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明細書 :光照射による貴金属担持金属酸化物触媒反応における反応促進方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4456229号 (P4456229)
公開番号 特開2001-334153 (P2001-334153A)
登録日 平成22年2月12日(2010.2.12)
発行日 平成22年4月28日(2010.4.28)
公開日 平成13年12月4日(2001.12.4)
発明の名称または考案の名称 光照射による貴金属担持金属酸化物触媒反応における反応促進方法
国際特許分類 B01J  23/52        (2006.01)
B01J  35/02        (2006.01)
B01J  19/12        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
C01B  31/20        (2006.01)
FI B01J 23/52 M
B01J 35/02 J
B01J 19/12 C
C07B 61/00 300
C01B 31/20 A
請求項の数または発明の数 5
全頁数 7
出願番号 特願2000-158411 (P2000-158411)
出願日 平成12年5月29日(2000.5.29)
審査請求日 平成19年4月17日(2007.4.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301021533
【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】市橋 祐一
【氏名】伊達 正和
【氏名】春田 正毅
個別代理人の代理人 【識別番号】100065215、【弁理士】、【氏名又は名称】三枝 英二
審査官 【審査官】廣野 知子
参考文献・文献 特開平09-003481(JP,A)
特開昭58-152827(JP,A)
特開平08-243390(JP,A)
特開平11-300215(JP,A)
特開平10-146531(JP,A)
調査した分野 B01J 21/00-38/74
特許請求の範囲 【請求項1】
担持金属酸化物触媒を使用する化学反応方法において、触媒に対して光照射をすることにより、熱触媒反応を促進させることを特徴とする方法。
【請求項2】
熱触媒反応がCOのCOへの酸化反応、ホルムアルデヒドのCOへの酸化反応、水素の水への酸化反応、又は、アルカン、アルケン及びアルキンの酸化反応である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
担持金属酸化物におけるが、超微粒子である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
担持金属酸化物において、担体である金属酸化物が、チタン、アルミニウム、珪素、マグネシウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、カドミウム、インジウム、錫、アンチモン、バリウム、ランタン、ハフニウム、タリウム、タングステン、レニウム、リンおよびセリウムからなる群から選択される少なくとも一種を含む酸化物である請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
担持金属酸化物が、金-チタニア、金-アルミナ、金-シリカからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1~4のいずれかに記載の方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光照射による貴金属担持金属酸化物触媒反応における反応促進方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
貴金属担持酸化物触媒は、様々な反応において、熱反応触媒として高活性を示すことが知られている。より高活性な貴金属担持酸化物触媒を得るために、これまでは、担体と担持貴金属の組合せの変更、触媒の調製方法の変更などの手段が採られている。しかしながら、これらの方法では、満足できる結果が得られてない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、貴金属担持金属酸化物触媒反応において、反応を促進させる方法を提供することを主な目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定の光を照射することなどにより、貴金属担持金属酸化物触媒反応において、反応を促進できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明は、下記の方法に係る。
1.貴金属担持金属酸化物触媒を使用する化学反応方法において、触媒に対して光照射をすることにより、反応を促進させることを特徴とする方法。
2.貴金属担持金属酸化物における貴金属が、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウムおよびイリジウムからなる群から選択される少なくとも一種である上記1に記載の方法。
3.貴金属担持金属酸化物における貴金属が、超微粒子である上記1または2に記載の方法。
4.貴金属担持金属酸化物において、担体である金属酸化物が、チタン、アルミニウム、珪素、マグネシウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、カドミウム、インジウム、錫、アンチモン、バリウム、ランタン、ハフニウム、タリウム、タングステン、レニウム、リンおよびセリウムからなる群から選択される少なくとも一種を含む酸化物である上記1~3のいずれかに記載の方法。
