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明細書 :硬質窒化炭素膜の形成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4182224号 (P4182224)
公開番号 特開2006-249522 (P2006-249522A)
登録日 平成20年9月12日(2008.9.12)
発行日 平成20年11月19日(2008.11.19)
公開日 平成18年9月21日(2006.9.21)
発明の名称または考案の名称 硬質窒化炭素膜の形成方法
国際特許分類 C23C  16/34        (2006.01)
C23C  16/509       (2006.01)
B23B  27/14        (2006.01)
B23P  15/28        (2006.01)
FI C23C 16/34
C23C 16/509
B23B 27/14 A
B23P 15/28 A
請求項の数または発明の数 8
全頁数 10
出願番号 特願2005-069186 (P2005-069186)
出願日 平成17年3月11日(2005.3.11)
審査請求日 平成17年3月11日(2005.3.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
発明者または考案者 【氏名】伊藤 治彦
【氏名】堀 健造
【氏名】齋藤 秀俊
個別代理人の代理人 【識別番号】100102299、【弁理士】、【氏名又は名称】芳村 武彦
審査官 【審査官】岡田 隆介
参考文献・文献 特開平11-229147(JP,A)
特開2002-038269(JP,A)
特開2001-234340(JP,A)
特開2004-238649(JP,A)
特開平11-350140(JP,A)
特開2001-254172(JP,A)
特開平08-319568(JP,A)
調査した分野 C23C 16/00-16/56
H01L 21/205、21/31、
21/365、21/469、
21/86
WPI
Science Direct
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
シアン化合物を含む原料ガスをプラズマ化することにより活性化し基板上に窒化炭素膜を形成する際に、基板にパルス周期が10~10000秒の高周波パルスをon/off比50/50~80/20で印加することを特徴とする硬質窒化炭素膜の形成方法。
【請求項2】
基板の温度を0~100℃に維持することを特徴とする請求項1に記載の硬質窒化炭素膜の形成方法。
【請求項3】
高周波パルスバイアス電圧が-50~-200Vであることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬質窒化炭素膜の形成方法。
【請求項4】
原料ガスがシアン化合物と不活性ガスとの混合ガスであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の硬質窒化炭素膜の形成方法。
【請求項5】
基板がシリコン、炭化ケイ素、窒化ケイ素から選択された表面を有するものであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の硬質窒化炭素膜の形成方法。
【請求項6】
硬質窒化炭素膜の硬度が20~60GPaであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の硬質窒化炭素膜の形成方法。
【請求項7】
硬質窒化炭素膜の窒素含有率が、原子数比で20~50%であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の硬質窒化炭素膜の形成方法。
【請求項8】
プラズマ発生手段として直流、交流、高周波、マイクロ波、ECRのいずれかを使用し、圧力10-4~1Torrでプラズマを発生させることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の硬質窒化炭素膜の形成方法。






















発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、切削工具、金型、耐摩耗部品、光ディスクや磁気ディスクのような記憶媒体の保護膜等に用いられる硬質窒化炭素膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、β型の窒化珪素と同様な構造を持つ窒化炭素Cがダイヤモンドよりも高い硬度を持つ可能性があることが指摘され、種々の基板上に硬質窒化炭素膜を形成する技術が種々提案されている。(例えば、特許文献1~3参照)

