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明細書 :飛翔ロボット

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4521540号 (P4521540)
公開番号 特開2005-349556 (P2005-349556A)
登録日 平成22年6月4日(2010.6.4)
発行日 平成22年8月11日(2010.8.11)
公開日 平成17年12月22日(2005.12.22)
発明の名称または考案の名称 飛翔ロボット
国際特許分類 B25J   5/00        (2006.01)
B25J  13/08        (2006.01)
B64C  27/04        (2006.01)
A63H  27/133       (2006.01)
FI B25J 5/00 E
B25J 13/08 A
B64C 27/04
A63H 27/133 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2004-201188 (P2004-201188)
出願日 平成16年6月11日(2004.6.11)
審査請求日 平成19年5月29日(2007.5.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
発明者または考案者 【氏名】堀内 敏行
【氏名】兒玉 諭
【氏名】近藤 明子
個別代理人の代理人 【識別番号】100083806、【弁理士】、【氏名又は名称】三好 秀和
審査官 【審査官】植村 森平
参考文献・文献 特開2003-118697(JP,A)
特開2003-18665(JP,A)
特開2002-6784(JP,A)
特開昭62-213786(JP,A)
特開平11-59595(JP,A)
特開平9-43753(JP,A)
特開平7-178235(JP,A)
調査した分野 B25J 1/00-21/02
A63H 1/00-37/00
B64C 27/04
特許請求の範囲 【請求項1】
飛翔ロボットの一部または端を認知するためのマーカー物体と、該マーカー物体を含めて前記飛翔ロボットの周囲を観察するカメラとを設け、該マーカー物体の少なくとも一部が前記カメラの視野内に観察景色の前景として入るようになし、前記カメラのモニタ画面に映されるようになしたことを特徴とする飛翔ロボット
【請求項2】
請求項1に示した飛翔ロボットにおいて、マーカー物体を発光体としたことを特徴とする飛翔ロボット
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、人間が入れない狭い場所、異臭、有毒ガス、放射線などの存在が予想され、人間が入ると危害が及ぶことが予想される場所、武器を持つ人がいる場所、などの状況を察知するための飛翔ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
倉庫内の貯蔵品の裏側、タンクや容器の内部、配管群に囲まれた空間などの、人間が入れなかったり、入りにくかったりする狭い空間や、災害により異臭、有毒ガス、放射線などの存在が予想され、人間が入ると危害が及ぶことが予想される場所や、立てこもり犯を包囲した場合など武器や爆薬などを持つ人がいて近付くことが危険な場所、などの様子を観察したり、場合によっては、その場所の状況写真を採取したり、有害物質を検知したりすることを目的とする飛翔ロボットが提案されている(例えば、特許文献1および非特許文献1、2、3参照。)。
【0003】
従来、これらの狭い場所や危険な場所の監視、観察には、固定式の監視カメラや首振り機構付きの監視カメラが使用されていた。
【0004】
しかし、従来の方法では、監視、観察するためのカメラの方向が限定され、観察する方向を変えたり、距離を変えて観察したり、裏側を観察したりすることができなかったりする問題があった。
【0005】
任意の場所を任意の方向から観察したり、裏側もよく観察するためには、空間を自由に移動できる飛翔ロボットがより有効と考えられる。
【0006】
この目的の飛翔ロボットには、空間を自由に移動したり、空中で停止したりする機能が必要であり、人間が入れない場所で使うための物であるから、該飛翔ロボットをそばで人間が見なくても操縦でき、自在に場所や空間姿勢を制御できなければならない。
【0007】
しかし、人間が飛翔ロボットを直接見なくても自在に場所や空間姿勢を制御できる飛翔ロボットはまだ存在しない。
【0008】
模型のラジコンヘリコプターやラジコン飛行機は、一応、位置、姿勢の制御機能を備えており、熟練者が該ラジコンヘリコプターやラジコン飛行機の飛行状況を目前に見ながら操縦すれば、かなりの精度、安定性で位置や姿勢を制御できる。
