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明細書 :排尿支援装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4565184号 (P4565184)
公開番号 特開2006-136416 (P2006-136416A)
登録日 平成22年8月13日(2010.8.13)
発行日 平成22年10月20日(2010.10.20)
公開日 平成18年6月1日(2006.6.1)
発明の名称または考案の名称 排尿支援装置
国際特許分類 A61F   5/44        (2006.01)
A61F   2/08        (2006.01)
FI A61F 5/44 S
A61F 2/08
請求項の数または発明の数 7
全頁数 18
出願番号 特願2004-326905 (P2004-326905)
出願日 平成16年11月10日(2004.11.10)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2004年6月18日 社団法人日本機械学会発行の「ロボティクス・メカトロニクス講演会 2004講演論文集」に発表
審査請求日 平成19年9月28日(2007.9.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
発明者または考案者 【氏名】木口 量夫
【氏名】魚住 二郎
【氏名】中島 啓二
個別代理人の代理人 【識別番号】100099634、【弁理士】、【氏名又は名称】平井 安雄
審査官 【審査官】田中 玲子
参考文献・文献 国際公開第99/001092(WO,A1)
特表平06-501627(JP,A)
特開昭60-261449(JP,A)
特開昭61-177179(JP,A)
特開昭61-006450(JP,A)
調査した分野 A61F 5/44
A61F 2/08
特許請求の範囲 【請求項1】
膀胱周辺のいずれかの骨に固定され長尺状の支持部
前記支持部に対して膀胱側に配設され、温度変化により伸縮する第1のバネ部と、
前記支持部に対して反膀胱側に配設され、温度変化により伸縮する第2のバネ部と、
前記第1のバネ部に熱伝導可能に接続される第1の熱伝導板と、
前記第2のバネ部に熱伝導可能に接続される第2の熱伝導板と、
前記第1の熱伝導板及び第2の熱伝導板間に介在されるペルチェ素子と、
前記第1のバネ部に一端側が接合され、前記第2のバネ部に他端側が接合されると共に、当該第1のバネ部との接合部分及び当該第2のバネ部との接合部分間で前記支持部に軸支されるリンク軸と、
前記リンク軸の一端側の延長部分に軸支され、前記膀胱を押圧する押圧部と、
前記ペルチェ素子を制御する制御部と、
備え、
前記リンク軸が、前記膀胱に対して前記押圧部の両側にそれぞれ配設され、
前記制御部が、前記ぺルチャ素子に対して順方向に電流を流すことにより、前記第1のバネ部を縮退させ、前記第2のバネ部を伸長させると共に、
前記制御部が、前記ぺルチャ素子に対して逆方向に電流を流すことにより、前記第1のバネ部を伸長させ、前記第2のバネ部を縮退させることを
特徴とする排尿支援装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の排尿支援装置において、
前記押圧部の両側にそれぞれ2つの前記リンク軸を設けたことを
特徴とする排尿支援装置。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載の排尿支援装置において、
前記第1のバネ部又は第2のバネ部のうち一方の変態開始温度を人間の平熱以上とし、他方の変態終了温度を人間の平熱以下とすることを
特徴とする排尿支援装置。
【請求項4】
前記請求項1ないし3のいずれかに記載の排尿支援装置において、
前記第1のバネ部及び第2のバネ部を伸縮する蛇腹で被覆することを
特徴とする排尿支援装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし4のいずれかに記載の排尿支援装置において、
前記押圧部の膀胱に接触する部分が、膀胱の形状に対応した形状を有していることを
特徴とする排尿支援装置。
【請求項6】
前記請求項1ないし5のいずれかに記載の排尿支援装置において、
前記制御部に指令を送るリモートコントローラーを人体外に有することを
特徴とする排尿支援装置。
【請求項7】
前記請求項1ないし6のいずれかに記載の排尿支援装置において、
駆動電力を電波から得ることを