【特許文献1】特開平11-350140号公報
【特許文献2】特開2001-254172号公報
【特許文献3】特開2002-38269号公報
【0003】
特許文献1及び2に記載された技術は、真空容器内に配置された基板上に、膜の窒素源となる窒素又は窒素を含む材料ガスのプラズマと、膜の炭素源となる炭素を含む材料ガスのプラズマを供給し、基板にパルス状電圧を印加して窒化炭素膜を形成するものである。
しかしながら、これらの技術は、別々に供給された膜の窒素源と炭素源を基板上で反応させるために、膜中の窒素含有率を高くすることが困難であり(高々20%程度)、硬度が高く所望の性状を有する硬質窒化炭素膜を得ることはできなかった。また、基板に印加するパルス状電圧はkVオーダーで、パルス幅も数マイクロ秒程度の極めて短いパルスとして印加するものであり、大規模な電源装置や制御装置を必要とするものであった。
【0004】
これに対して、特許文献3に記載された技術は本発明者等が開発したもので、シアン化合物を含む原料ガスをプラズマ化し基板上に窒化炭素膜を合成する際に、成膜初期に基板を0~-60Vの負電圧にバイアスすることを特徴とするものである。この技術によれば、上記特許文献1,2に記載の技術に比較して、窒化炭素膜中の窒素含有率を大幅に高くすることが可能となるが、基板にバイアスする負電圧が-60Vより大きくなると、スパッタリングにより膜が生成しなくなることがあり、効率良く均質な硬質窒化炭素膜を形成することができなくなるという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明はこれら従来技術の問題を解消して、大規模で高価な設備を必要とせずに、基板上に硬度が高く表面が平滑で均質な硬質窒化炭素膜を効率良く形成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は鋭意検討した結果、シアン化合物を含む原料ガスをプラズマ化して基板上に窒化炭素膜を形成する際に、基板にきわめてゆっくりとしたパルス電圧を印加することによって、上記課題が解決されることを発見し、本発明を完成させたものである。
【0007】
すなわち、本発明は次の1~の構成を採用するものである。
1.シアン化合物を含む原料ガスをプラズマ化することにより活性化し基板上に窒化炭素膜を形成する際に、基板にパルス周期が10~10000秒の高周波パルスをon/off比50/50~80/20で印加することを特徴とする硬質窒化炭素膜の形成方法。
2.基板の温度を0~100℃に維持することを特徴とする1に記載の硬質窒化炭素膜の形成方法。
3.高周波パルスバイアス電圧が-50~-200Vであることを特徴とする1又は2に記載の硬質窒化炭素膜の形成方法。
4.原料ガスがシアン化合物と不活性ガスとの混合ガスであることを特徴とする1~3のいずれかに記載の硬質窒化炭素膜の形成方法。
5.基板がシリコン、炭化ケイ素、窒化ケイ素から選択された表面を有するものであることを特徴とする1~4のいずれかに記載の硬質窒化炭素膜の形成方法。
6.硬質窒化炭素膜の硬度が20~60GPaであることを特徴とする1~5のいずれかに記載の硬質窒化炭素膜の形成方法。
7.硬質窒化炭素膜の窒素含有率が、原子数比で20~50%であることを特徴とする1~6のいずれかに記載の硬質窒化炭素膜の形成方法。
8.プラズマ発生手段として直流、交流、高周波、マイクロ波、ECRのいずれかを使用し、圧力10-4~1Torrでプラズマを発生させることを特徴とする1~7のいずれかに記載の硬質窒化炭素膜の形成方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来技術では生成させることがきわめて困難であった、硬度が20~60GPa程度、特に45~60GPa程度で、窒素含有率が原子数比で20~50%程度の硬質窒化炭素膜を基板の表面に効率良く、低コストで生成させることが可能となった。本発明は、大規模で高価な設備を必要とせずに、基板上に硬度が高く表面が平滑で均質な硬質窒化炭素膜を効率良く形成することを可能とするものであり、実用的価値が極めて高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明では、シアン化合物を含む原料ガスをプラズマ化することにより活性化し基板上に窒化炭素膜を形成する際に、基板にパルス周期が0.1~100000秒、好ましくは10~10000秒、さらに好ましくは100~1000秒の高周波パルスをon/off比50/50~80/20で印加することを特徴とする。
