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明細書 :投影露光装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4572365号 (P4572365)
公開番号 特開2005-326796 (P2005-326796A)
登録日 平成22年8月27日(2010.8.27)
発行日 平成22年11月4日(2010.11.4)
公開日 平成17年11月24日(2005.11.24)
発明の名称または考案の名称 投影露光装置
国際特許分類 G03F   7/24        (2006.01)
FI G03F 7/24
請求項の数または発明の数 2
全頁数 15
出願番号 特願2004-171896 (P2004-171896)
出願日 平成16年5月14日(2004.5.14)
審査請求日 平成19年5月7日(2007.5.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
発明者または考案者 【氏名】堀内 敏行
【氏名】橋本 浩平
【氏名】武内 翔
【氏名】松岡 敏治
【氏名】佐々木 信夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100083806、【弁理士】、【氏名又は名称】三好 秀和
審査官 【審査官】佐野 浩樹
参考文献・文献 特開2004-125913(JP,A)
特開平09-316666(JP,A)
特表2007-536572(JP,A)
調査した分野 G03F 7/20 - 7/24 、 9/00 - 9/02
特許請求の範囲 【請求項1】
円筒面状,円柱面状,円錐面状,鼓面状,樽面状,瓢箪面状のうちいずれか一の形状の回転対称体にして、その回転対称軸となる幾何学的な中心軸を有する被露光試料の側表面に、原図基板上のパターンを投影露光する投影光学系と、
前記被露光試料を回転させるために、回転軸回りに回転する回転ステージと、
前記回転ステージの回転軸と前記被露光試料の幾何学的な中心軸とのずれを修正するために前記回転ステージに取り付けられた偏芯正ステージと、を備え、
前記偏芯正ステージにより前記被露光試料の幾何学的な中心軸を前記回転ステージの回転軸に合致させて前記被露光試料を前記回転ステージにより回転させることを特徴とする投影露光装置。
【請求項2】
前記回転ステージに、前記被露光試料の側表面の露光すべき位置を前記投影光学系の光軸に垂直な方向に向ける傾斜ステージを取り付けたことを特徴とする請求項1記載の投影露光装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒面状,円柱面状,円錐面状,鼓面状樽面状瓢箪面状のうちいずれか一の形状の回転対称体にして、その回転対称軸となる幾何学的な中心軸を有する被露光試料の側表面にパターンを投影露光するための投影露光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光リソグラフィ技術は、半導体ウエハなどの被露光試料の表面にレジストなどの感光性材料を付し、可視光や紫外光によって該感光性材料の特定の場所を露光し、現像により露光した場所もしくは非露光の場所のみに前記感光性材料を残す技術である。
【0003】
通常、光リソグラフィは半導体ウエハなどの平面度の良い平板状の被露光試料の表面に対して行われ、感光性材料を露光する方法には、密着露光、近接露光、投影露光、走査露光がある。
【0004】
密着露光、近接露光は、現像後に形成されるパターンに等倍で対応する形状の原図パターンを有するマスクを用いる露光方法である。密着露光の場合は、原図基板とするマスクを被露光試料の表面に密着させて露光し、近接露光の場合には、マスクと被露光試料の表面との間にわずかの隙間を置いて露光する。
【0005】
投影露光は、現像後に形成されるパターンの拡大または縮小または等倍形状を有するレチクルやマスクを原図基板として用い、投影レンズまたは投影ミラーまたはレンズとミラーを組み合わせた投影光学系を用いて、該原図基板上のパターン形状を被露光試料の表面に投影して光像を形成し、被露光試料に付した感光性材料を露光する方法である。
【0006】
走査露光は、レチクルやマスクなどの原図基板を用いず、レーザ光などの指向性の高い光ビームにより被露光試料の表面を走査し、パターン形状を描く露光方法である。
【0007】
