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明細書 :プラズマ滅菌装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4006491号 (P4006491)
公開番号 特開2006-020950 (P2006-020950A)
登録日 平成19年9月7日(2007.9.7)
発行日 平成19年11月14日(2007.11.14)
公開日 平成18年1月26日(2006.1.26)
発明の名称または考案の名称 プラズマ滅菌装置
国際特許分類 A61L   2/14        (2006.01)
FI A61L 2/14
請求項の数または発明の数 8
全頁数 10
出願番号 特願2004-203419 (P2004-203419)
出願日 平成16年7月9日(2004.7.9)
審査請求日 平成18年10月6日(2006.10.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
発明者または考案者 【氏名】林 信哉
【氏名】後藤 昌昭
【氏名】山部 長兵衛
【氏名】佐藤 三郎
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100099634、【弁理士】、【氏名又は名称】平井 安雄
審査官 【審査官】金 公彦
参考文献・文献 特開昭63-089162(JP,A)
特開2004-223038(JP,A)
特表平01-502883(JP,A)
特開昭61-011049(JP,A)
特開2003-250868(JP,A)
特開平02-289252(JP,A)
特開2004-222915(JP,A)
特開2005-192574(JP,A)
特開2004-267524(JP,A)
特開2004-249260(JP,A)
特開2003-310719(JP,A)
特開平07-184618(JP,A)
特開2006-021027(JP,A)
調査した分野 A61L 2/00- 2/26
A61L 11/00
特許請求の範囲 【請求項1】
滅菌処理の対象となる被処理物を収納し、気密性容器からなる収納手段と、
前記収納手段内の気圧を低気圧に維持すると共に、当該低気圧下で前記収納手段の気密性容器内における酸素ガスの圧力を3Paから10kPaまでの間で複数回変化させる低気圧維持手段と、
前記収納手段に酸素ガスを供給する酸素ガス供給手段と、
前記収納手段内に少なくとも電極が収納され、当該電極に電流を流して前記酸素ガスの酸素をプラズマ化して酸素ラジカルを生成するプラズマ生成手段とを備えることを
特徴とするプラズマ滅菌装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載のプラズマ滅菌装置において、
前記低気圧維持手段が、前記収納容器内を3Paないし10kPaに維持することを
特徴とするプラズマ滅菌装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載のプラズマ滅菌装置において、
前記低気圧維持手段が、前記収納手段の気密性容器内における酸素ガスの圧力を3Paと10kPaとを1分ないし10分毎に繰り返し変化させることを
特徴とするプラズマ滅菌装置。
【請求項4】
前記請求項1ないし3のいずれかに記載のプラズマ滅菌装置において、
前記プラズマ生成手段が、誘導結合プラズマ発生手段により構成されることを
特徴とするプラズマ滅菌装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし4のいずれかに記載のプラズマ滅菌装置において、
前記プラズマ生成手段が、電極に交流電流を供給され、当該交流電流の周波数を起動当初に1kHzないし20kHzとし、起動後10MHzないし60MHzとすることを
特徴とするプラズマ滅菌装置。
【請求項6】
前記請求項1ないし5のいずれかに記載のプラズマ滅菌装置において、
前記酸素ガス供給手段が、供給する酸素ガスの流量を10sccmから500sccmの間で複数回変化させることを
特徴とするプラズマ滅菌装置。
【請求項7】
前記請求項1ないしのいずれかに記載のプラズマ滅菌装置において、
