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明細書 :ZnS蛍光体を用いた粒子線検出器及び中性子検出器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4415095号 (P4415095)
公開番号 特開2005-300479 (P2005-300479A)
登録日 平成21年12月4日(2009.12.4)
発行日 平成22年2月17日(2010.2.17)
公開日 平成17年10月27日(2005.10.27)
発明の名称または考案の名称 ZnS蛍光体を用いた粒子線検出器及び中性子検出器
国際特許分類 G01T   1/20        (2006.01)
C09K  11/00        (2006.01)
C09K  11/08        (2006.01)
C09K  11/56        (2006.01)
G01T   3/06        (2006.01)
FI G01T 1/20 B
C09K 11/00 E
C09K 11/08 E
C09K 11/56 CPC
G01T 3/06
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2004-120790 (P2004-120790)
出願日 平成16年4月15日(2004.4.15)
審査請求日 平成19年1月30日(2007.1.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人 日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】片桐 政樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100089705、【弁理士】、【氏名又は名称】社本 一夫
【識別番号】100140109、【弁理士】、【氏名又は名称】小野 新次郎
【識別番号】100075270、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 泰
【識別番号】100080137、【弁理士】、【氏名又は名称】千葉 昭男
【識別番号】100096013、【弁理士】、【氏名又は名称】富田 博行
【識別番号】100092015、【弁理士】、【氏名又は名称】桜井 周矩
【識別番号】100093713、【弁理士】、【氏名又は名称】神田 藤博
【識別番号】100091063、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 英夫
【識別番号】100102727、【弁理士】、【氏名又は名称】細川 伸哉
【識別番号】100117813、【弁理士】、【氏名又は名称】深澤 憲広
【識別番号】100123548、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 晃二
審査官 【審査官】岡▲崎▼ 輝雄
参考文献・文献 特開平10-274675(JP,A)
特開平11-118933(JP,A)
特開2002-360554(JP,A)
特開2002-080847(JP,A)
特開2002-141280(JP,A)
特開2002-006055(JP,A)
特開2004-045250(JP,A)
特開平5-87935(JP,A)
特開平6-123777(JP,A)
特開2002-350597(JP,A)
特開2003-248061(JP,A)
特開2005-43062(JP,A)
特開昭62-110124(JP,A)
調査した分野 G01T 1/20
C09K 11/00
C09K 11/08
C09K 11/56
G01T 3/06
特許請求の範囲 【請求項1】
ZnS:Ag,Cl蛍光体と、
当該ZnS:Ag,Cl蛍光体の背後に配置された、放出されるガンマ線の蛍光量が少ない波長域である380~420nmの波長を通す光学フィルタと、
当該光学フィルタの背後に配置された光電子増倍管と、
を具備し、ガンマ線により発生する蛍光量を低減して粒子線による蛍光を検出する粒子線検出器。
【請求項2】
ZnS:Ag,Cl蛍光体に中性子コンバータとしてLi又は10Bを混合した中性子検出用シンチレータと、
