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明細書 :使用済核燃料から全アクチノイドを分離・貯蔵する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4441643号 (P4441643)
公開番号 特開2002-243890 (P2002-243890A)
登録日 平成22年1月22日(2010.1.22)
発行日 平成22年3月31日(2010.3.31)
公開日 平成14年8月28日(2002.8.28)
発明の名称または考案の名称 使用済核燃料から全アクチノイドを分離・貯蔵する方法
国際特許分類 G21C  19/46        (2006.01)
C01G  43/01        (2006.01)
C01G  56/00        (2006.01)
G21F   9/34        (2006.01)
FI G21C 19/46 M
G21C 19/46 P
C01G 43/01 A
C01G 56/00
G21F 9/34 C
請求項の数または発明の数 4
全頁数 6
出願番号 特願2001-042639 (P2001-042639)
出願日 平成13年2月20日(2001.2.20)
審査請求日 平成19年10月24日(2007.10.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人 日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】館盛 勝一
【氏名】鈴木 伸一
【氏名】佐々木 祐二
個別代理人の代理人 【識別番号】100089705、【弁理士】、【氏名又は名称】社本 一夫
【識別番号】100140109、【弁理士】、【氏名又は名称】小野 新次郎
【識別番号】100075270、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 泰
【識別番号】100080137、【弁理士】、【氏名又は名称】千葉 昭男
【識別番号】100096013、【弁理士】、【氏名又は名称】富田 博行
【識別番号】100092015、【弁理士】、【氏名又は名称】桜井 周矩
【識別番号】100093713、【弁理士】、【氏名又は名称】神田 藤博
【識別番号】100091063、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 英夫
【識別番号】100102727、【弁理士】、【氏名又は名称】細川 伸哉
【識別番号】100117813、【弁理士】、【氏名又は名称】深澤 憲広
【識別番号】100123548、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 晃二
審査官 【審査官】村川 雄一
参考文献・文献 特開平10-260292(JP,A)
特開平09-043391(JP,A)
特公平06-104573(JP,B2)
特開平02-234099(JP,A)
特開平04-202019(JP,A)
館盛勝一,「アクチノイド新抽出剤の開発」,日本原子力学会誌,日本,社団法人 日本原子力学会,2000年11月22日,第42巻,第1124-1129頁
調査した分野 G21C 19/00 - 19/50
G21C 23/00
G21F 9/00 - 9/36
C01G 25/00 - 47/00
C01G 49/10 - 57/00
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
発電炉からの使用済核燃料(SF)の硝酸溶解液に、ヒドラジン系化合物及びヒドロキシルアミン系化合物から選択される還元剤を添加して、Np(VI)をNp(V)に還元し、
得られたNp(V)を含む使用済核燃料(SF)の硝酸溶解液に、第1分離段において、枝分かれしたアルキル基を有するアミド系化合物を添加して、U(VI)のみを抽出してウラン溶液として回収し、
第1分離段でU(VI)を分離した当該使用済核燃料(SF)の硝酸溶解液に、第2分離段において、三座のジグリコールアミド化合物を添加して、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム及びキュリウムを含む残り全てのアクチノイドを抽出してアクチノイド混合溶液として回収し、
回収したウラン溶液及びアクチノイド混合溶液を別々に脱硝処理して、溶解性のよいウラン酸化物固体及びアクチノイド酸化物固体に変換して貯蔵し、その後の需要に備えることを特徴とする、使用済み核燃料から全アクチノイドを分離して貯蔵する方法。
