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明細書 :立体画像表示方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4033859号 (P4033859)
公開番号 特開2006-189962 (P2006-189962A)
登録日 平成19年11月2日(2007.11.2)
発行日 平成20年1月16日(2008.1.16)
公開日 平成18年7月20日(2006.7.20)
発明の名称または考案の名称 立体画像表示方法
国際特許分類 G02B  27/22        (2006.01)
G06T  17/40        (2006.01)
G03B  35/04        (2006.01)
G03B  35/18        (2006.01)
G03B  37/00        (2006.01)
G09G   3/02        (2006.01)
H04N  17/04        (2006.01)
FI G02B 27/22
G06T 17/40 A
G03B 35/04
G03B 35/18
G03B 37/00 Z
G09G 3/02 P
G09G 3/02 R
H04N 17/04
請求項の数または発明の数 7
全頁数 12
出願番号 特願2004-381985 (P2004-381985)
出願日 平成16年12月28日(2004.12.28)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成16年6月30日 3次元画像コンファレンス2004実行委員会主催の「3次元画像コンファレンス2004」において文書をもって発表
審査請求日 平成17年1月28日(2005.1.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】▲舘▼ ▲すすむ▼
【氏名】圓道 知博
【氏名】川上 直樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100091443、【弁理士】、【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
審査官 【審査官】河原 正
参考文献・文献 特開2004-177709(JP,A)
日本バーチャルリアリティ学会第9回大会論文集 ,2004年,613-614頁
日本バーチャルリアリティ学会第9回大会論文集 ,2004年,465-468頁
調査した分野 G02B 27/22
G03B 35/04
G03B 35/18
G03B 37/00
G06T 17/40
G09G 3/02
H04N 17/04
特許請求の範囲 【請求項1】
複数の画素が円筒形のディスプレイ面を形成し且つ各画素が水平方向の角度によって異なる色及び明るさの光を出せるように構成されている3次元ディスプレイ装置を用いて、裸眼で視認できる立体画像を前記ディスプレイ面の外側に居る人に提示する立体画像表示方法であって、
前記立体画像として表示する被写体を、1点の被写体中心点を定めてその点を中心として外側から全周にわたって撮影機器で撮影して複数の2次元画像を取得するか、または前記被写体を前記被写体中心点を中心として外側から全周にわたって撮影機器で撮影して得ることができる複数の2次元画像と同等の複数の2次元疑似画像をコンピュータグラフィックス技術を用いて作成してこれを前記複数の2次元画像として取得する第1のステップと、
前記複数の2次元画像から1つの2次元画像を選択し、また選択した前記1つの2次元画像に対応する視点位置から見ることができる1つの前記画素を前記複数の画素の中から選択する第2のステップと、
選択した前記1つの2次元画像を貼り付けた仮想面を想定し、前記1つの2次元画像中における前記被写体中心点に対応する画像中心点が前記円筒形のディスプレイ面の中心と一致し、かつ前記視点位置と前記ディスプレイ面の円筒中心とを結んだ直線が前記仮想面となす角度が前記被写体中心点と前記撮影機器のレンズ主点とを結んだ直線と前記撮影機器の撮像面がなす角度と一致するように前記仮想面を配置する第3のステップと、
前記視点位置から選択した前記1つの画素を通って前記仮想面まで延びる仮想延長線を想定する第4のステップと、
