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明細書 :クラスレート化合物及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4665156号 (P4665156)
公開番号 特開2006-176360 (P2006-176360A)
登録日 平成23年1月21日(2011.1.21)
発行日 平成23年4月6日(2011.4.6)
公開日 平成18年7月6日(2006.7.6)
発明の名称または考案の名称 クラスレート化合物及びその製造方法
国際特許分類 C01G  30/00        (2006.01)
C01B  33/06        (2006.01)
H01L  35/14        (2006.01)
H01L  35/18        (2006.01)
H01L  35/34        (2006.01)
FI C01G 30/00
C01B 33/06
H01L 35/14
H01L 35/18
H01L 35/34
請求項の数または発明の数 2
全頁数 6
出願番号 特願2004-371428 (P2004-371428)
出願日 平成16年12月22日(2004.12.22)
審査請求日 平成19年8月23日(2007.8.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】小柳 剛
【氏名】岸本 堅剛
審査官 【審査官】横山 敏志
参考文献・文献 特開2001-335309(JP,A)
特開2001-114508(JP,A)
特開2001-270710(JP,A)
特開2002-064227(JP,A)
特開2002-118296(JP,A)
国際公開第99/022410(WO,A1)
栗原 毅 ほか,Snクラスレート化合物の熱電特性(IV),第49回応用物理学関係連合講演会講演予稿集,2002年 3月27日,第1分冊,第217ページ中段
中川 直彦 ほか,Sn1-xGexクラスレート化合物の作製とその熱電特性,第50回応用物理学関係連合講演会講演予稿集,2003年 3月27日,第1分冊,第250ページ下段
T.L. CHU, et al.,Germanium arsenide iodide: A clathrate semiconductor,Journal of Applied Physics,October 1982, Vol.53, No.10,pp.7102-7103
Mikhail M. SHATRUK, et al.,First tin pnictide halides Sn24P19.3I8 and Sn24As19.3I8: Synthesis and the clathrate-I type of the crystal structure,Inorganic Chemistry,1999, Vol.38, No.15,pp.3455-3457
調査した分野 C01G25/00-47/00
C01G49/10
C01B33/06
H01L35/14
H01L35/18
H01L35/34
CAplus(STN)
JSTPlus(JDreamII)
Science Direct
WPI
特許請求の範囲 【請求項1】
下記組成式(1)で表されるクラスレート化合物。
Sn46-X (但し、0<x≦10) (1)
(組成式(1)において、Aは7B族元素、Bはヒ素又はアンチモンを表す。)
【請求項2】
請求項1に記載のクラスレート化合物の製造方法であって、メカニカルアロイングの工程を少なくとも用いるクラスレート化合物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、クラスレート化合物及びクラスレート化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼーベック効果を利用した熱電変換素子は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することを可能とする。その性質を利用し、産業・民生用プロセスや移動体から排出される排熱を有効な電力に変換することができるため、熱電変換素子は、環境問題に配慮した省エネルギー技術として注目されている。
【0003】
ゼーベック効果を利用した熱電変換素子に用いられる熱電変換材料の性能指数ZTは、下記式(A)で表すことができる。
ZT=ασT/κ(A)
ここで、α、σ、κ及びTは、それぞれ、ゼーベック係数、電気伝導度、熱伝導度及び測定温度を表す。
【0004】
上記式(A)から明らかなように、熱電変換素子の性能を向上させるためには、素子に用いられる材料のゼーベック係数、電気伝導度を大きくすること、及び、熱伝導度を小さくすることが重要である。
【0005】