【0009】
しかし、人間がラジコンヘリコプターやラジコン飛行機を直接見て、機体の細かい動きを観察しながらでないと操縦できず、人間が飛翔ロボットを直接見なくても自在に場所や空間姿勢を制御できる飛翔ロボットの操縦方式はまだ確立されていない。
【0010】
また、非特許文献2には、目的の飛翔ロボットには視覚機能を持たせることが重要である旨の記載があり、操縦者が飛翔ロボットから送られて来るモニタ画面を見ている図が記載されているが、該視覚機能に関しては何ら記載がない。そして、該飛翔ロボットはGPSによって制御されると記載されている。
【0011】
また、目的の飛翔ロボットに視覚機能を与えるためカメラを搭載することは容易に思い付くところであるが、発明者が実験を行った結果によると、非特許文献2に示されるように単純に飛翔ロボットに搭載したカメラの映像をモニタ画面に映して操縦者が見ても、飛翔ロボットの操縦は不可能であることが分かった。
【0012】
発明者が実験を行った結果によると、単純に飛翔ロボットに搭載したカメラの映像をモニタ画面に映して操縦者が見ても、該映像と飛翔ロボットとの相対的な位置関係や該映像と飛翔ロボットとの相対的な運動状況との関係を把握できないため、どのように操縦すれば、映像がどう変わるかという予測が全くできない。
【0013】
そのため、たとえば、モニタ画面上に回避すべき障害物が非常によく見えていてもうまくかわせずにぶつかったり、目標物がよく見えていたのに操舵を誤って目標を見失ったりしてしまう事態となる。

【特許文献1】特願2003-436851
【非特許文献1】精密工学会誌、第66巻、第4号、p.594-600
【非特許文献2】日本機械工学会誌、Vol.106,No.1019,p.16-19
【非特許文献3】機械設計、第48巻、第2号、p.1-4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、人間が直接見なくても周囲の状況を認識でき、自在に場所や空間姿勢を制御できる飛翔ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記の課題を解決するため、飛翔ロボットの一部または端を認知するためのマーカー物体と、該マーカー物体を含めて前記飛翔ロボットの周囲を観察するカメラとを設け、該マーカー物体の少なくとも一部が前記カメラの視野内に観察景色の前景として入るようになし、前記カメラのモニタ画面に映されるようになしたことを特徴とする。
【0016】
さらに、前記のマーカー物体を発光体としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、飛翔ロボットの周囲を映すカメラ映像を、常に該飛翔ロボットの一部または端を認知できるマーカー物体とともに見ながら操縦することができる。このため、自分で自動車に乗ってボンネット越しに前方の景色を見ながら運転する感覚で該飛翔ロボットを操縦することができる。
【0018】
したがって、操縦は容易であり、周囲の様子を見ながら柔軟に飛翔ロボットの位置や姿勢を制御することができる。
【0019】
また、使用目的からして飛翔ロボットに搭載が不可避の観察用カメラを利用して該飛翔ロボットの周囲を把握して位置や姿勢を判断できるため、対物距離センサ、方位角センサ、高さセンサなど、位置、姿勢制御用の別の機器や素子を必ずしも設けなくてもよい。
【0020】
そのため、飛翔ロボットの揚力に余裕が生ずるとともに、消費電力も減るので、同じ電池を用いる時の滞空時間を増すことができる。
【0021】
そして、前記のマーカー物体を飛翔ロボットの端を認知できる場所としておけば、万一操縦を誤ったり、風など吹かれるなどして、飛翔ロボットが急に空中で位置や姿勢を変えて何かにぶつかるとしても、該マーカー物体がまずぶつかるので、飛翔ロボットの回転翼や固定翼が破損して墜落することを防止できる。
【0022】
また、ぶつかる時やぶつかりそうな時に、該マーカー物体がカメラ映像に入っているため、ぶつかるかどうかを判断したり、衝突の状態を監視することができ、あわてずに対処することができる。
【0023】
該マーカー物体を発光体とすれば、暗い場所でも飛翔ロボットの端をより良く認識できるため、衝突を回避し易い。また、衝突時の対処をより適確に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を実施するための最良の形態を図1に基づいて説明する。図1は本発明の飛翔ロボットの実施形態である。
【0025】
飛翔ロボットの基体1は浮揚機構2により空中に浮遊する揚力を得る。図1では浮揚機構2を単数の回転翼として描いてあるが、複数の回転翼でもよい。
【0026】