特徴とする排尿支援装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、排尿を支援させる排尿支援装置に関し、特に、人体内部に備えられ膀胱を押圧する排尿支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術としては、国際公開WO99/01092にて開示される排尿装置がある。この背景技術となる排尿装置は、可撓チューブと、プランジャと、受け台と、弾性部材と、電磁ソレノイドと、作動子とからなる。可撓チューブは、注入口と排出口とを有する。プランジャは、一端に押圧部を、他端に接触部を有する。受け台は、可撓チューブをプランジャの押圧部下方で支持する。弾性部材は、プランジャの押圧部を常態で可撓チューブに押し付けて可撓チューブを押圧部と受け台との間に圧迫 閉塞させる。電磁ソレノイドは、プランジャの接触部を選択的に吸引・反発する。作動子は、電磁ソレノイドを選択的に電源に接続する。この構成において、可撓チューブの注入口がカテーテルをかいして膀胱 に接続され、可撓チューブの排出口が導管をかいして採尿袋に接続される。膀胱内の尿圧力が所定値に達したとき、作動子によって電磁ソレノイドが付勢され、プランジャの押圧部が後退されて可撓チューブの圧迫 閉塞が解除される。可撓チューブの注入口に連通する膀胱内の尿圧力を所定値に設定し、尿圧力が所定値に達したときはチューブの排出口から外部の採尿袋に膀胱内の尿を全て排尿する。排尿後は、前述の動作が再び繰り返される。このようにして背景技術の排尿装置によれば、膀胱はカテーテルを介して採尿袋に連結されているにもかかわらず、通常時と同様に貯尿・排尿のために膨張・収縮を繰り返すことができ、膀胱機能を廃絶することなく、排尿を行わせることができる。

【特許文献1】国際公開WO99/01092
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記背景技術の排尿装置は以上のように構成され、カテーテルを膀胱に装着した状態でのみ使用することができ、排尿行為の前に諸準備が必要であり、また、装置を置いている場所でしかかかる装置を用いた排尿行為をすることができず、利便性に劣るという課題を有する。
【0004】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、膀胱機能を廃絶することなく、どのような場所であっても前準備なしに、膀胱機能が正常な人と同様に排尿行為を行うことができるように支援する排尿支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る排尿支援装置は、膀胱周辺のいずれかの骨に固定され長尺状の支持部前記支持部に対して膀胱側に配設され、温度変化により伸縮する第1のバネ部と、前記支持部に対して反膀胱側に配設され、温度変化により伸縮する第2のバネ部と、前記第1のバネ部に熱伝導可能に接続される第1の熱伝導板と、前記第2のバネ部に熱伝導可能に接続される第2の熱伝導板と、前記第1の熱伝導板及び第2の熱伝導板間に介在されるペルチェ素子と、前記第1のバネ部に一端側が接合され、前記第2のバネ部に他端側が接合されると共に、当該第1のバネ部との接合部分及び当該第2のバネ部との接合部分間で前記支持部に軸支されるリンク軸と、前記リンク軸の一端側の延長部分に軸支され、前記膀胱を押圧する押圧部と、前記ペルチェ素子を制御する制御部と、備え、前記リンク軸が、前記膀胱に対して前記押圧部の両側にそれぞれ配設され、前記制御部が、前記ぺルチャ素子に対して順方向に電流を流すことにより、前記第1のバネ部を縮退させ、前記第2のバネ部を伸長させると共に、前記制御部が、前記ぺルチャ素子に対して逆方向に電流を流すことにより、前記第1のバネ部を伸長させ、前記第2のバネ部を縮退させるものである。このように本発明においては、ペルチェ素子に電流を流すことで一方で熱の発生し他方で熱の吸収がおこり、かかる熱が押圧部の両側の伸縮機構の第1のバネ部(又は第2のバネ部)に熱伝導板を介在して伝導され伸張又は縮退し、このバネ部の伸縮に応じてリンク軸が支持部の枢軸点を中心に傾倒し、押圧部が押下され膀胱を押圧し、圧迫された膀胱内の尿が尿道を通って排出され、ペルチェ素子に電流を流すだけで後は機械的動作を経て円滑に排尿行為を行うことができる。一方、ペルチェ素子に電流が流れている間は、リンク軸が傾倒し押圧部が膀胱を押圧した状態が維持されるので、ペルチェ素子に電流を流すのを止め、バネ部の熱が通常値にしリンク軸を起上させ押圧部からの膀胱への圧迫を解くことができる。さらに、より迅速に圧迫状態から膀胱を解くためには、ペルチェ素子に対して前記電流方向とは逆方向に電流を流すことで、第1のバネと第2のバネがそれぞれ前記第2のバネと第1のバネの作用が生じ、迅速にリンク軸を起上させることもできる。
