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明細書 :高分子固定化ルテニウム触媒及びその使用

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4568804号 (P4568804)
公開番号 特開2006-205124 (P2006-205124A)
登録日 平成22年8月20日(2010.8.20)
発行日 平成22年10月27日(2010.10.27)
公開日 平成18年8月10日(2006.8.10)
発明の名称または考案の名称 高分子固定化ルテニウム触媒及びその使用
国際特許分類 B01J  31/28        (2006.01)
B01J  37/03        (2006.01)
C07B  41/06        (2006.01)
C07B  45/04        (2006.01)
C07C  45/29        (2006.01)
C07C  47/02        (2006.01)
C07C  47/20        (2006.01)
C07C  47/54        (2006.01)
C07C  49/203       (2006.01)
C07C  49/403       (2006.01)
C07C 315/02        (2006.01)
C07C 317/14        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
C07D 209/12        (2006.01)
C07D 307/33        (2006.01)
C07D 333/22        (2006.01)
FI B01J 31/28 Z
B01J 37/03 Z
C07B 41/06 A
C07B 45/04
C07C 45/29
C07C 47/02
C07C 47/20
C07C 47/54
C07C 49/203 A
C07C 49/403 A
C07C 315/02
C07C 317/14
C07B 61/00 300
C07D 209/12
C07D 307/32 E
C07D 333/22
請求項の数または発明の数 10
全頁数 14
出願番号 特願2005-023699 (P2005-023699)
出願日 平成17年1月31日(2005.1.31)
審査請求日 平成18年6月13日(2006.6.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】秋山 良
個別代理人の代理人 【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
審査官 【審査官】後藤 政博
参考文献・文献 特開2002-066330(JP,A)
国際公開第2004/024323(WO,A1)
特開平05-115787(JP,A)
特開2004-238388(JP,A)
特公昭63-015018(JP,B2)
国際公開第2004/011140(WO,A1)
KOBAYASHI S. et al.,Highly Active,Immobilized Ruthenium Catalysts for Oxidation of Alcohols to Aldehydes and Ketones. Preparation and Use in Both Batch and Flow Systems,J.Am.Chem.Soc.,2005年,Vol.127,No.25,page.9251-9254
調査した分野 B01J 21/00 - 38/74
C07B 61/00
C07C 1/00 - 409/44
C07D 209/12
C07D 307/33
C07D 333/22
特許請求の範囲 【請求項1】
ルテニウムを架橋高分子に担持させてなる高分子固定化ルテニウム触媒であって、架橋性高分子及びルテニウムのハロゲン化物と配位子との錯体を含む良溶媒の溶液に、極性の異なる貧溶媒を加えることで相分離を生じさせ、相分離により2価のルテニウムが担持された該架橋性高分子を架橋反応に付すことによって形成され、該架橋高分子が、芳香族側鎖、親水性側鎖及び架橋基を有することを特徴とする酸化反応用高分子固定化ルテニウム触媒。
【請求項2】
前記架橋性高分子が更に芳香族側鎖以外の疎水性側鎖を有する請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記ルテニウムのハロゲン化物が、塩化ルテニウムであり、前記配位子が、有機ホスフィン配位子である請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
前記架橋性高分子が、前記架橋基として、エポキシ基と水酸基を有し、該架橋性高分子を加熱による架橋反応に付すことによって形成された請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項5】
前記架橋性高分子が、スチレンを含む重合性モノマーの共重合体である請求項1~に記載の触媒。
【請求項6】
アルコール又はスルフィドの酸化反応のための請求項1~のいずれか一項に記載の触媒の使用。
【請求項7】
架橋性高分子及びルテニウムのハロゲン化物と配位子との錯体を含む良溶媒の溶液に、極性の異なる貧溶媒を加えることで相分離を生じさせ、相分離により2価のルテニウムが担持された該架橋性高分子を架橋反応に付すことから成り、該架橋性高分子が、芳香族側鎖、親水性側鎖及び架橋基を有することを特徴とする高分子固定化ルテニウム触媒の製法。
【請求項8】