前記酸素ガス供給手段が、供給する酸素ガスの流量を10sccmと500sccmとを1分ないし10分毎に繰り返し変化させることを
特徴とするプラズマ滅菌装置。
【請求項8】
前記請求項1ないしのいずれかに記載のプラズマ滅菌装置において、
前記収納手段に収納される被処理物が、酸素ラジカルを透過するシートで被覆されることを
特徴とするプラズマ滅菌装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、活性酸素により医療器材等の被処理物を滅菌するプラズマ滅菌装置に関し、特に酸素ガスプラズマ中で生成した酸素ラジカルにより被処理物を滅菌するプラズマ滅菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術となるプラズマ滅菌装置は、特開平10-99415号公報(第1の背景技術)、特開平7-18461号公報(第2の背景技術)に開示されるものがある。この各背景技術を図5及び図6に概略構成断面図として示す。
【0003】
図5において、この第1の背景技術に係るプラズマ滅菌装置は、大気圧でプラズマを発生させるプラズマ発生器112を備えた第1のチャンバー114と、被処理物136を配置しうるとともに耐圧構造の第2のチャンバー118と、両者を開閉自在に連結し、第1のチャンバーから第2のチャンバー118内へ供給する殺菌因子を含んだ気体の流れを制御する開閉バルブ120と加圧装置であるコンプレッサー122とを備えた連結管124とからなる。第2のチャンバー118には、チャンバー118内の気体を吸排することにより内部の気圧を一定に保つ圧力調整器116が連結されている。プラズマ発生器112においては、パルス電源を用いて気体と液体の混合物の少なくとも一部を電離させることができ、かくして得られた電離混合物が殺菌因子となる。
【0004】
このように被処理物136を滅菌する第2のチャンバー118とは別に殺菌因子を貯留するための第1のチャンバー114を備え、両者を開閉バルブ120を備えた連結管124で連結することにより、滅菌に必要な殺菌因子の貯留と、被処理物の乾燥等の前処理とを平行して行うことができ、さらに、相当量の殺菌因子を短時間で被処理物に接触させることができるため、有効な滅菌処理を効率よく行い得る。
【0005】
また、図6において第2の背景技術に係るプラズマ滅菌装置は、蓋202を開放して、真空容器201に殺菌しようとする容器218を入れ、次に蓋202を閉じて真空ポンプ204により真空容器内をプラズマを発生させる時の圧力より充分低くなるまで排気し、次いで気体源214から適当な流量で気体を導入し、弁215を調整してプラズマに適した圧力に保持する。一方真空ポンプ204が運転を続けて、圧力を安定させた後高周波電源212から、電極208に高周波電力を印加して容器218内にプラズマを発生させ、充分な殺菌が行なわれる時間プラズマを保持した後、高周波電力の印加を停止して容器218の殺菌を行う構成である。また、この高周波電力の印加停止と同時に気体の導入を停止し、しばらく排気してから真空ポンプの運転を停める。そして次に大気導入弁217を開いて大気を導入し、その後蓋202を開いて容器218を取り出す。

【特許文献1】特開平10-99415号公報
【特許文献2】特許第3209944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記第1の背景技術に係るプラズマ滅菌装置は以上のように構成されていたことから、大気圧の第1のチャンバー114内でプラズマを生成して酸素ラジカルを発生させたとしても大気圧下では、この酸素ラジカルが大気圧で第1のチャンバー114内に存在する気体、例えば酸素、水素、窒素等と極めて短時間で結合することとなり、酸素ラジカル単体として存在し得ず滅菌効果が十分得られないという課題を有する。
【0007】
また、前記第2の背景技術に係るプラズマ滅菌装置は、真空容器120内で殺菌対象となる容器218を殺菌しようとするものであるが、不活性ガスと反応ガスとの混合気体からなるプラズマ生成用ガスを導入してプラズマPを生成していることから、酸素ラジカル単体を高密度に発生させることができず、対象となる容器218を確実に滅菌処理できないという課題を有する。この第2の背景技術における殺菌は、微生物学的には微生物を殺して生存数を減らすことをいい、滅菌が対象となる物質及びその周囲空間の微生物を全て死滅又は除去することとは大きく異なる。