【0006】
また、本発明に係る排尿支援装置は必要に応じて、前記押圧部の両側にそれぞれ2つの前記リンク軸を設けたものである。このように本発明においては、前記押圧部の両側にそれぞれ2つの前記リンク軸を設けたので、第1のバネ部、第2のバネ部、第1の熱伝導部、第2の熱伝導部及びペルチェ素子からなる伸縮機構が各リンク軸に対応して合計4つとなり、合計4つの伸縮機構を用いて押圧部をリンク軸を介して押下しており、偏りなく安定的に押圧部を押下することができ、膀胱を適切に圧迫することができる。
【0007】
また、本発明に係る排尿支援装置は必要に応じて、前記第1のバネ部又は第2のバネ部のうち一方の変態開始温度を人間の平熱以上とし、他方の変態終了温度を人間の平熱以下とするものである。このように本発明においては、前記第1のバネ部又は第2のバネ部のうち一方の変態開始温度を人間の平熱以上とし、他方の変態終了温度を人間の平熱以下とするので、前記ペルチェ素子の発熱と吸熱により内側のバネが縮退し外側のバネが伸張し、前記作用が可能となる。
【0008】
また、本発明に係る排尿支援装置は必要に応じて、前記第1のバネ部及び第2のバネ部を伸縮する蛇腹で被覆するものである。このように本発明においては、前記第1のバネ部及び第2のバネ部を伸縮する蛇腹で被覆するので、本装置が駆動して第1のバネ部及び第2のバネ部が伸張しても体内の器官を損傷することがない。
【0009】
また、本発明に係る排尿支援装置は必要に応じて、前記押圧部の膀胱に接触する部分が、膀胱の形状に対応した形状を有しているものである。このように本発明においては、前記押圧部の膀胱に接触する部分が、膀胱の形状に対応した形状を有しているので、リンク軸による押圧力を無駄にすることなく円滑に膀胱を圧迫することができる。ここで、押圧部がかかる形状でない場合には膀胱が抑制されることく多方向に変形するので、効率的に圧迫することができないばかりか、バネの伸張も必要以上に必要となって、駆動領域が広がり他の器官に対する影響も大きく好ましくない。
【0010】
また、本発明に係る排尿支援装置は必要に応じて、前記制御部に指令を送るリモートコントローラーを人体外に有するものである。このように本発明においては、前記制御部に指令を送るリモートコントローラーを人体外に有するので、患者の要求に応じて円滑に排尿行為を実現することができる。また、介護者や医療関係者が介護する場合に、患者がどのような場合であっても排尿行為を規則どおりに行わせることができる。カテーテルを用いた場合には医療関係者はともかく、介護者では操作が難しいという課題が従来はあった。
【0011】
また、本発明に係る排尿支援装置は必要に応じて、駆動電力を電波から得るものである。このように本発明においては、駆動電力を電波から得るので、外部から永続的に電力供給を行うことができ、仮に電池により電力供給を行った場合と比べ、患者に対する負担が大幅に軽減することができる。電波から駆動電力を得る方法としては一般的にはコイルを配設し、かかるコイルから高周波を得て整流して直流を得る方法がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(本発明の第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る排尿支援装置について、図1ないし図6に基づき説明する。図1は本実施形態に係る排尿支援装置の概略図、図2は本実施形態に係る排尿支援装置の膀胱を圧縮していない状態図、図3は本実施形態に係る排尿支援装置の膀胱を圧縮している状態図、図4及び図5は本実施形態に係る排尿支援装置の全体図、並びに、図6は本実施形態に係る排尿支援装置を設置した例示図である。
【0016】
前記各図において本実施形態に係る排尿支援装置は、膀胱周辺のいずれかの骨に固定され長尺状の支持部1、当該支持部1の片側に温度変化により伸縮する第1のバネ部12及び前記支持部の他側に温度変化により伸縮する第2のバネ部13を備え、当該第1のバネ部12と第2のバネ部13にそれぞれ第1の熱伝導板14、第2の熱伝導板15をバネ部12、13に熱伝導可能にペルチェ素子16を介在させて配設した伸縮機構10を、膀胱を押圧する押圧部20の両側に前記支持部11に枢軸されたリンク軸30を介して配設し、当該リンク軸30は各伸縮機構10の第1のバネ部12及び第2のバネ部13と接合し、前記ペルチェ素子16を制御する制御部(図示しない)を有する構成である。本実施形態では、4つの伸張機構10を用いる。
【0017】
