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明細書 :光学活性ホスホラン化合物とその製造方法並びに不斉反応用配位子とこれを用いた不斉反応方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4496100号 (P4496100)
公開番号 特開2006-206555 (P2006-206555A)
登録日 平成22年4月16日(2010.4.16)
発行日 平成22年7月7日(2010.7.7)
公開日 平成18年8月10日(2006.8.10)
発明の名称または考案の名称 光学活性ホスホラン化合物とその製造方法並びに不斉反応用配位子とこれを用いた不斉反応方法
国際特許分類 C07F   9/6568      (2006.01)
B01J  31/24        (2006.01)
C07C  67/343       (2006.01)
C07C  69/618       (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07F 9/6568 CSP
B01J 31/24 Z
C07C 67/343
C07C 69/618
C07B 53/00 B
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 6
全頁数 13
出願番号 特願2005-024615 (P2005-024615)
出願日 平成17年1月31日(2005.1.31)
審査請求日 平成18年6月26日(2006.6.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】秋山 良
【氏名】小泉 昌稔
【氏名】眞鍋 敬
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】安田 周史
参考文献・文献 特開2002-069086(JP,A)
特表2005-509012(JP,A)
調査した分野 C07F 9/00-19/00
C07F 1/00-5/06
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
JSTPlus(JDreamII)
JMEDPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
JCHEM(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
次式(1)(2)
【化1】
JP0004496100B2_000016t.gif
(式中のR1は炭素数6~14のアリール基を示し、R2、R3、R4、R5、R6、これらのうち隣接するいずれか2つ同士が結合してベンゼン環を構成し、それ以外は各々一対の水素原子を示す。
のいずれかで表わされる光学活性なホスホラン化合物。
【請求項2】
請求項1の式(1)で表わされる光学活性なホスホラン化合物の製造方法であって、次式(3)
【化2】
JP0004496100B2_000017t.gif
(式中のR1は前記のものを示し、Xは、水酸基またはハロゲン原子を示す)
で表わされる光学活性なホスホランカルボン酸類のボラン錯体を次式
JP0004496100B2_000018t.gif(式中のR2~R6は前記のものを示す。)
で表わされるアミンと反応させる工程と、アミンとの反応により得られたボラン錯体を脱ボラン化する工程とを含むことを特徴とする光学活性なホスホラン化合物の製造方法。
【請求項3】
請求項1の式(2)で表わされる光学活性なホスホラン化合物の製造方法であって、次式(3)
【化3】
JP0004496100B2_000019t.gif
(式中のR1は前記のものを示し、Xは、水酸基またはハロゲン原子を示す)
で表わされる光学活性なホスホランカルボン酸類のボラン錯体を次式
JP0004496100B2_000020t.gif(式中のR2~R6は前記のものを示す。)
で表わされるアミンと反応させ得られた次式(4)
【化4】
JP0004496100B2_000021t.gif
(式中のR1~R6は前記のものを示す。)
で表わされるボラン錯体のカルボニル基を還元する工程と、これにより得られたボラン錯体を脱ボラン化する工程とを含むことを特徴とする光学活性なホスホラン化合物の製造方法。
【請求項4】
請求項1の光学活性なホスホラン化合物であることを特徴とする不斉反応用配位子。
【請求項5】
請求項1の光学活性なホスホラン化合物を不斉配位子として反応系に存在させることを特徴とする不斉反応方法。
【請求項6】
パラジウム触媒不斉アリル化反応であることを特徴とする請求項5の不斉反応方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、農薬、香料、その他各種のファインケミカルズの合成における不斉反応用配位子として有用な光学活性ホスホラン化合物とその製造方法並びにこのものからなる不斉反応用配位子とこれを用いた不斉反応方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遷移金属錯体を用いる不斉合成反応では、配位子として光学活性ホスフィンが有効であるとされ、これまでにBINAPに代表される多くの光学活性ジホスフィン類が開発されている(非特許文献1)。一方、含窒素化合物を配位子とした不斉金属触媒を用いる触媒的不斉合成反応の例も多く、中でもプロリンより誘導される光学活性ジアミン-金属錯体は、向山アルドール反応、アルキル化反応、還元反応などにおいて高い選択性を実現している(非特許文献2~4)。
【0003】
そこで本発明者らは、プロリンに代わる不斉源として、次式のようにプロリンの窒素原子をリン原子に置き換えたホスホラン-2-カルボン酸を開発し、その合成及び不斉配位子への応用を提案している(特許文献1)。
【0004】
【化5】
JP0004496100B2_000002t.gif