前記仮想延長線と前記仮想面とが交わる交点に対応する前記仮想面に貼り付けたものと想定した前記2次元画像上の色に基づいて、前記1つの画素から前記視点位置に向かう方向の前記1つの画素の表示色を決定する第5のステップと、
前記視点位置から見える前記複数の画素について前記第2乃至第5のステップを実行して前記複数の画素についての表示色を決定する第6のステップと、
前記複数の2次元画像の全てについて、前記第2乃至第6のステップを実行する第7のステップと、
前記複数の画素が、前記複数の2次元画像に対応する前記複数の視点位置からそれぞれ前記ディスプレイ面を見たときに、第1乃至第7のステップにより決定された前記表示色になるように、前記複数の画素が出す光の色を前記光が出る水平方向の角度に応じて変えるように前記3次元ディスプレイ装置を制御する第8のステップとからなる立体画像表示方法。
【請求項2】
前記第5のステップでは、前記仮想延長線と前記仮想面とが交わる交点に対応する前記仮想面に貼り付けたものと想定した前記2次元画像上の色と、前記交点の周囲にある複数の点に対応する前記仮想面に貼り付けたものと想定した前記2次元画像上の複数の色とに基づいて、前記交点と前記複数の点との距離に応じた重み付き平均演算処理を行って前記1つの画素の表示色を決定することを特徴とする立体画像表示方法。
【請求項3】
前記3次元ディスプレイ装置は、
複数の発光素子が縦に列を成すように配置されてなる一次元発光素子列が、周方向に所定の間隔をあけて複数配置されて構成された発光素子列構造体と、
前記発光素子列構造体の外側に配置され、複数のスリットが周方向に所定の間隔をあけて配置された構造を作るために、複数の遮光部が周方向に所定の間隔をあけて配置されてなる遮光部構造体とを備え、
前記発光素子列構造体と前記遮光部構造体とを、相反する方向に回転させ且つ複数の前記一次元発光素子列に含まれる前記複数の発光素子の発光を制御することにより、前記発光素子列構造体と前記遮光部構造体との間の空間に複数の画素から構成される前記ディスプレイ面を形成するように構成されている請求項1または2に記載の立体画像表示方法。
【請求項4】
前記第1のステップの実行と前記第2乃至第7のステップの実行とをリアルタイムで行うことを特徴とする請求項1または2に記載の立体画像表示方法。
【請求項5】
前記2次元画像の結像面が曲面等のように単一平面ではない面形状のときには、前記仮想面を前記結像面と同じ面形状にする請求項1に記載の立体画像表示方法。
【請求項6】
複数の発光素子が縦に列を成すように配置されてなる一次元発光素子列が、周方向に所定の間隔をあけて複数配置されて構成された発光素子列構造体と、
前記発光素子列構造体の外側に配置され、複数のスリットが周方向に所定の間隔をあけて配置された構造を作るために、複数の遮光部が周方向に所定の間隔をあけて配置されてなる遮光部構造体とを備え、
前記発光素子列構造体と前記遮光部構造体とを、互いに一定の速度比を保って回転させ且つ複数の前記一次元発光素子列に含まれる前記複数の発光素子の発光を制御することにより、複数の画素からなる円筒形のディスプレイ面を形成する3次元ディスプレイ装置を用いて、裸眼で視認できる立体画像を前記外側に居る人に提示する立体画像表示方法であって、
前記立体画像として表示する被写体を、点の被写体中心点を定めてその点を中心として外側から全周にわたって撮影機器で撮影して複数の2次元画像を取得するか、または前記被写体を前記被写体中心点を中心として外側から全周にわたって撮影機器で撮影して得ることができる複数の2次元画像と同等の複数の2次元疑似画像をコンピュータグラフィックス技術を用いて作成してこれを前記複数の2次元画像として取得する第1のステップと、
前記複数の2次元画像から1つの2次元画像を選択し、また選択した前記次元画像に対応する視点位置から見ることができる1つの前記画素を前記複数の画素の中から選択する第2のステップと、
選択した前記1つの2次元画像を貼り付けた仮想面を想定し、前記1つの2次元画像中における前記被写体中心点に対応する画像中心点が前記円筒形のディスプレイ面の中心と一致し、かつ前記視点位置と前記ディスプレイ面の円筒中心とを結んだ直線が前記仮想面となす角度が前記被写体中心点と前記撮影機器のレンズ主点とを結んだ直線と前記撮影機器の撮像面がなす角度と一致するように前記仮想面を配置する第3のステップと、
