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明細書 :色材組成物及びそれを含有する発色または発光性製品

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4774507号 (P4774507)
公開番号 特開2006-265306 (P2006-265306A)
登録日 平成23年7月8日(2011.7.8)
発行日 平成23年9月14日(2011.9.14)
公開日 平成18年10月5日(2006.10.5)
発明の名称または考案の名称 色材組成物及びそれを含有する発色または発光性製品
国際特許分類 C09B  67/42        (2006.01)
C09B  67/02        (2006.01)
C09B  69/10        (2006.01)
C09K  11/06        (2006.01)
FI C09B 67/42 B
C09B 67/02 A
C09B 69/10 B
C09K 11/06
請求項の数または発明の数 4
全頁数 27
出願番号 特願2005-082289 (P2005-082289)
出願日 平成17年3月22日(2005.3.22)
審査請求日 平成19年12月14日(2007.12.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
発明者または考案者 【氏名】三好 弘一
個別代理人の代理人 【識別番号】100065215、【弁理士】、【氏名又は名称】三枝 英二
【識別番号】100076510、【弁理士】、【氏名又は名称】掛樋 悠路
【識別番号】100108084、【弁理士】、【氏名又は名称】中野 睦子
審査官 【審査官】桜田 政美
参考文献・文献 特開平07-196966(JP,A)
特開2003-049097(JP,A)
特開2006-300930(JP,A)
国際公開第2006/070582(WO,A1)
特開2003-270154(JP,A)
特表2006-514708(JP,A)
特開2005-041941(JP,A)
国際公開第2005/023961(WO,A1)
国際公開第2006/001417(WO,A1)
特開平06-248221(JP,A)
特表2001-524572(JP,A)
特開2001-040343(JP,A)
調査した分野 C09B 67/42
C09B 67/02
C09B 69/10
C09K 11/06
特許請求の範囲 【請求項1】
イオン性色素分子をシリカ球内に含有させたシリカ球(a)、
水溶性カチオニックポリマー又は水溶性水酸基含有ポリマー(b)、及び

を含有する、色材液状組成物。
【請求項2】
イオン性色素分子をシリカ球内に含有させたシリカ球(a)、及び
水溶性カチオニックポリマー又は水溶性水酸基含有ポリマー(b)
を含有する、色材乾燥組成物。
【請求項3】
請求項2に記載する色材乾燥組成物を有する発色または発光性製品
【請求項4】
被着物に、請求項1に記載する色材液状組成物を塗布し、乾燥することによって得られる請求項3記載の発色または発光性製品。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、色材組成物、及びそれを含有する各種の発色または発光性製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シリカ球内部に蛍光色素などの色素分子をいれたシリカ球が提案され、製法も各種提案されている。このようなシリカ球の製法として、例えば、予め3-(アミノプロピル)トリエトキシシラン〔APS:3-(aminopropyl)triethoxysilane〕に直接フルオレセインイソチオシアネート〔FITC:fluorescein isothiocyanate〕を結合させたAPS-FITC〔N-1-(3-triethoxysilylpropyl)-N'-fluoresceyl thiourea〕を、アンモニアを含むエタノール水溶液中でN-tris(hydroxylmethyl)methyl-2-aminoethane sulfonic acid(TES)と反応させる方法がある(非特許文献1)。
【0003】
こうしたシリカ球(色素分子含有シリカ球)は、内部に保持した色素分子をシリカで囲った形態を備えており、その結果、外部因子による消光(例えば生化学的高分子等による励起エネルギーの吸収)を抑制することができるため、例えば高感度な検出試薬として生化学的検査などの各種の検査に応用されることが期待されている。

【非特許文献1】A.Imhof, et al., "Spectroscopy of Fluorescein (FITC) Dyed Colloidal Silica Spheres", J. Phys. Chem. B 1999,103, 1408-1415
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如く、色素分子含有シリカ球を、検出試薬分野に留まらず、色材としてより広い分野で使用できるようにするには、より多くの被着物(被着色物)に付着するように接着性を改良する必要がある。また、色素分子含有シリカ球の色素分子として、例えば汎用の蛍光色素である5,6-カルボキシフルオレセインを使用した場合、水存在下ではよく光るものの、乾燥すると余り光らなくなるという問題があった。そこで、乾燥状態でも色材として使用できるように色素分子含有シリカ球を改良する必要もある。
【0005】
本発明は、色素分子含有シリカ球の接着性や乾燥状態での発色または発光性を改善し、色材としてより広い分野で使用・応用できる組成物を提供することを目的とするものである。
【0006】
なお、本発明者は、色素分子含有シリカ球に関する一連の研究の中で、上記非特許文献1に記載の方法の問題である「高濃度の蛍光色素分子をシリカ球内部に保持させた場合の消光」を解消した色素分子含有シリカ球について、既に特許出願している(特願2004-356608)。本発明は、色素分子含有シリカ球全般、並びに上記の色素分子含有シリカ球の用途拡大を目指した改良発明として位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、色素分子含有シリカ球(a)に、水溶性カチオニックポリマー又は水溶性水酸基含有ポリマー(b)を併用することによって、色素分子含有シリカ球の接着性や乾燥状態での発色または発光性が改善され、色材としてより広い分野で使用できる組成物(色材組成物)として提供できることを見いだした。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様を含むものである。
項1.色素分子含有シリカ球(a)、
水溶性カチオニックポリマー又は水溶性水酸基含有ポリマー(b)、及び

を含有する、色材液状組成物。
項2.色素分子含有シリカ球(a)、及び
水溶性カチオニックポリマー又は水溶性水酸基含有ポリマー(b)
を含有する、色材乾燥組成物。
項3.項2に記載する色材乾燥組成物を有する発色または発光性製品
項4.被着物に、請求項1に記載する色材液状組成物を塗布し、乾燥することによって得られる請求項3記載の発色または発光性製品。
【0009】
以下、本発明をより詳細に説明する。
(1)色材組成物
本発明の色材組成物は、少なくとも色素分子含有シリカ球(a)と水溶性カチオニックポリマー又は水溶性水酸基含有ポリマー(b)を含有することを特徴とする。なお、本発明の色材組成物には、使用する色素分子含有シリカ球中の色素分子の種類に応じて、可視光やその照射によって発色または発光する色素材料;紫外線や赤外線、またはX線,γ線,陰極線またはα線などの放射線などの照射によって発色または発光する色素材料も含まれる。なお、本発明において発光には、蛍光及び燐光のいずれもが含まれる。
【0010】
(1-1) 色素分子含有シリカ球(a)
ここで、色素分子含有シリカ球(a)としては、下式で示される色素分子含有シリカ化合物を用いて調製される色素分子含有シリカ球である。
【0011】
R-CO-NH-(CH23-Si-(C25O)3
[式中、R-CO-は、色素分子(R-COOH)からOH基が脱離した基を示す。]
ここで色素分子(R-COOH)としては、例えば、5-カルボキシ-フルオレセイン、6-カルボキシ-フルオレセイン、5,6-ジカルボキシ-フルオレセイン、6-カルボキシ-2’,4,4’,5’,7,7’-ヘキサクロロフルオレセイン、6-カルボキシ-2’,4,7,7’-テトラクロロフルオレセイン、6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン、ナフトフルオレセイン等のフルオレセイン系色素分子;5-カルボキシ-ローダミン、6-カルボキシ-ローダミン、5,6-ジカルボキシ-ローダミン、Rhodamine 6G、Rhodamine 6Gカルボン酸、Rhodamine Green dye(カルボン酸型) 、Rhodamine Red dye(カルボン酸型)、Tetramethyl-rhodamine、Tetramethyl-rhodamineカルボン酸、X-rhodamine、X-rhodamineカルボン酸等のローダミン系色素分子;ビオチン等の色素;Alexa Fluor 350 、Alexa Fluor 405 、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 500、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、Alexa Fluor 350 カルボン酸、Alexa Fluor 405 カルボン酸、Alexa Fluor 430 カルボン酸、Alexa Fluor 488 カルボン酸、Alexa Fluor 500カルボン酸、Alexa Fluor 514カルボン酸、Alexa Fluor 532 カルボン酸、Alexa Fluor 546カルボン酸、Alexa Fluor 555カルボン酸、Alexa Fluor 568 カルボン酸、Alexa Fluor 594 カルボン酸、Alexa Fluor 610 カルボン酸、Alexa Fluor 633カルボン酸、Alexa Fluor 635カルボン酸、3Alexa Fluor 647カルボン酸、Alexa Fluor 660カルボン酸、Alexa Fluor 680 カルボン酸、Alexa Fluor 700 カルボン酸、Alexa Fluor 750 カルボン酸等のAlexa Fluor系色素分子;AMCA、AMCAカルボン酸等のAMCA系色素分子;Bimane、Bimaneカルボン酸等のBimane系色素分子;BODIPY 493/503、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY 530/550、BODIPY TMR、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY TR、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、