前記第1のバネ部12は、本実施形態では膀胱側の内側、すなわち、支持部11に対して膀胱側のバネであり、具体的には形状記憶合金を用いる。この形状記憶合金を用いれば、外力によって塑性変形しても加熱することにより高い弾性を回復し、記憶させておいて形状を再現させることができる。特に、Ti-Ni系形状記憶合金は、医療用材料としても生体適合性に優れている。生体温度を36.5[℃]を基準とすると、この生体温度でばね定数が上がった状態とし、26[℃]に冷却することで、ばね定数を下げて柔らかくする構成とする。すなわち、26[℃]を変態開始温度し、36.5[℃]を変態終了温度とする。ここでの数値は一具体例にすぎない。
【0018】
前記第2のバネ部13は、本実施形態では膀胱側の外側、すなわち、支持部11に対して反膀胱側のバネであり、具体には前記第1のバネ部12と同様に形状記憶合金を用いる。同様に、生体温度を36.5[℃]を基準とすると、この生体温度ではばね定数が下がった状態にあり、46[℃]まで加熱することで、ばね定数を上げた状態とすることにする。すなわち、36.5[℃]以上の温度を変態開始温度とし、46[℃]を変態終了温度とする。ここでの数値は一具体例にすぎない。
【0019】
前記ペルチェ素子16は、半導体素子であり、電流を流すことで素子の表面が吸熱し、他方面が発熱(放熱)し、両面に温度差が生じさせることができるものである。このペルチェ素子16を用いることで前記第1のバネ部12及び第2のバネ部13をそれぞれ吸熱、発熱させることができる。
【0020】
前記熱伝導板14、15は、アルミ板及び銅であり、他の熱を伝導可能な媒体であれば適用することができる。本実施形態では、前記ペルチェ素子をアルミ板で挟持し、銅板を介してアルミ板から形状記憶合金へ熱伝導を行う。ここで、銅板から第1のバネ部12及び第2のバネ部13へ熱を伝導する場合に、単純に銅板と第1のバネ部12及び第2のバネ部13を接続してもできるが、第1のバネ部12及び第2のバネ部13が可動部であるため接触可能な部分が限られ円滑な熱伝導が実現できない。そこで、第1のバネ部12及び第2のバネ部13を内包可能な筒状のもので覆ってこの筒内に液体を充填して銅板から第1のバネ部12及び第2のバネ部13への熱伝導をより円滑に可能とする。これによれば、前記一部分の接触により熱伝導を行う場合と比して、熱が全体的に伝導させるために偏りなく熱を伝導させることができ、バネ部の動作においても望ましい。さらに、筒状のもので覆うことは本排尿支援装置が人体内に設置されることを考慮すれば、可動部が被覆されることは望ましい。さらにまた、筒51で覆うとしても上部は弾性可能な蛇腹52で構成される被覆体50とする。前記弾性可能な蛇腹の具体例としては、シリコン製のジャバラチューブがある。充填される液体としては、水、生理食塩水等が考えられる。
【0021】
前記制御部は、マイコン若しくは電子回路で構成され、外部の要求に応じてペルチェ素子16に対して電流を流す制御を行う。この制御部は、例えば、可動しない支持部に内設される。同様に、制御部及びペルチェ素子16に電流の供給を行う電源部(図示しない)も可動しない支持部に内設される。
【0022】
前記筒51と支持部11を腸骨、恥骨、坐骨等に直接接合した構成でもよいが、例えば、図4に示すような、基台40に筒51と支持部11を固定し、この基台40を前記腸骨等と接合する構成にすることもできる。基台40には、膀胱を上部から納めることができるように穴60が形成されている。さらに、この穴60があるため膀胱の近接器官となる前立腺、尿の通路となる尿道のスペースが確保されることにもなる。また、基台40は1つの構成にすることもできるし、図5に示すように、伸縮機構10毎に基台40を設けてもよく、この場合には、基台40間に前記穴60が形成されることとなる。また、図4及び図5の構成では、第1のバネ部に係る筒51と第2のバネ部に係る筒52との接合部分の筒がないが、これは基台40間にも充填水が満たされ、この基台内に第1の熱伝導板14、第2の熱伝導板15及びペルチェ素子16を配置した構成となっている。特に、図4においては、ドーナツ状となっているが、伸縮機構10毎にセパレートされている構成である。端的に言えば、かかる接合部分の筒が基台40に形成されていることに等しい。また、基台内には、前記では支持部11に配置すると説明した制御部及び電源部を基台40に配置することもできる。
【0023】
次に、本実施形態に係る排尿支援装置の動作について説明する。予め本排尿装置を開腹手術により、膀胱100が収まるように人体に設置しなれければならない。人体に本排尿支援装置を設置した例示図が図6である。
【0024】
かかる排尿支援装置を手術により配設された患者は、尿意をもよおした場合に、排尿支援装置のリモコン(図示しない)を携帯して便所に行く。男性であれば、通常通り、立小便用便器の前に立ち、性器を所定方向に向けた状態で排尿不能ではない患者はまずは自己の筋力を頼りに尿を出そうとする。そして、一定の試みをなした後に、リモコンの開始ボタンを押下する。
