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明細書 :希薄燃焼状態の火炎のゆらぎ計測方法および希薄燃焼状態の火炎のゆらぎ計測装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3991108号 (P3991108)
公開番号 特開2006-138517 (P2006-138517A)
登録日 平成19年8月3日(2007.8.3)
発行日 平成19年10月17日(2007.10.17)
公開日 平成18年6月1日(2006.6.1)
発明の名称または考案の名称 希薄燃焼状態の火炎のゆらぎ計測方法および希薄燃焼状態の火炎のゆらぎ計測装置
国際特許分類 F23N   5/08        (2006.01)
FI F23N 5/08 G
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2004-327373 (P2004-327373)
出願日 平成16年11月11日(2004.11.11)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成16年5月26日から28日 日本伝熱学会主催の「第41回 日本伝熱シンポジウム」において文書をもって発表
審査請求日 平成16年11月11日(2004.11.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
発明者または考案者 【氏名】門脇 敏
【氏名】貫井 純一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100080089、【弁理士】、【氏名又は名称】牛木 護
審査官 【審査官】吉澤 伸幸
参考文献・文献 特開平08-135959(JP,A)
特開平08-082415(JP,A)
特開平08-320726(JP,A)
特開2004-268122(JP,A)
特開平02-254219(JP,A)
特開平11-351558(JP,A)
特開2001-129044(JP,A)
調査した分野 F23N 5/08
特許請求の範囲 【請求項1】
希薄燃焼するバーナーの火炎からの発光の照度変化を電流変化として取り出し、前記電流変化を電圧変化に変換しデータ収集して信号波形を取り出し、前記信号波形をカオス時系列解析することで希薄燃焼状態の火炎のゆらぎを把握することを特徴とする希薄燃焼状態の火炎のゆらぎ計測方法。
【請求項2】
希薄燃焼するバーナーの火炎からの発光の照度変化を電流変化に変換するセンサーと、前記電流変化を電圧変化に変換する電流電圧変換アンプと、前記電圧変化を信号波形として処理するデータ収集装置と、前記信号波形をカオス時系列解析する信号処理装置とを有することを特徴とする希薄燃焼状態の火炎のゆらぎ計測装置。
【請求項3】
請求項2に記載の希薄燃焼状態の火炎のゆらぎ計測装置において、前記センサーにフォトダイオード、または光電子増倍管を用いることを特徴とする希薄燃焼状態の火炎のゆらぎ計測装置。
【請求項4】
請求項2に記載の希薄燃焼状態の火炎のゆらぎ計測装置において、火炎からの発光を干渉フィルターを介して前記センサーが受光することを特徴とする希薄燃焼状態の火炎のゆらぎ計測装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼状態を簡易に計測することができる希薄燃焼状態の火炎のゆらぎ計測方法および希薄燃焼状態の火炎のゆらぎ計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼状態を把握するには、目視観察、写真撮影、ビデオ撮影などがあるが、見えにくい火炎(水素火炎など)の燃焼状態や観測困難な燃焼器内の燃焼状態を知ることは困難であった。見えにくい火炎を計測する手法として、シュリーレン法やホログラフィ干渉法などがあるが、大規模な装置を必要とするので、汎用性には乏しい。なお、従来の燃焼状態計測装置としては、特許第3256592号公報や特開2004-69186号公報などに記載されたものがある。
【0003】
しかしながら、燃料の種類や燃焼条件にとらわれることがなく、あらゆる燃焼状態を計測することができる、汎用性のある、しかもコストパフォーマンスに優れた燃焼状態計測装置はなかった。

【特許文献1】特許第3256592号公報
【特許文献2】特開2004-69186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、燃料の種類や燃焼条件にとらわれることがなく、あらゆる燃焼状態を計測することができる、汎用性のある、しかもコストパフォーマンスに優れた希薄燃焼状態の火炎のゆらぎ計測方法及びその装置を提供するという点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するために、希薄燃焼するバーナーの火炎からの発光の照度変化を電流変化として取り出し、前記電流変化を電圧変化に変換しデータ収集して信号波形を取り出し、前記信号波形をカオス時系列解析することで希薄燃焼状態の火炎のゆらぎを把握することを特徴とするものである。