上記の露光方法のうち、密着露光、近接露光、投影露光は、用いる原図上のパターンに対応させて、所定の面積を一度に露光できるのに対し、走査露光は、光ビームによって原図を用いずにパターンを直接描画するため、所定の面積内を露光するにはほかの露光方法に比して時間がかかる。
【0008】
そのため、量産品製造のための露光には、もっぱら密着露光、近接露光、投影露光が使用されている。
【0009】
しかし、平面以外の側表面形状への露光は密着露光、近接露光、投影露光、走査露光いずれの方法によっても難しく、被露光試料の側表面に露光を施す量産品製造に適する方法は確立されていない。
【0010】
円柱面状の被露光試料の側表面に露光を施す研究段階の方法としては、焦点深度が深いX線近接露光を用いる図5に示す方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0011】
この方法では、図5に示すように、円柱状の被露光試料83をチャック84で保持し、ラインアンドスペースパターン85を有する原図基板86を該被露光試料83に近接して配置し、シンクロトロン放射光(SR光)のX線87を照射する。
【0012】
被露光試料83の軸線に対してラインアンドスペースパターン85は形成しようとする螺旋パターンのリードに合わせてわずかに傾けて配置し、露光後、該被露光試料83を回転ステージ88により軸周りに矢印89のごとく180度回転させて反対側からも同様にラインアンドスペースパターン85を露光する。
【0013】
しかし、X線近接露光は、X線マスクが高価格であるため、少量多品種生産の量産には向かない。
【0014】
また、図5のようにパターン85の方向がほぼ被露光試料83の軸に直角の方向の場合にはよいが、パターン85の方向が軸方向に近い場合には、被露光試料83の中心部から離れて側面に近くなる程、精度良くパターンを転写することが難しくなり、真横に相当する部分ではパターンが解像しなくなる。
【0015】
さらに、180度回転させて反対側から露光する時に、最初に露光した側の全部が反対側に行ってしまうため、位置を合わせることが難しいと言う問題もある。
【0016】
一方、レーザ光の走査露光により円柱状の被露光試料の側表面に露光を施す、図6に示す方法も考えられている(例えば、非特許文献2参照)。
【0017】
この方法では、図6に示すように、円柱状や円筒状の被露光試料91を直線、回転ステージ92によって矢印93のごとく回転させたり、矢印94のごとく直線移動してレーザビーム95に対して走査し、被露光試料91の側表面を任意の形状に露光する。
【0018】
レーザビーム95は、レーザ光源96から射出されてビームピンホール97で整形され、写真引き伸ばし機用レンズ98を用いて絞っている。
【0019】
レーザビーム95を走査するには、被露光試料91を回転させたり、直線移動する代りにレーザビーム95の位置をミラーなどによって動かして走査してもよく、被露光試料91の回転および/または移動とレーザビーム95の移動とを組み合わせて走査してもよい。
【0020】
しかしながら、この方法は走査露光する方法であるため、露光に時間がかかり、量産品の製造には適さない。
【0021】
ところで、露光装置において、露光光線に対して、回転対称な被露光試料を回転させて露光する場合、被露光試料を回転ステージに取り付ける必要がある。被露光試料を回転ステージに取り付けるには、装置の回転ステージ上に設けた任意のチャックで被露光試料を掴んだり、回転ステージ上に設けた合わせ面に被露光試料を押し付けて固定したり、回転ステージ上と被露光試料のいずれか片方に位置決め穴、他方に位置決め突起を設け、該位置決め穴に該位置決め突起をはめ込んだり、被露光試料の外周を位置決め突起として利用し、回転ステージ上の穴にはめ込んだりする。
【0022】
しかしながら、このような方法で被露光試料を固定しても、該被露光試料の回転対称軸となる幾何学的な中心軸と、回転ステージの回転軸とが、必ずしも精度良く合致するとは限らない。
【0023】
チャックで被露光試料を掴んで固定する場合には、チャックの爪の動きにばらつきがあり、偏芯する。また、回転ステージ上に設けた合わせ面に被露光試料を押し付けて固定する場合には押し付け強さ、押し付け方向、固定時の締め付けのばらつきによって被露光試料の位置がばらつく。位置決め穴に位置決め突起をはめ込む場合は、着脱可能なすきまばめとするため、はめあい隙間の分だけ取り付け位置がばらつく。さらに、位置決め穴や位置決め突起の形状や寸法の不確かさに起因する位置決め穴中心軸や位置決め突起中心軸のずれも影響する。
【0024】