前記視点位置から選択した前記1つの画素を通って前記仮想面まで延びる仮想延長線を想定する第4のステップと、
前記仮想延長線と前記仮想面とが交わる交点に対応する前記仮想面に貼り付けたものと想定した前記2次元画像上の色に基づいて、前記1つの画素から前記視点位置に向かう方向の前記1つの画素の表示色を決定する第5のステップと、
前記視点位置から見える前記複数の画素について前記第2乃至第5のステップを実行して前記複数の画素についての表示色を決定する第6のステップと、
前記複数の2次元画像の全てについて、前記第2乃至第6のステップを実行する第7のステップと、
前記複数の画素が、前記複数の2次元画像に対応する前記複数の視点位置からそれぞれ前記ディスプレイ面を見たときに、第1乃至第7のステップにより決定された前記表示色になるように、前記複数の画素が出す光の色を前記光が出る水平方向の角度に応じて変えるように前記3次元ディスプレイ装置を制御する第8のステップとからなる立体画像表示方法。
【請求項7】
複数の発光素子が円筒面上に二次元に配置されてなる発光素子列構造体と、
前記発光素子列構造体の外側に配置され、複数のスリットが周方向に所定の間隔をあけて配置された構造を作るために、複数の遮光部が周方向に所定の間隔をあけて配置されてなる遮光部構造体とを備え、
前記遮光部構造体を回転させ且つ複数の前記発光素子列構造体に含まれる前記複数の発光素子の発光を制御することにより、複数の画素からなる円筒形のディスプレイ面を形成する3次元ディスプレイ装置を用いて、裸眼で視認できる立体画像を前記外側に居る人に提示する立体画像表示方法であって、
前記立体画像として表示する被写体を、点の被写体中心点を定めてその点を中心として外側から全周にわたって撮影機器で撮影して複数の2次元画像を取得するか、または前記被写体を前記被写体中心点を中心として外側から全周にわたって撮影機器で撮影して得ることができる複数の2次元画像と同等の複数の2次元疑似画像をコンピュータグラフィックス技術を用いて作成してこれを前記複数の2次元画像として取得する第1のステップと、
前記複数の2次元画像から1つの2次元画像を選択し、また選択した前記次元画像に対応する視点位置から見ることができる1つの前記画素を前記複数の画素の中から選択する第2のステップと、
選択した前記1つの2次元画像を貼り付けた仮想面を想定し、前記1つの2次元画像中における前記被写体中心点に対応する画像中心点が前記円筒形のディスプレイ面の中心と一致し、かつ前記視点位置と前記ディスプレイ面の円筒中心とを結んだ直線が前記仮想面となす角度が前記被写体中心点と前記撮影機器のレンズ主点とを結んだ直線と前記撮影機器の撮像面がなす角度と一致するように前記仮想面を配置する第3のステップと、
前記視点位置から選択した前記1つの画素を通って前記仮想面まで延びる仮想延長線を想定する第4のステップと、
前記仮想延長線と前記仮想面とが交わる交点に対応する前記仮想面に貼り付けたものと想定した前記2次元画像上の色に基づいて、前記1つの画素から前記視点位置に向かう方向の前記1つの画素の表示色を決定する第5のステップと、
前記視点位置から見える前記複数の画素について前記第2乃至第5のステップを実行して前記複数の画素についての表示色を決定する第6のステップと、
前記複数の2次元画像の全てについて、前記第2乃至第6のステップを実行する第7のステップと、
前記複数の画素が、前記複数の2次元画像に対応する前記複数の視点位置からそれぞれ前記ディスプレイ面を見たときに、第1乃至第7のステップにより決定された前記表示色になるように、前記複数の画素が出す光の色を前記光が出る水平方向の角度に応じて変えるように前記3次元ディスプレイ装置を制御する第8のステップとからなる立体画像表示方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視用メガネの装着が不要な立体画像表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明者等は、マルチプレックスホログラムのように、裸眼で多人数が同時に360度全周から観察できる3次元ディスプレイ装置の一つとして、高速変調可能な1次元のLED等の発光素子を鉛直方向に一列に並べた1次元の光源アレイを円筒形のパララクスバリアの内側で回転させる構造の3次元ディスプレイ装置を提案している[非特許文献1,2及び3]。この装置は、光源アレイと逆方向に円筒パララクスバリアを回転させることによって従来技術に比して細かい視差間隔で画像を表示できるという特長を有している。そして本発明の実施で使用する3次元ディスプレイ装置については、この装置を用いて実際に立体像を表示し全周から観察できることが確認されている(非特許文献4)