BODIPY 493/503カルボン酸、BODIPY FLカルボン酸、BODIPY R6Gカルボン酸、BODIPY 530/550カルボン酸、BODIPY TMRカルボン酸、BODIPY 558/568カルボン酸、BODIPY 564/570カルボン酸、BODIPY 576/589カルボン酸、BODIPY 581/591カルボン酸、BODIPY TRカルボン酸、BODIPY 630/650カルボン酸、BODIPY 650/665カルボン酸等のBODIPY系色素分子;Cascade Blue dye (カルボン酸型)、Cascade Yellow dye (カルボン酸型)等のCascade系色素分子;Dansyl、Dansylカルボン酸、Dansyl dye (カルボン酸型)等のDansyl系色素分子;Hydroxycoumarin、Hydroxycoumarinカルボン酸、Dialkylaminocoumarin、Dialkylaminocoumarinカルボン酸、Methoxycoumarin、Methoxycoumarinカルボン酸等のcoumarin系色素分子;Eosin、Eosinカルボン酸等のEosin系色素分子;Erythrosin、Erythrosinカルボン酸等のErythrosin系色素分子
Malachite green(カルボン酸型);Marina Blue Dye(カルボン酸型);NBD、NBDカルボン酸等のNBD系色素分子;Oregon Green 488、Oregon Green 488カルボン酸、Oregon Green 514、Oregon Green 514カルボン酸等のOregon Green系色素分子;
Pacific Blue dye(カルボン酸型);PyMPO、PyMPOカルボン酸等のPyMPO系色素分子;
Pyrene、Pyreneカルボン酸等のPyrene系色素分子;QSY7、QSY9、QSY21、QSY35、QSY7カルボン酸、QSY9カルボン酸、QSY21カルボン酸、QSY35カルボン酸等のQSY系色素分子;
Texas Red dye(カルボン酸型)、ECD(Phycoerythrin-Texas Red-x)(カルボン酸型)などのTexas Red系色素分子(カルボン酸型)
(以上、例えばhttp://www.probes.com/handbook/print/0101.htmlの「Molecular probes'amine-reactive dyes」の欄参照)
PE-Cy5(PE-Cyanin5)、PE-Cy5.5(PE-Cyanin5.5)、PE-Cy5(PE-Cyanin7)、APC-Cy7(APC- Cyanin 7、PharRed)、及びPerCP-Cy5.5(Per-CP-Cyanin5.5)等のシアニン系色素分子;3-carboxy TEMPO (4-carboxy-2,2,6,6-tetramethylpiperidine 1-oxy)、3-carboxy PROXYL [3-(carboxy)-2,2,5,5-tetramethyl-1-piperidinyloxy)等のフリーラジカル;ethylenediaminetetraacetic acid, iron(III) sodium salt hydrate、ethylenediaminetetraacetic acid, iron(II) acetate等を挙げることができる。
【0012】
また、上記色素分子として、フルオレセイン系の色素分子、ローダミン系の色素分子、テキサスレッド系の色素分子、及びシアニン系の色素分子などのイオン性蛍光色素を使用することもできる。なお、かかるイオン性蛍光色素として、例えばフナコシ(株)製のDY-495(Fluorescein系色素、[FITC or FAM])、DY-550(Cy3、tetramethylrhodamine系色素、[TRITC or TAMRA])、DY-555(Cy3、tetramethylrhodamine系色素、[TRITC or TAMRA])、DY-610(Texas Red系色素)、DY-635~DY-651(Cy5系色素)、DY-675~DY-681(Cy5.5系色素)等の市販のイオン性蛍光色素を使用することもできる。
【0013】
色素分子含有シリカ球(a)は、例えば、下記(i)及び(ii)の工程を経由することにより製造される。
(i)エステル結合(-CO-O-)を介して色素分子とスクシンイミドとが結合してなるスクシンイミジルエステル化合物とアミノ基を有するシリカ化合物とを反応させて、色素分子含有シリカ化合物を生成する工程、
及び
(ii)(i)で得られた色素分子含有シリカ化合物を、シリカ化合物と反応させて色素分子含有シリカ球を形成する工程。
【0014】
上記(i)の工程において使用されるスクシンイミジルエステル化合物(1)としては、下記の一般式で示される化合物を例示することができる。
【0015】
【化1】
JP0004774507B2_000002t.gif
上記式中、R-CO-は、上述するように色素分子(R-COOH)からOH基が脱離した基を示す。より詳細には、Rは、下式に示すように、エステル結合(-CO-O-)を介してスクシンイミドと結合することができるものである。
【0016】
【化2】
JP0004774507B2_000003t.gif
[式中、R-CO-は前記に同じ。R’は水素原子または任意の基を意味する。]
なお、上記の工程(i)で用いるスクシンイミジルエステル化合物(1)は、上記式に示すように、色素分子〔化合物(0)〕とN-ヒドロキシスクシンイミドとを定法に従ってエステル化反応することによって調製することができる。但し、簡便には商業的に入手することも可能である。
【0017】
スクシンイミジルエステル化合物(1)としては、前述する各種の色素分子(R-COOH)とN-ヒドロキシスクシンイミドとがエステル化反応することによって得られるものを広く挙げることができる。その例として、5-スクシンイミジルエステル-フルオレセイン、6-スクシンイミジルエステル-フルオレセイン、5(6)- スクシンイミジルエステル-フルオレセイン、6-スクシンイミジルエステル-2’,4,4’,5’,7,7’-ヘキサクロロフルオレセイン、6-スクシンイミジルエステル-2’,4,7,7’-テトラクロロフルオレセイン、6-スクシンイミジルエステル-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン、5-スクシンイミジルエステル-ローダミン、6-スクシンイミジルエステル-ローダミン、5(6)-スクシンイミジルエステル-ローダミン、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 350、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 405、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 430、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 488、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 500、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 514、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 532、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 546、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 555、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 568、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 594、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 610、スクシンイミジルエステル-AlexaFluor 633、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 647、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 660、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 680、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 700、スクシンイミジルエステル-Alexa Fluor 750 、スクシンイミジルエステル-ビオチン; 3-スクシンイミジルエステル-TEMPO、3-スクシンイミジルエステル- PROXYL;N-succinimidyl ester- ethylenediaminetetraacetic acid, iron(III) sodium salt hydrate、N-succinimidyl ester- ethylenediaminetetraacetic acid, iron(II) acetate等を挙げることができる。
【0018】
アミノ基を有するシリカ化合物(2)としては、特に制限されないが、例えば3-(アミノプロピル)トリエトキシシラン、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル-トリエトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
【0019】
スクシンイミジルエステル化合物(1)とアミノ基を有するシリカ化合物(2)との反応は、ジメチルスルホキシド(DMSO)や水等の溶媒に溶解した後、室温条件下で攪拌しながら反応することによって行うことができる。
【0020】
反応に使用するスクシンイミジルエステル化合物(1)とシリカ化合物(2)との割合は特に制限されないが、好適にはスクシンイミジルエステル化合物(1):シリカ化合物(2)=1:0.5~4(モル比)の範囲、より好適には1:1~2(モル比)の割合を挙げることができる。