極性の良溶媒が、THF、ジオキサン、アセトン、DMF又はNMPであり、非極性の良溶媒が、トルエン、シクロヘキサン、ジクロロメタン又はクロロホルムであり、極性の貧溶媒が、メタノール、エタノール、ブタノール又はアミルアルコールであり、非極性の貧溶媒が、ヘキサン、ヘプタン又はオクタンである請求項7に記載の製法。
【請求項9】
前記ルテニウムのハロゲン化物が、塩化ルテニウムであり、前記配位子が、有機ホスフィン配位子である請求項7又は8に記載の製法。
【請求項10】
前記架橋性高分子が、前記架橋基として、エポキシ基と水酸基を有し、該架橋性高分子を加熱による架橋反応に付すことによって形成された請求項7~9のいずれか一項に記載の製法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ルテニウム触媒を両親媒性の架橋ポリスチレン系高分子中に固定することにより調整された高分子固定化ルテニウム触媒及びこの触媒を用いたアルコールやスルフィドの酸化反応方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルデヒドやケトンなどのカルボニル化合物は、有機合成化学上最も有用な化合物の一つとして位置付けられ、これまでに数多くの合成法が開発されてきた。中でもアルデヒドの合成では、生成物であるアルデヒドの酸化状態がアルコールとカルボン酸の中間に位置しているため、反応において過剰酸化、過剰還元の制御が難しく、これらをコントロールすることも重要な課題となってくる。
例えば、1級アルコールからアルデヒドを得る最も一般的な酸化反応にクロム酸酸化(Jones酸化、Collins酸化、PCC酸化及びPDC酸化など)があるが、本反応では毒性の高いクロム酸を化学量論以上必要とするため、研究室などでの小スケールの反応には汎用されるが、工業スケールでの使用にはその毒性及び廃棄物の問題などから、その適用は難しい。そのため、よりクリーンかつ効率的な反応の開発が強く求められ、中でも金属試薬の触媒化に関する研究が活発に行われてきた。
【0003】
例えば、触媒量のルテニウム種と安価な再酸化剤とを組み合わせた触媒的酸化反応として、SharplessらはN-メチルモルホリン-N-オキシド(NMO)やトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)を再酸化剤とするジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム[RuCl2(PPh3)3]による触媒的酸化反応を報告している(非特許文献1)。またLeyらが、NMOと過ルテニウム(VII)酸テトラ-n-プロピルアンモニウム(TPAP)を用いた触媒的酸化反応を報告している(非特許文献2)。
また近年では、不均一系ルテニウム触媒の開発も活発になっている。これら不均一系触媒はろ過という簡便な操作により反応混合物から容易に分離することができ、また触媒の回収、再使用が可能になるなどの利点を有することから、工業スケールへの応用が期待される(非特許文献3~5)。しかしながら、従来の固定化法には触媒活性の低下、金属の漏出などの問題が残されている。
【0004】
一方、本発明者らは、パラジウム、白金、ルテニウムなどの金属を物理的、あるいは静電的相互作用を利用して芳香族系高分子上に固定化する、全く新しい金属の固定化法(マイクロカプセル化法)を開発した(特許文献1~2、非特許文献6~8)。その後、この手法はパラジウムに於いて、高分子鎖を架橋することなどの改良により、"高分子カルセランド型触媒"と命名した新しい方法に発展している。すなわち、側鎖にエポキシ基及び水酸基を有する架橋性高分子に、マイクロカプセル化法でパラジウムを固定した後、無溶媒条件下、加熱することで容易に架橋反応が進行し、通常の溶媒に不溶の新規"高分子固定化パラジウム触媒"を得た(特許文献3、非特許文献9~11)。この新規高分子固定化パラジウム触媒は、従来の高分子固定化パラジウム触媒に比べると、パラジウムクラスターのサイズが小さいことにより高活性であり、架橋していることから耐溶剤性に優れ、金属の漏出が無く、回収再使用が容易である。
【0005】

【特許文献1】特開2002-66330
【特許文献2】特開2002-253972
【特許文献3】WO2004/024323
【非特許文献1】Sharpless, K. B.; Akashi, K.; Oshima, K. Tetrahedron Lett. 1976, 2503.
【非特許文献2】Review: Ley, S. V.; Norman, J.; Griffith, W. P.; Marsden, S. P. Synthesis 1994, 639.
【非特許文献3】Yamaguchi, K.; Mori, K.; Mizugaki, T.; Ebitani, K.; Kaneda, K. J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 7144.
【非特許文献4】Yamaguchi, K.; Mizuno, N. Angew. Chem., Int. Ed. 2003, 42, 1480.
【非特許文献5】Motokura, K.; Nishimura, D.; Mori, K.; Mizugaki, T.; Ebitani, K.; Kaneda, K. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 5662.
【非特許文献6】Kobayashi, S.; Ishida, T.; Akiyama, R. Org. Lett. 2001, 3, 2649.
【非特許文献7】Kobayashi, S.; Akiyama, R. Chem. Commun. 2003, 449.
【非特許文献8】Ishida, T.; Akiyama, R.; Kobayashi, S. Adv., Synth. Catal. 2003, 345, 576.