さらに特開2003-195214号公報[特許文献1]にも周回走査される発光アレイとパララクスバリアを用いた立体表示装置が提案されている。
【0003】
また特開平10-97013号公報[特許文献2]には、複数の画素が円筒形のディスプレイ面を形成し且つ各画素が水平方向の角度によって異なる色及び明るさの光を出せるように構成されている3次元ディスプレイ装置を用いて、裸眼で視認できる立体画像をディスプレイ面の外側に居る人に提示する立体画像表示装置の他の例が示されている。

【非特許文献1】圓道知博、佐藤誠著「1次元光源列の回転操作による全周リアルタイム3次元ディスプレイ」、映像情報メディア学会誌、Vol.53.No.3,pp.399~404,(1999)
【非特許文献2】圓道知博、梶木善裕、本田捷夫、佐藤誠著の「全周型3次元動画ディスプレイ」3次元画像コンファレンス’99論文集,pp.99~104 (1999)
【非特許文献3】圓道知博、梶木善裕、本田捷夫、佐藤誠著の「全周型3次元ディスプレイ」、電子情報通信学会論文誌D-II Vol.J84-D-II No.6.pp1003-1011,(2001)
【非特許文献4】圓道知博,本田捷夫著の「全周型3次元ディスプレイカラー動画像表示システム」、3次元画像コンファレンス2002論文集,pp.89-92(2002)
【特許文献1】特開2003-195214号公報(出願人:セイコーエプソン株式会社)
【特許文献2】特開平10-97013号公報(出願人:双葉電子工業株式会社)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の3次元ディスプレイ装置では、各画素が出す光を水平方向の角度によって独立に色と明るさを制御することによって立体画像の表示を行う。したがって3次元ディスプレイ装置に与えるデータは、画素の位置を特定する2つのパラメータに光を出す水平方向の角度のパラメータを加えた3つのパラメータに対して光の色と明るさを定める3次元のデータである。目的とする画像の表示を実現するためにこの形式のデータを生成することをここではレンダリングと呼ぶこととする。
【0005】
従来は、CG画像のみを表示させており、計算機内の立体モデルから直接レンダリングを行う、いわばモデルベースレンダリングによって立体表示を行っていた。その方法は図1に示すように、画面101上の各画素102,103・・・からの光線を、表示すべき立体画像の物体104~106から逆方向にトレースする方法で光線の色を決定し、前述の3次元データを生成していた。この方法は、物体からの光線を再現するという考え方において最も理解しやすい方法であると思われる。しかしながら従来の方法では、計算機内の立体モデルからオフラインで生成したデータの表示のみ行っており、人物等の実写画像の表示は実現できなかった。
【0006】
本発明の目的は、実写画像及び実写模擬画像の立体表示を行うことができる立体画像表示方法を提供することにある。
【0007】
また本発明の他の目的は、実写画像及び実写模擬画像の実時間表示に対応できる立体画像表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実写画像を扱う場合、画像情報のソースは視差を持った複数の2次元画像(視差画像とも言う)である。これを立体画像として表示する場合には、視点の位置に応じて複数の2次元画像の1つが選択的に見える状態を実現する必要がある。これは従来のレンティキュラ方式等の多眼式立体画像の考えと同じである。
【0009】
