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明細書 :非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4848496号 (P4848496)
公開番号 特開2002-099008 (P2002-099008A)
登録日 平成23年10月28日(2011.10.28)
発行日 平成23年12月28日(2011.12.28)
公開日 平成14年4月5日(2002.4.5)
発明の名称または考案の名称 非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置
国際特許分類 G02F   1/377       (2006.01)
FI G02F 1/377
請求項の数または発明の数 6
全頁数 10
出願番号 特願2000-292422 (P2000-292422)
出願日 平成12年9月26日(2000.9.26)
審査請求日 平成19年9月25日(2007.9.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】独立行政法人理化学研究所
発明者または考案者 【氏名】石原 照也
個別代理人の代理人 【識別番号】100082876、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 一幸
【識別番号】100082876、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 一幸
【識別番号】100069958、【弁理士】、【氏名又は名称】海津 保三
審査官 【審査官】佐藤 宙子
参考文献・文献 特開平06-194703(JP,A)
Optics Communications,1998年 1月 1日,145,135-140
調査した分野 G02F 1/35
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
励起光の電界方向に非対称な分極率分布を光導波路内に周期配列した非対称分極率分布周期配列光導波路を有し、
上記非対称分極率分布周期配列光導波路は、第一の分極率を有する透明物質からなる非対称レリーフと、この第一の分極率を有する透明物質からなる非対称レリーフ上に積層した第一の分極率と異なる分極率を有する光閉じ込め用の透明物質とから構成され、
所定の波長とTM又はTEの伝搬モードとを有している上記励起光を上記非対称分極率分布周期配列光導波路に入射させ、光第二高調波を発生させることを特徴とする、非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置。
【請求項2】
励起光の電界方向に非対称な分極率分布を光導波路内に周期配列した非対称分極率分布周期配列光導波路を有し、
上記非対称分極率分布周期配列光導波路は、第一の分極率を有する透明物質からなる対称レリーフと、この対称レリーフに非対称に積層した第二の分極率を有する透明物質とから構成され、
所定の波長とTM又はTEの伝搬モードとを有している上記励起光を上記非対称分極率分布周期配列光導波路に入射させ、光第二高調波を発生させることを特徴とする、非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置。
【請求項3】
励起光の電界方向に非対称な分極率分布を光導波路内に周期配列した非対称分極率分布周期配列光導波路を有し、
上記非対称分極率分布周期配列光導波路は、第一の分極率を有する透明物質からなる非対称レリーフと、この非対称レリーフに積層した第二の分極率を有する透明物質とから構成され、
所定の波長とTM又はTEの伝搬モードとを有している上記励起光を上記非対称分極率分布周期配列光導波路に入射させ、光第二高調波を発生させることを特徴とする、非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置。
【請求項4】
前記周期配列の周期は、前記励起光のコヒーレンス長よりも短いことを特徴とする、請求項1~3の何れかに記載の非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置。
【請求項5】
前記周期配列の周期は、この周期をΛ、前記励起光の真空での波長をλ、上記励起光の前記非対称分極率分布周期配列光導波路における屈折率をn、前記第二高調波の上記光導波路における屈折率をn、及びmを正の整数として、
Λ=mλ/(2n-n)であることを特徴とする、請求項1~3の何れかに記載の非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置。
【請求項6】