【非特許文献9】Akiyama, R., Kobayashi, S. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 3412.
【非特許文献10】K.Okamoto et al. J.Org.Chem. 69, 2871(2004).
【非特許文献11】K.Okamoto et al. Org.Lett. 6, 1987(2004).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、酸化反応の触媒として有用、且つ使用後の回収・再使用が容易で金属の漏出が無く、繰り返し使用しても活性の低下しない高分子固定化ルテニウム触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定の構造を有するポリマー、即ち、芳香族側鎖、親水性側鎖及び架橋基を有するポリマーにルテニウムを担持し、その後、該ポリマーを架橋して得られる高分子固定化ルテニウム触媒が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、良溶媒に溶解した前記架橋性ポリマー及びルテニウムの溶液に、極性の異なる貧溶媒を加えることにより相分離状態を起こす。その結果、ルテニウムは芳香環との相互作用により高度に分散した超微粒子状態で架橋性ポリマーの集合体に担持される。その後、このルテニウム含有架橋性ポリマー集合体を架橋させることにより、ルテニウムは高い触媒活性を維持したまま安定に固定され、各種の反応に有効な高分子固定化ルテニウム触媒を得ることができた。本発明の高分子固定化ルテニウム触媒は、従来の固定化ルテニウム触媒に比べて、金属の漏出が少なく、回収再使用が容易で、回収後の活性低下も起こらない。さらに、架橋基を利用して樹脂、ガラス、ビーズ、等の担体への固定も容易である。
【0008】
即ち、本発明は、ルテニウムを架橋高分子に担持させてなる高分子固定化ルテニウム触媒であって、架橋性高分子及びルテニウムのハロゲン化物と配位子との錯体を含む良溶媒の溶液に、極性の異なる貧溶媒を加えることで相分離を生じさせ、相分離により2価のルテニウムが担持された該架橋性高分子を架橋反応に付すことによって形成され、該架橋高分子が、芳香族側鎖、親水性側鎖及び架橋基を有することを特徴とする酸化反応用高分子固定化ルテニウム触媒である。
更に、本発明は、架橋性高分子及びルテニウムのハロゲン化物と配位子との錯体を含む良溶媒の溶液に、極性の異なる貧溶媒を加えることで相分離を生じさせ、相分離により2価のルテニウムが担持された該架橋性高分子を架橋反応に付すことから成り、該架橋性高分子が、芳香族側鎖、親水性側鎖及び架橋基を有することを特徴とする酸化反応用高分子固定化ルテニウム触媒の製法である。

【発明の効果】
【0009】
本発明者らは、本発明の高分子固定化ルテニウム触媒がアルコールやスルフィドの酸化反応において有効に機能することを見出した。この触媒は従来の均一系触媒よりも高い触媒活性を示し、固定化触媒からの金属の流出は観測されなかった。またスルフィドの酸化反応において酸化条件を変更することによりスルフォキシド又はスルフォンを選択的に生成することができる等の利点を有する。今後は工業スケールでの使用やオレフィン等の他の酸化反応への展開が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の高分子固定化ルテニウム触媒は、ルテニウムがポリマー中の芳香環との相互作用により超微粒子として担持された形態を有する。
【0011】
ルテニウムを高分子に担持させる方法としては、このように担持出来る方法であれば特に限定されないが、例えば上記したごとき構造を有する高分子とルテニウム前駆体とを、a)適当な極性の良溶媒に溶解させた後適当な極性の貧溶媒で凝集させる、b)極性の良溶媒に溶解した後適当な非極性溶媒を加えてルテニウム担持ミセル様集合体を形成させ、更に極性の貧溶媒で凝集させる、c)適当な非極性の良溶媒に溶解させた後適当な非極性の貧溶媒で凝集させる、d)非極性の良溶媒に溶解した後適当な極性溶媒を加えてルテニウム担持ミセル様凝集体を形成させ、更に非極性の貧溶媒で凝集させる、ことにより行われる。この場合、a)及びb)の方法では、形成されたミセル様凝集体の内方向に疎水性側鎖が、外方向に親水性側鎖が位置することになり、c)及びd)の方法では、形成されたミセル様凝集体の外方向に疎水性側鎖が、内方向に親水性側鎖が位置することになる。
ルテニウム超微粒子は夫々のミセル様凝集体に於いて芳香族側鎖との相互作用により担持されている。
【0012】
尚、極性の良溶媒としてはTHF、ジオキサン、アセトン、DMF、NMPなどがあり、非極性の良溶媒としてはトルエン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが使用できる。極性の貧溶媒としてはメタノール、エタノール、ブタノール、アミルアルコールなどがあり、非極性の貧溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、オクタンなどが使用できる。良溶媒に溶解した架橋性高分子の濃度は用いる溶媒によっても異なるが、極性溶媒中で約0.1~100 mg/mLが好ましい。