本発明の立体画像表示方法では、複数の画素が円筒形のディスプレイ面を形成し且つ各画素が水平方向の角度によって異なる色及び明るさの光を出せるように構成されている3次元ディスプレイ装置を用いて、裸眼で視認できる立体画像をディスプレイ面の外側に居る人に提示する。このような3次元ディスプレイ装置としては、例えば、発明者等が開発した前述の3次元ディスプレイ装置を用いることができる。この発明者等が開発した3次元ディスプレイ装置は、複数の発光素子が縦に列を成すように配置されてなる一次元発光素子列が、周方向に所定の間隔をあけて複数配置されて構成された発光素子列構造体と、発光素子列構造体の外側に配置されて、複数のスリットが周方向に間隔をあけて形成された構造を作るために、遮光部が周方向に所定の間隔をあけて配置されてなる遮光部構造体とを備えている。そして発光素子列構造体の回転速度が遮光部構造体の回転速度よりも遅くなる条件の下で、発光素子列構造体と遮光部構造体とを、相反する方向に回転させ且つ複数の一次元発光素子列に含まれる複数の発光素子の発光タイミングを制御することにより、発光素子列構造体と遮光部構造体との間の空間に複数の画素を形成する。これら複数の画素からの光で、裸眼で視認できる立体画像を外側に居る人に提示する。なお原理的には、発光素子列構造体と遮光部構造体とを同じ方向に回転させてもよい。発光素子列構造体と遮光部構造体と回転させる場合には、互いに一定の速度比を保って回転させればよい。また複数の一次元発光素子列から構成された発光素子列構造体の代わりに、複数の発光素子が円筒面上に次元に配置されてなる発光素子列構造体を用いる場合には、発光素子列構造体を固定し、遮光部構造体を回転させるようにしてもよい。
【0010】
本発明の方法は、上記の3次元ディスプレイ装置だけでなく、特開平10-097013号等の公知の他の3次元ディスプレイ装置を用いる場合にも当然にして適用できる。
【0011】
本発明の方法では、まず立体画像として表示する被写体を、点の被写体中心点を定めてその点を中心として外側から全周にわたって撮影機器で撮影して複数の2次元画像を取得するか、または被写体を被写体中心点を中心として外側から全周にわたって撮影機器で撮影して得ることができる複数の2次元画像と同等の複数の2次元疑似画像をコンピュータグラフィックス技術を用いて作成してこれを複数の2次元画像として取得する(第1のステップ)。取得した複数の2次元画像は、データ処理が後で行われる場合には、メモリに保存され、データがリアルタイムで処理されるときには、メモリに保存しなくてもよい。ここで被写体中心点は、例えば、ある被写体をその外側から全周にわたって等しい距離から撮影機器で撮影する場合における、被写体側の距離測定のための一方の起点である。
【0012】
次に、複数の2次元画像から1つの2次元画像を選択する。そして選択した2次元画像に対応する視点位置から見ることができる1つの画素を複数の画素の中から選択する(第2のステップ)。ここで視点位置とは、被写体中心点をディスプレイ面の円筒中心に対応させた場合における、選択した2次元画像を撮影した撮影機器(カメラ)のレンズ主点に対応する位置である。
【0013】
そして選択した1つの2次元画像を貼り付けた仮想面を想定し、2次元画像中における被写体中心点に対応する画像中心点が円筒形のディスプレイ面の中心と一致し、かつ視点位置とディスプレイ面の円筒中心とを結んだ直線が仮想面となす角度が被写体中心点と撮影機器(カメラ)のレンズ主点とを結んだ直線と撮影機器(カメラ)の撮像面がなす角度と一致するように仮想面を配置する(第3のステップ)。ここで画像中心点とは、被写体中心点が2次元画像上に写っている点である。
【0014】
その次に、視点位置から前記選択した1つの画素を通って仮想面まで延びる仮想延長線を想定する(第4のステップ)。この仮想延長線と仮想面とが交わる交点に対応する、仮想面に貼り付けたものと想定した2次元画像上の色に基づいて、この1つの画素から視点位置に向かう方向の1つの画素の表示色を決定する(第5のステップ)。最も単純には、前述の交点に対応する仮想面に貼り付けたものと想定した2次元画像上の色を、1つの画素から視点位置に向かう方向の1つの画素の表示色として決定すればよい。しかしながら仮想面に貼り付けたものと想定した次元画像に、ディスプレイ装置が表示可能な最大の空間周波数より高い成分が含まれる場合に発生するエイリアシングを防止するためには、仮想延長線と仮想面とが交わる交点に対応する仮想面に貼り付けたものと想定した2次元画像上の色と、前記交点の周囲にある複数の点に対応する、仮想面に貼り付けたものと想定した2次元画像上の複数の色とに基づいて、前記交点と前記複数の点との距離に応じた重み付き平均演算処理を行って1つの画素の表示色を決定するのが好ましい。なお、ディスプレイ装置が表示可能な最大の空間周波数は、隣り合う二つの画素の間隔、および、1つの画素が色及び明るさを独立に制御しうる水平方向の角度の離散化の間隔から決定される。
