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明細書 :分離機能付ブンゼン反応器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4441619号 (P4441619)
公開番号 特開2005-041735 (P2005-041735A)
登録日 平成22年1月22日(2010.1.22)
発行日 平成22年3月31日(2010.3.31)
公開日 平成17年2月17日(2005.2.17)
発明の名称または考案の名称 分離機能付ブンゼン反応器
国際特許分類 C01B   3/02        (2006.01)
FI C01B 3/02 B
請求項の数または発明の数 3
全頁数 5
出願番号 特願2003-278018 (P2003-278018)
出願日 平成15年7月23日(2003.7.23)
審査請求日 平成18年7月24日(2006.7.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人 日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】中島 隼人
個別代理人の代理人 【識別番号】100089705、【弁理士】、【氏名又は名称】社本 一夫
【識別番号】100140109、【弁理士】、【氏名又は名称】小野 新次郎
【識別番号】100075270、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 泰
【識別番号】100080137、【弁理士】、【氏名又は名称】千葉 昭男
【識別番号】100096013、【弁理士】、【氏名又は名称】富田 博行
【識別番号】100092015、【弁理士】、【氏名又は名称】桜井 周矩
【識別番号】100093713、【弁理士】、【氏名又は名称】神田 藤博
【識別番号】100091063、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 英夫
【識別番号】100102727、【弁理士】、【氏名又は名称】細川 伸哉
【識別番号】100117813、【弁理士】、【氏名又は名称】深澤 憲広
【識別番号】100123548、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 晃二
審査官 【審査官】廣野 知子
参考文献・文献 特開昭52-020394(JP,A)
特開昭52-107296(JP,A)
特開昭53-050085(JP,A)
特開昭51-125689(JP,A)
特開昭50-140392(JP,A)
中島隼人 外3名,熱化学法ISプロセスの閉サイクル連続水素製造試験,化学工学論文集,日本,社団法人 化学工学会,1998年 3月10日,第24巻、第2号,p.352~355
調査した分野 C01B 3/00-6/32
特許請求の範囲 【請求項1】
液体収容部と、ブンゼン反応原料用の入口と、酸素の出口と、ヨウ化水素酸及び硫酸の抜き出し管と、撹拌器とを具備し、当該ヨウ化水素酸及び硫酸の抜き出し管が、その両端に開口部を有しており、一方の開口面と直交する方向に伸びる垂直部分と、その垂直部分が伸びる方向に対して一定の角度で伸びる水平部分とを有することを特徴とする、反応により生成された酸を分離する機能を有する熱化学水素製造プロセスのブンゼン反応に用いる反応器。
【請求項2】
前記ヨウ化水素酸及び硫酸の抜き出し管の垂直部分の端部の開口部が液体収容部内に配置され、水平部分の端部の開口部が液体収容部外に配置され、液体収容部内の開口部が、その開口面がヨウ化水素酸及び硫酸の界面に対して平行に接するように配置されることを特徴とする、請求項に記載の反応器。
【請求項3】
前記ヨウ化水素酸抜き出し管が、その垂直部分が開口面を基準に鉛直方向下向きになるよう配置され、前記硫酸抜き出し管が、その垂直部分が開口面を基準に鉛直方向上向きになるよう配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の反応器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、熱化学水素製造プロセスに関し、より詳しくは、熱化学製造プロセスにおいて使用するブンゼン反応器であって、生成物である酸を分離する機能を有する反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
水素は、燃焼しても地球温暖化を招く二酸化炭素を排出しないので、環境に優しい将来エネルギーとして期待されている。近年、水素を製造する方法として、高温の核熱を用いて水を分解し水素を製造する、熱化学水素製造プロセスが開発されている(例えば、非特許文献1参照のこと)。
【0003】
この熱化学水素製造プロセスは、次の三つの反応から構成されている。
【0004】
【化1】
JP0004441619B2_000002t.gif

【0005】
反応(1)はブンゼン反応として知られており、この反応により二種類の酸(ヨウ化水素酸と硫酸)が生成される。反応(2)、(3)では、反応(1)により生成されたそれぞれの酸が熱分解され、水素及び酸素に加えて、同時に、反応(1)の原料であるヨウ素及び二酸化硫黄が生成される。これらの反応を閉じた系で行うことにより、循環物質であるヨウ素及び二酸化硫黄を消費することなく、水及び熱を供給するだけで、水素と酸素とを得ることができる。
【0006】