【0021】
斯くして、スクシンイミジルエステル化合物(1)のカルボニル基と、アミノ基を有するシリカ化合物(2)のアミノ基とが、アミド結合(-NH-CO-)して、色素分子含有シリカ化合物(3)が生成する。すなわち当該色素分子含有シリカ化合物(3)は、アミド結合を介して色素分子とシリカ化合物が結合してなる態様を有している。
【0022】
次いで工程(ii)で、当該色素分子含有シリカ化合物(3)をシリカ化合物(4)と反応させる。ここで使用されるシリカ化合物(4)としては、特に制限はされないが、テトラエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、3-チオシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、及び3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル-トリエトキシシランを挙げることができる。
【0023】
色素分子含有シリカ化合物(3)とシリカ化合物(4)の割合は、特に制限されないが、色素分子含有シリカ化合物(3)1モルに対するシリカ化合物(4)のモル比として、100~40000、好ましくは300~20000、より好ましくは500~10000、さらに好ましくは600~7000を挙げることができる。
【0024】
この反応は、アルコール、水及びアンモニアの存在下で行われる。ここでアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1~3の低級アルコールを挙げることができる。
【0025】
かかる反応系における水とアルコールの割合は、特に制限されないが、好ましくは水1容量部に対してアルコールを0.5~8容量部、好ましくは1~5容量部、より好ましくは1~2容量部の範囲を挙げることができる。アンモニアの量も特に制限されないが、例えば、反応させる色素分子含有シラン化合物1モルに対して、モル比で、200~250000、好ましくは400~150000、より好ましくは2500~25000の割合を挙げることができる。
【0026】
この反応は室温で行うことができ、また攪拌しながら行うことが好ましい。通常、数十分~数十時間の反応で、目的の色素分子を含有するシリカ球(5)を調製することができる。
【0027】
なお、当該工程(ii)において、使用するシリカ化合物(4)の濃度を調整したり、反応
時間を調整することにより、調製するシリカ球の大きさ(直径)を適宜調節することができる。使用するシリカ化合物(4)の濃度を多くしたり、また反応時間を長くすることによ
り、より大きいシリカ球を調製することができる(例えば、Blaaderen et al., “Synthesis and Characyerization of Monodisperse Collidal Organo-silica Spheres”, J. Colloid and Interface Science 156, 1-18.1993参照)。また工程(ii)を複数回、繰り返し行うことによっても、より大きなシリカ球を調製することができる。このように本発明の方法によれば、得られる色素分子含有シリカ球のサイズ(直径)を、所望の大きさに、例えばnmオーダーからμmオーダーへと自在に調整することができる。具体的には、本発明の方法によれば、後述の参考例1に示すように、数~数十nmサイズ、具体的には3~30nmといった微小な大きさを有する色素分子含有シリカ球を調製することも可能である。また必要に応じて、その後の処理により希望する粒子径分布となるように調整することもでき、斯くして所望の粒子径分布範囲にあるシリカ球を得ることもできる。
【0028】
このようにして得られる色素分子含有シリカ球は、必要に応じて、限界濾過膜などの慣用の方法を利用して共存イオンや共存する不要物を除いて精製してもよい
後述する参考例1に示すように、上記方法を用いて色素分子をシリカ球内に固定若しくは包含させると、フリーの色素分子よりも感度を上げることができる。また、上記の方法によると、色素分子として蛍光色素分子を用いた場合でも自己消光を起こすことなく、多くの蛍光色素分子をシリカ球内に固定もしくは包含させることができる。このため、上記の方法によると、微小な領域でも使用可能な、高発色または高発光の色材や高感度な発色材または発光材(例えば検出試薬)を提供することが可能である。
【0029】
シリカは、一般に、化学的に不活性であると共に、その修飾が容易であることが知られている。上記で説明した色素分子含有シリカ球もまた、容易に所望の分子を表面に結合させることが可能である。本発明は色素分子含有シリカ球として、こうした所望の分子を表面に結合させてなる色素分子含有シリカ球(表面修飾-色素分子含有シリカ球)を使用することもできる。
【0030】
表面修飾-色素分子含有シリカ球は、上記工程(ii)で使用するシリカ化合物(4)の種類を適宜選択して用いることによって、所望の分子と結合可能なアクセプター基を表面に有する形態で調製することができる。反応に使用するシリカ化合物(4)と、それによって得られる色素分子含有シリカ球の表面に形成されたアクセプター基との関係を表1に示す。
【0031】
【表1】
JP0004774507B2_000004t.gif
なお、上記の方法によって得られる色素分子含有シリカ球(5)について、反応に
使用したシリカ化合物(4)によって表面に導入されるアクセプター基とは異なるアクセプ
ター基を導入したい場合には、当該色素分子含有シリカ球(5)を、さらに工程(ii)で使
用したシリカ化合物(4)とは異なるシリカ化合物で処理する。この処理は、工程(ii)で
使用したシリカ化合物(4)とは異なるシリカ化合物を用いて、上記工程(ii)と同様な操
作を行うことにより実施することができる。
【0032】
また色素分子含有シリカ球として、色素分子の強度を高めるように工夫された色素分子含有シリカ球の多重結合物を用いることもできる。当該色素分子含有シリカ球の多重結合物は、上記の方法で得られた色素分子含有シリカ球に、色素分子含有シリカ球のアクセプター基に応じたカップリング剤を用いて、さらに色素分子含有シリカ球を結合させることによって調製することができる(工程(iv))。また、色素分子含有シリカ球のアクセプター基を、当初のアクセプター基とは異なる所望のものに変更する場合には、工程(iv)の前に、前述する工程(ii)で用いたシリカ化合物(4)とは異なる、所望のアクセプター基を有するシリカ化合物(4)での処理を実施してもよい〔工程(iii)〕。
【0033】
ここで使用できるカップリング剤としては、色素分子含有シリカ球が表面に有するアクセプター基に応じて、表2に記載するものを挙げることができる。
【0034】
【表2】
JP0004774507B2_000005t.gif
カップリング剤との反応は、カップリング剤の存在下で、本発明の標識分子含有シリカ球を反応することによって行うことができる。通常、室温下で数十分~数十時間攪拌反応
する方法を用いることができる。使用するカップリング剤の割合は、色素分子含有シリカ球1モルに対して、モル比で300~6000倍、好ましくは600~5400倍、より好ましくは2100~3000倍である。
【0035】
斯くして色素分子含有シリカ球がカップリング剤を介して多重的に結合し、色素分子含有シリカ球の多重結合物を得ることができる。かかる多重結合物の調製は、色素分子含有シリカ球に由来する色素分子(例えば、蛍光色素など)の強度を高める手段として有効に利用することができる。なお、多重結合によって形成される粒状物は、特に制限されないが、粒径60~150nmの範囲の大きさを有することができる。
【0036】
(1-2)水溶性カチオニックポリマー又は水溶性水酸基含有ポリマー(b)
水溶性カチオニックポリマーとしては、公知のものを広く使用できる。例えば、ポリエチレンアミン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリビニルピリジン、ジアリルアミンアクリルアミドの単独共重合体、ジアリルアミンアクリルアミドとこれを共重合可能なモノマーとの共重合体、及びカチオン性ポリアクリルアミド等の1~3級アミン基を有するカチオニックポリマー:ポリジアリルジメチルアンモニウム塩〔ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)(PDADMAC)〕、ポリスチレン系樹脂のスルホン酸塩〔例えば、ポリ(ソディウム4-スチレンスルホネート)〕、アクリル系樹脂の四級アンモニウム塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートの単独共重合体〔例えば、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)〕、ジメチルアミノエチルメタクリレートとこれと共重合可能なモノマーとの共重合体、下式で示されるポリマー:
【0037】
【化3】
JP0004774507B2_000006t.gif
(式中、Zは一価または二価の対イオンである)
または下式で示されるポリマー:
【0038】
【化4】
JP0004774507B2_000007t.gif
(式中、Zは一価または二価の対イオンである)
等の第四級アンモニウム基を有するカチオン性のポリマーを例示することができる。
好ましくはポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)である。
【0039】
水溶性水酸基含有ポリマーとしては、公知のものを広く使用できる。水溶性水酸基含有ポリマーの具体例を示せば、ポリビニルアルコール樹脂、水酸基含有アクリル系樹脂、セルロース系樹脂がある。好ましくはポリビニルアルコール樹脂である。
【0040】
これら水溶性カチオニックポリマー及び水溶性水酸基含有ポリマーは、1種単独で使用するのが望ましいが、これらを2種以上組み合わせて使用しても何ら差し支えない。
【0041】
(1-3)色材組成物
本発明は色材組成物として、液状態の色材組成物(色材液状組成物)と乾燥状態の色材組成物(色材乾燥組成物)を提供する。
【0042】
(1-3-1) 色材液状組成物
色材液状組成物は、前述する色素分子含有シリカ球(a)と水溶性カチオニックポリマー又は水溶性水酸基含有ポリマー(b)とを、水または水を含む水性溶媒(c)の中で混合することによって調製することができる。ここで液状組成物としては、分散液や懸濁液を好適に例示することができる。
【0043】
なお、水を含む水性溶媒としては、例えば含水アルコールを例示することができる。ここでアルコールは、特に制限されないが、通常炭素数1~4のメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、またはブチルアルコールを用いることができる。好ましくはエタノールである。