前記非対称分極率分布周期配列光導波路の表面は、第三の分極率を有する光閉じ込め用の透明物質で覆われていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非対称分極率分布周期配列を有する光導波路による光第二高調波発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光第二高調波発生(SHG)装置は、例えば、赤外レーザー光を青色レーザー光に、あるいは、青色レーザー光を紫外レーザー光に変換する等、入射レーザー光の1/2波長のレーザー光を出力する装置である。既存のレーザーからは直接得られない波長のレーザー光を得ることができ、特定の波長のレーザー光を必要とする化学反応制御、各種の成膜装置、あるいは、レーザーを使用する医療装置等においては、無くてはならない装置である。
従来、光第二高調波の発生は、自然界に存在する電気光学結晶の内、その結晶構造が反転対称性を有しない電気光学結晶、例えば、LiNbO3 単結晶、KTP(KTiOPO4 )単結晶等を用いて行われてきた。
しかしながら、これらの単結晶では、光学非線形性の起源がその結晶構造に由来しているため、より高性能の材料を探索する場合に、対象が極めて限られるという課題があった。
【0003】
また、これらの単結晶を用いた光第二高調波発生では、入射レーザー光、すなわち励起光と、第二高調波の位相速度の違いのために、励起光と第二高調波が結晶を伝搬するにつれ、位相が合わなくなり、第二高調波出力が小さくなると言った問題がある。このため、これらの装置においては、励起光と第二高調波の位相を合わせる手段、すなわち、位相整合手段が不可欠であった。位相整合手段には、使用する電気光学結晶の複屈折を利用したもの、チェレンコフ放射を利用したもの、あるいは、ドメイン反転を利用した擬似位相整合等があった。
しかしながら、これらの位相整合手段は、使用できる単結晶の種類をさらに制限してしまい、あるいは、複雑な装置構成を必要とし、かつ、結晶の光損傷等による特性の劣化があるといった課題があった。
【0004】
このような中で、近年の結晶成長技術や半導体微細加工技術の進歩により半導体量子構造を意のままに製作できるようになった。これに伴い、フォトニック結晶や半導体微小共振器を用いた、輻射場と物質系の相互作用に関する研究が盛んに行われている。これらの研究の成果は基礎物理学の理解に寄与するだけでなく、高性能の光デバイスへの応用も可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題にかんがみ、使用する物質を選ばず、かつ、使用するレーザー波長を選ばずに第二高調波を発生できる非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置は、励起光の電界方向に非対称な分極率分布を光導波路内に周期配列した非対称分極率分布周期配列光導波路を有し、非対称分極率分布周期配列光導波路は、第一の分極率を有する透明物質からなる非対称レリーフと、この第一の分極率を有する透明物質からなる非対称レリーフ上に積層した第一の分極率と異なる分極率を有する光閉じ込め用の透明物質とから構成され、所定の波長とTM又はTEの伝搬モードとを有している励起光を非対称分極率分布周期配列光導波路に入射させ、光第二高調波を発生させることを特徴とする。
本発明の第2の非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置は、励起光の電界方向に非対称な分極率分布を光導波路内に周期配列した非対称分極率分布周期配列光導波路を有し、非対称分極率分布周期配列光導波路は、第一の分極率を有する透明物質からなる対称レリーフと、この対称レリーフに非対称に積層した第二の分極率を有する透明物質とから構成され、所定の波長とTM又はTEの伝搬モードとを有している励起光を非対称分極率分布周期配列光導波路に入射させ、光第二高調波を発生させることを特徴とする。
本発明の第3の非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置は、励起光の電界方向に非対称な分極率分布を光導波路内に周期配列した非対称分極率分布周期配列光導波路を有し、非対称分極率分布周期配列光導波路は、第一の分極率を有する透明物質からなる非対称レリーフと、この非対称レリーフに積層した第二の分極率を有する透明物質とから構成され、所定の波長とTM又はTEの伝搬モードとを有している励起光を非対称分極率分布周期配列光導波路に入射させ、光第二高調波を発生させることを特徴とする。
上記構成において、非対称分極率分布周期配列光導波路の表面は、好ましくは、第三の分極率を有する光閉じ込め用の透明物質で覆われている。