原料ガスとなるシアン化合物としては、シアンのハロゲン化物や各種の有機化合物が使用可能であるが、実用的にはシアン化臭素、シアン化ヨウ素、シアン化塩素、シアン化水素、アセトニトリル、ジシアン等を使用することが好ましい。これらのシアン化合物は、単独で、又は2種類以上を混合して使用することができる。
これらのシアン化合物は、通常は、アルゴン、ヘリウム、或いは窒素等の不活性ガスと混合して用いられる。シアン化合物と不活性ガスの混合割合は、シアン化合物の分圧を0.0001~100%、特に0.001~40%とすることが好ましい。
【0010】
硬質窒化炭素膜を形成する基板としては特に制限はないが、シリコン、炭化ケイ素、窒化ケイ素等から選択された表面を有する基板を使用することが好ましい。このような基板としては、これらの材料自体により構成された基板、或いは他の材料からなる基板上にこれらの材料からなる被膜を形成した基板等が挙げられる。
基板の温度は、基板ステージを水等で冷却することによって、0~100℃程度に維持した場合には、得られる窒化炭素膜の硬度が上がるので好ましい。
【0011】
本発明では、上記のシアン化合物を含む原料ガスをプラズマ化させて活性化し基板上に窒化炭素膜を形成するが、プラズマ発生手段としては特に制限はないが、通常は直流、交流、高周波、マイクロ波、ECR等が使用される。また、圧力は10-4~1Torr程度とすることが好ましい。
【0012】
本発明において、基板に窒化炭素膜を形成する際には、基板にパルス周期が0.1~100000秒、好ましくは10~10000秒、さらに好ましくは100~1000秒の高周波パルスをon/off比50/50~80/20で印加する。高周波パルスの電圧は、0~-200V、特に-50~-200Vとすることが好ましい。
特許文献3に記載された本発明者等が提案した従来技術では、負の高周波バイアス電圧を基板に連続的に印加することによって、緻密で硬質な窒化炭素膜を生成させるものであるが、基板にバイアスする負電圧が-40V、特に-60Vより大きくなると、スパッタリングにより膜が生成しなくなることがあり、効率良く均質な硬質窒化炭素膜を形成することができなくなるという問題点があった。本発明では、上記の極めてゆっくりとしたパルス電圧を基板に印加することによって、負電圧を大きくした際にスパッタリングにより膜の生成が阻害されることを防止し、効率良く均質な硬質窒化炭素膜を形成することに成効したものである。
【0013】
本発明によれば、従来技術では生成させることがきわめて困難であった、硬度が20~60GPa程度、特に45~60GPa程度で、窒素含有率が原子数比で20~50%程度の硬質窒化炭素膜を基板の表面に効率良く、低コストで生成させることが可能となった。
【0014】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
(実施例1)
図1は、本発明の硬質窒化炭素膜の形成方法に使用される装置の1例を示す模式図である。この装置では、減圧にされた反応室8内の基板ステージ12上に載置された基板11上で、シアン化合物を含む原料ガスをプラズマ化することにより活性化し、基板11上に硬質窒化炭素膜を形成するものである。
【0015】
以下、この装置を使用して、基板11上に硬質窒化炭素膜を形成する手順について説明する。
はじめに、メカニカルブースターポンプ1とロータリーポンプ2を用いて、反応室8内を10-3Torr程度まで真空排気する。その後、バルブ3を解放し、アルゴンを五酸化リンが充填された乾燥室4を通して、石英などのガラス管を用いたプラズマ生成室5へ導入する。次に、マイクロ波発振器6から2.45GHz、100Wのマイクロ波を導波管7に投入し、アルゴンガスのプラズマを発生させる。生成したプラズマを、プラズマ生成室5から引き出して反応室8へ導き、反応室8内で五酸化リンが充填された乾燥室9およびノズル10を通して導入したシアン化合物蒸気と、反応・分解を行ない、シアン化合物の分解生成物を基板11上に堆積して、窒化炭素膜を形成する。
その際、基板ステージ12には、外部より冷却水を水路13内に導入し循環させる。さらに、外部より高周波電源14およびマッチングボックス15を用いて、13.56MHzの高周波を基板ステージ12に印加し、基板ステージ12に発生した負の直流バイアス電圧の値を、フィルター回路16を通した電圧計17で読み取る。
【0016】
本実施例では、縦1cm、横1cm、厚さ0.2mmのシリコン基板を使用し、基板温度は30℃とした。また、アルゴンの流量は3000Torr・l・s-1、シアン化合物としてシアン化臭素を使用し、その流量は0.03Torr・l・s-1とした。