【0005】
なお、このホスホラン-2-カルボン酸においては、リン原子上に置換基が入ることで、次式
【0006】
【化6】
JP0004496100B2_000003t.gif

【0007】
に示したように、5員環の1位と2位の立体構造により(1R,2R)、(1R,2S)、(1S,2R)、(1S,2S)4種の立体異性体が存在する。
【0008】
これらの全異性体について、本発明者らは、不斉反応またはラセミ体の合成後のジアステレオ分割と光学分割により純粋に得ることのできる方法を開発してもいる(特許文献1、非特許文献5-6)。
【0009】
そして、Zhangらはリン原子上を硫黄で保護したホスホランを用いて上記ホスホラン-2-カルボン酸の誘導体を合成し、これを用いた不斉反応を展開している(非特許文献7~8)。
【0010】
だが、上記のように、不斉源としてのリン原子を有する分子としてホスホラン-2-カルボン酸、そしてその誘導体が注目されているところであるが、不斉反応においてより高い反応収率と選択性を実現するための分子構造やその製造方法、そして不斉反応への実際の応用については技術として端初が拓かれたばかりである。

【非特許文献1】Catalytic Asymmetric Synthesis, 2nd. ed; Ojima, I., Ed: Weinheim, 2000.
【非特許文献2】Kobayashi, S.; Horibe, M. Chem. Eur. J. 3, 1472(1997).
【非特許文献3】Minowa, N.; Mukaiyama, T. Bull. Chem. Soc. Jon., 60, 3697(1987).
【非特許文献4】Falorni, M., Giacomelli, G.; Marchetti, M.; Culeddu, N.; Lardicci, L. Tetrahedron: Asymmetry 2, 287(1991).
【非特許文献5】Sun, K. Manabe, W. W.-L. Lam, N. Shiraishi, J. Kobayashi, M. Shiro, H. Utsumi, S. Kobayashi, Chem. Eur. J., 11, 361-368 (2005).
【非特許文献6】Kobayashi, S.; Shiraishi, N.; Lam, W. W.-L.; Manabe, K. Tetrahedron Lett. 2000, 42, 7303.
【非特許文献7】Tang, W.; Zhang, X. Angew. Chem. Int. Ed. 2002, 41, 1612.
【非特許文献8】Tang, W.; Wang, W.; Zhang, X. Angew. Chem. Int. Ed. 2003, 42, 943.
【特許文献1】特開2002-69086
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のとおりの背景から、これまでの発明者らの検討の実績とその知見を踏まえ、不斉反応を高い反応収率と選択性で行なうことを可能とする不斉配位子を提供することを課題とし、より詳しくは、不斉源としてのリン原子とともに窒素原子にも着用し、新しいP,N-型不斉配位子とこれを用いた不斉反応方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するものとして、以下のことを特徴としている。
【0013】
第1:次式(1)(2)
【0014】
【化7】
JP0004496100B2_000004t.gif

【0015】
(式中のR1は炭素数6~14のアリール基を示し、R2、R3、R4、R5、R6、これらのうち隣接するいずれか2つ同士が結合してベンゼン環を構成し、それ以外は各々一対の水素原子を示す。
のいずれかで表わされる光学活性なホスホラン化合物。
【0016】
第2:上記の式(1)で表わされる光学活性なホスホラン化合物の製造方法であって、次式(3)
【0017】
【化8】
JP0004496100B2_000005t.gif

【0018】
(式中のR1は前記のものを示し、Xは、水酸基またはハロゲン原子を示す)
で表わされる光学活性なホスホランカルボン酸類のボラン錯体を次式
JP0004496100B2_000006t.gif(式中のR2~R6は前記のものを示す。)
で表わされるアミンと反応させる工程と、アミンとの反応により得られたボラン錯体を脱ボラン化する工程とを含むことを特徴とする光学活性なホスホラン化合物の製造方法。
【0019】
第3:上記の式(2)で表わされる光学活性なホスホラン化合物の製造方法であって、次式(3)
【0020】
【化9】
JP0004496100B2_000007t.gif

【0021】
(式中のR1およびXは前記のものを示す。)
で表わされる光学活性なホスホランカルボン酸類のボラン錯体を次式
HNR23
(式中のR2およびR3は前記のものを示す。)
で表わされるアミンと反応させ得られた次式(4)
【0022】
【化10】
JP0004496100B2_000008t.gif