【0025】
かかるボタンが押下された場合に、リモコンから駆動命令が制御部に伝達される。制御部はかかる駆動命令を受け、ペルチェ素子16に電流を流す。電流が流れるとペルチェ素子16は、第1の熱伝導板14からは吸熱をし、かかる熱を第2の熱伝導板15に放熱を行う。第1の熱伝導板14が内設された筒51内の充填水の温度が低下し変態開始温度方向に近づいていく。そうすると、第1のバネ部12が縮退する。一方、第2の熱伝導板15が内設された筒51内の充填水の温度が上昇し変態終了温度方向に近づいていく。そうすると、第2のバネ部1伸長する。かかる第1のバネ部12の縮退及び第2のバネ部1伸長により、リンク軸30が初期位置から傾倒し、押圧部20を押下する。押圧部20はかかる押圧により下方向に押し下げられ、膀胱100を押圧する。膀胱100はかかる押圧により、尿に対する内圧が上昇し、尿道から尿が排出される。
【0026】
尿が排出されて尿意がなくなったと判断した患者は、リモコンの終了ボタンを押下する。リモコンはかかる終了命令を制御部に伝達する。終了命令が伝達された制御部は、ペルチェ素子16に流していた電流を停止し、次に、逆方向に電流を流す。そうすると、吸熱と放熱とが逆転し、第2の熱伝導板15からは吸熱をし、かかる熱を第1の熱伝導板14に放熱を行う。第2の熱伝導板15が内設された筒51内の充填水の温度が低下し変態開始温度方向に近づいていく。そうすると、第2のバネ部13が縮退する。一方、第1の熱伝導板14が内設された筒51内の充填水の温度が上昇し変態終了温度方向に近づいていく。そうすると、第1のバネ部1伸長する。かかる第2のバネ部13の縮退及び第1のバネ部12の伸長により、リンク軸30が傾いた状態から復帰する。押圧部20は前記押圧から解放され、膀胱100により押し上げられる。
【0027】
以上により排尿行為が終了する。ここで、リモコンを用いて終了命令を制御部に伝達したが、伝達されない場合、すなわち、患者が忘れて終了ボタンを押下しない場合でも、所定時間経過すると、制御部は電流を流すことを停止する構成にもすることができ、これによれば、所定時間経過後には充填水の温度が体温となって、第2のバネ部13が縮退され、第1のバネ部12の伸長し、これによりリンク軸30が傾いた状態から復帰する。そうすると、押圧部20は膀胱100を押圧しなくなる。このように患者が忘れた場合でも、自然に復帰するようにすることもできる。また、リモコンをなくした場合、制御部が故障した場合でも、常に、復帰状態が維持されるので、膀胱100を押圧した状態が継続して続くことはなく、安全面でも優れている。
【0028】
このように本実施形態に係る排尿支援装置によれば、前記支持部11、第1のバネ部12及び第2のバネ部13を備え、当該第1のバネ部12と第2のバネ部13にそれぞれ第1の熱伝導板14、第2の熱伝導板15をバネ部12、13に熱伝導可能にペルチェ素子16を介在させて配設した伸縮機構10を、膀胱を押圧する押圧部20の両端に前記支持部11に枢軸されたリンク軸30を介して配設し、当該リンク軸30は各伸縮機構の第1のバネ部12及び第2のバネ部13と接合し、前記ペルチェ素子16を制御する制御部を有するので、ペルチェ素子16に電流を流すことで一方で熱の発生し他方で熱の吸収がおこり、かかる熱が押圧部20の両側の伸縮機構10の第1のバネ部12(又は第2のバネ部13)に熱伝導板14(又は15)を介在して伝導され伸張又は縮退し、このバネ部の伸縮に応じてリンク軸30が支持部11の枢軸点を中心に傾倒し、押圧部20が押下され膀胱100を押圧し、圧迫された膀胱100内の尿が尿道を通って排出され、ペルチェ素子16に電流を流すだけで後は機械的動作を経て円滑に排尿行為を行うことができる。
【0029】
なお、本実施形態に係る排尿支援装置においては、リモコンに調節ツマミを設けかかる調節ツマミの調整に応じて、ペルチェ素子16に流れる電流量を調整することもでき、より迅速に膀胱100を押圧すること、及び、どの程度膀胱100を押圧するかを調整することもできる。
【0030】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る排尿支援装置について、図7に基づき説明する。図7は本実施形態に係る排尿支援装置の動作説明図である。図7中の実線の変位部111が膀胱を圧迫していない状態を示し、点線の変位部111が膀胱を圧迫している状態を示している。
【0031】
本実施形態に係る排尿支援装置は、膀胱周辺のいずれかの骨に固定され長尺状のベース部110と、このベース部110に一端を支持され、温度変化により形状を変化する変位部111とを備え、前記変位部111が温度変化によって形状を変化させて膀胱100を圧迫する構成である。また、変位部111の膀胱接触部にクッション材112を設けている。
