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明細書 :npタンデム型色素増感太陽電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3997305号 (P3997305)
公開番号 特開2006-147280 (P2006-147280A)
登録日 平成19年8月17日(2007.8.17)
発行日 平成19年10月24日(2007.10.24)
公開日 平成18年6月8日(2006.6.8)
発明の名称または考案の名称 npタンデム型色素増感太陽電池
国際特許分類 H01M  14/00        (2006.01)
H01L  31/04        (2006.01)
FI H01M 14/00 P
H01L 31/04 Z
請求項の数または発明の数 23
全頁数 21
出願番号 特願2004-334447 (P2004-334447)
出願日 平成16年11月18日(2004.11.18)
審査請求日 平成18年10月24日(2006.10.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】鈴木 栄二
【氏名】仲佐 昭彦
【氏名】宇佐美 久尚
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100090170、【弁理士】、【氏名又は名称】横沢 志郎
審査官 【審査官】植前 充司
参考文献・文献 特開2001-053355(JP,A)
色素増感型太陽電池 0.92ボルトの高電圧実現,日経産業新聞,日本,日本経済新聞社,2004年 9月28日,p.13
調査した分野 H01M 14/00
H01L 31/04
特許請求の範囲 【請求項1】
アノード基板、色素増感n型半導体層、電解質層、色素増感p型半導体層、カソード基板がこの順に配置されたnpタンデム型色素増感太陽電池において、
前記アノード基板は、光透過性基板であり、
前記カソード基板は、少なくとも前記色素増感p型半導体層が形成された基板面が、ニッケル、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウムの単体あるいはそれらの合金からなる基板であることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項2】
請求項1において、前記カソード基板は、全体がニッケル、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウムの単体あるいはそれらの合金からなる金属製の基板であることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項3】
請求項1または2において、前記カソード基板は、前記基板面を構成する金属の仕事関数が4.0eV以上、7.0eV以下であることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項4】
請求項1または2において、前記カソード基板は、前記基板面を構成する金属の仕事関数が4.5eV以上、6.0eV以下であることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項5】
請求項1または2において、前記カソード基板は、前記基板面を構成する金属としてニッケルまたは/および白金を含んでいることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記色素増感p型半導体層のp型半導体層が、Ni、Li、Ca、Cu、Co、Fe、I、N、C、S、Al、Ga、Zn、Rh、Sr、In、Be、Ga、P、As、Cr、Sn、Bi、Mo、Si、Geのいずれかを含むp型半導体であることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記色素増感p型半導体層のp型半導体層が、NiO、NiO:Li、NiO:Ca、NiO:Li:Ca、CuO、CuO:Li、CuO:Ca、CuO:Li:Ca、Cu2O、Cu2O:Li、Cu2O:Ca、Cu2O:Li:Ca、CoO、CoO:Li、CoO:Ca、CoO:Li、CoO:Li:Ca、Co34、Co34:Li、Co34:Li:Ca、FeO、FeO:Li、FeO:Ca、FeO:Li:Ca、Fe23、Fe23:Li、Fe23:Li:Ca、CuI、CuSCN、CuAlO2、CuAl22、CuInSe2、CuInS2、CuGaO2、ZnRh24、SrCu22、ZnO:In:N、ZnO:Be:N、GaP、GaAs、GaP、Cr23、SnS、Bi23、MoO2、Si、Geから選ばれる少なくとも1種の半導体であることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記色素増感p型半導体層は、不純物が導入された酸化物半導体層と、該酸化物半導体層に保持された色素とを備えていることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項9】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記色素増感p型半導体層は、n型半導体層に対してp型半導体層が積層された複合型半導体層と、前記p型半導体層に保持された色素とを備えていることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項10】