【0013】
また、ここで、ルテニウム前駆体とは、ルテニウムを含む適当な化合物(例えば、酸化物、ハロゲン化物、配位子との錯体等)のことであるが、ルテニウムを適当な配位子と錯体を形成させたものが好ましい。このような配位子との錯体を使用する場合、前駆体中のルテニウムは上記したごとき構造を有する高分子が有する芳香環との配位子交換により高分子に担持される。
【0014】
このような配位子として、例えば、ジメチルフェニルホスフィン(P(CH3)2Ph)、ジフェニルホスフィノフェロセン(dPPf)、トリメチルホスフィン(P(CH3)3)、トリエチルホスフィン(P(Et)3)、トリtert-ブチルホスフィン(P(tBu)3)、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy3)、トリメトキシホスフィン(P(OCH3)3)、トリエトキシホスフィン(P(OEt)3)、トリtert-ブトキシホスフィン(P(OtBu)3)、トリフェニルホスフィン(PPh3)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPE)、トリフェノキシホスフィン(P(OPh)3)、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン等の有機ホスフィン配位子、1,5-シクロオクタジエン(COD)、ジベンジリデンアセトン(DBA)、ビピリジン(BPY)、フェナントロリン(PHE)、ベンゾニトリル(PhCN)、イソシアニド(RNC)、トリエチルアルシン(As(Et)3)、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、アセチルアセトナト、シクロオクタジエン、シクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、エチレン、カルボニル、アセテート、トリフルオロアセテート、ビフェニルホスフィン、エチレンジアミン、1,2-ジフェニルエチレンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、アセトニトリル、ヘキサフルオロアセチルアセトナト、スルホネート、カーボネート、ハイドロオキサイド、ナイトレート、パークロレート、サルフェート等が挙げられる。これらの中で、有機ホスフィン配位子、1,5-シクロオクタジエン(COD)、ジベンジリデンアセトン(DBA)、ビピリジン(BPY)、フェナントロリン(PHE)、ベンゾニトリル(PhCN)、イソシアニド(RNC)、及びトリエチルアルシン(As(Et)3)が好ましく、トリフェニルホスフィン、トリtert-ブチルホスフィン、及びトリ-o-トリルホスフィンがより好ましく、トリフェニルホスフィンが特に好ましい。
配位子の数は、調製の際に使用する高分子の種類や架橋反応条件等にもよるが、通常1~4個である。
【0015】
本発明の高分子は芳香族側鎖と親水性側鎖を有することを要し(両親媒性高分子)、更に架橋基を有することを要する。この高分子は更に芳香族側鎖以外の疎水性側鎖を有してもよい。これらの側鎖は高分子の主鎖に直接結合する。これら側鎖を複数種有していてもよい。また架橋基はこれらの側鎖のいずれに結合していてもよく、また高分子主鎖に直接結合してもよいが、好ましくは芳香族側鎖を含む疎水性側鎖若しくは親水性側鎖又は両者に、より好ましくは芳香族側鎖に結合する。
【0016】
芳香族側鎖として、アリール基及びアラルキル基が挙げられる。
アリール基としては、通常炭素数6~10、好ましくは6のものが挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
尚、本明細書に於いて定義されている炭素数はその基が有する置換基の炭素数を含まないものとする。
アラルキル基としては、通常炭素数7~12、好ましくは7~9のものが挙げられ、具体的には、例えばベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。
アリール基及びアラルキル基に於ける芳香環はアルキル基、アリール基、アラルキル基などの疎水性置換基を有していてもよい。
【0017】
芳香環が有していてもよいアルキル基としては、直鎖状でも分枝状でも或いは環状でもよく、環状の場合には単環でも多環でもよく、通常炭素数1~20、好ましくは1~12のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0018】
芳香環が有していてもよいアリール基及びアラルキル基としては、上記した如き芳香族基としてのアリール基及びアラルキル基と同様なものが挙げられる。
