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明細書 :電子透かし挿入/抽出装置及び方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4257444号 (P4257444)
公開番号 特開2005-223651 (P2005-223651A)
登録日 平成21年2月13日(2009.2.13)
発行日 平成21年4月22日(2009.4.22)
公開日 平成17年8月18日(2005.8.18)
発明の名称または考案の名称 電子透かし挿入/抽出装置及び方法
国際特許分類 H04N   1/387       (2006.01)
FI H04N 1/387
請求項の数または発明の数 9
全頁数 35
出願番号 特願2004-029933 (P2004-029933)
出願日 平成16年2月5日(2004.2.5)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成15年11月27日 社団法人日本リモートセンシング学会主催の「第35回学術講演会」において文書をもって発表
審査請求日 平成19年1月16日(2007.1.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
【識別番号】505296773
【氏名又は名称】株式会社サインズ
発明者または考案者 【氏名】新井 康平
【氏名】瀬戸 要
個別代理人の代理人 【識別番号】100099634、【弁理士】、【氏名又は名称】平井 安雄
審査官 【審査官】渡辺 努
参考文献・文献 特開2003-264683(JP,A)
特開2003-338921(JP,A)
特開2003-224708(JP,A)
調査した分野 H04N 1/387
特許請求の範囲 【請求項1】
多バンド原データに鍵データを埋め込むデータ・ハイディング方法において、
多バンド原データに対して主成分変換を前処理として行い、当該主成分変換後の各主成分データのうち全主成分データを除く、少なくとも1つの主成分データに対して可逆であるウェーブレット変換を行い、可逆であるウェーブレット変換後の主成分データの高周波成分に前記鍵データを埋め込み、当該鍵データ埋め込み後の主成分データを双直交ウェーブレット逆変換し、主成分逆変換をして流通用多バンドデータを生成することを
特徴とするデータ・ハイディング方法。

【請求項2】
前記請求項1に記載のデータ・ハイディング方法において、
前記多バンド原データが、2次元画像、2次元動画像、3次元静止画像又は3次元動画像であることを
特徴とするデータ・ハイディング方法。
【請求項3】
多バンド原画像データに鍵画像を埋め込むデータ・ハイディング方法において、
多バンド原画像データに対して主成分変換を前処理として行い、当該主成分変換後の各主成分画像のうち全主成分画像を除く、少なくとも1つの主成分画像に対して可逆であるウェーブレット変換を行い、可逆であるウェーブレット変換後の主成分画像の高周波成分に前記鍵画像を埋め込み、当該鍵画像埋め込み後の主成分画像を双直交ウェーブレット逆変換し、主成分逆変換をして流通用多バンド画像を生成することを
特徴とするデータ・ハイディング方法。

【請求項4】
多バンド原画像データに鍵画像を埋め込むデータ・ハイディン
グ方法において、
多バンド原画像データに主成分変換を前処理として行い第1主成分画像を生成し、当該第1主成分画像に対して可逆であるウェーブレット変換を行い、可逆であるウェーブレット変換後の第1主成分画像のうち高周波成分に前記鍵画像を埋め込み、当該鍵画像埋め込み後の第1主成分画像に双直交ウェーブレット逆変換し、他の主成分画像と伴に主成分逆変換して流通用多バンド画像を生成することを
特徴とするデータ・ハイディング方法。
【請求項5】
前記請求項1ないし4のいずれかに記載のデータ・ハイディング方法において、
前記多バンド原データ若しくは多バンド原画像データの一部のバンドのみに前処理することを
特徴とするデータ・ハイディング方法。
【請求項6】
前記請求項1ないし5のいずれかに記載のデータ・ハイディング方法により生成された流通用多バンドデータ若しくは流通用多バンド画像に対して、前記前処理で使用したパラメータを使用して主成分変換し、可逆であるウェーブレット変換することにより鍵データ若しくは鍵画像を復号することを
特徴とする復号方法。
【請求項7】
前記請求項1ないし5のいずれかに記載のデータ・ハイディング方法において、
鍵画像を埋め込む場合に、ヒルベルト・スキャン方式、ジグザグ・スキャン方式又はランダム・スキャン方式を用いることを
特徴とするデータ・ハイディング方法。
【請求項8】
前記請求項7に記載のデータ・ハイディング方法により生成された流通用多バンドデータ若しくは流通用多バンド画像に対して、前記前処理で使用したパラメータを使用して主成分変換し、可逆であるウェーブレット変換し、鍵画像を埋め込む場合に用いた方式で抽出して復号することを
特徴とする復号方法。
【請求項9】
前記1ないし5又は7のいずれかに記載のデータ・ハイディング方法を実施可能な装置と、前記請求項6又は8に記載の復号方法を実施可能な装置とからなることを
特徴とするデータ・ハイディングシステム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、データ・ハイディングに関し、秘匿性を向上させると共に画質を出来得る限り維持するデータ・ハイディングに関する。
【背景技術】
【0002】