5.貴金属担持金属酸化物が、金-チタニア、金-アルミナ、金-シリカ、白金-チタニア、白金-シリカ、白金-アルミナ、銀-チタニア、銀-アルミナおよび銀-シリカからなる群から選択される少なくとも一種である上記1~4のいずれかに記載の方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に係る触媒反応の反応促進方法は、貴金属担持金属酸化物触媒反応に光照射をすることにより、触媒反応を促進させる方法に係る。
【0007】
照射する光の波長は、用いる触媒の種類、適用する反応などに応じて適宜設定することができる。照射する光の波長は、通常1~1000nm程度、好ましくは200~700nm程度である。例えば、COの酸化の場合には、通常約200nm以上、好ましくは200~700nm程度である。例えば、金担持酸化チタン触媒を用いる場合には、通常約200nm以上、好ましくは200~600nm程度である。例えば、金担持アルミナ触媒を用いる場合には、通常約200nm以上、好ましくは200~600nm程度である。
【0008】
本発明方法を適用できる貴金属担持金属酸化物は、特に制限されず、公知の貴金属担持金属酸化物触媒を適用できる。活性金属である貴金属は、特に制限されないが、例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウムなどを例示することができる。これらのなかでは、金が好ましい。活性金属である貴金属は、1種を単独で用いても良いが、2種以上を併用してもよい。
【0009】
貴金属担持金属酸化物触媒に担持されている貴金属粒子の大きさは、特に制限されないが、超微粒子であることが好ましい。貴金属粒子の平均粒子径は、通常約250nm以下、好ましくは1~10nm程度である。なお、金属微粒子の平均粒子径は、透過電子顕微鏡法による測定値とする。
【0010】
貴金属担持金属酸化物触媒における貴金属の担持量は、特に制限されず、貴金属の種類などに応じて適宜設定することができるが、金属酸化物に対して、貴金属単体換算で通常10-3~50重量%程度、好ましくは0.1~10重量%程度である。
【0011】
担体である金属酸化物は、特に制限されず、例えば、チタン、アルミニウム、珪素、マグネシウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、カドミウム、インジウム、錫、アンチモン、バリウム、ランタン、ハフニウム、タリウム、タングステン、レニウム、リン、セリウムなどの少なくとも一種を含む酸化物を例示することができる。担体である金属酸化物は、一種のみを用いてもよく、或いは上記の元素を含む酸化物の混合物であってもよく、或いは複合酸化物であってもよい。複合酸化物としては、例えば、チタニア-シリカ、シリカ-アルミナ、チタニア-アルミナ、シリカ-ジルコニア、シリカ-バナジアなどを例示することができる。
【0012】
これらのなかでは、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化亜鉛、セリア、酸化マンガン、マグネシアなどが好ましく、チタニア、アルミナ、シリカなどが特にこのましい。
【0013】
本発明は、金-チタニア、金-アルミナ、金-シリカ、白金-チタニア、白金-シリカ、白金-アルミナ、銀-チタニア、銀-アルミナ、銀-シリカなどの触媒に好適に適用できる。
【0014】
貴金属担持金属酸化物触媒の比表面積は、特に制限されず、触媒の種類などに応じて適宜設定することができるが、BET法による測定値として、通常5~1000m2/g程度、好まし10~500m2/g程度である。
【0015】
貴金属担持金属酸化物触媒の平均粒径は、特に制限されず、触媒の種類などに応じて、適宜設定することができるが、通常10~1000μm程度、好ましくは100~500μm程度である。この様な触媒は、メッシュを用いて選別する方法などにより得ることができる。
【0016】
貴金属担持金属酸化物触媒は、公知の方法によって調製したものを用いてもよく、市販品を用いても良い。貴金属担持金属酸化物の調製法としては、例えば、共沈法(特開昭60-238148号など参照)、均一析出沈殿法(特開昭62-155937号など参照)、滴下中和沈殿法(特開昭63-252908号など参照)、還元剤添加法(特開昭63-252908号など参照)、pH制御中和沈殿法(特開昭63-252908号など参照)などを例示することができる。上記以外にも、特開平2-252610号、特開平3-97623号、特開平6-16422号、特開平9-122478号などに記載されている調整法を例示できる。
【0017】
本発明の方法を適用できる反応は、熱触媒反応(反応自体が熱反応であって、触媒が熱触媒である反応)であれば、特に制限されない。このような、反応としては、COなどの可燃ガスのCO2への酸化反応、ホルムアルデヒドのCO2への酸化反応、水素の水への酸化反応、アルカンアルケンおよびアルキンの酸化反応などの可燃物の酸化反応などを例示することができる。アルカン・アルケンおよびアルキンの酸化反応における生成物としては、これらに対応するアルコール、アルデヒド、カルボン酸、エポキサイド;CO、CO2などを例示することができる。より具体的には、エチレンのエチレンオキサイドへの酸化、プロピレンのプロピレンオキサイドへの酸化などを例示することができる。
【0018】
本発明方法を適用する場合の反応条件(例えば、反応圧力、反応温度、反応時間、触媒量)などは、特に制限されず、用いる触媒、反応系などに応じて適宜設定することができる。反応条件は、光照射を行わない場合と同様に設定してもよい。
【0019】