上記構成により、使用する物質を選ばず、かつ、使用するレーザー波長を選ばずに第二高調波を発生できる。非対称分極率分布周期配列光導波路の表面は、光閉じ込め用の透明物質で覆われているので、励起光及び第二高調波の非対称分極率分布周期配列光導波路への閉じ込めが増大し、第二高調波発生の効率が高まる。
【0007】
また、周期配列の周期Λは、励起光のコヒーレンス長よりも短いことを特徴とする。
この構成により、励起光の電界方向に非対称な分極率分布中の電子は、非対称なポテンシャルV(x:位置座標)を感じることができるから第二高調波成分を生成する。
【0010】
また、周期配列の周期Λは、励起波の真空での波長λ0 、励起波の光導波路における屈折率n1 、第二高調波の光導波路における屈折率n2 、及びmを正の整数として、
Λ=m・λ0 /(2n2 -n1 )であることを特徴とする。
この構成により、各々の非対称分極率分布で生成した第二高調波は、位相整合し、光強度を強めあって出力する。
【0011】
さらに、非対称分極分布の表面は、第三の分極率を有する透明物質で覆われていることを特徴とする。
この構成により、励起光及び第二高調波の非対称分極率分布周期配列光導波路への閉じ込めが増大し、第二高調波発生の効率が高まる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図1~図5に基づき、本発明の実施の形態を説明する。なお、実質的に同一な部材には同一の符号を用いて説明する。
図1は、励起光の伝搬モードがTMの場合に使用する本発明の非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置の断面形状を示す模式図である。
図1において、座標軸を励起光1の進行方向にx軸、x軸に垂直でかつ断面に垂直な方向をy軸、及びx軸に垂直でかつ断面に平行な方向をz軸と定義する。
図1(a)は非対称性な形状の物体で形成する非対称分極率分布周期配列光導波路の断面模式図である。図1(a)において、励起光の電界方向に対称性を有さない形状の物体、すなわち非対称形状物体2は、x軸方向に長さΛで周期配列し、y軸方向には同一の断面形状で適宜の長さ広がっている。非対称形状物体2の表面には、分極率の異なる光閉じ込め用の高屈折率の透明物質5を積層する。
非対称形状物体2は、例えば、直角三角形断面形状を有しており、非対称形状物体2と透明物質5で構成される単位周期構造の分極率分布は、TMモードの励起光の電界方向であるx軸に垂直な断面4をミラー面として重ね合わせることができない、すなわち、励起光の電界方向に対称性を有していない。
【0013】
非対称形状物体2は、例えばガラス、又はポリマー等の光損傷に強い非晶質透明物質である基板3の表面を、例えばフォトリソ工程及びエッチング工程を使用して、表面を鋸歯断面形状に加工して形成する。
【0014】
図1(b)は、分極率の異なる物体を非対称に積層して構成する非対称分極率分布周期配列光導波路の断面模式図である。図1(b)において、分極率の異なる物体を非対称に積層して形成する非対称積層物体6は、励起光1の電界方向に対称性を有する形状の物体、すなわち対称形状物体7と、この上面及び右側面に積層した透明物質8とから成る。透明物質8と対称形状物体7の分極率は互いに異なる。非対称積層物体6は、x軸方向に長さΛで周期配列し、y軸方向には同一の断面形状で適宜の長さ広がっている。非対称積層物体6の表面には、対称形状物体7及び透明物質8とは分極率の異なる光閉じ込め用の高屈折率の透明物質5を積層する。
非対称積層物体6と透明物質5で構成される単位周期構造の分極率分布は、TMモードの励起光の電界方向であるx軸に垂直な断面4をミラー面として重ね合わせることができない、すなわち、励起光の電界方向に対称性を有していない。
非対称積層物体6は、例えばガラス、又はポリマー等の光損傷に強い非晶質透明物質である基板3の表面を、例えばフォトリソ工程及びエッチング工程を使用して、矩形断面状に加工して形成し、この表面に、例えば、透明物質8を斜め蒸着して形成する。
【0015】
図1(c)は、非対称形状物体と、この非対称形状物体に分極率の異なる物体を積層して構成した非対称分極率分布周期配列光導波路の断面模式図である。
図1(c)において、非対称形状積層物体9は、非対称形状物体2と、この非対称形状物体2の一部に積層した透明物質10とからなる。非対称形状積層物体9は、x軸方向に長さΛで周期配列し、y軸方向には同一の断面形状で適宜の長さ広がっている。非対称形状積層物体9の表面には、非対称形状物体2及び透明物質10とは分極率の異なる光閉じ込め用の高屈折率の透明物質5を積層する。
非対称形状積層物体9と透明物質5で構成される単位周期構造の分極率分布は、TMモードの励起光の電界方向であるx軸に垂直な断面4をミラー面として重ね合わせることができない、すなわち、励起光の電界方向に対称性を有していない。