データ・ハイディングは、電子透かし技術やステガノグラフィ技術の総称であり、原画像に目立たぬように鍵画像を埋め込む技術である。データ・ハイディング手法は、原画像の実空間上において鍵情報を埋め込む手法(以下、実空間埋め込み手法とする)と、原画像の周波数空間上において鍵画像を埋め込む手法(以下、周波数空間埋め込み手法とする)とに大別できる。埋め込み後の画像に対して圧縮等の処理を施されても原画像の比較的影響を受けにくい特定の周波数帯に鍵画像を埋め込むことが可能であるという観点から、前者の実空間埋め込み手法に比べ後者の周波数空間埋め込み手法の方が鍵画像の情報を隠蔽する能力がある。前者の実空間埋め込み手法は、原画像のエッジ部分等を操作して鍵画像を埋め込む工夫が必要となる。後者の周波数空間埋め込み手法は、鍵画像を埋め込むべき原画像の周波数帯の決定が必要となる。後者の周波数空間埋め込み手法では、フーリエ変換又はDCTが通常使用されている。
【0003】
また、RGBカラーの原画像を用いたデータ・ハイディング手法も提案されている。原画像の情報量の観点から、カラー原画像を用いたデータ・ハイディングは、非カラー原画像を用いたデータ・ハイディングに比べ鍵画像を隠蔽する能力がある。カラーの原画像を用いたデータ・ハイディングは、原画像のある成分に対して鍵画像を埋め込む手法が用いられる。例えば、原画像のG成分に鍵画像を埋め込む手法が採用される。したがって、原画像のG成分に鍵画像を埋め込む場合、原画像のR成分およびB成分の情報は使用しないことになる。
【0004】
また、最近では、前記フーリエ変換又はDCTを用いるよりも秘匿性の観点から有効な手法として、特開2003-338921号公報に開示されるように、ウェーブレット変換を用い、原画像を周波数空間でサブバンド分解し、高周波数帯域に鍵画像を挿入する電子透かし挿入方法も提案されている。この電子透かし挿入方法も周波数空間埋め込み手法の一つである。また、ウェーブレット変換自体は、電子透かしではないが、JPEG2000及びMPEG4でも採用されている変換である。

【特許文献1】特開2003-338921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記背景技術は以上のように構成され、実空間埋め込み手法に比べ周波数空間埋め込み手法は有効であり、さらに、周波数空間埋め込み手法のうちウェーブレット変換を用いた手法は特に有効である。しかしながら、鍵画像のデータ量が大きい場合には、ウェーブレット変換を用いた手法であっても埋め込み後の原画像の表示においてノイズが大きく表れ、第3者にデータ・ハイディングされたものを意識させないという要求を満たせなくなるという課題を有する。また、第三者にウェーブレット変換に用いられる関数を発見された場合、埋め込み後の原画像から鍵画像を抽出することが可能となり、十分な秘匿性が確保されていないという課題も有する。
【0006】
具体的にウェーブレット変換を用いた手法を示す。2次元信号に対してウェーブレット分解を行うと4成分[1低周波成分(LL1成分)と3高周波成分(LH1成分、HL1成分、HH1成分)]が生成される。また、LL1成分に対してウェーブレット分解を行うと4成分(LL2成分、LH2成分、HL2成分、HH2成分)がさらに生成される。図18は、ウェーブレット多重解像度解析の概念図を示す。図18は、ウェーブレット分解を3回まで、施した例である。双直交ウェーブレットを採用し、且つ、ウェーブレット分解後の4成分が存在すれば、誤差零で与えられた2次元信号は復元される。直交ウェーブレットは、双直交ウェーブレットの1種である。すなわち、双直交ウェーブレット変換は逆変換可能である。データ・ハイディングは、多バンド原画像のいずれかのバンド画像に対してウェーブレット分解を行い(図19(a)(b))、ウェーブレット分解後の高周波成分に鍵画像を挿入し(図20(a))、ウェーブレット再構成によりデータ・ハイディング画像を生成する(図20(b))。なお、図20においては、鍵画像をLH1成分に挿入した例示である。鍵画像をHL1成分やHH1成分やHH2成分等に挿入することも可能である。図20(a)は鍵画像をHH成分以外に挿入することも可能であることを示している。鍵画像を挿入する成分が変更可能であるということは、多重解像度解析に基づくデータ・ハイディングが鍵画像の情報を保護する能力があるということである。多バンド原画像は図3(a)であるが、データ・ハイディング画像(図20(b))と比べると、明らかに画質が劣化していることが分かる。
【0007】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、ウェーブレット変換を用いたデータ・ハイディング方法であって、秘匿性を向上させると共に、鍵画像のデータ量が大きい場合であっても埋め込み後の原画像の表示が埋め込み前の原画像の表示の画質に出来る得るだけ近づけることができるデータ・ハイディング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るデータ・ハイディング方法は、多バンド原データに対して主成分変換を前処理として行い、当該主成分変換後の各主成分データのうち全主成分データを除く、少なくとも1つの主成分データに対して可逆であるウェーブレット変換を行い、可逆であるウェーブレット変換後の主成分データの高周波成分に前記鍵データを埋め込み、当該鍵データ埋め込み後の主成分データを双直交ウェーブレット逆変換し、主成分逆変換をして流通用多バンドデータを生成するものである。このように本発明においては、多バンド原データを前処理し、当該前処理後の各主成分データのうち全主成分データを除く、少なくとも1つの主成分データに可逆であるウェーブレット変換を行い、可逆であるウェーブレット変換後の主成分データの高周波成分に前記鍵データを埋め込み、当該鍵データ埋め込み後の主成分データを双直交ウェーブレット逆変換し、主成分逆変換をして流通用多バンドデータを生成するので、原データがエネルギー毎の主成分データに分割され、鍵データを埋め込む主成分データを選択でき第三者からみるとどの主成分データに鍵データを埋め込んだのかが分からず秘匿性を向上させることができると共に、適切な主成分データに鍵データを埋め込むことで原データに対比する画質を維持することができる。ここで、多バンド原データとは、明示している場合を除き、単一バンド原データを含む。ただし、単一バンド原データの場合には、秘匿性のみの効果を有する。原データは、(256×バンド数)階調のデータであるとは限らず、また、整数値のデータであるとも限らない。鍵データは、bit(ビット)列になるもの全てであり、2次元静止単バンド画像とは限らない。また、鍵データをbit列に変換し、その順番を入れ替える作業を行った後のデータを原データに埋め込むこともでき、すなわち、鍵データのbit列そのものの順番に原データへ埋め込むとは限らず、これは各種スキャン方式の採用することで実現することができる。鍵データをbit列に変換し、その順番を入れ替える作業を行うユニットと、そのユニットの作業内容を記憶するユニットと、これらユニットを第3者からの攻撃から防るユニットがあることが好ましい。