これら芳香環が有していてもよい置換基は、アリール基及びアラルキル基に於ける芳香環に通常1~5個、好ましくは1~2個置換していてもよい。
疎水性側鎖としてのアルキル基としては、上記した如き芳香環が有していてもよいアルキル基と同様のものが挙げられる。
【0019】
芳香族側鎖以外の疎水性側鎖としては、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基が挙げられる。
【0020】
親水性側鎖としては、比較的短いアルキル基、例えば、炭素数が1~6程度のアルキレン基に-R(Rは-OH又はアルコキシ基、好ましくは-OHを表す。)が結合したものであってもよいが、-R(OR、-R(COOR又は-R(COOR(OR(式中、Rは上記と同様であり、Rは共有結合又は炭素数1~6、好ましくは共有結合又は1~2のアルキレン基を表し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数2~4、好ましくは2のアルキレン基を表し、m、n及びpは1~10の整数、oは1又は2を表す。)で表されるものが好ましい。より好ましい親水性側鎖として、-CH(OCOHや-CO(OCOH等が挙げられる。
【0021】
架橋基としては、エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、水酸基、1級若しくは2級のアミノ基、及びチオール基、好ましくはエポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、及びチオイソシアネート基が挙げられ、これらの架橋基は必要に応じて単独又は組み合わせて用いてもよい。
【0022】
高分子に含まれる架橋基の好ましい組み合わせとしては、エポキシ基のみ、エポキシ基と水酸基、エポキシ基とアミノ基、エポキシ基とカルボキシル基、イソシアネート基又はチオイソシアネート基のみ、イソシアネート基と水酸基、イソシアネート基とアミノ基、イソシアネート基とカルボキシル基等が挙げられる。このなかで、エポキシ基のみ、及びエポキシ基と水酸基の組み合わせが好ましい。
高分子が架橋基を複数種有する場合、架橋基の結合位置に制限はないが、異なる位置の側鎖に含まれていることが好ましい。
【0023】
一方、架橋性高分子はこれら側鎖を有するものであればいかなるものであってもよいが、これら側鎖を有するモノマーを重合させたものが好ましい。またこのようなモノマーとして、付加重合のための二重結合や三重結合,例えば、ビニル基、アセチレン基など、好ましくはビニル基を持つものが好ましい。
【0024】
本発明の架橋性高分子の例として、下記の架橋性高分子が挙げられる。
(A)1)芳香族側鎖、親水性側鎖及び重合性二重結合を有するモノマー、2)芳香族側鎖及び重合性二重結合を有するモノマー、及び3)架橋基を有する芳香族側鎖及び重合性二重結合を有するモノマーを共重合することにより得られる架橋性高分子、
(B)1)疎水性側鎖、架橋基を有する親水性側鎖又は疎水性側鎖及び重合性二重結合を有する少なくとも1種のモノマーを重合又は共重合することにより得られる架橋性高分子、又は
(C)1)疎水性側鎖、架橋基を有する親水性側鎖又は疎水性側鎖及び重合性二重結合を有するモノマー、2)疎水性側鎖及び重合性二重結合を有するモノマー、及び3)架橋基を有する親水性側鎖又は疎水性側鎖及び重合性二重結合を有するモノマーから成る群から選択される少なくとも2種のモノマーを共重合することにより得られる架橋性高分子であり、好ましくは(A)の架橋性高分子である。
ここで、同種のモノマーは2以上の異なるモノマーを含むものであってもよい。
【0025】
芳香族側鎖及び重合性二重結合を有するモノマーとしてスチレン系モノマーが好ましい。スチレン系モノマーとして、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、α-エチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン等が挙げられ、中でもスチレン及びα-メチルスチレンが好ましく、特にスチレンが好ましい。
【0026】
このようなポリマーと上記のルテニウム前駆体を良溶媒に溶解した後、適当な貧溶媒を加えて相分離を起こすことにより、ルテニウムをポリマー凝集物又はミセル様集合体に取り込むことができる。この際、ルテニウム前駆体の配位子の一部もしくは全てが脱離する現象が認められる。
ここで、良溶媒中のポリマーの濃度は約1~100 mg/ml、ルテニウム前駆体の量はポリマーに対して0.01~0.5(w/w)、貧溶媒の量は良溶媒に対して0.2~10(v/v)用いられ、貧溶媒の添加時間は通常10分~2時間かけて行われる。相分離の際の温度は特に制限はないが、通常室温で行われる。
【0027】
このようにして調整されたポリマーに担持されたルテニウムを、再酸化剤で処理してもよい。再酸化剤は通常、使用する溶剤よりも配位性が高いので、金属を漏出させる効果があり、ポリマー中の漏出しやすい金属を全て洗い流しておくことができる。