浮揚機構2は任意であり、気球、気体噴射装置、プロペラと固定翼との組み合わせなど、飛翔ロボットの基体1を空中に浮遊させ得るものであれば任意である。回転翼とこれらのいずれかを組み合わせた浮揚機構2でもよい。
【0027】
飛翔ロボットの基体1には、該飛翔ロボットの前方を監視、観察するカメラ3を取り付ける。そして、該カメラ3の撮影範囲に入るように、該飛翔ロボットの一部または端を示すマーカー物体4を設ける。
【0028】
飛翔ロボットは立体形状であるため、水平方向に該飛翔ロボットが動く時に別の物体に衝突することを回避できるようにマーカー物体4を付けても、上部の浮揚機構2や基体1の下部が物にぶつかることもままある。したがって、該飛翔ロボットの左右端および上下端が判断できるマーカー物体4とすればなおよい。
【0029】
マーカー物体の個数、形状は任意でよい。図1ではマーカー物体4として、該飛翔ロボットの前部上端すなわち浮揚機構2として設けた回転翼の回転範囲のすぐ外側を示すマーカー物体4a、該飛翔ロボットの前下部左右端を示すマーカー物体4b、4cおよび基体1の下端を示すマーカー物体4dとを設けた。
【0030】
5a、5b、5cは、マーカー物体4a、4b、4cを飛翔ロボットの基体1に取り付けるためのマーカー物体支持部品である。
【0031】
マーカー物体4a、4b、4c、4dやマーカー物体支持部品5a、5b、5cは、該飛翔ロボットの脚部や回転翼保護部を兼ねてもよい。
【0032】
たとえば、図3に示すように、円輪状やスカート状の衝突保護具4eを設け、その一部または全部をマーカー物体4としてもよい。5d、5e、5fは、衝突保護具4eの支持部品である。
【0033】
マーカー物体4は、前記カメラ3により観察する環境となるべく異なる色や形状を有し、観察する画像と明瞭に区別できるマーカー物体であることが好ましい。
【0034】
また、カメラ3の視野は人間の視野に近い視野角とすると、カメラ3の映像を見ながら操縦するのに都合が良く、少なくとも110°以上とすることが好ましい。
【0035】
カメラ3の視野を広くするにしたがって一般に撮影した映像の周辺部が歪むが、映像の周辺部が歪んでも、視野角がおおむね180°以下であれば、広い視野とした方が周囲の状況を適確に把握でき、より容易に操縦できるようになる。
【0036】
該飛翔ロボット上の任意の位置に、カメラ映像を該飛翔ロボットの操縦者が居る場所まで送るための映像送信回路を搭載し、カメラ3の映像を操縦者が居る場所のモニタ画面6に映す。7はモニタ装置の本体である。
【0037】
操縦者は、前記のモニタ6の画面に映し出された映像を見ながら、操縦機8を用いて飛翔ロボットを操縦する。
【0038】
操縦するには、該操縦機8のジョイスティック9やスイッチ10などから、浮揚機構2を動かすための信号や該飛翔ロボットの位置や姿勢角を制御するための機構を動かす信号を該飛翔ロボットに適宜送る。
【0039】
該飛翔ロボットの位置や姿勢角を制御するための機構は任意でよい。図1に示したように、浮揚機構2としてヘリコプターと同様に単数の主回転翼を設ける場合には、該主回転翼の回転面が飛翔ロボットの基体1となす角度を制御するか、該飛翔ロボットに搭載した重錘の位置を制御して傾斜角を制御するか、の方策をとれば、前後および左右への移動と傾斜角を制御できる。また、補助回転翼11を設けてその回転数を制御すれば、方位角を制御できる。
【0040】
なお、図1において、12は脚部である。
【0041】
カメラ3からの映像送受信回路、および/または位置や姿勢角の制御信号送受信回路は、飛翔ロボットの機動性を確保する点からすると無線回路であることが好ましい。
【0042】
しかし、飛翔に支障がない細くて軽い通信線を用いれば、該飛翔ロボット上のカメラ3の映像送信回路と、操縦者が居る場所のモニタ画面6やモニタ装置の本体7との間を有線で接続してもよく、前記操縦機7と該飛翔ロボット間も有線で接続してもよい。
【0043】
図2はモニタ画面6に映し出された映像の模式図である。モニタ画面6内に図1に示したマーカー物体4a、4b、4c、4dの映像14a、14b、14c、14dが映り、その奥に該飛翔ロボットの前方の景色が見える状況を示している。
【0044】
図は部屋の隅の狭い空間で液漏れが起きた状況を模しており、床15上の壁16、17、18、19に囲まれた場所で、壁19上の格子20から液体21が漏洩して広がっている状態を示している。
【0045】
マーカー物体4a、4b、4c、4dの映像14a、14b、14c、14dとしては、たとえば図示したように、マーカー物体4a、4b、4c、4dと判別できる程度に該マーカー物体4a、4b、4c、4dの少なくとも一部が映っていればよい。
【0046】