【0044】
色材液状組成物に含まれる各成分の割合としては、制限されないが、色材液状組成物100重量%中、色素分子含有シリカ球(a)が0.1~1重量%、水溶性カチオニックポリマー又は水溶性水酸基含有ポリマー(b)が0.5~10重量%、水または水を含む水性溶媒(c)が90~99重量%となるように選択することもできる。
【0045】
混合条件は、水または水を含む水性溶媒(c)の中で、上記成分(a)と(b)が均一に混合される条件であればよく、混合温度や混合時間などの条件を特に制限するものではない。斯くして、水溶性カチオニックポリマー又は水溶性水酸基含有ポリマー(b)で表面が覆われた色素分子含有シリカ球(a) 含有溶液を調製することができる。
【0046】
成分(b)として特に水溶性カチオニックポリマーを用いて調製される本発明の色材液状組成物によれば、色素分子含有シリカ球(a)の表面が水溶性カチオニックポリマーで覆われているため、例えばガラス、金属、塩化ビニル、テフロン(登録商標)、またはマイナスチャージの蛋白質でコーティングされた担体等、のように被着面がマイナスに帯電しているようなものにも、色素分子含有シリカ球(a)を容易に付着固定化することができる。また、被着面がマイナスに帯電しているようなものに限らず、ポリスチレン、ラテックス、プラスチック等のように被着面が帯電していないものに対しても色素分子含有シリカ球(a)を容易に付着固定化することができる。
【0047】
本発明の色材液状組成物を用いた、被着物への色素分子含有シリカ球(a) の付着固定化は、本発明の色材液状組成物を被着物に塗布し、乾燥することによって行うことができる。乾燥方法は、特に制限されず、自然乾燥、風乾、加熱乾燥のいずれの方法でもよい。好ましくは加熱乾燥である。
【0048】
色素分子含有シリカ球(a)は、シリカ球に高濃度の色素分子を含有することによって高い発色強度(蛍光強度)を有することができる素材である(参考例参照)。従って、本発明の色材液状組成物によれば、被着物に塗布することによって、色材を被着物に簡単に固着することができるだけでなく、素材〔色素分子含有シリカ球(a)〕の強い発色または発光性に基づいて、被着物に少量で効率よく所望の高い発色または発光性を付与することができるという効果を有する。実施例1に示すように、色素分子含有シリカ球(a)として、フルオレセイン蛍光分子を含有するシリカ球を用いて調製した色材液状組成物をガラス表面に塗布した場合、蛍光灯の照射で高い発色(発光)が観察されたが、蛍光灯を消すと発色(発光)が認められなかった。このことから、本発明の色材液状組成物によれば、照射光のON/OFFまたは照射光の波長を変更することによって、特有の発色または発光挙動を示す製品(発色または発光性製品)を調製することができる。
【0049】
また、イオン性の色素分子を有するシリカ球(a)の場合、イオン状態で発光するため、単独ではイオン状態となる水存在下では発色または発光するものの、乾燥した状態ではあまり発色または発光しないという問題がある。本発明の色材液状組成物によれば、色素分子含有シリカ球(a)としてイオン性の色素分子を有するシリカ球を用いた場合でも、被着物に塗布して乾燥した後、水溶性カチオニックポリマー又は水溶性水酸基含有ポリマー(b)中で色素分子含有シリカ球(a)がイオン状態を維持しているため、良好に発色または発光することができる。
【0050】
本発明の色材液状組成物は、それ自体コーティング剤として使用される他、塗料、塗材、インク等の着色材料として使用することができる。
【0051】
(1-3-2) 色材乾燥組成物
本発明の色材乾燥組成物は、前述する色素分子含有シリカ球(a)と水溶性カチオニックポリマー又は水溶性水酸基含有ポリマー(b)を含有する乾燥物であり、通常、前述する色材液状組成物を乾燥することによって調製することができる。
【0052】
色材乾燥組成物の場合、色素分子含有シリカ球(a)に使用する色素分子としてイオン性の色素を用いることが好ましい。かかるイオン性の色素としては、フルオレセイン系の色素分子、ローダミン系の色素分子、テキサスレッド系の色素分子、シアニン系の色素分子 などのイオン性蛍光色素を例示することができる。なお、かかるイオン性蛍光色素としては、前述するように、例えばフナコシ(株)製のDY-495(Fluorescein系色素、[FITC or FAM])、DY-550(Cy3、tetramethylrhodamine系色素、[TRITC or TAMRA])、DY-555(Cy3、tetramethylrhodamine系色素、[TRITC or TAMRA])、DY-610(Texas Red系色素)、DY-635~DY-651(Cy5系色素)、DY-675~DY-681(Cy5.5系色素)等の市販のイオン性蛍光色素を使用することもできる。
【0053】
イオン性の色素を有する色素分子含有シリカ球(a)は、前述するようにイオン状態となる水存在下では発光するが、乾燥した状態ではあまり発光しないという問題がある。本発明の色材乾燥組成物は、イオン性蛍光色素を含有する色素分子含有シリカ球(a)と水溶性カチオニックポリマー又は水溶性水酸基含有ポリマー(b)を併用することによって、上記の問題を解消して、水存在下のみならず乾燥した状態でも良好に発色または発光する色材として有用な組成物である。
【0054】
本発明の色材乾燥組成物は、それ自体コーティング剤として使用される他、塗料、塗材、インク等の着色材料として使用することができる。
【0055】
(2)発色または発光性製品
本発明はまた発色または発光性製品を提供する。当該発色または発光性製品は、製品全体が発色または発光するものであってもよいが、一部に発色または発光する部分を備えたものであってもよい。なお、本発明でいう発色または発光とは、使用する色素分子含有シリカ球中の色素分子の種類に応じて、可視光やその照射による発色または発光;紫外線や赤外線、またはX線,γ線,陰極線またはα線などの放射線などの照射による発色または発光を広く包含する意味である。また発光には、蛍光及び燐光のいずれもが含まれる。
【0056】
本発明の製品は、対象製品の被着部に色材乾燥組成物を担持させることによって調製することができる。通常は、前述する色材液状組成物を対象製品の被着部に塗布し、乾燥することによって調製することができる。乾燥条件は特に制限されず、自然乾燥、風乾、加熱乾燥等の任意の条件で行うことができる。好ましくは加熱乾燥である。
【0057】
かかる製品としては、上記限りにおいて特に制限されないが、一例として検査試薬や検出試薬としてのビーズ(例えばバイオや免疫診断用のプラスチックビーズ)、インクジェット色素、有機EL等の波長変化材料、化粧品、紫外線検出材料、家具、ガラス製品、衣類、履き物などの各種製品などを例示することができる。
【発明の効果】
【0058】
本発明の色材液状組成物によれば、マイナスに帯電している被着物(例えばガラス、テフロン(登録商標)、金属、塩化ビニール等)に対しても、また帯電していない被着物(例えば、ラテックス、ポリスチレン)に対しても、水溶性カチオニックポリマー又は水溶性水酸基含有ポリマー(b)の作用を利用して、色素分子含有シリカ球を安定して付着し固定化することができる。これによりより広い分野で多くの被着物に対して色素分子含有シリカ球を固着でき、発色または発光機能を付与することができる。
【0059】
また本発明の色材乾燥組成物によれば、イオン性の色素分子を含有するシリカ球についても、水溶性カチオニックポリマー又は水溶性水酸基含有ポリマーの共存によって、水存在下のみならず乾燥状態でも所望の強度で発色または発光させることができる。これによって、イオン性の色素分子を含有するシリカ球を、従来の水存在下に限らず、乾燥状態でもその色材としての効果(発色、発光)を最大限発揮させて用いることができ、斯くして、色素分子含有シリカ球の色材の応用範囲をより一層拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下に実施例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。
【参考例1】
【0061】
フルオレセイン(標識分子)含有シリカ化合物の調製、及びこれを用いたシリカ球(フルオレセイン含有シリカ球)の調製
(1)フルオレセイン(標識分子)含有シリカ化合物の調製
下式に従って、標識分子としてフルオレセインを含有するシリカ化合物(3)を調製した。
【参考例2】
【0062】
【化5】
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〔式中、R1はフルオレセイン(色素分子)を意味する。またR1中、*はエステル基との結合部を意味する。〕
具体的には、まずスクシンイミジルエステル化合物として、エステル結合を介して通じてフルオレセイン(色素分子:式中、R1で示す)とスクシンイミドとが結合してなる、5(6)-Carboxyfluorescein-N-hydroxysuccinimide ester(以下、「FLUOS」ともいう)(1)(約3.3mg)を1mlのDMSO溶液に溶解した後、アミノ基を有するシリカ化合物として3-(アミノプロピル)トリエトキシシラン〔3-(aminopropyl)triethoxysilane:以下、「APS」ともいう)〕(2)を上記FLUOSと等モルになるように加え、約1時間スターラーピースを用いて攪拌して反応させて、スクシンイミジルエステル化合物〔FLUOS(1)〕のカルボニル基とシリカ化合物〔APS(2)〕のアミノ基がアミド結合してなるフルオレセイン(色素分子)含有シリカ化合物(3)を調製した。最初、黄色を呈していたFLUOS(1)のDMSO溶液が、APS(2)を加えると、オレンジ色に変化した。
【参考例3】
【0063】
(2)色素分子含有シリカ球の調製
次いで、下式に従って、フルオレセイン(色素分子)含有シリカ化合物(3)からフルオレセイン(色素分子)含有シリカ球(5)を調製した。
【参考例4】
【0064】
【化6】
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具体的には、上記で得られたフルオレセイン(色素分子)含有シリカ化合物(3)を含む反応溶液から50μlを採取し、エタノール3.95mlに加えた。これに、さらにシリカ化合物としてテトラエトキシシラン(4)(Tetraethylorthosilicate:以下、「TEOS」ともいう)50μl、蒸留水1ml、及び27重量%のアンモニア水溶液を約100μl加えて、スターラーピースを用いて室温で約24時間撹拌して反応した。このとき、反応液中のエタノールと蒸留水の容量比が4:1となるようにした。得られた溶液は、反応前の混合液の黄色とは明らかに異なる黄緑色を呈しており、反応が生じていることが確認された。