【請求項2】
前記第1分離段において、N,N-ジヘキシル-2-エチルヘキサンアミドを添加する、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記第2分離段において、N,N-テトラオクチル-3-オキサペンタンジアミドを添加する、請求項1又は2に記載の方法
【請求項4】
前記第2分離段において回収されるアクチノイド混合溶液にはランタノイド(Lns)が含まれる、請求項1に記載の方法
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核兵器への転用可能なPuの生産には結付かない、原子力発電炉から発生する使用済核燃料(SF)の再処理、廃棄物処理・処分に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
軽水炉からのSF(使用済核燃料)の再処理工程においては、リン酸トリブチル(TBP)を抽出剤に用いてウラン(U)、プルトニウム(Pu)が製品として分離回収される。残りのアクチノイド、即ちネプツニウム(Np)、アメリシウム(Am)、キュリウム(Cm)といったマイナーアクチノイド(MA)は高レベル廃液に混入する。但し、Npの一部はPu製品などにも混入する。大部分の核分裂生成物と上記MAを含む高レベル廃液は、脱硝・濃縮され、ガラス固化体として安定化した後、深地層処分場に処分する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
地層処分される高レベル廃棄物固化体は、MAを含むため、処分後1000年以降においては、核分裂生成物(FP)の放射能毒性の100~1000倍の毒性を有することとなる。従って、MAを除去した処分固化体とすることが出来れば、地球環境に対する長期間の負荷(放射能毒性)を低減できる。
【0004】
また、現在の再処理フローでは、核兵器となり得る核物質としてのPuが必然的に分離回収される。そのため、発電により発生し続けるSFの管理面からの要請に基づく再処理活動と、得られたPuの発電炉での消費とのバランスが崩れると、いわゆる余剰Puが発生し、国際的な疑念や非難を誘発している。
【0005】
さらに、現行再処理施設においては、コスト高や廃棄物発生の問題が指摘されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明における第1ステップは、放射能毒性がそれほど大きくなく、SFの約95wt.%を占めて後のアクチノイド分離に大きな負担となるUのみを、第1ステップの抽出工程で分離する。そのため、U(VI)のみを選択的に分離する抽出剤などを用いる。例えば、通常のモノアミド化合物は、UとPu(IV)の両者を抽出するが、モノアミド分子のアルキル鎖に枝分かれを導入すると、錯体形成において立体障害が現れ、(VI)価の金属イオンに比べ(IV)価の金属イオンの抽出分配比が大きく減少する。この効果を利用すれば、硝酸溶液系で安定に存在するU(VI)のみを抽出して、Pu(IV)をはじめMAを全て通過液中に残すことが出来る。分離されたUは酸化物に転換して貯蔵する。
【0007】
ところでNpは硝酸溶液中でNp(V)とNp(VI)として存在するので、Np(VI)はU(VI)と共に抽出されてしまう。それを避けるためにここでは、還元剤を添加してNpは全て抽出されないNp(V)に揃える。還元剤としてはロシアのKolutunovらによって開発されたヒドラジン系化合物やヒドロキシルアミン系化合物がある。
【0008】
第2ステップは、残り全てのアクチノイド(Np,Pu,Am,Cm)の共抽出である。例えば、三座のジグリコールアミド化合物(DGA)を用いれば、硝酸濃度が1M以上の水溶液から全てのアクチノイドを効率良く抽出できる。ただし、DGAはランタノイド(III):Ln(III)をも抽出するため、得られるプロダクト液中にはアクチノイドとLnが含まれる。この製品は、貯蔵のため硝酸溶液を仮焼して酸化物とする。その後の化学処理を考慮すれば、仮焼温度は低くして、酸化物の再溶解が容易にできるように考慮する。
【0009】
以上の操作では、SF中に含まれる大部分のFPが廃液中に残されるので、これを安定化すれば、アクチノイドを含まない固体廃棄物として処分できる。上記2つのステップでは、ウラン(An製品-I)とその他の全アクチノイド(-Ln)混合体(An製品-II)のみが得られるので、「SFの廃棄物処理活動」と位置づけた本発明のプロセスを実行する事は、核兵器への転用可能なPuの生産には結びついていない。An製品-IIは、複雑な組成を有し、強い放射線源(ガンマ線、中性子線)である事から、貯蔵庫からの窃盗や核兵器への転用は非常に困難である。