一方、性能指数ZTにおけるZは、有効質量()、移動度(μ)及び熱伝導度(κ)とのに式(B)で表される比例関係を有する。
Z∝m*3/2μ/κ(B)
上記式(B)から、Zを向上させるためには有効質量と移動度とを向上させることが重要であることがわかる。
【0006】
高い性能指数を示す熱電変換材料として、従来から、ビスマス・テルル系材料、シリコン・ゲルマニウム系材料、鉛・テルル系材料などが知られている。さらに、アルミニウムをドープした酸化亜鉛粉を成形、焼成してなる熱電変換材料が知られている(例えば、特許文献1参照。)。

【特許文献1】特開2002-118296号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、熱電変換素子に好適な、新規なクラスレート化合物を提供することを目的とする。さらに本発明は、クラスレート化合物の製造方法及び新規な熱電変換素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、下記組成式で表されるクラスレート化合物である。
【0009】
〈1〉ASn46-x0<x≦10) (1)
(組成式(1)において、Aは7B族元素、Bはヒ素又はアンチモンを表す)
【0010】
2〉上記〈1〉に示したクラスレート化合物の製造方法であって、メカニカルアロイングの工程を少なくとも用いることを特徴とするクラスレート化合物の製造方法である
【発明の効果】
【0011】
発明によれば、優れた熱電特性を発現可能な新規クラスレート化合物及びその製造方法を提供できる
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明は、新規な組成を有するクラスレート化合物及び該クラスレート化合物の新規な製造方法である。
【0013】
以下に順次それらを詳細に説明する。
〈クラスレート化合物〉
本発明のクラスレート化合物1は、下記組成式(1)で表される。
Sn46-x0<x≦10) (1)
(組成式(1)において、Aは7B族元素、Bはヒ素又はアンチモンを表す)。
【0014】
組成式(1)におけるxが上記範囲外であると、クラスレート化合物が金属的な特性を示すようになり、熱電変換素子として適さなくなることがある。クラスレート化合物の原子濃度は約5×1022cm-3である。クラスレート化合物(例えば、ISn46など)の単位格子の構成原子は54個なので、54個中1個がアクセプタ(ドナー)原子であれば、キャリア濃度はおよそ1×1021cm-3となる。x<6、及びx>10の範囲ではキャリア密度が2×1021cm-3よりも大きくなり、金属的な特性を示すようになる。
【0015】
クラスレート化合物1において、xの好ましい範囲は7≦x≦9である。
【0016】
クラスレート化合物1において、Aで表される7B族元素は特に限定されるものではないが、ハロゲン元素であり、好ましくはCl,I,Br,なかでも、特にIが好ましい。
【0017】
Aで表される7B族元素を用いることにより、ゲストサイトを7B族元素で置換することでP型のクラスレート化合物を得ることが可能となる
【0018】
た、Bはヒ素又はアンチモンのいずれかである。すなわち、本発明のクラストレート化合物は、AAsSn46-x又はASbSn46-x(但し、0<x≦10)である。
〈クラスレート化合物の製造方法〉
クラスレート化合物1は、メカニカルアロイングの工程を少なくとも有するクラスレート化合物の製造方法である。しかも、メカニカルアロイングの原料として構成元素を各々単体で用いてもよいし、また、その構成元素同士の化合物を使うこともできる。
【0019】
メカニカルアロイング工程によりクラスレート化合物を合成することにより、従来一般に行われている溶融方法に比べて、極めて容易にクラスレート化合物を生成することが可能である
【0020】
カニカルアロイングの動作時間としては、1h~200hが好ましく、20~100hがさらに好ましい。粉砕容器内のガス雰囲気としては、成分原料が気体元素である場合は、当該気体雰囲気、成分原料が固体の場合には、不活性ガスと水素との混合気体雰囲気であることが好ましい。不活性ガスと水素との混合気体を用いることにより、原材料又は合成物の酸化を防止する効果及び酸化物を還元して除去する効果が得られる。
【0021】
前記不活性ガスとしては、He,Ne,Ar等を用いることができ、これらの中でもArが好ましい。不活性ガス中の水素の含有量としては、5~10%が好ましい。
<熱電変換素子
発明のクラスレート化合物焼結することにより熱電変換素子が得られる。
【0022】
発明のクラスレート化合物の生成は、X線回折により確認することができる。具体的には、焼成後のサンプルがX線回折によりクラスレート相のみを示すものであれば、クラスレート化合物が合成されたことが確認できる。
(実施例)
以下、本発明を、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