アノード基板、色素増感n型半導体層、電解質層、色素増感p型半導体層、カソード基板がこの順に配置されたnpタンデム型色素増感太陽電池において、
前記色素増感p型半導体層は、不純物が導入された酸化物半導体層と、該酸化物半導体層に保持された色素とを備えていることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項11】
請求項8または10において、前記色素増感p型半導体層は、前記酸化物半導体層に対して、前記不純物として、リチウムまたは/およびカルシウムが導入されていることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項12】
アノード基板、色素増感n型半導体層、電解質層、色素増感p型半導体層、カソード基板がこの順に配置されたnpタンデム型色素増感太陽電池において、
前記色素増感p型半導体層は、n型の導電層に対してp型半導体層が積層された複合型半導体層と、前記p型半導体層に保持された色素とを備えていることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項13】
請求項10または12において、前記カソード基板は、光透過性基板、または少なくとも前記色素増感p型半導体層が形成された基板面が金属製の基板であることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項14】
請求項9または12において、前記複合型半導体層のn型半導体層として、ITOの微粒子、またはFTOの微粒子が用いられていることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかにおいて、前記色素増感n型半導体層に用いられたnサイドの色素は、前記色素増感p型半導体層に用いられたpサイドの色素と比較して短波長側に吸収帯域を備えていることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項16】
請求項1ないし14のいずれかにおいて、前記色素増感p型半導体層に用いられたpサイドの色素は、p型半導体層と吸着する部位として-NCS、-COOH、-COO-、-SH、-S-、-SO3-、-SO3Hのうちの少なくとも1つを備えていることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれかにおいて、前記色素増感n型半導体層、および前記色素増感p型半導体層の少なくとも一方は、その一部がファイバー構造を備えていることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項18】
請求項1ないし16のいずれかにおいて、前記色素増感n型半導体層、および前記色素増感p型半導体層の少なくとも一方は、その一部がファイバー構造を備え、そのファイバー構造は、微粒子からなることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項19】
請求項1ないし16のいずれかにおいて、前記色素増感p型半導体層の支持体としてカーボンナノファイバーが用いられていることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項20】
請求項19において、前記カーボンナノファイバーには、フッ素がドープされていることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項21】
請求項1ないし16のいずれかにおいて、前記色素増感p型半導体層は、前記色素増感n型半導体層および前記電解質層を透過してきた光を散乱可能な1nm~1000nmの直径を持つ微粒子構造のp型半導体層を備えていることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項22】
請求項1ないし16のいずれかにおいて、前記色素増感p型半導体層は、前記色素増感n型半導体層および前記電解質層を透過してきた光を散乱可能な5nm~500nmの直径を持つ微粒子構造のp型半導体層を備えていることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
【請求項23】
請求項1ないし16のいずれかにおいて、前記色素増感p型半導体層のp型半導体層は、p型半導体微粒子を含有したスラリーを用いて泳動電着法にて形成されてなることを特徴とするnpタンデム型色素増感太陽電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、色素増感を利用したnpタンデム型色素増感太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
npタンデム型色素増感太陽電池は、一般的に、アノード基板、色素増感n型半導体層、電解質層、色素増感p型半導体層、カソード基板がこの順に配置されており、アノード基板およびカソード基板としては、ガラス基板の表面にITOやSnO2:F(FTO層)が形成されたものが使用されている。また、色素増感n型半導体層としては、n型の酸化物半導体層に対して色素が保持されたものが用いられ、色素増感p型半導体層としては、p型の酸化物半導体層に対して色素が保持されたものが用いられている。このようなnpタンデム型色素増感太陽電池は、色素増感n型半導体層および色素増感p型半導体層の双方での光電効果を利用できるので、高い開放電圧を得ることができるという利点がある(例えば非特許文献1、2参照)。

