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明細書 :1級ホモアリルアミン化合物の製法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4421488号 (P4421488)
公開番号 特開2006-206530 (P2006-206530A)
登録日 平成21年12月11日(2009.12.11)
発行日 平成22年2月24日(2010.2.24)
公開日 平成18年8月10日(2006.8.10)
発明の名称または考案の名称 1級ホモアリルアミン化合物の製法
国際特許分類 C07C 209/28        (2006.01)
C07C 211/27        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 209/28
C07C 211/27
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2005-022641 (P2005-022641)
出願日 平成17年1月31日(2005.1.31)
審査請求日 平成18年6月13日(2006.6.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】杉浦 正晴
個別代理人の代理人 【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
審査官 【審査官】野口 勝彦
参考文献・文献 特開平11-180900(JP,A)
特開平11-228453(JP,A)
特開平05-201940(JP,A)
調査した分野 C07C 209/28
C07C 211/27
CA(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
白金触媒の存在下、液相で下式(化1)
【化1】
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(式中、Rは置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、前記アリール基及び前記アルケニル基の置換基はそれぞれアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、水酸基、メルカプト基、又はアミノ基で、Rは水素原子を表す。)で表されるアルデヒド化合物、下式(化2)
【化2】
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(式中、R、R、及びRは、それぞれ同じであっても異なってもよく、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Rはアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲンを表し,Rとして水素原子は含まず、nは1≦n≦4の自然数である)で表されるアリルスズ化合物、及びアンモニア(NH)を、アルコール中又は含水有機溶媒中で反応させることから成るホモアリルアミン化合物を製造する方法。
【請求項2】
がフェニル基又はナフチル基である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アンモニア(NH)として液体アンモニアを使用し、前記アルコール中で反応させる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アンモニア(NH)としてアンモニア水を使用し、前記含水有機溶媒中で反応させる請求項1又は2に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、アンモニアを用いてホモアリルアミン化合物を製造する方法に関し、より詳細には、カルボニル化合物を原料としたホモアリルアミン化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一級ホモアリルアミンは、多様に変換可能なC=C結合を有するばかりでなく、アミン窒素上にも様々な置換基を導入することができることから、窒素を含む医農薬品や機能性材料の合成において非常に有用な合成中間体となっている。また、窒素のα位やβ位に不斉炭素を有する一級ホモアリルアミンは、キラルビィルディングブロックとして重要である。
【0003】
ホモアリルアミンを得る最も有効な手法の一つとして、アリル金属種のイミン類への付加反応がある(例えば、非特許文献1)。しかし、これら多くの手法は、窒素上に置換基を有するイミン類を反応に用いるため、得られる生成物は窒素置換ホモアリルアミンとなる。従って、生成物から一級ホモアリルアミンを得るためには、窒素置換基の除去が必要となる。
一方、本発明者らは、アルデヒド、アリルボロネートおよびアンモニアの三成分反応(α-アミノアリル化反応)が良好に進行し、直接的かつγ-位に置換基を有するアリルボロネートを用いた場合には高ジアステレオ選択的に1級ホモアリルアミンを与えることを既に明らかにしている(非特許文献2)。
【0004】

【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 445-446
【非特許文献2】Sugiura, M.; Hirano, K.; Kobayashi, S. J. Am. Chem. Soc. 126, 7182(2004).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、アリル化剤として用いるアリルボロネートは高価であるという問題がある。
このようなことから、本発明は、アンモニアを原料とした1段階のアリル化反応でホモアリルアミン化合物を製造する方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明者らは、アリル化剤としてアリルスズ化合物を用い、カルボニル化合物とアンモニアとのα-アミノアリル化反応を検討した結果、この反応が白金触媒の存在下で円滑に進行し、対応する1級ホモアリルアミン化合物を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、白金触媒の存在下、液相で下式(化1)
【化1】
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(式中、Rは置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアルケニル基であり、前記アリール基及び前記アルケニル基の置換基はそれぞれアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、水酸基、メルカプト基、又はアミノ基で、Rは水素原子を表す。)で表されるアルデヒド化合物、下式(化2)
【化2】
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(式中、R、R、及びRは、それぞれ同じであっても異なってもよく、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Rはアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲンを表し,Rとして水素原子は含まず、nは1≦n≦4の自然数である)で表されるアリルスズ化合物、及びアンモニア(NH)を、アルコール中又は含水有機溶媒中で反応させることから成るホモアリルアミン化合物を製造する方法である。



【0008】
がフェニル基又はナフチル基であることが好ましく、前記アンモニア(NH)として液体アンモニアを使用し、前記アルコール中で反応させることが好ましい。又、前記アンモニア(NH)としてアンモニア水を使用し、前記含水有機溶媒中で反応させることが好ましい