【0009】
また、本発明に係るデータ・ハイディング方法は必要に応じて、前記多バンド原データが、2次元画像、2次元動画像、3次元静止画像又は3次元動画像であるものである。このように本発明においては、原データが2次元画像、2次元動画像、3次元静止画像又は3次元動画像であり、現在主に流通し、且つ、著作者の保護がなされるべきメディアに対してデータ・ハイディングすることが可能であり、適用範囲が大きい。なお、原データは、2次元画像、2次元動画像、3次元静止画像又は3次元動画像としたが、これらの原データに音声やドキュメントのデータが包含されていてもよい。また、原データが音声やドキュメント等であったとしても、本発明を適用することができる。適用することができる範囲としては、原データが小さな意味がある要素の集まりからなっている場合には包含される。すなわち、画像等は画素という要素からなり、音声も所定期間の音の要素からなるからである。言い換えれば、自然法則を用いて圧縮効率のよいものは本発明を適用することでの効果が期待できる。
【0010】
本発明に係るデータ・ハイディング方法は、多バンド原画像データに対して主成分変換を前処理として行い、当該主成分変換後の各主成分画像のうち全主成分画像を除く、少なくとも1つの主成分画像に対して可逆であるウェーブレット変換を行い、双直交ウェーブレット変換後の主成分画像の高周波成分に前記鍵画像を埋め込み、当該鍵画像埋め込み後の主成分画像を双直交ウェーブレット逆変換し、主成分逆変換をして流通用多バンド画像を生成するものである。


【0011】
また、本発明に係るデータ・ハイディング方法は、多バンド原画像データに主成分変換を前処理として行い第1主成分画像を生成し、当該第1主成分画像に対して双直交ウェーブレット変換を行い、双直交ウェーブレット変換後の第1主成分画像のうち高周波成分に前記鍵画像を埋め込み、当該鍵画像埋め込み後の第1主成分画像に双直交ウェーブレット逆変換し、他の主成分画像と伴に主成分逆変換して流通用多バンド画像を生成するものである。このように本発明において、前処理としての主成分変換後の第1主成分画像に対して双直交ウェーブレット変換、鍵画像の埋め込みを行っており、再構成して流通用多バンド画像としているので、エネルギーが集中する第1主成分画像に対して鍵画像を埋め込むことで再構成する過程で鍵画像が良く隠蔽され、再構成して流通用多バンド画像となったときには外部から鍵画像が認識されることないぐらい原画像データに対しての画質が維持されている。
【0012】
また、本発明に係るデータ・ハイディング方法は必要に応じて、前記多バンド原データ若しくは多バンド原画像データの一部のバンドのみに前処理するものである。このように本発明においては、前記多バンド原データ若しくは多バンド原画像データの一部のバンドのみに前処理し、以下、双直交ウェーブレット変換、鍵画像の埋め込み、再構成しているので、どのバンドに対してこれらの各種処理を行ったを判別することが困難となって、秘匿性を著しく向上させることができる。
【0013】
本発明に係る複合方法は、前記データ・ハイディング方法により生成された流通用多バンドデータ若しくは流通用多バンド画像に対して、前記前処理で使用したパラメータを使用して主成分変換し、双直交ウェーブレット変換することにより鍵データ若しくは鍵画像を復号するものである。
【0014】
本発明に係るデータ・ハイディング方法は必要に応じて、鍵画像を埋め込む場合に、ヒルベルト・スキャン方式、ジグザグ・スキャン方式ランダム・スキャン方式を用いるものである。このように本発明においては、鍵画像を埋め込む場合に、ヒルベルト・スキャン方式、ジグザグ・スキャン方式又はランダム・スキャン方式を用いるので、スキャン方式が単純なラスタ・スキャン方式ではないため外観から鍵データを抽出することが困難となって秘匿性が高い。
【0015】
本発明に係る復号方法は、前記データ・ハイディング方法により生成された流通用多バンドデータ若しくは流通用多バンド画像に対して、前記前処理で使用したパラメータを使用して主成分変換し、双直交ウェーブレット変換し、双直交ウェーブレット変換し、鍵画像を埋め込む場合に用いた方式で抽出して復号するものである。
【0016】
本発明に係るデータ・ハイディングシステムは、前記データ・ハイディング方法を実施可能な装置と、前記復号方法を実施可能な装置とからなるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(本発明の第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るデータ・ハイディング方法及び復号方法について図1又は図2に基づき説明する。図1は本実施形態に係るデータ・ハイディング方法の概要フローチャート、図2は本実施形態に係るデータ・ハイディング方法の鍵画像データの復号の概要フローチャートを示す。
【0018】
前記図1において本実施形態に係るデータ・ハイディング方法は、多バンド原画像の固有値及び固有ベクトルを算出し(ステップ1)、この算出された固有値及び固有ベクトルを安全に保存し(ステップ2)、算出された固有値及び固有ベクトルにより多バンド原画像を主成分変換し(ステップ3)、主成分変換後の第1主成分画像に対して双直交ウェーブレット変換し(ステップ4)、双直交ウェーブレット変換後の高周波成分に鍵データを埋め込み(ステップ5)、埋め込みの後双直交ウェーブレット逆変換を行い(ステップ6)、固有値及び固有ベクトルにより他の主成分画像と供に主成分逆変換し(ステップ7)て流通用多バンド画像を生成する構成である。