【参考例5】
【0065】
得られた反応終了液を、限外ろ過装置〔アミコン(登録商標)攪拌式セル〕(フィルター;UFディスクYM100ウルトラセルRC100K NMWL)(販売会社:MILLIPORE)〔Nominal Molecular Weight Limit(NMWL):100 kDa〕を使用してろ過し、蒸留水を使用したろ過洗浄を数回繰り返して、2mlのサンプル分散液Aを得た(フルオレセイン(色素分子)含有シリカ球(5)を含む。このシリカ球を「シリカ球A」という)。またここで得られたろ過液を、さらに限外ろ過装置〔アミコン(登録商標)攪拌式セル〕(フィルター;UFディスクYM-3ウルトラセルRC100K NMWL)(販売会社:MILLIPORE)〔Nominal Molecular Weight Limit(NMWL):3kDa〕を用いてろ過し、蒸留水を使用したろ過洗浄を数回繰り返して、3mlのサンプル分散液Bを得た(フルオレセイン(標識分子)含有シリカ球(5)を含む。このシリカ球を「シリカ球B」という)。
【参考例6】
【0066】
(3)得られた色素分子含有シリカ球(5)のラベル率(標識分子含有率)
(3-1) 上記の反応液(24時間反応前)に含まれるフルオレセイン分子の濃度は、計算上、67.7μmol/lとなる〔FLUOS(分子量473.4)0.165mg(3.3mg x 50μl/1000μl)を、最終反応液(約5.15ml)に使用〕。実際に、全成分を混合した直後の反応液の10倍希釈溶液について吸収スペクトル(光路長さ1cmの角セル使用)を測定し、それからピーク吸光度を求めたところ、0.510であった。FLUOSの分子吸光係数は7.5x104であることから、当該反応液中のフルオレセイン分子の濃度を計算すると、68μmol/lとなり、上記の計算値と一致した。
【参考例7】
【0067】
一方、その反応液を24時間反応させた後の反応終了液(黄緑色)を、上記反応液(反応前の全成分混合液)と同様に10倍希釈して吸収スペクトルを測定したところ、ピークの吸光度は0.607だった。FLUOSの分子吸光係数(7.5x104)から、反応終了液中に含まれるフルオレセイン分子の濃度を計算すると、80.9μmol/lであり、反応前の混合液中に含まれるフルオレセイン分子の濃度に比して約1.2倍大きな値になっていた。この結果から、シリカ球(ナノ粒子)内のフルオレセインの分子吸光係数が当初の7.5x104から8.9x104に変化したと判断された。このため、以下のラベル率(色素分子含有率)の計算では、分子吸光係数として後者の分子吸光係数値(8.9x104)を使用した。
【参考例8】
【0068】
反応前の混合液と反応後の反応終了液について、それぞれ蛍光スペクトル(スリット幅(Ex/Em)=1.5nm/1.5nm、Low sensitivity)を測定した。励起波長は、それぞれ発光ピークの励起スペクトルのピークから決定した。反応前の混合液と反応後の反応終了液について、蛍光強度(励起波長496nm、発光波長520nm)を測ったところ、それぞれ17.06(反応前の混合液)と33.95(反応終了液)であり、反応によって約2倍蛍光強度が増加したことがわかった。
【参考例9】
【0069】
(3-2) フィルターとしてUFディスクYM100ウルトラセルRC100K NMWLを用いた限外濾過により得られた2mlのサンプル溶液Aから0.1ml採取し蒸留水で10倍に希釈して吸収スペクトルを測定し、吸光度を求めた(吸光度0.285)。上記で求めたFLUOSの分子吸光係数(8.9x104)を用いて算出した値(32μmol/l)から、フルオレセイン分子の量を計算すると、32μmol/l x 473.4 x 2/1000=0.0303mgとなった。最初に加えたフルオレセイン分子の量が0.165mg(正確にはFLUOSの量)であることから、サンプル分散液Aにおけるシリカ球Aのラベル率は0.0303/0.165x100=18.4%であると判断された。
【0070】
同様に、フィルターとしてUFディスク YM-3ウルトラセルRC100K NMWLを用いた限外濾過により得られた3mlのサンプル分散液Bから0.1ml採取して蒸留水で10倍に希釈して、吸収スペクトルを測定し、吸光度を求めた(吸光度0.482)。FLUOSの分子吸光係数(8.9x104)を用いて算出した値(54.2μmol/l)から、フルオレセイン分子の量を計算すると、54.2μmol/lx473.4x3/1000=0.077mgとなった。最初に加えたフルオレセイン量が0.165mg(正確にはFLUOSの量)であることから、サンプル分散液Bにおけるシリカ球Bのラベル率(色素分子含有率)は0.077/0.165x100=46.7%と判断された。
【0071】
以上のことから、上記の方法によって調製されたシリカ球A及びシリカ球Bは、それぞれ18.4%及び 46.7%の割合で色素分子(フルオレセイン)が結合しており(ラベル化)、反応に使用したFLUOSのフルオレセイン分子の利用率は65.1%であることがわかった。シリカ球A及びシリカ球Bのラベル率はいずれもImhofらの論文(A.Imhof, et al., “Spectroscopy of Fluorescein (FITC) Dyed Colloidal Silica Spheres”, J. Phys. Chem. B 1999,103, 1408-1415)で報告されているの最大ラベル率13%を上回っていた。
【0072】
(4)1粒子当たりの蛍光分子数
(1)で調製された、サンプル分散液A中のシリカ球A及びサンプル溶液B中のシリカ球Bを、透過型電子顕微鏡(徳島大学医学部)及び超高圧電子顕微鏡(大阪大学超高圧電子顕微鏡センター)で観察したところ、それぞれ直径約20nm及び約4nmの粒子像が観察された。この結果から、シリカ球Aの直径は約20nm、シリカ球Bの直径は約4nmであると判断された。なお、Imhofらの方法で得られているシリカ球の直径は184-305nmである(A.Imhof, et al., “Spectroscopy of Fluorescein (FITC) Dyed Colloidal Silica Spheres”,J. Phys. Chem. B 1999,103, 1408-1415)。
【0073】
シリカ球B(直径4nm)1粒子に含まれるフルオレセイン分子の数を1個と仮定して、シリカ球の直径をもとにして、シリカ球A(直径20nm)1粒子に含まれるフルオレセイン分子の数を求めた。その結果、シリカ球A(直径20nm)1粒子あたりに含まれるフルオレセイン分子の数は、97分子/SiO2粒子であった〔シリカ球B(直径4nm)1粒子あたりに含まれるフルオレセイン分子の数は、1分子/SiO2粒子〕。
【0074】
(5)1粒子あたりの蛍光強度
シリカ球A1粒子の蛍光強度は2.0x10-11(サンプル溶液A 2ml中に含まれるシリカ球Aの数は4.72x1014個/2ml:サンプル分散液A 0.03mlの蛍光強度は143.38)、及びシリカ球B1粒子の蛍光強度は2.2x10-13(サンプル分散液B 2ml中に含まれるシリカ球Bの数は1.16x1017個/2ml:サンプル分散液B 0.03mlの蛍光強度は255.10)である。
【0075】
一方、フリーのフルオレセイン1分子の蛍光強度は、1.8x10-13である〔0.0029mmol/lのサンプル10mlで蛍光強度が957.562である。このサンプル中に含まれるフルオレセイン分子の数は5.25x1015個であるから、1分子当たりの蛍光強度は1.8x10-13となる〕。
【0076】
このことから、シリカ球A1粒子の蛍光強度はフルオレセイン1分子の蛍光強度の111倍、シリカ球B1粒子の蛍光強度はフルオレセイン1分子の蛍光強度の1.2倍であることがわかる。
【0077】
(6)1粒子内のフルオレセイン分子の濃度
シリカ球A1粒子(粒子径20nm)の体積は4.2x10-18cm3であり、1粒子あたりに含まれるフルオレセイン分子の数は97分子/SiO2粒子であることから、シリカ球A1粒子内のフルオレセイン分子の濃度は、38.4mmol/l (97/6.02 x 1023/4.2 x 10-18x1000 = 38.4mmol/l)である。このことから、シリカ球Aは、1粒子内に、フルオレセイン分子を97分子(フルオレセイン分子の濃度:38.4mmol/l)の割合で含むものの、111分子量のフルオレセイン分子に相当する蛍光強度を有しているといえる。一方、シリカ球B1粒子(粒子径4nm)の体積は3.4x10-20cm3であり、1粒子あたりに含まれるフルオレセイン分子の数を1分子/SiO2粒子としたことから、シリカ球B1粒子内のフルオレセイン分子の濃度は、48.9mmol/l (1/6.02 x 1023/3.4 x 10-20x 1000 = 48.9mmol/l)である。このことから、シリカ球Bは、1粒子内に、フルオレセイン分子を1分子(フルオレセイン分子の濃度:48.9mmol/l)の割合で含むものの、1.2分子量のフルオレセイン分子に相当する蛍光強度を有しているといえる。
【0078】
なお、Imhofらの方法で得られたシリカ球1粒子内のフルオレセイン分子の濃度は、31mmol/lである(A.Imhof, et al., “Spectroscopy of Fluorescein (FITC) Dyed Colloidal Silica Spheres”, J. Phys. Chem. B 1999,103, 1408-1415)。このことからシリカ球Bが1粒子内に含むフルオレセイン分子の濃度(48.9mmol/l)は、その1.58倍量である。
【0079】
(7)自己消光の有無
上記で得られたシリカ球A(直径20nm)について、蛍光寿命を測定した。具体的には、励起波長(494nm)で励起する際に定常光ではなく、パルス光〔ナノ秒(nsec)オーダー〕を使用して、試料(シリカ球Aの水分散液)を照射し、その1回のパルス光で励起され発光した蛍光ピークの強度を測定した。時間を横軸に、発光ピークの強度を縦軸に示した結果(蛍光減衰曲線)を図1に示す。この結果は、同様にして測定したFLUOSの水溶液(フルオレセインをシリカで被覆していないもの)の結果とほぼ同じであったことから(蛍光寿命:3.8nsec)、シリカ球A(直径20nm)は、自己消光を起こしていないことがわかった。
【0080】
(8)まとめ