【0008】
さらに、他の背景技術に係るプラズマ滅菌装置としては、過酸化水素を原料ガスとして用い、水酸化(OH)ラジカルを発生させ、この水酸化(OH)ラジカルの殺菌能力で滅菌を行うものがあるが、この過酸化水素が常温常圧で液体であることから、低圧のプラズマ容器内に液体を導入する場合には装置構造と運転方法(圧力調整)とがいずれも複雑化すると共に、過酸化水素が高価であることから、装置自体及びランニングコストの双方が高価格となるという課題を有していた。
【0009】
特に、滅菌対象となる被処理物を収納する容器内の圧力を高真空状態と低真空状態とに切替えて滅菌処理を実行する場合に、液体である過酸化水素を原料ガスとして用いると、前記圧力調整が極めて困難な作業となり、水酸化ラジカルを容器内に均一に拡散させるのに長時間を要する等の課題をも有する。
【0010】
本発明は、前記課題を解消するためになされたもので、酸素ラジカルを高密度に発生させて被処理物を確実且つ安価に滅菌することができるプラズマ滅菌装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るプラズマ滅菌装置は、滅菌処理の対象となる被処理物を収納し、気密性容器からなる収納手段と、前記収納手段内の気圧を低気圧に維持すると共に、当該低気圧下で前記収納手段の気密性容器内における酸素ガスの圧力を3Paから10kPaまでの間で複数回変化させる低気圧維持手段と、前記収納手段に酸素ガスを供給する酸素ガス供給手段と、前記収納手段内に少なくとも電極が収納され、当該電極に電流を流して前記酸素ガスの酸素をプラズマ化して酸素ラジカルを生成するプラズマ生成手段とを備える備えるものである。このように本発明においては、被処理物を収納する収納手段を低気圧維持手段により低気圧に維持し、この収納手段に酸素ガス供給手段から酸素ガスを供給し、この酸素ガスの酸素をプラズマ生成手段がプラズマ化して酸素ラジカルを生成するようにし、特に3Paから10kPaまでの間で収納手段の気密性容器における酸素ガスの圧力を複数回変化させるようにしているので、酸素ラジカルを長時間単体として維持させると共に、高密度に発生させることができる。さらに被処理物の微細部分及び載置下面等に対しても酸素ラジカルを浸透できることとなり、被処理物の全領域に亘って確実且つ簡易に滅菌できる。
【0012】
また、本発明に係るプラズマ滅菌装置は必要に応じて、低気圧維持手段が、前記収納容器内を3Paないし10kPaに維持するものである。このように本発明においては、収納容器内を低気圧維持手段が3Paないし10kPaに維持するようにしているので、より高密度に酸素(O2)をプラズマ化(2O++2e-)して酸素ラジカル(O)を発生させることができることとなり、被処理物の滅菌をより確実に実行できる。
【0014】
また、本発明に係るプラズマ滅菌装置は必要に応じて、低気圧維持手段が、前記収納手段の気密性容器内における酸素ガスの圧力を3Paと10kPaとを1分ないし10分毎に繰り返し変化させるものである。このように本発明においては3Paと10kPaとの間で収納手段の気密性容器における酸素ガスの圧力を1分ないし10分毎に繰り返して変化させるようにしているので、被処理物の微細部分及び載置下面等に対しても酸素ラジカルを浸透できることとなり、被処理物の全領域に亘って確実且つ簡易に滅菌できる。
【0015】
また、本発明に係るプラズマ滅菌装置は必要に応じて、プラズマ生成手段が、誘導結合プラズマ発生手段により構成されるものである。このように本発明においては、誘導結合プラズマ発生手段で酸素ガスをプラズマ化するようにしているので、より高密度のプラズマを気密性容器内に均一に発生させることができることとなり、被処理物の滅菌をより確実に実行できる。
【0016】