そして、基板に印加する負のバイアス電圧を、-40Vおよび-100Vに設定した。さらに、高周波電源14には、デジタル遅延パルスジェネレーター18を接続し、周期100および1000秒、on/off時間比50/50、60/40、70/30、80/20、90/10のそれぞれの条件下で高周波電源をパルス動作させた。
【0017】
窒化炭素膜は、on/off時間比50/50、60/40、70/30、80/20の条件下で生成し、膜厚は0.5~1μm、窒素含有率は原子数比で30-50%であった。微小押し込み硬さ試験器で膜硬度を測定した結果を、図2に示す。膜の硬度値は15~50GPaで、負のバイアス電圧が大きいほど、またon/off時間比が大きいほど硬度値が高くなる結果が得られた。また、on/off比80/20の条件で作製した窒化炭素膜のラマン分光分析を行なった結果を図3に示す。図3には、二次元的な構造に由来するGバンドと、粒界または三次元的な構造に由来するDバンドが観測され、解析の結果、硬度値が高くなるほどDバンドの強度が大きくなる傾向が見られた。このことから、本実施例で作製された膜のDバンドは、主に三次元的なネットワーク構造に起因することが判明した。以上のように、基板バイアス電圧とon/off時間比を変化させることにより、幅広い範囲の硬質窒化炭素膜を合成させることが可能である。
【0018】
(実施例2)
図4は、本発明の硬質窒化炭素膜の形成方法に使用される装置の他の例を示す模式図である。この装置では、図1の装置と同じ箇所には、同じ符号を付与している。以下、この装置を使用して、基板11上に硬質窒化炭素膜を形成する手順について説明する。
はじめに、ターボ分子ポンプ19とロータリーポンプ2を用いて、反応室8内を10-6Torr程度まで真空排気する。その後、バルブ3を解放し、アルゴンを五酸化リンが充填された乾燥室4を通してステンレス製のプラズマ製のプラズマ生成室5へ導入する。次に、マイクロ波発振器6から2.45GHz、70Wのマイクロ波を同軸ケーブル20を経てアンテナ21に投入し、アルゴンガスのプラズマを発生させる。その際に、永久磁石22を用いて875Gの磁場を発生させ、電子を共鳴加速させることにより、10-3Torr程度の低圧で安定したプラズマを生成させる。生成したプラズマをプラズマ生成室から引き出して反応室8へ導き、五酸化リンが充填された乾燥室9およびノズル10を通して導入したシアン化合物蒸気と反応・分解を行ない、シアン化合物の分解生成物を炭化ケイ素基板11上に堆積して、窒化炭素膜を形成する。その際、基板ステージ12には、外部より冷却水を水路13内に導入し、循環させる。さらに、外部より高周波電源14およびマッチングボックス15を用いて、13.56MHzの高周波を基板ステージ12に印加し、基板ステージ12に発生した負の直流バイアス電圧の値をフィルター回路16を通した電圧計17で読み取る。
【0019】
本実施例では、縦1.5cm、横1.5cm、厚さ0.5mmの炭化ケイ素基板を使用し、基板温度は30℃とした。また、アルゴンの流量は100Torr・l・s-1、シアン化合物としてシアン化塩素を使用し、その流量は1Torr・l・s-1とした。
そして、基板に印加する負のバイアス電圧を、-40~-100Vの間で変化させた。さらに、高周波電源にはデジタル遅延パルスジェネレーター18を接続し、周期100および1000秒、on/off時間比50/50、60/40、70/30、80/20、90/10、のそれぞれの条件下で高周波電源をパルス動作させ、100/0(連続バイアス)の場合と比較した。本実施例では、パルスoffの場合にも-10V程度の自己バイアスが基板ステージ12に発生している。
【0020】
連続バイアスの場合、およびon/off時間比80/20および90/10の場合には、スパッタリングの影響が高く、窒化炭素膜の生成は認められなかった。窒化炭素膜はon/off時間比50/50、60/40、70/30の条件下で生成し、膜厚0.1~0.5μmであった。臭化シアンを原料に用いた場合、窒素含有率は原子数比で20-35%で、微小押し込み硬さ試験器で膜硬度を測定した結果、外部バイアスを印加しない場合(すなわち自己バイアスのみの場合)、硬度値は10GPaであった。外部よりパルスバイアスを印加した場合の硬度値は、40~60GPaであった。実験の結果、on/off時間比が大きいほど膜厚は低く、硬度値は高くなる結果が得られた。