【非特許文献1】Solar Energy Materials & Solar Cells,62,265(2000)
【非特許文献2】Journal of Physical Chemistry B,103,8940(1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、npタンデム型色素増感太陽電池では、色素増感n型半導体層と色素増感p型半導体層が直列に接続されているため、色素増感n型半導体層と色素増感p型半導体層との間で変換効率に大きな差があると、npタンデム型色素増感太陽電池の全体としての変換効率が、変換効率の低い方のレベルで決定されてしまう。ここで、色素増感n型半導体層と色素増感p型半導体層とを比較すると、色素増感p型半導体層の変換効率が低いため、現在は、npタンデム型色素増感太陽電池の全体としての変換効率が、色素増感p型半導体層の変換効率で決定されているのが現状である。
【0004】
そこで、色素増感p型半導体層については、それを構成する半導体層や色素の種類などを検討し、その変換効率の向上について種々の研究が進められているが、未だ、大幅な改善が図られていないのが現状である。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、pサイドの電気的抵抗を低減することにより、pサイドの変換効率を向上させて、太陽電池全体としての変換効率を向上可能なnpタンデム型色素増感太陽電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明者が種々の検討を行った結果、pサイドの寄生抵抗を低減してpサイドの変換効率を向上すれば、npタンデム型色素増感太陽電池の全体としての変換効率を向上できるという知見を得た。本発明は、かかる知見に基づいて達成されたものであり、まず、本発明の第1の形態では、アノード基板、色素増感n型半導体層、電解質層、色素増感p型半導体層、カソード基板がこの順に配置されたnpタンデム型色素増感太陽電池において、前記アノード基板は、光透過性基板であり、前記カソード基板は、少なくとも前記色素増感p型半導体層が形成された基板面が、ニッケル、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウムの単体あるいはそれらの合金からなる基板であることを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記カソード基板は、全体がニッケル、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウムの単体あるいはそれらの合金からなる金属製の基板であることが好ましい。
【0008】
本発明では、nサイドから光を入射させるので、アノード基板については光透過性を備えた基板を用いるが、前記カソード基板については、基板面あるいは全体が金属製の基板を用いることにより、カソード基板の電気的抵抗を低減してある。このため、pサイドの変換効率を向上することができるので、npタンデム型色素増感太陽電池の全体としての変換効率を向上することができる。
【0009】
本発明において、前記カソード基板は、前記基板面を構成する金属の仕事関数が4.0eV以上、7.0eV以下、好ましくは4.5eV以上、6.0eV以下であることが好ましい。
【0010】
本発明において、前記カソード基板は、前記基板面を構成する金属として、例えば、ニッケルまたは/および白金を含んでいる。
【0011】
本発明では、前記色素増感p型半導体層の半導体層が、Ni、Li、Ca、Cu、Co、Fe、I、N、C、S、Al、Ga、Zn、Rh、Sr、In、Be、Ga、P、As、Cr、Sn、Bi、Mo、Si、Geのいずれかを含まれていることが好ましい。
【0012】
また、本発明では、前記色素増感p型半導体層の半導体層が、NiO、NiO:Li、NiO:Ca、NiO:Li:Ca、CuO、CuO:Li、CuO:Ca、CuO:Li:Ca、Cu2O、Cu2O:Li、Cu2O:Ca、Cu2O:Li:Ca、CoO、CoO:Li、CoO:Ca、CoO:Li、CoO:Li:Ca、Co34、Co34:Li、Co34:Li:Ca、FeO、FeO:Li、FeO:Ca、FeO:Li:Ca、Fe23、Fe23:Li、Fe23:Li:Ca、CuI、CuSCN、CuAlO2、CuAl22、CuInSe2、CuInS2、CuGaO2、ZnRh24、SrCu22、ZnO:In:N、ZnO:Be:N、GaP、GaAs、GaP、Cr23、SnS、Bi23、MoO2、Si、Geから選ばれる少なくとも1種の半導体であることが好ましい。
【0013】
本発明の第2の形態では、アノード基板、色素増感n型半導体層、電解質層、色素増感p型半導体層、カソード基板がこの順に配置されたnpタンデム型色素増感太陽電池において、前記色素増感p型半導体層は、不純物が導入された酸化物半導体層と、該酸化物半導体層に保持された色素とを備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明では、色素増感p型半導体層を構成する際、酸化物半導体層に色素を保持させただけでは電気的抵抗が高いので、酸化物半導体層に不純物を導入して、pサイドの電気的抵抗を低減してある。このため、pサイドの変換効率を向上することができるので、npタンデム型色素増感太陽電池の全体としての変換効率を向上することができる。