回転対称な被露光試料の回転対称軸となる幾何学的な中心軸と、回転ステージの回転軸とが合致しないと、被露光試料の露光結果に不都合が生じる。被露光試料が円柱状の場合を例にとってこの不都合について説明する。
【0025】
図7は被露光試料の幾何学的な中心軸と回転ステージの回転軸とが合致しない場合の不都合を説明する図であり、被露光試料の幾何学的な中心軸に直角な断面を示している。
【0026】
被露光試料が外形円の幾何学的な中心Oに対してx方向に距離e、y方向に距離eだけ偏芯した点O’を回転中心として回転ステージにより回転させられるとする。一般に回転ステージは回転角度を制御して動かすステージであり、前記回転中心O’まわりの回転角が制御される。
【0027】
したがって、図7において、被露光試料の断面上で点O’に最も近い点A付近が角度θ回転すると、被露光試料の側表面の動きは弧AA’となり、AA’=r閧ニなる。ここで、rはO’A間の距離である。
【0028】
また、被露光試料の断面上で点O’から最も遠い点B付近が角度θ回転すると、被露光試料の側表面の動きは弧BB’となり、BB’=r閧ニなる。ここで、rはO’B間の距離である。
【0029】
被露光試料の断面を真円とし、その半径をr、回転中心O’の被露光試料の幾何学的な中心Oの偏芯量をeとすれば、r=r-e、r=r+eであるから、BB’-AA’=2e閧ニなる。
【0030】
被露光試料の取り付け方にあまり考慮を払わないと偏芯量eはたとえば50μm以上もの大きな値となる。
【0031】
このため、被露光試料を一定の回転角度だけ回転させても、A部では被露光試料面が少ししか動かず、B部では被露光試料面が沢山動くという現象を生じる。
【0032】
したがって、被露光試料を回転させて側表面に順次パターンを形成すると、A部ではパターンが密になり、B部ではパターンが疎になるという不都合が生じる。
【0033】
このように被露光試料の側表面上で場所によってパターンの間隔が変化すると、回転軸状部品の側表面の一部に軸方向のラインアンドスペースマークを形成するのに利用して、出来上がったマークの通過数や通過時間間隔をカウントして該回転軸の回転速度や回転角度を計測すると、該回転軸が実際は等速で回転しているにもかかわらず、見掛け上、1回転する間に速度の増減が繰り返されているかのように計測されたり、実際と異なる角度回転したかのごとく計測されたりする不都合が生じる。
【0034】
また、回転軸状部品の側表面の一部に空気軸受溝を作るのに利用する場合には、溝の位置間隔が分布を持つこととなるため、全周で支持力が一様とならず、しかも、回転に伴って該回転軸の円周上における支持力の強弱分布が移動する。そのため、回転に同期した微振動が発生したり、該回転軸を使用する機械の他部と共振したり、振動音が発生するといった不都合が起こる。
【0035】
さらに、円柱の円周面上にカムを動かすルートとして使用する溝を形成するのに使用する場合には、該ルートが設計と微妙に異なり、該カムを利用した機械の動きに予期せぬ速度の増減や駆動タイミングのずれが生ずるといった不都合が起こる。

【非特許文献1】Digest of Papers,Microprocesses and Nanotechnology2003,2003年,p,156,157
【非特許文献2】2002年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集,2002年,p.564
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
本発明が解決しようとする課題は、以上に説明した不都合を取り除き、回転対称な被露光試料の側表面を高い生産性で露光でき、安価に量産に適用でき、かつ、回転対称な被露光試料の側表面に高い角度精度でパターンを形成できる投影露光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明は上記の様々な課題を解決し、かつ、従来の密着露光や走査露光よりも高い生産性を得るため、円筒面状,円柱面状,円錐面状,鼓面状,樽面状,瓢箪面状のうちいずれか一の形状の回転対称体にして、その回転対称軸となる幾何学的な中心軸を有する被露光試料の側表面に、原図基板上のパターンを投影露光する投影光学系と、
前記被露光試料を回転させるために、回転軸回りに回転する回転ステージと、
前記回転ステージの回転軸と前記被露光試料の幾何学的な中心軸とのずれを修正するために前記回転ステージに取り付けられた偏芯正ステージと、を備え、