【0010】
An製品-IIのその後の利用オプションには二つが考えられる。その第1は、国内情勢においてPuのエネルギー利用の必要(ブルサーマル利用や高速増殖炉での燃焼)が生じた時、An製品-IIから必要量のPuのみを分離回収してそれに当てる。そのための分離法としては、既存の溶媒抽出法(TBP抽出、モノアミド抽出等)がある。その際も還元剤を添加してNpは全て抽出されないNp(V)に揃える必要がある。
【0011】
その第2は、将来的に廃棄物対策としてのアクチノイド核変換処理(加速器駆動炉や高速増殖炉での燃焼)が採用される時、An製品-II中にLnが含まれる際にはそれを除去する必要が生じる。その際は、窒素ドナー等のソフト配位子を用いて、要請に応じたAnとLnの分離操作を行う。
【0012】
【発明の実施の形態】
以上の処理フローを図1に基づいて説明する。使用済核燃料(SF)の硝酸溶解液から、「ウラン分離プロセス」においてU(VI)を分離回収し、酸化物に転換して「An製品-I」(UO2)を得る。次に上記プロセスの抽出残液を「全アクチノイド回収プロセス」で処理して、Np,Pu,Am,Cm,(-Lns)を分離回収する。それらを固化体に転換して「An製品-II」を得る。FPのみが含まれるこのプロセスからの抽出残液は、廃棄物として固化処理後、深地層処分場に処分される。
【0013】
また、軽水炉でのプルサーマルあるいは高速増殖炉でのPu利用の必要性が生じた時は、「An製品-II」を溶解し、TBPやモノアミドを用いる「Pu回収プロセス」によりPuを分離回収し、利用に供する。同様に、加速器駆動炉や高速炉により、アクチノイドの核変換処理を行う必要が生じたならば、「An製品-II」を溶解後、「N-ドナ-プロセス」においてアクチノイドのみを分離回収する。このプロセスは、マイナーアクチノイドに同伴しているランタノイド(Lns)の除去が主要な目的である。除去されたLnsは、他のFPと同様に固化後、深地層処分される。
【0014】
【実施例】
(実施例1)
1mol/dm3(以下Mと略す)DH2EHA(N,N-dihexyl-2-ethylhexanamide)のドデカン溶液5mlとトレーサー量のU(VI),Pu(IV)を含む種々の濃度の硝酸水溶液5mlをガラス容器内、25℃で激しく撹拌し、分配平衡に達した時のそれぞれの分配比DM(各金属の有機相濃度と水相濃度の比)の硝酸濃度依存性を図2に示す。図から、UとPuの分離の程度を表す分離係数(DU/DPu)の値で、硝酸濃度1M前後では2桁、3Mでは1桁という結果がわかる。これは1回の平衡であるので、多段抽出においては十分な分離が可能となる。
【0015】
(実施例2)
0.1MTODGA(N,N’-tetraocty-3-oxapentanediamide)のドデカン溶液5mlとトレーサー量の各種アクチノイドイオンを含む種々の濃度の硝酸水溶液5mlをガラス容器内、25℃で激しく撹拌し、分配平衡に達した時のそれぞれの分配比DMの硝酸濃度依存性を図3に示す。この結果から、TODGAにより、ほとんど全てのアクチノイドが抽出される事がわかる。
【0016】
(実施例3)
実施例2と同様の系における各種核分裂生成物元素の分配比DMの硝酸濃度依存性を図4に示す。この結果から、核分裂生成物の中ではEu(III)とZr(IV)がTODGAによく抽出される事がわかる。そこで、水溶液に0.2Mシュウ酸を添加したところ、Zr(IV)の分配比のみがは約10-3に減少し、1以下となった。従って、ランタノイドのみがアクチノイドに同伴して抽出される。
【0017】
【発明の効果】
使用済み核燃料が廃棄物として適切に処理され、核不拡散政策に沿った形でアクチノイドの分離・貯蔵・利用を進めることが出来る。即ち、保障措置上重要な核物質の単離や余剰プルトニウムの発生は起きない。さらに、発生する高レベル廃棄物はアクチノイドを含まないので、より合理的な処分が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における使用済み核燃料(SF)の処理フローを示す図である。
【図2】25℃における1Mモノアミド(DH2HA)-n-ドデカンによるU(VI),Pu(IV)の分配比(DM)の硝酸濃度依存性を示し、両者の分離が可能であることを示す図である。
【図3】25℃における0.1M TODGA-n-ドデカンによる様々なアクチノイドイオンの分配比(DM)の硝酸濃度依存性を示す図である。
【図4】25℃における0.1M TODGA-n-ドデカンによる様々な核分裂生成物金属イオンの分配比(DM)の硝酸濃度依存性を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3