再酸化剤としては、NMO、TMAO、ピリジン-N-オキシドなどのアミンオキシド類、ヨードシルベンゼンジアセテート、ヨードシルベンゼンオキシド、過ヨウ素酸ナトリウム、tert-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)等を利用できる。
処理の条件は、通常、アセトン-イソプロパノール(9/1)混合溶媒中、過剰な再酸化剤(5-40当量)存在下、室温で12-24時間攪拌である。
【0028】
架橋反応は、架橋性官能基の種類により、加熱や紫外線照射により反応させることができる。架橋反応は、これらの方法以外にも、使用する直鎖型有機高分子化合物を架橋するための従来公知の方法である、例えば架橋剤を用いる方法、縮合剤を用いる方法、過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合触媒を用いる方法、酸又は塩基を添加して加熱する方法、例えばカルボジイミド類のような脱水縮合剤と適当な架橋剤を組み合わせて反応させる方法等に準じても行うことができる。
架橋基を加熱により架橋させる際の温度は、通常50~200℃、好ましくは70~180℃、より好ましくは100~160℃である。
加熱架橋反応させる際の反応時間は、通常0.1~100時間、好ましくは1~50時間、より好ましくは2~10時間である。
【0029】
このようにして得られた高分子固定化ルテニウム触媒中のルテニウムは、超微小粒子として芳香環との弱い相互作用で結合していると考えられ、アルコールやスルフィドの酸化反応に対して高い触媒活性を示す。
【0030】
基質であるアルコールに特に限定はない。アルコールの水酸基の数に特に限定はなく、それらは1、2級のいずれのアルコールであってもよい。アルコールをRCHOHで表した場合、Rは水素原子、脂肪族基、脂環式脂肪族基、又は芳香族基であってもよく、ヘテロ原子が含まれていてもよい。Rは脂肪族基、脂環式脂肪族基、又は芳香族基であってもよく、ヘテロ原子が含まれていてもよい。
また基質であるスルフィドに特に限定はない。スルフィドをRSRで表した場合、R及びRは、それぞれ同じであっても異なっても良く、脂肪族基、脂環式脂肪族基、又は芳香族基であってもよく、ヘテロ原子が含まれていてもよい。
【0031】
酸化反応は液相で行われ、触媒量は基質に対してルテニウムとして0.1%~10%(mol/mol)、溶媒は基質を溶解するものであれば制限は無いが、例えばヘキサン-水などの2相系溶媒が好ましい。反応温度は0℃~80℃で適宜選択すればよいが、好ましくは室温~50℃である。通常反応は早く、5分間から1時間程度で終了する。反応後は濾過により容易に触媒の回収が可能であり、回収された溶媒は洗浄乾燥するだけで再利用可能である。反応中及び回収時に触媒からの金属の漏出は認められず、繰り返し使用しても活性の低下は認められない。
【0032】
酸化反応は、通常は再酸化剤の存在下で行われ、再酸化剤としては、NMO、TMAO、ピリジン-N-オキシドなどのアミンオキシド類、ヨードシルベンゼンジアセテート、ヨードシルベンゼンオキシド、過ヨウ素酸ナトリウム、TBHP等を用いることができる。再酸化剤は通常1-5当量程度で使用される。
アルコールの酸化反応の結果アルコールに対応するアルデヒドやケトンが生成する。
またスルフィドの酸化反応においては用いる再酸化剤の種類によって生成物(スルホキシドとスルホン)を選択的に製造することができる。即ち、再酸化剤としてNMOやピリジン-N-オキシドなどのアミンオキシド類を用いると選択的にスルホキシドを与え、一方でヨードシルベンゼンジアセテート、ヨードシルベンゼンオキシド、過ヨウ素酸ナトリウムを用いるとスルホンを選択的に与える。なお、スルホンを製造する場合には、ポリマーに担持されたルテニウムを再酸化剤で処理しておく必要はない。

以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
【0033】
製造例1
スチレン(12.44 g, 119.58 mmol)、4-vinylbenzyl glycidyl ether(2.83 g, 14.9 mmol)、tetraethyleneglycol mono-2-phenyl-2-propenyl ether(4.6 g, 14.9 mmol)、AIBN(175 mg, 1.06 mmol)をクロロホルム(18 mL)に溶解しアルゴン雰囲気下で48時間、還流条件下で加熱攪拌した。冷却後反応混合物をメタノール(600 mL)中に注いでポリマーを固化させた。デカントして上澄みを取り除いた後、少量のテトラヒドロフランに溶解し再びメタノールに注いだ。沈殿したポリマーを濾過し室温減圧下で乾燥した。10.18 gのポリマーを得た(収率51%)。
【0034】