当該中性子検出用シンチレータの背後に配置された、放出されるガンマ線の蛍光量が少ない波長域である380~420nmの波長を通す光学フィルタと、
当該光学フィルタの背後に配置された光電子増倍管と、
を具備し、ガンマ線により発生する蛍光量を低減して中性子による蛍光を検出する中性子検出器。
【請求項3】
ZnS:Ag,Cl蛍光体と、
当該ZnS:Ag,Cl蛍光体の背後に配置された350~450nmの短波長を通す短波長光学フィルタ及び440nm以上の長波長を通す長波長光学フィルタと、
当該短波長光学フィルタの背後に配置された短波長域光電子増倍管と、
当該長波長光学フィルタの背後に配置された長波長域光電子増倍管と、
当該短波長域光電子増倍管から出力された短波長側の信号と、当該長波長域光電子増倍管から出力された長波長側の信号との比を求める割り算回路と、
当該割り算回路で得られる比により粒子線とガンマ線とを弁別する粒子線用波高弁別回路及びガンマ線用波高弁別回路と、
粒子線用計数装置及びガンマ線用計数装置と、
を具備する、ガンマ線又は電子線を同時に弁別して計測する粒子線検出器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ZnS蛍光体を用いた粒子線検出器及び中性子検出器において、その計数特性を改善することに関する。
【従来技術】
【0002】
従来、アルファ線などの粒子線検出器、あるいは中性子コンバータである6Liあるいは10Bを介し放出される粒子線を検出することにより中性子を検出する中性子検出器には、粒子線に対する蛍光量が非常に大きく、かつ蛍光寿命のうち短い蛍光寿命の成分が200から300nsと短いことから、ZnS蛍光体が主に使用されてきた。
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大強度陽子加速器を用いた大強度パルス中性子源が最近使用されるようになり、パルス中性子の強度および発生する中性子エネルギー範囲が広がるにつれ、高計数率に対応し、検出器を飽和させることなく、かつ簡便に中性子の検出及び2次元中性子イメージが可能な検出器の開発が不可欠である。また、同じく加速器あるいは原子炉を用いた実験においても、粒子線の高計数率測定が不可欠である。また、これらの中性子あるいは粒子線を測定する場合、ガンマ線バックグラウンドの影響を軽減した検出も同時に不可欠である。
さらに、ダークマター(暗黒物質)あるいは宇宙線観測には、ガンマ線バックグラウンドをできる限り減らした粒子線検出が不可欠である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明においては、ZnS:AgあるいはZnS:CuなどのZnS蛍光体が、粒子線に対する蛍光量が非常に大きく検出を容易に行うことが可能であることをそのまま利用し、新しく見つけ出した波長が短い波長領域の蛍光寿命が短い現象を利用して計数特性を改善し、粒子線あるいは中性子の高計数率測定を実現する。
また、ガンマ線あるいは電子線の弁別には、新しく見つけ出したZnS:Ag,Cl蛍光体から放出される蛍光のうち、波長が短い波長領域の蛍光量が、粒子線の蛍光量に比較し、ガンマ線あるいは電子線の蛍光量が少なくなる現象を利用する。
[実施例]
【0006】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0007】
実施例1として、蛍光体としてZnS:Ag,Cl蛍光体を用いた粒子線検出器について、図1を参照して述べる。
図1は、粒子線検出用としてZnS:Ag,Clを用い、その背後に光学フィルタとして450nm付近から短波長を通すB370配置し、その背後に光電子増倍管を配置した構造の粒子線検出器の実施例である。
まず、ZnS:Ag,Clの蛍光寿命の波長依存性を図2に示す回路により測定した。粒子線線源として5.4MeVのアルファ線を放出するAM-241線源を用いた。ZnS:Ag,Cl蛍光体は有機系接着剤と混合しガラス板に塗布している。塗布量は5mg/cm2である。その後、ZnS:Ag,Clから放出される蛍光を波長通過特性の異なる光学フィルタを用いて選別し光電子増倍管(浜松ホトニクス:R647P)を用いて検出し、信号波形をデジタルオシロスコープで測定した。測定した信号波形を解析し蛍光寿命を求めた結果を表1示す。蛍光寿命を求める際の蛍光寿命解析領域としては0.8μsを用いた。蛍光の短い波長領域が、短い蛍光寿命を示す事が確認できた。