【0015】
1つの視点位置から見える複数の画素について第2乃至第5のステップを実行して複数の画素についての表示色を決定する(第6のステップ)。そして複数の2次元画像の全てについて、その対応する全ての視点位置に関して、第2乃至第6のステップを実行する(第7のステップ)。
【0016】
そして複数の画素が、複数の2次元画像に対応する複数の視点位置からそれぞれディスプレイ面を見たときに、第1乃至第7のステップにより決定された前記表示色になるように、複数の画素が出す光の色を光が出る水平方向の角度に応じて変えるように3次元ディスプレイ装置を制御する(第8のステップ)。
【0017】
本発明の方法によれば、仮想の円筒形のディスプレイ面上に2次元的に画素が配列された3次元ディスプレイ装置を用いて、それぞれの視点位置に対して対応する2次元画像を独立に表示できるので、実写画像またはその模擬画像の立体表示を実時間で実行することが可能になる。
【0018】
第1のステップの実行と前記第2乃至第7のステップの実行とをリアルタイムで行えば、実写画像の表示をリアルタイム(実時間)表示することができる。
【0019】
なお発光素子列に含まれる複数の発光素子としては発光ダイオード、レーザーダイオード、有機EL、プラズマディスプレイ素子、FED、SED、CRTなどのほか、液晶表示素子、DMD素子等の空間光変調器と適当な光源を組み合わせたものが使用できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の方法によれば、複数の画素が円筒形のディスプレイ面を形成し且つ各画素が水平方向の角度によって異なる色及び明るさの光を出せるように構成されている3次元ディスプレイ装置を用いて実写画像または実写模擬画像の立体表示をディスプレイの外側から全周にわたって裸眼で視認できる形で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下図面を参照して本発明の立体画像表示方法の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0022】
図2は、本発明の実施の形態で用いる3次元ディスプレイ装置1の基本構造を示している。この3次元ディスプレイ装置1は、複合回転構造体3を備えている。この複合回転構造体3は、発光素子列構造体5と、遮光部構造体7とを備えた構造を有する。発光素子列構造体5は、一次元発光素子列9が、周方向に所定の間隔をあけて複数配置されて構成された構造を有する。一次元発光素子列9は、複数個の発光ダイオードLEDが縦(鉛直方向)に列をなすように支持部材に対して取り付けられた構造を有する。この例では、発光素子列構造体5を構成する複数の一次元発光素子列9は、それぞれ鉛直方向に単色の発光ダイオードが並んだ構造を有しており、赤色、緑色、青色の3種類の一次元発光素子列が周方向に繰り返し並んで発光素子列構造体5が構成されている。なお一次元発光素子列は、一つのパッケージに三色の発光体が入っている発光素子が複数個縦に並んだ構造とすることもできる。複数の一次元発光素子列5は、各一次元発光素子列5の上下位置に配置された図示しないリング状の細い連結フレームによって連結されている。
【0023】
パララクスバリアと呼ばれる遮光部構造体7は、発光素子列構造体5の外側に配置され、3次元ディスプレイ装置1の外側に居る複数の人にそれぞれ立体画像を提示するための複数のスリット10を形成するように複数の遮光部8が周方向に所定の間隔をあけて配置された構造を有する。発光素子列構造体5と遮光部構造体7とは、互いに一定の速度比を保って回転する。発光素子列構造体5と遮光部構造体7の回転方向は、互いに一定の速度比を保って回転するのであれば、図2に示すように互いに逆方向に回転してもよいが、同じ方向に回転してもよい。発光素子列構造体5と遮光部構造体7とを回転させるための駆動構造の説明は省略する。
【0024】
