ同等とされる約1000Gとし、その時の概算等価打撃力を約0.3kNとする。打撃数は例えば毎秒約1回から5回以内で変更可能に設定できることが好ましい。
【0011】
次に、同装置の制御方法について図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4は同装置の制御方法を示すフローチャートである。
まず、図1に示す設計手段41によって、被加工材21の立体モデルの設計が行われる(ステップ1)。次に、図1に示す設定手段41によって、工具形状の決定(ステップ2)、ピックフィードの決定(ステップ3)、押し込み量の決定(ステップ4)、経路モードの決定(ステップ5)、検出回数・加工層の決定(ステップ6)がそれぞれ行われる。ステップ2では、ハンマ11の形状やハンマ11の先端部に装着するキャップ11aの設定が行われる。工具形状の設定は、形状に関するデータを直接入力する他、被加工材21に関する素材や加工形状に関するデータから設定されるものでもよい。ステップ3では、ハンマ11の打撃間隔の設定が行われる。打撃間隔の設定は、間隔データを直接入力する他、被加工材21に関する素材や加工形状に関するデータ、更にはステップ2において設定された工具形状から設定されるものでもよい。ステップ4では、1回の打撃で予定するZ軸方向の変形量(押し込み量)の設定が行われる。押し込み量の設定は、寸法に関するデータを直接入力する他、被加工材21の素材他の加工形状に関するデータから設定されるものでもよい。ステップ5では、経路モードの設定が行われる。
ステップ6では、加工面の形状を検出する検査工程を、終了までの間に何回行うか、又はその検査を行う加工層の設定が行われる。検査回数や加工層の設定は、直接入力する他、被加工材21の素材や加工形状のデータから、また加工精度のレベルから設定されるものでもよい。
ステップ7においては、特にステップ4で設定された押し込み量によって加工層が決定され、それぞれの加工層ごとに、工具経路が生成される。工具経路の生成にあたっては、ステップ5で設定された経路モードを基準軌跡として生成される。生成された工具経路のデータは図1に示す記憶手段42に記憶される。
ステップ7において、工具経路の生成が行われると、動作開始指示を待って塑性加工が行われる(ステップ8)。
【0012】
ステップ8において動作開始指示がなされると、図1に示す制御手段によって、まず第1番目の加工層のデータが読み込まれる(ステップ9)。
ステップ9において、第1番目の加工層のデータが読み込まれると、押し込み量に相当するZ軸方向の位置変更動作が行われる。本実施例においては、図1に示す移動部材24が基準面から押し込み量だけ上昇する(ステップ10)。
ステップ10において、Z軸方向の位置変更が完了すると、ハンマリング動作を行うとともに(ステップ11)、X-Y軸位置の変更動作が行われ(ステップ12)、第1番目の加工層に対する塑性加工が行われる。
第1番目の加工層の塑性加工の工程が終了すると(ステップ13)、この第1番目の加工層に対する検査工程の設定がなされているか否かを判断する(ステップ14)。検査工程の設定がなされていない場合には、最終の加工層が終了したか否かが判断され(ステップ15)、最終の加工層でないと判断された場合には、カウントアップ(ステップ16)の後に、ステップ9に戻って第2番目の加工層のデータが読み込まれる。
ステップ14において、検査工程の設定がなされている場合には形状検出手段によって加工層の表面高さを検出する(ステップ17)。
そして、あらかじめ設定しているCADデータ上の加工面の高さと検出した加工面の高さを比較し(ステップ18)、スプリングバックなどの盛り上がりの有無を検出する。ステップ8の比較工程において、スプリングバックなどの盛り上がりがあると判断された場合には、修正の必要有りと認識し(ステップ19)、修正経路が決定される(ステップ20)。ステップ20の修正経路決定工程において修正経路が決定されると、修正加工動作が行われる(ステップ21)。
ステップ19において、修正の必要がないと判断された場合には、ステップ15によって最終の加工層であるか否かが判断される。最終の加工層でないと判断された場合には、カウントアップ(ステップ16)の後に、ステップ9に戻って第2番目の加工層のデータが読み込まれる。
【0013】
図5は、経路モードを示す。図5(A)は、加工面の一方向から多方向に向けて折り返しながら経路を生成するスキャンニングモード、図5(B)は、外周から内周に向けて渦巻き状に経路を生成するアウトからインのコンタリングモード、図5(C)は内周から外周に向けて渦巻き状に経路を生成するインからアウトのコンタリングモードである。これら3つの経路モードを代表例として示したが、これら以外の経路モードを更に備えていることが好ましい。またこれらの経路モードの中で少なくとも2つの経路モードを備えることで所定の効果を得ることができる。
最適な経路モードは、被加工材21の材質、厚さ、及び加工形状の中のいずれかによって設定する。例えば、被加工材21として塑性粘土を用いた場合で、コンタリングモードで加工した場合には、工具経路に沿って盛り上がりの影響が大きく、スキャンニングモードが適している。
【0014】
変形加工である塑性加工を行う場合、必ずしも工具軌跡と工作物の変形は一致しないが、本実施例によれば、あらかじめ複数の経路モードを設定し、工具軌跡による影響を少なくするモードを被加工材に応じて選択することで、打撃箇所の周辺に生じる隆起を残さず、所定の形状に加工を行うことができる。
また、本実施例によれば、所定の塑性加工の終了後、又はすべての塑性加工の終了後に、隆起箇所を検出して修正加工を行うことで、あらかじめ設定した形状に加工することができる。
なお、本実施例ではハンマ11の打撃方向を固定の場合で説明したが、ハンマ11の打撃方向であるZ軸を変更することで、より自由度の高い鍛造加工を行うことができる。また、鍛造後に仕上げ切削加工を行う加工機を組み合わせることで、ハイブリッド化を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の装置は、小規模な打ち刃物等の生産に用いられる手作業によるハンマリングに代わって加工を行うことができる塑性変形型造形方法及びその装置として利用でき、ハンマの打撃方向を変更して被加工材に塑性変形を与えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例による塑性変形型造形装置の構成図
【図2】同装置の動作を示す構成図
【図3】同装置の制御方法を示すフローチャート
【図4】同装置の制御方法を示すフローチャート
【図5】本実施例による経路モードを示し、(A)はスキャンニングモード、(B)はアウトからインのコンタリングモード、(C)はインからアウトのコンタリングモードを示す図
【符号の説明】
【0017】
10 ハンマリングユニット
11 ハンマ
13 駆動部材
14 弾性部材
15 位置決め部材
20 被加工材側ユニット
21 被加工材
22 被加工材固定部材
23 脂材
24 移動部材
30 設計手段
40 制御装置
41 設定手段
42 記憶手段
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4