非対称形状積層物体9は、図1(a)に示した非対称分極率分布周期配列光導波路と同じ方法で作製した非対称形状物体2の鋸歯状溝の一部に、非対称形状物体2とは屈折率の異なる透明物質10を、例えばスピンコートで埋め込んで形成する。
【0016】
図2は、非対称分極率分布をイオン注入によって形成した非対称分極率分布周期配列光導波路の断面模式図である。
図2(a)は、基板3の表面に原子のイオン注入深さを非対称に制御して形成した非対称分極率分布周期配列光導波路の断面模式図である。
図2(a)において、イオン注入層11は、基板3及び透明物質5とは分極率の異なる原子をイオン注入深さを非対称に制御して形成したものであり、基板3及び透明物質5とは分極率が異なる。透明物質5は、イオン注入層11を形成後に積層する。
この構成の分極率分布は、図1の場合と同様に励起光の電界方向に対称性を有していない。
【0017】
図2(b)は、基板3の表面層12に、表面層12及び透明物質5とは分極率の異なる第一及び第二の原子をイオン注入して形成した非対称分極率分布周期配列光導波路の断面模式図である。第一の原子をイオン注入したイオン注入層13と第二の原子をイオン注入したイオン注入層14は互いに分極率及び長さが異なる。イオン注入層13及び14を形成後、透明物質5を積層する。
この構成の分極率分布は、図1の場合と同様に励起光の電界方向に対称性を有していない。
【0018】
図3は、励起光の伝搬モードがTEの場合に使用する本発明の非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置の断面形状を示す模式図である。
図3(a)は、非対称形状型の非対称分極率分布周期配列光導波路の平面模式図であり、図3(b)は、その断面模式図を示す。図3(a)において、非対称形状物体15は、例えば、y軸の正の領域にしだいに細くなる形状を有しており、TEモードの励起光の電界方向であるy軸に垂直な断面16をミラー面として重ね合わせることができない、すなわち、励起光の電界方向に対称性を有していない。
非対称形状物体15は、基板3及び光閉じ込め用の高屈折率の透明物質5とは分極率の異なる物質で構成し、x軸方向に長さΛで周期配列する。
また、図示しないが、図2に示したように、イオン注入によってこの構成の分極率分布を形成しても良い。
【0019】
次に、本発明の非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置の周期Λについて説明する。
本発明の配列の周期Λは、励起光1と第二高調波が位相整合する長さに形成する。すなわち、周期Λは、励起光1の真空での波長λ0 、励起光1の光導波路における屈折率n1 、第二高調波の上記光導波路における屈折率n2 、及びmを正の整数として、Λ=m・λ0 /(2n2 -n1 )の長さに形成する。
【0020】
次に、本発明の非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置の作用について説明する。
図4は物質中の電子による分極波、すなわち散乱光の波形を示した図である。
図4(a)は、反転対称性を有する物質中での散乱光の波形を示しており、図4(b)は、反転対称性を有しない物質中での散乱光の波形を示している。α,βは、それぞれ、励起光の電界強度、散乱光の電界強度を表す。
物質による散乱光p(t)は、物質の原子の外殻の原子核に弱く結合された価電子が励起光の電界に応じて変位すること、すなわち分極によって生じる。この電子の平行位置からの変位をx、電子密度をN、時間をt、電子電荷をeとすると、散乱光p(t)は、
p(t)=-eNx(t) (1)式
となる。分極率は単位電界当たりのp(t)max で定義される。
反転対称性を有する物質中で、この電子にとってのポテンシャルエネルギーV(x)は、V(x)=V(-x)であるから、A,Bを定数として、
V(x)=Ax2 +Bx4 +・・・ (2)式
のように、xの偶数べきの項だけを含んでいる。電子に働く復元力Fは、
F=-dV/dx=-2Ax-4Bx3 -・・、(d:微分記号)(3)式となり、電子は、+の変位xにおいても-の変位xにおいても、同じ大きさの復元力を受ける。したがって、散乱光p(t)は、図4(a)に示すように、+の変位と-の変位が対称な波形を有している。
【0021】
一方、反転対称性を有しない物質中では、V(x)=V(-x)の条件は成り立たず、V(x)は奇数べきの項を含み、Cを定数として、
V(x)=Ax2 +Cx3 +・・ (4)式
となり、電子に働く復元力F(x)は、xの高次の項を無視すると、
F(x)=-dV/dx=-(2Ax+3Cx2 ) (5)式
となる。したがって、+の変位xに対する復元力と、-の変位xに対する復元力とは大きさが異なり、散乱光p(t)は、図4(b)に示すように、+の変位と-の変位が非対称な波形を有している。