【0006】
また、希薄燃焼するバーナーの火炎からの発光の照度変化を電流変化に変換するセンサーと、前記電流変化を電圧変化に変換する電流電圧変換アンプと、前記電圧変化を信号波形として処理するデータ収集装置と、前記信号波形をカオス時系列解析する信号処理装置とを有することを特徴とするものである。
【0007】
また、前記センサーにフォトダイオード、または光電子増倍管を用いることを特徴とするものである。
【0008】
また火炎からの発光を、干渉フィルターを介して前記センサーが受光することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の燃焼状態計測方法は、小型のセンサーを用いるので、汎用性があり、しかもセンサーが安価であるので、コストパフォーマンスに優れている。また、燃料の種類や燃焼条件にとらわれることがないので、不安定になり易いあらゆる燃焼状態を計測することができる。従って、燃焼状態の簡易計測法として、幅広く用いられることが期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の燃焼状態計測方法は、希薄燃焼するバーナーの火炎からの発光の照度変化を電流変化として取り出し、前記電流変化を電圧変化に変換しデータ収集して信号波形を取り出し、前記信号波形をカオス時系列解析することで希薄燃焼状態の火炎のゆらぎを把握するものである。このように構成することにより、燃料の種類や燃焼条件にとらわれることがないので、あらゆる燃焼状態を計測することができる。また、本発明の燃焼状態計測装置は、希薄燃焼するバーナーの火炎からの発光の照度変化を電流変化に変換するセンサーと、前記電流変化を電圧変化に変換する電流電圧変換アンプと、前記電圧変化を信号波形として処理するデータ収集装置と、前記信号波形をカオス時系列解析する信号処理装置とを有するものである。このように構成することにより、小型のセンサーを用いるので、汎用性があり、しかもセンサーが安価であるので、コストパフォーマンスに優れている。また、燃料の種類や燃焼条件にとらわれることがないので、あらゆる燃焼状態を計測することができる。従って、燃焼状態の簡易計測法として、幅広く用いられることが期待される。
【実施例1】
【0011】
近年の環境問題に対する意識の高まりの中で、天然ガスの主成分であるメタンの希薄燃焼が注目されている。その理由は、他の炭化水素の燃焼と比べ発熱量当たりの二酸化炭素排出量が最も少ないこと、並びに、燃焼温度の低下により排気ガス中の窒素酸化物濃度が非常に低くなることである。従って、環境負荷の低減に直接結びつくメタン・空気混合気の希薄燃焼は、今後、益々盛んに用いられると考えられる。
【0012】
メタンは空気より軽いので、その希薄燃焼では火炎が不安定になり易い。この不安定性は、主に拡散・熱的効果と流体力学的効果に起因し、火炎の形状やゆらぎと密接に関連する。本発明では、メタン・空気混合気の希薄燃焼を取り扱い、火炎からの発光の照度変化を測定する。周波数解析、並びにカオス時系列解析で用いられている手法を採用して、ゆらぎの特性を調べる。そして、固有不安定性がゆらぎに及ぼす影響を明らかにする。なお、この手法は、気体燃料のみではなく、液体燃料や固体燃料にも適用可能で、一般的な燃焼状態の計測に利用することができる。
【0013】
図1は、本発明で使用している実験装置の概略図である。平面バーナー10の上流側で混合されたメタン11(純度99.99%)と乾燥空気12の混合気が、バーナー10下部から流入する。混合気の流量は35l/min.一定とし、当量比φは0.64~1.00とする。直径60mmの多孔質板13上にセル状または平面状の予混合火炎1が形成される。
【0014】
火炎1のゆらぎの測定は、図2に示した構成の測定装置で測定する。フォトダイオード3は、浜松ホトニクス製S1223-01、受光面3.6×3.6mm、感度波長範囲320~1100nm、最大感度波長960nmである。フォトダイオード3の前方に干渉フィルター2を設け、CH発光を受光する。干渉フィルター2は、光伸光学工業製BWBE431、形状φ20×4.5mm、最大透過波長431.0nm、半値幅4.5nmである。火炎からのCH発光の照度変化を電流変化として取り出し、電流・電圧変換アンプ4を介してデータ収集装置5に取り込む。電流・電圧変換アンプ4は、浜松ホトニクス製C2719、遮断周波数1.6kHz、V/A=10の9乗である。データ収集装置5は、KEYENCE製NR-2000、A/D変換分解能14bitである。サンプリング周波数は500Hz、測定時間は262.144secである。信号波形をコンピュータ(信号処理装置)6で処理して、測定値を平均値で標準化したy(t)のパワースペクトルを求める。
【0015】
また、カオス時系列解析で用いられている手法を採用し、ゆらぎをカオス力学の観点から調べる。アトラクタの再構成には、ターケンス(Takens)の埋め込み定理を用いる。遅れ時間τ=1/4f1とし、3次元再構成状態空間v(t)=f(y(t)、y(t+τ)、y(t+2τ))でアトラクタを再構成する。また、相関次元と最大リアプノフ指数を求め、アトラクタの幾何学的な構造とその軌道不安定性を調べる。