【0019】
データ・ハイディングの一般的な流れは、第1に多バンド原画像のいずれかのバンド画像に対してウェーブレット分解を行い、第2にウェーブレット分解後の高周波成分に鍵画像を挿入し、第3にウェーブレット再構成によりデータ・ハイディング画像を生成するといったものである。ここで重要なのが、第1の「多バンド原画像のいずれかのバンド画像に対して」という点である。背景技術では、多バンド原画像の特定成分以外は用いず、鍵画像をハイディングする。本実施形態では、多バンド原画像のエネルギー集中を実現する前処理として主成分変換が用いられ、鍵画像を第1主成分画像にハイディングする。主成分変換は、直交変換の1種であり、逆変換可能である。また、本発明は、3バンド原画像でない多バンド原画像に適用することもでき、さらには、1バンド原画像にも適用することもできる。ただし、1バンド原画像に適用した場合には、1バンド原画像自体が第1主成分画像となってしまう。よって、HSI変換等の3バンド原画像のみに適用可能な変換と比べ、主成分変換は柔軟に多バンド原画像に対応することができる。また、第1主成分画像に鍵画像をハイディングする理由は、第1主成分画像が多バンド原画像のエネルギーを最も集中させた画像だからである。
【0020】
前記固有値及び固有ベクトルは、主成分分析における固有値及び固有ベクトルであって多バンド原画像にから求められるものであり、分散共分散行列若しくは相関行列から特性方程式を用いて求める。
【0021】
固有値及び固有ベクトルを安全に保存しとは、多バンド原画像から算出した固有値及び固有ベクトルを第3者に知られないように保存することである。固有値及び固有ベクトルを第3者に知られると、この固有値及び固有ベクトルを用いて流通用多バンド画像に対し主成分変換が容易に行なわれ、さらに、双直交ウェーブレット変換を行なうことで鍵画像データを抽出することができるからできる。同様に、多バンド原画像自体も第三者に知られてはいけない。これは、多バンド原画像から固有値及び固有ベクトルを算出して、以下同様に流通用多バンド画像から鍵画像データを抽出することができるからである。
【0022】
主成分変換は、前記固有値及び固有ベクトルから第1主成分への変換式を求め、この第1主成分への変換式に多バンド原画像データを代入し、第1主成分画像を求める。主成分変換を如何様に行うかは、"空間データの数理"(金谷 著、朝倉書店)、"画像処理アルゴリズム"(斎藤 著、近代科学社)、"データとデータ解析"(栗原 著、放送大学教育振興会)に詳述され、かかる分野では周知技術となっている。
【0023】
双直交ウェーブレット変換は信号を周波数分割するために用いられる。この周波数分割することをサブバンド分割という。双直交ウェーブレット変換に用いられる関数としては、Daubechies関数、Harr関数等がある。これら双直交ウェーブレット変換を如何様に行うかは、"ウェーヴレット ビギナーズガイド"(榊原 著、東京電機大学出版局)、"ウェーブレット画像解析"(新島 著、科学技術出版)、"ウェーブレット解析の基礎理論"(新井 著、森北出版)、"ウェーブレット解析による地球観測衛星データの利用方法"(新井/L. Jameson 著、森北出版)、"ウェーブレットによる信号処理と画像処理"(中野/山本/吉田 著、共立出版)、"ウェーブレット解析とフィルタバンク"(G. ストラング/T. グエン、培風館)に詳述され、また、画像処理の技術分野では周知技術となっている。なお、フーリエ変換はフーリエ変換の定義から観測信号とsin関数/cos関数のみを用いて演算され、ウェーブレット変換はこれら以外の関数を用いた演算が可能であり、第三者から見ると、どのような関数を使用していることを解析することが困難であり、秘匿性が高い変換である。ただし、フーリエ変換もウェーブレット変換も可逆的な変換であれば、適用することができる。双直交ウェーブレット変換は可逆的なウェーブレット変換である。また、直交ウェーブレット変換は双直交ウェーブレット変換の一種である。直交ウェーブレット変換は変換の係数と逆変換の係数とが同じであるのに対し、双直交ウェーブレット変換は両者の係数が必ずしも同一ではなく、この点から双直交ウェーブレット変換の方が鍵データの保護の観点から好ましい。本発明に適用できる変換は少なくとも可逆であるウェーブレット変換であれば足り、その1つが双直交ウェーブレット変換である。なお、前記Daubechies関数を用いた双直交ウェーブレット変換及びHarr関数を用いた双直交ウェーブレット変換は、双直交ウェーブレット変換であると共に、直交ウェーブレット変換である。
【0024】
以上、鍵画像をハイディングする説明を行ったが、次に、鍵画像が埋め込まれている流通用多バンド画像から復号する方法について説明する。背景技術では、単に、鍵画像がハイディングされた多バンド画像の特定成分のみに対してウェーブレット分解を行うことにより実現されていた。本実施形態に係るデータ・ハイディングに対する復号においては、鍵画像がハイディングされる前の多バンド原画像に主成分変換を行った際の係数(パラメータともいう)を取得し(ステップ11)、この係数を用いて主成分変換して(ステップ12)鍵画像がハイディングされた流通用多バンド画像に対して第1主成分画像を構成し、その第1主成分画像に対して双直交ウェーブレット分解を行い(ステップ13)、高周波成分から鍵データを抽出(ステップ14)することにより実現される。本実施形態に係るデータ・ハイディングに対する復号は、鍵画像をハイディングする前の多バンド原画像に主成分変換を行った際の係数を知っている場合のみ複合が可能となる。すなわち、鍵画像をハイディングする前の多バンド画像により、主成分変換の係数は異なる。HSI変換等の係数は周知であるため、第3者が鍵画像の情報を入手する可能性がある。また、背景技術では、多バンド原画像の特定成分のみに鍵画像をハイディングするため、その特定成分に対してウェーブレット分解を行うことにより鍵画像情報を第3者が入手する可能性がある。すなわち、各バンド画像に対してウェーブレット分解を行うことにより鍵画像を第3者が入手する可能性がある。
