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明細書 :マグネチックスターラ及びそれに用いる攪拌容器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第2972192号 (P2972192)
登録日 平成11年8月27日(1999.8.27)
発行日 平成11年11月8日(1999.11.8)
発明の名称または考案の名称 マグネチックスターラ及びそれに用いる攪拌容器
国際特許分類 B01F 13/08      
FI B01F 13/08 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 5
出願番号 特願平10-213774 (P1998-213774)
出願日 平成10年7月29日(1998.7.29)
審査請求日 平成10年7月29日(1998.7.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000224754
【氏名又は名称】核燃料サイクル開発機構
発明者または考案者 【氏名】酒井 敏雄
【氏名】渡辺 伸久
個別代理人の代理人 、【弁理士】、【氏名又は名称】茂見 穰
審査官 【審査官】深澤 幹朗
参考文献・文献 実開 昭61-8436(JP,U)
実開 昭48-37463(JP,U)
実公 昭64-3481(JP,Y2)
実公 昭42-6472(JP,Y1)
調査した分野 B01F 13/08
要約 【課題】 複数の試料の攪拌操作を同時に行うことができ、しかも小型化と占有面積の低減を図ることができるようにする。
【解決手段】 鉛直上向きの回転軸14を有する駆動用モータ6と、回転軸にS極とN極が互いに180度異なる向きで水平回転するように上下2段に配設した駆動磁石18と、駆動磁石の回転領域を取り囲むように複数の攪拌容器設置穴24を設けた攪拌容器ホルダ12と、各攪拌容器設置穴によって立設保持される有底円筒状の攪拌容器26と、棒状の永久磁石攪拌子32を備えている。駆動部10は凸型ケース20で囲った密封構造とし、攪拌容器ホルダを着脱可能とする。攪拌容器は、合成樹脂によって試験管形状をなす容器本体と楕円形状の開口部とを一体成形したものとし、開口部は弾性変形可能な長円形状とするのがよい。通常時の開口部の短径は、永久磁石攪拌子の外径よりも小さく設定する。
特許請求の範囲 【請求項1】
鉛直上向きの回転軸を有する駆動用モータと、該回転軸にS極とN極が互いに180度異なる向きで水平回転するように上下2段に配設した駆動磁石と、該駆動磁石の回転領域を取り囲むように複数の有底円筒状の攪拌容器を立設保持可能な攪拌容器ホルダと、各攪拌容器内に投入される棒状の永久磁石攪拌子とを備え
駆動用モータ及び駆動磁石を有する駆動部は凸型ケースで覆われた密封構造をなし、該凸型ケースに対して攪拌容器ホルダが着脱可能な構造であり、該攪拌容器ホルダに複数の攪拌容器が円周状に立設可能な複数の攪拌容器設置穴が設けられているマグネチックスターラ。

【請求項2】
請求項1に記載のマグネチックスターラに用いる攪拌容器であって、試験管形状をなす容器本体と楕円形状の開口部とからなり、該開口部は長径方向に押圧力を加えることで容易に円形状に拡開し且つ押圧力の解除により復元する弾性変形可能な構造であって、前記開口部の短径は通常時に永久磁石攪拌子の外径よりも小さく設定されていることを特徴とする攪拌容器。

【請求項3】
試験管形状をなす容器本体と楕円形状の開口部とが連続した構造であって、合成樹脂で一体成形されている請求項記載の攪拌容器。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【01】

【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石攪拌子を回転させるための駆動磁石を縦方向に設置し、複数の有底円筒状の攪拌容器を円周状に立設することで、同時に複数の試料の攪拌操作を可能としたマグネチックスターラ、及びそれに好適な攪拌容器に関するものである。この装置は、各種の分析作業などにおいて、攪拌あるいは抽出操作を効率よく省スペースで作業するのに好適である。

