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明細書 :エナミドのアゾ化合物への求核付加反応方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4310284号 (P4310284)
公開番号 特開2006-206554 (P2006-206554A)
登録日 平成21年5月15日(2009.5.15)
発行日 平成21年8月5日(2009.8.5)
公開日 平成18年8月10日(2006.8.10)
発明の名称または考案の名称 エナミドのアゾ化合物への求核付加反応方法
国際特許分類 C07C 281/02        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 281/02
C07B 53/00 B
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 4
全頁数 21
出願番号 特願2005-024614 (P2005-024614)
出願日 平成17年1月31日(2005.1.31)
審査請求日 平成18年6月26日(2006.6.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】福島 芳隆
参考文献・文献 Journal of the American Chemical Society,2002年,Vol.124, No.22,p.6254-6255
Canadian Journal of Chemistry,2000年,Vol.78, No.6,p.666-672
調査した分野 C07C 281/02
C07C 269/06
C07C 271/20
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】

アゾ化合物のアゾ基(-N=N-)へのヒドラジノ基生成をともなうエナミド化合物の求核付加反応方法であって、次式(1)
【化1】
JP0004310284B2_000025t.gif
(式中のR1およびR2は、R1=R2であり、各々、-ORであって、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表わされるアゾ化合物と、次式(2)
【化2】
JP0004310284B2_000026t.gif
(式中のR3およびR4は、各々、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R5は、-Rcまたは-ORcであって、Rcは置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)で表わされるエナミド化合物とを、有機酸または無機酸の塩もしくはこの塩の錯体または有機複合体である銅化合物と、エチレンジアミン構造をその一部に有するキラルジアミン配位子とにより構成されるキラル銅触媒の存在下に反応させて、次式(3)

【化3】
JP0004310284B2_000027t.gif
(式中のR1,R2,R3,R4およびR5は前記のものを示す)で表わされる化合物を生成させることを特徴とする光学活性なイミノヒドラジノ化合物の合成方法。
【請求項2】
キラル銅触媒を構成するキラルジアミン配位子は、次式
【化4】
JP0004310284B2_000028t.gif
(式中のRは、置換を有していてもよい炭化水素基を示す)のいずれかで表される配位子であることを特徴とする請求項1に記載の光学活性なイミノヒドラジノ化合物の合成方法。
【請求項3】
請求項1または2の求核付加反応後に酸処理することにより次式(4)
【化5】
JP0004310284B2_000029t.gif
(式中のR1,R2,R3およびR4は前記のものを示す)で表わされる化合物を生成させることを特徴とする光学活性なケトヒドラジノ化合物の合成方法。
【請求項4】
請求項1または2の求核付加反応後に還元処理することにより次式(5A)(5B)
【化6】
JP0004310284B2_000030t.gif
(式中のR1,R2,R3,R4およびR5は前記のものを示す)で表わされる化合物の少なくともいずれかを生成させることを特徴とする光学活性なアシルアミノヒドラジン化合物の合成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、農薬、香料、触媒等の原料または合成中間体等として有用な化学品の合成方法に関するものであり、より詳細には、エナンチオ選択的なエナミドのアゾ化合物への不斉求核付加反応方法と、これを応用した光学活性アミン類の合成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学活性アミン類は医薬品などのファインケミカルの原料や合成中間体として重要な位置を占め、これまでにも様々な合成法が検討されている。その合成法として古くから、そして現在でも多用されているのは、天然に豊富に存在する光学活性化合物からの誘導化、酵素による光学分割、光学活性な酸性化合物との塩に誘導後に再結晶法を用いる光学分割などによる方法であるが、これらは入手できるアミン化合物の構造に制約が多い場合や、必要な立体とは異なる立体の化合物が同量副製するなどの問題があった。また、近年では、不斉合成反応の進歩にともない、高い不斉収率で光学活性アミン類を得る手法も報告されている。それらの中でも触媒的不斉合成方法は、金属触媒や不斉配位子が少量ですむことからコスト的に有利であり、近年の大きな課題となっている産業廃棄物の削減の観点からも期待され活発に研究されている。
【0003】
また近年、光学活性α-アミノカルボニル化合物やα-アミノ酸誘導体の触媒的不斉合成反応方法として、イミノエステルの不斉アリル化反応による光学活性アリルグリシン誘導体の合成や(非特許文献1-2)、アゾジカルボン酸エステルへのエノラートの付加反応など(非特許文献3-6)が注目されている。
【0004】
しかしながら、上記のように、多くの光学活性アミン類の触媒的不斉合成方法が提案されてきているが、これまでに実用化されたものは少ない。その原因は、触媒が高価(貴金属触媒を使用)、触媒回転が低い(触媒量の低減化が困難)、反応条件が過酷(反応温度が-78℃など)、生成物の付加価値が低い、など様々である。
【0005】
一方、本発明者らは、これまでに多くの不斉反応触媒及び不斉反応方法を開発してきた。それらの中でも銅を中心金属としキラルなジアミンを不斉配位子とした不斉触媒は、アルデヒドやイミンへの不斉求核付加反応を効果的に触媒し、高収率・高立体選択的に光学活性なβ-アミノカルボニル化合物およびβ-ヒドロキシカルボニル化合物の合成を可能にした(非特許文献7-12)。