【0023】
(式中のR1は前記のものを示し、Xは、水酸基またはハロゲン原子を示す)
で表わされる光学活性なホスホランカルボン酸類のボラン錯体を次式
JP0004496100B2_000009t.gif(式中のR2~R6は前記のものを示す。)
で表わされるアミンと反応させ得られた次式(4)
【化4】
JP0004496100B2_000010t.gif
(式中のR1~R6は前記のものを示す。)
で表わされるボラン錯体のカルボニル基を還元する工程と、これにより得られたボラン錯体を脱ボラン化する工程とを含むことを特徴とする光学活性なホスホラン化合物の製造方法。
【0024】
第4:上記の光学活性なホスホラン化合物である不斉反応用配位子。
【0025】
第5:上記の光学活性なホスホラン化合物を不斉配位子として反応系に存在させる不斉反応方法。
【0026】
第6:パラジウム触媒不斉アリル化反応である上記の不斉反応方法。
【発明の効果】
【0027】
上記のとおりのこの出願の発明によれば、不斉反応を高い反応収率と選択性で行うことを可能とする不斉配位子が提供され、不斉源としてのリン原子とともに窒素原子にも着目した、新しいP,N-型不斉配位子として不斉反応方法に有効に用いられることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0029】
前記の式(1)(2)のいずれかで表わされる本発明の光学活性なホスホラン化合物では、符号R1は炭素数6~14のアリール基であり、また、2、R3、R4、R5、R6は、これらのうち隣接するいずれか2つ同士が結合してベンゼン環を構成し、それ以外は各々一対の水素原子を示す。
【0030】
上記のR1としてのアリール基は、フェニル基、ナフチル基ビフェニル基、アントラニル基等の単環、多環のいずれでもよい
【0032】
本発明の上記のとおりのホスホラン化合物(1)(2)については、たとえば後述の実施例の方法に沿って、式(3)で表わされるホスホランカルボン酸類のボラン錯体を出発物質として、これに次式
JP0004496100B2_000011t.gif(式中のR2~R6は前記のものを示す。)
で表わされるアミンを反応させて式(1)のホスホラン化合物を導くことや、上記アミンとの反応により生成する式(4)の反応中間体を経由して、このものを還元することで製造することができる。
【0034】
なお、上記の反応出発物質としての式(3)で表わされるホスホランカルボン酸類のボラン錯体については、たとえば、本発明者がすでに開発している方法(非特許文献5、特許文献1)に従って、次式
【0035】
【化12】
JP0004496100B2_000012t.gif

【0036】
で表わされる1-アリール(R1)ホスホラン ボラン錯体を二酸化炭素(CO2)と反応させることでカルボキシル基を導入することから調製することができる。
【0037】
そして、本発明の光学活性なホスホラン化合物は、不斉反応用配位子として用いられる。触媒的不斉反応のための配位子である。
【0038】
適用される不斉反応は各種のものであってよく、たとえば後述の実施例にも例示したようなパラジウム触媒を用いる不斉アリル化反応のための不斉配位子である。なお、パラジウム触媒アリル化反応は、文献(たとえば、Chem. Rev., 1996, 96, 395; Catalytic Asymmetric Synthesis, 2nd, ed, 2000)により公知の方法である。
【0039】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
【実施例】
【0040】
<実施例1>
次の反応式
【0041】
【化13】
JP0004496100B2_000013t.gif