【02】

【従来の技術】核燃料の再処理施設などでは、分析セルやグローブボックス内で、複数の試料の分析作業が行われる。その分析作業のための前処理操作として、試料の攪拌、抽出あるいはサンプリングチップによる前処理試料の採取などの操作が必要となる。それには、従来から、「マグネチックスターラ」と呼ばれる攪拌装置が用いられている。

【03】
従来のマグネチックスターラは、駆動用モータによって棒状の駆動磁石を水平面内で回転させ、その水平回転する駆動磁石の上方の台上にビーカのような円形平底の攪拌容器を載置し、該攪拌容器中に棒状の永久磁石からなる攪拌子を投入する構成である。従って、棒状の永久磁石攪拌子は、倒れた横向きの状態で回転し、攪拌容器内の液体を攪拌することになる。

【04】

【発明が解決しようとする課題】このような従来構造では、次のような問題があった。
攪拌容器の選定にあたっては、攪拌子の長さ以上の径を有する円形且つ平底の容器(ビーカ等)を用いなければならず、特に遠隔操作においては攪拌容器の取り扱いが困難である。
1試料毎に1台のスターラが必要であり、処理能力が低い。そのため、特に処理する試料数が多くなると非常に作業性が悪い。
処理能力を上げるために、複数台のスターラを設置し並行作業を行うと、作業場所の占有面積が大きくなる。特に、グローブボックス内など限られた空間での作業においては、この占有面積の増大という問題は、極めて不経済であり、実施が困難である。

【05】
本発明の目的は、複数の試料の攪拌操作を同時に行うことができ、しかも小型化と占有面積の低減を図ることができるマグネチックスターラを提供することである。本発明の他の目的は、作業者の技術レベルに無関係に、遠隔操作でもマグネチックスターラへの着脱、及び攪拌容器への攪拌子の投入及び攪拌容器からの攪拌子の取出しを容易に行うことができる攪拌容器を提供することである。

【06】

【課題を解決するための手段】本発明は、鉛直上向きの回転軸を有する駆動用モータと、該回転軸にS極とN極が互いに180度異なる向きで水平回転するように上下2段に配設した駆動磁石と、該駆動磁石の回転領域を取り囲むように複数の有底円筒状の攪拌容器を立設保持可能な攪拌容器ホルダと、各攪拌容器内に投入される棒状の永久磁石攪拌子とを備えているマグネチックスターラである。

【07】
例えば、駆動用モータ及び駆動磁石を有する駆動部を凸型ケースで囲った密封構造とし、該凸型ケースに対して円環状の攪拌容器ホルダを着脱可能な構造とする。該攪拌容器ホルダに、円周状に複数の攪拌容器設置穴を設け、各攪拌容器設置穴に攪拌容器を挿入できるようにする。

【08】
このマグネチックスターラに用いる攪拌容器は、例えば試験管形状をなす容器本体と楕円形状の開口部とからなり、該開口部は長径方向に押圧力を加えることで容易に円形状に拡開し且つ押圧力の解除により復元する弾性変形可能な構造とする。そして通常時の前記開口部の短径は、永久磁石攪拌子の外径よりも小さく設定する。試験管形状をなす容器本体と楕円形状の開口部とが連続した構造となるように、合成樹脂で一体成形するのが好ましい。

【09】

【発明の実施の形態】駆動磁石は、2本の棒状の永久磁石を上下2段に設置する構成でよいが、2個のU型(馬蹄型)の永久磁石を背中合わせに(回転軸に対して対称的に)し、磁極を上下2段に且つ回転軸に対して対称で磁極が反対となるように回転軸に固定する構成でもよい。

【10】

【実施例】図1は本発明に係るマグネチックスターラの一実施例を示す説明図であり、図2はその駆動部の説明図、図3は攪拌容器ホルダの説明図である。マグネチックスターラは、主として駆動部10と攪拌容器ホルダ12の組み合わせからなる。また図4は、このマグネチックスターラに好適な攪拌容器の説明図である。