【非特許文献1】Jorgensen他、J. Org. Chem.,64巻、4844頁、1999年
【非特許文献2】Lectka他、J. Am. Chem. Soc.,124巻、67頁、2002年
【非特許文献3】Evans他、Org. Lett.,1巻、595頁、1999年
【非特許文献4】Jorgensen他、J. Am. Chem.Soc.,124巻、2421頁、2002年
【非特許文献5】List他、J. Am. Chem. Soc.,124巻、5657頁、2002年
【非特許文献6】Yamashita他、J. Can. Chem.,78巻、666頁、2000年
【非特許文献7】Kobayashi他、J. Am. Chem. Soc.,125巻、2507頁、2003年
【非特許文献8】Kobayashi他、Org. Lett., 5巻、2481頁、2003年
【非特許文献9】Kobayashi他、Angew. Chem. Int. Ed.,43巻、1679頁、2004年
【非特許文献10】Kobayashi他、J. Am. Chem. Soc.,126巻、6558頁、2004年
【非特許文献11】Kobayashi他、Angew. Chem. Int. Ed.,43巻、3258頁、2004年
【非特許文献12】Kobayashi他、Tetrahedron, 60巻、9769頁、2004年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、以上のとおりの背景から、発明者らのこれまでの不斉触媒と不斉合成方法の開発実績とそこから得られた知見をも踏まえて、安価な原料を用い、高い触媒利用効率を有し、しかも反応条件が温和でもある、光学活性なアミン類、その誘導体の不斉合成を可能とする新しい方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するものとして、以下のことを特徴としている。
【0008】
第1:アゾ化合物のアゾ基(-N=N-)へのヒドラジノ基生成をともなうエナミド化合物の求核付加反応方法であって、次式(1)

【化1】
JP0004310284B2_000002t.gif
(式中のR1およびR2は、R1=R2であり、各々、-ORであって、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表わされるアゾ化合物と、次式(2)
【化2】
JP0004310284B2_000003t.gif
(式中のR3およびR4は、各々、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R5は、-Rcまたは-ORcであって、Rcは置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)で表わされるエナミド化合物とを、有機酸または無機酸の塩もしくはこの塩の錯体または有機複合体である銅化合物と、エチレンジアミン構造をその一部に有するキラルジアミン配位子とにより構成されるキラル銅触媒の存在下に反応させて、次式(3)

【化3】
JP0004310284B2_000004t.gif
(式中のR1,R2,R3,R4およびR5は前記のものを示す)で表わされる化合物を生成させることを特徴とする光学活性なイミノヒドラジノ化合物の合成方法。
【0009】
第2:キラル銅触媒を構成するキラルジアミン配位子は、次式
【化4】
JP0004310284B2_000005t.gif
(式中のRは、置換を有していてもよい炭化水素基を示す)のいずれかで表される配位子であることを特徴とする上記第1の光学活性なイミノヒドラジノ化合物の合成方法。
【0018】
第3:上記第1または第2の求核付加反応後に酸処理することにより次式(4)
【0019】
【化4】
JP0004310284B2_000006t.gif