カメラ3を飛翔ロボットの基体1上に固定して用いれば、モニタ画面6にマーカー物体4a、4b、4cの映像14a、14b、14c、14dが映る場所はモニタ画面6上の一定の場所となる。
【0047】
一方、カメラ3に図示していないカメラ姿勢角制御機構を設け、首振り動作ができるようにしてもよい。
【0048】
首振り動作を行っても、モニタ画面6上に少なくとも一部のマーカー物体4が映るようにする。
【0049】
図1に示したカメラ3を左右に首振りする時、たとえば、映像として図4に示すように該マーカー物体14a、14c、14dがモニタ画面6上に残るようにすれば、該マーカー物体14a、14c、14dのモニタ画面6上の位置により、飛翔ロボットに対する景色が見えている方向を容易に判別することができる。
【0050】
同様に、図1に示したカメラ3を上下に首振りする時、たとえば、映像として図5に示すように該マーカー物体14b、14c、14dがモニタ画面6上に残るようにすれば、該マーカー物体14b、14c、14dのモニタ画面6上の位置により、飛翔ロボットに対する景色が見えている方向を容易に判別することができる。
【0051】
首振り動作を行う場合には、マーカー物体4を任意に多数設けておき、そのいずれかがモニタ画面6上に映るようにし、どのマーカー物体がモニタ画面6上に映っているのかが操縦者にすぐに認識できるようにすればなおよい。
【0052】
たとえば、マーカー物体4a、4b、4c、……毎に色を変えたり、形を変えたり、マーカー物体4a、4b、4c、……に番号や記号を付したりしてもよい。
【0053】
以上に説明したようにすれば、常に飛翔ロボットの周囲を映すカメラ3の映像を該飛翔ロボットの一部または端を示すマーカー物体とともに見ながら該飛翔ロボットを操縦するため、自分で自動車に乗ってボンネット越しに前方の景色を見ながら自動車を運転する感覚で該飛翔ロボットを操縦することができる。このため、周囲の様子を見ながら柔軟に飛翔ロボットの位置や姿勢を制御することができ、容易に操縦することができる。
【0054】
したがって、壁11、12、13や床15にぶつからないように、該飛翔ロボットを最適な位置や姿勢にして漏洩液体17の量や溜り方などを観察することができる。
【0055】
カメラ3として飛翔ロボットに搭載が不可避の観察用カメラを利用すれば、対物距離センサ、方位角センサ、高さセンサなど、該カメラが単なる観察用カメラの場合には必要となる位置、姿勢制御のための機器の一部または全部を必ずしも別途設けなくて済む。そのため、飛翔ロボットの揚力に余裕が生ずるとともに、消費電力も減るので、同じ電池を用いる時の滞空時間を増すことができる。
【0056】
そして、万一操縦を誤ったり、風など吹かれるなどして、飛翔ロボットが急に空中で位置や姿勢を変えて何かにぶつかるとしても、前記飛翔ロボットの端を示すマーカー物体がまずぶつかるので、飛翔ロボットの浮揚機構2が破損して墜落するような事態を避けることができる。
【0057】
また、ぶつかる時やぶつかりそうな時に、マーカー物体がカメラ映像に入っているため、ぶつかるかどうかを判断したり、衝突の状態を監視することができ、あわてずに対処することができる。したがって、衝突の回避動作をスムーズにでき、破損も最小限に食い止めることができる。
【0058】
また、要観察場所が暗くて状況を察知しにくい場合があり、その場合には飛翔ロボットから照明光を照射して観察することになる。しかし、飛翔ロボット自体は照明されないので、衝突の危険性が増す。
【0059】
図1または図3における、マーカー物体4a、4b、4c、4d、4eを発光体とすれば、このように要観察場所が暗くて状況を察知しにくい場合に有効である。発光体は発光ダイオード、豆電球、蓄光材料など任意の発光体でよい。
【0060】
暗い場所でマーカー物体を発光体とすれば、背景の景色と分離して認知し易くなる。また、飛翔ロボットの端付近が照明されるので、衝突を回避し易くなる。
【0061】
マーカー物体を発光、非発光に切り替え可能としておき、暗い場所でのみ発光させてもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】 本発明の飛翔ロボットの実施形態
【図2】 本発明の飛翔ロボットを操縦するためのモニタ画面の実施形態
【図3】 本発明の飛翔ロボットの別の実施形態
【図4】 左右にカメラの首を振った時のモニタ画面の実施形態
【図5】 上下にカメラの首を振った時のモニタ画面の実施形態
【符号の説明】
【0063】
1 飛翔ロボットの基体
2 浮揚機構
3 カメラ
4a、4b、4c、4d、4e マーカー物体
6 モニタ画面
8 操縦機
14a、14b、14c、14d マーカー物体の映像
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4