前記偏芯正ステージにより前記被露光試料の幾何学的な中心軸を前記回転ステージの回転軸に合致させて前記被露光試料を前記回転ステージにより回転させることを特徴とする投影露光装置である。
【0038】
また、上記に加えて、前記回転ステージに、前記被露光試料の側表面の露光すべき位置を前記投影光学系の光軸に垂直な方向に向ける傾斜ステージを取り付けたことを特徴とする投影露光装置である。
【発明の効果】
【0039】
本発明によると、投影露光なので走査露光に比して一度に広い面積を露光でき、露光所要時間を大幅に低減できる。このため、円柱面や円筒面をはじめとする回転対称な被露光試料の側表面上にパターンを高い生産性で露光することができる。
【0040】
また、X線近接露光で必要な高価なX線マスクを使用せず、ランプを光源として利用できるため、レーザ光走査露光に必要な強力で高価なレーザ装置も必要でないため、安価に被露光試料の側表面露光ができる。
【0041】
そして、回転対称な被露光試料の側表面を、側表面に垂直な方向から投影光学系の焦点深度内で順次または連続的に露光するため、被露光試料の側表面上の場所によるパターン形状のばらつきをX線近接露光で円柱面の両側から半分ずつ露光する場合より大幅に低減できる。
【0042】
また、偏芯補正ステージを設けたため、回転対称な被露光試料の回転対称軸となる幾何学的な中心軸を回転ステージの回転軸と精確に合致させることができ、被露光試料の側表面上に高い間隔精度でパターンを露光することができる。
【0043】
さらに、傾斜ステージを設けると、前記の効果に加えて、側表面が中心軸と平行でない被露光試料に対しても焦点深度内で露光でき、円錐面状,鼓面状樽面状瓢箪面状などの側面を持つ被露光試料の側表面にも高解像度でパターンを形成することができるようになる。
【0044】
したがって、回転軸部品の側表面の一部に軸方向のラインアンドスペースマークを形成するのに利用し、出来上がったマークの通過数や通過時間間隔をカウントして該回転軸の回転速度や回転角度を計測すれば、従来より高精度で該回転速度や回転角度を計測できるようになる。
【0045】
また、回転軸部品の側表面の一部に空気軸受溝を作るのに利用すると、溝の位置間隔が均一になるため、全周の支持力を一様にすることができる。したがって、回転に同期した微振動の発生や該回転軸を使用する機械の他部との共振が少なくなり、振動音の発生が少なくなる。
【0046】
さらに、円柱の円周面上にカムを動かすルートとして使用する溝を形成するのに使用すると、該ルートが設計通りとなるため、該カムを利用した機械の動きがスムーズになり、速度の増減や駆動タイミングのずれが生ずるといった不都合は起こらなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明を実施するための最良の形態を図1、図2に基づいて説明する。図1は本発明の投影露光装置の実施形態である。
【0048】
回転対称な被露光試料1として円筒状の試料を例にとっており、外周面と同心に開けられた中央の位置決め穴を露光装置の位置決め棒2にはめ込み、該位置決め棒2の端に設けたねじとかみ合う押さえナット3により、被露光試料1を試料取り付け部品4に取り付ける。
【0049】
被露光試料1を試料取り付け部品4に取り付ける方法は任意であり、従来の方法として示したように、試料取り付け部品4に任意のチャックを設けて被露光試料1を掴んでもよく、試料取り付け部品4に合わせ面を設けて被露光試料1を押し付けて固定してもよく、被露光試料1の外周を位置決め突起として利用し、試料取り付け部品4に穴を設けてはめ込んでもよい。
【0050】
被露光試料1を露光するため、ランプなど、被露光試料1の側表面に付した感光性材料を感光させ得る任意の光を発する光源5を設け、照明光学系6、照明光学系7、照明光学系8により適宜均一化や光束の拡大縮小を行って、原図基板9を照明し、原図基板9上のパターン10を投影光学系12により投影露光して被露光試料1の側表面上にパターン像11を作る。
【0051】
原図基板9は、半導体集積回路用のレチクルやマスクのように、石英やガラスなどの透過基板上にクロムなどの遮光物でパターンを形成した物、写真フィルムやオーバーヘッドプロジェクター用フィルムにパターンを焼き付けた物、金属板に穴を開けたステンシルマスク、透過基板上に遮光性物体を載せた物など任意である。
【0052】
照明光学系6、照明光学系7、照明光学系8は模式化して描いてあり、照明光学系のブロック数、位置は任意でよい。
【0053】
投影光学系12は投影レンズであるかのように描いてあるが、ミラーを用いた投影光学系でも、レンズとミラーとを組み合わせた投影光学系でもよい。