【0020】
(式中のR1,R2,R3およびR4は前記のものを示す)
で表わされる化合物を生成させることを特徴とする光学活性なケトヒドラジノ化合物の合成方法。
【0021】
第4:上記第1または第2の求核付加反応後に還元処理することにより次式(5A)(5B)
【0022】
【化5】
JP0004310284B2_000007t.gif

【0023】
(式中のR1,R2,R3,R4およびR5は前記のものを示す)
で表わされる化合物の少なくともいずれかを生成させることを特徴とする光学活性なアシルアミノヒドラジン化合物の合成方法。
【発明の効果】
【0027】
上記のとおりの本発明によれば、円滑にエナミドのアゾ化合物への不斉求核反応が可能とされ、医薬品、農薬、香料、触媒等の原料や合成中間体として有用なアミン類を、安価な原料を用い、高い触媒回転率(利用率)で、しかも温和な反応条件で触媒的不斉合成が可能とされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0029】
まず、本発明におけるキラル銅触媒については、銅原子をその構成に欠かせないものとして、かつキラルな有機分子の構造を付加している各種のものが考慮されるが、反応収率やエナンチオ選択性の観点から、銅化合物とキラルジアミン配位子化合物とにより構成されたものが用いられる。
【0030】
銅化合物としては、1価または2価の銅の化合物として塩、錯塩物等の各種のものから選択され、本発明では有機酸または無機酸との塩、もしくはこの塩との錯体や有機複合体が用いられる。なかでも、強酸との塩、たとえば、(パー)フルオロアルキルスルホン酸や過塩素酸、硫酸等の塩、それらの錯体や有機複合体が好ましいものとして例示される。たとえばCu(OTf)2、CuClO4、CuClO4・4CH3CN、Cu(BF42・xH2O等である。
【0031】
一方のキラルジアミン配位子化合物としては、分子構造中にエチレンジアミン構造をその一部として有するものが用いられる。この場合のアミノ基はイミン結合を有していてもよい。たとえば代表的なものとして、次式の各種のものが例示される。
【0032】
【化7】
JP0004310284B2_000008t.gif