【0015】
本発明では、酸化物半導体層に導入する不純物として、リチウム(Li)または/およびカルシウム(Ca)が導入されていることが好ましく、このように構成すると、npタンデム型色素増感太陽電池の全体としての変換効率を向上することができる。
【0016】
本発明の第3の形態では、アノード基板、色素増感n型半導体層、電解質層、色素増感p型半導体層、カソード基板がこの順に配置されたnpタンデム型色素増感太陽電池において、前記色素増感p型半導体層は、n型半導体層に対してp型半導体層が積層された複合型半導体層と、前記p型半導体層に保持された色素とを備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明では、色素増感p型半導体層を構成する際、ITOやFTOなどのn型半導体層にp型半導体層を積層した複合型半導体層を用い、この複合型半導体層のうち、p型半導体層の表面に色素を保持させる。すなわち、p型半導体層単体では電気的抵抗が高いので、p型半導体層の下地としてn型半導体層を形成し、pサイドの電気的抵抗を低減する。このため、pサイドの変換効率を向上することができるので、npタンデム型色素増感太陽電池の全体としての変換効率を向上することができる。
【0018】
この場合、前記複合型半導体層のn型半導体層として、ITOの微粒子、またはFTOの微粒子が用いられていることが好ましい。
【0019】
本発明において、第2の形態および第3の形態に係る構成は各々、単独で採用してもよいが、第2の形態および第3の形態に係る構成を第1の形態に係る構成と組み合わせてもよい。第2の形態および第3の形態に係る構成を各々、単独で採用した場合には、前記カソード基板は、光透過性基板、または少なくとも前記色素増感p型半導体層が形成された基板面が金属製の基板のいずれを用いてもよい。
【0020】
さらに、本発明においては、前記色素増感n型半導体層に用いられたnサイドの色素は、前記色素増感p型半導体層に用いられたpサイドの色素と比較して短波長側に吸収帯域を備えていることが好ましい。このように構成すると、色素増感n型半導体層に用いるnサイドの色素、および色素増感p型半導体層に用いるpサイドの色素として各々、ある程度、狭い吸収帯域での吸収効率が求められるだけであり、従来と違って広い吸収帯域を有することが求められない。それ故、nサイドの色素およびpサイドの色素については各々、検討、採用できる色素の種類を広い範囲とすることができるので、npタンデム型色素増感太陽電池の全体としての変換効率を向上することができる。
【0021】
また、本発明においては、色素増感p型半導体層に用いられたpサイドの色素は、p型半導体層と吸着する部位として-NCS、-COOH、-COO-、-SH、-S-、-SO3-、および-SO3Hのうちの少なくとも1つを備えていることが好ましい。
【0022】
また、前記色素増感p型半導体層に吸着させる有機色素としては、例えば、以下の化学式(化1~化27)に示すような有機色素を使用することができる。
【0023】
【化1】
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【0024】
【化2】
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【0025】
【化3】
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【0026】
【化4】
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【0027】
【化5】
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【0028】
【化6】
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【0029】
【化7】
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【0030】
【化8】
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【0031】
【化9】
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【0032】
【化10】
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【0033】
【化11】
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【0034】
【化12】
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【0035】
【化13】
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【0036】
【化14】
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【0037】