【0025】
復号方法において、データ・ハイディング時に使用した双直交ウェーブレット変換の変換係数(双直交ウェーブレット逆変換の変換係数も同様)と、多バンド原画像の固有値及び固有ベクトルは重要なものであり、鍵画像データを復号する権原なき者が復号できないように管理されている必要がある。ここで、復号時に使用する固有値及び固有ベクトルはあくまでも多バンド原画像から算出されるものであり、流通用多バンド画像から算出されるものではない。また、多バンド原画像から固有値及び固有ベクトルは算出することができるため、結果的に多バンド原画像も管理されている必要がある。したがって、周知の画像を多バンド原画像として採用することは、得策ではない。
【0026】
このように本実施形態に係るデータ・ハイディング方法によれば、多バンド原画像の固有値及び固有ベクトルを算出し、この算出された固有値及び固有ベクトルを安全に保存し、算出された固有値及び固有ベクトルにより多バンド原画像を主成分変換し、主成分変換後の第1主成分画像に対して双直交ウェーブレット変換し、双直交ウェーブレット変換後の高周波成分に鍵画像を埋め込み、埋め込みの後双直交ウェーブレット逆変換を行い、固有値及び固有ベクトルにより他の主成分画像と供に主成分逆変換して流通用多バンド画像を生成するので、固有値及び固有ベクトル又は多バンド原画像のどちらか判明しなければ、鍵画像を復号することが困難であって秘匿性に優れると共に、エネルギーが一番集中している第1主成分画像に対して鍵画像をハイディングしているため、多バンド原画像に対する流通用多バンド画像の画質の劣化が十分に抑えられている。
【0027】
(その他の実施形態)
前記第1の実施形態においては、ハイディング対象として多バンド原画像すなわち、多バンドの画像としているのであるが、動画像をハイディング対象とすることもできる。また、ハイディングするものとしては、鍵画像だけでなく、他の形式のものを埋め込むこともできる。一般的にハイディングできるものを鍵データとする。動画像に鍵データを埋め込む方法は、いくつかあり、画像へのハイディングをそのまま応用する方法、鍵画像を特定フレームに対してハイディングする方法等がある。画像へのハイディングをそのまま応用する方法、及び、鍵画像を特定フレームに対してハイディングする方法は、それぞれ、フレームに対して前記第1の実施形態に係るデータハイディングをそのまま適用することができる。また、MPEG4で圧縮単位として利用されるビデオオブジェクト毎に、ウェーブレット変換し、その係数を操作して鍵データを埋め込む方法にも本発明を適用することができる。なお、動画像データとは、「時間軸方向正向きに連続した」データとは限らない(3次元動画像も同様)。具体的には、9時刻分の動画像データが存在し、フレーム1、フレーム2、フレーム3、フレーム4、フレーム5、フレーム6、フレーム7、フレーム8及びフレーム9であるとする。例えば、フレーム3、フレーム4、フレーム1、フレーム8及びフレーム7という順番にデータを取り出し、5次元主成分変換を施すこともでき、他に、フレーム3、フレーム4、フレーム1、フレーム8及びフレーム7という順番にデータを取り出し、フレーム4、フレーム1及びフレーム8に対して3次元主成分変換を施すこともできる。そして、ハイディング後の動画像データを、フレーム1、フレーム2、フレーム3、フレーム4、フレーム5、フレーム6、フレーム7、フレーム8及びフレーム9の順番に流通させることができる。このようにフレームの順序を変えて鍵データを埋め込むことにより、第3者は鍵データを解析することが困難となる。
【0028】
また、前記第1の実施形態においては、静止原画像を用いてハイディングを行ったが、動原画像に対して適用することも可能である。例えば、センサTMのバンド1の静止画像を時刻1の画像とし、センサTMのバンド2の静止画像を時刻2の画像とみなせばよい。同様に、3次元静止画像についても適用可能である。
【0029】
また、前記第1の実施形態においては、第1主成分画像を双直交ウェーブレット変換し高周波成分に鍵画像を埋め込んだが、第1主成分画像の他の主成分画像を双直交ウェーブレット変換し高周波成分に鍵画像を埋め込むこともできる。第1主成分画像にエネルギーが集中しているため、原則として、第1主成分画像に対して鍵画像を埋め込んだ方が流通用多バンド画像の画質が良くなるものの、第1主成分画像以外に鍵画像を埋め込むことで秘匿性が向上する。さらにまた、単一の主成分画像全てに鍵画像を埋め込むのではなく、鍵画像を分割して各主成分画像に埋め込むこともできる。
【0030】
また、後述する実施例においては、3バンド画像中3バンドを用いて実験を行っているが、mバンド原画像中nバンドを用いてハイディングを行うことも可能である。すなわち、mCn通りのハイディングの組合せが存在することから、既存手法に比べ提案手法は鍵画像の情報を保護する能力において優れる。既存手法はmバンド原画像中の1バンドのみを用いる。第3者がmバンド原画像中何バンドを用いてハイディングを行っているかの情報を入手することは困難である。
【実施例】
【0031】
3バンド画像の実験について実験を行ったので以下説明する。3バンドの画像の実験を設定するこちにより、RGBカラー画像の実験に置き換えることができる。また、RGBカラー画像のG成分画像に鍵画像をハイディングする手法を既存手法として報告する。さらに、例として、双直交ウェーブレット関数は直交基底のDaubechies基底を採用する。
【0032】
本実験の目的は、ハイディングによる画質劣化を抑える提案手法の既存手法に対する優勢を実証することである。
【0033】