【0016】
以上のように、火炎1からの発光をセンサー3(フォトダイオードや光電子増倍管など)で受光し、その信号を時系列解析する。そして、ゆらぎ強度、パワースペクトル、交差率分布、アトラクタ、相関次元、リアプノフ指数などを求める。これらは、燃焼状態と強い関連性があるので、発光信号の時系列解析をすることにより、燃焼状態を簡易に計測することができる。特に、見えにくい炎(水素火炎など)の燃焼状態や観測困難な燃焼器内の状態を知る場合、この手法は非常に有効である。加えて、センサーは比較的安価であるので、従来の燃焼計測手法と比較して、コストパフォーマンスに優れている。
【0017】
次に、周波数解析について説明する。図3は、当量比φ=0.64、0.74、1.00におけるCH発光変動のパワースペクトルを示したものである。横軸は周波数、縦軸はパワースペクトルである。全ての場合において、パワースペクトルは低周波数域で1/fに比例し、矢印で示した2つのピーク周波数f1とf2が観察される。f2はf1の2倍の周波数と一致しており、f1の調和周波数であると考えられる。火炎1の挙動を図1に図示したように、ミラー21を介してディジタルビデオカメラ20(SONY製DCRIP220K,108万画素)で撮影した結果、平面火炎1におけるf1は火炎1下流側高温部の振動数と一致し、セル状火炎1におけるそれはセル部分の振動数と一致することが明らかになった。このことから、平面火炎1のゆらぎは高温燃焼ガスと周囲の空気との間に生ずる対流が原因であり、セル状火炎1では、その要因に拡散・熱的効果が加わって揺らいでいると考えられる。
【0018】
次に、カオス時系列解析について説明する。図4は、当量比φ=0.64、0.74、1.00におけるアトラクタを示したものである。各アトラクタはトーラス的な形状を有している。アトラクタの形状は、平面火炎(φ>0.74)ではあまり変化しないが、セル状火炎ではφが小さくなると共に拡大する。これは、ゆらぎの振幅が大きくなるからである。図5は、相関次元Dcと埋め込み次元mの関係を示したものである。当量比φ=0.64、0.74、1.00において、相関次元Dc=1.6、2.3、2.0である。つまり、相関次元Dcは当量比φ=0.74で最大値をとる。図6は、最大リアプノフ指数λと当量比φの関係を示したものである。最大リアプノフ指数λは当量比φ=0.74で最大値(λ=0.42)をとり、当量比φが小さくなると共に減少する。これらの結果は、当量比φが小さくなると不安定性が強くなりセル状の火炎面が形成されるが、火炎の揺らぎ方はより規則的になることを示している。つまり、当量比φが小さくなると、ゆらぎの振幅が大きくなるにも拘らず、アトラクタはリミットサイクルに近くなり、揺らぎ方はより周期的になる。
【0019】
以上のように本発明の燃焼状態計測方法は、火炎1からの発光の照度変化を電流変化として取り出し、前記電流変化を電圧変化に変換しデータ収集して信号波形を取り出し、前記信号波形をカオス時系列解析することで燃焼状態を把握するものである。このように構成することにより、燃料の種類や燃焼条件にとらわれることがないので、あらゆる燃焼状態を計測することができる。また、本発明の燃焼状態計測装置は、火炎1からの発光の照度変化を電流変化に変換するセンサー3と、前記電流変化を電圧変化に変換する電流電圧変換アンプ4と、前記電圧変化を信号波形として処理するデータ収集装置5と、前記信号波形をカオス時系列解析する信号処理装置6とを有するものである。このように構成することにより、小型のセンサーを用いるので、汎用性があり、しかもセンサーが安価であるので、コストパフォーマンスに優れている。また、燃料の種類や燃焼条件にとらわれることがないので、あらゆる燃焼状態を計測することができる。従って、燃焼状態の簡易計測法として、幅広く用いられることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例の実験装置を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施例の主要部概要構成を示すフロー図である。
【図3】本発明の一実施例の周波数解析を行った結果を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施例のカオス時系列解析を行った結果を示すグラフである。
【図5】本発明の一実施例のカオス時系列解析を行った結果を示すグラフである。
【図6】本発明の一実施例のカオス時系列解析を行った結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0021】
1 火炎
2 干渉フィルタ
3 フォトダイオード(センサー)
4 電流・電圧変換アンプ
5 データ収集装置
6 信号処理装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5