本発明に適用する場合において用いる触媒量は、触媒の種類、反応の種類などに応じて適宜設定することができる。例えば、COなどの可燃ガスの酸化反応などの酸化反応においては、触媒中の貴金属の担持量に対して、通常約1000倍mol以下、好ましくは約100倍mol以下の反応原料を酸化することが可能である。或いは、流通式反応装置などを用いる場合には、触媒1gあたり、通常5000~100000ml・h-1程度のガス(このうち反応原料となるガスの割合は0.1~10vol%程度)を流通させることが可能である。流通させるガスに含まれる反応原料以外のガスとしては、Arなどの希ガス、N2などの不活性ガスを例示することができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、光を照射することにより、公知の触媒反応における触媒活性を高めることができる。
【0021】
本発明によれば、光を照射することにより、より穏和な温度・圧力条件下で、高い触媒活性を得ることができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例および比較例を示し、本発明の特徴とするところをより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
実施例1および比較例1
金担持酸化チタン触媒(Au/TiO2)を用いたCOのCO2への酸化反応における光照射の有無による触媒活性の変化を調べた。光照射を行った場合を実施例1とし、光照射を行わなかった場合を比較例1とする。
【0024】
反応条件は、以下の通りである。
・CO量:18μmol
・O2量:18μmol
・触媒量:50mg
・反応圧力:1kPa
・反応温度:5℃
・光源:高圧水銀ランプ(波長:200~500nm)
用いた触媒は、S. Tsubota, D.A.H. Cunningham, Y. Bando and M. haruta, Preparation of Catalysts VI, eds. G. Poncelet et al., 227(Elsevier, Amsterdam, 1995)に記載されている析出沈殿法により調製した。即ち、塩化金酸四水和物(特級、キシダ化学製)0.2gと二酸化チタン(触媒学会参照触媒、JRC-TIO-4、アナターゼ:ルチル=3:1、比表面積約50m2/g)10gとを用い、析出沈殿法により形成された沈殿物を空気中400℃で4時間焼成した。得られた触媒の粒径は、125~212μm程度であり、金微粒子の平均粒径は、約3nmであり、触媒における金の担持量は、酸化チタンに対して、1重量%であった。
【0025】
比較例2
触媒として二酸化チタン(触媒学会参照触媒、JRC-TIO-4、アナターゼ:ルチル=3:1、比表面積約50m2/g)を用いた以外は、比較例1と同様の条件で光照射をせずにCOの酸化反応を行った。
【0026】
比較例3
触媒として二酸化チタン(触媒学会参照触媒、JRC-TIO-4、アナターゼ:ルチル=3:1、比表面積約50m2/g)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で光照射を行いながらCOの酸化反応を行った。
【0027】
実施例1および比較例1~3に記載したCO酸化反応におけるCO転換率の時間依存性を図1に示す。図1から明らかなように、Au/TiO2は、暗所においてもCOの酸化反応において、触媒活性を示すが(比較例1)、光を照射することにより、更に触媒反応が促進された。
【0028】
一方、光触媒であるTiO2は、光照射を行わないと全く反応が進行せず(比較例2)、光照射下において、若干の光酸化触媒活性能を示した(比較例3)。
【0029】
Au/TiO2系における光照射によって触媒活性が促進された程度は、TiO2系における光照射による触媒活性の促進程度に比して、著しく高いものであった。Au/TiO2系において、熱反応下、光照射によって、触媒反応の促進効果が得られたことが明らかである。
【0030】
実施例2および比較例4
金担持アルミナ触媒(Au/Al2O3)のCOのCO2への酸化反応における光照射の有無による触媒活性の変化を調べた。光照射を行った場合を実施例2とし、光照射を行わなかった場合を比較例4とする。
【0031】
反応条件は、以下の通りである。
・CO量:18μmol
・O2量:18μmol
・触媒量:50mg
・反応圧力:1kPa
・反応温度:5℃
・光源:高圧水銀ランプ(波長:200~500nm)
用いた触媒は、S. Tsubota, D.A.H. Cunningham, Y. Bando and M. haruta, Preparation of Catalysts VI, eds. G. Poncelet et al., 227(Elsevier, Amsterdam, 1995)に記載されている析出沈殿法により調製した。即ち、塩化金酸四水和物(特級、キシダ化学製)0.1gと酸化アルミニウム(触媒学会参照触媒、JRC-ALO-7、比表面積約180m2/g)5gとを用い、析出沈殿法により形成された沈殿物を空気中400℃で4時間焼成した。得られた触媒の粒径は、125~212μm程度であり、金微粒子の平均粒径は、約3nmであり、触媒における金の担持量は、アルミナに対して、1重量%であった。
【0032】
実施例2および比較例4に記載したCO酸化反応におけるCO転換率の時間依存性を図2に示す。図2から明らかなように、反応開始後20分間は、実施例2と比較例4とは、ほぼ同等の触媒活性を示した。その後も実施例1では、触媒活性の低下がみられないのに対して、比較例4では、触媒活性の失活がみられた。
【0033】
このことから、光照射により触媒活性の失活が妨げられた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1および比較例1~3に記載したCO酸化反応におけるCO変換率/%の時間依存性を示す図である。
【図2】図2は、実施例2および比較例4に記載したCO酸化反応におけるCO変換率/%の時間依存性を示す図である。
図面
【図1】
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【図2】
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