【0054】
また、ミラー13は光路を曲げて装置をコンパクトにし、コールドミラーとして熱線を透過させ除去する目的で設けたものである。スペースに余裕があり、光源が熱線を含まなければ設けなくてもよい。
【0055】
図示したように、直交x,y,z方向を決める時、平面状の原図基板9上のパターン10はx,y方向の平面上に形成される。したがって、被露光試料1の側表面が曲面の場合、露光領域内のどこか任意の場所、たとえば露光領域の中心、に最もはっきりした原図基板9上のパターンの光像ができるようにすると、z方向にずれた曲面上の位置ではパターンの光像がぼやける。また、平面上のパターンを曲面上に投影すれば、曲率に応じて該曲面に沿って測る時のパターン間距離が変わる。
【0056】
このため、焦点ずれや前記曲面上への投影パターンの歪みが許容範囲に収まる露光領域を設定する。
【0057】
スリット14は原図基板9と共役の位置に設置し、穴15の光像が原図基板9の上にできるようにして、原図基板9の照明範囲を決める。原図基板9は穴15の形状に対応して照明される。16は照明範囲を示す。
【0058】
スリット14は任意の形状と寸法の穴15を持つスリットを交換可能としてもよい。交換可能とすれば、露光するパターン10の微細度や投影光学系12の焦点深度に応じて適切な露光範囲を設定することができる。
【0059】
また、スリット14の代わりに、図3に示すように、任意の枚数のブレードが動き、該ブレードに囲まれた開口の大きさ、形状、位置の一部または全部を変えることができるブラインド機構を設けてもよい。図3はブレードが4枚の場合を例示しており、図中のブレード17a、17b、17c、17dが矢印18a、18b、18c、18dの方向に動いて任意の領域を設定する。
【0060】
スリット14や上記のブラインド機構は、原図基板9と共役の位置に設けるのではなく、原図基板9の直前または直後に設けてもよい。
【0061】
図4に示すように投影範囲以外に遮光体19を設けた原図基板9を用いることとすれば、スリット14は省略してもよい。
【0062】
20は光軸を表している。光源5から被露光試料1に至る光軸は必要に応じてミラーなどにより任意に経路を曲げてもよいことは言うまでもない。
【0063】
被露光試料1の側表面全体を露光するには、該被露光試料1を回転yステージ21によってy軸回りに回転させ、上記のように設定した露光領域を順次つなぎ合わせる。すなわち、所定の照明範囲16を露光した後、回転yステージ21を回転させ、次の露光位置が照明範囲16に入るようになし、該露光位置を露光する。
【0064】
22は回転yステージの基台、23は回転yステージ駆動モータである。回転yステージ21の駆動方法は任意であり、リニヤモータ駆動やラックとピニオンの組み合わせによる駆動など、ほかの方法で動かしてもよい。
【0065】
はじめの露光位置と次の露光位置とに同じパターンを露光する場合には、原図基板9を動かさなくてもよい。
【0066】
一方、円周面に軸受溝パターンやカム曲線パターンを形成する場合のように、回転yステージ21を回転させた次の露光位置の露光パターンがはじめの露光位置の露光パターンと異なる場合には、回転yステージ21の回転により露光位置が代わる分だけ、投影倍率を考慮して原図xステージ24により原図基板9をx方向に動かし、パターンがうまくつながるように露光を接続する。穴25は投影露光光線が被露光試料1側に通過するように設けたものであり、原図xステージ24と投影光学系12との間に設ける各ステージやその基台にはすべて同様に投影露光光線が通過できる穴を設ける。
【0067】
原図xステージ24は、原図xステージ基台26に案内されてx方向に動くようになっており、モータ27によってねじ軸28を回転させると、該ねじ軸28にかみ合ったナット29がx方向に動き、該ナット29と接続された原図xステージ24が移動する。31はモータ支持部品、32は軸受である。原図xステージ24も駆動方法は任意であり、ほかの方法で動かしてもよい。
【0068】
また、上記の説明は、被露光試料1の側表面の円周方向にパターンを接続して露光する場合であるが、被露光試料1の側表面を幾何学的な中心方向につなぎ合わせて露光するには、試料yステージ33により被露光試料1をy方向に移動して次の露光位置が照明範囲16に入るようになし、該露光位置を露光する。34は試料yステージの基台、35は試料yステージ駆動モータである。試料yステージ33も駆動方法は任意であり、ほかの方法で動かしてもよい。
【0069】