また、本発明に係るプラズマ滅菌装置は必要に応じて、プラズマ生成手段が、電極に交流電流を供給され、当該交流電流の周波数を起動当初に1kHzないし20kHzとし、起動後10MHzないし60MHzとするものである。このように本発明においては、プラズマ生成手段の電極に供給される交流電流が、起動当初を1kHzないし20kHzとし、起動後を10MHzないし60MHzとするように制御しているので、起動時における酸素ガスのプラズマ化を容易にすると共に、このプラズマ化により電子なだれが生じて酸素ラジカルが生成され始めた後に高周波に切替えて電力消費を抑制できることとなり、酸素ラジカルの生成を急速且つ確実に実行できると共に装置構成を簡略化できる。
【0017】
また、本発明に係るプラズマ滅菌装置は必要に応じて、酸素ガス供給手段が、供給する酸素ガスの流量を10sccmから500sccmの間で複数回変化させるものである。このように本発明においては、被処理物を収納する気密性容器への酸素ガスの流量を酸素ガス供給手段が10sccmから500sccmの間で複数回変化させるようにしているので、被処理物の微細部分及び載置下面等に対しても酸素ラジカルを浸透できることとなり、被処理物の全領域に亘って確実且つ簡易に滅菌できる。
【0018】
また、本発明に係るプラズマ滅菌装置は必要に応じて、酸素ガス供給手段が、供給する酸素ガスを10sccm流量と500sccm流量とを1分ないし10分毎に繰り返し変化させるものである。このように本発明においては、被処理物を収納する気密性容器への酸素ガスの流量を酸素ガス供給手段が10sccmと500sccmとを1分ないし10分毎に繰り返し変化させるようにしているので、被処理物の微細部分及び載置下面等に対しても酸素ラジカルを浸透できることとなり、被処理物の全領域に亘って確実且つ簡易に滅菌できる。
【0019】
また、本発明に係るプラズマ滅菌装置は必要に応じて、収納手段に収納される被処理物が、酸素ラジカルを透過するシートで被覆されるものである。このように本発明においては、酸素ラジカルが透過するシートに被処理物を被覆して収納手段に収納しているので、滅菌処理を施して収納手段から取出した後に外部の雑菌が被処理物に直接付着することがなくなり、滅菌処理の効果をより向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るプラズマ滅菌装置を図1に基づいて説明する。この図1は本実施形態に係るプラズマ滅菌装置の概略構成図を示す。
【0021】
同図において本実施形態に係るプラズマ滅菌装置は、滅菌処理の対象となる医療器具(図示を省略)を収納する、気密性容器からなる収納手段1と、前記収納手段1内の気圧を低気圧に維持する低気圧維持手段2と、前記収納手段1に酸素ガスを供給する酸素ガス供給手段3と、前記収納手段1内に少なくとも電極41が収納され、当該電極41に電流を流して前記酸素ガスの酸素をプラズマ化して酸素ラジカルを生成するプラズマ生成手段4とを備える構成である。
【0022】
この低気圧維持手段2は、収納手段1内の空気を排出するロータリーポンプ21と、このロータリーポンプ21及び収納手段1に各々連通して接続する排出管22と、この排出管22の中間に介装され空気の排出量を調整する調整バルブ23と、前記排出管22を収納手段1の側壁孔に気密状態で接続するコネクタ24とを備える構成である。また、酸素ガス供給手段3は、収納手段1内へ酸素ガスを供給する酸素ガスボンベ31と、この酸素ガスボンベ31及び収納手段1に各々連通して接続する供給管32と、この供給管32の中間に介装され酸素ガスの供給量を調整する調整バルブ33と、前記供給管32を収納手段1の側壁孔に気密状態で接続するコネクタ34とを備える構成である。
【0023】
前記プラズマ生成手段4は、渦巻き状に導電線を巻回された誘導結合型アンテナからなる電極41と、この電極41に交流電流を供給する電源部42と、この電源部42及び電極41間に接続する配電線45と、この配電線45が貫通する収納手段1の側壁孔部分を気密状態とする封止部46a、46bとを備える構成である。このプラズマ生成手段4は、電極41と接地された収納手段1との間の空間をインピーダンスZとし、このインピーダンスZを移動する電子によって酸素ガスやら酸素ラジカルを生成する構成である。
【0024】
次に、前記構成に基づく本実施形態に係るプラズマ滅菌装置の動作について説明する。まず、調整バルブ23を開放状態にしてロータリーポンプ21を起動させることにより、収納手段1内の空気が排出され、この収納手段1内が所定の低気圧状態となる。この調整バルブ23による排出が継続している状態で、酸素ガス供給手段3の調整バルブ33が開放されて酸素ガスボンベ31から供給管32を介して収納手段1内に酸素ガスが供給される。