使用データは、図3に示す原画像として用い、図4に示すものを鍵画像として用いる。図3は、128×128の画像サイズであり、画素当たり256階調×3の3バンド画像である。図4は、64×64の画像サイズであり、画素当たり256階調の単バンド画像である。図4のデータを図3のデータにハイディングすることを試みる。図3(a)は、同一画素の輝度値が等しい3バンド画像である。結果として、図3(a)はモノクロ画像である。図3(b)は、人工衛星Landsatに搭載されたセンサTMからの実観測データであり、R成分にバンド3のデータ(赤色域:0.63~0.69[μm])を、G成分にバンド4のデータ(近赤外線:0.76~0.90[μm])を、B成分にバンド2のデータ(緑色域:0.52~0.60[μm])を割り当てることにより生成された3バンド画像である。図6は図3(a)の各RGB成分の輝度値を示し、図8は図3(b)の各RGB成分の輝度値を示す。図3(a)はシュミレーション実験のために用いられ、図3(b)は実観測多バンド画像への適用のために用いられる。図9は、図3(a)に対して主成分変換を行った結果例を示す。図9(a)は第1主成分画像であり、図9(b)は第2主成分画像であり、図9(c)は第3主成分画像である。図3(a)がモノクロ画像である理由により、図9(a)と図5(b)とは同じ「Lena画像」となる。図9の第2固有値寄与率および第3固有値寄与率は零である。図9より、第1主成分画像が多バンド原画像のエネルギーを最も集中させた画像であることが判る。
【0034】
ここで、図3(a)をカラー化することを考える。図5の各RGB成分画像に対して独立に平均零・標準偏差σの正規乱数を付加することによりカラー化を行う。そして、原画像のバンド間相関の度合を表すことを目的として、第1固有値の寄与率α(0<α≦1)
【0035】
【数1】
JP0004257444B2_000002t.gif
を導入する。λkは、第k固有値である。原画像がモノクロ画像であればα=1となる。図10は、図3(a)をカラー化した画像のRGB空間の散布図を示す。正規乱数の標準偏差σを変化させることにより、寄与率αは変化する。図11の散布から寄与率αをそれぞれ算出すると、図10(a)はα=0.952となり、図10(b)はα=0.833となり、図10(c)はα=0.692となり、図10(d)はα=0.564となる。
【0036】
なお、図3(a)はα=1.000となり、図3(b)はα=0.678となる。カラー画像は、モノクロ画像に比べ寄与率αの値が小さいことが判る。
【0037】
次に、提案手法と既存手法との比較を行うことを目的とする評価関数は、
【0038】
【数2】
JP0004257444B2_000003t.gif
を用いる。ただし、
【0039】
【数3】
JP0004257444B2_000004t.gif
であり、
【0040】
【数4】
JP0004257444B2_000005t.gif

【0041】
【数5】
JP0004257444B2_000006t.gif

【0042】
【数6】
JP0004257444B2_000007t.gif
である。なお、
【0043】
【数7】
JP0004257444B2_000008t.gif
は、ぞれぞれ、ハイディング後の画素位置 のR成分の輝度値、G成分の輝度値、B成分の輝度値を表し、gR(i,j)、gG(i,j)、gB(i,j)は、ぞれぞれ、原画像の画素位置 のR成分の輝度値、G成分の輝度値、B成分の輝度値を表す。また、
【0044】
【数8】
JP0004257444B2_000009t.gif
であり、
【0045】
【数9】
JP0004257444B2_000010t.gif
である。
【0046】
すなわち、非零の誤差のみについてRMS値を求めてJ2とし、提案手法と既存手法とのJ2の比をJ1として提案手法の有効性を評価している。J1>1.0であれば、提案手法の有効性を確認できる。誤差が零のものも含めたRMS値を求めていない理由は、多バンド画像のバンド数によるRMS値の変動の要素を考慮するためである。
【0047】
次に、実験方法について説明する。鍵画像の平均は零であるとする。鍵画像の原画像のHH1成分のみに代入することによりハイディングを行う。すなわち、提案手法は原画像の第1主成分画像のHH1成分に代入し、既存手法は原画像のG成分画像のHH1成分に代入することにより実験を行う。画素位置(i,j)に対してHH1成分画像F(i,j)とし鍵画像をS(i,j)とすると、ラスタ・スキャン方式を採用しF(i,j)←S(i,j)によりハイディングを行う。また、ヒルベルト・スキャン方式等を採用することにより、F(i1,j1)←S(i2,j2)とすることも可能である。一般には、ラスタ・スキャン方式が用いられるが、ラスタ・スキャン方式によれば、もし本発明の主成分変換の固有値及び固有ベクトルと、双直交ウェーブレット変換の係数が第三者に知られた場合には、流通用多バンド画像に対して主成分変換、双直交ウェーブレット変換した後に、容易に鍵画像のみを抽出され復号されてしまう。そこで、ヒルベルト・スキャン方式、ジグザグ・スキャン方式、ランダム・スキャン方式等のラスタ・スキャン方式以外の方式によれば、もし本発明の主成分変換の固有値及び固有ベクトルと、双直交ウェーブレット変換の係数が第三者に知られた場合であっても、容易に鍵画像のみを抽出され復号されることを防止することができる。これはラスタ・スキャン方式は、鍵画像を外観で視認することもでき、秘匿性に欠ける一方で、他のスキャン方式によれば少なくとも外観から視認されることなく、秘匿性が高いからである。前記各スキャン方式は、2次元空間データを辞書式配列(1次元データ)に変換・保存するものである。ランダム・スキャン方式の場合には、鍵画像の埋め込み時に使用する乱数発生規則情報を、復号時に使用する必要がある。さらに、常時同じ方式のスキャン方式を採用するのではなく、変化させて使用することもでき、かかる変化させて使用する場合には、ヘッダ情報にどのスキャン方式を採用しているかの情報を挿入することで実現することができる。階調数の少ない鍵画像の場合、ハイディング後の画像は鍵画像の空間特徴情報を隠蔽する能力がより増大する可能性がある。すなわち、隠蔽能力は鍵画像の情報量に依存することを示している。さらにまた、鍵画像がRGBの3バンド画像である場合には、各成分の画像を、別々のスキャン方式で埋め込むこともできる。