【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アンモニアを原料とした1段階のアリル化反応でホモアリルアミン化合物を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、白金触媒の存在下、液相でカルボニル化合物、アリルスズ化合物、及びアンモニア(NH)を反応させて、ホモアリルアミン化合物を製造する方法である。
本発明の方法ではカルボニル化合物として下式(化1)で表されるカルボニル化合物又は糖類を用いる。
【化1】
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式中、R及びRは、それぞれ異なり、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、脂環式炭化水素基、複素環基、アルコキシカルボニル基又はカルボキシル基を表す。特にR又はRが水素原子であり、このカルボニル化合物がアルデヒド化合物であることが好ましい。上記アルキル基、アルケニル基、アリール基、脂環式炭化水素基、複素環基は置換基を有していてもよく、このような置換基としてアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、水酸基、メルカプト基、アミノ基等が挙げられる。更に、カルボキシル基はエステル化されていてもよい。アリール基としては、例えばフェニル基やナフチル基が挙げられる。脂環式炭化水素基としてシクロへキシル基が好ましく挙げられる。複素環基として、含窒素複素環基、含硫黄複素環基、含酸素複素環基が挙げられ、含窒素複素環基としては2-、3-、又は4-ピリジル基、2-、4-又は5-ピリミジル基、ピラジル基等が挙げられる。含硫黄複素環基としてはチエニル基が挙げられ、含酸素複素環基としては、フリル基、ピラニル基が挙げられる。
糖類は、好ましくは単糖又はオリゴ糖である。
【0011】
本発明の方法で用いるアリルスズ化合物は下式(化2)で表される。
【化2】
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、R、及びRは、それぞれ同じであっても異なってもよく、水素原子、アルキル基又はアリール基であり、好ましくはアルキル基が挙げられる。
【0012】
はアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲンを表し,水素原子は含まない。例えば、Rとして、Bu(ブチル)基が挙げられる。nは1≦n≦4の自然数である。
【0013】
白金触媒としては、例えば化学反応に用いる種々のものを使用することができ、白金錯体、酸化白金、塩化白金、テトラアンミン白金等が挙げられる。白金触媒は、反応系内でその一部でも溶解するものであれば使用できる。触媒の形態も、例えば粉末、粒状等とすることができる。
特に、有機化合物を配位子としてもつ白金錯体が好ましく、例えば脂環式炭化水素であるジエン類(例えばシクロオクタジエン(cod)、ホスフィン化合物(例えばトリフェニルホスフィン、トリ(o-トリルホスフィン))が配位したものが例示できる。具体的に、PtCl2(cod)、PtCl2(PPh)2が挙げられる。
【0014】
本発明の方法では、溶媒は、特に制限はないが、水または低級アルコールおよび水と混和するTHF(テトラヒドロフラン)やジオキサンなどが好ましい。
また、アンモニア(NH)として、液体アンモニア、アンモニア水(1~25%)又はアンモニアガスを溶解した溶剤などを使用してもよい。アンモニアとして液体アンモニアを使用する場合には、溶媒としてアルコールを用いることが好ましく、アンモニアとしてアンモニア水を使用する場合には、溶媒として含水有機溶媒、又は有機溶媒を含まない水溶液を用いることが好ましい。
溶媒中の各成分の濃度はそれぞれ0.01~5mol/lであることが好ましい。
この反応の温度は、好ましくは-78~60℃である。
この反応時間は、数分~数10時間程度である。
この反応系には上記成分のほか、適宜、触媒や界面活性剤等の公知の添加剤を添加してもよい。
生成物であるホモアリルアミン化合物は抽出、カラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶等の一般的精製法を利用して回収できる。
【0015】
以上のようにして、白金触媒の存在下、液相でカルボニル化合物、アリルスズ化合物、及びアンモニア(NH)を反応させると、下式(化3)
【化3】
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の反応式により、ホモアリルアミン化合物が生成する。
【0016】
このようにして製造したホモアリルアミン化合物は、医薬中間体等の用途に用いることができる。なお、本発明によって得られるホモアリルアミン化合物は、好適には1級ホモアリルアミン化合物である。
【0017】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0018】
アルゴン下、PtCl2(cod)(cod = シクロオクタジエン, 7.5 mg, 10 mol%)にベンズアルデヒド(22.3 mg)、THF(1 mL)、25%アンモニア水(1 mL)、テトラアリルスズ(13 μL)をこの順序で加え、室温で24時間激しく撹拌した。その後、3 M塩酸を加え酸性に調節した後、塩化メチレンで水層を3回抽出した。集めた有機層を無水硫酸マグネシウムにより乾燥、ろ過、減圧濃縮した後、内部標準物質として1,2,4,5-テトラメチルベンゼンを加え、1H NMR分析により生成物を定量した。その結果、ホモアリルアルコール1を8%の収率で得た。一方、水層は6 M水酸化ナトリウム水溶液によりアルカリ性にし、塩化メチレンで3回抽出した。集めた有機層を無水炭酸ナトリウムにより乾燥、ろ過、減圧濃縮した後、内部標準物質として1,2,4,5-テトラメチルベンゼンを加え、1H NMR分析により生成物を定量した。その結果、ホモアリルアミン2を64%の収率で得た。
【化4】
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【実施例2】
【0019】
アルゴン下、PtCl2(cod)(7.8 mg, 10 mol%)に、エタノール(0.8 mL)、アンモニアで飽和させたエタノール(0.2 mL)、ベンズアルデヒド(22.0 mg)、およびアリルトリブチルスズ(68 μL)をこの順序で加え、室温で24時間撹拌した。その後、アスピレーターで減圧することで大部分のアンモニアを除き、3 M塩酸を加え酸性に調節、塩化メチレンで水層を3回抽出した。集めた有機層を無水硫酸マグネシウムにより乾燥、ろ過、減圧濃縮した後、1H NMR分析により確認した。その結果、ホモアリルアルコール1の生成は認められなかった。一方、水層は6 M水酸化ナトリウム水溶液によりアルカリ性にし、塩化メチレンで3回抽出した。集めた有機層を無水炭酸ナトリウムにより乾燥、ろ過、減圧濃縮した後、内部標準物質として1,2,4,5-テトラメチルベンゼンを加え、1H NMR分析により生成物を定量した。その結果、ホモアリルアミン2を66%の収率で得た。
【化5】
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