【0025】
前記収納手段1内の酸素ガス圧力を所定値(例えば、3Paから10kPa)となった状態で、プラズマ生成手段4の電源部42から交流電流が電極41に供給される。この交流電流により電極41が電磁波を発生させ、この電磁波により酸素ガス(O2)をプラズマ化(電離)させて酸素イオン(O+)及び電子(e-)を生成する。
【0026】
前記生成された電子(e-)は、収納手段1内の酸素ガス(O2)の原子と衝突し、この酸素ガス(O2)に高いエネルギーを与えて、酸素ラジカル(O)を生成する。このように酸素ガスがプラズマ化された電子により酸素ラジカルが生成されることから、プラズマ密度を高くすることにより酸素ラジカルの生成量を増大させることができると共に、この生成された酸素ラジカルを単体としてより長く継続させるために収納手段1内を低気圧状態下で酸素ガスのみ原料とするものである。
【0027】
特に、生成される酸素ラジカルの密度を最大(例えば、1010cm-3)とするためには、前記プラズマ生成手段4は電源周波数を13.56MHzとし、電極41に印加される電位を-10Vとし、放電消費電力を50Wとする。さらに、収納手段1は、内部の酸素ガス圧力を3Pa及び酸素ガス流量を10sccmとする。
(本発明の第2の実施形態)
図2及び図3に基づいて本発明の第2の実施形態に係るプラズマ滅菌装置を説明する。この図2は本実施形態に係るプラズマ滅菌装置の概略構成図、図3は図2に記載のプラズマ滅菌装置の動作タイミングチャートを示す。
【0028】
前記各図において本実施形態に係るプラズマ滅菌装置は、前記第1の実施形態に係るプラズマ滅菌装置と同様に収納手段1、低気圧維持手段2、酸素ガス供給手段3及びプラズマ生成手段4を備え、この構成に加え、前記プラズマ生成手段4が電極41に出力する交流電流の周波数を10kHzと13.56MHzとに切替える周波数切替部43を備えると共に、前記収納手段1の低気圧状態及び酸素ガス供給部を制御する容器内条件制御部5を備える構成である。
【0029】
前記周波数切替部43は、起動当初において周波数10kHの交流電流を電極41に供給し、この起動開始から約1分又は2分程度の後に周波数を13.56MHzに切替えて交流電流を電極41に供給する構成である。前記容器内条件制御部5は、低気圧維持手段2の調整バルブ23の開度を調整してロータリーポンプ21の吸引量を制御すると共に、酸素ガス供給手段3の調整バルブ33の開度を調整して酸素ガスボンベ31から収納手段1に供給する酸素ガスの流量を10sccmから500sccmまでの間で制御する構成である。
【0030】
次に、前記構成に基づく本実施形態に係るプラズマ滅菌装置の動作について説明する。まず、容器内条件制御部5の制御に基づいて調整バルブ23を全開放となるように制御して、ロータリーポンプ21を駆動させる。また、このロータリーポンプ21の駆動により収納手段1を所定の低気圧(例えば、3Pa)まで減圧させ、この低気圧状態で酸素ガス供給手段3の調整バルブ33を開放して供給管32を介して酸素ガスボンベ31から収納手段1へ酸素ガスを供給されるように制御される。
【0031】
この収納手段1へ酸素ガスが供給されている間においても、低気圧維持手段2による収納手段1からの排出が継続して実行され、この酸素ガスの供給と収納手段1からの排出とのバランスを容器内条件制御部5が調整することにより、収納手段1内の酸素ガス圧力を所望の値に制御できることとなる。
【0032】
このように、収納手段1内の酸素ガス圧力を調整された状態で、電源部42からの交流電流を周波数切替部43で周波数10kHzに切替えて電極41へ出力する。この10kHzの低い周波数の交流電流は、起動時における収納手段1内の酸素ガスが大きなインピーダンスインピーダンスZ特性を有することから、この大きなインピーダンスZに対してインピーダンスマッチングを容易にとることができることから、収納手段1内の酸素ガスを急速且つ確実に所定のプラズマ密度まで移行できることとなる。
【0033】