【0033】
ここで、式中のRは、置換を有していてもよい炭化水素基を示し、この炭化水素基は、鎖状、環状のうちの各種のものでよく、置換基としても、ハロゲン原子をはじめ、アルキル基等の炭化水素基やアルコキシ基等を有していてもよい。また、上記式中のPh(フェニル基)においても置換基を有していてもよい。
【0034】
この出願の発明における以上のようなキラル触媒については、あらかじめ銅化合物とキラルジアミン配位子化合物とから錯体を調製して触媒として用いてもよいし、あるいは反応系において銅化合物とキラルジアミン配位子化合物とを混合して使用するようにしてもよい。触媒としての使用割合については、銅化合物もしくは銅化合物とキラルジアミン配位子化合物との錯体として、アゾ化合物に対し、通常、0.5~30モル%程度の割合とすることが考慮される。
【0035】
本発明における反応基質としてのアゾ化合物は、アゾ基(-N=N-)をもつものであり、前記の式(1)で示されるものが用いられる。この式(1)では、符号R1およびR2は、R1=R2であり、各々、-ORであって、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を示している。
【0036】
エナミド化合物としては、前記の式(2)として示されるものが用いられる。ここで符号R3,R4は、各々、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R5は、-Rcまたは-ORcであって、Rcは置換基を有していてもよい炭化水素基である。これらのうちの置換基を有していてもよい炭化水素基としては、前記の場合と同様に考慮することができる。なお、Rcがベンジルオキシ基や第3ブチルオキシ基の場合は、前記式(5A)(5B)を水素化分解や酸処理することにより脱保護して1級アミノ基に変換できる。
【0037】
アゾ化合物へのエナミンによる求核付加反応には、適宜な有機溶媒、たとえばトルエン等の炭化水素やハロゲン化炭化水素、ニトリル類、エーテル類等を用いてもよく、反応温度は、-40℃~40℃程度の範囲が適宜に採用される。雰囲気は大気中もしくは不活性雰囲気とすることができる。アゾ化合物とエナミド化合物との使用割合については、モル比として0.5~2程度の範囲で適宜とすることができる。また、反応系にはモレキュラーシーブ等の脱水剤を添加することも有効である。この添加は、キラル銅触媒の使用量を低減可能ともする。
【0038】
エナミド化合物の求核付加反応においては、前記の式(1)のアゾ化合物と式(2)のエナミド化合物との反応により、前記の式(3)で表わされる光学活性なイミノヒドラジン化合物がエナンチオ選択的に生成されることになる。
【0039】
この化合物を単離することなしに、または単離して、たとえばHCl,HBr等の水溶液による酸処理を施すことにより、前記式(4)で表わされる光学活性なα-ヒドラジケトン化合物を高い収率で、しかも優れたエナンチオ選択性で取得することができる。
【0040】
また、他方で、酸処理ではなく、還元処理を施すことにより、前記式(5A)(5B)のいずれかで表わされるアシルアミノヒドラジン化合物を高い収率で、しかも優れたエナンチオ選択性で取得することができる。この場合の還元処理は、たとえば、ホウ素還元剤化合物や金属水素化物または金属水素錯化合物を用いることができる。
そして、生成された光学活性なアシルアミノヒドラジン化合物は、たとえば、ヨウ化サマリウムあるいはラネーニッケルにより窒素-窒素結合を切断することで、対応する次式(6A)(6B)で表わさる光学活性なジアミン誘導体に変換できる。また、これらのジアミン誘導体は定法に従った脱保護操作により、光学活性なジアミンへと変換可能である。
JP0004310284B2_000009t.gif(式中のR3~R5は前記のものを示す。)
【0041】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
【実施例】
【0042】
<実施例1>


次の反応プロセスに従って、キラルジアミン配位子:3を合成した。
【0043】
【化8】
JP0004310284B2_000010t.gif

【0044】
(1)まず、文献(特開2002-128745)公知の方法に従って合成したジアミン:1(410mg、1.38mmol)の塩化メチレン溶液(8mL)にトリエチルアミン(280mg、2.76mmol)の塩化メチレン溶液(2mL)を加えて、その溶液を0℃に冷却した。その溶液にベンゾイルクロライド(388mg、2.76mmol)の塩化メチレン溶液(2mL)を徐々に滴下し、滴下後室温に昇温し4日間攪拌を続けた。その溶液を水で2回洗浄し、飽和重曹水で洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧下留去すると、NMRからほぼ純粋と判断されるジアミン化合物:2を定量的に得ることができた。それ以上精製操作することなくジアミン化合物:2を次の反応にそのまま用いた。
(2)ジアミン化合物:2(710mg、1.41mmol)のTHF溶液(7mL)を0℃に冷却し、BH-THFのTHF溶液(1.0M、21.4mL)を滴下し、滴下後溶液を12時間過熱還流した。メタノール(6mL)を加えた後、溶媒を留去、得られた残さにメタノール(6mL)と濃塩酸(10.5mL)を加え2時間過熱還流した。室温に降温した後2M NaOH水溶液(約50mL)を加えて溶液をアルカリ性にし、塩化メチレンで3回抽出を行った。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水炭酸カリウムで有機層を乾燥、ろ過を行った後溶媒を留去した。得られた残さをシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、キラルジアミン配位子:3(670mg)を50%の収率で得た。得られたキラルジアミン配位子:3はヘキサンから再結晶を行なうことで白色結晶として精製することもできた。
<実施例2>
実施例1と同様にして、次式
【0045】
【化9】
JP0004310284B2_000011t.gif