アセトニトリルを原料に用いた場合、窒素含有率は原子数比で5-25%で、微小押し込み硬さ試験器で膜硬度を測定した結果、外部バイアス印加の有無にかかわらず硬度値は1~2GPaと軟質な膜が得られた。また、生成した窒化炭素膜の赤外およびラマン分光分析を行なった。臭化シアンを原料に用いon/off比70/30で作製した窒化炭素膜の赤外スペクトル(図5参照)では、1200-1500cm-1にGバンド、DバンドおよびC-N単結合のバンドが観測され、3200-3500cm-1にN-Hなどの水素終端構造の振動は全く観測されなかった。さらに、ラマンスペクトルではGバンドおよびDバンドの両方が観測された。一方、アセトニトリルを原料に用いた窒化炭素膜の赤外スペクトルでは、C-N単結合のバンドは観測されず、水素終端構造のバンドが強く観測された。さらにラマンスペクトルにはピークが全く観測されなかった。
【0021】
(実施例3)
図6は、本発明の硬質窒化炭素膜の形成方法に使用される装置の他の例を示す模式図である。この装置では、図1の装置と同じ箇所には、同じ符号を付与している。以下、この装置を使用して、基板11上に硬質窒化炭素膜を形成する手順について説明する。
はじめに、ターボ分子ポンプ19とロータリーポンプ2を用いて、装置内を10-6Torr程度まで真空排気する。その後、バルブ3を解放し、アルゴン、窒素及びシアン化合物の混合気体を、五酸化リンが充填された乾燥室4を通して石英ガラス製のプラズマ生成室5へ導入する。次に、マイクロ波発振器6から2.45GHz、100Wのマイクロ波を導波管7に投入し、プラズマを発生させる。シアン化合物の分解生成物を炭化ケイ素基板11上に堆積して、窒化炭素膜を形成する。その際、基板ステージ12には、外部より冷却水を水路13内に導入し、循環させる。さらに、外部より高周波電源14およびマッチングボックス15を用いて、13.56MHzの高周波を基板ステージ12に印加し、基板ステージ12に発生した負の直流バイアス電圧の値をフィルター回路16を通した電圧計17で読み取る。
【0022】
本実施例では、縦1.5cm、横1.5cm、厚さ0.5mmの炭化ケイ素基板を使用し、基板温度は30℃とした。また、アルゴンの流量は1000Torr・l・s-1、窒素の流量は200Torr・l・s-1、そしてシアン化合物としてシアン化ヨウ素を使用し、その流量は0.01Torr・l・s-1とした。
そして、基板に印加する負のバイアス電圧を、-40~-100Vの間で変化させた。さらに、高周波電源にはデジタル遅延パルスジェネレーター18を接続し、周期100および1000秒、on/off時間比50/50、60/40、70/30、80/20、90/10、のそれぞれの条件下で高周波電源をパルス動作させた。
【0023】
窒化炭素膜はon/off時間比50/50、60/40、70/30及び80/20の条件下で生成し、膜厚0.1~0.5μmであった。窒素含有率は原子数比で25-45%で、微小押し込み硬さ試験器で膜硬度を測定した結果、40~60GPaであった。また、生成した窒化炭素膜の赤外およびラマン分光分析を行なった結果、1200-1500cm-1にGバンド、DバンドおよびC-N単結合のバンドが観測され、3200-3500cm-1にN-Hなどの水素終端構造の振動は全く観測されなかった。さらに、ラマンスペクトルではGバンドおよびDバンドの両方が観測された。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の硬質窒化炭素膜の形成方法に使用される装置の1例を示す模式図である。
【図2】実施例1で得られた窒化炭素膜の膜硬度を測定した結果を示す図である。
【図3】実施例1で得られた窒化炭素膜のラマン分光分析を行なった結果を示す図である。
【図4】本発明の硬質窒化炭素膜の形成方法に使用される装置の他の例を示す模式図である。
【図5】臭化シアンを原料として作製した窒化炭素膜の赤外スペクトルを示す図である。
【図6】本発明の硬質窒化炭素膜の形成方法に使用される装置の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0025】
1 メカニカルブースターポンプ
2 ロータリーポンプ
3 バルブ
4、9 乾燥室
5 プラズマ生成室
6 マイクロ波発振器
7 導波管
8 反応室
10 ノズル
11 基板
12 基板ステージ
13 水路
14 高周波電源
15 マッチングボックス
16 フィルター回路
17 電圧計
18 デジタル遅延パルスジェネレーター
19 ターボ分子ポンプ
20 同軸ケーブル
21 アンテナ
22 永久磁石
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5