【化15】
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【0038】
【化16】
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【0039】
【化17】
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【0040】
【化18】
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【0041】
【化19】
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【0042】
【化20】
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【0043】
【化21】
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【0044】
【化22】
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【0045】
【化23】
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【0046】
【化24】
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【0047】
【化25】
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【0048】
【化26】
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【0049】
【化27】
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【0050】
本発明においては、ナノ技術を適用してもよい。すなわち、前記色素増感n型半導体層、および前記色素増感p型半導体層の少なくとも一方は、その一部がファイバー構造を備えていることが好ましい。また、このファイバー構造が微粒子からなることが好ましい。
【0051】
前記ファイバー構造をゾルゲル法で作製する際に、当該n型無機酸化物半導体および当該p型無機酸化物半導体の液状前駆体に、F127、P123、L122、L121、F108、P105、P104、P103、L101、F98、L92、F88、F87、P85、P84、L81、F77、P75、L72、F68、P65、L64、L63、L62、L61、L44、L43、L42、F38、L35、L31のいずれかのブロックコポリマーからなる非イオン性界面活性剤を添加しておくことが好ましい。
【0052】
本発明において、前記色素増感p型半導体層の支持体としてカーボンナノファイバーが用いられていることが好ましい。この場合、前記カーボンナノファイバーには、フッ素がドープされていることが好ましい。
【0053】
本発明において、前記色素増感p型半導体層は、前記色素増感n型半導体層および前記電解質層を透過してきた光を散乱可能な1nm~1000nmの直径を持つ微粒子構造のp型半導体層、好ましくは、5nm~500nmの直径を持つ微粒子構造のp型半導体層を備えていることが好ましい。このように構成すると、色素増感p型半導体層での光電変換効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明を適用したnpタンデム型色素増感太陽電池では、nサイドから光を入射させるので、アノード基板については光透過性を備えた基板を用いるが、カソード基板については、基板面あるいは全体が金属製の基板を用いることにより、カソード基板の電気的抵抗を低減してある。このため、pサイドの変換効率を向上することができるので、npタンデム型色素増感太陽電池の全体としての変換効率を向上することができる。
【0055】
また、本発明では、p型色素層を透過した光は金属製のカソード基板で反射され、再度、p型色素またはn型色素で吸収されることにより、効率が向上する効果もある。
【0056】
本発明では、不純物が導入された酸化物半導体層を用いて色素増感p型半導体層を構成することにより、pサイドの電気的抵抗を低減するので、pサイドの変換効率を向上することができるので、npタンデム型色素増感太陽電池の全体としての変換効率を向上することができる。
【0057】
本発明では、n型半導体層に対してp型半導体層が積層された複合型半導体層をp型半導体層として用いることにより、pサイドの電気的抵抗を低減するので、pサイドの変換効率を向上することができるので、npタンデム型色素増感太陽電池の全体としての変換効率を向上することができる。また、本発明では、p型色素層を透過した光は金属製のカソード基板で反射され、再度、p型色素またはn型色素で吸収されることにより、効率が向上する効果もある。
【0058】
本発明において、前記色素増感p型半導体層のp型半導体層は、p型半導体微粒子を含有したスラリーを用いて泳動電着法にて形成することができ、この場合には、焼成工程無しで成膜できる。従って、比較的、融点の低い金属表面やフレキシブルなITOフィルム上にも成膜することができる。この方法により、応用範囲を広げることができる効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0060】