以上のことから、(1)の方法により、ラベル率(標識分子含有率)がそれぞれ18.4%及び46.7%の粒子径20nm及び4nmのフルオレセイン(標識分子)含有シリカナノ粒子(粒子径:数~数十nm)が調製できることが示された。1粒子あたりのフルオレセイン分子の数は、それぞれ1個及び97個で、計算で算出される1粒子あたりのフルオレセイン分子の濃度は、38.4mmol/l及び48.9mmol/lであった。また、1粒子あたりのフルオレセイン分子の蛍光強度は、フリーのフルオレセイン分子1個と比較した場合の、それぞれ111倍と1.2倍であった。このことから、1粒子のSiO2分子内に1分子のフルオレセイン分子を封じ込める(言い換えれば、1分子のフルオレセイン分子をSiO2分子で覆う)ことによって、フルオレセイン分子の蛍光強度が1.2倍程増加することがわかる。
【0081】
また上記の反応により形成されたフルオレセイン(色素分子)含有シリカ球の表面は、反応に用いたシリカ化合物(テトラエトキシシラン)(4)に基づいて、アクセプター基としてOH基を有していた(OH基表層修飾シリカ球)。
【0082】
(1)参考例1で調製したシリカ球A〔フルオレセイン(色素分子)含有シリカ球(直径20nm)〕(1st Growth)の水分散液1mlに対して、エタノール4ml、テトラエトキシシラン(TEOS) 50μl、27重量%のアンモニア水50μlを混合し、次いで室温で24時間、磁気撹拌を行った。その後、限外濾過(フィルター:UFディスクYM100ウルトラセルRC100K NMWL)を行い蒸留水で数回洗浄して2nd Growthのフルオレセイン(色素分子)含有シリカ球として取り出した。当該シリカ球の直径は230nmであり、シリカ球Aの直径(20nm)の約10倍大きくなっていた。なお、さらにシリカ層を厚くしたい場合は、上記の反応によって増加したシリカ層の厚みの割合を考慮して、上記の反応操作を繰り返すことで所望の大きさのシリカ球を調製することができる。
【0083】
図2は、上記の反応を模式的に示したものである。図中、Rはフルオレセイン(色素分子)を、R’は水素原子を意味する。
【0084】
(2)参考例1で調製したシリカ球A(直径20nm)(1st Growth)及び上記(1)で調製したシリカ球(2nd Growth)(直径230nm)の水溶液中の吸収スペクトルを、図3にそれぞれスペクトルA及びBとして示す。この結果からわかるように、参考例1のシリカ球A(直径20nm)(1st Growth)及び上記(1)で調製したシリカ球(直径230nm)(2nd Growth)はいずれも490nmに典型的な吸収ピークを観測することができた。上記(1)で調製したシリカ球(直径230nm)(2nd Growth)の吸収スペクトルは、短波長側に向かって吸収が増大する傾向が観測された。これは粒子が大きくなることに基づいて生じる散乱効果によるものと考えられた。
【0085】
また結果は示さないが、いずれのシリカ球もフルオレセイン(色素分子)に基づく蛍光スペクトルを示した。シリカ球A(直径20nm)を含む水分散液(3mL)のフルオレセインの濃度は0.075mMであった〔フルオレセインの分子吸光係数;7.5x104として計算〕。
【0086】
シリカ球A(直径20nm)(1st Growth)の水分散液は濃い黄色を呈しており、1ヶ月を経ても安定であった。一般にフルオレセイン分子はアルカリ条件下で、安定で強い蛍光を発することが知られている。シリカ球の調製に使用する溶液は強アルカリ性であることから、上記で得られた結果(強く安定した蛍光性)は、調製されたシリカ球の内部がアルカリ性になっていることに起因するものと考えられる。
【0087】
(3)参考例1で調製したシリカ球A(直径:20nm)及び上記(1)で調製したシリカ球(直径:230nm)を、透過型電子顕微鏡で観察した。シリカ球Aの透過型電子顕微鏡画像を図4に、(1)で調製したシリカ球の透過型電子顕微鏡画像を図5に示す。参考例1で調製したシリカ球A(直径:20nm)(1st Growth)(図4)は表面に凹凸がありメソポーラス様を呈しているのに対し、(1)で調製したシリカ球(直径:230nm)(2nd Growth)(図5)は表面が滑らかであった。
【0088】
表面にNH2基を有する色素分子含有シリカ球の作製と修飾特性
参考例1で調製したフルオレセイン(色素分子)含有シリカ球A(粒径20nm)の水分散液0.5mlを、4.5mlの4mM 3-(アミノプロピル)トリエトキシシラン〔APS〕とともに、室温下で一晩反応させた。これにより、シリカ球にAPSを付着させて表面にアクセプター基としてNH2基を有するシリカ球(NH2基表層修飾シリカ球)を作製することができた。
【0089】
a)蛋白修飾
蛍光顕微鏡下で、上記で得られたNH2基表層修飾シリカ球5μgを0.5μg/mlのGreen fluorescein protein(GFP)5μlと混和した。すると、混和直後より、NH2基表層修飾シリカ球がGFPの緑色の蛍光を発することを確認することができた。この結果から、上記NH2基表層修飾シリカ球はその表面にGFP(蛋白質)を付着することがわかった。
【0090】
b)遺伝子修飾
蛍光顕微鏡下で、上記で得られたNH2基表層修飾シリカ球5μgを、20mMの蛍光標識DNA〔PCR用プライマー:FITC-GST-AS(FITC-5’-GGCAGATCGTCAGTCAGTCAC-3’):配列番号1〕(Invitrogen社製)を5μlと混和した。すると、混和直後よりNH2基表層修飾シリカ球がFITCの蛍光を発することを確認することができた。この結果から、上記NH2基表層修飾シリカ球はその表面にDNAを付着することがわかった。
【0091】
NH2基表層修飾シリカ球の作製とフルオレセイン(色素分子)含有シリカ球同士の結合
(1)参考例1で調製したサンプル分散液B(シリカ球B:粒径4nm)2mlに、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」ともいう)で10倍希釈した3-(アミノプロピル)トリエトキシシラン〔APS〕溶液2μlを加えて、室温で1時間撹拌した。これにより、シリカ球B〔フルオレセイン(色素分子)含有シリカ球〕の表面に、アクセプター基としてAPSに由来するNH2基を有するシリカ球(NH2基表層修飾シリカ球)を作製することができた。
【0092】
その後、この混合液0.1mlを1.5ml容量の反応チューブに加えて、これに40μlのグルタールアルデヒド(カップリング剤)を添加して室温で撹拌した(本試料)。なお、当該グルタールアルデヒドの使用割合は、上記NH2基表層修飾シリカ球1モルに対して2190モル、APS1モルに対して329モルである。また、対照試験として、上記40μlのグルタールアルデヒドに代えて40μlの蒸留水を用いて、同様に攪拌反応を行った(対照試料)。
【0093】
本試料と対照試料の蛍光強度を測定したところ、対照試料では、蛍光強度145(励
起波長503nm、発光波長520nm)であったのに対し、本試料は、蛍光強度9.8(励起波長484nm、発光波長515nm)であり、対照試料の蛍光強度の約1/15と、明らかにグルタールアルデヒドで処理した本試料の蛍光強度が減少していた。この蛍光強度の減少(消光現象)から、グルタールアルデヒドを加えることで、NH2基表層修飾シリカ球が集まって集合体(シリカ球の多重結合物)が形成されたことがうかがわれた。すなわち、上記の蛍光強度の減少は、シリカ球が集まることによって励起する光や発光する光が干渉し合うことによって生じているものと推測された。
【0094】
図6に、上記の反応を模式的に示す。
【0095】
(2)この溶液(試料)にさらに、シリカ球B、DMSO及びAPSの混合液を0.1ml加えると、蛍光強度が25になり、最初の蛍光強度(約10)に比べて約15に相当する蛍光が増えた。一方、上記の対照試料にさらに混合液を0.1ml加えて0.2mlとした場合は、当初145あった蛍光強度が72.5(実測)になった。このことから、72.5-15=57.5の蛍光強度に相当する粒子が、上記においてシリカ球の多重結合物の調製に使われたと考えられる。
【0096】
上記の本試料にさらに混合液を0.1ml(合計0.3ml)加えると、蛍光強度は70になり、上記の蛍光強度25に比べて約45(蛍光強度:70-25=45)に相当する蛍光が増えた。一方、上記の対照試料にさらに蒸留水を0.1ml加えて0.3mlとした場合は、3倍希釈になるので48(実測)となった。この値は、上記蛍光増加分45とほぼ等しいことから、最後に本試料試料に添加した混合液0.1mlは、シリカ球の多重結合に関わっていないと思われた。
【0097】
これらのことから、本試料に混合液を所定の量まで(ここでは0.2ml)配合することによって、すなわち配合する混合液の量を調整することによって、シリカ球を互いに結合させて大きな粒子の塊(多重結合物)を作ることができることがわかる。
【0098】
以上のことから、シリカ球をアミノプロピルトリエトキシシラン(シリカ化合物)で処理することによりシリカ球の表面にアクセプター基としてNH2基を導入し、次いでカップリング剤としてグルタールアルデヒドで処理することで、シリカ球がお互いに結合し、シリカ球の塊(多重結合物)を形成することができることがわかった。すなわち、上記の反応によりさらなる大きなフルオレセイン(色素分子)含有シリカ球が調製できることがわかる。
【0099】
表面にSH基を有する色素分子含有シリカ球の作製
(1)参考例1(1)で調製したフルオレセイン(色素分子)含有シリカ化合物(3)50μlを、水3ml、エタノール10ml、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPS) 0.15ml、及び27重量%アンモニア水溶液1mlと混合して、室温下で24時間攪拌反応させた。得られた溶液(反応終了液)を、限外ろ過装置〔アミコン(登録商標)攪拌式セル〕(フィルター;UFディスクYM100ウルトラセルRC100K NMWL)(販売会社:MILLIPORE)〔Nominal Molecular Weight Limit(NMWL):100 kDa〕を使用してろ過し、蒸留水を使用したろ過洗浄を数回繰り返して、フルオレセイン(標識分子)含有シリカ球を調製した。斯くして得られたシリカ球は、その表面に上記反応に使用したシリカ化合物(MPS)に由来するSH基を有している(SH基表層修飾シリカ球)。このシリカ球を蛍光顕微鏡で観察したところ、フルオレセインの蛍光が観察できた(図7a)。
【0100】
(2)次いで、このSH基表層修飾シリカ球10μlに、1.0mg/mlのローダミンで標識したグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(ローダミン標識GST)の水溶液を10μlに加え、蛍光顕微鏡で観察を行ったところ、ローダミンの蛍光が観察された(図7b)。このことからシリカ球(SH基表層修飾シリカ球)の表面に、ローダミン標識GSTを付着させることができることが確認できた。
