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明細書 :焼酎蒸留粕乾燥固形物を用いたキノコ栽培用培地

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4401275号 (P4401275)
公開番号 特開2006-129767 (P2006-129767A)
登録日 平成21年11月6日(2009.11.6)
発行日 平成22年1月20日(2010.1.20)
公開日 平成18年5月25日(2006.5.25)
発明の名称または考案の名称 焼酎蒸留粕乾燥固形物を用いたキノコ栽培用培地
国際特許分類 A01G   1/04        (2006.01)
FI A01G 1/04 A
請求項の数または発明の数 2
全頁数 5
出願番号 特願2004-322020 (P2004-322020)
出願日 平成16年11月5日(2004.11.5)
審判番号 不服 2007-033536(P2007-033536/J1)
審査請求日 平成16年12月27日(2004.12.27)
審判請求日 平成19年12月13日(2007.12.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
【識別番号】504410686
【氏名又は名称】株式会社植村組
【識別番号】504410697
【氏名又は名称】梅橋 弘之
発明者または考案者 【氏名】山内 正仁
【氏名】今屋 竜一
【氏名】梅橋 弘之
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 貞次
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
参考文献・文献 特開平8-154482(JP,A)
特公平4-4847(JP,B2)
特開平11-75540(JP,A)
特開平11-241080(JP,A)
特開昭63-233722(JP,A)
特開平8-56584(JP,A)
特開平1-196286(JP,A)
特開2001-120057(JP,A)
増田純雄 外4名,「焼酎蒸留粕の地域循環資源化システムに関する研究」,土木学会論文集,No.741,7-28,2003年8月,p.103-110
調査した分野 A01G 1/04
特許請求の範囲 【請求項1】
甘藷焼酎の蒸留粕を乾燥して水分を除いてなる乾燥固形物粉末と、繊維性植物材の砕粒とを含む混合物であって、前記乾燥固形物粉末を40-70重量部となるように混合した混合物を調製し、該混合物に水を加えて所要水分率に調整した、キノコ栽培用培地。
【請求項2】
甘藷焼酎の蒸留粕を乾燥して水分を除いてなる乾燥固形物粉末と、繊維性植物材の砕粒と、炭の粉末とを含む混合物であって、前記乾燥固形物粉末が40-70重量部となるように混合した混合物を調製し、該混合物に水を加えて所要水分率に調整した、キノコ栽培用培地。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本願発明は、カンショ、麦、米等を原料とする焼酎蒸留粕を用いたシイタケ、ヒラタケ、ナメコ、エノキタケ、シメジ等のキノコの栽培用培地に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばカンショを原料とする焼酎蒸留粕を用いたキノコ栽培用培地として、水分率約90~95%のカンショ焼酎蒸留粕原液、又は上記原液を遠心分離法により脱水処理してなる水分率約70~85%の焼酎蒸留粕ペーストに、オガ屑等の植物性吸着材、又はロックウール、パーライト、軽石等の無機吸着材を混合し、水分を40~80%に調整したものを栽培容器に充填して加熱殺菌したものが知られている。
【0003】
しかし、上記の従来培地は、焼酎粕原液が高水分率で高粘性であり、脱水処理しても尚高水分率で、粘性はさらに高いものとなるから、これら焼酎粕に他の成分を混合することは容易でなく、従って得られたキノコ培地に占める焼酎粕固形分の割合は、全乾燥重量で測定してみると8~25%に過ぎないものとなり、これでは、折角の高栄養分を含む焼酎粕がキノコ培地に有効に利用されていない結果となっていた。
【0004】
しかも、得られたキノコ培地は、焼酎粕の高粘性が原因となって他の添加物と十分に混合しにくいために、均質のものが得られないばかりでなく、液分中に含まれるアルコールがキノコ菌の生長に支障を与えるとする報告があり、さらに経済的には、焼酎粕が腐敗し易く、長期保存にコストがかかるため、これを原料としてキノコ培地を低コストで安定的に量産化することが容易でないとする問題も残されていた。

【特許文献1】特公平4-4847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願第1発明は、焼酎蒸留粕のもつ高栄養分を多量に含み且つ均質な培地であって、低コストで量産可能となるキノコ栽培用培地を提供することを課題とする。
【0006】
本願第2発明は、上記第1発明の課題に加え、酸性培地では菌糸の生長に遅れを生じるおそれのあるヒラタケ、ナメコ等の菌種についても、その生長を促進することのできる培地を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題解決の手段として、本願第1発明は、
焼酎蒸留粕を乾燥して水分を除いてなる乾燥固形物と、繊維性植物材の砕粒とを混合すると共に、該混合物に水を加えて所要水分率に調整した、
焼酎蒸留粕を用いたキノコ栽培用培地を提案する。
【0008】
本願第2発明は、