露光位置を被露光試料1の幾何学的な中心方向に動かす場合も、はじめの露光位置と次の露光位置とに同じパターンを露光する場合には、原図基板9を動かさなくてもよい。
【0070】
一方、試料yステージ33を移動させた次の露光位置の露光パターンがはじめの露光位置の露光パターンと異なる場合には、試料yステージ33の移動により露光位置が代わる分だけ、投影倍率を考慮して原図yステージ38により原図基板9をy方向に逆向きに動かし、パターンがうまくつながるように露光を接続する。
【0071】
原図yステージ38は、原図yステージ基台39に案内されてy方向に動くようになっており、モータ40によってねじ軸41を回転させると、該ねじ軸41にかみ合ったナット42がy方向に動き、該ナット42と接続された原図yステージ38が移動する。原図yステージ38も駆動方法は任意であり、ほかの方法で動かしてもよい。
【0072】
上記の説明は、被露光試料1の任意の露光位置と次の露光位置における露光の接続について述べたが、被露光試料1の側表面の全部または一部のより広い範囲に露光を行うには、上記の照明範囲16を用いた投影露光を必要な回数繰り返せばよい。円周方向と幾何学的な中心方向の両方につなぎ合わせて露光してもよい。
【0073】
ところで、円周方向に接続して露光を行うに際し、一般に回転yステージ21の回転軸と被露光試料1の幾何学的な中心とが合致しないことが原因で、回転yステージ21を同じ角度回転させても、被露光試料1の周上の位置によって被露光試料1の側表面が動く距離が異なるという現象が起こる。これを回避するため、本発明では以下に示すような手段を講じる。
【0074】
まず、回転yステージ21によって被露光試料1を回転させる時の回転中心の位置を精確に把握するため、被露光試料1の側表面の位置を測定する位置センサ51を設ける。図1、図2では、位置センサ51として51a、51bの2個をx方向、y方向に設けたが、スペースに余裕がない場合や、装置を簡便にしたい場合には、任意の方向に1個だけとしてもよい。また、被露光試料1の根元から先端における任意の複数の位置に任意の数の位置センサ51a、51b、・・・を設けてもよい。
【0075】
そして、回転yステージ21の回転軸と被露光試料1の幾何学的な中心とのずれを修正するための偏芯修正ステージを設ける。偏芯修正xステージ52は偏芯修正xステージ基台53をベースにモータ54により駆動されるステージであり、試料取り付け部品4の位置をx方向に修正できる。55はモータ支持部品である。偏芯修正yステージ56は偏芯修正yステージ基台57をべースにモータ58により駆動されるステージであり、試料取り付け部品4の位置をy方向に修正できる。58aはモータ支持部品である。
【0076】
露光前に予め被露光試料1を回転yステージ21によって回転させ、位置センサ51により被露光試料1の側表面の位置を測定する。回転yステージ21の回転軸と被露光試料1の幾何学的な中心との間にずれがあると、回転yステージ21の回転角度に対して被露光試料1の側表面の位置がたとえば正弦的に変化する。
【0077】
上記の被露光試料1の側表面位置の測定結果に基づき、回転yステージ21を1回転させる時、どの角度方向に被露光試料1が往復動するかを判断し、偏芯修正xステージ52および偏芯修正yステージ56を動かして回転yステージ21の回転軸と被露光試料1の幾何学的な中心との間のずれを修正する。
【0078】
被露光試料1の仕上がり精度が良好であり、試料交換による偏芯ずれがほとんど生じない場合には、上記の位置センサ51による被露光試料1の側表面位置の測定に基づく偏芯修正xステージ52および偏芯修正yステージ56による回転軸と被露光試料1の幾何学的な中心との間のずれの修正をテストサンプルの被露光試料1を用いて行った後、位置センサ51を退避または除去してもよい。
【0079】
回転yステージ21を回転させる時、被露光試料1の幾何学的な中心のまわりに同心で回転すれば、回転yステージ21を一定の角度回転させる時の、被露光試料1の側表面の移動量が一定となる。したがって、回転yステージ21の回転毎に投影される露光像の間隔は一定となる。
【0080】
また、回転yステージ21と原図xステージ24を同時に同期して動かして露光する場合にも、被露光試料1の側表面のx方向に露光されるパターンは、原図基板9上のパターン10に投影倍率を乗じた相似形状となる。
【0081】
回転yステージ基台22は、L字形に描いた支持部品59により回転zステージ60に固定してある。該回転zステージ60は回転zステージ基台61をベースにz方向を中心に回転する。駆動させるためのモータは図示を省略してあるが、任意のほかの方法により駆動してもよい。