本実施の形態で用いる3次元ディスプレイ装置1の基本原理については、既に発明者の一部が「1次元光源アレイとパララクスバリアを回転させる方式による円筒形の立体ディスプレイ」として発表している(圓道知博,梶木善裕,本田捷夫,佐藤誠:全周型3次元ディスプレイ,電子情報通信学会論文誌,Vol.J84-D-II,No.6.pp.1003・011,2001.)。発表した試作機においては1度毎といった狭い間で異なる画像を提示できる。試作機の動作原理は次のようになっている。遮光部構造体7(パララクスバリア)と、その内側にある発光素子列構造体5とが双方共に回転する。回転方向は逆である。発光素子列構造体5に設けた複数の一次元発光素子9が回転することによって、円筒面状のディスプレイ面上に画像を表示することが可能となる。発光素子列構造体5と遮光部構造体7(パララクスバリア)双方の回転によって相対位置が高速に変化する。それによって遮光部構造体7のスリット10を通って出る細い光束の向きが走査され、それに同期して一次元発光素子列を構成する発光ダイオード素子LEDの輝度を変化させることによって時分割で光線再現を行う。その結果見る方向によって異なる画像(立体画像)を見せることが可能となる。
【0025】
本実施の形態で使用した3次元ディスプレイ装置1の仕様は、表1に示す通りである。
【表1】
JP0004033859B2_000002t.gif

【0026】
具体的な、遮光部構造体(パララクスバリア)7に関しては、例えば試作機では1800rpmでという高速で回転する。これに対して発光素子列構造体5は、同試作機で100rpm程度の速度で回転する。
【0027】
本発明の立体画像表示方法では、このような3次元ディスプレイ装置1を用いて立体表示を次のようにして行う。本発明の方法を実施するためのレンダリング方法を図3乃至図5を参照しながら説明する。ここで3次元ディスプレイ装置1は円筒面(円筒形のディスプレイ面)上に円周方向にl個、軸方向にm個の画素が2次元配列されているとし、これらの画素の一つをP(j,k)のように表す。Pの添字は図4に示すように第一の添字は円周方向、第二の添字は円筒の軸方向の位置をそれぞれ表すものとする。したがってすべての画素はP(1,1)からP(l,m)までで表されることとなる。
【0028】
まず最初に、立体画像として表示する被写体を、1点の被写体中心点を定めてその点を中心として外側から全周にわたって撮影機器(カメラ)で撮影して複数の2次元画像を取得するか、または被写体を1点の被写体中心点を定めてその点を中心として外側から全周にわたって撮影機器で撮影して得ることができる複数の2次元画像と同等の複数の2次元疑似画像をコンピュータグラフィックス技術を用いて作成してこれを複数の2次元画像として取得する(第1のステップ)。これら複数の2次元画像は、コンピュータによって処理可能な画像データとして、メモリに保存される。2次元画像が実写画像であれば、3次元ディスプレイ装置1の入力は、カメラで撮影したn枚の2次元画像即ち実写画像であり、これをI(1)からI(n)とする。この場合、撮影は、1台のカメラで行ってよいし、複数台のカメラを用いて行ってもよい。またカメラの種類は任意である。後のデータ処理を考えると、デジタルカメラにより撮影するのが好ましい。
【0029】
次に、保存した複数の2次元画像[I(1)からI(n)]から1つの2次元画像I(i)を選択し、また複数の画素P(j,k)の中からI(i)に対応する視点位置V(i)から見ることができる1つの画素P(j,k)を選択する(第2のステップ)。ここで視点位置V(i)とは、被写体中心点を円筒中心Oに対応させた場合における、2次元画像I(i)を撮影したカメラのレンズ主点に対応する位置である。なお実際に2次元画像を撮影したときと、立体表示をするときとで、倍率が異なる場合は倍率に応じてV(i)の位置を変更すればよい。
【0030】
次に選択した2次元画像I(i)を貼り付けた仮想面B(i)を想定し、次元画像I(i)中における被写体中心点に対応する画像中心点が円筒形のディスプレイ面の中心即ち円筒中心Oと一致し、かつ視点位置V(i)と円筒中心Oとを結んだ直線が仮想面B(i)となす角度が被写体中心点とカメラのレンズ主点とを結んだ直線とカメラの撮像面がなす角度と一致するように仮想面B(i)を配置する(第3のステップ)。
【0031】