【0048】
本実験の目的はハイディングによる画質劣化を抑える提案手法の有効性を実証することである。したがって、HH1成分画像サイズと鍵画像サイズを一致させ、HH1成分のみに代入するこちによりハイディングを行う。ハイディングする成分を1成分に限定することにより、既存手法との比較が可能になると考える。HH1成分画像サイズと鍵画像サイズを一致させることにより、鍵画像の情報量が多い場合の実験を設定する。シグニチャ等が鍵画像の場合は、一般には、鍵画像の情報量は少ない。複数の鍵画像が存在する場合も本実験の内容に含まれる。すなわち、図4は複数の鍵画像を統合したデータであるとみなせばよい。
【0049】
さらに、同一我素の輝度値が等しい3バンド原画像の実験において、原画像の第1主成分画像とG成分画像とが「Lena」画像の構造を有することにより、既存手法との比較が可能になると考える。
【0050】
双直交ウェーブレット変換および主成分変換は逆変換可能であることにより、提案手法および既存手法は鍵画像を復元可能である。
【0051】
次に、前記使用データを用いた実験結果について説明する。提案手法における第1主成分画像にハイディングする妥当性をモノクロ画像図3(a)を用いて実証する。図11は、原画像の第k主成分画像にハイディングした結果画像を示す(k=1、2、3)。図11より、k=1の結果画像に比べk=2及びk=3の結果画像はカラーの度合いが大きいという観点から、原画像の第1主成分画像に鍵画像を埋め込むことが妥当である。k=1の結果画像のカラーの度合いがk=2及びk=3の結果画像のカラーの度合より小さい理由は、第1主成分画像が多バンド原画像のエネルギーを最も集中させた画像であるからである。ここで、図5では、R成分、G成分及びB成分に同じ女性の画像を採用して多バンド原画像を生成しているため、図9からも分かるように第1主成分画像がかかる女性の画像、第2主成分画像及び第3主成分画像は輝度値が全て零である。したがって、図11(b)と図11(c)とは略同一となる。図6の3次元空間内で一直線上にデータが集中していることからも第1主成分に略全て集中していることが分かる。このようにR成分、G成分及びB成分に同じ女性の画像を採用して生成されている多バンド原画像では以上の結果であったが、通常の画像においては、第1主成分画像が一番埋め込みに適し、第2主成分画像、第3主成分画像、以降高次の主成分画像の順に埋め込みに適している。一般に、第1主成分画像の固有値が他の主成分よりも高く、主成分逆変換を行った場合に鍵画像のデータが一番隠蔽されるため、第1主成分画像に埋め込むことが適切であることが言える。
【0052】
図12は、α=1の場合における、提案手法および既存手法のデータ・ハイディング後の画像を示す。図12(a)は提案手法の結果を示し、図12(b)は既存手法の結果を示し、図12(c)は原画像(図3(a))である。なお、J1=1.718である。図13は、寄与率αを変化させた場合における、J1の値を示す。横軸は寄与率αを表し、縦軸はJ1を表す。図12(c)の原画像と比べると、図12(a)の画像、図12(b)の画像は劣化しているのであるが、図12(a)の画像の方が図12(b)の画像よりも色彩が正しく表示されている。より詳しくは、可視化情報学会論文集(Vol.23 No.8 (2003年8月)p72-79)に図13としてカラーで記載されている。他の図も図1及び図2を除きかかる刊行物にカラーで表示されている。なお、参考図面としてカラー表示が必要な図面は別途提出している。
【0053】
図14は、図3(b)に対する、提案手法及び既存手法のデータ・ハイディング後の画像を示す。図14(a)は提案手法の結果を示し、図14(b)は既存手法の結果を示し、図14(c)は原画像(図3(b))である。なお、J1=1.732である。さらに、シミュレーション画像の実験同様、図3(b)の各RGB成分画像に対して独立に平均零・標準偏差σの正規乱数を付加することによる実験結果を図15に示す。図15は、寄与率αを変化させた場合における、J1の値を示す。横軸は寄与率αを表し、縦軸はJ1を表す。図14(c)の原画像と比べると、図14(a)の画像、図14(b)の画像は劣化しているのであるが、図14(a)の画像の方が図14(b)の画像よりも色彩が正しく表示されている。より詳しくは、可視化情報学会論文集(Vol.23 No.8 (2003年8月)p72-79)に図15としてカラーで記載されている。図14は、全7バンドの多バンド画像を用い7バンド中3バンドを選択した例であり、選択した3バンド画像をRGB画像とし3次元主成分変換をしたものである。ここで、全7バンドに7次元主成分変換を行うことも可能であり、さらに前記3バンドを選択し、2次元主成分変換を行うことも可能である。このように、何バンド使用し、どのバンドを選択し、かかる選択したバンドの画像をどの成分画像に割り当てるかということは自由に行うことができ、この組合せにより秘匿性を向上させることができる。さらに、もともとの多バンド画像に意図的にノイズを付加し、もともとの多バンド画像とすれば、一層鍵画像を第三者が復号することが困難となる。
【0054】