【0008】
【表1】
JP0004415095B2_000002t.gif

【0009】
本実施例のように、光学フィルタとして450nm付近から短波長を通すB370を用い蛍光量をあまり減らすことなく蛍光寿命の短縮を図った場合、図3に示す信号波形のように、光学フィルタを用いない場合の蛍光寿命362nsに比較し、176nsと改善されることがわかった。ZnS:Ag,Al蛍光体についても同様の実験を行い、光学フィルタを用いない場合の蛍光寿命421nsに比較し、292nsと改善されることを確認した。
【実施例2】
【0010】
実施例2として、ZnS:Ag,Cl蛍光体に、中性子コンバータとして、6LiFを混合した中性子検出用シンチレータを用い、このシンチレータから放出される蛍光のうち、波長が短い波長領域の蛍光寿命が短いことを利用して計数特性を改善した中性子検出器について、図4を参照して述べる。
図4は、中性子検出用シンチレータとしてZnS:Ag,Clと中性子コンバータとし、6LiFを用いその背後に光学フィルタとして450nm付近から短波長を通すB370を配置し、その背後に光電子増倍管(浜松ホトニクス:R647P)を配置した構造の粒子線検出器の実施例である。
ZnS:Ag,Clの蛍光寿命の波長依存性は図2に示すとおりである。中性子検出用シンチレータとしては、ZnS:Ag,Clを60mg/cm2、中性子コンバータである6LiFについては15mg/cm2を有機系接着剤と混合しアルミニウム板に塗布して製作した。中性子検出用シンチレータ装着後、中性子源としてAm-Li線源を用いて熱中性子を検出器に照射した。ZnS:Ag,Clから放出される蛍光の信号波形はデジタルオシロスコープで測定した。本実施例のように、光学フィルタとして450nm付近から短波長を通すB370を用い蛍光量をあまり減らすことなく蛍光寿命の短縮を図った場合、図5に示す信号波形のように、光学フィルタを用いない場合の蛍光寿命391nsに比較し、238nsと改善されることがわかった。蛍光寿命を求める際の蛍光寿命解析領域としては0.8μsを用いた。
【実施例3】
【0011】
実施例3として、蛍光体としてZnS:Ag,Cl蛍光体を用い、ガンマ線を弁別して粒子線を検出する粒子線検出器について、図6を参照して述べる。
図6は、粒子線検出用としてZnS:Ag,Clを用い、その背後に光学フィルタとして420nm付近から短波長を通すFV026(フィルター番号)を配置し、その背後に光電子増倍管を配置した構造のガンマ線を弁別することを可能とした粒子線検出器の構成図である。
ZnS:Ag,Cl蛍光体について、アルファ線とガンマ線を用いて蛍光波長スペクトルが変化することを確認する実験を行った。アルファ線としては、Am-241線源から放出される5.4MeVのアルファ線を用い、ガンマ線としてAm-241線源から放出される60keVのガンマ線を薄い板を線源の表面に置きアルファ線の影響を取り除いてから用いた。実験結果を図7に示す。エネルギーによる差をとり除くため規格化してプロットしている。この結果より、放出される蛍光のうち、波長が短い波長領域の蛍光量が、粒子線の蛍光量に比較し、ガンマ線の蛍光量が少なくなることが確認できた。特に、420nm以下で差が大きくなることが確認できたことから。このため、本実施例では、上記に述べた光学フィルタとしてFV026を用いた。このような構成とすることによりガンマ線を弁別した粒子線検出が可能となる。
【実施例4】
【0012】
実施例4として、ZnS:Ag,Cl蛍光体に、中性子コンバータとして、6LiFを混合した中性子検出用シンチレータを用い、ガンマ線を弁別して中性子を検出する中性子検出器について、図8を参照して述べる。
中性子用シンチレータとしてZnS:Ag,Cl蛍光体に、中性子コンバータとして、6LiFを混合したシンチレータを用いた。透過度を良くする必要があるため、本実施例ではZnS:Ag,Clを20mg/cm2、中性子コンバータである6LiFについては5mg/cm2を有機系接着剤と混合しアルミニウム板に塗布して製作した。本実施例では、光学フィルタとして、420nm以下で差が大きくなることが確認できたことからFV026を用いた。このような構成とすることによりガンマ線を弁別した中性子検出が可能となる。