【0042】
に従って、文献公知(非特許文献5、特許文献1)の方法により合成した (1R,2S)-1-フェニルホスホラン-2-カルボン酸-ボラン錯体(222.1 mg, 1.0 mmol)及び1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(199.8 mg, 1.5 mmol)の塩化メチレン(5 mL)溶液に、氷冷下で1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド・塩酸塩(EDC)(287.6 mg, 1.5 mmol)を少しずつ加え、氷冷下4時間撹拌した。水と塩化メチレンを加えて反応を停止し、有機相と水相を分離した。有機相を飽和食塩水で洗浄した後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶液を減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、cis体である(1R,2R)-1-フェニルホスホラン-2-カルボン酸-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンアミド-ボラン錯体(14.5 mg, 収率4%)及びtrans体である(1R,2S)-1-フェニルホスホラン-2-カルボン酸-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンアミド-ボラン錯体(275.5 mg, 収率82%)をそれぞれ得た。得られた(1R,2R)-1-フェニルホスホラン-2-カルボン酸-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンアミド-ボラン錯体及び(1R,2S)-1-フェニルホスホラン-2-カルボン酸-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンアミド-ボラン錯体は、それそれの回転異性体の混合物であった。
【0043】
同様の反応条件下、(1R,2R)-1-フェニルホスホラン-2-カルボン酸-ボラン錯体(222.1 mg, 1.0 mmol)より(1R,2S)-1-フェニルホスホラン-2-カルボン酸-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンアミド-ボラン錯体の合成を行った。(1R,2R)-1-フェニルホスホラン-2-カルボン酸-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンアミド-ボラン錯体(258.4 mg, 収率77%)、(1R,2S)-1-フェニルホスホラン-2-カルボン酸-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンアミド-ボラン錯体(8.0 mg, 収率2%)
物性値は以下のとおりである。
(1R,2S)-体: viscous colorless oil; 1H-NMR (600 MHz, CDCl3) d 0.71 (3H, J = 149.8 Hz), 2.11-6.39 (13H,m), 7.03-7.86 (9H, m); 13C-NMR (150 MHz, CDCl3) d 25.76 (d, J = 4.3 Hz), 28.22 (d, J = 7.2 Hz), 28.45, 28.50, 29.43, 31.67 (d, J = 4.3 Hz), 31.73 (d, J = 4.3 Hz), 40.31, 43.35, 43.54, 44.19, 44.36, 44.87, 47.79, 125.70, 125.97, 126.41, 126.54, 126.68, 126.72, 127.91, 128.82, 129.22, 129.29, 130.68 (d, J = 17.2 Hz), 130.96 (d, J = 17.2 Hz), 131.67, 131.73, 131.81, 131.87, 131.93, 133.28, 133.96, 135.15, 167.57, 168.06; 31P-NMR (243 MHz, CDCl3) d 39.40 (d, J = 46.0 Hz), 41.54 (d, J = 46.0 Hz) ; IR (KBr) 2938, 2381, 1642, 1434 cm-1; MS (ESI) m/z 360 (M + Na+); Anal. Calcd for C20H25BNOP: C, 71.24; H, 7.47; N, 4.15; Found: C, 71.20; H, 7.56; N, 4.08.
(1R,2R)-体: colorless prism; mp 75.7-76.9 oC; 1H-NMR (600 MHz, CDCl3) d 1.00 (3H, J = 111 Hz), 1.73-4.78 (13H, m), 6.86-7.76 (9H, m); 13C-NMR (150 MHz, CDCl3) d 26.56, 26.73, 27.12, 27.38, 27.66, 27.68, 29.16, 31.28, 31.54, 39.85, 43.26, 43.34, 43.48, 43.65, 44.39, 47.04, 125.41 (d, J = 44.5 Hz), 126.23 (d, J = 44.5 Hz), 126.19, 126.30, 126.45, 128.00, 128.10 (d, J = 10.1 Hz), 128.32 (d, J = 10.1 Hz), 128.57, 131.53, 131.89, 132.08, 132.68, 132.81, 132.87, 132.92, 133.96, 134.32, 167.15 (d, J = 4.3 Hz), 167.69 (d, J = 4.3 Hz); 31P-NMR (243 MHz, CDCl3) d 37.37 (d, J = 72.4 Hz), 37.67 (d, J = 72.4 Hz); IR (KBr) 3051, 2938, 2394, 2360, 2332, 1641, 1497, 1433 cm-1; MS (ESI) m/z 360 (M + Na+); Anal. Calcd for C20H25BNOP: C, 71.24; H, 7.47; N, 4.15; Found: C, 71.12; H, 7.62; N, 4.06.
また、上記で合成した(1R,2S)-1-フェニルホスホラン-2-カルボン酸-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンアミド誘導体-ボラン錯体をジエチルアミンで処理して、(1R,2S)-1-フェニルホスホラン-2-カルボン酸-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンアミド誘導体を得た。同様に、(1R,2R)-1-フェニルホスホラン-2-カルボン酸-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンアミド誘導体-ボラン錯体をジエチルアミンで処理して、(1R,2R)-1-フェニルホスホラン-2-カルボン酸-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンアミド誘導体を得た。
<実施例2>
次の反応式
【0044】
【化14】
JP0004496100B2_000014t.gif