焼酎蒸留粕を乾燥して水分を除いてなる乾燥固形物と、繊維性植物材の砕粒と、炭の粉末とを混合すると共に、該混合物に水を加えて所要水分率に調整した、
焼酎蒸留粕を用いたキノコ栽培用培地を提案する。
【発明の効果】
【0009】
本願第1発明の焼酎蒸留粕を用いたキノコ栽培用培地によれば、焼酎粕乾燥固形物が繊維性植物材砕粒と十分に混合することができるから、培地内に高栄養分の焼酎粕乾燥固形物を豊富に含めることができ、しかも焼酎粕乾燥固形物と繊維性植物材砕粒とが十分に混り合って均質な培地となりうると共に、焼酎粕乾燥固形物にはアルコール分が除かれているから、キノコ菌の安全な生長を保証できるようになり、さらに経済的には、焼酎粕乾燥固形物が腐敗しにくく、長期保存が容易であるから、これを原料として安価なキノコ培地を安定的に量産することが可能となるのである。
【0010】
本願第2発明の焼酎蒸留粕を用いたキノコ栽培用培地によれば、上記第1発明の効果に加え、炭の粉末を加えることにより、培地のPHを1~3上昇させることができるから、酸性培地では菌糸の生長に支障を来すおそれのあるヒラタケ、ナメコ等の菌種についても十分な生長を保証できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本願発明における焼酎粕乾燥固形物を製造する方法としては、焼酎蒸留粕(含水率90~95%)を遠心分離機により固形物と液分に分離し、該固形分(含水率75~85%)をドラムドライヤーにより乾燥する方法、及び焼酎蒸留粕を減圧濃縮装置により乾燥する方法が使用され、いずれの方法によっても水分をほとんど含まない焼酎粕乾燥固形物を得る。
【0012】
本願発明における焼酎粕乾燥固形物は、培地内にできるだけ多量に混合したいが、培地の通気性等を考慮して、好ましくは全重量の40~70部(重量パーセント)使用される。
【0013】
また、本願発明における繊維性植物材には、針葉樹、広葉樹等の木材のオガ屑、木材パルプ、果実パルプ、モミガラ、イナワラ、ムギワラその他種々の繊維性植物材の1種又は複数種が、好ましくは全重量の20~50部(乾物)使用される。これら植物材の砕粒は、培地に保水性を与えると共に、培地内に空隙をつくって通気性を与える。従って砕粒の大きさは、焼酎粕乾燥固形物の性状に応じて選定されるが、好ましくは1~6mm径である。
【0014】
なお、上記針葉樹は、伐採後雨ざらし又は水浸漬を3~6ヶ月行ったものを使用する。針葉樹木材の砕粒は粗いので、培地への通気性付与に有効である。
さらに、本願発明に使用される調整水には、地下水、ミネラル分を含む地下水、温泉水等も使用される。
【0015】
本願第2発明における炭には、木炭、竹炭、ヤシガラ炭その他種々の炭が、好ましくは全重量の2~8部使用される。なお、上記繊維性植物材に針葉樹砕粒を使用した場合、上記炭粉末は、針葉樹に含まれるフェノール類、フェルギノール等の有害物質を吸着する点でも有効である。
【0016】
その他添加物として、貝ガラ、貝化石その他種々のカルシウム材の粉末、チアミンその他必要に応じて適宜のものを適量添加する。
以下本願発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0017】
麦焼酎蒸留粕を減圧濃縮装置により乾燥させて得た焼酎粕乾燥固形物を粉砕機により粉末にする。
麦焼酎粕乾燥固形物粉末 67部 (重量比)
広葉樹木材オガ屑 29
チアミン 0.04部
これらを撹拌機に投入して撹拌し、ついで水を少しづつ加えて含水率が58.1%、PH5.4の培地素材を作る。
上記培地素材をキノコ栽培用袋、びん等の容器に詰め、ついで高圧滅菌釜にて120℃で3時間滅菌処理し、ついで培地の温度を室温まで下げる。含水率55.2%、PH5.6であった。無菌室にて上記培地にブナシメジの種菌を接種し、ついで、21℃の養生室において菌糸を一定期間培養し、ついで18℃程度、湿度80%の部屋に容器を移し、そこで芽だしを行い、子実体(キノコ本体)の形成を行う。
【0018】
上記栽培において、ブナシメジの菌糸の生長は極めて早く、栽培50日目にキノコを収穫できた。
【実施例2】
【0019】
カンショ焼酎粕乾燥固形物粉末 64部 (重量比)
針葉樹木材オガ屑 28部
木炭粉末 4部
貝ガラ粉末 4部
チアミン 0.04部
これらを撹拌し、ついで水を加えて含水率56.5%、PH4.4の培地素材をつくり、これを栽培用容器に詰めて上例と同様に滅菌処理した。含水率53.8%、PH5.58であった。これにヒラタケ種菌を接種し、以下上例と同様に栽培を行った。
【0020】
菌糸の生長は早く、栽培51日目でキノコを収穫できた。
【実施例3】
【0021】
麦焼酎粕乾燥固形物粉末 70部 (重量比)
針葉樹木材オガ屑 30
竹炭粉末 4部
チアミン 0.04部
これらを撹拌し、水を加えて含水率58.0%、PH4.0の培地素材をつくり、これを栽培用容器に詰めて滅菌処理し、含水率50.4%、PH6.3の培地として、これにヒラタケ種菌を接種し、以下上例と同様に栽培を行った。
【0022】
本例では、竹炭粉末を多めに添加し、培地のPHを6.3と上昇させたので、酸性培地では菌糸の生長が遅くなりがちなヒラタケが早い生長を示した。
【実施例4】
【0023】
麦焼酎粕乾燥固形物粉末 40部 (重量比)
針葉樹木材オガ屑 52部
竹炭粉末 4部
貝化石 4部
チアミン 0.04部
これらを撹拌し、水を加えて含水率58.0%、PH4.9の培地素材をつくり、これを容器に詰めて滅菌処理し、含水率56.0%、PH5.7の培地素材とし、これにナメコ種菌を接種し、以下同様に栽培を行う。
【0024】
60日で収穫できた。