[実施の形態1]
図1は、npタンデム型色素増感太陽電池の説明図である。図1に示す色素増感太陽電池1は、npタンデム型色素増感太陽電池であり、アノード基板21、色素増感n型半導体層22、電解質層3、色素増感p型半導体層42、カソード基板41がこの順に配置されている。このため、本形態の色素増感太陽電池1は、n型色素増感太陽電池とp型色素増感太陽電池とが直列に接続された構造になっているため、高い開放電圧を得ることができる。
【0061】
本形態では、アノード基板21の側から太陽光が入射するように構成され、アノード基板21としては、ガラスなどの光透過性基板の表面にITO層やSnO2:F(FTO)層の光透過性導電膜が形成されたものが用いられている。本発明において、光透過性基板は、光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上、さらには透過率が70%以上であることが好ましい。
【0062】
本形態において、色素増感n型半導体層22は、n型半導体層221に色素222が保持された構成になっており、このようなnサイド(n型色素増感太陽電池)は、例えば、以下の方法で形成できる。まず、テトライソプロポキシド:3gをアセチルアセトン:0.53g、2-プロパノール:4gの混合液に添加する。また、P123(3.165g)を2-プロパノール(14g)に添加し、溶解させる。以上の2種の混合液を混合し、攪拌する。次に、HClを0.02g滴下して、最後に超音波処理にて前駆体溶液とする。この前駆体をアノード基板21の表面にキャストし、スピンコートにて膜を作製する。次に、450℃、30分間、電気炉にて焼成し、n型半導体層221を形成する。このとき、雰囲気は大気とする。このような操作を3回繰り返すことにより膜厚を厚くする。なお、P123は、エチレンオキサイドをEOとし、プロピレンオキサイドをPOとしたとき、EO20-PO70-EO20で示されるブロックコポリマーからなる非イオン界面活性剤である。
【0063】
このようにしてTiO2酸化物半導体電極(n型半導体層221)を形成したアノード基板21を、色素222としてのルテニウム錯体(小島化学株式会社製:製品名ルテニウム有機錯体)の脱水エタノール溶液に一昼夜浸漬する。浸漬後、脱水エタノール溶液にてアノード基板21を洗浄し、n型半導体層221表面に吸着した色素以外の余分な色素を取り除き、nサイドを構成する。
【0064】
これに対して、pサイドでは、カソード基板41として金属基板を用いる。すなわち、本形態では、アノード基板21の側から太陽光が入射するので、カソード基板41としては、ニッケル、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の単体あるいは合金からなる金属基板を用いることができる。ここで、カソード基板41は、基板面(色素増感p型半導体層42が形成されている面)を構成する金属の仕事関数が4.0eV以上、7.0eV以下、好ましくは4.5eV以上、6.0eV以下であることが好ましく、例えば、ニッケルあるいは白金からなる。ここで、カソード基板41、少なくとも基板面が金属製であればよく、カソード基板41全体が金属製である構成、カソード基板41の基板面のみが金属製である構成のいずれを採用してもよい。
【0065】
本形態において、色素増感p型半導体層42は、p型半導体層421に色素422が保持された構成になっており、このようなpサイド(p型色素増感太陽電池)は、例えば、以下の方法で形成できる。まず、塩化ニッケル:1gを水:2gに添加し溶解させ、エタノール:4gを添加する。最後にP123:1gを添加し、攪拌する。この前駆体をアノード基板41の表面にキャストし、スピンコート、またはスクイジ法にて膜を作製する。次に、500℃、30分間、電気炉にて焼成し、p型半導体層421を形成する。このような操作を5回繰り返すことにより膜厚を厚くする。
【0066】
このようにしてNiO酸化物半導体電極(p型半導体層421)を形成したアノード基板41を、色素422としてのメロシアニン誘導体(林原生物化学研究所:製品名NK—2684)の脱水エタノール溶液に一昼夜浸漬する。浸漬後、脱水エタノール溶液にてカソード基板41を洗浄し、p型半導体層421表面に吸着した色素以外の余分な色素を取り除き、pサイドを構成する。
【0067】
そして、n型サイドとpサイドとを、I-/I3-、Br-/Br3-等の酸化還元対を有する材料からなる電解質層3を介して積層し、npタンデム型色素増感太陽電池1を構成する。
【0068】
このように構成したnpタンデム型色素増感太陽電池1では、カソード基板41については光透過性が必要としないので、金属基板を使用している。このため、カソード基板41の電気的抵抗が低いので、pサイドの電気的抵抗が低い。それ故、pサイドでの光電変換効率を高めることができるので、npタンデム型色素増感太陽電池1の全体としての変換効率を向上することができる。また、pサイドの色素422の層を透過した光は金属基板からなるカソード基板41で反射され、再度、p型の色素422またはn型の色素222で吸収されることにより、効率が向上する効果もある。
【0069】