図12(b)より、既存手法のデータ・ハイディング後の画像は緑成分の画質劣化が見られる。既存手法の緑成分の画質劣化の原因は、鍵画像を原画像のG成分に対してデータ・ハイディングを行ったためである。図12(a)より、提案手法のデータ・ハイディング後の画像は緑成分のみの画質劣化は見られず、鍵画像の情報が白色化されてデータ・ハイディングが行われている。したがって、鍵画像の情報の隠蔽の観点から、多バンド画像によるデータ・ハイディングにおいて提案手法は既存手法に比べ優れている。また、既存手法において、鍵画像の情報の白色化のため、原画像のR成分およびB成分にも鍵画像の情報をハイディングした場合、ハイディング後の画像の劣化誤差値は大きくなる。すなわち、RGBの3成分に鍵画像をハイディングすることは、原画像にとっては多量のノイズを付加されることに相当する。例として、図3(a)に対してR成分およびB成分にも鍵画像の情報をハイディングした場合の比較を図16に示す。図16(a)はG成分にのみハイディングした結果であり、図16(b)は3成分にハイディングした結果であり、図16(c)は原画像である。図16(a)に比べず16(b)は鍵画像の情報を白色化しているが、図16(a)の誤差は39.978であり、図16(b)の誤差は69.246である。図13より、全ての寄与率αに対してJ1>1.0となることが判る。さらに、図3(a)を用いて、原画像が3バンドであると限定した場合の前処理として主成分変換の有効性を示すことを目的として、主成分変換後の第1主成分に鍵画像をハイディングする手法(提案手法)とHSI変換語のI成分に鍵画像をハイディングする手法との比較結果例を図17に示す。原画像が3バンドであれば、HSI変換等適用できる。その結果、J1=1.708となり、提案手法の有効性を確認した。
【0055】
シミュレーションデータによる実験および実観測衛星データによる実験において、J1>1.0となることを確認した。すなわち、両実験とも提案手法の有効性を確認した。本実施例においては、既存手法は鍵画像を原画像のG成分にハイディングを行った例を示したが、R成分ないしB成分にハイディングを行った場合の結果もJ1>1.0となる。また、シュミレーションデータによる実験により、寄与率αが小さくなるにしたがい、J1は大きくなることを確認した。すなわち、バンド間相関が小さいほど提案手法の既存手法に対する優位性は大きくなることを確認した。さらに、提案手法においては、固有ベクトルの存在により、鍵画像の情報を保護する。すなわち、真の原画像の情報を知っている場合のみ、鍵画像の情報を復元できる。主成分変換の係数は、原画像毎に異なり、原画像の固有ベクトルにより構成される。3バンド・カラー画像においては、鍵画像の情報を保護する目的のため、HSI変換等を伴う手法も考えられるが、HSI変換等の交換係数は周知の係数である。HS変換等を伴う手法は返還係数が周知であるため、第3者が鍵画像の情報を入手する可能性がある。鍵画像の情報の保護の観点から、提案手法の有効性を確認した。
【0056】
双直交ウェーブレットとしてDaubechies基底を採用したが、双直交ウェーブレットであれば鍵画像情報を復元できる。双直交ウェーブレットとして何を採用するかを隠蔽することによっても鍵画像情報を保護することができると考える。さらに、本論文では、鍵画像をHH1成分のみに挿入することにより実験を行ったが、鍵画像のbitデータを分割してHH1成分以外の高周波成分にも鍵画像情報を挿入することも可能である。また、本実施例においては画像の縦方向と横方向にDaubechies関数を用いた変換を行ったが、縦方向と横方向に別々の関数を用いて変換を行うこともできる。例えば、横方向にHarr関数を用いた変換、縦方向にDaubechies関数を用いた変換を行うことができる。
【0057】
ハイディングによる画質劣化を原画像とのRMS誤差により表した場合、提案手法のRMS誤差の方が、
【0058】
【数10】
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小さいことを示すことができた。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るデータ・ハイディング方法の概要フローチャートである。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るデータ・ハイディング方法の鍵画像データの復号の概要フローチャートである。
【図3】本発明の実施例に係る原画像である。
【図4】本発明の実施例に係る鍵画像である。
【図5】図3(a)の各RGB成分の画像である。
【図6】図3(a)のRGB空間の散布図である。
【図7】図3(b)の各RGB成分の画像である。
【図8】図3(b)のRGB空間の散布図である。
【図9】図3(a)の第1主成分画像、第2主成分画像及び第3主成分画像である。
【図10】図3(a)をカラー化した画像のRGB空間の散布図である。
【図11】図3(a)の原画像の第k主成分画像にハイディングした結果画像である。
【図12】図3(a)を原画像とした、寄与率が1の場合における背景技術および本発明のデータ・ハイディング後の画像を示す。
【図13】図3(a)を原画像とした、寄与率を変化させた場合におけるJ1の値を示すグラフである。
【図14】図3(b)を原画像とした、寄与率が1の場合における背景技術および本発明のデータ・ハイディング後の画像を示す。
【図15】図3(b)を原画像とした、寄与率を変化させた場合におけるJ1の値を示すグラフである。
【図16】図3(a)のG成分にのみハイディングした結果、図3(a)の3成分にハイディングした結果、及び、原画像である。
【図17】図3(a)の第1主成分画像にのみハイディングした結果、図3(a)のHSI変換後のI成分に鍵画像をハイディングした結果、及び、原画像である。
【図18】ウェーブレット分解を3回まで施した例である。
【図19】原画像をウェーブレット変換を施した例である。
【図20】鍵画像を原画像にウェーブレット変換によるハイディングした例である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
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【図17】
16
【図18】
17
【図19】
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【図20】
19