TOP > 国内特許検索 > 廃棄物の処理方法及び廃棄物処理用吸着材 > 明細書

明細書 :廃棄物の処理方法及び廃棄物処理用吸着材

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4771355号 (P4771355)
公開番号 特開2006-181432 (P2006-181432A)
登録日 平成23年7月1日(2011.7.1)
発行日 平成23年9月14日(2011.9.14)
公開日 平成18年7月13日(2006.7.13)
発明の名称または考案の名称 廃棄物の処理方法及び廃棄物処理用吸着材
国際特許分類 B09B   3/00        (2006.01)
B01J  20/02        (2006.01)
FI B09B 3/00 301M
B09B 3/00 301F
B09B 3/00 301N
B01J 20/02 B
B01J 20/02 ZABA
請求項の数または発明の数 3
全頁数 5
出願番号 特願2004-376229 (P2004-376229)
出願日 平成16年12月27日(2004.12.27)
審査請求日 平成19年10月3日(2007.10.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
【識別番号】000233734
【氏名又は名称】株式会社アステック入江
発明者または考案者 【氏名】野口 文男
【氏名】柿本 幸司
【氏名】橘 武史
【氏名】川田 勝三
【氏名】阪本 尚孝
個別代理人の代理人 【識別番号】100077263、【弁理士】、【氏名又は名称】前田 純博
審査官 【審査官】増田 健司
参考文献・文献 特開平10-137716(JP,A)
特開平08-024819(JP,A)
特開昭61-245885(JP,A)
特開平10-000446(JP,A)
特開2004-292568(JP,A)
特開2004-300421(JP,A)
特開昭62-247882(JP,A)
調査した分野 B09B 3/00
B01J 20/02
特許請求の範囲 【請求項1】
廃棄物に、マグネシウム金属単独、及び/又は、Al、Ca、Zn、Mnの中から選ばれる少なくとも1つとマグネシウムとからなるマグネシウム合金を主成分とする吸着材を、廃棄物に対して0.01~2重量%添加混合し、得られた混合物に水とセメントを添加し、混練した後、固化することを特徴とする廃棄物の処理方法。

【請求項2】
吸着材が、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、又はそれらの混合物からなるマグネシウム塩類を含有することを特徴とする請求項1記載の廃棄物の処理方法。
【請求項3】
マグネシウム金属単独、及び/又は、Al、Ca、Zn、Mnの中から選ばれる少なくとも1つとマグネシウムとからなるマグネシウム合金を主成分とする廃棄物処理用吸着材。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、各種スラッジやダスト等の廃棄物の処理方法と、それに用いる吸着材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種スラッジやダスト等の廃棄物の処理は、多くの産業分野で問題になるものであり、それぞれの産業分野において、色々な処理方法が提案され実用化されているものもある。例えば、製鉄プラントでは、高炉、転炉、電気炉、圧延工程等の鉄鋼製造工程で、酸化鉄や金属鉄の他、亜鉛や鉛等の金属等を含有する泥状の物質であるスラッジが発生する。また、かかる工程で発生する排ガスには、各種金属を含有する微粉末物質であるダストも含まれている。そして、通常、鉄成分は、各種処理を経て再資源化されるが、有害な重金属等を含有する最終廃棄物は、例えば、セメントと混合し、水を加えて混練した後、養生固化して、有害な重金属等の溶出を防ぎ安定化した後、埋立て等で廃棄処分される。
【0003】
しかしながら、単にセメントで固化する従来の処理方法には種々の問題があり、用途を限定しなければ二次公害が発生する恐れがある。例えば、特開平8-24819号(特許文献1)では、還元性金属10~40重量部、固体酸60~90重量部、固結防止剤1~20重量部を主たる構成成分とする処理材を、処理すべき廃棄物や飛灰とともに混合し、必要に応じて水を添加して混練する新しい方法を開示している。しかし、処理剤の成分が複雑で、処理すべき廃棄物に対して必要な処理剤の量が比較的多いという欠点がある。

【特許文献1】特開平8-24819号公報
【0004】
また、メッキ工場では、トタンやブリキといったメッキ鋼板の製造に伴ってスラッジが発生する。現状では、スラッジを焼き固めて、廃棄物として埋め立てられている。かかるメッキスラッジには、亜鉛や錫の他、電極から溶け込んでくる鉛も含まれている。更に、例えば、石炭火力発電で発生する石炭灰は、一部はセメント原料等にリサイクルされているが、大部分は廃棄物として埋め立てられている。石炭灰には、植物起源のホウ素が多量に含まれている。従って、これらの場合には、有害金属の溶出が問題になる場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、有害な金属等を含有するスラッジやダト等の廃棄物を処理するに際し、有害な金属等が溶出し二次公害を起こす恐れがない様な処理方法を提供することにある。

【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち請求項記載の発明は、廃棄物に、マグネシウム又はマグネシウム合金を主成分とする吸着材を添加混合し、得られた混合物に水とセメントを添加し、混練した後、固化することを特徴とする廃棄物の処理方法である。