【0101】
ビオチン含有シリカ化合物の調製、及びこれを用いたシリカ球〔ビオチン含有シリカ球〕の調製
(1)ビオチン含有シリカ化合物の調製
下式に従って、ビオチン含有シリカ化合物(7)を調製した。
【0102】
【化7】
JP0004774507B2_000010t.gif
〔式中、R2はビオチンを意味する。また、R2中、*はエステル基との結合部位を意味する。〕
具体的には、まずスクシンイミジルエステル化合物として、エステル結合を通じてビオチン(式中、R2で示す)とスクシンイミドが結合してなるD-Biotin-N-hydroxysuccinimide ester (6)(Roshe Molecular Biochemicals)(約50mg)をDMSO溶液(約1ml)に溶解(終濃度146mM)した後、その35μlとアミノ基を有するシリカ化合物として5.7Mの3-(アミノプロピル)トリエトキシシラン〔APS〕(2) 1μl及びDMSO 5mlを混合して、約1時間攪拌して反応させて、ビオチン(標識分子)含有シリカ化合物(7)を調製した。
【0103】
(2)シリカ球(色素分子としてフルオレセインを含有するシリカ球)の調製
次いで、下式に従って、フルオレセインを含有するシリカ粒(8)を調製した。
【0104】
【化8】
JP0004774507B2_000011t.gif
(なお式中、R1はフルオレセイン分子、R2はビオチン分子を示す。またR1及びR2中、*はいずれもエステル基との結合部位を意味する。)
具体的には、上記で得られた反応溶液〔ビオチン含有シリカ化合物〕(7)2.5mlと実施例1(1)で得られたフルオレセイン(色素分子)含有シリカ化合物(3)を含む反応溶液2.5mlを混合し、これにエタノール20ml、水6 ml、テトラエトキシシラン(TEOS)0.3 ml、27重量%のアンモニア水2mlを加えてスターラーを用いて室温にて24時間攪拌した。反応終了後、得られた反応終了液を限外濾過装置〔アミコン(登録商標)攪拌式セル〕(フィルター;UFディスクYM100ウルトラセルRC100KNMWL)(販売会社:MILLIPORE)〔Nominal Molecular Weight Limit(NMWL):100 kDa〕を用いて洗浄した。これによって、ビオチンと色素分子としてフルオレセインを含有するシリカ球〔ビオチン-フルオレセイン(色素分子)含有シリカ球〕(8)が調製できた。
【0105】
次いで得られたビオチン-フルオレセイン(色素分子)含有シリカ球(8)5μlを、0.5 mg/ml アビジン溶液5μlと混合したところ、蛍光顕微鏡並びに電子顕微鏡にて凝集像が認められた。一方、対照実験として参考例1(1)及び(2)の方法で調製されるビオチンを含まないフルオレセイン(色素分子)含有シリカ球(5)を用いて上記と同条件でアビジン溶液と混合したところ、この場合には凝集像は認められなかった。
【0106】
このことから、ビオチン-フルオレセイン(色素分子)含有シリカ球(8)は、内部にビオチンが取り込まれているだけでなく、表層部にビオチンが露出した形で存在しており、これによってアビジンと反応することがわかった。よってビオチン-フルオレセイン(色素分子)含有シリカ球(8)は、ビオチン-アビジン反応を利用した検出の蛍光試薬として有用である。
【0107】
ローダミン(色素分子)含有シリカ化合物の調製、及びこれを用いたシリカ球〔ローダミン(色素分子)含有シリカ球〕の調製
(1)ローダミン(色素分子)含有シリカ化合物の調製
下式に従って、ローダミン(色素分子)含有シリカ化合物を調製した。
【0108】
【化9】
JP0004774507B2_000012t.gif
〔式中、R3はローダミン(色素分子)を意味する。R3中、*はエステル基との結合部を意味する。〕
具体的には、まずスクシンイミジルエステル化合物として、エステル結合を介してローダミン(色素分子)とスクシンイミドが結合してなる5-carboxyltetramethylrhodamine succinimidyl ester(9)(Molecular Probes社製)約5mgを、1mlのDMSO溶液に溶解した後、アミノ基を有するシリカ化合物として3-(アミノプロピル)トリエトキシシラン(APS)(2) を、上記スクシンイミジルエステル化合物(9)と等モルになるようにDMSOで51.2μl加えて、約1時間スターラーピースを用いて攪拌して反応させて、スクシンイミジルエステル化合物(9)のカルボニル基とシリカ化合物(2)のアミノ基がアミド結合してなるローダミン(色素分子)含有シリカ化合物(10)を調製した。
【0109】
(2)シリカ球の調製
下式に従って、ローダミン(色素分子)含有シリカ化合物(10)からローダミン(色素分子)含有シリカ球(12)を調製した。
【0110】
【化10】
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〔式中、R3はローダミン(色素分子)を意味する。〕
具体的には、上記で得られた反応溶液〔ローダミン(色素分子)含有シリカ化合物(10)〕のDMSO溶液5mlに、テトラエトキシシラン(TEOS)0.3ml、水6ml及びエタノール20mlを加えて(エタノール:水=4:1、容量比)、これに約30%のアンモニア水2mlを加えて、一日撹拌しながら室温条件下に放置した。得られた溶液(反応終了液)を、限外ろ過装置〔アミコン(登録商標)攪拌式セル〕(フィルター;UFディスクYM100ウルトラセルRC100K NMWL)(販売会社:MILLIPORE)〔Nominal Molecular Weight Limit(NMWL):100 kDa〕を使用してろ過し、蒸留水を使用したろ過洗浄を数回繰り返して、ローダミン(色素分子)含有シリカ球(11)を調製した。このものの透過型電子顕微鏡(TEM)写真(×10,000)と蛍光顕微鏡像を図8a、図8bに示す。
【0111】
表面にSH基を有する色素分子含有シリカ球の作製、及びその性質
(1)参考例7の(1)に記載する方法で調製したローダミン(色素分子)含有シリカ化合物(10)の分散水溶液1mlに、エタノール4ml、テトラエチルオルソシリケート(TEOS) 60μl、水1.2ml、27重量%のアンモニア水0.4mlを加えて室温で一晩反応してローダミン(色素分子)含有シリカ球(11)を調製した。反応終了液を限外濾過装置〔アミコン(登録商標)攪拌式セル〕(フィルター;UFディスクYM100ウルトラセルRC100K NMWL)(販売会社:MILLIPORE)〔Nominal Molecular Weight Limit(NMWL):100 kDa〕にて洗浄した。
【0112】
(2)洗浄を行ったシリカ球含有液 0.1 mlを、 5.8 mM MPS(γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン)水溶液1mlに加え、室温下にて一晩反応させた。これにより、ローダミン(色素分子)含有シリカ球(11)の表面にMPSを付着させて、表面にアクセプター基としてSH基を有するシリカ球(SH基表層修飾シリカ球)を作製することができた。
【0113】
(3)次いで、遠心分離機を用いて蒸留水にて洗浄を行った。得られたシリカ球(SH基表層修飾シリカ球)含有液2μlと、34μg/mlの割合でGreen fluorescein protein(GFP)を含む生理的食塩水溶液3 μlとを混合し、蛍光顕微鏡で観察したところ、混和直後より、SH基表層修飾シリカ球がGFPの緑色の蛍光を発することを確認することができた。この結果から、上記SH基表層修飾シリカ球は他の特殊な試薬を必要とすることなく蛋白質を含む溶液と混合するだけでその表面に蛋白質を吸着することがわかった。
【0114】
水3ml、エタノール10ml、5.7 Mのγ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPS)0.15 ml、27重量%のアンモニア水1 mlを混合し、一日撹拌しながら放置して、シリカ球を調製した。このシリカ球はその表面にアクセプター基としてMPSに由来するSH基を有している(SH基表層修飾シリカ球)。次いで、遠心機分離機を用いてエタノール、水、生理的食塩水にて当該シリカ球を洗浄した。
【0115】
得られたSH基表層修飾シリカ球10μlに、1.0mg/mlのローダミン標識したグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(ローダミン標識GST)の水溶液を10μlに加え、蛍光顕微鏡で観察を行った。その結果、ローダミンの蛍光が観察された(図9a)。次に1.0mg/mlウシ血清アルブミンでブロッキングを行った後、遠心分離機を用いて洗浄した。洗浄したローダミン標識GSTを結合させたSH基表層修飾シリカ球を、0.2mg/mlのフルオレセインイソチオシアネート(FITC)で蛍光標識した抗GST抗体5μlと混合し、蛍光顕微鏡にて観察を行った。その結果、図9bに示すように、シリカ球にFITCの蛍光を認めた。このことから、シリカ球上で抗GST抗体が抗原であるGSTと結合していることが確認できた。
【実施例1】
【0116】
(1)色素分子含有シリカ球を含有する色材液状組成物の調製
参考例1で調製したフルオレセイン含有シリカ球A(粒子径4nm)、フルオレセイン含有シリカ球B(粒子径20nm)を、それぞれ蒸留水に分散し、次いでこの分散液0.1mlに、水溶性カチオニックポリマー〔poly(diallyldimethylammonium chloride) solution (Aldrich, Mw 100,000-200,000)(略してPDADMAC)、20wt% in water〕を10倍に希釈した溶液を0.1ml加えて混合した(色材液状組成物A、B)。
【0117】
なお、限外濾過膜(フィルター:YM-50(MW 50,000))を用いた遠心分離法にて、PDADMACにフルオレセイン含有シリカ球が静電的に結合しているか否か調べた。この方法によると、15nm以下のものは13000rpm で5minの遠心分離によって限外濾過膜から濾過されてフィルター上には何も残らなくなる。この手法を用いて色材液状組成物A(粒子径4nmのフルオレセイン含有シリカ球を含有)及びB(粒子径20nmのフルオレセイン含有シリカ球を含有)をろ過すると、BのみならずAもフィルター上に黄色い色が残りろ過されなかった。このことより、PDADMACとフルオレセイン含有シリカ球は混合するだけで静電的に結合することが確認された。
【0118】
(2)色材液状組成物の塗布(フルオレセイン含有シリカ球の付着・固定化)