【0082】
前記回転zステージ60は、回転yステージ21の回転軸すなわち被露光試料1の幾何学的な中心方向を原図基板9上でパターン10が配列されたy方向に合致させるために用いる。
【0083】
原図ステージ側にz方向を中心に回転するステージを設けて、原図基板9を回転させることにより、被露光試料1の幾何学的な中心方向をパターン10の配列されたy方向に合致させてもよい。また、前記回転zステージ60と原図ステージ側のz方向を中心に回転するステージの両方を設けてもよい。
【0084】
一方、被露光試料1の幾何学的な中心方向とパターン10のy方向との平行度が厳密でなくてもよい時は、回転zステージ60と回転zステージ基台61を設けなくてもよい。
【0085】
前記回転zステージ基台61は、試料xステージ62に取り付けられており、該試料xステージ62は試料xステージ基台63をベースにしてモータ64によってx方向に駆動される。
【0086】
試料xステージ62および試料yステージ33は、パターン像11が被露光試料1上の所定の位置に形成されるように、被露光試料1のx、y方向の位置調整を行うのに用いる。
【0087】
パターン10のz方向まわりの配列方向やx、y方向の位置が被露光試料1上の所定の角度や位置となっているかどうかを確かめるには、予め試しに露光、現像を行ってパターン像11に基づいて被露光試料1の側表面に形成された感光性材料のパターン像11の位置や角度を測定する。測定した角度や位置がずれている場合には、回転zステージ60、試料xステージ62、試料yステージ33を動かして被露光試料1の位置や角度を修正する。
【0088】
あるいは、原図基板9上および被露光試料1の側表面上に合わせマークを設けておき、露光位置に被露光試料1を取り付けた状態で前記両方の合わせマークを同時または順次検出する位置合わせ光学系を設けておき、該位置合わせ光学系によって検出した位置や角度のずれが許容値以下となるように、回転zステージ60、試料xステージ62、試料yステージ33を動かした上で露光を行う。
【0089】
位置や角度を合わせるためのステージの動作は、原図基板9側の原図xステージ24、原図yステージ38やz軸回りの回転ステージを用いて行ってもよい。
【0090】
試料zステージ67は、試料zステージ基台68をベースとして、モータ69によりz方向に駆動されるステージであり、被露光試料1の側表面を投影光学系12によるパターン像11の結像位置に合わせるのに用いる。
【0091】
また、原図zステージ71は、原図zステージ基台72をベースとして、モータ73によりz方向に駆動されるステージであり、パターン10を投影光学系12により結像させる際の投影倍率を調整するのに用いる。
【0092】
原図zステージ71を設ける代わりに投影光学系12をz方向に動かす機構を設けてもよい。しかし、投影光学系12をz方向に動かすと、投影光学系12と被露光試料1の側表面との距離も変わるので、試料zステージ67を用いてパターン像11の結像位置に被露光試料1の側表面を合わせることが必要となる。
【0093】
なお、本実施形態においては、被露光試料1側のステージ積み上げ順序を試料zステージ67、試料yステージ33、試料xステージ62、回転zステージ60の順としたが、順序は任意でよく、その全部を必ずしも設けなくてもよい。
【0094】
また、原図基板9側のステージ積み上げ順序を原図zステージ71、原図yステージ38、原図xステージ24の順としたが、この順序も任意でよく、その全部を必ずしも設けなくてもよい。
【0095】
被露光試料1を回転yステージ21によって回転させながら、それに同期させて原図基板9をx方向に動かせば連続走査による投影露光ができ、とくに生産性を高めることができる。
【0096】
本発明によれば、回転yステージ21の回転と被露光試料1の幾何学的な中心とを合致させることができるので、回転yステージ21を等速で回転させ、原図xステージ24を等速移動して露光すれば、被露光試料1の側表面に原図基板9上のパターン10に精度よく対応したパターン像11を形成することができる。
【0097】
図2は、本発明の投影露光装置の別の実施形態である。図1に示した本発明の投影露光装置の構成に加えて、x方向回りの傾斜角を補正するx傾斜ステージ76を設けた。77はx傾斜ステージ基台、78はx傾斜ステージ駆動用のモータである。
【0098】