【0009】
また請求項の発明は、マグネシウム又はマグネシウム合金を主成分とする廃棄物処理用吸着材である。

【発明の効果】
【0010】
本発明の方法は、今後多量の発生が予想されるマグネシウムスクラップの有効利用に活用できる。また、有害な金属等を含有するスラッジやダト等の廃棄物を処理するに際し、従来の各種方法に比べ、有害な金属等が溶出し二次公害を起こす恐れが少ない。

【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、廃棄物に、マグネシウム又はマグネシウム合金を主成分とする吸着材を添加混合し、水とマグネシウムの反応によりマグネシウム表面に生成する水酸化マグネシウムの層に、廃棄物中の有害な金属等を吸着させ、廃棄物から有害金属が溶出しないようにするものである。そして、本発明の対象とする廃棄物とは、有害な金属、例えば、亜鉛、カドミウム、水銀、砒素、鉛、クロム、アルミニウム、スズ、アンチモン、マンガン、ニッケル、コバルトや、その他人体に有害な金属を含有する、各種スラッジ、集塵ダスト、石炭灰、汚染土壌、建築廃棄物等を意味する。
【0012】
添加混合に際しては、予め混合物に水を加えて混練するのが好ましい。この方法によると、水とマグネシウムの反応によりマグネシウム表面に生成する水酸化マグネシウムの層に、有害金属が予め吸着固定されるので、有害金属の溶出がより抑制される。そして、更に、最終処理形態に対応して、必要なら、廃棄物に、マグネシウム又はマグネシウム合金を主成分とする吸着材を添加混合し、得られた混合物に水と公知の水硬性の固化材、あるいは、セメントを添加し、混練して後固化しても良い。なお、請求項1の発明では、特に水を加えることを要件とはしていないが、例えば、単なる混合物を埋立て処理した場合であっても、環境中の水分によって前記と同じ様に、有害金属の吸着固定反応が起こるので、本発明の効果は発現されるのである。
【0013】
本発明において用いられる吸着材は、マグネシウム又はマグネシウム合金を主成分とする材料からなる。マグネシウム合金は、マグネシウム成分を85%以上含有する合金が好ましい。そして、特に、マグネシウムとAl、Ca、Zn、Mnの少なくとも1つとの合金であるものが好ましい。吸着材の添加量は、廃棄物に対して0.01~2重量%、好ましくは、0.1~0.5重量%である。
【0014】
吸着材の形態は特に制限されるものではないが、マグネシウム又はマグネシウム合金の粉末、粒状物、リボン、薄片状の形で、廃棄物に混合して金属を吸着させる。好ましいのは、マグネシウム又はマグネシウム合金の粉末である。
【0015】
本発明においては、廃棄物に、マグネシウム又はマグネシウム合金を主成分とする吸着材を添加する際に、マグネシウムの濃度を高め、水酸化マグネシウムの生成量を高めるために、マグネシウムの塩類を添加しても良い。対象とする金属の種類によっては、塩類の添加が好ましい場合もある。マグネシウム塩類としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、又はそれらの混合物が好ましい。
【0016】
廃棄物に吸着材を添加混合する際の条件は、特に限定されるものではないが、通常は、室温で添加し、公知の各種の手段・方法で、処理系を適当に攪拌するのが好ましい。また、添加する水や、水硬性の固化材や、セメントは対象となる廃棄物の種類によっても大きく異なるが、水硬性の固化材やセメントの量はおよそ5~25重量%、水は5~15重量%ぐらいが適当である。添加混合して、あるいは水と混練し得られた物、更にはセメントを添加して固化された物は、通常の手段・方法に従って、埋立て等の廃棄処分に付される。
【実施例1】
【0017】
電気炉ダスト、RDF(ごみ固形化燃料)燃焼灰、ステンレススラグを対象にした実験を行った。これら各種廃棄物450gに対し、セメント50gと粉状もしくは削り状難燃性マグネシウム5gを添加し、水を50ml添加後混練した。これを7日間室温で放置後、環境庁告示46号法に従って溶出実験を行った。溶出液をICP(誘導結合プラズマ原子発光光度法)で測定し、その結果を表1に示した。なお、表中の単位はmg/Lである。表1において定法とは、金属マグネシウムを添加しないもの、+Mgとは、金属マグネシウムを添加したものの結果である。溶出試験は環境庁告示13号に準拠して行った。
【0018】
【表1】
JP0004771355B2_000002t.gif

【0019】
表1より、電気炉ダスト、RDF燃焼灰、ステンレススラグのいずれにおいても、金属マグネシウムを添加すると、金属の溶出が著しく抑制されていることがわかる。なお、マグネシウムを80%程度含む、マグネシウムとアルミニウム、亜鉛との合金を用いた場合にも、ほぼ類似した結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、今後多量の発生が予想されるマグネシウムスクラップを、有害な金属等を含有するスラッジやダト等の廃棄物処理のために、有効に活用する方法を提供する。