【11】
駆動部10は、鉛直上向きの回転軸14を有する駆動用モータ16と、該回転軸14に対して棒状永久磁石を上下2段に且つ互いに逆向きに配設し水平回転する駆動磁石18を有し、それら駆動用モータ16及び駆動磁石18を凸型ケース20で囲った密封構造をなしている。凸型ケース20の上方の凸部は円柱状とする。この凸型ケース20は、使用環境(腐食性雰囲気)及び後述する攪拌子との磁気誘導効率を考慮し、ポリエチレン樹脂あるいはポリ4フッ化エチレン樹脂などの材料で作製する。凸型ケース20による密封構造によって、防水性並びに耐薬品性を有することとなる。

【12】
駆動部10の動作を制御する制御部22を設ける。これには、電源スイッチ、駆動用モータの回転数制御回路、タイマ等が内蔵されている。この実施例では駆動部との一体型を示しているが、分離型にしてもよい。分離型にすると、セルライン等の遠隔作業において、制御部をセル外に設置でき、それによって操作性の向上を図ることができる。

【13】
駆動部10の前記駆動磁石18の回転領域(凸型ケース20の円柱状の凸部)を取り囲むように攪拌容器ホルダ12を設ける。この攪拌容器ホルダ12は、全体が円環形状であって、前記凸型ケース20の上方凸部に丁度嵌合し、容易に着脱できるように構成されている。攪拌容器ホルダ12には、8個の攪拌容器設置穴24が円周状に等間隔で配設されている。各攪拌容器設置穴24は、有底円筒状の攪拌容器26を容易に挿入できるように、該攪拌容器26の外径よりもやや大きな穴径に設計されている。更に、攪拌容器ホルダ12の外側面には円周溝28が形成され、該円周溝28は各攪拌容器設置穴24の側壁に達するまで切り込まれている。そして、その円周溝28の内部にスプリング30を装着する。このスプリング30は、攪拌容器設置穴24に挿入した攪拌容器26を押さえて保持する機能を果たす。攪拌容器ホルダ12も、使用環境(腐食性雰囲気)及び後述する攪拌子との磁気誘導効率を考慮して、ポリエチレン樹脂あるいはポリ4フッ化エチレン樹脂などの材料で作製する。スプリング30については、ステンレス鋼製とする。

【14】
各攪拌容器26内に、それぞれ棒状の永久磁石攪拌子32を投入する。この永久磁石攪拌子32は、丸棒状の永久磁石の外側を樹脂でコーティングした構造であり、できるだけ円滑に回転できるように、両端を半球状に、中間部は円柱状に成形したものとする。永久磁石の長さは、駆動部10の上下2段に配設した駆動磁石18の下方の磁石下面から上方の磁石上面までの高さにほぼ一致するように設定するのがよい。従って、永久磁石攪拌子32は、外部からの磁力が作用しない状態では容器壁に立てかけられて傾いた状態で攪拌容器26内に収まることになる。

【15】
攪拌容器26内に、攪拌する液体等と一緒に永久磁石攪拌子32を入れ、攪拌容器ホルダ12の攪拌容器設置穴24に挿入する。すると、攪拌容器26はスプリング30で外周側から押さえられて立った状態で保持される。

【16】
制御部10により駆動用モータの回転数、攪拌時間などを設定し、スタートさせる。それに従って駆動用モータ16が回転する。駆動用モータ16は、駆動磁石18を回転させるための動力である。駆動磁石18は水平面内で回転し、攪拌容器26内の永久磁石攪拌子32に対して磁気誘導により回転力を付与する。各永久磁石攪拌子32は、円筒状の攪拌容器26内でほぼ立った状態となるため、投入時の向きによりN極が上方か、あるいはS極が上方に位置することとなる。そして、永久磁石攪拌子32が、そのN極が上方となるように攪拌容器26内に投入されていたとすると、上の駆動磁石のS極が近づいた時には引力により内側に引き寄せられる(その時、永久磁石攪拌子32の下方はS極であり、下の駆動磁石のN極が近づくので、結局、永久磁石攪拌子は全体として内側に引き寄せられる)。逆に、上の駆動磁石のN極が近づいた時には斥力が働き外側に遠ざけられる(その時、下の駆動磁石のS極も近づくので、永久磁石攪拌子は全体として外側に遠ざけられる)。このようにして永久磁石攪拌子32は、円筒状の攪拌容器26の中で、立った状態で容器壁に沿って一定方向に駆動磁石18の回転と同期して回転し、内部の試料(液体)を攪拌することになる。