ここで、反応(1)のxは反応以外に多量のヨウ素を必要とすることを表しており、このヨウ素はヨウ化水素酸に溶解するため、ヨウ化水素酸の密度は硫酸の密度よりも大きくなる。一方、ブンゼン反応を行う際には、反応条件に依存するものの、室温~100℃、大気圧においてヨウ素は固体、二酸化硫黄は気体であるため、原料の接触を促進する目的で反応の進行には撹拌操作が必要となることから、生成物である二種類の酸を、反応中にブンゼン反応器内でその密度差により静置分離することはできない。したがって、通常、熱化学水素製造プロセスにおいては、反応(1)をブンゼン反応器内で行い、生成された酸をブンゼン反応器とは別の容器に輸送した後、静置してそれぞれの酸に分離し、反応(2)及び(3)を行っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、熱化学水素製造プロセスにおいて、酸分離のための別の設備・工程を用いることなく、ブンゼン反応により生成された酸を連続的に分離して抜き出すことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、本発明者らは、熱化学水素製造プロセスのブンゼン反応に用いる反応器であって、反応により生成された酸を分離する機能を有する反応器に関する本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は、ブンゼン反応を行う反応器であって、液体収容部と、ブンゼン反応原料用の入口と、酸素の出口と、ヨウ化水素酸及び硫酸の抜き出し管と、撹拌器とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明は、上記反応器において、抜き出し管が、その両端に開口部を有しており、一方の開口面と直交する方向に伸びる垂直部分と、その垂直部分が伸びる方向に対して一定の角度で伸びる水平部分とを有することを特徴とするものである。
【0011】
更に、本発明は、上記反応器において、抜き出し管の垂直部分の端部の開口部が液体収容部内に配置され、水平部分の端部の開口部が液体収容部外に配置され、液体収容部内の開口部が、その開口面がヨウ化水素酸及び硫酸の界面に対して平行に接するように配置されることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明は、ヨウ化水素酸抜き出し管が、その垂直部分が開口面を基準に鉛直方向下向きになるよう配置され、硫酸抜き出し管が、その垂直部分が開口面を基準に鉛直方向上向きになるよう配置されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のブンゼン反応器は、反応と分離操作を同時に行うため、反応器以外に、二種類の酸を分離するための設備、工程を必要とせず、装置を簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の分離機能付きブンゼン反応器の構造を図1に基づいて説明する。
本発明の分離機能付きブンゼン反応器は、液体収容部と、ブンゼン反応原料用の入口(1,3,5)と、酸素の出口(6)と、ヨウ化水素酸及び硫酸の抜き出し管(2,4)と、撹拌器とを備えている。液体収容部の形状は、好ましくは、円筒形であり、その寸法は、ブンゼン反応を行うスケールに依存するが、典型的には、水素発生量50リットル/時スケールの場合、直径20cm、高さ40cmである。
ブンゼン反応原料用の入口は、それぞれ、水(1)、酸素及び二酸化硫黄(3)、ヨウ素(5)を液体収容部に供給するために設けられている。
抜き出し管(2,4)は、その両端に開口部を有しており、一方の開口面と直交する方向に伸びる垂直部分と、その垂直部分が伸びる方向に対して一定の角度、好ましくは、90度で伸びる水平部分とを有する。断面形状は、好ましくは、円形であるが、方形であってもよい。抜き出し管は、その垂直部分の端部の開口部が液体収容部内に配置され、水平部分の端部の開口部が液体収容部外に配置される。液体収容部内の開口部は、その開口面がヨウ化水素酸及び硫酸の界面に対して平行に接するように配置され、ヨウ化水素酸抜き出し管の場合は、垂直部分が開口面を基準に鉛直方向下向きになるよう配置され、硫酸抜き出し管の場合は、垂直部分が開口面を基準に鉛直方向上向きになるよう配置される。
【0015】
反応を行う際には、水及びヨウ素は、特に限定するものではないが、好ましくは、液体収容部の上部から液体として供給される。一方、酸素及び二酸化硫黄は、液体収容部の下部から気体として供給される。液体収容部内の反応原料は、撹拌器(例えば、撹拌子など)によって撹拌され、ブンゼン反応が促進される。反応により、ヨウ化水素酸と硫酸とが生成され、混合溶液が形成される。硫酸抜き出し管(4)について、垂直部分に収容された混合溶液は、やがて密度が小さい硫酸が上昇して(A)に溜まる一方、密度が大きいヨウ化水素酸が垂直部分から液体収容部のバルクへと下降して撹拌され再び混合溶液となる。また、ヨウ化水素酸抜き出し管(2)について、垂直部分に収容された混合溶液は、やがて密度が大きいヨウ化水素酸が(B)に溜まる一方、密度が小さい硫酸が垂直部分から液体収容部のバルクへと上昇して撹拌され再び混合溶液となる。その結果、ブンゼン反応の生成物であるヨウ化水素酸と硫酸は、抜き出し管(2,4)により連続して分離され、抜き出され、回収される。反応により生じた酸素は、出口(6)を通って反応器の系外へと放出される。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明のブンゼン反応器によれば、熱化学製造プロセスの簡略化をはかることができる。また、本発明は、密度の異なる液体混合物から連続的に分離操作を行う場合に利用することができ、特に、食品、化学工業等の分野への応用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の分離機能付きブンゼン反応器の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 ブンゼン反応原料用の入口(水)
2 ヨウ化水素酸抜き出し管
3 ブンゼン反応原料用の入口(酸素、二酸化硫黄)
4 硫酸抜き出し管
5 ブンゼン反応原料用の入口(ヨウ素)
6 酸素出口
図面
【図1】
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