なお、pサイドのp型半導体層421については、NiO酸化物半導体電極に限らず、Ni、Li、Ca、Cu、Co、Fe、I、N、C、S、Al、Ga、Zn、Rh、Sr、In、Be、Ga、P、As、Cr、Sn、Bi、Mo、Si、Geのいずれかを含むp型半導体、例えば、NiO:Li、NiO:Ca、NiO:Li:Ca、CuO、CuO:Li、CuO:Ca、CuO:Li:Ca、Cu2O、Cu2O:Li、Cu2O:Ca、Cu2O:Li:Ca、CoO、CoO:Li、CoO:Ca、CoO:Li、CoO:Li:Ca、Co23、Co23:Li、Co23:Li:Ca、FeO、FeO:Li、FeO:Ca、FeO:Li:Ca、Fe24、Fe24:Li、Fe24:Li:Ca、CuI、CuNCS、CuAlO2、CuAl22、CuGaO2、ZnRh24、SrCu22、ZnO:In:N、ZnO:Be:N、GaP、GaAs、GaP、Cr23、SnS、Bi23、MoO2、Si、Geなどを用いたp型半導体を用いてもよい。
【0070】
[実施の形態2]
実施の形態1では、pサイド(p型色素増感太陽電池)を形成する際、NiO酸化物半導体電極に色素を保持させて色素増感p型半導体層42を形成したが、本形態では、NiO酸化物半導体電極を形成した後、NiO酸化物半導体電極にLiイオンをドープしてNiO:Li酸化物半導体電極としたものをp型半導体層421とし、このp型半導体層421に色素422を保持させて色素増感p型半導体層42を形成した。なお、本形態では、実施の形態1と同様、カソード基板41については光過性が必要としないので、少なくとも基板面がニッケルあるいは白金などの金属からなる金属基板を使用している。その他の構成は、実施の形態1と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0071】
このように構成したnpタンデム型色素増感太陽電池1では、実施の形態1と同様、カソード基板41については金属基板を使用しているため、カソード基板41の電気的抵抗が低い。また、色素増感p型半導体層42は、不純物が導入された酸化物半導体層からなるp型半導体層421に色素422を保持させた構成を備えているため、色素増感p型半導体層42の電気的抵抗も低い。それ故、pサイドの電気的抵抗が低いので、pサイドでの光電変換効率を高めることができ、npタンデム型色素増感太陽電池1の全体としての変換効率を向上することができる。
【0072】
なお、色素増感p型半導体層42については、NiO酸化物半導体電極にLiをドープしたNiO:Liの他、CuO:Li、Cu2O:Li、ZnO:In:N、ZnO:Be:Nなどを用いたp型無機酸化物半導体を用いてもよいが、酸化物半導体層に対して、不純物として、Liまたは/およびCaが導入されていることが好ましい。
【0073】
[実施の形態3]
実施の形態1では、pサイド(p型色素増感太陽電池)を形成する際、NiO酸化物半導体電極に色素を保持させて色素増感p型半導体層42を形成したが、本形態では、ITO層やFTO層などといったn型半導体層の表面にNiO酸化物半導体電極などのp型半導体層421を薄く形成した複合半導体層のうち、p型半導体層421の方に色素422を保持させて色素増感p型半導体層42を形成した。また、本形態では、実施の形態1と同様、カソード基板41については光透過性が必要としないので、少なくとも基板面がニッケルあるいは白金などの金属からなる金属基板を使用している。その他の構成は、実施の形態1と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0074】
このように構成したnpタンデム型色素増感太陽電池1では、実施の形態1と同様、カソード基板21については金属基板を使用しているため、カソード基板21の電気的抵抗が低い。また、色素増感p型半導体層42は、ITO層やFTO層などといったn型半導体層の表面に薄いNiO酸化物半導体電極などを積層した半導体電極に色素422を保持させて色素増感p型半導体層422を形成したので、色素増感p型半導体層42の電気的抵抗が低い。それ故、pサイドの電気的抵抗が低いので、pサイドでの光電変換効率を高めることができ、npタンデム型色素増感太陽電池1の全体としての変換効率を向上することができる。
【0075】
ここで、複合型半導体層のn型半導体層としては、ITOの微粒子、またはFTOの微粒子を用いることが好ましい。このような微粒子構造のn型半導体層は、例えば、ゾル-ゲル法、ゲル-ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高温加水分解法、さらには、半導体微粒子と水または各種有機溶媒とを用いた分散液やコロイド液を基板上に塗布する方法により形成することができる。
【0076】
なお、色素増感p型半導体層42には、NiO酸化物半導体電極を用いたが、このような材料に限らず、Ni、Li、Ca、Cu、Co、Fe、I、N、C、S、Al、Ga、Zn、Rh、Sr、In、Be、Ga、P、As、Cr、Sn、Bi、Mo、Si、Geのいずれかを含むp型半導体、例えば、NiO:Li、NiO:Ca、NiO:Li:Ca、CuO、CuO:Li、CuO:Ca、CuO:Li:Ca、Cu2O、Cu2O:Li、Cu2O:Ca、Cu2O:Li:Ca、CoO、CoO:Li、CoO:Ca、CoO:Li、CoO:Li:Ca、Co23、Co23:Li、Co23:Li:Ca、FeO、FeO:Li、FeO:Ca、FeO:Li:Ca、Fe24、Fe24:Li、Fe24:Li:Ca、CuI、CuNCS、CuAlO2、CuAl22、CuGaO2、ZnRh24、SrCu22、ZnO:In:N、ZnO:Be:N、GaP、GaAs、GaP、Cr23、SnS、Bi23、MoO2、Si、Geなどを用いたp型半導体421を用いてもよい。