【0032】
温度変化により形状を変化する物質としては形状記憶合金がり、所定温度を与えることに記憶させた形状に変形する。
【0033】
本排尿装置を開腹手術により図7に示すように人体に設置する。手術後傷が塞がった後に、下腹部に対して手、湯たんぽ等で暖めることにより、形状記憶合金から形成される変位部111が、図7の実線から図7の点線に変化し、膀胱100を圧迫する。
【0034】
このように本実施形態に係る排尿支援装置によれば、骨に固定されているベース部110を固定点とし、温度変化又は電圧変化によって変位部111が形状を変化させ、膀胱100を繰り返し同一動作で圧迫することができ、安定的に排尿を繰り返し支援することができる。
【0035】
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る排尿支援装置について、図8又は図9に基づき説明する。図8又は図9は本実施形態に係る排尿支援装置の動作説明図である。図8が膀胱を圧迫していない状態であり、図9が膀胱を圧迫している状態である。
【0036】
本実施形態に係る排尿支援装置は、膀胱周辺のいずれかの骨に固定され長尺状のベース部210と、膀胱100周辺に位置し、可動物211aと可動受け211bからなる伸縮機構部211と、前記ベース210部に一端を支持され、この一端を中心として膀胱側へ回動可能な傾倒部212と、前記伸縮機構部211の可動物211aと傾動部212とを接続するリンク材213とを備える構成である。また、傾倒部212の膀胱接触部にクッション材214を設けている。
【0037】
本排尿装置を開腹手術により図8に示すように人体に設置する。手術後傷が塞がった後に、下腹部に対して手でリンク材213と可動物211aが接続している部分を手前方向に押さえることで、可動物211aが可動受け211bに収納され、この可動物211aに接続するリンク材213も移動し、さらに、リンク材213と接続する傾動部212が傾動し、膀胱100を圧迫し排尿を支援することができる。再び、腎臓から尿管を介して膀胱に尿が貯まると、自動的に、傾動部212が押しあがり、リンク材213及び可動物211aも同様に元位置に戻る。
【0038】
このように本実施形態に係る排尿支援装置によれば、骨に固定されているベース部210を固定点とし、伸縮機構部211を体外から使用者等の手で押さえることで、可動物211aが可動受けに収納されながら、可動物211aに接続するリンク材213も同様に移動し、傾動部212も膀胱側へ傾動し、膀胱100を繰り返し同一動作で圧迫することができ、安定的に排尿を繰り返し支援することができる。
【0039】
なお、本実施形態に係る排尿支援装置においては、リンク材213と可動物211aが接続している部分に腹壁接触部分にクッション材214を設けることもでき、腹壁へのキズを防止することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る排尿支援装置においては、可動受け211bにバネを設け、可動物211aが使用者の手によって押されて排尿支援をした後に、バネの付勢力によって可動物211a、リンク材213及び傾動部212が元に戻る構成にすることもでき、傾動部212が膀胱100を常に押さえた状態となって必要以上の残尿感を使用者に与えることを防止することができる。
【0041】
(本発明のその他の実施形態)
前記第2の実施形態に係る排尿支援装置においては図7に示す構成としたが、図7(b)に相当する要部拡大図である図10の構成にすることもでき、膀胱周辺のいずれかの骨に固定され長尺状のベース部110と、このベース部110に一端を支持され、長尺状の所定形状を保つ起動部311と、この起動部311に一端を固定され、他端が圧電素子からなるリンク材313とを備え、リンク材313の他端が通常時で起動部311のベース部110に位置し、電圧印加時にベース部110に沿って直下方向に移動する構成にすることもでき、リンク材313の圧電素子部分に電圧印加されることにより体積変化が生じて、ベース部110に沿ってリンク材313の他端が直下方向に所定変位分(図中で∇)移動し、リンク材313の一端と固定されている起動部311が起動し(図10(b)参照。なお、図10(a)は起動前の状態を示す。)、起動部の他端部分が膀胱100を繰り返し同一動作で圧迫することができ、安定的に排尿を繰り返し支援することができる。ここで、リンク材313の圧電素子部分を、形状記憶合金で形成し、同様に所定分変位させる構成にすることもできる。また、ベース部110のリンク材313との接続部分を圧電素子又は形状記憶合金にして、ベース部110の体積変化によりリンク材313を変位させる構成であってもよい。