円錐面状,鼓面状樽面状瓢箪面状などの側面を持つ被露光試料1のように、その幾何学的な中心軸に対して側表面が傾いている場合、回転yステージ21の回転軸に被露光試料1の幾何学的な中心軸を合致させて取り付けると、投影光学系12の光軸20に対して露光すべき被露光試料1の側表面が傾いてしまう。
【0099】
したがって、被露光試料1の露光すべき側表面のごく一部しか投影光学系12の焦点深度範囲に入らない。そのため、実用的な範囲に露光を施すことができなくなる。
【0100】
被露光試料1の傾斜角を補正するx傾斜ステージ76を設けておけば、該被露光試料1の側表面が投影光学系12の光軸20に垂直になるように姿勢を補正することができる。
【0101】
そのため、被露光試料1の露光すべき側表面のより広い範囲を投影光学系12の焦点深度範囲に入れることができるようになる。
【0102】
たとえば、円錐面状の被露光試料1に対しては円柱面状の被露光試料1の場合とほぼ同程度の広さの側表面範囲を投影光学系12の焦点深度範囲に入れることができる。
【0103】
また、円柱面状など軸方向に一様な断面の被露光試料1の場合でも、被露光試料1の幾何学的な中心軸や側表面が回転yステージ21の回転軸に対して傾いてしまう場合がまま生ずる。被露光試料1の幾何学的な中心軸が回転yステージ21の回転軸に対してx軸回りに傾くと、回転yステージ21により被露光試料を回転させる時、被露光試料1の中心軸は円錐面を描き、被露光試料1の側表面は露光位置でz方向に動いてしまう。
【0104】
本実施形態のようにx傾斜ステージ76を設けておけば、該被露光試料1の側表面が投影光学系12の光軸20に垂直になるように姿勢を補正することができるので、被露光試料1を回転させる時、被露光試料1の露光位置における側表面のz方向の位置を一定にできる。したがって、被露光試料1の側表面のより広い範囲を焦点深度範囲に入れることができる。
【0105】
また、露光領域内で被露光試料1の回転軸からの距離をより一定に近付けられるため、被露光試料1の回転によるピッチのばらつきをより小さくすることができる。
【0106】
被露光試料1を傾けると、x、y方向の位置や投影光学系12に対するz方向の位置がずれるが、被露光試料1の側表面の露光すべき位置が、投影光学系12の結像位置に来るように、回転yステージ21、試料xステージ62、試料yステージ33を駆動してから露光すれば問題ない。
【0107】
なお、以上の図1および図2の説明においては、被露光試料1の幾何学的な中心軸が水平に置かれた装置を例に説明を行っているが、被露光試料1の幾何学的な中心軸を鉛直に保持して横方向から露光するなど、装置の向きが変っても本発明が適用できることは明らかである。
【0108】
また、以上の図1および図2の説明においては、多くのステージをモータまたはその他の手段によって適宜動かすものとして説明したが、装置全体または一部をコンピュータ制御とし、キーボードやタッチパネル等によってステージを動かすようにしたり、プログラムを組んで被露光試料1の側表面の一部または全部を自動的に露光するようにしても良いことは言うまでもない。
【0109】
さらに、被露光試料1の側表面に感光性材料を付して露光し、露光後現像を行うリソグラフィプロセスを想定して説明したが、現像を行わずに露光により感光性材料の性質を変化させることだけが必要な場合や、感熱性材料が見かけ上光に感応するのを利用したい場合などにも本発明の装置が適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の投影露光装置の実施形態
【図2】本発明の投影露光装置の別の実施形態
【図3】ブラインド機構
【図4】投影範囲以外に遮光体を設けた原図基板
【図5】円柱面状の被露光試料の側表面にX線近接露光によりパターンを形成する従来の方法
【図6】レーザ光の走査露光により円柱状の被露光試料の側表面に露光を施す従来の方法
【図7】被露光試料の幾何学的な中心軸と、回転ステージの回転軸とが合致しない場合の不都合を説明する図
【符号の説明】
【0111】
1:被露光試料
4:試料取り付け部品
5:光源
9:原図基板
10:パターン
11:パターン像
12:投影光学系
14:スリット
16:照明範囲
21:回転yステージ
24:原図xステージ
33:試料yステージ
38:原図yステージ
51:位置センサ
52:偏芯修正xステージ
56:偏芯修正yステージ
60:回転zステージ
62:試料xステージ
67:試料zステージ
71:原図zステージ
76:x傾斜ステージ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6