【0045】
に従って、実施例1において合成した(1R,2S)-フェニルホスホラン-カルボン酸アミド誘導体-ボラン錯体(160.8 mg, 0.48 mmol)のTHF(5 mL)溶液にボランのTHF溶液(1.0 M, 4.7 mL, 4.7 mmol)を滴下し、その後40 oCにて14時間撹拌した。室温まで方冷した後水と塩化メチレンを加えて反応を停止し、有機相と水相を分離した。有機相を飽和食塩水で洗浄した後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶液を減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、(1R,2S)-1-フェニルホスホラン-2-アミン誘導体-ボラン錯体を回転異性体及びN-ボラン錯体と非N-ボラン錯体の混合物として82.6 mg得た。
【0046】
次いで、得られた(1R,2S)-フェニルホスホラン-アミン誘導体-ボラン錯体をジエチルアミン(1.2 mL)に溶解し、45 oCにて5時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、(1R,2S)-フェニルホスホラン-アミン誘導体(45.7 mg, 0.18 mmol, 収率39%(2ステップ))を白色の固形物として得た。
【0047】
同様の反応条件下、(1R,2R)-フェニルホスホラン-カルボン酸アミド誘導体-ボラン錯体(221.7 mg, 0.66 mmol)より(1R,2R)-フェニルホスホラン-アミン誘導体の合成を行った。(1R,2R)-フェニルホスホラン-アミン誘導体(87.2 mg, 0.28 mmol, 収率43%(2ステップ))
生成物の物性値は以下のとおりである。
(1R,2S)-体: colorless oil; [a]20D -52.3o (c 1.0, EtOH); 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d 1.46-1.56 (1H, m), 1.73-1.85 (1H, m), 1.87-2.11 (4H, m), 2.52-2.61 (1H, m), 2.67-2.89 (6H, m), 3.62 (1H, d, J = 15.1 Hz), 3.74 (14.7 Hz), 6.97-7.14 (4H, m), 7.22-7.30 (3H, m), 7.44-7.48 (2H, m); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) d 26.03 (d, J = 11.4 Hz), 27.88 (d, J = 2.9 Hz), 28.91, 33.35, 42.99 (d, J = 10.49 Hz), 50.83, 56.32, 62.68 (d, J = 36.2 Hz), 126.02, 126.56, 127.50, 128.28 (d, J = 5.9 Hz), 128.59, 130.73, 130.89, 134.44, 141.84 (d, J = 21.9 Hz); 31P-NMR (243 MHz, CDCl3) d 4.18; IR (neat) 3068, 2929, 2795, 1585, 1497, 1430, 1372, 1193, 740 cm-1; HRMS (ESI) calcd for C11H13O2P (M + H+) 310.1719, Found 310.1718.
(1R,2R)-体: white solid; mp 64.1-64.2 oC; [a]20D -113.6o (c 0.60, EtOH); 1H-NMR (600 MHz, CDCl3) d 1.36-1.41 (1H, m), 1.72-1.76 (1H, m), 1.96-2.38 (7H, m), 2.55-2.66 (2H, m), 2.88 (2H, m), 3.43 (1H, d, J = 14.4 Hz), 3.61 (1H, d, J = 15.1 Hz), 6.98-7.31 (7H, m), 7.51 (2H, m); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) d 23.03 (d, J = 11.4 Hz), 26.37 (d, J = 2.9 Hz), 28.82, 31.85 (d, J = 4.3 Hz), 40.36 (d, J = 12.4 Hz), 50.67, 55.83, 58.30, 125.58, 126.05, 126.56, 127.72 (d, J = 6.7 Hz), 128.44, 128.57, 133.84, 134.02, 134.34, 136.; 31P-NMR (162 MHz, CDCl3) d 9.82; IR (KBr) 3064, 2935, 2861, 2786, 2753, 1425, 1375, 744 cm-1,; HRMS (ESI) calcd for C11H13O2P (M + H+) 310.1719, Found 310.1706.
<実施例3>
次の反応式
【0048】
【化15】
JP0004496100B2_000015t.gif

【0049】
に従って、マロン酸ジエチルのパラジウム触媒を用いての不斉アリル化反応を行った。不斉配位子としては、光学活性なホスホラン化合物の(1R,2S)-10と(1R,2R)-10とを各々4mol%の割合で用いた。その結果、配位子(1R,2S)-10の場合には、光学活性なアリル化反応生成物は、96%収率、45%eeで得られた。一方、配位子(1R,2R)-10の場合には、97%収率、94%eeの高い収率と選択性で得られた。
【0050】
なお、(1R,2R)-10配位子の場合、その使用量については、パラジウム触媒の2倍以上においてより優れた反応収率と選択性が得られることが確認された。