【0042】
また、同様にベース部110、起動部311及びリンク材313の構成で、リンク材313のベース部110の接続端をジョイントとし、このジョイント部分がベース部110をリールとして機能させてベース部110が上下可能とし、起動部311のベース部110の接続端を固定端とし、この固定端と前記ジョイントとを中央が曲折し2方向の延出手314a、314bを有する拡開材で接続し、この拡開材314の延出手の中央部分に形状記憶合金を配置し、通常時で形状記憶合金が短い状態で拡開材314を狭角とし(図11(a)参照)、排尿支援装置使用時に形状記憶合金が長い状態で拡開材314を広角として起動部311を起動させ(図11(b)参照)、同様に、膀胱を圧迫して排尿を支援することもできる。この場合に、形状記憶合金の代わりに、圧電素子を用いることもでき、圧電素子に電圧印加の有無によって体積膨張を生じさせて、形状記憶合金と同様に機能させることもできる。
【0043】
また、図11の構成は例示であって一般的なアクチュエーターで動作可能であり、他の例として図12の構成であっても同様に動作することができる。図12の構成は、前記と同様、ベース部110、起動部311及びリンク材313の構成で、リンク材313のベース部110の接続端をジョイントとし、このジョイント部分がベース部110をリールとして機能させてベース部110が上下可能とし、起動部311のベース110の接続端を固定端とし、ベース部を軸として起動部311と反対方向に延出材315bを前記ジョイントに接続し、延出材315bと同様で形状が鉤部を2箇所を有する延出材315a前記固定端にを接続し、この延出材315a、315bの開放端を形状記憶合金にて接続した構成である。この形状記憶合金が、温度変化にて伸縮することにより、前記図11同様に、膀胱を圧迫して排尿を支援することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る排尿支援装置の概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る排尿支援装置の膀胱を圧縮していない状態図である。
【図3】本発明の第1の本実施形態に係る排尿支援装置の膀胱を圧縮している状態図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る排尿支援装置の全体図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る排尿支援装置の全体図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る排尿支援装置を設置した例示図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る排尿支援装置の動作説明図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る排尿支援装置の動作説明図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る排尿支援装置の動作説明図である。
【図10】本発明のその他の実施形態に係る排尿支援装置の動作説明図である。
【図11】本発明のその他の実施形態に係る排尿支援装置の動作説明図である。
【図12】本発明のその他の実施形態に係る排尿支援装置の動作説明図である。
【符号の説明】
【0045】
10 伸縮機構
11 支持部
12 第1のバネ部
13 第2のバネ部
14 第1の熱伝導板
15 第2の熱伝導板
16 ペルチェ素子
20 押圧部
30 リンク軸
40 基台
50 被覆体
51 筒
52 蛇腹
60 穴
100 膀胱
110 ベース部
111 変位部
112 クッション材
210 ベース部
211 伸縮機構部
211a 可動物
211b 可動受け
212 傾倒部
213 リンク材
214 クッション材
311 起動部
313 リンク材
314 拡開材
314a、314b 延出手 315a、315b 延出材

図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
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【図5】
4
【図6】
5
【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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