【0077】
[その他の実施の形態]
上記形態2、3では、カソード基板21として金属基板を用いたが、ガラス基板などの光透過性基板の表面にSnO2:F(FTO層)などが形成されたカソード基板21を用いた場合において、色素増感p型半導体層42の電気的抵抗を低減させるために実施の形態2、3の構成を採用してもよい。
【0078】
また、上記形態において、色素増感n型半導体層22の色素222としてはルテニウム錯体を用い、色素増感p型半導体層42の色素422としてはメロシアニン誘導体を用いたが、その他の色素を用いてもよい。例えば、色素増感n型半導体層22および色素増感p型半導体層42の色素については、有機金属錯体色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、メロシアニン系色素、シアニン系色素などから選択して使用すればよい。
【0079】
ここで、色素増感n型半導体層22に用いる色素222(nサイドの色素)については、色素増感p型半導体層42に用いる色素422(pサイドの色素)と比較して短波長側に吸収帯域を備え、かつ、nサイドの色素222とpサイドの色素422とでは、吸収帯域が重なっていないことが好ましい。このように構成すると、nサイドの色素222については短波長領域の光のみに感度の高い材料を用いればよく、pサイドの色素422については長波長領域の光のみに感度の高い材料を用いればよい。それ故、従来と違って、色素222、422に対しては、吸収帯域が広いことが求められないので、色素に対する選択の自由度が高まるという利点がある。
【0080】
このような色素増感p型半導体層22に用いるpサイドの色素422としては、p型半導体層421と吸着する部位として-NCS、-COOH、-COO-、-SH、-S-、-SO3-、-SO3Hを備えていることが好ましく、このような色素422としては、例えば、前記の化学式(化1~化27)で示される有機色素を用いることができる。
【0081】
また、色素増感n型半導体層22、および/または色素増感p型半導体層42については、その一部がファイバー構造を備えているもの、さらに好ましくは、ファイバー構造が微粒子からなるものを採用すれば、表面積を拡張できるので、光電変換効率を高めることができる。このようなファイバー構造をゾルゲル法で作製する際に、当該n型無機酸化物半導体および当該p型無機酸化物半導体の液状前駆体に、F127、P123、L122、L121、F108、P105、P104、P103、L101、F98、L92、F88、F87、P85、P84、L81、F77、P75、L72、F68、P65、L64、L63、L62、L61、L44、L43、L42、F38、L35、L31のブロックコポリマーからなる非イオン性界面活性剤を添加しておくことが好ましい。
【0082】
また、色素増感p型半導体層42において、例えば、色素増感p型半導体層42に対する支持体としてのナノカーボンファイバー電極の表面に直接、p型半導体層421を形成した構成、あるいはナノカーボンファイバー電極の表面にニッケル、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の単体あるいは合金からなる金属層を薄く形成した後、この金属層の表面にp型半導体層421を形成した構成を採用すれば、pサイドでの光電変換効率を高めることができるので、npタンデム型色素増感太陽電池1の全体としての変換効率をさらに向上することができる。また、カーボンナノファイバーには、フッ素がドープされていることが好ましい。
【0083】
さらに、色素増感p型半導体層42は、色素増感n型半導体層22および電解質層3を透過してきた光を散乱可能な1nm~1000nmの直径を持つ微粒子構造のp型半導体層、好ましくは、5nm~500nmの直径を持つ微粒子構造のp型半導体層を備えていることが好ましい。このように構成すると、色素増感p型半導体層42での光電変換効率を向上させることができる。このような微粒子構造のp型半導体層は、例えば、ゾル-ゲル法、ゲル-ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高温加水分解法、さらには、半導体微粒子と水または各種有機溶媒とを用いた分散液やコロイド液を基板上に塗布する方法により形成することができる。
【0084】
また、色素増感p型半導体層42のp型半導体層421は、p型半導体微粒子を含有したスラリーを用いて泳動電着法にて形成することができ、この場合には、焼成工程無しで成膜できる。従って、比較的、融点の低い金属表面やフレキシブルなITOフィルム上にも成膜することができる。この方法により、応用範囲を広げることができる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】npタンデム型色素増感太陽電池の説明図である。
【符号の説明】
【0086】
1 npタンデム型の色素増感太陽電池
3 電解質層
21 アノード基板
22 色素増感n型半導体層
41 カソード基板
42 色素増感p型半導体層
221 n型半導体層
222、422 色素
421 p型半導体層
図面
【図1】
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