〈(Ge38Sb製造〉
Ge38Sbの組成比になるように、8.28グラムのGeと4.02グラムの沃化アンチモンSbIと1.95グラムのSbを秤量した。それぞれは500μm以下に粉砕されている。それをメカニカルアロイング用の容積45ccのステンレス容器に入れた。同時に、直径10mmの窒化珪素のボール11個を入れた。それを10%水素希釈のアルゴン雰囲気中のグローブボックスで蓋を閉めた。それをグローブボックスから取り出し、フリッチュ社製遊星型ボールミル機P-7にセットした。スピード10で100h運転した。その後、粉砕粉を取り出した。このものがクラスレートであることを確認するため、放電プラズマ焼結装置を使って焼結した。焼結条件は、焼結温度600℃、雰囲気アルゴン0.6気圧、焼結保持時間30minとした。この焼結体について、X線回折測定を行い、その回折パターンをシミュレーションした理論値を比較した結果、クラスレート構造のIGe38Sbになっていることを確認した。その回折パターンをシミュレーション結果と合わせて、図1に示す。
【実施例2】
【0024】
〈IGe38Sb製造〉
Ge38Sbの組成比になるように、8.28グラムのGeと3.05グラムのIと2.92グラムのSbを秤量した。それぞれは500μm以下に粉砕されている。それをメカニカルアロイング用の容積45ccのステンレス容器に入れた。同時に、直径10mmの窒化珪素のボール11個を入れた。それを10%水素希釈のアルゴン雰囲気中のグローブボックスで蓋を閉めた。それをグローブボックスから取り出し、フリッチュ社製遊星型ボールミル機P-7にセットした。スピード10で100h運転した。その後、粉砕粉を取り出した。クラスレート化合物の確認のためそれを放電プラズマ焼結装置を使って焼結した。焼結条件は、焼結温度600℃、雰囲気アルゴン0.6気圧、焼結保持時間30minとした。以上の工程により、焼結体を製造した。X線回折測定を行い、その回折パターンをシミュレーションした理論値を比較した結果、クラスレート構造のIGe38Sbになっていることを確認した。その回折パターンをシミュレーション結果と合わせて、図1に示す。
【実施例3】
【0025】
〈IGe38Sb製造〉
Ge38Sbの組成比になるように、7.84グラムのGeと2.92グラムのSbと3.48グラムの沃化ゲルマニウムGeIを秤量した。それぞれは500μm以下に粉砕されている。それをメカニカルアロイング用の容積45ccのステンレス容器に入れた。同時に、直径10mmの窒化珪素のボール11個を入れた。それを10%水素希釈のアルゴン雰囲気中のグローブボックスで蓋を閉めた。それをグローブボックスから取り出し、フリッチュ社製遊星型ボールミル機P-7にセットした。スピード10で100h運転した。その後、粉砕粉を取り出した。クラスレート化合物の確認のためそれを放電プラズマ焼結装置を使って焼結した。焼結条件は、焼結温度600℃、雰囲気アルゴン0.6気圧、焼結保持時間30minとした。以上の工程により、得られた焼結体について、X線回折測定を行い、その回折パターンをシミュレーションした理論値を比較した結果、クラスレート構造のIGe38Sbになっていることを確認した。その回折パターンをシミュレーション結果と合わせて、図1に示す。
【実施例4】
【0026】
〈ISn38Sb製造〉
Sn38Sbの組成比になるように、11.11グラムのSnと2.40グラムのSbと2.50グラムのIを秤量した。それぞれは500μm以下に粉砕されている。それをメカニカルアロイング用の容積45ccのステンレス容器に入れた。同時に、直径10mmの窒化珪素のボール11個を入れた。それを10%水素希釈のアルゴン雰囲気中のグローブボックスで蓋を閉めた。それをグローブボックスから取り出し、フリッチュ社製遊星型ボールミル機P-7にセットした。スピード10で50h運転した。その後、粉砕粉を取り出した。クラスレート化合物の確認のためそれを放電プラズマ焼結装置を使って焼結した。焼結条件は、焼結温度340℃、雰囲気アルゴン0.6気圧、焼結保持時間30minとした。以上の工程により、得られた焼結体について、X線回折測定を行い、その回折パターンをシミュレーションした理論値を比較した結果、クラスレート構造のISn38Sbになっていることを確認した。その回折パターンをシミュレーション結果と合わせて、図2に示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1~3で求められたクラスレート化合物のX線回折パターンを示す図である。
【図2】実施例4で求められたクラスレート化合物のX線回折パターンを示す。
図面
【図1】
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【図2】
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