この所定のプラズマ密度に収納手段1内の酸素ガスが達すると、周波数切替部43は電極41に供給する交流電流の周波数を13.56MHzの高い周波数に切替えて酸素ガスのプラズマ化をより促進することによりプラズマ密度をより高くして、生成する酸素ラジカルの密度も最大となるように制御できることとなる。
【0034】
さらに、容器内条件制御部5は、低気圧維持手段2の調整バルブ23と酸素ガス供給手段3の調整バルブ33とを各々開度調整することにより、収納手段1内の酸素ガス3Pa及び収納手段1への酸素ガス流量10sccmの状態を5分間継続させ、次に収納手段1内の酸素ガス圧力10kPa及び収納手段1への酸素ガス流量500sccmの状態を5分間継続させ、この各状態を交互に90分間サイクリックに実行する(図3参照)。
【0035】
このように酸素ラジカル密度が最大となるように制御し、さらに酸素ガス圧を3Paから10kPaへ変化させると共に酸素ガス流量10sccmから500sccmへ5分間隔でサイクリックに切替えるようにしているので、医療器具の微細部分及び載置下面等に対しても酸素ラジカルを浸透できることとなり、医療器具の全領域に亘って確実且つ簡易に滅菌できる。
(本発明の第3の実施形態)
図4に基づいて本発明の第3の実施形態に係るプラズマ滅菌装置を説明する。この図4は本実施形態に係るプラズマ滅菌装置における収納手段内の透視構成図を示す。
【0036】
同図において本実施形態に係るプラズマ滅菌装置は、前記第1及び第2の実施形態と同様に収納手段1、低気圧維持手段2、酸素ガス供給手段3及びプラズマ生成手段4を共通して備え、前記プラズマ生成手段4における電極41の配置構成を異にする。この電極41は、収納手段1内に酸素ガス供給手段3の供給管32を接続するコネクタ34の開口領域を複数本交叉するように配設され、供給管32を介して供給される酸素ガスが極めて近傍を通過するように構成される。
【0037】
次に、前記構成に基づく本実施形態に係るプラズマ滅菌装置の動作について説明する。前記各実施形態と同様に収納手段1内の気圧及び酸素ガスの状態が調整され、電源部42から供給される交流電流が電極41に流れ、この電極41のアンテナとしての線路周囲に電磁場を生じさせる。この磁場の磁界強度が強い電極41の導電線の極めて近傍を供給管32から供給される酸素ガスを強制的に通過させることができることとなり、強い電磁界により酸素ガスのプラズマ化をより促進させることができる。
(本発明の他の実施形態)
本発明の他の実施形態に係るプラズマ滅菌装置は、前記各実施形態と同様に各種構成され、この各種構成に各々加えて、収納手段1内に収納する被処理物を酸素ラジカルが透過し、細菌を透過させないシート、例えばマイクロメッシュシート等で被覆した状態で滅菌処理を行うようにしているので、処理後に収納手段1から取出す場合にも外部の細菌が再付着することを未然に防止することができる。
【0038】
また、本発明の他の実施形態に係るプラズマ滅菌装置は、前記第2の実施形態が収納手段1の酸素ガス圧力及び酸素ガス流量を各々調整する構成としたが、酸素ガス圧力若しくは酸素ガス流量のいずれか一方のみを調整制御するように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るプラズマ滅菌装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るプラズマ滅菌装置の概略構成図である。
【図3】図2記載のプラズマ滅菌装置の動作タイミングチャートである。
【図4】本発明の第3の実施形態に係るプラズマ滅菌装置における収納手段内の透視構成図である。
【図5】従来のプラズマ滅菌装置の概略構成断面図である。
【図6】従来のプラズマ滅菌装置の概略構成断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 収納手段
2 低気圧維持手段
3 酸素ガス供給手段
4 プラズマ生成手段
5 容器内条件制御部
21 ロータリーポンプ
22 排出管
23、33 調整バルブ
24、34 コネクタ
31 酸素ガスボンベ
32 供給管
41 電極
42 電源部
43 周波数切替部
45 配電線
46a、46b 封止部
Z インピーダンス
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5