1H-NMRの測定により、得られたポリマーの比は(スチレン/4-ビニルベンジルグリシジルエーテル/テトラエチレングリコール モノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテル)の各モノマー単位の比(x/y/z)=88/8/4であった。また、重量平均分子量(Mw) は 49182であった。得られたポリマーの構造は下式で表される。
【化1】
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【実施例1】
【0035】
製造例1で得たポリマー(1.0 g)、RuCl2(PPh3)3(400 mg, 0.417 mmol)をTHF(20 mL)に溶解し、24時間攪拌した。この混合液に、空気雰囲気下、ヘキサンをゆっくりと滴下し、相分離させ、上澄みをデカントして取り除き、ヘキサンで数回洗浄した後、減圧乾燥をした。引き続き120℃で3.5時間加熱することによって高分子を架橋させた。得られた固体をTHFで洗浄、減圧乾燥し、アセトン-イソプロパノール(9/1, 20 mL)混合溶媒中に懸濁させ、過剰のNMO(2.09 mmol, 245 mg)存在下、室温で12時間攪拌した。固体をろ別した後、アセトンで数回洗浄した後、減圧乾燥をしたところ、高分子担持型ルテニウム触媒を1.0 gを得た(Ru含有量=0.312 mmol/g)。以下得られた触媒をPI Ruと呼ぶ。触媒調整の様子を下式に示す。
【0036】
【化2】
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【実施例2】
【0037】
この実施例では、ドデカノールを基質、NMOを再酸化剤として用い、PI Ruによる酸化反応の条件検討を行った。溶媒として表1に示す各種溶媒を用い、溶媒3ccに、ドデカノール(36.7mg, 0.197mmol)を加え、実施例1で調整した触媒(PI Ru)を5又は15mol%となるように加え、NMOをドデカノールに対して2当量加えて、30℃で2時間反応させた。反応終了後に触媒を取り除いたろ液を蛍光X線分析(XRF)によって測定し、固定化触媒からのルテニウム金属の流出量を測定した。その結果を表1に示す。
【表1】
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a: ガスクロクロマトグラフィーから決定した収率 b: XRFにより決定したルテニウムの漏出率 nd: 検出限界以下 (15モル%の触媒を使用した場合は<0.74%、5モル%の触媒を用いた場合は <2.2% c: モレキュラーシーブ4Aを添加(500 mg/mmol )THFやN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を反応溶媒として用いた場合には金属の流出が観測されたが(Entry 2, 3)、その他の溶媒では金属の流出は観測されなかった(Entry 1, 4-6)。特にアセトン中反応を行った場合、最も良好な収率を与え、さらに回収した触媒を再度用いても3回の使用において触媒活性の低下は見られなかった(Entry 6)。
本触媒は触媒量を15 mol %から5 mol %に減じても同様な結果を与え(Entry 7)、更にモレキュラーシーブス4Aを添加することでほぼ定量的に目的の反応が進行した(Entry 8)。
【実施例3】
【0039】
本実施例では、各種基質の反応性について調べた。溶媒としてアセトンを用い、触媒(PI Ru)を5mol%となるように加え、NMOをドデカノールに対して2当量加え、更にモレキュラーシーブ4A(500 mg/mmol)を加えて、その他は実施例2と同様に反応させた。その結果を表2に示す。全ての場合に於いてルテニウムの漏出はXRFの検出限界以下であった。
【表2】
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a: 収率はガスクロマトグラフィーにより決定した b: PI Ru に代えてRuCl2(PPh3)3 (5 mol %)を使用 c: 単離収率 d: 反応時間30分間
【0040】
1級、2級いずれのアルコールを用いた場合でも反応は円滑に進行し、高収率にて目的とするアルデヒドやケトンを与えた(Entry 9-15)。中でもEntry 9及び14の基質を用いた場合、均一系触媒であるRuCl2(PPh3)3を用いた場合を上回る結果を与えた。
さらに触媒を失活させるようなヘテロ原子を有する基質にも適用可能であり(Entry 17 and 18)、ジオールを有する基質は直接ラクトンへと変換可能である(Entry 16)。
【実施例4】
【0041】
本実施例では、下式の反応における光学活性アルコールの酸化反応について調べた。
【化3】
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溶媒として表1に示す各種溶媒を用い、触媒(PI Ru)を5mol%となるように加え、NMOを基質に対して2当量加え、更にモレキュラーシーブ4A(500 mg/mmol)を加えて、その他は実施例2と同様に反応させた。その結果を表3に示す。
【表3】