(1)で調製した色材液状組成物(AまたはB)0.1mlを、ガラス板に滴下した。その後、100℃のヒーターの上にガラス板を置いて加熱乾燥させた。なお、加熱中は、乾燥した部位から赤色となった。室温に戻すと、ほぼ赤色は消えた。色材液状組成物を塗布乾燥したガラス板を、フルオレセインの励起波長である490nmで照射したところ、色材液状組成物を塗布乾燥した箇所に、フルオレセインの緑色の発光が観察された。図10にその吸収スペクトルを示す。
【0119】
(3)さらに、ガラス板を窒素レーザーの照射光波長に近い365nmで照射したところ、色材液状組成物を塗布乾燥した箇所に、緑色の発光が観察された(以上、島津F-5010蛍光分光光度計を使用。)。また色材液状組成物を塗布乾燥したガラス板は、蛍光灯照射下でも緑色に発光することが観察された。図11(a)にその結果を示す。一方、蛍光灯非照射下では発光が認められなかった(図11(b))。
【0120】
以上のことからわかるように、蛍光分子含有シリカ球を、水溶性カチオニックポリマーを用いることによってガラス板上にほぼ均一に固定することができた。また、ガラス板上に固定された蛍光分子含有シリカ球が、乾燥状態でも、励起光により発光したことから、蛍光分子含有シリカ球-カチオニックポリマー混合物(色材液状組成物)を被着物に塗布し、乾燥固定することにより、乾燥状態でも比較的強い蛍光を安定的に発する製品が調製できると考えられる。
【実施例2】
【0121】
(1)色素分子含有シリカ球を含有する色材液状組成物の調製
参考例1で調製したフルオレセイン含有シリカ球A(粒子径4nm)、フルオレセイン含有シリカ球B(粒子径20nm)を、それぞれ蒸留水に分散し、次いでこの分散液0.1mlに、水溶性カチオニックポリマー〔poly(diallyldimethylammonium chloride) solution (Aldrich, Mw 100,000-200,000)(略してPDADMAC)、20wt% in water〕を10倍に希釈した溶液を0.1ml加えて混合した(色材液状組成物A、B)。
【0122】
なお、限外濾過膜(フィルター:YM-50(MW 50,000))を用いた遠心分離法にて、PDADMACにフルオレセイン含有シリカ球が静電的に結合しているか否か調べた。この方法によると、15nm以下のものは13000rpmで5分間の遠心分離によって限外濾過膜から濾過されてフィルター上には何も残らなくなる。この手法を用いて色材液状組成物A(粒子径4nmのフルオレセイン含有シリカ球を含有)及びB(粒子径20nmのフルオレセイン含有シリカ球を含有)をろ過すると、BのみならずAもフィルター上に黄色い色が残り、ろ過されなかった。このことより、PDADMACとフルオレセイン含有シリカ球は混合するだけで静電的に結合することが確認された。
【0123】
(2)ビーズへの色材液状組成物の付着・固定化
実施例1の(1)で調製した色材液状組成物(A;粒子径4nm)とビーズ(シリカ製、直径約6.5mm:、和光純薬工業株式会社製)と混合して、120℃で加熱乾燥して、ビーズ表面にフルオレセイン含有シリカ球を固着させた。また比較試験用に、フルオレセインそのものをPDADMACと混合した溶液を、上記のビーズと混合して、120℃で加熱乾燥してフルオレセイン固着ビーズを調製した。
【0124】
上記で得られたフルオレセイン含有シリカ球固着ビーズ(Fluoresein/SiO2-PDADMAC on Bead)、フルオレセイン固着ビーズ(Fluoresein-APS-PDADMAC on Bead)(比較品)、及びビーズ(Bead only)(対照品)について、それぞれ蛍光スペクトルを測定した。結果を図12に示す。
【0125】
得られた結果から、フルオレセイン濃度を揃えた場合のフルオレセイン含有シリカ球固着ビーズとフルオレセイン固着ビーズの蛍光強度を算出し対比したところ、フルオレセイン含有シリカ球固着ビーズのほうがフルオレセイン固着ビーズよりも蛍光強度が約19倍高いことがわかった。このことからわかるように、本発明の色材液状組成物を使用することによって、被着物に対して高い発色または発光性を付与することができる。
【実施例3】
【0126】
(1)色素分子含有シリカ球を含有する色材液状組成物の調製
参考例1で調製したフルオレセイン含有シリカ球A(粒子径4nm)を蒸留水に分散して調製した分散液0.1mlを用いて、下記の処方からなる色材液状組成物を調製した。
(F1) フルオレセイン含有シリカ球A含有分散液+蒸留水、 各0.1mlを混合
(F2) フルオレセイン含有シリカ球A含有分散液+10% PDADMAC水溶液、各0.1mlを混合
(F3) フルオレセイン含有シリカ球A含有分散液+10% PVA水溶液、各0.1mlを混合
(F6) フルオレセイン含有シリカ球A含有分散液+1wt % Nafion(5 wt %アルコール溶液を蒸留水で1/5希釈)、各0.1mlを混合
(F7) フルオレセイン含有シリカ球A含有分散液+5wt % Nafion(原液;アルコール溶液)、各0.1mlを混合。
【0127】
なお、使用したNafion(登録商標)は、下式で示されるマイナスチャージを有する化合物である。
【0128】
【化11】
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(2)色材液状組成物の塗布(フルオレセイン含有シリカ球の付着・固定化)
(1)で調製した色材液状組成物((F1)~(F3)、(F6)~(F7))0.1mlを、表面をコート剤でコートされたガラス板(MAS COAT SUPERFROST MICRO SLIDE GLASS:松浪工業株式会社製)の1.2cm×3cmの面積範囲に塗布した。これを室温乾燥、60℃15分加熱乾燥、120℃15分加熱乾燥の各々の条件で乾燥した。室温に戻した後に、各々調製したガラス板について蛍光スペクトルを測定した。120℃で加熱乾燥して調製したフルオレセイン含有シリカ球付着ガラス板の蛍光スペクトル(励起波長500nm)を図13に示す。
【0129】
この結果からわかるように、ポリマーとして水溶性水酸基含有ポリマーであるPVA(polyvinyl alcohol)を混合したフルオレセイン含有シリカ球(色材液状組成物(F3))はPDADMACを混合したフルオレセイン含有シリカ球(色材液状組成物(F2))より、蛍光強度が強く、そのピークが短波長側にシフトしていた。この理由として、PVAはOH基を有しており、フルオレセイン含有シリカ球自体はその表面が親水性となっているため、水中とほとんどかわらない状態となっているおり、このため蛍光が観測されたと思われる。一方、ポリマーとしてNafion(登録商標)を混合したフルオレセイン含有シリカ球(色材液状組成物(F6)及び(F7))では蛍光は殆ど観測されなかった。この理由として、Nafion(登録商標)はマイナスチャージを有しており、フルオレセイン含有シリカ球は、その表面のマイナスチャージと反発してが均一に分散できず、Nafion(登録商標)の疎水性部位に取り込まれていると考えられた。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】参考例1で調製したフルオレセイン(色素分子)含有シリカ球Aの蛍光減衰曲線を示す図である。
【図2】参考例2に記載するシリカ球の表層処理を示す模式図を示す。
【図3】スペクトルA:参考例1で調製したフルオレセイン(色素分子)含有シリカ球A(1st Growth)(直径:20nm)の水溶液中の吸収スペクトル、スペクトルB:実施例2(1)で調製したフルオレセイン(色素分子)含有シリカ球(2nd Growth)(直径:230nm)の水溶液中の吸収スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図4】参考例1で調製したフルオレセイン(色素分子)含有シリカ球(直径:20nm)(1st Growth)のTEM写真(×90,000)の画像を示す図である。
【図5】参考例2(1)で調製したフルオレセイン(色素分子)含有シリカ球(直径:230nm)(2nd Growth)のTEM写真(×15,000)の画像を示す図である。
【図6】参考例4に記載する色素分子含有シリカ球のNH2基修飾と、カップリング剤を用いたシリカ球同士の結合を示す模式図を示す。
【図7】参考例5で調製した蛍光色素分子(フルオレセイン)含有シリカ球(SH基表層修飾シリカ球)の蛍光顕微鏡の所見(図a)、及び当該シリカ球にローダミン標識GSTを付着させたシリカ球の所見(図b)を示す(×400)(原本はカラー図)。
【図8】参考例7で調製したローダミン(色素分子)含有シリカ球の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(×10,000)(図a)と蛍光顕微鏡像(図b)を示す(原本はカラー図)。
【図9】蛍光色素分子を含有していないシリカ球上にローダミン標識GSTを付着させた所見(a)、その後、FITC標識抗GST抗体を結合させた所見(b)を示す図である(×400)(原本はカラー図)。
【図10】色材液状組成物を塗布乾燥したガラス板の蛍光スペクトル(励起波長:490nm)である。
【図11】色材液状組成物を塗布乾燥したガラス板に、蛍光灯照射した場合(a)と照射しない場合(b)の発光状況を示す。
【図12】フルオレセイン含有シリカ球固着ビーズ(Fluoresein/SiO2-PDADMAC on Bead)、フルオレセイン固着ビーズ(Fluoresein-APS-PDADMAC on Bead)(比較品)、及びビーズ(Bead only)(対照品)について、それぞれ測定した蛍光スペクトル(励起波長:516nm)である(実施例2)。
【図13】実施例3で調製した各種の色材液状組成物〔(F1) フルオレセイン含有シリカ球A含有分散液+蒸留水(各0.1ml)、(F2) フルオレセイン含有シリカ球A含有分散液+10% PDADMAC水溶液(各0.1ml)、(F3) フルオレセイン含有シリカ球A含有分散液+10% PVA水溶液(各0.1ml)、(F6) フルオレセイン含有シリカ球A含有分散液+1wt % Nafion(5 wt %アルコール溶液を蒸留水で1/5希釈)(各0.1ml)、(F7) フルオレセイン含有シリカ球A含有分散液+5wt % Nafion(原液;アルコール溶液)(各0.1ml)〕を塗布乾燥したガラス板の蛍光スペクトルを示す(励起波長:500nm)。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
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【図4】
3
【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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