【0022】
図5は、非対称な散乱光をフーリエ解析した結果を示す。
図5(a)は、図4(b)に示した、反転対称性を有しない物質中で生じた非対称な散乱光を示し、図5(b)は、励起光と同じ周波数成分を有する散乱光の基本波成分を示し、図5(c)は、励起光の周波数の2倍の周波数を有する散乱光の第二高調波成分を示す。このように、非対称な散乱光は第二高調波成分を有している。
このように、反転対称性を有しない物質中で、励起光によって励起される散乱光は、非対称波形を有し、従って、第二高調波成分を生成する。
【0023】
励起光の電界方向に非対称な分極率分布中の電子は、分極率分布を形成している空間幅、すなわち分極率分布の寸法が励起光のコヒーレンス長よりも小さければ、非対称な分極率分布形状を反映した非対称なポテンシャルV(x)を感じることができる。
すなわち、図1及び図2に示した非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置に、周期Λより長いコヒーレンス長を有し、かつ、伝搬モードがTMの励起光1を入射させれば、第二高調波成分を生成する。
また、図3に示した非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置に、周期Λより長いコヒーレンス長を有し、かつ、伝搬モードがTEの励起光1を入射させれば、第二高調波成分を生成する。
【0024】
次に、非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置の周期Λの作用について説明する。図1、図2及び図3に示した非対称分極率分布の配列周期Λは、励起光1と第二高調波が位相整合する長さに形成している。
各々の非対称分極率分布で生成する第二高調波が、互いに強度を強め合い、大きな出力として取り出せるためには、励起光1と第二高調波が距離Λ離れた隣り合う周期構造を伝搬したときの励起光1と第二高調波の位相差が、2πの整数倍であればよい。すなわち、励起光1と第二高調波の、伝搬定数、周期構造中での波長、及び振動数を、それぞれ、k1 ,k2 、λ1 ,λ2 、及びν1 ,2ν1 とすると、
2 Λ-k1 Λ=2πm (m:正の整数) (6)式
すなわち、
1/λ2 -1/λ1 =m/Λ (7)式
であればよい。λ1 =c/n1 ν1 、λ2 =c/n2 2ν1 であるから、(7)式の関係は、
2 2ν1 /c-n1 ν1 /c=m/Λ (8)式
となる。この関係から、Λが、
Λ=mc/ν1 (2n2 -n1 )=mλ0 /(2n2 -n1 ) (9)式であれば、励起光1と第二高調波が距離Λ離れた隣り合う周期構造を伝搬したときの励起光1と第二高調波の位相差は、2πの整数倍になり、周期構造で生成する第二高調波が互いに強度を強め合うため、大きな出力として取り出すことができる。
すなわち、図1、図2及び図3で示した非対称分極率分布周期配列光導波路で発生する第二高調波は、互いに位相整合して強度を強め合うので、大きな出力として取り出すことができる。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から理解できるように、本発明の非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置では、非対称分極率分布を光導波路内に周期配列して第二高調波を生成し、また周期配列の周期によって励起光と第二高調波の位相整合を行うので、物質及び入射レーザー光の波長を選ばずに第二高調波を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】励起光の伝搬モードがTMの場合に使用する本発明の非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置の断面形状を示す模式図である。
【図2】非対称分極率分布をイオン注入によって形成した非対称分極率分布周期配列光導波路の断面模式図である。
【図3】励起光の伝搬モードがTEの場合に使用する本発明の非対称分極率分布周期配列型光第二高調波発生装置の断面形状を示す模式図である。
【図4】物質中の電子による散乱光の波形を示した図である。
【図5】非対称な散乱光をフーリエ解析した結果を示す波形図である。
【符号の説明】
1 励起光
2 非対称形状物体
3 基板
4 ミラー面
5 高屈折率透明物質
6 非対称積層物体
7 対称形状物体
8 分極率の異なる透明物質
9 非対称形状積層物体
10 分極率の異なる透明物質
11 イオン注入層
12 表面層
13 イオン注入層
14 イオン注入層
Λ 周期
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4