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a: 不斉収率(ee)は生成物を対応するアルコールに変換後、キラルHPLCを用いて決定した。
【0042】
カルボニル基のα位に不斉点を有するキラルアルデヒド6を光学活性なアルコール5から合成する場合、RuCl2(PPh3)3やTPAPなどの均一系触媒を用いて酸化すると得られたアルデヒドのα位が一部ラセミ化し、光学純度が低下する(Entry 19 and 20)。一方、PI Ruを用いた場合にはほぼラセミ化が抑えられ、得られるアルデヒド5が高い光学純度を維持することが明らかとなった(Entry 21 and 22)。なお、得られたアルデヒド5の光学純度は、下式(化4)に従って再度還元してアルコール5へと変換した後、キラルHPLCにて決定を行った。
【化4】
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【実施例5】
【0043】
本実施例では、フローシステムによる酸化反応を調べた。高分子固定化ルテニウム触媒PI Ru(40.3mg、Ruとして12.6μモル)と硫酸マグネシウム(脱水剤)との混合物を充填したカラムにベンジルアルコール(2.07mg/ml)とNMO(6.94mg/ml)のアセトン溶液を流し、時間ごとにフラクションを取り、ベンズアルデヒドの収率を決定した。その結果を表4に示す。約8時間の連続使用においても触媒活性の低下は見られず、いずれのフラクションからも高収率にてベンズアルデヒドが得られた。
【表4】
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a: 流量=0.88ml/分 b: 変換率(Conversion)と収率(yield )は1.05時間毎の平均値
【実施例6】
【0044】
Ar雰囲気下、PI Ru(ルテニウムローディング:0.312 mmol/g, 80.9 mg)、NMO(173.3 mg, 1.48 mmol)、MS4A(減圧下200℃、2日乾燥, 257.9 mg)、チオアニソール(60.4 mg, 0.486 mmol)に、アセトニトリル(5 mL)を加え、室温で15 時間攪拌した。ヘキサン25 mLを加え、5分攪拌した。触媒をろ取し、アセトニトリル10 mLで二回洗浄した。ろ液を濃縮した後、THFを加え、全体量を5 mLにした後、蛍光X線装置にてルテニウム濃度を測定した。ルテニウムは検出限界値以下だった。測定後の溶液を回収し、濃縮した後、これをシリカゲル薄層クロマトグラフィーにて精製し、メチルフェニルスルフォキシド(51.5 mg, 0.367 mmol)を得た。メチルフェニルスルフォンは検出されなかった。
methyl phenyl sulfoxide
1H NMR(CDCl3)δ 2.72(s, 3H),7.5 ~ 7.8(m, 5H)
13C NMR(CDCl3)δ 43.9, 123.5, 129.4, 131.0, 145.6
【実施例7】
【0045】
空気雰囲気下、PI Ru(ルテニウムローディング:0.312 mmol/g, 83.0 mg)、ヨードシルベンゼンジアセテイト(493.5 mg, 1.53 mmol)、チオアニソール(65.4 mg, 0.527 mmol)に、アセトン(5 mL)、水(0.5 mL)を加え、室温で15 分攪拌した。ヘキサン25 mLを加え、5分攪拌した。触媒をろ取し、アセトン10 mLで二回洗浄した。ろ液を濃縮した後、THFを加え、全体量を5 mLにした後、蛍光X線装置にてルテニウム濃度を測定した。ルテニウムは検出限界値以下だった。測定後の溶液を回収し、濃縮した後、これをシリカゲル薄層クロマトグラフィーにて精製し、メチルフェニルスルフォン(78.9 mg, 0.505 mmol)を得た。メチルフェニルスルフォキシドは検出されなかった。
回収したPI Ruは減圧下室温で12時間乾燥した後、二回目の反応に用いた。空気雰囲気下、先の反応後、回収したPI Ru、ヨードシルベンゼンジアセテイト(492.1 mg, 1.53 mmol)、チオアニソール(64.5 mg, 0.519 mmol)に、アセトン(5 mL)、水(0.5 mL)を加え、室温で15 分攪拌した。ヘキサン25 mLを加え、5分攪拌した。触媒をろ取し、アセトン10 mLで二回洗浄した。ろ液を濃縮した後、THFを加え、全体量を5 mLにした後、蛍光X線装置にてルテニウム濃度を測定した。ルテニウムは検出限界値以下だった。測定後の溶液を回収し、濃縮した後、これをシリカゲル薄層クロマトグラフィーにて精製し、メチルフェニルスルフォン(81.2 mg, 0.519 mmol)を得た。メチルフェニルスルフォキシドは検出されなかった。
methyl phenyl sulfone
1H NMR(CDCl3)δ 3.05(s, 3H),7.5 ~ 8.0(m, 5H)
13C NMR(CDCl3)δ 44.6, 127.4, 129.5, 131.0, 140.6