【17】
抽出作業を行う場合には、攪拌容器内に分析試料と抽出液と永久磁石攪拌子を入れて、攪拌操作を行えばよい。

【18】
上記の実施例では8本の攪拌容器を同時に設置可能な構成としているが、攪拌容器のサイズや設置本数は、攪拌容器設置穴の径及び個数を変えることで、任意に選択することが可能である。

【19】
このようなマグネチックスターラで用いる攪拌容器としては、例えば図4に示すような構造が好適である。即ち、試験管形状をなす断面真円の容器本体40と楕円形状の開口部42とが連続した構造とする。この攪拌容器26は、ポリエチレン樹脂などの合成樹脂で一体成形され、それによって開口部42の凸部両端を指で挾むなどして開口部42に長径方向の押圧力を加えることで、該開口部42が容易に円形状に拡開し且つ押圧力の解除により復元するような弾性変形構造としている。従って、開口部42を指で挾んで円形状に拡開することで、永久磁石攪拌子32を攪拌容器26内に簡単に投入したり、攪拌容器26から永久磁石攪拌子を容易に取り出すことができる。また、試料採取のためのサンプリングチップの挿入が可能となり、直接試料を採取することができる。更に、前記開口部42の短径は通常時に永久磁石攪拌子32の外径よりも小さく設定する。それによって攪拌中に永久磁石攪拌子32が攪拌容器26から飛び出す恐れもない。

【20】
また攪拌容器26の首部には、ほぼ全周にわたって多数の縦方向の突条からなる滑り止め部44を設けるのがよい。それによって遠隔操作などにおいても、確実に攪拌容器を把持できるようになる。

【21】

【発明の効果】本発明は上記のように、攪拌容器ホルダを駆動部に取り付ける構成であり、攪拌容器ホルダには複数の攪拌容器を一度に取り付けることが可能な構造であるので、攪拌容器ホルダを目的や用途別に準備しておくことで駆動部1台で、任意の容量及び本数の攪拌容器を設置して同時に操作することができる。そのため、装置の占有面積が少なくて済む上に作業効率の向上を図ることができ、経済性に優れている。また本発明では、攪拌容器を攪拌容器ホルダの攪拌容器設置穴に挿入するだけでセットできるために、遠隔操作でも容易に作業が可能である。

【22】
更に本発明で駆動部を密封構造とすると、あらゆる雰囲気の中でも使用が可能であり、耐久性の向上を図ることができる。これらの理由で、本発明に係るマグネチックスターラは、特に再処理工場などセル内で遠隔操作を必要とする分析設備などにおいて極めて有効である。

【23】
本発明に係る攪拌容器は、容器の開口部を楕円形とし、軽く挾むことにより開口形状を円形に可変できるように構成したことにより、抽出作業時には、サンプリングチップ挿入作業が容易となる。そのため、サンプリング時ノズル容器の切断が不要となり、鋏の使用によるグローブ等への損傷の危険性が解消され、作業の安全性が向上するとともに、異物の混入防止により分析精度の向上が図れる。また永久磁石攪拌子の攪拌容器内への出し入れが容易となり、使用後の仕分け作業が可能となるし、操作ミスによる攪拌容器からの永久磁石攪拌子の脱落が無くなり、それらによっても作業性の向上が図れる。
図面
【図3】
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【図4】
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【図1】
2
【図2】
3