【0046】
で表わされるキラルジアミン配位子を合成し、このキラルジアミン配位子(9.9mg、0.022mmol)のトルエン溶液(1.5mL)をCu(OTF)2(7.2mg、0.02mmol)に加えて、12時間攪拌した。その溶液をトルエンにて10倍に希釈し、その溶液(0.3mL)を別のフラスコに移した。
【0047】
上記の方法で得た触媒溶液(0.3mL、0.4μmol)にトルエン(1.2mL)を加えて-10℃に冷却した。次いで、この触媒溶液を用いて、次に反応式に従ってアゾ化合物のエナミドによる不斉求核付加反応を行った。
【0048】
【化10】
JP0004310284B2_000012t.gif

【0049】
すなわち、上記触媒溶液にアゾ化合物(0.23mmol)のトルエン溶液(0.5ml)を加えて、さらにトルエン(0.7mL)を加えた。その後、エナミド(53.5mg,0.2mmol)のトルエン溶液(0.8mL)を加え、22時間攪拌を続けた。飽和重曹水を加えた後、塩化メチレンで3回抽出、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を留去し、エタノール(3mL)を加えた。HBr水溶液(48%、0.3mL)を加え、90秒攪拌した。0℃に冷却し飽和重曹水で完全に中和した。塩化メチレンで3回抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後溶媒を留去し、得られた残さを、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、β-ヒドラジケトン化合物を64.5mg、96%収率にて得た。光学収率は、HPLC(ADHカラム)にて97%eeと決定した。
<実施例3-5>
実施例2と同様にして、各種のキラル銅触媒を用いて次式の反応を行った。
【0050】
【化11】
JP0004310284B2_000013t.gif

【0051】
ここで、キラルジアミン配位子:4aは以下のものを示している。
【0052】
【化12】
JP0004310284B2_000014t.gif

【0053】
反応の結果を表1に示した。
【0054】
【表1】
JP0004310284B2_000015t.gif

【0055】
<実施例6>
実施例2と同様にして、各種のアゾ化合物を基質とし、Cu(BF42・xH2Oの銅化合物とキラルジアミン配位子:4a,4bとを用いて次式の反応を行った。
【0056】
【化13】
JP0004310284B2_000016t.gif

【0057】
その結果を表2に示した。
【0058】
【表2】
JP0004310284B2_000017t.gif

【0059】
<実施例7>
実施例2と同様に、各種キラルジアミン配位子を用いる場合について反応を行った。その結果を次の表3に示した。
【0060】
【表3】
JP0004310284B2_000018t.gif

【0061】
<実施例8>
実施例2と同様にして、エナミドのZ体とE体の差、溶媒の種類、モレキュラーシーブMS3Aの添加の有無による反応の評価を行った。その結果を表4に示した。E一体において、トルエン溶媒において、MS3Aを添加し、-20℃で反応させた場合に収率、光学純度ともに最良であることがこの実施例では確認された。
【0062】
【表4】
JP0004310284B2_000019t.gif

【0063】
<実施例9>
次の反応式に従って、触媒の使用割り分、反応温度、反応時間を各種変更して次の反応を行った。
【0064】
【化14】
JP0004310284B2_000020t.gif

【0065】
その結果を表5に示した。
【0066】
【表5】
JP0004310284B2_000021t.gif

【0067】
<実施例10>
触媒の使用量と、添加剤としてのモレキュラシーブ等の使用割合の関係について、Cu(BF42・xH2Oについて評価した。
【0068】
その結果を表6に示した。
【0069】
【表6】
JP0004310284B2_000022t.gif

【0070】
<実施例11>
次の反応式に従って、アゾ化合物へのエナミドの不斉求核付加反応を行い、その後、還元処理してアミノヒドラジノ化合物を合成した。
【0071】
【化15】
JP0004310284B2_000023t.gif

【0072】
還元反応を、NaBH4を用いてMeOH中で、0℃の温度、20分間行ったところ、エナミドからの収率が99%で、anti/syn=89/11の結果が得られた。-45℃の温度、70分間の反応では、収率は定量的であり、anti/syn=95/5であった。
<実施例12>
実施例11により得られたアミノヒドラジノ化合物を次の反応式に従って処理し、アミノ基の置換基Cbzを脱離させた。反応収率は78%であった。
【0073】
【化16】
JP0004310284B2_000024t.gif