その次に、視点位置V(i)から、選択した1つの画素P(j,k)を通って仮想面B(i)まで延びる仮想延長線PLを想定する(第4のステップ)。これらの想定は、実際的には、コンピュータを用いてデータの演算として行う。また撮影した際の結像面が曲面や多面体などのように単一平面でない場合には、仮想面B(i)もそれに従った曲面等の形状としてもよい。この場合の仮想面B(i)は、撮影条件に従い、視点位置V(i)に対して適切な位置に配置することになる。
【0032】
次に仮想延長線PLと仮想面B(i)とが交わる交点に対応する、仮想面B(i)に貼り付けたものと想定した2次元画像上の色に基づいて、1つの画素P(j,k)から視点位置V(i)に向かう方向D(i,j,k)の1つの画素P(j,k)の表示色C(i,j,k)を決定する(第5のステップ)。原理的には、交点に対応する、仮想面B(i)に貼り付けたものと想定した2次元画像上の色を、1つの画素P(j,k)から視点位置V(i)に向かう方向D(i,j,k)の1つの画素P(j,k)の表示色C(i,j,k)として決定すればよい。しかしながら仮想面に貼り付けたものと想定した2次元画像I(i)に、ディスプレイ装置が表示可能な最大の空間周波数より高い成分が含まれる場合に発生するエイリアシングを防止するためには、仮想延長線と仮想面とが交わる交点に対応する仮想面に貼り付けたものと想定した2次元画像上の色と、前記交点の周囲にある複数の点に対応する仮想面に貼り付けたものと想定した2次元画像上の複数の色とに基づいて、前記交点と前記複数の点との距離に応じた重み付き平均演算処理を行って1つの画素の表示色C(i,j,k)を決定するのが好ましい。このような重み付き平均演算処理を行うと、実質的に2次元画像I(i)の空間周波数の最大値を制限することになるので、エイリアシングの発生を防止できる。
【0033】
なお、ディスプレイ装置が表示可能な最大の空間周波数は、画素の間隔、および、つの画素が色及び明るさを独立に制御しうる水平方向の角度の離散化の間隔から決定される。
【0034】
1つの視点位置V(i)から見える複数の画素について前述の第2乃至第5のステップを実行して複数の画素Pについての表示色を決定する(第6のステップ)。そして全ての2次元画像に対応する全ての視点位置V(i)に関して、第2乃至第6のステップを実行し(第7のステップ)、全ての複数の画素が、複数の視点位置からそれぞれディスプレイ面を見たときに、第1乃至第7のステップにより決定された表示色になるように一次発光素子列9に含まれる複数の発光素子LEDの発光タイミングを制御する(第8のステップ)。すなわち複数の2次元画像に対応する複数の視点位置からそれぞれディスプレイ面を見たときに、第1乃至第7のステップにより決定された表示色になるように、複数の発光素子LEDが出す光の色を光が出る水平方向の角度に応じて変えるように3次元ディスプレイ装置を制御する。発光素子LEDの駆動は、図示しない発光素子駆動装置を用いて行う。図6は、上記の各ステップ2乃至8をコンピュータを利用して実現する場合に用いるソフトウエアのアルゴリズムの一例の内容を示すフローチャートである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来の方法を説明するために用いる図である。
【図2】本発明の実施の形態で用いる3次元ディスプレイ装置1の基本構造を示す図である。
【図3】本発明の方法の原理を説明するために用いる図である。
【図4】図3を用いて本発明の方法の原理を説明する際に用いる画素の特定の仕方を示す図である。
【図5】図3を用いて本発明の方法の原理を説明する際に補助的に用いる図である。
【図6】本発明の実施の形態の方法のステップ2乃至8をコンピュータを利用して実現する場合に用いるソフトウエアのアルゴリズムの一例の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
1 3次元ディスプレイ装置
3 複合回転構造体
5 発光素子列構造体
7 遮光部構造体
8 遮光部
9 一次元発光素子列
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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