【実施例5】
【0013】
実施例5として、ZnS:Ag,Cl蛍光体から放出される蛍光のうち、波長が短い波長領域と長い領域の蛍光をそれぞれ検出し、ガンマ線あるいは電子線も同時に弁別し計数可能とすることを特長とした粒子線検出器について図9を参照して述べる。
図9は、ZnS:Ag,Cl蛍光体の背後に蛍光を拡散し2カ所から蛍光を検出するために光拡散ブロックを用いた例である。片方は、短波長側を検出するため光学フィルタとして450nm付近から短波長を通すB370を用い、もう一方は光学フィルタとして440nm付近から長波長を通すY440を用いる。光学フィルタの後に配置した2つの光電子増倍管(浜松ホトニクス:R647P)から出力された短波長側の信号と長波長側の信号との比を割り算回路で求め、求めた結果の信号を波高弁別回路を通すことにより、比が大きい場合には粒子線であり、比が小さい場合にはガンマ線であることを利用してガンマ線と粒子線を弁別して計数することができる。
【実施例6】
【0014】
実施例6として、蛍光波長領域の選択のために、波長シフトファイバを用いることを特長とした粒子線検出器について図10を参照して述べる。
図10は、粒子線検出用としてZnS:Ag,Clを用い、その背後に380nmから420nmにかけて吸収波長帯を持つ米国Bicron社製特注波長シフトファイバBCF-99-33を配置した粒子検出器の例である。図11に示すようにZnS:Ag,Clの蛍光スペクトルの短波長領域と、特注の波長シフトファイバBCF-99-33の吸収スペクトル領域が良く一致するため、ガンマ線の影響を少なくした粒子検出器を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】粒子線検出用としてZnS:Ag,Clを用いその背後に光学フィルタとして450nm付近から短波長を通すB370を配置し、その背後に光電子増倍管を配置した構造の粒子線検出器を示す図である。
【図2】ZnS:Ag,Clの蛍光寿命の波長依存性を測定する回路の図である。
【図3】粒子線検出用としてZnS:Ag,Clを用い光学フィルタとしてB370を用いた場合と用いない場合の光電子増倍管から出力された粒子線に対する信号波形の比較図である。
【図4】ZnS:Ag,Cl蛍光体に、中性子コンバータとして、6LiFを混合した中性子検出用シンチレータを用い、光学フィルタとして450nm付近から短波長を通すB370を配置し、その背後に光電子増倍管を配置した構造の中性子検出器を示す図である。
【図5】中性子検出用としてZnS:Ag,Clを用い、光学フィルタとしてB370を用いた場合と用いない場合の光電子増倍管から出力された中性子に対する信号波形の比較図である。
【図6】粒子線検出用としてZnS:Ag,Clを用い、その背後に光学フィルタを配置し、その背後に光電子増倍管を配置した構造のガンマ線を弁別した粒子線検出器の構成を示す図である。
【図7】ZnS:Ag,Cl蛍光体のアルファ線とガンマ線に対する蛍光波長スペクトルの比較を示す図である。
【図8】ZnS:Ag,Cl蛍光体に、中性子コンバータとして、6LiFを混合した中性子検出用シンチレータを用い、ガンマ線を弁別して中性子を検出する中性子検出器の構成を示す図である。
【図9】ZnS:Ag,Cl蛍光体から放出される蛍光のうち、波長が短い波長領域と長い領域の蛍光をそれぞれ検出し、ガンマ線も同時に弁別し計数可能とした粒子線検出器の構成を示す図である。
【図10】蛍光波長領域の選択のために、波長シフトファイバを用いることを特長とした粒子線検出器の構成を示す図である。
【図11】ZnS:Ag,Cl蛍光体の蛍光スペクトルの短波長領域と、波長シフトファイバBCF-99-33の吸収スペクトル領域の比較を示す図である。
【図12】従来のZnS:Ag,Cl蛍光体のアルファ線に対する信号波形を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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